説明

バックル

【課題】バックルを介して連結させ合わされる帯状体に、このバックルによって各種の物品をその物品を使いやすい向きに回動可能とした状態で適切に支持させることができるようにする。
【解決手段】バックルを、バックル主体1と、各種の物品を保持する保持部材2とを備えており、バックル主体1に対し保持部材2を回動可能で、かつ、取り外し可能に備えさせてなるものとした。保持部材2に雄部分4が備えられ、バックル主体1に、この雄部分4が回動可能に組み付け合わされる雌部分3が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、帯状体を連結させ合わせるために用いられるバックルの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
バックルとなるベースと道具ホルダとから構成され、このベースに、リップと可撓性アームとを形成すると共に、道具ホルダにフランジを備えさせており、リップの下にフランジを挿入することで、このベースに道具ホルダを組み合わせ保持できるようにしたものとして特許文献1に示されるものがある。
【0003】
しかるに、この特許文献1に示されるものにあっては、道具ホルダのフランジの外郭形状が多角形状をなすか、リップ内の内郭形状が多角形状をなしているため、ベースに組み合わせた状態において道具ホルダを回動させることはできない。すなわち、ベースに一旦道具ホルダを組み合わせた後は、再度それを取り外さない限り、道具ホルダのホルダ部分の向きを変えることができないものであった。
【特許文献1】特開2002−112810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、バックルを介して連結させ合わされる帯状体に、このバックルによって各種の物品をその物品を使いやすい向きに回動可能とした状態で適切に支持させることができるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記問題点を解決するために、この発明にあっては、バックルを、
バックル主体と、
各種の物品を保持する保持部材とを備えており、
バックル主体に対し保持部材を回動可能で、かつ、取り外し可能に備えさせてなるものとした。
【0006】
かかる構成によれば、バックル主体を介して連結させ合わされる帯状体に、各種の物品をその物品を使いやすい向きに回動可能とした状態で支持させることができる。また、物品の支持が必要ない場合には、保持部材をバックル主体から取り外してバックル主体のみで用いることもできる。
【0007】
また、前記問題点を解決するために、この発明にあっては、バックルを、
バックル主体と、
帯状物、紐状物、線状物、棒状物、管状物などの長さを持った物品を保持する保持部材とを備えており、
バックル主体に対し保持部材を回動可能で、かつ、取り外し可能に備えさせてなるものとした。
【0008】
かかる構成によれば、バックル主体を介して連結させ合わされる帯状体の延長方向に対しこれに沿った向きに長さを持った物品の延長方向が配されるようにした状態ばかりでなく、これに交叉する向きに長さを持った物品の延長方向が配されるようにした状態でも、無理なくこの長さを持った物品をバックル主体によって支持することができる。すなわち、この支持状態において長さを持った物品を使用などすべく長さを持った物品の中心線とバックル主体を介して連結させ合わされる帯状体の中心線とのなす角度が変わるように長さを持った物品を移動又は相対的に移動させようとする場合には、これに応じて保持部材を回動させることができ、こうした場合に支持された長さを持った物品に変形などを生じさせないようにすることができる。長さを持った物品の支持が必要ない場合には、保持部材をバックル主体から取り外してバックル主体のみで用いることもできる。
【0009】
前記バックル主体及び保持部材のいずれか一方に雌部分が備えられていると共に、これらの他方に雄部分が備えられており、
雄部分は、
頭部と首部とを有しており、
雌部分は、
雄部分の頭部の入れ込み開口に続く入れ込み空間と、
この入れ込み空間を形成する壁体の一つに形成されてこの入れ込み空間に連通すると共に、雄部分の首部を通し、かつ、頭部を通さない直径を持った仮想の円の円弧に沿った穴内周面を有する貫通穴と、
この貫通穴に連通して前記壁体の入れ込み開口側にある縁部に続き、かつ、この縁部において外方に開放された雄部分の首部の導入溝とを有しており、
この導入溝を弾性的に押し広げさせながら、雄部分の首部が前記貫通穴に入れ込まれ、かつ、入れ込み開口を通じて頭部が入れ込み空間内に入れ込まれるようにしておくこともある。
【0010】
かかる構成によれば、帯状体を連結させ合わせたバックル主体に対し、保持部材を回動可能で、かつ、取り外し可能に適切に組み合わせることができ、使用のための物品の向きの変更を保持部材の回動によって自由度高く許容させることができる。すなわち、雌部分の入れ込み空間内に雄部分の頭部を入れ込ませることで、この頭部が入れ込み空間内から簡単には抜け出さないようにして、雌部分と雄部分とを組み合わせることができる。雌部分の貫通穴は前記穴内周面を有していることから、この貫通穴を軸穴とするようにして、雄部分は円滑に回動される。各種物品をバックル主体に支持させる必要がない場合には、導入溝を弾性的に押し広げ出させながら、貫通穴内にあった雄部分の首部をこの導入溝を通じて抜き出させるようにすることで、入れ込み空間から頭部を抜き出させて、バックル主体と保持部材とをワンタッチで分離させることができる。
【0011】
前記保持部材を、長さを持った物品をその長さ方向に沿った一側部から、クランプ入り口を入れ込まれるこの長さを持った物品によって弾性的に押し広げさせながら、クランプ内部に受け入れて保持するクランプ状をなすように構成させておくこともある。
【0012】
かかる構成によれば、チューブやパイプなどの長さを持った物品を保持部材にワンタッチで適切に保持させることができると共に、このように保持された長さを持った物品の使用のための向きの変更を保持部材を回動させることにより自由度高く許容させることができる。
【0013】
前記バックル主体が、サイドリリースバックルを構成する雄バックルと雌バックルとから構成されており、この雌バックルの外面に雄部分及び雌部分のいずれか一方が備えられているようにしておくこともある。
【0014】
かかる構成によれば、雄バックルと雌バックルとを連結させ合うことにより、雄バックルに接続された帯状体と雌バックルに接続された帯状体とを連結させ合わせることができると共に、このように雄バックルに連結された雌バックルに保持部材を介して各種物品を適切に保持させることができ、かつ、このように保持された物品の使用のための向きの変更を保持部材の回動により自由度高く許容させることができる。
【0015】
前記バックル主体が、中間クロスバーの両側に二カ所の帯状体の通し部を備えてなる帯状体の留め付け部を有しているようにしておくこともある。
【0016】
かかる構成によれば、バックル主体を介して連結される帯状体の少なくとも一方に対するバックルの装着位置を、このバックル主体の留め付け部によって、変更可能とした状態で、この帯状体の一方をバックル主体を介して他の帯状体と連結させ合わせることができると共に、このバックル主体に保持部材を介して各種物品を適切に保持させることができ、かつ、このように保持された物品の使用のための向きの変更を保持部材の回動により自由度高く許容させることができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明にかかるバックルによれば、このバックルを介して連結させ合わされる帯状体に、このバックルによって各種の物品をその物品を使いやすい向きに回動可能とした状態で適切に支持させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図1ないし図25に基づいて、この発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0019】
なお、ここで図1ないし図7は、バックルを構成する保持部材2の一例をそれぞれ示しており、図8はかかる保持部材2の他の一例を、図9はさらに他の一例を、図25は、さらに他の一例を、それぞれ示している。
【0020】
また、図10は、バックルを構成するバックル主体1の一例を、図11ないし図13は、かかるバックル主体1の他の一例を、図14は、このバックル主体1の他の一例を構成する雌バックル13を、図15ないし図21は、このバックル主体1の他の一例を構成する雌バックル13に図1ないし図7に示される保持部材2を組み合わせた状態を、それぞれ示している。さらに、図22ないし図24は、バックル主体1のさらに他の一例を示している。
【0021】
この実施の形態にかかるバックルは、帯状体Wを連結させ合わせるために用いられるものである。
【0022】
典型的には、かかるバックルは、二本の帯状体W、Wをバックルを介して連結させ合わせるように用いられる。より具体的には、例えば、リュックサックに用いられる場合には、かかるバックルによってリュックサックに備え付けられる左右一対のウエストストラップやチェストストラップなどをバックルを介して分離可能に接続させ合わせたり、リュックサックの上部に上端を止め付けた背負いベルトを構成するパッド部の下端とリュックサックの下部に下端を止め付けた下部引き出しテープの上端とをバックルを介して留め付け位置調整可能に接続させ合わせたりするために用いられる。
【0023】
かかるバックルは、帯状体Wを連結させ合わせるバックル主体1と、各種の物品を保持する保持部材2とを備えている。
【0024】
図示の例にあっては、かかるバックルは、帯状物、紐状物、線状物、棒状物、管状物などの長さを持った物品を保持するのに適した構造を備えた保持部材2とを備えている。そして、かかるバックル主体1に対し保持部材2を回動可能で、かつ、取り外し可能に備えさせている。
【0025】
かかる長さを持った物品としては、チューブ、パイプ、ロッド、コード、紐、ワイヤーなどが予定される。より具体的には、例えば、リュックサックに用いられる場合には、リュックサックを背負い込んだ者に飲料を供給するための飲料容器に接続されたストローのように機能するチューブをバックルの配設位置において支持したり、紐端に各種の物品を繋ぎ合わせたり留め付けたりするように構成された紐を引き出し可能で、かつ、巻き取り可能に納めるリール体をバックルの配設位置において支持したりすることが予定される。
【0026】
かかる構成によれば、バックル主体1を介して連結させ合わされる帯状体Wに、各種の物品をその物品を使いやすい向きに回動可能とした状態で支持させることができる。また、物品の支持が必要ない場合には、保持部材2をバックル主体1から取り外してバックル主体1のみで用いることもできる。
【0027】
特に、かかる物品が長さを持ったものである場合、バックル主体1を介して連結させ合わされる帯状体Wの延長方向に対しこれに沿った向きに長さを持った物品の延長方向が配されるようにした状態ばかりでなく、これに交叉する向きに長さを持った物品の延長方向が配されるようにした状態でも、無理なくこの長さを持った物品をバックル主体1によって支持することができる。すなわち、この支持状態において長さを持った物品を使用などすべく長さを持った物品の中心線とバックル主体1を介して連結させ合わされる帯状体Wの中心線とのなす角度が変わるように長さを持った物品を移動又は相対的に移動させようとする場合には、これに応じて保持部材2を回動させることができ、こうした場合に支持された長さを持った物品に変形などを生じさせないようにすることができる。長さを持った物品の支持が必要ない場合には、保持部材2をバックル主体1から取り外してバックル主体1のみで用いることもできる。
【0028】
具体的には、この実施の形態にあっては、バックル主体1及び保持部材2のいずれか一方に雌部分3が備えられていると共に、これらの他方に雄部分4が備えられている。図示の例にあっては、保持部材2に雄部分4が備えられ、バックル主体1に雌部分3が備えられている。
【0029】
雄部分4は、頭部40と首部41とを有している。
【0030】
図示の例では、かかる雄部分4は、円板状をなす頭部40と、この頭部40の一面の略中央部に軸一端を一体に連接させると共に軸他端を保持部材2側に一体に連接させた円柱軸状をなす首部41とから構成されている。また、図示の例にあっては、かかる首部41の軸他端は、一面を保持部材2に一体に連接させた略正方形の板状をなすベース体42の他面の略中央部に一体に連接されている。このベース体42の向き合った一対の辺部の長さ方向略中程の位置には、このベース体42の他面において、この他面から突き出す隆起部43が形成されている。この隆起部43はその突き出し端を緩やかに湾曲させている。
【0031】
一方、雌部分3は、
(1)雄部分4の頭部40の入れ込み開口30に続く入れ込み空間31と、
(2)この入れ込み空間31を形成する壁体32の一つに形成されてこの入れ込み空間31に連通すると共に、雄部分4の首部41を通し、かつ、頭部40を通さない直径を持った仮想の円の円弧に沿った穴内周面を有する貫通穴33と、
(3)この貫通穴33に連通して前記壁体32の入れ込み開口30側にある縁部に続き、かつ、この縁部において外方に開放された雄部分4の首部41の導入溝34とを有している。
【0032】
図示の例では、かかる雌部分3は、雄部分4のベース体42の外郭形状に略倣った外郭形状を持った天板体35を、その向き合った一対の辺部において、この辺部に一体に連接された支持板体36によって、この天板体35の内面下に前記入れ込み空間31を形成させるように支持することで形成されている。そして、図示の例では、この天板体35の略中央部に前記貫通穴33が形成されている。また、この天板体35における前記支持板体36によって支持されていない残りの一対の辺部の一方側に前記入れ込み開口30が形成されるようにしてある。そして、この残りの一対の辺部の一方の略中央と貫通穴33との間に前記導入溝34が形成されている。図示の例では、この導入溝34の中央部の溝巾は雄部分4の首部41の外径よりもやや小さくなるようにしてある。貫通穴33の穴内周面が位置される前記仮想の円の直径はこの雄部分4の首部41の外径と略等しくなっている。また、この導入溝34の開放部、つまり、入り口においては、両溝壁が導入溝34の中央部から離れるに従って次第にこの導入溝34の溝巾を広げる向きに傾斜されており、この入り口から雄部分4の首部41を導入溝34内に入れ込み易くしてある。また、図示の例では、前記天板体35における支持板体36によって支持されている辺部の略中央部に、雄部分4のベース体42に形成された隆起部43が入り込む深さと巾とを備えた凹所37が形成されている。
【0033】
そして、この実施の形態にあっては、前記導入溝34を弾性的に押し広げさせながら、雄部分4の首部41が前記貫通穴33に入れ込まれ、かつ、入れ込み開口30を通じて頭部40が入れ込み空間31内に入れ込まれるようにしてある。
【0034】
これにより、この実施の形態にあっては、帯状体Wを連結させ合わせたバックル主体1に対し、保持部材2を回動可能で、かつ、取り外し可能に適切に組み合わせることができ、使用のための長さを持った物品の向きの変更を保持部材2の回動によって自由度高く許容させることができる。すなわち、雌部分3の入れ込み空間31内に雄部分4の頭部40を入れ込ませることで、この頭部40が入れ込み空間31内から簡単には抜け出さないようにして、雌部分3と雄部分4とを組み合わせることができる。雌部分3の貫通穴33は前記穴内周面を有していることから、この貫通穴33を軸穴とするようにして、雄部分4は円滑に回動される。長さを持った物品をバックル主体1に支持させる必要がない場合には、導入溝34を弾性的に押し広げ出させながら、貫通穴33内にあった雄部分4の首部41をこの導入溝34を通じて抜き出させるようにすることで、入れ込み空間31から頭部40を抜き出させて、バックル主体1と保持部材2とをワンタッチで分離させることができる。
【0035】
なお、図示の例にあっては、雄部分4のベース体42に形成された一対の隆起部43、43が、雌部分3の天板体35に形成された一対の凹所37、37にそれぞれ上方から入り込むように、このベース体42の下面に天板体35の外面が接した状態で雄部分4と雌部分3とが前記のように組み合わされるようになっていると共に、(図21の実線断面の状態)この状態から、貫通穴33を穴軸として雄部分4が回動又は相対的に回動されると、一対の隆起部43、43を凹所37から抜け出させるようにベース体42が弾性変形され隆起部43が凹所37から抜け出すと共に、一対の隆起部43、43の一方がこの凹所37が形成されていない天板体35の一対の辺部の側方に入り込み、かつ、一対の隆起部43、43の他方が導入溝34の入り口に入り込む回動位置での弾性復帰により、この一対の隆起部43、43の一方の内面が凹所37が形成されていない天板体35の一対の辺部に面的に接触され、かつ、一対の隆起部43、43の他方が導入溝34の入り口に納まるようになっている。(図21の想像線断面の状態)この状態から、さらに雄部分4が回動又は相対的に回動されると、再びベース体42が弾性変形され、一対の隆起部43、43が前記凹所37に入り込む回動位置での弾性復帰により、一対の隆起部43、43はそれぞれ対応する凹所37に入り込む。すなわち、この実施の形態にあっては、保持部材2を略90度の正転又は逆転位置においてそれぞれ、仮留めできるようになっている。
【0036】
図1ないし図9は、前記保持部材2が、長さを持った物品をその長さ方向に沿った一側部から、クランプ入り口20を入れ込まれるこの長さを持った物品によって弾性的に押し広げさせながら、クランプ内部21に受け入れて保持するクランプ状をなすように構成されている例を示している。
【0037】
具体的には、図1ないし図7に示される例にあっては、保持部材2に雄部分4が一体に備えられていると共に、この雄部分4を構成するベース体42の上面に、互いに向き合った側を湾曲内側とするように上端側を除く箇所を湾曲された一対のクランプ片23、23の下端を一体に連接させて長さを持った物品を前記のように保持可能な保持部材2を構成させている。一対のクランプ片23、23の上端23a間は、保持されるべき長さを持った物品の径よりもやや狭くなるようにしてある。すなわち、この例にあっては、かかる一対のクランプ片23、23の湾曲箇所23b間が前記クランプ内部21となり、その上端23a間がクランプ入り口20となっている。
【0038】
また、図8に示される例にあっても、保持部材2に雄部分4が一体に備えられている。また、この例にあっては、この雄部分4を構成するベース体42における隆起部43が形成された両辺部からそれぞれ側方に突き出す基部片24と、この基部片24の突き出し端から上方に向けて突き出す支持片25と、この支持片25の突き出し端からこの支持片25の内面との間に間隔を開けるようにして下方に延びるクランプ片26とによって保持部材2を構成させている。このように設けられた一対のクランプ片26、26は、互いに向き合った側を湾曲内側とするように湾曲されている。また、クランプ片26と支持片25との連接箇所26a間は、保持されるべき長さを持った物品の径よりもやや狭くなるようにしてある。すなわち、この例にあっては、かかる一対のクランプ片26、26の湾曲箇所26b間が前記クランプ内部21となり、前記連接箇所26a間がクランプ入り口20となっている。
【0039】
また、図9に示される例にあっても、保持部材2に雄部分4が一体に備えられている。また、この例にあっては、この雄部分4を構成するベース体42における隆起部43が形成された両辺部の一方から側方に突き出す基部片27と、この両辺部の他方からこの両辺部の一方側に向けられた側を湾曲内側とするように湾曲状に立ち上がると共に、その湾曲終了位置となる箇所28aと基部片27の上面との間の間隔を保持されるべき長さを持った物品の径よりもやや狭くしたクランプ片28とによって保持部材2を構成させている。すなわち、この例にあっては、かかるクランプ片28の湾曲箇所28bの内方が前記クランプ内部21となり、このクランプ片28の湾曲終了位置となる箇所28aとその直下にある基部片27の上面との間がクランプ入り口20となっている。
【0040】
これにより、この実施の形態にあっては、チューブやパイプなどの長さを持った物品を保持部材2にワンタッチで適切に保持させることができると共に、このように保持された長さを持った物品の使用のための向きの変更を保持部材2を回動させることにより自由度高く許容させることができる。
【0041】
また、図10に示される例にあっては、バックル主体1の両端部にそれぞれ帯状体Wの通し部10が形成されていると共に、その中間部に前記雌部分3が備えられている。
【0042】
また、図11ないし図21に示される例にあっては、バックル主体1が、サイドリリースバックルを構成する雄バックル12と雌バックル13とから構成されており、この雌バックル13の外面に前記雌部分3が備えられている。
【0043】
図示の例にあっては、雌バックル13は筒一端を雄バックル12の脚部121を内部に導入できるように開放させた扁平筒状をなすように構成されている。この脚部121の導入方向に沿った雌バックル13の巾狭の両側部にはそれぞれ窓穴131が形成されている。また、雌バックル13の筒他端側には、帯状体Wの通し部10が形成されている。一方、雄バックル12は、二カ所の帯状体Wの通し部10、10を平行に備えた基部122と、この基部122に一端を一体に連接させてこの基部122から同じ向きに突き出す一対の脚部121、121を有している。この一対の脚部121、121における他方の脚部121に向き合わない側には掛合用隆起部123が形成されている。そして、図示の例にあっては、雌バックル13内に雄バックル12の一対の脚部121、121を入れ込むことに伴ってこの一対の脚部121、121の掛合用隆起部123が雌バックル13の前記巾狭の両側部の内面によって一旦内向きに撓み込まされた後、この掛合用隆起部123が前記窓穴131に入り込める雄バックル12の差し込み位置における弾性復帰によって一対の脚部121、121のこの掛合用隆起部123がそれぞれ、雌バックル13の対応する窓穴131に入り込み、これにより、雄バックル12の通し部10に通された帯状体Wと雌バックル13の通し部10に通された帯状体Wとをバックルを介して接続させ合わせることができるようになっている。雄バックル12の基部122は、二カ所の帯状体Wの通し部10、10によって、中間クロスバー124とエンドクロスバー125とを有するようになっており、帯状体Wを雄バックル12の裏面側から中間クロスバー124に掛け回して雄バックル12の表側に引き出した後、この引き出し部をエンドクロスバー125の裏面を通して再び雄バックル12の側方に引き出すことにより、帯状体Wにテンションが作用される限り、中間クロスバー124とエンドクロスバー125との間にある通し部10に面した中間クロスバー124の一部とエンドクロスバー125の一部とがこの帯状体Wに対して強く突き立てられて、この帯状体Wに対する雄バックル12の装着位置が変わることがないようにしてある。(図12)すなわち、図示の例にあっては、かかる雄バックル12が帯状体Wの留め付け部11を有している。
【0044】
そして、図示の例にあっては、かかる雌バックル13における筒一端側において、この雌バックル13の幅広の側面部に、前記雌部分3が形成されている。図示の例にあっては、かかる雌部分3は、導入溝34をこの雌バックル13の筒一端縁に向けるように形成されている。雄部分4の頭部40の入れ込み空間31は、天板体35と雌部分3の幅広の側面部との間に形成されている。すなわち、図示の例では、雌部分3は、雌バックル13の外面に形成された隆起部状をなすように構成されている。また、図示の例にあっては、前記入れ込み空間31を形成する雌バックル13の幅広の側面部に、この雌バックル13の筒一端において外方に開放されて、導入溝34の直下においてこの導入溝34に沿って延びる割溝132が形成されており、雌部分3の導入溝34に雄部分4の首部41を入れ込むにあたって、この割溝132によって導入溝34が弾性的に広がり易いようになっている。
【0045】
これにより、この実施の形態にあっては、雄バックル12と雌バックル13とを連結させ合うことにより、雄バックル12に接続された帯状体Wと雌バックル13に接続された帯状体Wとを連結させ合わせることができると共に、このように雄バックル12に連結された雌バックル13に保持部材2を介して長さを持った物品を適切に保持させることができ、かつ、このように保持された長さを持った物品の使用のための向きの変更を保持部材2の回動により自由度高く許容させることができる。
【0046】
また、図22ないし図24に示される例にあっては、バックル主体1が、中間クロスバー141の両側に二カ所の帯状体Wの通し部10、10を備えてなる帯状体Wの留め付け部11を有している。
【0047】
図示の例にあっては、枠状部14における向き合った一対の側部間に、中間クロスバー141を架け渡し状に設けさせて、この枠状部14内に二カ所の通し部10、10を形成させている。そして、エンドクロスバーの一方142(中間クロスバー141に略平行をなす枠状部14の端部の一方)に帯状体Wの一方を掛け回して接続させると共に、この中間クロスバー141に、帯状体Wの他方をバックル主体1の裏面側からこの中間クロスバー141に掛け回して雄バックル12の表側に引き出した後、この引き出し部をこの中間クロスバー141に略平行をなす枠状部14の端部の他方、つまり、他方のエンドクロスバー143の裏面を通して再びバックル主体1の側方に引き出すことにより、この他方の帯状体Wにテンションが作用される限り、この中間クロスバー141と他方のエンドクロスバー143との間にある通し部10に面したこの中間クロスバー141の一部と他方のエンドクロスバー143の一部とがこの帯状体Wに対して強く突き立てられて、この他方の帯状体Wに対するバックル主体1の装着位置が変わることがないようにしてある。すなわち、図示の例にあっては、かかるバックル主体1の中間クロスバー141とこれに隣り合う他方のエンドクロスバー143によって帯状体Wの留め付け部11を構成させている。また、図示の例にあっては、前記他方のエンドクロスバー143の表面側の端部から側方に張り出す張り出し部144が形成されており、この張り出し部144の上面に前記雌部分3を形成させている。
【0048】
これにより、この実施の形態にあっては、バックル主体1を介して連結される帯状体Wの少なくとも一方に対するバックルの装着位置を、このバックル主体1の留め付け部11によって、変更可能とした状態で、この帯状体Wの一方をバックル主体1を介して他の帯状体Wと連結させ合わせることができると共に、このバックル主体1に保持部材2を介して長さを持った物品を適切に保持させることができ、かつ、このように保持された長さを持った物品の使用のための向きの変更を保持部材2の回動により自由度高く許容させることができる。
【0049】
また、図25は、保持部材2を、紐端に各種の物品の留め付け部28aを備えた紐28を、引き出し可能で、かつ、巻き取り可能に納めるリール体(図示は省略する。)を内蔵したケース体29によって構成させた例を示している。かかるケース体29は、このケース体29内から紐28を引き出すことによりリール体を正転させるようにリール体を回転可能に納めていると共に、このケース体内にはこのリール体の正転によりこのリール体を逆転させる向きの付勢力を蓄えるうず巻きバネなどの蓄勢手段が内蔵されている。紐28の引き出し操作を止めれば、この逆転付勢により、引き出された紐28はケース体29内に巻き戻し状に引き込まれる。そして、図示の例にあっては、このケース体29の一面に、雄部分4を形成させている。このケース体29の雄部分4をバックル主体1の雌部分3に組み合わせてバックルを構成させる。ケース体29、つまり、紐28の保持部材2は、紐28の引き出しにより、この紐28を最も引き出し易い向きに回動されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】保持部材2の一例を示した斜視図
【図2】同左側面図
【図3】同平面図
【図4】同正面図
【図5】同底面図
【図6】同右側面図
【図7】図2におけるA−A線断面図
【図8】保持部材2の他の一例を示した斜視図(イ図)及びイ図の下側を上にしてこの保持部材2の他の一例を示した斜視図(ロ図)
【図9】保持部材2のさらに他の一例を示した斜視図(イ図)及びイ図の下側を上にしてこの保持部材2のさらに他の一例を示した斜視図(ロ図)
【図10】バックル主体1の一例を示した斜視図
【図11】バックル主体1の他の一例を示した正面図
【図12】図11におけるB−B線位置での使用状態を示した断面図
【図13】バックル主体1の他の一例を示した要部破断背面図
【図14】雌バックル13の斜視図
【図15】保持部材2を組み合わせた状態の雌バックル13の正面図
【図16】同平面図
【図17】同右側面図
【図18】同底面図
【図19】図15におけるC−C線断面図
【図20】保持部材2を組み合わせた状態の雌バックル13の斜視図
【図21】保持部材2の回動状態を理解しやすいように保持部材2の要部を断面にし、かつ、回動後の様子を想像線で表した説明図
【図22】バックル主体1のさらに他の一例を示した斜視図
【図23】同図22と逆向きからそのバックル主体1を視て表した斜視図
【図24】同使用状態を示した断面図
【図25】保持部材2のさらに他の一例を示した斜視図(イ図)及びイ図の下側を上にしてこの保持部材2のさらに他の一例を示した斜視図(ロ図)
【符号の説明】
【0051】
1 バックル主体
2 保持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックル主体と、
各種の物品を保持する保持部材とを備えており、
バックル主体に対し保持部材を回動可能で、かつ、取り外し可能に備えさせてなることを特徴とするバックル。
【請求項2】
バックル主体と、
帯状物、紐状物、線状物、棒状物、管状物などの長さを持った物品を保持する保持部材とを備えており、
バックル主体に対し保持部材を回動可能で、かつ、取り外し可能に備えさせてなることを特徴とするバックル。
【請求項3】
バックル主体及び保持部材のいずれか一方に雌部分が備えられていると共に、これらの他方に雄部分が備えられており、
雄部分は、
頭部と首部とを有しており、
雌部分は、
雄部分の頭部の入れ込み開口に続く入れ込み空間と、
この入れ込み空間を形成する壁体の一つに形成されてこの入れ込み空間に連通すると共に、雄部分の首部を通し、かつ、頭部を通さない直径を持った仮想の円の円弧に沿った穴内周面を有する貫通穴と、
この貫通穴に連通して前記壁体の入れ込み開口側にある縁部に続き、かつ、この縁部において外方に開放された雄部分の首部の導入溝とを有しており、
この導入溝を弾性的に押し広げさせながら、雄部分の首部が前記貫通穴に入れ込まれ、かつ、入れ込み開口を通じて頭部が入れ込み空間内に入れ込まれるようにしてあることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のバックル。
【請求項4】
保持部材が、長さを持った物品をその長さ方向に沿った一側部から、クランプ入り口を入れ込まれるこの長さを持った物品によって弾性的に押し広げさせながら、クランプ内部に受け入れて保持するクランプ状をなすように構成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3記載のバックル。
【請求項5】
バックル主体が、サイドリリースバックルを構成する雄バックルと雌バックルとから構成されており、この雌バックルの外面に雄部分及び雌部分のいずれか一方が備えられていることを特徴とする請求項3又は請求項4記載のバックル。
【請求項6】
バックル主体が、中間クロスバーの両側に二カ所の帯状体の通し部を備えてなる帯状体の留め付け部を有していることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のバックル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2006−26207(P2006−26207A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−211550(P2004−211550)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】