説明

バッジ型防犯警報器

【課題】人目につき難く、どの部分にでも容易に取付けて使用でき、かつ始動操作法の制限を受けず、どんなに乱暴に扱っても破損する恐れのないバッジ兼用タイプの防犯ベルを実現する。
【解決手段】衣服、帽子又は持ち物等への取付け用のバネフック又は取付けネジを有するバッジベースに警報器を固設しておくと共に、バッジ取り付け面に起動停止操作用の操作突子を露出させておき、バッジを装着したときは、前記操作突子を押し込んで停止状態とし、バッジを取り外すと、前記操作突子が突出して始動状態となるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類やバッグなどに装着しておいて、女性や子どもが身の危険を感じたような場合に警報音を発して、護身に利用するバッジ型の防犯警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平11−284711号公報に記載のように、専用の防犯ベルを持ち歩くことなく、犯罪や危険から身を護るために、ハンドストラップに連動するスイッチを携帯電話機に設け、非常時にはハンドストラップを引くことによって防犯ベルを作動させる構成が提案されている。
【0003】
また、特開2000-81489号公報に記載のように、防犯ベルをもっと身近なものとし、常備できるように、腕時計に防犯ベルを内蔵することも提案されている。あるいは、特開2003-67853号公報に記載のように、外出時に常時携帯しても邪魔にならず、目立たない携帯用の小型警報機を実現すべく、掌中に納まる小型のケーシング内にスピーカとその駆動回路と電池及び非常スイッチを有する警報音発生機構を収納し、前記スイッチの操作をケーシング外から挿入した操作ロッドの抜き挿しにより可能にした携帯用小型警報器が提案されている。
【特許文献1】特開平11−284711
【特許文献2】特開2000-81489
【特許文献3】特開2003-67853
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1のような、携帯電話機に防犯ベル機能を設ける発明は、常に携帯電話機を携帯していなければならず、常に携帯電話機を所持していることの少ない子ども達には適用不能となり、防犯ベルの目的を達成できない。また、特許文献2のように、腕時計に防犯ベルを内蔵する発明も、腕時計を使用することの少ない子ども達には適用困難で、子ども達の防犯には適用できない。
【0005】
これに対し、特許文献3のように、掌中に納まる小型のケーシング内に警報音発生機構などを収納した発明は、小型であるという利点は有るが、取付け紐を介してカバンやバッグなどのベルト部に結び付ける構造であるため、不意に危険を感じてあせった気持ちで始動操作する場合は作動不良を来す恐れがあり、使用したい時に所期の目的を達成できない。また、びっくりして、操作ロッドを引く力が強過ぎた場合は、損傷する恐れもあり、冷静になれない非常時の用途としては不十分である。特に、小型とはいえ、特別の防犯警報器を所持することになって持ち物が増えるので、緊急時に、操作すべき防犯警報器の選択を間違える恐れがある。
【0006】
本発明の技術的課題は、このような問題に着目し、老若男女を問わず、人目につき難く、どの部分にでも容易に取付けて使用でき、かつ始動操作法の制限を受けず、どんなに乱暴に扱っても破損する恐れのないバッジ兼用タイプの防犯ベルを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の技術的課題は次のような手段によって解決される。請求項1は、衣服、帽子又は持ち物等への取付け用のバネフック又は取付けネジを有するバッジベースに警報器を固設しておくと共に、バッジ取り付け面に起動停止操作用の操作突子を露出させておき、バッジを装着したときは、前記操作突子を押し込んで停止状態とし、バッジを取り外すと、前記操作突子が突出して始動状態となるように構成されていることを特徴とするバッジ型防犯警報器である。警報器自体は、公知の通常の製品で足りるが、バッジベースに取付け固定でき、表面にバッジを装着できることが必要である。
【0008】
このように、衣服や持ち物等への取付け用のバネフックや取付けネジを有するバッジベースに警報器を固設してあるため、衣服や持ち物等のいろいろな部分にバネフックや取付けネジによって容易に防犯警報器を取付けることができる。そして、取付けネジ式やバネフック式は、上着の襟その他のいろいろな部分に直接に取付け可能なため、紐で取付ける場合のように、操作時に紐が伸びたり緩んだりして、防犯警報器の始動操作が不完全になるという問題は発生しない。したがって、防犯警報器を始動させる際の操作ミスを来すような恐れはない。
【0009】
しかも、バッジベースに固設してある警報器のバッジ取り付け面に起動停止を操作する操作突子を露出させておき、バッジを装着したときは、前記操作突子を押し込んで停止状態とし、バッジを取り外すと、前記操作突子が突出して始動状態となるように構成にしてあるため、バッジを強引に引き剥がすと、操作突子が突出して警報器が作動するため、どんなに強くバッジを引っ張っても防犯警報器が損傷するといった問題は生じない。
【0010】
また、バッジを取付ける際に同時に警報器も取付け可能なため、手軽に警報器を携帯して利用でき、しかも警報器はバッジの背面に隠れるので、警報器を所持していることが他人に気づかれ難く、不自然さが無いため、気軽に警報器を利用できる。
【0011】
請求項2は、前記のバッジが磁石力で警報器のバッジ取り付け面に着脱可能となっていることを特徴とする請求項1に記載のバッジ型防犯警報器である。このように、前記のバッジが磁石力で警報器のバッジ取り付け面に着脱可能となっているため、磁石力に抗してバッジを強引に引き剥がすだけで、防犯警報器を始動できる。そして、再度始動できるようにリセットするには、バッジを磁石力によって警報器のバッジ取り付け面に吸着させておくだけでよい。したがって、繰り返し何度も起動停止させることが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1のように、衣服や帽子、持ち物等への取付け用のバネフックや取付けネジを有するバッジベースに警報器を固設してあるため、衣服や持ち物等のいろいろな部分にバネフックや取付けネジによって容易に防犯警報器を取付けることができる。そして、取付けネジ式やバネフック式は、上着の襟その他のいろいろな部分に直接に取付け可能なため、紐で取付ける場合のように、操作時に紐が伸びたり緩んだりして、防犯警報器の始動操作が不完全になるという問題は発生しない。したがって、防犯警報器を始動させる際の操作ミスを来すような恐れはない。
【0013】
しかも、バッジベースに固設してある警報器のバッジ取り付け面に起動停止を操作する操作突子を露出させておき、バッジを装着したときは、前記操作突子を押し込んで停止状態とし、バッジを取り外すと、前記操作突子が突出して始動状態となるように構成にしてあるため、バッジを強引に引き剥がすと、操作突子が突出して警報器が作動するため、どんなに強くバッジを引っ張っても防犯警報器が損傷するといった問題は生じない。
【0014】
また、バッジを取付ける際に同時に警報器も取付け可能なため、手軽に警報器を携帯して利用でき、しかも警報器はバッジの背面に隠れるので、警報器を所持していることが他人に気づかれ難く、不自然さが無いため、気軽に警報器を利用できる。
【0015】
請求項2のように、前記のバッジが磁石力で警報器のバッジ取り付け面に着脱可能となっているため、磁石力に抗してバッジを強引に引き剥がすだけで、防犯警報器を始動できる。そして、再度始動できるようにリセットするには、バッジを磁石力によって警報器のバッジ取り付け面に吸着させておくだけでよい。したがって、繰り返し何度も起動停止させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に本発明によるバッジ型防犯警報器が実際上どのように具体化されるか実施形態を説明する。図1は本発明によるバッジ型防犯警報器の全容を示す斜視図である。1はバッジであり、警報器2の表面2aに着脱可能になっている。この警報器2は、バッジベース3の表面に固定されており、バッジベース3の裏側には、衣服のポケット4などに取付けるためのバネフックfを設けてある。警報器2の表面2aには、スピーカ用の小孔hを多数開けてあり、また警報器2の起動停止を操作する手段として、ピン状の操作突子5が出没式に埋め込まれている。
【0017】
図2は、図1のバッジ型防犯警報器の側面図であり、バネフックfを有するバッジベース3の表面に警報器2が固設されている。そして、この警報器2の表面2aから分離した状態のバッジ1を有しており、警報器2の表面2aからピン状の操作突子5が突出している。バッジ1の背面には、警報器2の表面2aに吸着させるための磁石Mを埋め込んである。
【0018】
警報器2の内部には、警報回路やその駆動用の電池、スピーカなどが内蔵されており、ケース分離部2cから開閉することによって、電池交換できる。
【0019】
次に、このバッジ型防犯警報器の使い方を説明する。図示のように、ピン状の操作突子5が突出している状態では、警報器2自体の電源回路がスイッチON状態で、防犯ベルは鳴動するため、周囲に対し危険を知らせることができる。これに対し、バッジ1を警報器2の表面に近づけると磁石Mの磁力によって吸着され、その結果、バッジ1で操作突子5が押し込まれて警報器2の駆動回路がスイッチOFF状態となり、鳴動が停止する。
【0020】
したがって、図2の破線1のように、バッジ1を警報器2の表面に磁石Mの磁力によって吸着させておくと、操作突子5は押し込まれて、警報器2が作動しない状態となる。身の危険を感じた場合は、バッジ1を強引に引っ張ると、実線のバッジ1のように、警報器2の表面から引き剥がされて、操作突子5が突出するため、警報器2の電源回路が通電されてON状態となり、警報器2が鳴動する。
【0021】
このバッジ型防犯警報器は、警報器2の背部のバッジベース3にバネフックfが有るため、例えば衣類のポケット4などにバネフックfを引っ掛けておくと、バネ力によってポケット4などの上端の縁部が挟持されるため、バッジ1付きの警報器2が容易に離脱する恐れはない。警報器2の取付けか所としてポケットを例示したが、帽子のように常時被ったり、バッグ類やカバンなどのように常時所持する道具にバネフックfを引っ掛けて挟持させてもよい。また、警報器2はバッジ1の背部に隠れていて、不自然さが無く、警報器2を所持していることが他人に気づかれ難いので、気軽に防犯警報器を携帯し利用できる。
【0022】
次に他の実施形態を説明する。バッジ1を警報器2の表面に吸着させる手段として磁石Mを例示したが、糊などの粘着剤で接着させることもできる。通常の接着剤のように硬化しない粘着剤を使用すれば、バッジ1は警報器2の表面から容易に引き剥がすことができ、再度接着することもできる。
【0023】
図示のように、バッジ1のサイズは、警報器2より大きいことが望ましい。警報器2の外径よりもバッジ1の外径が大きいと、緊急時にバッジ1のみを指で把持して、警報器2の表面から引き剥がすことができる。あるいは、警報器2を真円状とし、バッジ1を楕円状にすれば、楕円状バッジ1の長円部が警報器2の表面から突出するため、長円部を把持して引き剥がすことができる。なお、バッジ1にストラップなどを連結しておけば、ストラップを引っ張ることによって容易に引き剥がすこともできる。
【0024】
このバッジ型防犯警報器を衣類などに取付けるためにバネフックfをバッジベース3と一体に設けてあり、このバネフックfを衣類のポケットや襟などに引っ掛けて挟持させることができるので、従来のように紐でしばっておくタイプと違って、バッジ1を引っ張った際に紐が伸びて警報器2が作動しなくなるような問題は生じない。なお、バッジベースを上着の襟にネジ止めするタイプもあるので、バネフックに代えてネジ止め構造にすることも可能である。
【0025】
図1、図2は、警報器2の内部に、警報回路と共にスピーカや電池も内蔵されているが、図3の実施形態は、警報回路を内蔵した警報器2から両側に突出した部分にスピーカ6と電池収納部7を設けてある。電池は、ボタン電池などのような小型のものが適している。
【産業上の利用可能性】
【0026】
以上のように、本発明によると、衣類や持ち物などへの取付けが便利なバネフックを有するバッジベースに警報器を固設しておくと共に、その表面のバッジ取り付け面に操作突子を露出させてあるため、バッジを磁石などで装着したときは操作突子を押し込んで警報器を停止状態とし、バッジを取り外すと、操作突子が突出して警報器が始動状態となり、警報音を発するため、任意の部分に簡単に取付けて使用でき、かつバッジの支持を兼ねていて目立たないため、気軽に警報器を携帯して利用でき、女性や子どもたちの身の危険を守るのに最適である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明によるバッジ型防犯警報器の全容を示す斜視図である。
【図2】図1のバッジ型防犯警報器の側面図である。
【図3】バッジ型防犯警報器の他の実施形態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 バッジ
2 警報器
2a 警報器表面
2c ケース分離部
h スピーカー孔
3 バッジベース
4 衣服ポケット
f バネフック
5 操作突子
6 スピーカー
7 電池収納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服、帽子又は持ち物等への取付け用のバネフック又は取付けネジを有するバッジベースに警報器を固設しておくと共に、バッジ取り付け面に起動停止操作用の操作突子を露出させておき、バッジを装着したときは前記操作突子を押し込んで停止状態とし、バッジを取り外すと、前記操作突子が突出して始動状態となるように構成されていることを特徴とするバッジ型防犯警報器。
【請求項2】
前記のバッジが磁石力で警報器のバッジ取り付け面に着脱可能となっていることを特徴とする請求項1に記載のバッジ型防犯警報器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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