説明

バック兼用ベビーシート

【課題】ベビーシートを、乳児を抱えながらあるいは重い荷物を持ちながらでも片手でバックを容易に変化可能で、かつ携行時の負担を少なくするよう軽量化したバック兼用ベビーシートを提供する。
【解決手段】角丸長方形の平面状の可撓性の素材のシート1に、シートの周囲に紐を通す穴2d、2e、2fとその穴に通すループ状に形成した紐状体3とで構成する。このバック兼用ベビーシートを平面状に広げた状態で引き手口近くの持ち手部5の紐状体を掴みあげ一気に引き上げると、長手方向がバック側辺部として機能し、引き手口の間の紐状体が持ち手として機能しバッグとして使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一つのベビーシートをいろいろな使用目的に合わせてシート状の物を袋状の物に変化させることが出来るバック兼用ベビーシートに関する。
【背景技術】
【0002】
これまで乳児を連れて出かけたりすると、急きょおむつ替えなど乳児を寝かせての作業が発生することがあり、そのためのシートや必要品を携行袋等にいれ持ち運びする必要があった。また、一人の場合は、その処理後、乳児を抱いて行なう片手作業となるなど非常に不便で安全性に欠く行為とならざるを得なかった。そこでこれら荷物をできるだけ効率よく片付け運搬するために特許文献1から6に示したようにシートにもバックになるものが、提案されている。しかし、特許文献1から4においては、シートとしての利便性は高いものの重量や嵩が大きく運搬には不便であった。また、特許文献5または6などのように折畳みできるものでも、片手で容易にバック形状にできなかったり、さらに特許文献6のように底板を使用しているため重さや保管時の対応が必要、円形のためベビーシートとして利用した場合無駄な部分を生じるなど改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】公開実用新案公報 平1−139727
【特許文献2】公開実用新案公報 実開平7−17118
【特許文献3】登録実用新案公報 第3037681号
【特許文献4】登録実用新案公報 第3038717号
【特許文献5】公開実用新案公報 昭61−170319
【特許文献6】公開実用新案公報 昭55−127525
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、ベビーシートの機能を有したシートを乳児を抱えながら、あるいは重い荷物を持ちながらでも片手で容易にバックに変形可能でかつ携行時の負担を少なくするよう軽量化したバック兼用ベビーシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、角丸長方形の平面状の布または合成樹脂などの可撓性の素材のシートに、シート周辺部で中心線に対し線対称な位置に紐を通すための複数の穴を設け、その穴に交互に紐状体を通した後、ループ状に閉じて構成されるバック兼用ベビーシートについての ものである。このときシート周辺部に設ける穴は、バック形状としたときに底部となるシート周辺部に少なくとも左右一対の穴とバック形状に変化させるときの紐状体の引き出し口(以後、「引き手口」という。)となる長手方向両端部に設けた一対の穴を含むものとする。なお、引き手口となる一対の穴は、バック形態としたときにほぼ側壁を形成する位置となる。
【0006】
このバック兼用ベビーシートを平面状に広げた状態で、長手方向両端部の一対の引き手口を通っている紐状体部を片手で掴みあげ一気に引き上げると、角丸部位がバックの口部付近の側面を形成し、かつシート方形部位の端部が長手方向にバック側壁を形成し、ほぼ同時に引き手口の幅とバック側壁の厚さに近いバックの底を形成するとともに引き上げた引き手口の間の紐状体が持ち手として機能するようにバックを形成させるものである。また引き手口を基準としてシートを内側に折り曲げ、さらに対称となるように長手方向に折り曲げ、引き手口をまたぐ紐状体を一気に片手で引き上げるようにするとよりきれいに速やかにバック形状を形成させることができる。このようにして、本発明のシートは、底板などの形状保持や重さを得るための材料を不用とし、軽いながらもシートの自重と引き上げる力でバックを形成することが可能となり、極力軽量化を図ることができるものである。
【0007】
特に、前記バック兼用ベビーシートにおいて、紐状体の一部を持ち手として形成させるために通過させる穴の位置を、当該シートの長手方向両端部周辺上でその中央からシート短軸方向の幅の1/4の距離の位置近傍とした場合には、バックを形成させたときにその側壁の高さと開口部までの表面のバランスがより好ましいものとすることができる。
【0008】
さらに、前記バック兼用ベビーシートにおいて、紐状体を通す穴の位置を当該シートの両角丸部周囲の円弧の開始点と円弧の中点と円弧の終了点位置近傍を含むようにすると、引き手口を通過する部分の紐状体を引き上げるときに、最初、力は、円弧の中点と終了点部の穴の存在により紐状体に屈曲ができるのでその摩擦抵抗に対して発生し、そこを基点として紐状体が直線状になろうと作用するため、引き手口から角丸部付近のシートが立ち上がるようになり、それと同時に円弧終了点付近の屈曲が少なくなるので、次に力のかかる基点が底部となる付近の穴に移動し、今度は円弧終了点の付近の屈曲部と底部の間に襞を作るように側壁を形成するようになる。角丸部は、バック口部付近の側面を形成することになるので、バックの口を開閉するときに、一般のバックと同様の感覚で行なうことができるようになる。
【0009】
より好ましくは、ループ状に形成させた紐状体がシートの中心を通る短軸との交点近傍において縫合などにより1点を固定し、紐状体が移動しないような構造とすると、その固定点を基点として均等にバックを形成するように力を作用させることができるので、より容易に片手で均整の取れた形状のバックとすることができるようになる。
【0010】
また、紐状体の引き手口間に、取手を設けたり、開口部に相当する引き手口間のシート本体内面に面ファスナーやホックなどの留め部材を取り付けるとよりバックとしての機能を高めることができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明により、ベビーシートとして使用後両持ち手部分を引き上げるように持ち上げるだけで、乳児を抱えながらあるいは重い荷物を持ちながらでも片手でバックの形状とすることができ、そこに持ち物を簡単に収納し、持ち運びできる軽量化したバック兼用ベビーシートとすることができる。またシートの素材に不要となった繊維製品を用いることができるなど、洗濯が可能で清潔に使用することやリサイクルして環境にやさしくかつ安価な生産が可能となるなど製造面でも有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】バック兼用ベビーシートの展開図。
【図2】バック兼用ベビーシートの使用の状態を示した図。
【図3】バックとして形成させたときの図。
【図4】実施例1及びに比較例2に基きバックとして形成させたときの写真。
【発明を実施するための形態】
【0013】
このバック兼用ベビーシートは、図1に示すようにシート1として広げて使用する場合は、角丸長方形の平面状であり、かつ布、キルトまたは合成樹脂等の可撓性を有し、かつ柔らかく必要に応じて厚みを持った素材よりなるので、敷物やクッション等として使用できるものである。シート1の周囲には江戸紐など自然素材や柔らかめの合成樹脂製の紐状体3をシート周辺に配した穴2に交互に通してループ状に形成させ結ぶか結着具などを用いて1本のループを作り、このシート1の長手方向両端の引き手口2aと2a´、2jと2j´間の部分の紐状体2を軽く一気に引き上げるように持ち上げ、バックを形成させるようにしている。このように形成したバックは、引き手口から引き上げた紐状体が持ち手または肩掛け部となり、手提げバック又は肩掛けバックとして使用することができる。このとき、図示したように持ち手部5に持ちやすいように移動可能な保護部材を取り付けてもよく、また、バック表面や内面にポケットなどの付属物を設けるとより一層利用範囲の広いものとすることができる。特に、バック両側面にバックとしたときの側面と同形状の柔軟性のある付属物を取り付け、重さと外形を保持出来るようにしておくとよりバックとして美観と利便性を高めたものとなる。なお、設ける穴には、鳩目などを利用すると紐の摩擦が一定となりスムーズにバック形状とし易いものとなる。
【0014】
シートに空ける穴の配置は、シートの周辺上に中心線に対し線対称にし、好ましくは均等な間隔とするとバックとしたときの側壁の襞や全体形状の均整が取れたものにし易い。特に、引き手口の穴を長手方向両端部周辺上でその中央からシート短軸方向の幅の1/4の距離の位置近傍として、さらにその穴の位置が角丸部の円弧の開始点近傍の位置に相当していること、さらに次の穴が角丸部の円弧の中点、その次の穴が円弧の終点近傍の位置に設けられていること、それら穴にループ状に形成させた紐状体を交互に通し、併せてシートの長手方向の中央の幅の両端部近傍において一点を縫合した固定点6を設けることにより均整の取れたバック形状を得やすく、そしてワンアクションでバック化することも可能で、非常に容易性の高いものとすることができる。
【0015】
また、長手方向両端部の引き手穴の距離を変えてバックとしたときの開口部を好みの大きさとしたり、ループを形成する紐の長さを結び目などで調節可能とすれば体型に合わせた持ち手長さとすることができるので広範囲のニーズに対応可能となる。そして、内側対面に面ファスナーやホックなどの留め部材4を取り付けることでバックとしての機能をより高めることが出来る。
【0016】
なお、本発明は、以上の内容に限定されるものではない。
【実施例1】
【0017】
図1に示したシート1は、長手方向600mm、幅450mm、重量400gの角丸長方形のキルト材の周囲に10個の約10mmの穴2を開けそれらをハトメ加工したものである。このとき、引き手口となる穴2aと2a´、2jと2j´は長手方向に対しその中央から幅の約1/4の位置で角丸部の円弧の開始点近傍となるようにし、順に円弧部中点2bと2b´、2iと2i´、円弧部終点2cと2c´、2hと2h´に位置するようにした。これら穴に幅10mm、厚み5mmの木綿製の江戸紐3を交互に通し、2aの中央寄りで結びループとした。そして、縫合により紐を長手方向中央付近でキルトシートに固定した。このシートには、シート内側の引き手穴間に面ファスナー4を取り付け、持ち手5には移動可能な保護カバー7を取り付けた。
【0018】
このようにして作製したバック兼用ベビーシートを、持ち手部を片手で軽く引き上げて図3に示したようにバック形態とし、肩掛けバック(図2)として利用することができた。また、引き手口を基準としてシートを内側に折り曲げ、さらに対称となるように長手方向に折り曲げ、持ち手5の部分の紐状体を一気に片手で引き上げるようにするとよりきれいに速やかにバックに形成させることができた(図4(a))。
【実施例2】
【0019】
実施例1のシートにおいて、引き手口の穴2aと2a´、2jと2j´は長手方向に対し中央からその幅の約7/16または約9/16の距離の位置になるようにし、あと実施例1と同様に江戸紐を通しバック兼用ベビーシートを作製し、バックに形成させる操作をしたところバック側壁の襞部と開閉口表面部との境や、全体の形状が僅かに歪がバックとしての機能は問題なく得られた。
【比較例1】
【0020】
直径450mm、重量350gの円形のキルト材の周囲に16個の約10mmの穴を開けそれらをハトメ加工したものに江戸紐を通し、それ以外は、実施例1と同様に作製及び取り扱いを行なってバック形状としたが、角丸長方形の場合に比較し、多くの引き上げ動作を必要とし、またバックの開閉口は、巾着に近いものとなりワンアクションで開閉することは難しかった。
【比較例2】
【0021】
実施例1のシートにおいて、引き手口の穴2aと2a´、2jと2j´は長手方向に対し中央からその幅の約2/16または約5/16の距離の位置になるようにし、あと実施例1と同様に江戸紐を通しバック兼用ベビーシートを作製し、バックに形成させる操作をしたところバック側壁の襞と口部の境が不明瞭で、形がかなりいびつとなりバックとしては使い難いものとなった(図4(b)、(c))。
【符号の説明】
【0022】
1 シート本体
2a 2a´ 2j 2j´ 引き手口
2b 2b´ 2i 2i´ 角丸部の中点付近の穴
2c 2c´ 2h 2h´ 角丸部の終点付近の穴
2d 2d´ 2e 2e´ 2f 2f´ 紐状体を通す穴
3 紐状体
4 留め部材
5 持ち手
6 固定点
7 持ち手の保護カバー
K シートの角丸部
H シートの方形部
S 側面
SW 側壁


【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状の可撓性素材のシートであって、当該シートが角丸長方形でその周辺上に中心線に対し線対称に紐を通す複数の穴を設け、その穴に交互に紐状体を通した後、ループ状に閉じたことを、特徴とするバック兼用ベビーシート。
【請求項2】
請求項1に記載のバック兼用ベビーシートにおいて、紐状体の一部を持ち手として形成させるために通過させる穴の位置を当該シートの長手方向両端部周辺上でその中央からシート短軸方向の幅の1/4の距離の位置近傍としたことを特徴とするバック兼用ベビーシート。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のバック兼用ベビーシートにおいて、紐状体を通す穴の位置が当該シートの両角丸部周囲の円弧の開始点と円弧の中点と円弧の終了点位置近傍を含むことを特徴とするバック兼用ベビーシート。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のバック兼用ベビーシートにおいて、ループ状に形成させた紐状体がシートの中心を通る短軸との交点近傍においてシートに固定したことを特徴とするバック兼用ベビーシート。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−212104(P2011−212104A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81212(P2010−81212)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(310007302)
【Fターム(参考)】