バックル
【課題】雌部材の小型化を図ることができるバックルを提供する。
【解決手段】横テープ12及び縦テープ13が取り付けられる雌部材11と、第1片部と第2片部とを有し第2片部の撓みにより第1片部及び第2片部の間に雌部材11の一部を受け入れるように構成された雄部材15とからなるバックルであって、雌部材11は、横テープ12を挿通した状態で、雄部材15の第1片部を挿入可能な第1スロット部と、雄部材15の第1片部が第1スロット部に挿入されたときに第2片部に設けられた係合部が係合する被係合部とを有する。
【解決手段】横テープ12及び縦テープ13が取り付けられる雌部材11と、第1片部と第2片部とを有し第2片部の撓みにより第1片部及び第2片部の間に雌部材11の一部を受け入れるように構成された雄部材15とからなるバックルであって、雌部材11は、横テープ12を挿通した状態で、雄部材15の第1片部を挿入可能な第1スロット部と、雄部材15の第1片部が第1スロット部に挿入されたときに第2片部に設けられた係合部が係合する被係合部とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一方の帯状体が取り付けられた雄部材を、他方の帯状体が取り付けられた雌部材に締結させることで、各帯状体を接続するバックルに関する。
【背景技術】
【0002】
鞄やバックパック等の装身具や、衣類等には、複数の帯状体を接続するためのバックルが設けられている。例えば、バックパックには、バックパックをユーザの身体にフィットさせる等の目的で、胸部を横切るように張設されるチェストストラップ等が設けられている。
【0003】
このチェストストラップの一例として、特許文献1には、図12に示すような構成のものが記載されている。このチェストストップは、一方のショルダーベルトSに取り付けられた帯状体B1,B2と、該帯状体B1,B2を交差させて取り付けるクロスタイプの雌バックル101と、他方のショルダーベルトSに取り付けられた帯状体B3と、該帯状体B3に取り付けられた雄バックル102とから構成されている。雌バックル101及び雄バックル102は樹脂からなり、雄バックル102の差込脚部103を撓ませながら雌バックル101の本体104に設けられた入込開口104aに差し込んで係合させることで、雄バックル102と雄バックル102とを接続する。雌バックル101は、縦に延びる帯状体B1を通す通し部105と、横に延びる帯状体B2を通す通し部106とを備えている。尚、この雌バックルの構成としては、クロスタイプの他に、1本の帯状体のみを取り付け可能なストレートタイプもある。
【0004】
このバックルは、雌バックル101が、雄バックル102の差込脚部103全体を受け入れる構成であるため、雌バックル101の本体104の厚さを差込脚部103以上の厚さにする必要があった。また、クロスタイプの雌バックル101では、本体104の下方に通し部106が設けられるため、雌バックル全体が厚さ方向に大型化していた。このため、バックルの雌部材に対しては、軽量化、美観の向上等を目的として、小型化が要請されている。
【0005】
これに対し、特許文献2では、図13に示すように、第1片部115と第2片部117とを有する雄部材110と、第1片部115を受け入れる雌部材112とを備えたバックルが記載されている。雄部材110及び雌部材112は、その端部に、帯状体B4,B5を取り付けるための取付部113,114を備えている。帯状体B4が取り付けられた雄部材110の第1片部115は、雌部材112の差し込み部116に挿入される。また雄部材110の第2片部117は、撓んだ状態で雌部材112の表面をスライドする。そして、受け入れ終了位置における撓み戻しにより、第2片部117に形成された係合部118と雌部材112の被係合部(図示略)とが係合されて、第2片部117が雌部材112の表面に固定される。このため、雄部材の差し込み部全体を雌部材に挿入する従来構成のバックルに比べ、第2片部117の厚み分だけ、雌部材112の高さ方向における小型化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−160687号公報
【特許文献2】特開2009−285042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に記載されたバックルの雌部材112は、高さ方向の小型化を実現することができるが、最近では、その幅方向においても小型化が要請されている。特に、図11に示すバックルのように、雌部材が、帯状体を交差させて取り付けるための構成を有している場合には、1本分の帯状体を挿通する取付部を複数設けなければならず、その分、雌部材が大型化してしまう。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、雌部材の小型化を図ることができるバックルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、帯状体が取り付けられる雌部材と、第1片部と第2片部とを有し前記第2片部の撓みにより前記第1片部及び前記第2片部の間に前記雌部材の一部を受け入れるように構成された雄部材とからなるバックルであって、前記雌部材は、少なくとも一つの帯状体を挿通した状態で、前記雄部材の前記第1片部を挿入可能なスロット部と、前記雄部材の前記第1片部が前記スロット部に挿入されたときに前記第2片部に設けられた係合部が係合する被係合部とを有することを要旨とする。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、雌部材は、スロット部に帯状体と雄部材の第1片部とを挿入可能であるため、スロット部に挿通された帯状体を雌部材に取り付けるための取付部を、雌部材の側面から張り出すように設ける必要がない。このため、雌部材を幅方向に小型化することができる。また、雌部材は、その一部が、雄部材の第1片部と第2片部との間に受け入られることで雄部材に締結されるため、雄部材の厚さ方向における全体を雌部材に収容する従来構成のバックルに比べ、雌部材を薄型化することができる。従って、雌部材の小型化を図ることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のバックルにおいて、前記雌部材は、前記スロット部に挿通された前記帯状体に対して交差した状態で別の帯状体を挿通する取付部を備えたことを要旨とする。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、雌部材は、スロット部に挿通した帯状体と上記取付部に挿通した帯状体とを交差した状態で固定するため、装身具等に取り付けられた雌部材の位置がずれにくくなり、雄部材を雌部材に対し締結又はリリースしやすくなる。また、この雌部材は、各帯状体を交差させて挿通する構成と、雄部材を締結する構成との両方を具備しているので、例えば装身具等に帯状体を公差させて挿通する部材と雄部材を締結するための部材との両方を設ける必要がなく、部品点数を低減することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のバックルにおいて、前記雌部材は、前記スロット部に前記第1片部及び前記帯状体を挿入する第1の開口と、該第1の開口と平行に設けられ前記帯状体を挿通する第2の開口とを備えたことを要旨とする。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、スロット部は、第1片部及び帯状体を挿通する開口と帯状体を挿通する開口を平行に備えているので、帯状体をスロット部内で曲げることなく挿通することができる。このため、帯状体が挿通された雌部材の薄型化を向上することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のバックルにおいて、前記雌部材は、前記スロット部に前記第1片部及び前記帯状体を挿入可能な開口を複数有することを要旨とする。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、雌部材は、第1片部及び帯状体を挿入可能な開口を複数有するので、雄部材を複数の方向から挿入することができる。このため、バックルの自由度を向上することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のバックルにおいて、前記スロット部の側面には、前記雄部材の前記第1片部をガイドする突条が設けられていることを要旨とする。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、雄部材の第1片部をスロット部に挿入する際に第1片部をガイドする突条が設けられているので、第1片部を位置決めしつつ、スロット部に挿入することができる。このため、雌部材を薄型化することで第1片部を挿入するスロット部の高さが低くなっても、第1片部が帯状体に引っ掛かったりすることなく、第1片部をスロット部に円滑に挿入することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のバックルにおいて、前記第1片部及び前記帯状体を挿入する前記スロット部の側面であって、前記第1片部及び前記帯状体の端面に対向する角部には丸みが設けられていることを要旨とする。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、スロット部の開口側角部に丸みが設けられているので、スロット部に帯状体が挿通されていても、雄部材の第1片部を受け入れやすくすることができる。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載のバックルにおいて、前記スロット部の側面であって前記雄部材を挿入する際に前記第1片部と当接する面のうち該スロット部の開口側に設けられ前記雄部材の挿入方向に向かって傾斜する傾斜面、及び前記雄部材の前記第1片部の先端に設けられ前記雄部材の挿入方向に向かって傾斜する傾斜面のうち少なくとも一方を備えたことを要旨とする。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、上記スロット部の側面の開口側及び前記第1片部の先端の少なくとも一方に傾斜面が設けられているので、前記スロット部の開口側と前記第1片部とを徐々に当接させながら、雄部材を雌部材に挿入することができる。即ち、雄部材が挿入される角度がスロット部の中心軸に対して斜めであっても、雄部材を円滑に挿入することができる。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、前記雌部材は、前記第1片部及び前記帯状体を挿入可能な開口から内側に向かって切り欠かれ、前記雄部材を受け入れるための切欠部を備えるとともに、前記切欠部が形成された端面が、前記切欠部を中心に窪んでいることを要旨とする。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、雌部材には、上記切欠部に向かって窪んだ端面が設けられる。このため、雌部材に雄部材を挿入する際に、雄部材を切欠部の方向へとガイドすることができる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、この発明によれば、雌部材の小型化を図ることができるバックルを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のバックルを具体化した一実施形態であって、チェストストラップを構成する締結状態のバックルの平面図。
【図2】同バックルの雌部材の斜視図。
【図3】(a)は同バックルの側面図、(b)は同バックルの平面図。
【図4】(a)は同バックルの底面図、(b)は横テープを挿通した同バックルの底面図。
【図5】同バックルの雄部材の斜視図。
【図6】同バックルの雄部材の側面図。
【図7】同バックルの底面図。
【図8】(a)は同バックルの雄部材を切欠部に挿入した状態、(b)は雄部材の係合部が傾斜面を摺動した状態、(c)は係合部が雌部材の被係合部に嵌合した状態を示す端面図。
【図9】(a)は同バックルの雌部材の平面図、(b)は雌部材の側面図。
【図10】本発明を具体化した第2実施形態の締結状態のバックルを示す平面図。
【図11】本発明を具体化した別例の締結状態のバックルを示す平面図。
【図12】従来のチェストストラップを構成するバックルを示す平面図。
【図13】従来のバックルを示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1実施形態)
以下、本発明のバックルを、バックパックのチェストストラップを構成するバックルに具体化した一実施形態について、図1〜図8に従って説明する。また、本実施形態のバックルは、雌部材に1対の帯状体を交差させて取り付けるクロスタイプのバックルである。
【0028】
図1に示すように、バックルは、帯状体としての横テープ12及び縦テープ13が交差した状態で取り付けられる雌部材11と、調節テープ14が取り付けられる雄部材15とを備えている。横テープ12は、その長手方向が、ショルダーベルトSの幅方向(短手方向)と平行となるように張設され、その端部がショルダーベルトSに固定されている。縦テープ13は、その長手方向が、ショルダーベルトSの長手方向と平行となるように張設され、その端部がショルダーベルトSに固定されている。縦テープ13は、その長手方向と平行な縁が、ショルダーベルトSに固定されていない状態で張設されており、登山用具等を取り付けるための他の種類のバックル等を固定することができるようになっている。
【0029】
また、雄部材15が固定された調節テープ14は、その一端が、図示しない他方のショルダーベルトに固定されている。そして雄部材15から引き出されるテープ長さを変更することにより、他方のショルダーベルトに固定されたテープ端部から雄部材15までのテープ長さが調節される。さらに、テープ長さが調節された雄部材15を、上記ショルダーベルトSに固定された雌部材11に締結することで、バックパックをユーザの身体にフィットさせるようにしている。
【0030】
次に、雌部材11について説明する。図2に示すように、雌部材11は、偏平状に形成され、平面視においては矩形状をなしている。雌部材11の内側には、横テープ12を挿通するための第1スロット部20が形成されている。第1スロット部20は、雌部材11の右端面11bに開口21を備えている。
【0031】
また、第1スロット部20を構成する開口21側角部には、角R部23が形成されている。開口21側に角R部23を設けることにより、横テープ12及び雄部材15を受け入れやすくしている。
【0032】
また雌部材11は、図3(a)に示すように、左端面11cにも開口22を備えている。この開口22は、右端面11bの開口21に対して平行に設けられている。横テープ12は、各開口21,22を介して第1スロット部20に挿通される。
【0033】
また、図3(b)に示すように、雌部材11は、その両側面に、1対の縦テープ取付部24を備えている。縦テープ取付部24は、雌部材11の側面から略L字状に張り出し形成された第1フック24aと、第1フック24aと同一直線状に設けられた第2フック24bとを備えている。第1フック24a及び第2フック24bと、雌部材11の側壁との間には、縦テープ13を挿通可能な第2スロット部25が設けられている。また、第1フック24a及び第2フック24bとの間には、テープの厚みよりも若干大きい隙間が設けられ、第1フック24a及び第2フック24bの上記隙間側の端面は、傾斜面となっている。この隙間を介して、縦テープ13を縦テープ取付部24の側方から第2スロット部25に挿入することができる。また、第1フック24a及び第2フック24bの端面を傾斜面にすることにより、第2スロット部25に縦テープ13を入れやすくしている。
【0034】
また図4(a)に示すように、第1スロット部20は、底面側開口11eを介して開口している。縦テープ13は、図4(b)に示すように、図中上方に位置する縦テープ取付部24において雌部材11の平面から底面に向かって挿通され、底面側開口11eを閉塞するように雌部材11の底面を横切り、図中下方に位置する縦テープ取付部24において雌部材11の底面から平面に向かって挿通される。
【0035】
また、図2に示すように、雌部材11は、上壁部26に、開口21側から内側に向かって切り欠かれた切欠部27を備えている。切欠部27の終端部には、開口21側に向かって傾斜する傾斜面28が形成されている。さらに、上壁部26の裏面であって、切欠部27の両側には、開口21に向かって拡開する傾斜面29が形成されている。傾斜面29は、雄部材15の挿入方向に向かって傾斜している。さらに、図3(b)に示すように、雌部材11の開口21側の端面11rは、切欠部27を中心として窪んだ曲面になっている。この端面11rは、緩やかな円弧CLに沿って湾曲し、切欠部27の位置で最も窪んでいる。
【0036】
また、上壁部26であって、切欠部27の近傍には、被係合部30が貫通形成されている。切欠部27、傾斜面28及び被係合部30の幅は、ほぼ同一に形成されるとともに、横テープ12の挿通方向(図中Y軸方向)と平行に一列に並んで形成されている。また、上壁部26の裏面であって、被係合部30から切欠部27に向かう方向と反対方向(図中Y軸方向)には、係止突部31が形成されている。
【0037】
図4(a)に示すように、上壁部26の裏面であって係止突部31の両側には、各突条32が形成されている。各突条32は、その長手方向が、横テープ12及び雄部材15の挿入方向(図中Y軸方向)と平行に形成されている。この突条32のうち、第1スロット部20の開口21側の先端には、傾斜面32aが形成されている。
【0038】
次に、雄部材15について説明する。図5に示すように、雄部材15は、調節テープ取付部40を備え、調節テープ取付部40は、第1挿入孔41及び第2挿入孔42を有している。第1挿入孔41及び第2挿入孔42は、雄部材15の上面から下面に向かって貫通形成されている。また、第1挿入孔41のうち、右端面15a側には、雄部材15の下面に向かって傾斜する傾斜面41aが形成されている。
【0039】
調節テープ14は、第1挿入孔41の下部開口から上部開口を通り、第2挿入孔42の上部開口から下部開口に向かって通される。そして、第2挿入孔42から引き出された調節テープ14は、雄部材15の底面側において、第1挿入孔41から引き出された調節テープ14と平行に延ばされる。
【0040】
また、雄部材15は、調節テープ取付部40から延出形成された第1片部51と、第2片部52とを備えている。図6に示すように、第1片部51及び第2片部52は、空間53を介して平行に設けられている。
【0041】
雄部材15は、雌部材11の切欠部27及び上壁部26の一部を空間53に挟んだ状態で、雌部材11に固定される。即ち、雌部材11の第1スロット部20は、横テープ12を挿通した状態で、雄部材の第2片部52を受け入れ可能な高さに形成されている。また、第1片部51は、雌部材11の第1スロット部20に挿入され、第2片部52は雌部材11の上壁部26の表面に固定される。
【0042】
第1片部51は、略平板状に形成され、その先端に、雄部材15の下面に向かって傾斜する傾斜面51aを備えている。即ち、傾斜面51aは、雌部材11への挿入方向に向かって傾斜している。また、図7に示すように、第1片部51は、その中央に貫通孔51bを有している。この第1片部51の長さL1は、図4(a)に示す雌部材11の開口21から、第1スロット部20内に設けられた係止突部31の先端までの長さL2とほぼ同一となっている。また、図7に示す第1片部51の幅W1は、図4(a)に示す各突条32の間の幅W2とほぼ同一となっている。即ち、第1片部51は、第1スロット部20内であって、各突条32の間に挿入され、その先端が係止突部31に当接までスライド可能となっている。
【0043】
第2片部52は、図5に示すように、その上面に凹部55を備えるとともに、先端には上方に反り上がるように形成された操作部56を備えている。この凹部55は、人差し指や親指の指先とほぼ同じ大きさに形成されている。
【0044】
また、図6に示すように、第2片部52の裏面には、略板状の係合部57が突出形成されている。係合部57は、上記空間53の高さよりも小さく形成され、係合部57と第1片部51との間に設けられる隙間の高さは、雌部材11の上壁部26の厚さよりも小さい。係合部57は、図7に示すように、第2片部52の裏面に対し垂直に形成され、第2片部52の幅方向に延びている。また、係合部57のうち操作部56側の側面からは、リブ58が形成されている。
【0045】
(作用)
次に、バックルの作用について説明する。まず図8(a)に示すように、雌部材11の開口21,22を介して第1スロット部20に横テープ12を挿通する。このとき、雌部材11の開口21側には、角R部23が形成されているので、横テープ12を挿通しやすい。また、縦テープ取付部24の第2スロット部25に縦テープ13を相通する。さらに、雄部材15の調節テープ取付部40に調節テープ14を挿通する。
【0046】
さらに横テープ12及び縦テープ13を挿通した雌部材11の開口21と、調節テープ14を挿通した雄部材15の第1片部51の先端とを対向させる。そして雄部材15の第1片部51を、雌部材11の第1スロット部20内であって、横テープ12の上方に挿入する。この際、上記したように、雌部材11の端面11rは、切欠部27を中心として窪んだ曲面となっている。このため、雄部材15を雌部材11に挿入する際に、雄部材15の先端が、切欠部27から逸れて端面11rに押し付けられても、雄部材15を端面11rの横方向に沿って滑らせて、切欠部27の方向へ導くことができる。
【0047】
また、雌部材11の開口側には傾斜面29が設けられ、雄部材15の第1片部51には、傾斜面51aが設けられているため、雄部材15は、第1片部51を雌部材11の傾斜面29に徐々に当接させながら、雌部材11に挿入されていく。即ち、雄部材15が、該雄部材15の第1スロット部20への挿入方向(スロット部20の一方の開口21から他方の開口22へ向かう方向)に対して、上下方向に対し斜めに挿入された場合でも、雄部材15を円滑に挿入することができる。
【0048】
そして第1片部51は、第1スロット部20内に形成された突条32の傾斜面32aから、突条32の間に導かれ、突条32によって挟持されることにより、第1スロット部20内に位置決めされる。また、雌部材11の開口21及び第1スロット部20の高さは、横テープ12の厚みと第1片部51の厚みを加算した長さより若干長く形成されている。このため、第1片部51は、第1スロット部20内に挿通された横テープ12を不要に動かすことなく挿入されていく。また、突条32には、傾斜面32aが形成され、雌部材11の開口21側には、角R部23及び傾斜面29が形成されているので、第1片部51が挿入されやすい。
【0049】
一方、雄部材15の第2片部52は、雌部材11の切欠部27に挿入される。このとき第2片部52の係合部57は、切欠部27の終端に設けられた傾斜面28に当接する。
さらに雄部材15を雌部材11に対して押し込むと、図8(b)に示すように、傾斜面28に当接していた係合部57が傾斜面28を被係合部30に向かって摺動する。またそれに伴い、雄部材15の第2片部52が傾斜面28から反り返るように撓む。このとき、第1片部51は、突条32にガイドされながら雌部材11の上壁部26の裏面をスライドしていく。
【0050】
図8(b)に示す状態から、さらに雄部材15を押圧していくと、雄部材15の係合部57が傾斜面28の頂部まで到達する。そして、係合部57が、雌部材11の被係合部30の位置まで到達すると、図8(c)に示すように、第2片部52の復元力により、係合部57が被係合部30に挿入され、雄部材15が雌部材11に締結される。この係合部57及び被係合部30の係合により、第2片部52を撓ませずに雄部材15を雌部材11から引き抜こうとしても、係合部57と被係合部30との係合により抜出することができない。
【0051】
雌部材11及び雄部材15を締結を解除する場合には、雄部材15の操作部56に対し、雌部材11から離間させる方向の力を加える。例えば操作部56の裏面を指で押して、操作部56を雌部材11から引き離すように押圧する。このような力を加えることによって、雄部材15の第2片部52が反り返るように撓み、雄部材15の係合部57が雌部材11の被係合部30から抜出される。この状態を保持しつつ、雄部材15を雌部材11から離間する方向にスライドさせることにより、締結が解除される。
【0052】
このように雌部材11は、横テープ12を、第1スロット部20に対し、途中で曲げたりすることなく平らに延ばした状態で挿通するので、横テープ12を取り付けるための取付部を雌部材11の下方等に設ける必要がない。また、雄部材15の第1片部51を挿入する第1スロット部20内に、横テープ12を相通する空間を確保しても、横テープ12は1mm程度又はそれ以下の厚さであって薄いため、その空間を設けることで雌部材11が高さ方向に大型化されない。従って、雌部材11を高さ方向だけでなく、横テープ12の取付部の分だけ幅方向に小型化することができる。このため、バックパックのショルダーベルトSの表面からの雌部材11の突出量が小さくなるため、ユーザの手が引っ掛かりにくくするとともに、美観を向上させることができる。さらに、上記したように縦テープ13には、いわゆるD環等のバックルが設けられ、そのバックルに登山用品が取り付けられることがあるため、雌部材11にそれらの登山用品が引っ掛かかりにくくなる。
【0053】
第1実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)第1実施形態では、雌部材11は、上壁部26の一部が、雄部材15の第1片部51と第2片部52との間に受け入られることで雄部材15に締結されるため、雄部材15の差込部の全体を雌部材に収容する従来構成のバックルに比べ、雌部材11を薄型化することができる。また、雌部材11は、第1スロット部20に横テープ12と雄部材15の第1片部51とを挿入可能であるため、横テープ12を雌部材11に取り付けるための取付部を雌部材11から張り出すように設ける必要がない。このため、雌部材11を横テープ12の長手方向と平行な幅方向に小型化することができる。
【0054】
(2)第1実施形態では、雌部材11は、横テープ12及び縦テープ13を交差した状態で固定するため、バックパックのショルダーベルトS上で雌部材11の位置がずれにくくなり、雄部材15を雌部材11に対し締結又はリリースしやすくなる。また、従来構成のクロスタイプの雌部材は、1本分の帯状体を取り付ける取付部をその側面や底面に複数設けているため大型化しやすいが、第1実施形態では、雌部材11の第1スロット部20に横テープ12を挿通するため、薄型化の点で特に効果を発揮することができる。
【0055】
(3)第1実施形態では、第1スロット部20は、横テープ12を挿通する各開口21,22を平行に備えているので、横テープ12を第1スロット部20内で曲げることなく挿通できる。このため、第1スロット部20内の横テープ12の占有空間を必要最小限にすることができる。また、横テープ12は、雌部材11の表面から引き出されず、右端面11b及び左端面11cから引き出されるため、テープをも含めたバックルの高さを低くすることができる。
【0056】
(4)第1実施形態では、第1スロット部20の開口側の角部には、角R部23が設けられているので、横テープ12を受け入れやすくすることができる。また、第1スロット部20に横テープ12が挿通されていても、雄部材15の第1片部51を受け入れやすくすることができる。
【0057】
(5)第1実施形態では、第1スロット部20の側面には、雄部材15の第1片部51を挟持可能な突条32が設けられているので、第1片部51を第1スロット部20内で位置決めしながら挿入することができる。このため、第1片部51を挿入するための空間を必要最小限にすることができる。また、第1片部51を第1スロット部20に挿入する際に、第1スロット部20に挿通された横テープ12がずれたり、撚れたりすることがない。
【0058】
(6)第1実施形態では、雌部材11は、第1スロット部20の上壁部26の裏面に、雄部材15の挿入方向に向かって傾斜した傾斜面29を有している。また、雄部材15の第1片部51の先端には、雄部材15の挿入方向に向かって傾斜した傾斜面51aが設けられている。このため、雄部材15を雌部材11に挿入する際には、第1スロット部20の開口側と第1片部51とを徐々に当接させながら、雄部材15を挿入することができる。即ち、雄部材15が挿入される角度が第1スロット部20の中心軸に対して斜めであっても、雄部材15を円滑に挿入することができる。
【0059】
(7)第1実施形態では、雌部材11には、雄部材15を受け入れる切欠部27を中心に窪んだ端面11rが設けられる。従って、雌部材11に雄部材15を挿入する際に、雄部材15を切欠部27の方向へと導くことができるため、雄部材15を雌部材11に挿入する際の操作性を向上することができる。
【0060】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図9及び図10にしたがって説明する。尚、第2実施形態は、第1実施形態の雌部材の一部を変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0061】
図9(a)に示すように、本実施形態の雌部材11は、被係合部30の両側に、第1実施形態に記載された切欠部27と、左端面11cから切り欠くように形成された切欠部60とを備える。切欠部60は、図中右側の切欠部27と同一形状に形成されている。また、被係合部30から右端面11bまでの距離L3と、被係合部30から左端面11cまでの距離L4は、同一となっている。
【0062】
図9(b)に示すように、雌部材11の左端面11cには、右端面に形成された開口21と同一形状の開口62が形成されている。即ち、この開口62には、横テープ12と、第1実施形態に記載された雄部材15の第1片部51が挿入可能となっている。
【0063】
この雌部材11は、第1実施形態に記載したように切欠部27から雄部材15を挿入可能なだけでなく、図10に示すように、左端面に形成された切欠部60からも雄部材15を挿入可能となっている。即ち、雌部材11は、両側から雄部材15を挿入可能な構成となっている。
【0064】
従って、第2実施形態によれば、第1実施形態の(1)〜(6)に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(7)第2実施形態では、雌部材11は、第1スロット部20に、雄部材15の第1片部51及び横テープ12を挿入可能な開口21,62を備えたので、雄部材15を複数の方向から挿入することができる。このため、バックルの自由度を向上することができる。
【0065】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、雄部材15を雌部材11に対し円滑に挿入するために、雌部材11の傾斜面29及び雄部材15の傾斜面51aの両方を設けたが、いずれか一方だけ設けても、雄部材15を雌部材11に円滑に挿入することができる。
【0066】
・上記実施形態では、本発明のバックルを、クロスタイプのバックルに具体化したが、ストレートタイプのバックルに具体化してもよい。この場合、図11に示すように、雌部材11は、縦テープ取付部24を省略した構成になる。この場合には、横テープ12の幅方向にも雌部材11が小型化することができる。
【0067】
・第2実施形態では、1対の切欠部27,60を設け、被係合部30を1つだけ形成したが、一方の切欠部27に隣接する被係合部30と、他方の切欠部27に隣接する被係合部とを雌部材11に設けるようにしてもよい。
【0068】
・上記各実施形態では、雌部材11の第1スロット部20に横テープ12のみを挿通したが、雌部材11に、第1スロット部20に連通した開口を設け、この開口に縦テープ13を挿通してもよい。この場合、縦テープ取付部24は省略することができる。
【0069】
・上記各実施形態では、バックルを、チェストストラップを構成するバックルに具体化したが、他の装身具等に用いられるバックルに具体化してもよい。
【符号の説明】
【0070】
11…雌部材、11r…端面、12…帯状体としての横テープ、13…帯状体としての縦テープ、15…雄部材、20…第1スロット部、24…縦テープ取付部、21…開口、22…開口、23…角R部、27,60…切欠部、28,29,32a,41a,51a…傾斜面、30…被係合部、32…突条、51…第1片部、52…第2片部、57…係合部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、一方の帯状体が取り付けられた雄部材を、他方の帯状体が取り付けられた雌部材に締結させることで、各帯状体を接続するバックルに関する。
【背景技術】
【0002】
鞄やバックパック等の装身具や、衣類等には、複数の帯状体を接続するためのバックルが設けられている。例えば、バックパックには、バックパックをユーザの身体にフィットさせる等の目的で、胸部を横切るように張設されるチェストストラップ等が設けられている。
【0003】
このチェストストラップの一例として、特許文献1には、図12に示すような構成のものが記載されている。このチェストストップは、一方のショルダーベルトSに取り付けられた帯状体B1,B2と、該帯状体B1,B2を交差させて取り付けるクロスタイプの雌バックル101と、他方のショルダーベルトSに取り付けられた帯状体B3と、該帯状体B3に取り付けられた雄バックル102とから構成されている。雌バックル101及び雄バックル102は樹脂からなり、雄バックル102の差込脚部103を撓ませながら雌バックル101の本体104に設けられた入込開口104aに差し込んで係合させることで、雄バックル102と雄バックル102とを接続する。雌バックル101は、縦に延びる帯状体B1を通す通し部105と、横に延びる帯状体B2を通す通し部106とを備えている。尚、この雌バックルの構成としては、クロスタイプの他に、1本の帯状体のみを取り付け可能なストレートタイプもある。
【0004】
このバックルは、雌バックル101が、雄バックル102の差込脚部103全体を受け入れる構成であるため、雌バックル101の本体104の厚さを差込脚部103以上の厚さにする必要があった。また、クロスタイプの雌バックル101では、本体104の下方に通し部106が設けられるため、雌バックル全体が厚さ方向に大型化していた。このため、バックルの雌部材に対しては、軽量化、美観の向上等を目的として、小型化が要請されている。
【0005】
これに対し、特許文献2では、図13に示すように、第1片部115と第2片部117とを有する雄部材110と、第1片部115を受け入れる雌部材112とを備えたバックルが記載されている。雄部材110及び雌部材112は、その端部に、帯状体B4,B5を取り付けるための取付部113,114を備えている。帯状体B4が取り付けられた雄部材110の第1片部115は、雌部材112の差し込み部116に挿入される。また雄部材110の第2片部117は、撓んだ状態で雌部材112の表面をスライドする。そして、受け入れ終了位置における撓み戻しにより、第2片部117に形成された係合部118と雌部材112の被係合部(図示略)とが係合されて、第2片部117が雌部材112の表面に固定される。このため、雄部材の差し込み部全体を雌部材に挿入する従来構成のバックルに比べ、第2片部117の厚み分だけ、雌部材112の高さ方向における小型化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−160687号公報
【特許文献2】特開2009−285042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に記載されたバックルの雌部材112は、高さ方向の小型化を実現することができるが、最近では、その幅方向においても小型化が要請されている。特に、図11に示すバックルのように、雌部材が、帯状体を交差させて取り付けるための構成を有している場合には、1本分の帯状体を挿通する取付部を複数設けなければならず、その分、雌部材が大型化してしまう。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、雌部材の小型化を図ることができるバックルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、帯状体が取り付けられる雌部材と、第1片部と第2片部とを有し前記第2片部の撓みにより前記第1片部及び前記第2片部の間に前記雌部材の一部を受け入れるように構成された雄部材とからなるバックルであって、前記雌部材は、少なくとも一つの帯状体を挿通した状態で、前記雄部材の前記第1片部を挿入可能なスロット部と、前記雄部材の前記第1片部が前記スロット部に挿入されたときに前記第2片部に設けられた係合部が係合する被係合部とを有することを要旨とする。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、雌部材は、スロット部に帯状体と雄部材の第1片部とを挿入可能であるため、スロット部に挿通された帯状体を雌部材に取り付けるための取付部を、雌部材の側面から張り出すように設ける必要がない。このため、雌部材を幅方向に小型化することができる。また、雌部材は、その一部が、雄部材の第1片部と第2片部との間に受け入られることで雄部材に締結されるため、雄部材の厚さ方向における全体を雌部材に収容する従来構成のバックルに比べ、雌部材を薄型化することができる。従って、雌部材の小型化を図ることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のバックルにおいて、前記雌部材は、前記スロット部に挿通された前記帯状体に対して交差した状態で別の帯状体を挿通する取付部を備えたことを要旨とする。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、雌部材は、スロット部に挿通した帯状体と上記取付部に挿通した帯状体とを交差した状態で固定するため、装身具等に取り付けられた雌部材の位置がずれにくくなり、雄部材を雌部材に対し締結又はリリースしやすくなる。また、この雌部材は、各帯状体を交差させて挿通する構成と、雄部材を締結する構成との両方を具備しているので、例えば装身具等に帯状体を公差させて挿通する部材と雄部材を締結するための部材との両方を設ける必要がなく、部品点数を低減することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のバックルにおいて、前記雌部材は、前記スロット部に前記第1片部及び前記帯状体を挿入する第1の開口と、該第1の開口と平行に設けられ前記帯状体を挿通する第2の開口とを備えたことを要旨とする。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、スロット部は、第1片部及び帯状体を挿通する開口と帯状体を挿通する開口を平行に備えているので、帯状体をスロット部内で曲げることなく挿通することができる。このため、帯状体が挿通された雌部材の薄型化を向上することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のバックルにおいて、前記雌部材は、前記スロット部に前記第1片部及び前記帯状体を挿入可能な開口を複数有することを要旨とする。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、雌部材は、第1片部及び帯状体を挿入可能な開口を複数有するので、雄部材を複数の方向から挿入することができる。このため、バックルの自由度を向上することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のバックルにおいて、前記スロット部の側面には、前記雄部材の前記第1片部をガイドする突条が設けられていることを要旨とする。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、雄部材の第1片部をスロット部に挿入する際に第1片部をガイドする突条が設けられているので、第1片部を位置決めしつつ、スロット部に挿入することができる。このため、雌部材を薄型化することで第1片部を挿入するスロット部の高さが低くなっても、第1片部が帯状体に引っ掛かったりすることなく、第1片部をスロット部に円滑に挿入することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のバックルにおいて、前記第1片部及び前記帯状体を挿入する前記スロット部の側面であって、前記第1片部及び前記帯状体の端面に対向する角部には丸みが設けられていることを要旨とする。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、スロット部の開口側角部に丸みが設けられているので、スロット部に帯状体が挿通されていても、雄部材の第1片部を受け入れやすくすることができる。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載のバックルにおいて、前記スロット部の側面であって前記雄部材を挿入する際に前記第1片部と当接する面のうち該スロット部の開口側に設けられ前記雄部材の挿入方向に向かって傾斜する傾斜面、及び前記雄部材の前記第1片部の先端に設けられ前記雄部材の挿入方向に向かって傾斜する傾斜面のうち少なくとも一方を備えたことを要旨とする。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、上記スロット部の側面の開口側及び前記第1片部の先端の少なくとも一方に傾斜面が設けられているので、前記スロット部の開口側と前記第1片部とを徐々に当接させながら、雄部材を雌部材に挿入することができる。即ち、雄部材が挿入される角度がスロット部の中心軸に対して斜めであっても、雄部材を円滑に挿入することができる。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、前記雌部材は、前記第1片部及び前記帯状体を挿入可能な開口から内側に向かって切り欠かれ、前記雄部材を受け入れるための切欠部を備えるとともに、前記切欠部が形成された端面が、前記切欠部を中心に窪んでいることを要旨とする。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、雌部材には、上記切欠部に向かって窪んだ端面が設けられる。このため、雌部材に雄部材を挿入する際に、雄部材を切欠部の方向へとガイドすることができる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、この発明によれば、雌部材の小型化を図ることができるバックルを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のバックルを具体化した一実施形態であって、チェストストラップを構成する締結状態のバックルの平面図。
【図2】同バックルの雌部材の斜視図。
【図3】(a)は同バックルの側面図、(b)は同バックルの平面図。
【図4】(a)は同バックルの底面図、(b)は横テープを挿通した同バックルの底面図。
【図5】同バックルの雄部材の斜視図。
【図6】同バックルの雄部材の側面図。
【図7】同バックルの底面図。
【図8】(a)は同バックルの雄部材を切欠部に挿入した状態、(b)は雄部材の係合部が傾斜面を摺動した状態、(c)は係合部が雌部材の被係合部に嵌合した状態を示す端面図。
【図9】(a)は同バックルの雌部材の平面図、(b)は雌部材の側面図。
【図10】本発明を具体化した第2実施形態の締結状態のバックルを示す平面図。
【図11】本発明を具体化した別例の締結状態のバックルを示す平面図。
【図12】従来のチェストストラップを構成するバックルを示す平面図。
【図13】従来のバックルを示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1実施形態)
以下、本発明のバックルを、バックパックのチェストストラップを構成するバックルに具体化した一実施形態について、図1〜図8に従って説明する。また、本実施形態のバックルは、雌部材に1対の帯状体を交差させて取り付けるクロスタイプのバックルである。
【0028】
図1に示すように、バックルは、帯状体としての横テープ12及び縦テープ13が交差した状態で取り付けられる雌部材11と、調節テープ14が取り付けられる雄部材15とを備えている。横テープ12は、その長手方向が、ショルダーベルトSの幅方向(短手方向)と平行となるように張設され、その端部がショルダーベルトSに固定されている。縦テープ13は、その長手方向が、ショルダーベルトSの長手方向と平行となるように張設され、その端部がショルダーベルトSに固定されている。縦テープ13は、その長手方向と平行な縁が、ショルダーベルトSに固定されていない状態で張設されており、登山用具等を取り付けるための他の種類のバックル等を固定することができるようになっている。
【0029】
また、雄部材15が固定された調節テープ14は、その一端が、図示しない他方のショルダーベルトに固定されている。そして雄部材15から引き出されるテープ長さを変更することにより、他方のショルダーベルトに固定されたテープ端部から雄部材15までのテープ長さが調節される。さらに、テープ長さが調節された雄部材15を、上記ショルダーベルトSに固定された雌部材11に締結することで、バックパックをユーザの身体にフィットさせるようにしている。
【0030】
次に、雌部材11について説明する。図2に示すように、雌部材11は、偏平状に形成され、平面視においては矩形状をなしている。雌部材11の内側には、横テープ12を挿通するための第1スロット部20が形成されている。第1スロット部20は、雌部材11の右端面11bに開口21を備えている。
【0031】
また、第1スロット部20を構成する開口21側角部には、角R部23が形成されている。開口21側に角R部23を設けることにより、横テープ12及び雄部材15を受け入れやすくしている。
【0032】
また雌部材11は、図3(a)に示すように、左端面11cにも開口22を備えている。この開口22は、右端面11bの開口21に対して平行に設けられている。横テープ12は、各開口21,22を介して第1スロット部20に挿通される。
【0033】
また、図3(b)に示すように、雌部材11は、その両側面に、1対の縦テープ取付部24を備えている。縦テープ取付部24は、雌部材11の側面から略L字状に張り出し形成された第1フック24aと、第1フック24aと同一直線状に設けられた第2フック24bとを備えている。第1フック24a及び第2フック24bと、雌部材11の側壁との間には、縦テープ13を挿通可能な第2スロット部25が設けられている。また、第1フック24a及び第2フック24bとの間には、テープの厚みよりも若干大きい隙間が設けられ、第1フック24a及び第2フック24bの上記隙間側の端面は、傾斜面となっている。この隙間を介して、縦テープ13を縦テープ取付部24の側方から第2スロット部25に挿入することができる。また、第1フック24a及び第2フック24bの端面を傾斜面にすることにより、第2スロット部25に縦テープ13を入れやすくしている。
【0034】
また図4(a)に示すように、第1スロット部20は、底面側開口11eを介して開口している。縦テープ13は、図4(b)に示すように、図中上方に位置する縦テープ取付部24において雌部材11の平面から底面に向かって挿通され、底面側開口11eを閉塞するように雌部材11の底面を横切り、図中下方に位置する縦テープ取付部24において雌部材11の底面から平面に向かって挿通される。
【0035】
また、図2に示すように、雌部材11は、上壁部26に、開口21側から内側に向かって切り欠かれた切欠部27を備えている。切欠部27の終端部には、開口21側に向かって傾斜する傾斜面28が形成されている。さらに、上壁部26の裏面であって、切欠部27の両側には、開口21に向かって拡開する傾斜面29が形成されている。傾斜面29は、雄部材15の挿入方向に向かって傾斜している。さらに、図3(b)に示すように、雌部材11の開口21側の端面11rは、切欠部27を中心として窪んだ曲面になっている。この端面11rは、緩やかな円弧CLに沿って湾曲し、切欠部27の位置で最も窪んでいる。
【0036】
また、上壁部26であって、切欠部27の近傍には、被係合部30が貫通形成されている。切欠部27、傾斜面28及び被係合部30の幅は、ほぼ同一に形成されるとともに、横テープ12の挿通方向(図中Y軸方向)と平行に一列に並んで形成されている。また、上壁部26の裏面であって、被係合部30から切欠部27に向かう方向と反対方向(図中Y軸方向)には、係止突部31が形成されている。
【0037】
図4(a)に示すように、上壁部26の裏面であって係止突部31の両側には、各突条32が形成されている。各突条32は、その長手方向が、横テープ12及び雄部材15の挿入方向(図中Y軸方向)と平行に形成されている。この突条32のうち、第1スロット部20の開口21側の先端には、傾斜面32aが形成されている。
【0038】
次に、雄部材15について説明する。図5に示すように、雄部材15は、調節テープ取付部40を備え、調節テープ取付部40は、第1挿入孔41及び第2挿入孔42を有している。第1挿入孔41及び第2挿入孔42は、雄部材15の上面から下面に向かって貫通形成されている。また、第1挿入孔41のうち、右端面15a側には、雄部材15の下面に向かって傾斜する傾斜面41aが形成されている。
【0039】
調節テープ14は、第1挿入孔41の下部開口から上部開口を通り、第2挿入孔42の上部開口から下部開口に向かって通される。そして、第2挿入孔42から引き出された調節テープ14は、雄部材15の底面側において、第1挿入孔41から引き出された調節テープ14と平行に延ばされる。
【0040】
また、雄部材15は、調節テープ取付部40から延出形成された第1片部51と、第2片部52とを備えている。図6に示すように、第1片部51及び第2片部52は、空間53を介して平行に設けられている。
【0041】
雄部材15は、雌部材11の切欠部27及び上壁部26の一部を空間53に挟んだ状態で、雌部材11に固定される。即ち、雌部材11の第1スロット部20は、横テープ12を挿通した状態で、雄部材の第2片部52を受け入れ可能な高さに形成されている。また、第1片部51は、雌部材11の第1スロット部20に挿入され、第2片部52は雌部材11の上壁部26の表面に固定される。
【0042】
第1片部51は、略平板状に形成され、その先端に、雄部材15の下面に向かって傾斜する傾斜面51aを備えている。即ち、傾斜面51aは、雌部材11への挿入方向に向かって傾斜している。また、図7に示すように、第1片部51は、その中央に貫通孔51bを有している。この第1片部51の長さL1は、図4(a)に示す雌部材11の開口21から、第1スロット部20内に設けられた係止突部31の先端までの長さL2とほぼ同一となっている。また、図7に示す第1片部51の幅W1は、図4(a)に示す各突条32の間の幅W2とほぼ同一となっている。即ち、第1片部51は、第1スロット部20内であって、各突条32の間に挿入され、その先端が係止突部31に当接までスライド可能となっている。
【0043】
第2片部52は、図5に示すように、その上面に凹部55を備えるとともに、先端には上方に反り上がるように形成された操作部56を備えている。この凹部55は、人差し指や親指の指先とほぼ同じ大きさに形成されている。
【0044】
また、図6に示すように、第2片部52の裏面には、略板状の係合部57が突出形成されている。係合部57は、上記空間53の高さよりも小さく形成され、係合部57と第1片部51との間に設けられる隙間の高さは、雌部材11の上壁部26の厚さよりも小さい。係合部57は、図7に示すように、第2片部52の裏面に対し垂直に形成され、第2片部52の幅方向に延びている。また、係合部57のうち操作部56側の側面からは、リブ58が形成されている。
【0045】
(作用)
次に、バックルの作用について説明する。まず図8(a)に示すように、雌部材11の開口21,22を介して第1スロット部20に横テープ12を挿通する。このとき、雌部材11の開口21側には、角R部23が形成されているので、横テープ12を挿通しやすい。また、縦テープ取付部24の第2スロット部25に縦テープ13を相通する。さらに、雄部材15の調節テープ取付部40に調節テープ14を挿通する。
【0046】
さらに横テープ12及び縦テープ13を挿通した雌部材11の開口21と、調節テープ14を挿通した雄部材15の第1片部51の先端とを対向させる。そして雄部材15の第1片部51を、雌部材11の第1スロット部20内であって、横テープ12の上方に挿入する。この際、上記したように、雌部材11の端面11rは、切欠部27を中心として窪んだ曲面となっている。このため、雄部材15を雌部材11に挿入する際に、雄部材15の先端が、切欠部27から逸れて端面11rに押し付けられても、雄部材15を端面11rの横方向に沿って滑らせて、切欠部27の方向へ導くことができる。
【0047】
また、雌部材11の開口側には傾斜面29が設けられ、雄部材15の第1片部51には、傾斜面51aが設けられているため、雄部材15は、第1片部51を雌部材11の傾斜面29に徐々に当接させながら、雌部材11に挿入されていく。即ち、雄部材15が、該雄部材15の第1スロット部20への挿入方向(スロット部20の一方の開口21から他方の開口22へ向かう方向)に対して、上下方向に対し斜めに挿入された場合でも、雄部材15を円滑に挿入することができる。
【0048】
そして第1片部51は、第1スロット部20内に形成された突条32の傾斜面32aから、突条32の間に導かれ、突条32によって挟持されることにより、第1スロット部20内に位置決めされる。また、雌部材11の開口21及び第1スロット部20の高さは、横テープ12の厚みと第1片部51の厚みを加算した長さより若干長く形成されている。このため、第1片部51は、第1スロット部20内に挿通された横テープ12を不要に動かすことなく挿入されていく。また、突条32には、傾斜面32aが形成され、雌部材11の開口21側には、角R部23及び傾斜面29が形成されているので、第1片部51が挿入されやすい。
【0049】
一方、雄部材15の第2片部52は、雌部材11の切欠部27に挿入される。このとき第2片部52の係合部57は、切欠部27の終端に設けられた傾斜面28に当接する。
さらに雄部材15を雌部材11に対して押し込むと、図8(b)に示すように、傾斜面28に当接していた係合部57が傾斜面28を被係合部30に向かって摺動する。またそれに伴い、雄部材15の第2片部52が傾斜面28から反り返るように撓む。このとき、第1片部51は、突条32にガイドされながら雌部材11の上壁部26の裏面をスライドしていく。
【0050】
図8(b)に示す状態から、さらに雄部材15を押圧していくと、雄部材15の係合部57が傾斜面28の頂部まで到達する。そして、係合部57が、雌部材11の被係合部30の位置まで到達すると、図8(c)に示すように、第2片部52の復元力により、係合部57が被係合部30に挿入され、雄部材15が雌部材11に締結される。この係合部57及び被係合部30の係合により、第2片部52を撓ませずに雄部材15を雌部材11から引き抜こうとしても、係合部57と被係合部30との係合により抜出することができない。
【0051】
雌部材11及び雄部材15を締結を解除する場合には、雄部材15の操作部56に対し、雌部材11から離間させる方向の力を加える。例えば操作部56の裏面を指で押して、操作部56を雌部材11から引き離すように押圧する。このような力を加えることによって、雄部材15の第2片部52が反り返るように撓み、雄部材15の係合部57が雌部材11の被係合部30から抜出される。この状態を保持しつつ、雄部材15を雌部材11から離間する方向にスライドさせることにより、締結が解除される。
【0052】
このように雌部材11は、横テープ12を、第1スロット部20に対し、途中で曲げたりすることなく平らに延ばした状態で挿通するので、横テープ12を取り付けるための取付部を雌部材11の下方等に設ける必要がない。また、雄部材15の第1片部51を挿入する第1スロット部20内に、横テープ12を相通する空間を確保しても、横テープ12は1mm程度又はそれ以下の厚さであって薄いため、その空間を設けることで雌部材11が高さ方向に大型化されない。従って、雌部材11を高さ方向だけでなく、横テープ12の取付部の分だけ幅方向に小型化することができる。このため、バックパックのショルダーベルトSの表面からの雌部材11の突出量が小さくなるため、ユーザの手が引っ掛かりにくくするとともに、美観を向上させることができる。さらに、上記したように縦テープ13には、いわゆるD環等のバックルが設けられ、そのバックルに登山用品が取り付けられることがあるため、雌部材11にそれらの登山用品が引っ掛かかりにくくなる。
【0053】
第1実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)第1実施形態では、雌部材11は、上壁部26の一部が、雄部材15の第1片部51と第2片部52との間に受け入られることで雄部材15に締結されるため、雄部材15の差込部の全体を雌部材に収容する従来構成のバックルに比べ、雌部材11を薄型化することができる。また、雌部材11は、第1スロット部20に横テープ12と雄部材15の第1片部51とを挿入可能であるため、横テープ12を雌部材11に取り付けるための取付部を雌部材11から張り出すように設ける必要がない。このため、雌部材11を横テープ12の長手方向と平行な幅方向に小型化することができる。
【0054】
(2)第1実施形態では、雌部材11は、横テープ12及び縦テープ13を交差した状態で固定するため、バックパックのショルダーベルトS上で雌部材11の位置がずれにくくなり、雄部材15を雌部材11に対し締結又はリリースしやすくなる。また、従来構成のクロスタイプの雌部材は、1本分の帯状体を取り付ける取付部をその側面や底面に複数設けているため大型化しやすいが、第1実施形態では、雌部材11の第1スロット部20に横テープ12を挿通するため、薄型化の点で特に効果を発揮することができる。
【0055】
(3)第1実施形態では、第1スロット部20は、横テープ12を挿通する各開口21,22を平行に備えているので、横テープ12を第1スロット部20内で曲げることなく挿通できる。このため、第1スロット部20内の横テープ12の占有空間を必要最小限にすることができる。また、横テープ12は、雌部材11の表面から引き出されず、右端面11b及び左端面11cから引き出されるため、テープをも含めたバックルの高さを低くすることができる。
【0056】
(4)第1実施形態では、第1スロット部20の開口側の角部には、角R部23が設けられているので、横テープ12を受け入れやすくすることができる。また、第1スロット部20に横テープ12が挿通されていても、雄部材15の第1片部51を受け入れやすくすることができる。
【0057】
(5)第1実施形態では、第1スロット部20の側面には、雄部材15の第1片部51を挟持可能な突条32が設けられているので、第1片部51を第1スロット部20内で位置決めしながら挿入することができる。このため、第1片部51を挿入するための空間を必要最小限にすることができる。また、第1片部51を第1スロット部20に挿入する際に、第1スロット部20に挿通された横テープ12がずれたり、撚れたりすることがない。
【0058】
(6)第1実施形態では、雌部材11は、第1スロット部20の上壁部26の裏面に、雄部材15の挿入方向に向かって傾斜した傾斜面29を有している。また、雄部材15の第1片部51の先端には、雄部材15の挿入方向に向かって傾斜した傾斜面51aが設けられている。このため、雄部材15を雌部材11に挿入する際には、第1スロット部20の開口側と第1片部51とを徐々に当接させながら、雄部材15を挿入することができる。即ち、雄部材15が挿入される角度が第1スロット部20の中心軸に対して斜めであっても、雄部材15を円滑に挿入することができる。
【0059】
(7)第1実施形態では、雌部材11には、雄部材15を受け入れる切欠部27を中心に窪んだ端面11rが設けられる。従って、雌部材11に雄部材15を挿入する際に、雄部材15を切欠部27の方向へと導くことができるため、雄部材15を雌部材11に挿入する際の操作性を向上することができる。
【0060】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図9及び図10にしたがって説明する。尚、第2実施形態は、第1実施形態の雌部材の一部を変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0061】
図9(a)に示すように、本実施形態の雌部材11は、被係合部30の両側に、第1実施形態に記載された切欠部27と、左端面11cから切り欠くように形成された切欠部60とを備える。切欠部60は、図中右側の切欠部27と同一形状に形成されている。また、被係合部30から右端面11bまでの距離L3と、被係合部30から左端面11cまでの距離L4は、同一となっている。
【0062】
図9(b)に示すように、雌部材11の左端面11cには、右端面に形成された開口21と同一形状の開口62が形成されている。即ち、この開口62には、横テープ12と、第1実施形態に記載された雄部材15の第1片部51が挿入可能となっている。
【0063】
この雌部材11は、第1実施形態に記載したように切欠部27から雄部材15を挿入可能なだけでなく、図10に示すように、左端面に形成された切欠部60からも雄部材15を挿入可能となっている。即ち、雌部材11は、両側から雄部材15を挿入可能な構成となっている。
【0064】
従って、第2実施形態によれば、第1実施形態の(1)〜(6)に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(7)第2実施形態では、雌部材11は、第1スロット部20に、雄部材15の第1片部51及び横テープ12を挿入可能な開口21,62を備えたので、雄部材15を複数の方向から挿入することができる。このため、バックルの自由度を向上することができる。
【0065】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、雄部材15を雌部材11に対し円滑に挿入するために、雌部材11の傾斜面29及び雄部材15の傾斜面51aの両方を設けたが、いずれか一方だけ設けても、雄部材15を雌部材11に円滑に挿入することができる。
【0066】
・上記実施形態では、本発明のバックルを、クロスタイプのバックルに具体化したが、ストレートタイプのバックルに具体化してもよい。この場合、図11に示すように、雌部材11は、縦テープ取付部24を省略した構成になる。この場合には、横テープ12の幅方向にも雌部材11が小型化することができる。
【0067】
・第2実施形態では、1対の切欠部27,60を設け、被係合部30を1つだけ形成したが、一方の切欠部27に隣接する被係合部30と、他方の切欠部27に隣接する被係合部とを雌部材11に設けるようにしてもよい。
【0068】
・上記各実施形態では、雌部材11の第1スロット部20に横テープ12のみを挿通したが、雌部材11に、第1スロット部20に連通した開口を設け、この開口に縦テープ13を挿通してもよい。この場合、縦テープ取付部24は省略することができる。
【0069】
・上記各実施形態では、バックルを、チェストストラップを構成するバックルに具体化したが、他の装身具等に用いられるバックルに具体化してもよい。
【符号の説明】
【0070】
11…雌部材、11r…端面、12…帯状体としての横テープ、13…帯状体としての縦テープ、15…雄部材、20…第1スロット部、24…縦テープ取付部、21…開口、22…開口、23…角R部、27,60…切欠部、28,29,32a,41a,51a…傾斜面、30…被係合部、32…突条、51…第1片部、52…第2片部、57…係合部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状体が取り付けられる雌部材と、
第1片部と第2片部とを有し前記第2片部の撓みにより前記第1片部及び前記第2片部の間に前記雌部材の一部を受け入れるように構成された雄部材とからなるバックルであって、
前記雌部材は、
少なくとも一つの帯状体を挿通した状態で、前記雄部材の前記第1片部を挿入可能なスロット部と、
前記雄部材の前記第1片部が前記スロット部に挿入されたときに前記第2片部に設けられた係合部が係合する被係合部とを有することを特徴とするバックル。
【請求項2】
前記雌部材は、
前記スロット部に挿通された前記帯状体に対して交差した状態で別の帯状体を挿通する取付部を備えた請求項1に記載のバックル。
【請求項3】
前記雌部材は、
前記スロット部に前記第1片部及び前記帯状体を挿入する第1の開口と、該第1の開口と平行に設けられ前記帯状体を挿通する第2の開口とを備えた請求項1又は2に記載のバックル。
【請求項4】
前記雌部材は、
前記スロット部に前記第1片部及び前記帯状体を挿入可能な開口を複数有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のバックル。
【請求項5】
前記スロット部の側面には、前記雄部材の前記第1片部をガイドする突条が設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載のバックル。
【請求項6】
前記第1片部及び前記帯状体を挿入する前記スロット部の側面であって、前記第1片部及び前記帯状体の端面に対向する角部には丸みが設けられている請求項1〜5のいずれか1項に記載のバックル。
【請求項7】
前記スロット部の側面であって前記雄部材を挿入する際に前記第1片部と当接する面のうち該スロット部の開口側に設けられ前記雄部材の挿入方向に向かって傾斜する傾斜面、及び前記雄部材の前記第1片部の先端に設けられ前記雄部材の挿入方向に向かって傾斜する傾斜面のうち少なくとも一方を備えた請求項1〜6のいずれか1項に記載のバックル。
【請求項8】
前記雌部材は、
前記第1片部及び前記帯状体を挿入可能な開口から内側に向かって切り欠かれ、前記雄部材を受け入れるための切欠部を備えるとともに、前記切欠部が形成された端面が、前記切欠部を中心に窪んでいる請求項1〜7のいずれか1項に記載のバックル。
【請求項1】
帯状体が取り付けられる雌部材と、
第1片部と第2片部とを有し前記第2片部の撓みにより前記第1片部及び前記第2片部の間に前記雌部材の一部を受け入れるように構成された雄部材とからなるバックルであって、
前記雌部材は、
少なくとも一つの帯状体を挿通した状態で、前記雄部材の前記第1片部を挿入可能なスロット部と、
前記雄部材の前記第1片部が前記スロット部に挿入されたときに前記第2片部に設けられた係合部が係合する被係合部とを有することを特徴とするバックル。
【請求項2】
前記雌部材は、
前記スロット部に挿通された前記帯状体に対して交差した状態で別の帯状体を挿通する取付部を備えた請求項1に記載のバックル。
【請求項3】
前記雌部材は、
前記スロット部に前記第1片部及び前記帯状体を挿入する第1の開口と、該第1の開口と平行に設けられ前記帯状体を挿通する第2の開口とを備えた請求項1又は2に記載のバックル。
【請求項4】
前記雌部材は、
前記スロット部に前記第1片部及び前記帯状体を挿入可能な開口を複数有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のバックル。
【請求項5】
前記スロット部の側面には、前記雄部材の前記第1片部をガイドする突条が設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載のバックル。
【請求項6】
前記第1片部及び前記帯状体を挿入する前記スロット部の側面であって、前記第1片部及び前記帯状体の端面に対向する角部には丸みが設けられている請求項1〜5のいずれか1項に記載のバックル。
【請求項7】
前記スロット部の側面であって前記雄部材を挿入する際に前記第1片部と当接する面のうち該スロット部の開口側に設けられ前記雄部材の挿入方向に向かって傾斜する傾斜面、及び前記雄部材の前記第1片部の先端に設けられ前記雄部材の挿入方向に向かって傾斜する傾斜面のうち少なくとも一方を備えた請求項1〜6のいずれか1項に記載のバックル。
【請求項8】
前記雌部材は、
前記第1片部及び前記帯状体を挿入可能な開口から内側に向かって切り欠かれ、前記雄部材を受け入れるための切欠部を備えるとともに、前記切欠部が形成された端面が、前記切欠部を中心に窪んでいる請求項1〜7のいずれか1項に記載のバックル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−210343(P2012−210343A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77740(P2011−77740)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]