説明

バック層、感熱記録材料及び帳票

【課題】 本発明は、耐水性が良好なバック層、感熱記録材料及び帳票を提供することを目的とする。
【解決手段】 バック層は、分子量が30000以上80000以下であるマレイン酸樹脂を含有する組成物を用いて形成されている。感熱記録材料は、支持体の感熱発色層を有する側の面とは反対側の面に、上記のバック層を有する。帳票は、上記の感熱記録材料のバック層上に、感圧接着剤を含有する擬似接着層を少なくとも有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バック層、感熱記録材料及び帳票に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報記録分野において、各種の記録材料が実用化されている。中でも、感熱記録材料は、加熱プロセスのみによる簡易な画像の記録が可能なこと、必要な装置のメカニズムが簡単でコンパクト化が容易になり、記録材料が取り扱い易く安価であること、記録材料が一成分であること等の利点を有することから、情報処理装置(コンピュータ、パソコン)用プリンター、ファクシミリ、感熱複写機、医療計測用レコーダー、自動券売機、POSシステムのラベル印刷装置、バーコードプリンター、タグ用プリンター等の多岐にわたる分野で用いられている。
【0003】
一方、コンピューターを用いた情報処理技術と物流技術の向上に伴い、帳票用に感熱記録材料が用いられている(特許文献1参照)。しかしながら、このような感熱記録材料に感圧接着剤で擬似接着加工を施して配送票に加工する際に、配送票を冷蔵品や冷凍品に貼りつけて用いると、結露により感熱記録材料が濡れ、配送票を擬似接着面から剥離する際に、感熱記録材料が破れるという問題がある。
【特許文献1】特開昭55−17529号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の従来技術が有する問題に鑑み、耐水性が良好なバック層、感熱記録材料及び帳票を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、バック層において、分子量が30000以上80000以下であるマレイン酸樹脂を含有する組成物を用いて形成されていることを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、分子量が30000以上80000以下であるマレイン酸樹脂を含有する組成物を用いて形成されているので、耐水性が良好なバック層を提供することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のバック層において、前記マレイン酸樹脂は、側鎖に塩を有することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、前記マレイン酸樹脂は、側鎖に塩を有するので、耐水性を向上させることができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のバック層において、前記側鎖に塩を有するマレイン酸樹脂は、少なくともイソブチレン及び無水マレイン酸を共重合させた樹脂のアンモニウム塩であることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、前記側鎖に塩を有するマレイン酸樹脂は、少なくともイソブチレン及び無水マレイン酸を共重合させた樹脂のアンモニウム塩であるので、耐水性を向上させることができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のバック層において、前記組成物は、アクリル樹脂をさらに含有することを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、前記組成物は、アクリル樹脂をさらに含有するので、擬似接着面から安定に剥離することができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のバック層において、前記アクリル樹脂は、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルを共重合させた樹脂であることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、前記アクリル樹脂は、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルを共重合させた樹脂であるので、擬似接着面から安定に剥離することができる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のバック層において、前記組成物は、水酸化アルミニウムをさらに含有することを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、前記組成物は、水酸化アルミニウムをさらに含有するので、UV硬化型インクの印刷適性を向上させることができる。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のバック層において、前記水酸化アルミニウムの平均粒子径は、0.8μm以上2.0μm以下であることを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の発明によれば、前記水酸化アルミニウムの平均粒子径は、0.8μm以上2.0μm以下であるので、UV硬化型インクの結着性及び成膜性を両立させることができる。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のバック層において、紫外線硬化型インクを用いて印刷されていることを特徴とする。
【0020】
請求項8に記載の発明によれば、紫外線硬化型インクを用いて印刷されているので、擬似接着面との疑似接着強度を調整することができる。
【0021】
請求項9に記載の発明は、支持体の一つの面に、少なくとも感熱発色層を有する感熱記録材料において、前記支持体の前記感熱発色層を有する側の面とは反対側の面に、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のバック層を有することを特徴とする。
【0022】
請求項9に記載の発明によれば、前記支持体の前記感熱発色層を有する側の面とは反対側の面に、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のバック層を有するので、耐水性が良好な感熱記録材料を提供することができる。
【0023】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の感熱記録材料において、前記支持体及び前記感熱発色層の間に熱可塑性樹脂からなる中空粒子を含有する中間層を有することを特徴とする。
【0024】
請求項10に記載の発明によれば、前記支持体及び前記感熱発色層の間に熱可塑性樹脂からなる中空粒子を含有する中間層を有するので、断熱性が向上し、感度を向上させることができる。
【0025】
請求項11に記載の発明は、請求項9又は10に記載の感熱記録材料において、前記感熱発色層上に、50℃以上110℃以下の沸点を有するケトンでブロックさたヒドラジン及び50℃以上110℃以下の沸点を有するケトンでブロックさたヒドラジドの少なくとも一方並びにカルボニル基を有するポリビニルアルコールを含有する組成物を用いて形成された保護層を有することを特徴とする。
【0026】
請求項11に記載の発明によれば、前記感熱発色層上に、50℃以上110℃以下の沸点を有するケトンでブロックさたヒドラジン及び50℃以上110℃以下の沸点を有するケトンでブロックさたヒドラジドの少なくとも一方並びにカルボニル基を有するポリビニルアルコールを含有する組成物を用いて形成された保護層を有するので、耐水性及び耐薬品性が良好で、地肌変色が抑制された感熱記録材料を得ることができる。
【0027】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の感熱記録材料において、前記カルボニル基を有するポリビニルアルコールは、モノマーの混合物を共重合することにより得られ、前記モノマーの混合物は、前記カルボニル基を有するモノマーを2モル%以上10モル%以下含有することを特徴とする。
【0028】
請求項12に記載の発明によれば、前記カルボニル基を有するポリビニルアルコールは、モノマーの混合物を共重合することにより得られ、前記モノマーの混合物は、前記カルボニル基を有するモノマーを2モル%以上10モル%以下含有するので、耐久性を向上させることができる。
【0029】
請求項13に記載の発明は、請求項11又は12に記載の感熱記録材料において、前記保護層は、紫外線硬化型インクを用いて印刷されていることを特徴とする。
【0030】
請求項13に記載の発明によれば、前記保護層は、紫外線硬化型インクを用いて印刷されているので、バック層とのブロッキングを抑制することができる。
【0031】
請求項14に記載の発明は、帳票において、請求項9乃至13のいずれか一項に記載の感熱記録材料のバック層上に、感圧接着剤を含有する擬似接着層を少なくとも有することを特徴とする。
【0032】
請求項14に記載の発明によれば、請求項9乃至13のいずれか一項に記載の感熱記録材料のバック層上に、感圧接着剤を含有する擬似接着層を少なくとも有するので、耐水性が良好な帳票を提供することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、耐水性が良好なバック層、感熱記録材料及び帳票を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
次に、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0035】
本発明のバック層は、分子量30000〜80000のマレイン酸樹脂を含有する組成物を用いて形成することで、耐水性が良好なバック層を得ることができる。バック層の形成方法としては、上記のマレイン酸樹脂を含有する塗工液を塗布、乾燥する方法が挙げられる。このようなバック層は、感熱記録材料等の材料に設け、さらにバック層上に感圧接着剤を含有する層を設けることにより、擬似接着加工することができる。なお、マレイン酸樹脂の分子量は、一般的なゲル浸透クロマトグラフィー法(GPC)を用いて測定することができる。
【0036】
本発明において、マレイン酸樹脂は、側鎖に塩を有することが好ましい。このようなマレイン酸樹脂は、無水マレイン酸由来の酸無水物を塩に変換する等の方法により得られる。側鎖に塩を有するマレイン酸樹脂は、少なくともイソブチレン及び無水マレイン酸を共重合させた樹脂のアンモニウム塩であることが好ましく、具体的には、イソブチレン−無水マレイン酸−3−カルバモイル−2−プロペン酸共重合体のアンモニウム塩、イソブチレン−N−フェニルマレイミド−無水マレイン酸共重合体のアンモニウム塩等が挙げられる。
【0037】
本発明において、バック層を形成する組成物は、アクリル樹脂をさらに含有することが好ましい。これにより、バック層を擬似接着面から剥離する際に、低温環境下においても安定に剥離することができる。アクリル樹脂としては、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸エステルを共重合させた樹脂等が挙げられるが、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体であることが好ましい。マレイン酸樹脂に対するアクリル樹脂の重量比は、30〜50%であることが好ましい。
【0038】
本発明において、バック層を形成する組成物は、水酸化アルミニウムをさらに含有することが好ましい。これにより、UV硬化型インクを用いて、バック層に印刷する際の印刷適性が良好になる。水酸化アルミニウムの添加量は、樹脂成分1重量部に対して、0.5〜1.5重量部が適量である。また、水酸化アルミニウムの平均粒子径は、0.8〜2μmであることが好ましい。平均粒子径が0.8μmより小さいと、UV硬化型インクの結着性が悪く、2.0μmより大きいと、バック層の成膜性が低下して、耐薬品性が低下する。なお、水酸化アルミニウムの平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定方法を用いて測定することができる。
【0039】
また、疑似接着強度を調整するために、バック層上の全面又は一部に紫外線硬化型インクを用いて印刷をすることもできる。
【0040】
本発明の感熱記録材料は、支持体の一つの面に、少なくとも感熱発色層を有し、支持体の感熱発色層を有する面とは反対側の面に上記のバック層を形成することで、耐水性が良好な感熱記録材料を得ることができる。
【0041】
本発明において、感熱発色層上に、少なくともカルボニル基を有するポリビニルアルコールと、架橋剤として、沸点が50〜110℃のケトンでブロックされたヒドラジン及び沸点が50〜110℃のケトンでブロックされたヒドラジドの少なくとも一方を含有する組成物を用いて形成される保護層を有することが好ましい。保護層の形成方法としては、
塗工液を塗布、乾燥する方法が挙げられる。架橋剤は、塗工液中では、ケトンでブロックされているため、ポリビニルアルコールのカルボニル基との架橋反応が抑制される。しかしながら、乾燥させて水が蒸発すると、架橋剤のブロックが外れ、ポリビニルアルコールのカルボニル基との架橋反応が進行する。通常、乾燥温度が高い場合又は長時間加熱する場合は、ブロックしていたケトン(例えば、メチルイソブチルケトン)も同時に蒸発するが、感熱記録材料では熱による地肌発色が発生するため、高温での乾燥は困難である。このため、ブロックしていたケトンが保護層に残存することにより、耐薬品性が低下することがある。そこで、沸点が50〜110℃のケトンを用いることが好ましい。これにより、乾燥時にケトンを気化させることができるので、塗工液の経時増粘を抑制すると共に、耐水性及び耐薬品性が良好で、地肌変色(発色)が抑制された感熱記録材料を得ることができる。さらに、このような保護層は、40℃、90%RHの高温高湿の環境下においても、バック層とのブロッキングを抑制することができる。
【0042】
ヒドラジドとしては、シュウ酸ジヒドラジド、ギ酸ヒドラジド、酢酸ヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、安息香酸ヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、ジグリコール酸ヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イソフタル酸ヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、2,7−ナフトエ酸ジヒドラジド、ポリアクリル酸ヒドラジド等が挙げられる。
【0043】
また、沸点が50〜110℃のケトンとしては、アセトン(56℃)、メチルエチルケトン(79℃)、ジエチルケトン(102℃)、メチルn−プロピルケトン(101℃)、メチルイソプロピルケトン(95℃)等が挙げられ、沸点が50〜105℃のケトンが好ましい。ケトンの沸点が50℃より低いと、常温で架橋剤のブロックが外れ、110℃より高いと、架橋反応を伴う層形成工程において、加熱温度を高くしなければならず、感熱発色層の地肌変色を生じる。
【0044】
本発明において、架橋剤をブロックする方法としては、特に限定されないが、ヒドラジン及びヒドラジドの少なくとも一方と沸点が50〜110℃のケトンを、必要に応じ、加熱攪拌しながら還流することにより行われる。ブロックされた架橋剤としては、カルボヒドラジドアセトンゾン、カルボヒドラジドメチルエチルケトンゾン、カルボヒドラジドジエチルケトンゾン、アジピン酸ジヒドラジドアセトンゾン、アジピン酸ジヒドラジドメチルエチルケトンゾン、アジピン酸ジヒドラジドジエチルケトンゾン、イソフタル酸ヒドラジドアセトンゾン、イソフタル酸ヒドラジドメチルエチルケトンゾン、イソフタル酸ヒドラジドジエチルケトンゾン等が挙げられるが、耐水性及び安全性の面でアジピン酸ジヒドラジドアセトンゾンが望ましい。
【0045】
本発明において、カルボニル基を有するポリビニルアルコールは、カルボニル基を有するモノマーと脂肪酸ビニルエステルとを共重合することにより得られる共重合体をケン化する等の公知の方法により得ることができる。カルボニル基を有するモノマーとしては、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタアクリルアミド等が挙げられる。脂肪酸ビニルエステルとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられるが、酢酸ビニルが好ましい。また、カルボニル基を有するポリビニルアルコールは、他のビニルモノマーを共重合させたものでもよい。他のビニルモノマーとしては、アクリル酸エステル、ブタジエン、エチレン、プロピレン、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等が挙げられる。共重合するモノマー中のカルボニル基を有するモノマーの含有量は、0.5〜20モル%であることが好ましく、耐水性を考慮すると、2〜10モル%が特に好ましい。この含有量が2モル%より少ないと、耐水性が不十分となり、10モル%より多くなると、コストが増大する。また、カルボニル基を有するポリビニルアルコールの重合度は、300〜3000が好ましく、500〜2000が特に好ましい。
【0046】
本発明において、カルボニル基を有するポリビニルアルコールに対する架橋剤の重量比は、架橋剤の官能基の変性量、種類によっても異なるが、0.1〜20%であることが好ましく、1〜10%が特に好ましい。なお、本発明の感熱記録材料において、ケトンが、乾燥、加熱条件により、残存することがあるが、通常、ガスクロマトグラフィー等で分析可能である。
【0047】
本発明の架橋剤には機能を損なわない範囲で、グリオキザール、メラミン、アジリジン、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、炭酸ジルコニウムアンモン、エチレンジアミン等の公知の架橋剤を組み合わせて使用してもよい。
【0048】
本発明において、支持体と感熱記録層との間に、フィラーとして、熱可塑性樹脂からなる中空粒子を含有する中間層を有することが好ましい。これにより、断熱性が向上し、感度を向上させることができる。また、中空粒子は、内部に空気等の気体を含有する粒子であり、具体的には、発泡状態となっている中空粒子等が挙げられる。中空粒子の平均粒子径(粒子外径)は、通常、0.4〜10μmであり、1.0〜5.0μmが好ましい。平均粒子径が0.4μmより小さいと、任意の中空率にすることが難しい等の生産上の問題があり、10μmより大きいと、塗布乾燥後の表面の平滑性が低下するため、サーマルヘッドとの密着性が低下し、感度を向上させる効果が低下する。したがって、中空粒子の粒子径分布は、バラツキが少ないことが好ましい。さらに、中空粒子は、中空率が30%以上であることが好ましく、70%以上がさらに好ましい。なお、中空率とは、中空粒子の外径に対する内径の比である。
【0049】
なお、中空粒子を形成する熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、これらの共重合体等が挙げられる。中でも、塩化ビニリデンとアクリロニトリルを主成分とする共重合体が好ましい。通常、中空粒子は、感熱発色層と支持体との間の中間層に添加することにより、断熱性及びヘッドとの密着性を向上させ、発色感度が向上する。
【0050】
本発明の感熱発色層において用いられるロイコ染料は、単独又は2種以上混合して用いることができる。このようなロイコ染料としては、この種の感熱記録材料に使用されている公知の染料を用いることができ、例えば、トリフェニルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、オーラミン系、スピロピラン系、インドリノフタリド系等の染料が挙げられる。このようなロイコ染料の具体例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(別名:クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロルフタリド、3,3−ビス(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロルフルオラン、3−ジメチルアミノ−5,7−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンズフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−{N−(3’−トリフルオロメチルフェニル)アミノ}−6−ジエチルアミノフルオラン、2−{3,6−ビス(ジエチルアミノ)−9−(o−クロロアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム}、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリクロロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7−o−クロロアニリノ)フルオラン、3−N−メチル−N,n−アミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)フルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、6’−クロロ−8’−メトキシベンゾインドリノスピロピラン、6’−ブロモ−3’−メトキシベンゾインドリノスピロピラン、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−クロロフェニル)フタリド、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−ニトロフェニル)フタリド、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジエチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−メチルフェニル)フタリド、3−(2’−メトキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−ヒドロキシ−4’−クロロ−5’−メチルフェニル)フタリド、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−(2−エトキシプロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチル−N−イソブチル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−モルホリノ−7−(N−プロピル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−トリフルオロメチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−(N−ベンジル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−(ジ−p−クロロフェニル)メチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−メトキシカルボニルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ピペリジノフルオラン、2−クロロ−3−(N−メチルトルイジノ)−7−(p−n−ブチルアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)−6’−ジメチルアミノフタリド、3−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)−5,6−ベンゾ−7−α−ナフチルアミノ−4’−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4’,5’−ベンゾフルオラン、3−N−メチル−N−イソプロピル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−イソアミル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2’,4’−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−モルホリノ−7−(N−プロピル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−トリフルオロメチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−(N−ベンジル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−(ジ−p−クロロフェニル)メチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−メトキシカルボニルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ピベリジノフルオラン、2−クロロ−3−(N−メチルトルイジノ)−7−(p−N−ブチルアニリノ)フルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)−6’−ジメチルアミノフタリド、3−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)−5,6−ベンゾ−7−α−ナフチルアミノ−4’−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−(−2−エトキシプロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4’,5’−ベンゾフルオラン、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−{1,1−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル}フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−{1,1−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル}−6−ジメチルアミノフタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1−フェニルエチレン−2−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1−p−クロロフェニルエチレン−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4’−ジメチルアミノ−2’−メトキシ)−3−(1’’−p−ジメチルアミノフェニル−1’’−p−クロロフェニル−1’’,3’’−ブタジエン−4’’−イル)ベンゾフタリド、3−(4’−ジメチルアミノ−2’−ベンジルオキシ)−3−(1’’−p−ジメチルアミノフェニル−1’’−フェニル−1’’,3’’−ブタジエン−4’’−イル)ベンゾフタリド、3−ジメチルアミノ−6−ジメチルアミノ−フルオレン−9−スピロ−3’−(6’−ジメチルアミノ)フタリド、3,3−ビス(2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−p−メトキシフェニル)エテニル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−ビス{1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル}−5,6−ジクロロ−4,7−ジブロモフタリド、ビス(p−ジメチルアミノスチリル)−1−ナフタレンスルホニルメタン、ビス(p−ジメチルアミノスチリル)−1−p−トリルスルホニルメタン等が挙げられる。
【0051】
また、本発明の感熱発色層で用いられる顕色剤としては、ロイコ染料に接触する際に発色させる電子受容性の種々の化合物、酸化剤等が用いられる。このような顕色剤は、従来公知であり、その具体例としては、4,4’−イソプロピリデンビスフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(o−メチルフェノール)、4,4’−イソブチリデンビスフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール)、p−ニトロ安息香酸亜鉛、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸、2,2−(3,4’−ジヒドロキシジフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、4−{β−(p−メトキシフェノキシ)エトキシ}サリチル酸、1,7−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3,5−ジオキサヘプタン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニチオ)−5−オキサペンタン、フタル酸モノベンジルエステルモノカルシウム塩、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(2−クロロフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−2−メチル)フェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−2−メチル)フェノール、4,4’−ジフェノールスルホン、4−イソプロポキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−ベンジロキシ−4′−ヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジフェノールスルホキシド、p−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、プロトカテキユ酸ベンジル、没食子酸ステアリル、没食子酸ラウリル、没食子酸オクチル、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−プロパン、N,N’−ジフェニルチオ尿素、N,N’−ジ(m−クロロフェニル)チオ尿素、サリチルアニリド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジル、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、2,4’−ジフェノールスルホン、2,2’−ジアリル−4,4’−ジフェノールスルホン、3,4−ジヒドロキシフェニル−4’−メチルジフェニルスルホン、1−アセチルオキシ−2−ナフトエ酸亜鉛、2−アセチルオキシ−1−ナフトエ酸亜鉛、2−アセチルオキシ−3−ナフトエ酸亜鉛、α,α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−α−メチルトルエン、チオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールS、4,4’−チオビス(2−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−クロロフェノール)等が挙げられる。本発明の感熱記録材料において、ロイコ染料に対する顕色剤の重量比は、通常、1〜20であり、2〜10が好ましい。顕色剤は、単独又は2種以上混合して用いることができる。
【0052】
本発明において、ロイコ染料及び顕色剤を支持体上に結着させるためには、カルボニル基を有するポリビニルアルコールを用いることが好ましく、また、種々の結着樹脂を単独又は2種以上混合して用いることもできる。結着樹脂の具体例としては、ポリビニルアルコール;澱粉及びその誘導体;ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド−アクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等の水溶性高分子;ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリメタクリル酸ブチル、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエマルジョン;スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル系共重合体等のラテックス等が挙げられる。
【0053】
本発明においては、感度向上剤として、種々の熱可塑性物質を感熱発色層に添加することができる。感度向上剤の具体例としては、ステアリン酸、ベヘン酸等の脂肪酸類;ステアリン酸アミド、パルチミン酸アミド等の脂肪酸アミド類;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、パルチミン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩類;p−ベンジルビフェニル、ターフェニル、トリフェニルメタン、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、β−ベンジルオキシナフタレン、β−ナフトエ酸フェニル、1−ヒドロキシ−2−ナフト酸フェニル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチル、ジフェニルカーボネート、グレヤコールカーボネート、テレフタル酸ジベンジル、テレフタル酸ジメチル、1,4−ジメトキシナフタレン、1,4−ジエトキシナフタレン、1,4−ジベンジロキシナフタレン、1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン、1,4−ジフェノキシ−2−ブテン、1,2−ビス(4−メトキシフェニルチオ)エタン、ジベンゾイルメタン、1,4−ジフェニルチオブタン、1,4−ジフェニルチオ−2−ブテン、1,3−ビス(2−ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、p−(2−ビニルオキシエトキシ)ビフェニル、p−アリルオキシビフェニル、p−プロパギルオキシビフェニル、ジベンゾイルオキシメタン、ジベンゾイルオキシプロパン、ジベンジルジスルフィド、1,1−ジフェニルエタノール、1,1−ジフェニルプロパノール、p−ベンジルオキシベンジルアルコール、1,3−フェノキシ−2−プロパノール、N−オクタデシルカルバモイル−p−メトキシカルボニルベンゼン、N−オクタデシルカルバモイルベンゼン、1,2−ビス(4−メトキシフェノキシ)プロパン、1,5−ビス(4−メトキシフェノキシ)−3−オキサペンタン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ビス(4−メチルベンジル)、シュウ酸ビス(4−クロロベンジル)等が挙げられる。
【0054】
本発明において、支持体としては、古紙パルプを50重量%以上含有する上質紙及び古紙パルプからなる支持体、合成紙、ポリエチレンフィルム、ラミネート紙等を用いることができる。
【0055】
本発明において、感熱記録材料の保護層上に、紫外線硬化型インクによる文字、罫線、図等の印刷やOPニス印刷を施すこともできる。これにより、水に濡れた状態においても、バック層とブロッキングしにくくなる。
【0056】
本発明の感熱記録材料は、以下の方法により製造することができる。先ず、感熱発色層は、ロイコ染料、顕色剤、結着樹脂等を水中に均一に分散又は溶解させた塗工液を支持体上に塗布、乾燥して作製することができるが、塗工方式は、特に限定されない。感熱発色層の塗工液の分散粒子径は、5μm以下であることが好ましく、1μm以下がより好ましい。感熱発色層の膜厚は、感熱発色層の組成や感熱記録材料の用途にもよるが、通常、1〜50μm程度であり、3〜20μm程度が好ましい。また、感熱発色層の塗工液には、必要に応じて塗工性の向上又は記録特性の向上を目的に、通常の感熱記録材料に用いられている種々の添加剤を加えることもできる。
【0057】
本発明の感熱記録材料を用いた記録方法としては、使用目的によって、熱ペン、サーマルヘッド、レーザー加熱等を用いることができるが、特に限定されない。
【0058】
本発明の帳票は、本発明の感熱記録材料のバック層上に、感圧接着剤を含有する擬似接着層を少なくとも有する。これにより、耐水性が良好な帳票が得られる。感圧接着剤としては、アクリル系重合体、天然ゴム、エチレン−酢酸ビニル系共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン系共重合体、スチレン−ブタジエン系共重合体、ポリイソブチレン、ポリビニルエーテル等が挙げられる。
【実施例】
【0059】
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、以下に示す部及び%は何れも重量基準である。
(実施例1)
3−ジブチルアミノ−6−メチル−N−7−アニリノフルオラン20部、分子量約15000のポリビニルアルコールの10%水溶液20部及び水60部をサンドミルで平均粒子径が0.5μmになるまで分散させて、染料分散液を調製した。
【0060】
4−イソプロポキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン20部、シュウ酸ジ−(p−メチルベンジル)10部、シリカ10部、分子量約80000のポリビニルアルコールの10%水溶液30部及び水30部をボールミルで平均粒子径が0.5μmになるまで分散させて、顕色剤分散液を調製した。
【0061】
染料分散液20部、顕色剤分散液60部、変性ポリビニルアルコールの10%水溶液KL−318(クラレ社製)30部及びジオクチルスルホコハク酸の5%水溶液1部を混合して、感熱発色層塗工液を調製した。
【0062】
カオリンの35%水分散液11部、ステアリン酸亜鉛の30%水分散液4部、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールの10%水溶液1部、20部のKL−318、カイメンの10%水溶液4部及び水60部を混合して、保護層塗工液を調製した。
【0063】
化学構造式
【0064】
【化1】

で示される分子量40000〜50000のイソブチレン−N−フェニルマレイミド−無水マレイン酸共重合体のアンモニウム塩の20%水溶液37部、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールの10%水溶液1部及び水62部を混合して、バック層塗工液を調製した。
【0065】
焼成カオリン20部、スチレン−ブタジエン共重合体の47.5%ラテックス20部及び水60部を撹拌して、分散させて、中間層形成液を調製した。
【0066】
坪量約60g/mの上質紙の一つの面(表面)に中間層形成液を乾燥塗布量が約3g/mになるように塗工し、乾燥させた。中間層上に、染料乾燥付着重量が約0.6g/mになるように感熱発色層塗工液を塗布し、乾燥させた。さらに、感熱発色層上に、乾燥付着量が約3g/mになるように保護層塗工液を塗布し、60〜80℃で乾燥させた。次に、上質紙の塗布されていない側の面(裏面)に乾燥付着重量が約1.5g/mになるようにバック層塗工液を塗布し、60〜80℃で乾燥させた。さらに、上質紙の両面をキャレンダー処理して感熱記録材料を作製した。
(実施例2)
分子量40000〜50000のイソブチレン−N−フェニルマレイミド−無水マレイン酸共重合体のアンモニウム塩の20%水溶液22部、ポリアクリル酸エステルのエマルジョンE−358(日本アクリル化学社製)7部、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールの10%水溶液1部及び水70部を混合して、バック層塗工液を調製した。
【0067】
実施例1のバック層塗工液を上記のバック層塗工液に変更した以外は、実施例1と同様に感熱記録材料を作製した。
(実施例3)
分子量40000〜50000のイソブチレン−N−フェニルマレイミド−無水マレイン酸共重合体のアンモニウム塩の20%水溶液56部、17部のポリアクリル酸エステルのエマルジョンE−358、平均粒子径2μmの水酸化アルミニウムの35%分散液21部、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールの10%水溶液2部及び水4部を混合して、バック層塗工液を調製した。
【0068】
実施例1のバック層塗工液を上記のバック層塗工液に変更した以外は、実施例1と同様に感熱記録材料を作製した。
(実施例4)
実施例3のバック層塗工液に用いた分子量40000〜50000のイソブチレン−N−フェニルマレイミド−無水マレイン酸共重合体のアンモニウム塩を化学構造式
【0069】
【化2】

で示される分子量60000〜70000のイソブチレン−無水マレイン酸−3−カルバモイル−2−プロペン酸共重合体のアンモニウム塩に変更した以外は、実施例3と同様に感熱記録材料を作製した。
(実施例5)
実施例4のバック層塗工液に用いたポリアクリル酸エステルのエマルジョンE−358をアクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体のエマルジョンに変更した以外は、実施例4と同様に感熱記録材料を作製した。
(実施例6)
実施例5のバック層塗工液に用いた水酸化アルミニウムの平均粒子径を2μmから1μmに変更した以外は、実施例5と同様に感熱記録材料を作製した。
(実施例7)
水酸化アルミニウムの35%水分散液11部、ステアリン酸亜鉛の30%水分散液4部、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールの10%水溶液1部、ジアセトンアクリルアミド由来の構成単位を1モル%含有するポリビニルアルコール(重合度1600、ケン化度98%)の10%水溶液20部、アジピン酸ジヒドラジドの10%水溶液4部及び水60部を混合して、保護層塗工液を調製した。
【0070】
実施例6の保護層塗工液を上記の保護層塗工液に変更した以外は、実施例6と同様に感熱記録材料を作製した。
(実施例8)
実施例7の保護層塗工液に用いたポリビニルアルコールのジアセトンアクリルアミド由来の構成単位の含有量を1モル%から4モル%に変更した以外は、実施例7と同様に感熱記録材料を作製した。
(実施例9)
中空率90%、平均粒子径3.5μmの中空樹脂粒子の40%水分散液25部、スチレン−ブタジエン共重合体の47.5%ラテックス15部及び水60部を撹拌して分散させて、中間層形成液を調製した。
【0071】
実施例8の中間層塗工液を上記の中間層塗工液に変更した以外は、実施例8と同様に感熱記録材料を作製した。
(比較例1)
74部のKL−318、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールの10%水溶液1部及び水25部を混合して、バック層塗工液を調製した。
【0072】
実施例1のバック層塗工液を上記のバック層塗工液に変更した以外は、実施例1と同様に感熱記録材料を作製した。
(評価方法)
各感熱記録材料について、裏面耐水性、低温剥離性、耐ブロッキング性、裏面耐可塑剤性、発色感度を下記の手法、評価基準で評価した。また、各感熱記録材料の地肌変色についても下記の評価基準で評価した。
【0073】
裏面耐水性については、感熱記録材料を常温で15時間及び48時間の2条件で浸水させた後、取り出し、指で10回擦った後の状態を観察することにより評価した。全く剥離が無いものを◎、剥離は無いが、表面がややべとつくもの(実用上問題無し)を○、やや剥離するものを△、バック層が溶解しているものを×として、判定した。
【0074】
低温剥離性については、以下のようにして評価した。エチレン−酢酸ビニル系共重合体の40%ラテックス100部、二次凝集の平均粒子径が2.4μmの無定形シリカ100部、ポリアクリル酸ナトリウムの40%水溶液3部及び水200部を混合攪拌した疑似接着層用塗液を得た。坪量80g/mの上質紙に疑似接着層用塗液を乾燥後の塗布量が30g/mとなるように塗布乾燥して疑似接着層を形成し、感圧擬似接着用紙を作成した。この感圧疑似接着用紙の擬似接着面と感熱記録材料の裏面とを接触させた状態で、金属製の圧着ロールを用いたドライシーラー6860(トッパンフォームズ社製)のシーラーギャップを総膜厚の50%に設定して処理することにより、帳票を得た。帳票を0℃の乾燥環境下に24時間放置した後、その環境下において、180度剥離評価を実施した。抵抗無く、剥離することができるものをランク5、やや抵抗感はあるが、剥離することができるものをランク4、剥離時、抵抗感があり、剥離面に毛羽立ちが見られるものをランク3、一部が破れるものをランク2、剥離が不可能であるものをランク1として、判定した。
【0075】
耐ブロッキング性については、感熱記録材料を10cm×10cmの試験片にカットし、感熱記録材料の表面と裏面が接触するように重ね、荷重が200g/cmになるように錘を載せて、40℃、90%RHの環境下に24時間放置した後、試験片のブロッキングの度合いを評価した。無音で剥がれ、ブロッキングが無いものをランク5、剥がす時に音は発生するが、ブロッキングが無いものをランク4、サンプルの端部又はその周辺で若干ブロッキングがあるものをランク3、全面に弱いブロッキングが起こるもの又は部分的に強いブロッキングが起こるものをランク2、全面に強いブロッキングが起こるものをランク1として、判定した。
【0076】
裏面耐可塑剤性については、感熱記録材料の印字シミュレーター(大倉電機社製)を用いてエネルギー0.45mJ/dotで印字した試験片に、ポリマラップ300(信越化学社製)を3枚重ね、さらに一般上質紙を10枚重ね、荷重が約200g/cmになるように錘を載せ、40℃環境下に12時間放置した後の画像部の濃度を測定することにより評価した。
【0077】
発色感度評価については、以下のようにして評価した。薄膜ヘッドを有する感熱印字実験装置(松下電器部品社製)を用いて、感熱記録材料に、ヘッド電力0.45W/ドット、1ライン記録時間20m秒/ライン、走査密度8×385ドット/mmの条件で、1m秒毎にパルス巾0.0〜0.7m秒で印字した。印字濃度をマクベス濃度計RD−914で測定し、濃度が1.0となるパルス巾を計算した。比較例1を基準として、実施例の濃度が1.0となるパルス巾に対する比較例1の濃度が1.0となるパルス巾を感度倍率として計算した。このとき、感度倍率が大きい程、感度(熱応答性)が良好である。
【0078】
感熱記録材料の評価結果を表1に示した。
【0079】
【表1】

この結果より、実施例の感熱記録材料は、裏面の耐水性が良好であることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子量が30000以上80000以下であるマレイン酸樹脂を含有する組成物を用いて形成されていることを特徴とするバック層。
【請求項2】
前記マレイン酸樹脂は、側鎖に塩を有することを特徴とする請求項1に記載のバック層。
【請求項3】
前記側鎖に塩を有するマレイン酸樹脂は、少なくともイソブチレン及び無水マレイン酸を共重合させた樹脂のアンモニウム塩であることを特徴とする請求項2に記載のバック層。
【請求項4】
前記組成物は、アクリル樹脂をさらに含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のバック層。
【請求項5】
前記アクリル樹脂は、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルを共重合させた樹脂であることを特徴とする請求項4に記載のバック層。
【請求項6】
前記組成物は、水酸化アルミニウムをさらに含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のバック層。
【請求項7】
前記水酸化アルミニウムの平均粒子径は、0.8μm以上2.0μm以下であることを特徴とする請求項6に記載のバック層。
【請求項8】
紫外線硬化型インクを用いて印刷されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のバック層。
【請求項9】
支持体の一つの面に、少なくとも感熱発色層を有する感熱記録材料において、
前記支持体の前記感熱発色層を有する側の面とは反対側の面に、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のバック層を有することを特徴とする感熱記録材料。
【請求項10】
前記支持体及び前記感熱発色層の間に熱可塑性樹脂からなる中空粒子を含有する中間層を有することを特徴とする請求項9に記載の感熱記録材料。
【請求項11】
前記感熱発色層上に、50℃以上110℃以下の沸点を有するケトンでブロックさたヒドラジン及び50℃以上110℃以下の沸点を有するケトンでブロックさたヒドラジドの少なくとも一方並びにカルボニル基を有するポリビニルアルコールを含有する組成物を用いて形成された保護層を有することを特徴とする請求項9又は10に記載の感熱記録材料。
【請求項12】
前記カルボニル基を有するポリビニルアルコールは、モノマーの混合物を共重合することにより得られ、
前記モノマーの混合物は、前記カルボニル基を有するモノマーを2モル%以上10モル%以下含有することを特徴とする請求項11に記載の感熱記録材料。
【請求項13】
前記保護層は、紫外線硬化型インクを用いて印刷されていることを特徴とする請求項11又は12に記載の感熱記録材料。
【請求項14】
請求項9乃至13のいずれか一項に記載の感熱記録材料のバック層上に、感圧接着剤を含有する擬似接着層を少なくとも有することを特徴とする帳票。

【公開番号】特開2006−168319(P2006−168319A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−367781(P2004−367781)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】