説明

バッグフィルタ

【課題】バッグフィルタの保持部材をろ材の保持性を確保した上で安価なものとし、かつ、ろ材と一緒に廃棄処理できるようにすることである。
【解決手段】ろ材1の開口部が一方向へ複数に連なって矩形状に開けられたものとして、ろ材1の開口部を開けて保持する保持部材2を、全ての開口部を包含するろ材1の外周縁を係止する外枠部2aと、隣接する開口部間でろ材1を背面側から支持する桟部2bとから成るものとし、この保持部材2を一枚の厚紙の折り曲げ加工で形成することにより、保持部材2をろ材1の保持性を確保した上で安価なものとし、かつ、ろ材1と一緒に廃棄処理できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体用のバッグフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気の汚れが激しい塗装ブース等の排気口や集塵装置等には、不織布等の可撓性材料をバッグ状に形成したろ材の開口部を所定の形状に開けて保持するバッグフィルタが使用されている。バッグフィルタは用途上ろ材が汚れやすく、その交換周期が比較的短いものが多い。
【0003】
このようなバッグフィルタの保持手段としては、複数のバッグ状ろ材に挿入されるリテーナに設けた内側枠体と、ハウジングに取り付けられる支持プレートに設けた外側枠体とで、ろ材の各開口部を内外から挟持して、ろ材をリテーナと一緒に支持プレートに保持するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されたものでは、支持プレートに複数の外側枠体を一方向に並べて設け、各外側枠体に複数のろ材とリテーナを保持し、各リテーナの外向きフランジを共通の押圧部材で押圧するようにしている。また、各ろ材の開口部は長円形状に開けられるようになっている。
【0004】
上述したバッグフィルタの保持手段は、支持プレートとリテーナとに、ろ材の開口部を内外から挟持する内側枠体と外側枠体をそれぞれ設け、さらに、各リテーナの外向きフランジを外側枠体に押圧する押圧部材を設けているので、構成が非常に複雑になっている。本発明者らは、このようなバッグフィルタの保持手段を簡単な構成とし、かつ、ろ材の着脱も容易とするために、ろ材の開口部が一つまたは一方向へ複数に連なって矩形状に開けられるものとし、この開口部を開けて保持する保持部材を、ろ材の各開口部を背面側から矩形状に支持する枠部材と、この枠部材にろ材の前面側から嵌め込まれて、枠部材との間でろ材開口部の少なくとも最外周部分を挟持する枠蓋部材とで形成することを提案している(特願2003−193286号)。
【0005】
【特許文献1】特開平7−31818号公報(第2−5頁、第2,5−6図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように、バッグフィルタは用途上ろ材が汚れやすく、その交換周期も比較的短いので、最近は、汚れたろ材の保持部材への着脱を不要とするために、保持部材をろ材と一緒に使い捨てにすることが望まれている。しかしながら、上述した支持プレートやリテーナ等のバッグフィルタの保持部材は金属材料やプラスチック材料で形成されているので、ろ材と一緒に廃棄処理できない問題がある。また、金属材料やプラスチック材料で形成された保持部材は、使い捨てにするには高価すぎる。
【0007】
そこで、本発明の課題は、バッグフィルタの保持部材をろ材の保持性を確保した上で安価なものとし、かつ、ろ材と一緒に廃棄処理できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、可撓性材料をバッグ状に形成したろ材の開口部を、所定の形状に開けて保持するバッグフィルタにおいて、前記ろ材の開口部が一つまたは一方向へ複数に連なって矩形状に開けられるものとして、このろ材の開口部を開けて保持する保持部材を、全ての開口部を包含するろ材の外周縁を係止する外枠部と、前記開口部が複数に連なる場合には、隣接する開口部間でろ材を背面側から支持する桟部とから成るものとし、この保持部材を一枚の厚紙の折り曲げ加工で形成した構成を採用した。
【0009】
すなわち、ろ材の開口部が一つまたは一方向へ複数に連なって矩形状に開けられるものとして、このろ材の開口部を開けて保持する保持部材を、全ての開口部を包含するろ材の外周縁を係止する外枠部と、開口部が複数に連なる場合には、隣接する開口部間でろ材を背面側から支持する桟部とから成るものとし、この保持部材を一枚の厚紙の折り曲げ加工で形成することにより、保持部材をろ材の保持性を確保した上で安価なものとし、かつ、ろ材と一緒に廃棄処理できるようにした。
【0010】
前記開口部が複数に連なる場合に隣接する開口部間でろ材を背面側から支持する桟部を、前記厚紙の折り曲げ加工により立体断面形状に形成することにより、開口部から流入する空気の風圧を受ける桟部の曲げ剛性を確保することができる。
【0011】
前記ろ材の外周縁に沿って厚紙製の補強板を取り付けることにより、ろ材の外周縁を強固に外枠部に係止することができる。
【0012】
前記一枚の厚紙の折り曲げの内外方向を全て同一方向とすることにより、厚紙に折り曲げ用の折り目線を一方向から容易に入れることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のバッグフィルタは、ろ材の開口部が一つまたは一方向へ複数に連なって矩形状に開けられるものとして、このろ材の開口部を開けて保持する保持部材を、全ての開口部を包含するろ材の外周縁を係止する外枠部と、開口部が複数に連なる場合には、隣接する開口部間でろ材を背面側から支持する桟部とから成るものとし、この保持部材を一枚の厚紙の折り曲げ加工で形成するようにしたので、保持部材をろ材の保持性を確保した上で安価なものとし、かつ、ろ材と一緒に廃棄処理することができる。
【0014】
前記開口部が複数に連なる場合に隣接する開口部間でろ材を背面側から支持する桟部を、厚紙の折り曲げ加工により立体断面形状に形成することにより、開口部から流入する空気の風圧を受ける桟部の曲げ剛性を確保することができる。
【0015】
前記ろ材の外周縁に沿って厚紙製の補強板を取り付けることにより、ろ材の外周縁を強固に外枠部に係止することができる。
【0016】
前記一枚の厚紙の折り曲げの内外方向を全て同一方向とすることにより、厚紙に折り曲げ用の折り目線を一方向から容易に入れることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。このバッグフィルタは、図1および図2に示すように、不織布で形成され、開口部が一方向へ複数に連なって矩形状に開けられたバッグ状のろ材1と、全ての開口部を包含するろ材1の外周縁を係止する外枠部2aと、隣接する開口部間でろ材1を背面側から支持する桟部2bとから成る保持部材2と、ろ材1の外周縁に取り付けられる厚紙製の補強板3とで構成されている。図示は省略するが、このバッグフィルタは、保持部材2が排気口等に取り付けられ、ろ材1の開口部から汚れた空気が流入してろ過される。
【0018】
図3に示すように、前記保持部材2は一枚の厚紙で形成され、外周の外枠部2aとその内側の各桟部2bには、後述する折り曲げ加工用の各折り目線4が、同じ片面側に入れられている。また、外枠部2aの外側辺縁と各桟部2bの両側辺縁には、それぞれ複数の爪5a、5bが設けられ、外枠部2aの内周部と各桟部2bの中央部には、折り曲げ加工後に各爪5a、5bが差し込まれる複数のスリット孔6a、6bが設けられている。図2に示したように、ろ材1の外周縁と各補強板3にも、それぞれ外枠部2aの爪5aが差し込まれる複数のスリット孔1a、3aが設けられている。
【0019】
図4に示すように、前記保持部材2の外枠部2aは、三箇所の折り目線4に沿って内向きに矩形断面状に折り曲げられ、その外側辺縁に設けられた各爪5aが、ろ材1の外周縁のスリット孔1aと補強板3のスリット孔3aとを通して、自身の各スリット孔6aに差し込まれ、糸7で補強板3に縫い付けられたろ材1の外周縁が、補強板3を介して外枠部2aに係止されている。図示は省略するが、図4の外枠部2aと直交する外枠部2aも同様に折り曲げ加工され、ろ材1の外周縁を補強板3を介して係止するようになっている。
【0020】
また、前記保持部材2の各桟部2bは、その中央部の両側でそれぞれ二箇所の折り目線4に沿って、内向きに直角三角形断面状に折り曲げられ、両側辺縁に設けられた各爪5bが中央部に設けられた各スリット孔6bに上方から差し込まれている。したがって、各桟部2bは、二つの直角三角形を背中合わせにした立体断面形状に形成され、ろ材1の各開口部から流入する空気の風圧を受けても十分な曲げ剛性を確保できるようになっている。
【0021】
図5は、図4に示したろ材1の外周縁の係止方法の変形例を示す。この変形例では、前記ろ材1の外周縁のスリット孔1aがなく、保持部材2の外枠部2aに設けられた各爪5aが、補強板3のスリット孔3aのみを通して、自身の各スリット孔6aに差し込まれており、糸7で補強板3に縫い付けられたろ材1の外周縁が、折り曲げ加工された外枠部2aの内周面に沿わされている。
【0022】
上述した実施形態では、保持部材の外枠部を矩形断面形状、各桟部を二つの直角三角形を背中合わせにした断面形状とするように一枚の厚紙を折り曲げ加工したが、この折り曲げ加工による外枠部や桟部の断面形状は、実施形態のものに限定されることはなく、任意の折り曲げ形状とすることができる。また、本発明に係るバッグフィルタは、ろ材の開口部が一つだけで保持部材に桟部がないものにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】バッグフィルタの実施形態を示す外観斜視図
【図2】図1の分解斜視図
【図3】図1の保持部材の平面展開図
【図4】図1のIV−IV線に沿った断面図
【図5】図4の変形例を示す断面図
【符号の説明】
【0024】
1 ろ材
1a スリット孔
2 保持部材
2a 外枠部
2b 桟部
3 補強板
3a スリット孔
4 折り目線
5a、5b 爪
6a、6b スリット孔
7 糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性材料をバッグ状に形成したろ材の開口部を、所定の形状に開けて保持するバッグフィルタにおいて、前記ろ材の開口部が一つまたは一方向へ複数に連なって矩形状に開けられるものとして、このろ材の開口部を開けて保持する保持部材を、全ての開口部を包含するろ材の外周縁を係止する外枠部と、前記開口部が複数に連なる場合には、隣接する開口部間でろ材を背面側から支持する桟部とから成るものとし、この保持部材を一枚の厚紙の折り曲げ加工で形成したことを特徴とするバッグフィルタ。
【請求項2】
前記開口部が複数に連なる場合に隣接する開口部間でろ材を背面側から支持する桟部を、前記厚紙の折り曲げ加工により立体断面形状に形成した請求項1に記載のバッグフィルタ。
【請求項3】
前記ろ材の外周縁に沿って厚紙製の補強板を取り付けた請求項1または2に記載のバッグフィルタ。
【請求項4】
前記一枚の厚紙の折り曲げの内外方向を全て同一方向とした請求項1乃至3のいずれかに記載のバッグフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−185638(P2007−185638A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−7710(P2006−7710)
【出願日】平成18年1月16日(2006.1.16)
【出願人】(593107373)株式会社アクシー (10)
【Fターム(参考)】