バッチカード検知装置及びバッチカード
【課題】誤検知されにくいバッチカードの提供と、当該バッチカードを確実に検知するバッチカード検知装置を提供することを目的とする。
【解決手段】最初に暗レベル閾値Yに満たない範囲の長さが設定値r以上であることを判別する(S1)。この判別の結果、暗レベルの長さが設定値r以上の場合には(S1のYes)、明レベルXを越す部分の数XPを計数する。そのXPの値が6である場合には孔が6個検知できたとみなし、バッチカードであると判別し、排除券扱いにせずに紙葉類判別装置5側に搬送する。一方、ステップ1において、暗レベル閾値Yに満たない範囲の長さが設定値r以上ない場合には、紙葉類Pが1枚であると判断し、当該紙葉類Pを紙葉類判別装置5側に搬送する。また、ステップS2において、孔の数XPが設定値と一致しない場合には、紙葉類Pの重ね取りと判断して当該紙葉類Pを排除券扱いとし、排除券集積装置9に搬送する。
【解決手段】最初に暗レベル閾値Yに満たない範囲の長さが設定値r以上であることを判別する(S1)。この判別の結果、暗レベルの長さが設定値r以上の場合には(S1のYes)、明レベルXを越す部分の数XPを計数する。そのXPの値が6である場合には孔が6個検知できたとみなし、バッチカードであると判別し、排除券扱いにせずに紙葉類判別装置5側に搬送する。一方、ステップ1において、暗レベル閾値Yに満たない範囲の長さが設定値r以上ない場合には、紙葉類Pが1枚であると判断し、当該紙葉類Pを紙葉類判別装置5側に搬送する。また、ステップS2において、孔の数XPが設定値と一致しない場合には、紙葉類Pの重ね取りと判断して当該紙葉類Pを排除券扱いとし、排除券集積装置9に搬送する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有価証券などの紙葉類を、バッチカードを用いて区分して判別処理する紙葉類処理装置に関し、特に、紙葉類処理装置に搭載されるバッチカード検知装置及びバッチカードに関する。
【背景技術】
【0002】
有価証券などの紙葉類を処理する紙葉類処理装置は、一括して投入された紙葉類を一定間隔に1枚ずつ取り出して搬送し、紙葉類判別装置によって当該紙葉類の種類(券種)別、搬送方向判別、真偽判別(真券か偽券か)及び正損判別(再流通可能な正券か再流通不可能な損券か)を行い、この判別結果に基づいて紙葉類を区分し、施封装置又は集積装置などの処理装置に振り分けて処理する装置である。
【0003】
この際、処理する紙葉類束(バッチ)ごとに処理可能な紙葉類処理装置では、小口のバッチ処理を行う場合、バッチ処理の単位ごとに紙葉類の最後にバッチカード(又は、ヘッダーカードともいう)を挿入し、区分して処理するバッチカード処理と称される方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。なお、紙葉類の最初にダミーカードを用い、その後に処理する紙葉類を挿入し、最後にバッチカードを挿入して区分する方法もあるが、基本的には同様の方法である。
【0004】
バッチカードは、処理する紙葉類と異なるため、後述する排除券扱いとなり、排除券集積部に集積される。その際、バッチカードの間に挟まれて集積された紙葉類が当該バッチ処理で排除された紙葉類であることがわかるようにする必要がある。そのため、このバッチカードは、他の紙葉類との区別ができるように特徴的な形態が施される(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
一方、紙葉類処理装置は、装置による誤判別防止、ジャム等障害防止のために、上記紙葉類判別装置による判別を行う前に、例えば、2枚取りなどの重ね取り・連れ取りなどの搬送異状が生じた紙葉類及びバッチカードを予め排除するセンサ(以下、G0センサと称する。)を備えている場合がある。
【0006】
図11に従来のバッチカード検知アルゴリズムの一例を示す。この方法は、G0センサとして光学センサ用い、当該光学センサ出力が暗レベル閾値に満たない合計範囲Nnと設定値rを比較判別し(S10)、この判別の結果、暗レベル閾値に満たない合計範囲Nnが、設定値rを超える場合には、重ね取りをしているものと見なして排除券扱いにしている(S11)。当然、暗レベル閾値に満たない合計範囲Nnが設定値r以下の場合には、正常な紙葉類又はバッチカードとしてこのG0センサでは排除せずに通過させている(S12)。
【0007】
このG0センサを備えている場合には、当該G0センサによって正常搬送された紙葉類及びバッチカードが排除されないようにする必要がある。それは、バッチカードの目的が、バッチカードが当該バッチ処理の最後に搬送されるカードであり、当該バッチ処理中に排除券集積部に集積された排除券の上に確実に集積されることにより、他のバッチによる排除券と区別することを目的にしていることによる。
【特許文献1】特開2006−99391号公報 (第5−6頁、図1)
【特許文献2】特開2007−140940号公報 (第6頁、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のG0センサを備えた紙葉類処理装置において、G0センサがバッチカードを例えば2枚取りの紙葉類に誤検知し、搬送異状券として排除してしまう場合がある。この場合は、バッチカードの前に搬送された紙葉類が上記紙葉類判別装置による判別を行うため、又は判別結果に基づく集積を行うために搬送路上にあるにも係らず、最後に搬送されたバッチカードが排除券集積装置に集積されてしまい、排除券の入り繰りが発生してしまうという課題があった。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、バッチカードに対する誤検知されにくいバッチカードの提供と、当該バッチカードを確実に検知するバッチカード検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載のバッチカード検知装置は、紙葉類及びこの紙葉類を区分するために挿入されたバッチカードからなる媒体が供給された供給部から1枚ずつ取り出して搬送し、前記紙葉類及びバッチカードを検知するバッチカード検知装置であって、前記バッチカード検知装置は、前記紙葉類及びバッチカードの搬送方向と交差する方向に配置した複数の光学センサと、これら複数の光学センサの検知出力の平均値を時間軸に対して算出する平均値算出手段と、前記複数の検知センサの検知出力の論理和を時間軸に対して算出する論理和算出手段と、前記平均値算出手段によって算出された光学センサ平均出力が暗レベル閾値に満たない範囲の合計範囲を算出する合計範囲算出手段と、前記合計範囲が所定の設定値を超える場合に前記媒体が重ね取りであると判別する重ね取り判別手段と、前記論理和算出手段によって算出された光学センサ論理和出力が、明レベル閾値を超える部分の個数を計数する計数手段と、この計数手段による計数値が前記バッチカードに設けた孔の数と一致する場合には前記バッチカードであると判別するバッチカード判別手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、バッチカードに対する誤検知されにくいバッチカードの提供と、当該バッチカードを確実に検知するバッチカード検知装置及びバッチカードを提供することを目的とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の実施例1に係るバッチカード検知装置を搭載した紙葉類処理装置1の概略系統図である。紙葉類処理装置1は、有価証券などの紙葉類Pの真偽(真券か偽券か)又は正損(再流通可能な正券か再流通不可能な損券か)を判別し、例えば正券は集積装置1(6a)・7aに集積し、損券は集積装置3(8a)に集積し、2枚取り券などの搬送異状券及び異種券・判別不能券などの排除券は排除券集積装置9に集積される。
【0014】
紙葉類処理装置1には、紙葉類P及びこの紙葉類Pを区分するために挿入されたバッチカードBCからなる媒体が集積された紙葉類束Sを供給する供給部2aが設けられている。この供給部2aに供給された紙葉類束Sの最上面の紙葉類Pから順番に一定間隔で1枚ずつ取出ロータ(取出手段)2bによって搬送路(搬送手段)3に取り出されて搬送される。
【0015】
このようにして取り出された紙葉類Pは、バッチカード検知装置を構成する厚さ検知センサ(G0センサ)4によって媒体の搬送状態が検知される。この検知によって媒体の重ね取りなどの搬送異状が検知された場合、当該媒体は、紙葉類判別装置5の方向に搬送されず分岐ゲートG0を切り換えることによって排除券集積装置9側に搬送される。一方、上記搬送状態が正常である媒体は、紙葉類判別装置5側に搬送され、紙葉類Pの真偽、正損などが判別される。
【0016】
紙葉類判別装置5による判別の結果、正券と判別された紙葉類P(以下、正券と称する。)は、区分ゲート0(G1)が切り換えられて集積装置1(6a)に集積される。この集積装置1(6a)に集積された正券が所定枚数(例えば、100枚)に到達した場合、継続して集積される正券は、区分ゲートG1、G2が切換えられて集積装置2(7a)に集積される。この場合、集積装置1(6a)に集積された正券100枚は当該集積装置1(6a)の下段に配置された施封装置1(6b)によって施封される。集積装置2(7a)に集積された正券が所定枚数に到達した場合、継続して集積される正券は、区分ゲートG1が切換えられて集積装置1(6a)に集積される。集積装置2(7a)に集積された正券100枚は、当該集積装置2(7a)の下段に配置された施封装置2(7b)によって施封される。
【0017】
また、紙葉類判別装置5による判別の結果、損券と判別された紙葉類(以下、損券と称する。)は、区分ゲートG3が切換えられて集積装置3(8a)に集積される。また、この集積装置3(8a)に集積された損券(例えば、100枚)は、当該集積装置3(8a)の下段に配置された施封装置3(8b)によって施封される。
【0018】
図2は、供給部2aに供給される紙葉類束Sを示す。この紙葉類束Sは、複数枚の紙葉類Pと、当該紙葉類Pの最下面に挿入したバッチカードBCで構成される。このように構成された紙葉類束Sの最上面の紙葉類Pから順番に取り出され、バッチカードBCは最後に取り出される。
【0019】
図3は、本実施例1に係るバッチカードBCの一例である。バッチカードBCには、当該紙葉類束Sを区分するための個別情報が含まれる。この個別教法は、例えば、バーコード・模様・磁気情報などで、単独で又は組み合わされて使用される。
【0020】
また、上記個別情報によって、バッチカードBCそのものが排除券集積装置9に集積された排除券を区分する役割をもっており、正しいタイミングで排除券集積装置9に集積される必要がある。
【0021】
上記バッチカードBCを利用する利便性からは、当該バッチカードBCの搬送方向が表裏又は正逆の何れの方向に上記紙葉類束に挿入された場合であっても利用できることが望ましい。そのためには、バッチカード検知装置としての厚さ検知センサ4によって検知可能で、かつ、図示したように方向性に無関係な点対象形状が適している。本実施例1では、この対角線上に孔を設けた場合を示す。図4及び図5は、図3に示すバッチカードBCの他の一例である。この場合であっても、図3に示すバッチカードBC同様の効果が得られる。
【0022】
図6は、厚さ検知センサ4によるバッチカードBCの検知位置及び検知出力を示す。本実施例1の厚さ検知センサ4は、6個の光学センサS1〜S6で構成され、バッチカードBCの搬送方向に対して交差する方向に配置される。光学センサS1〜S6は、それぞれ投光器及び受光器を有して構成され、当該投光器と受光器との間を媒体が搬送される。
【0023】
バッチカードBCは、当該厚さ検知センサ4によって確実に検知され、排除券扱いにならずに紙葉類判別装置5側に搬送される必要がある。以下、このバッチカードBCの検知方法を図6及び図7を用いて説明する。続いて、当該厚さ検知センサ4によって紙葉類Pが1枚の場合は通過(排除券にならず)、重ね取りした場合は排除券扱いになることを検証する。
【0024】
図6(1)は、厚さ検知センサ4に対してバッチカードBCが図示矢印A方向に搬送されたときの検知位置を破線で示す。図6(2)は、図6(1)に示す光学センサS1〜S6の光学センサ出力S1O〜S6Oを示す。この光学センサ出力S1O〜S6Oは、光学センサS1〜S6が当該バッチカードBCの孔を検知した部分は透過光量が大きいために光学センサ出力S1O〜S6Oが大きな値を示す。この図は、投光器受光器間の透過光量が媒体によって遮られないときに100%と表示してある。これらの光学センサS1〜S6は同様に構成されており、これら光学センサS1〜S6によって検知されるバッチカードBCの孔も当該光学センサS1〜S6の検知範囲を通過するように搬送されるため、これら光学センサ検知出力S1O〜S6Oはほぼ同じ値になる。
【0025】
このバッチカードBCを検知したときの光学センサ出力S1O〜S6Oの信頼性が高ければ安定した検知が可能である。
【0026】
上述したように光学センサ論理和出力SO1〜SO6は同様に構成されているため、ここでは、光学センサ出力S1Oに付いて説明する。
【0027】
光学センサ出力S1Oが暗レベル閾値Y以下の範囲Nn(=N1+N2)が設定値rに対して下式(1)を満たすこと。この範囲Nnは範囲の合計長さを所定の単位で計数することによって算出する。例えば、最小計数単位が1mmの場合、Nn及びrの値はNn(mm)、r(mm)となる。
【0028】
Nn(=N1+N2)>r・・・・・・・(1)
Nn:光学センサ出力S1Oが暗レベル閾値Y以下になる範囲の合計範囲(長さ)
r:暗レベルの範囲の合計範囲(長さ)を判別する閾値
光学センサ出力S1Oが明レベル閾値Xに対して下式(2)を満たすことが望ましい。
【0029】
S1O≧X・・・・・・・・・・・・・・(2)
ここで明レベル閾値Xは、孔を検知するときの許容される変動があっても、当該バッチカードBCを確実に検出可能なし閾値になるように設定される。
【0030】
図7は、図6に示す厚さ検知センサ出力によるバッチカード検知方法を説明する図である。
【0031】
図7(1)は、厚さ検知センサ4に対してバッチカードBCが図示矢印A方向に搬送されたときの検知位置を破線で示しており、図6(1)と同様である。
【0032】
図7(2)は、図6(2)に示す光学センサ出力S1O〜S6Oを時間軸tに対し、その平均値を算出して得られた光学センサ平均出力SOavである。
【0033】
SOav=(1/6)・(S1O+S2O+S3O+S4O+S5O+S6O)・・(3)
従来、この光学センサ平均出力SOavによってバッチカードBCの判別を行っていた。判別方法は、上式(1)を用い、光学センサ出力S1Oが暗レベル閾値Y以下の範囲Nn(=N1)が設定値rに対し上式(1)を満たすかどうかで判別していた。図示した場合、N=N1となるため、上式(1)は、下式(4)で示される。
【0034】
Nn(=N1)>r・・・・・・・・・(4)
上式(3)の場合には、即ち、バッチカードBCの孔部分を積極的に検知していないため、バッチカードBCの厚さが厚い場合には、孔部分の出力変化が相対的に低く、閾値Z
を越す孔部分を確実に検出できない場合があり、この場合には、2枚取り(重ね取り)又は連れ取りした紙葉類と同様に判別され、排除券にしてしまう場合があった。また、この閾値Zを誤検知しにくい高いレベルに設定できないという課題があった。
【0035】
一方、図7(3)は、図6(2)で示す光学センサ出力S1O〜S6Oの、時間軸tに対してその最大値を示す値をプロット(抽出)して生成した光学センサ論理和出力SOである。すなわち、光学センサS1の孔部分の出力は図7(3)の1に対応し、同様に光学センサS2の孔部分の出力は同図の2に対応する。以下、同様に光学センサS6の出力は同図の6に対応する。このようにして、光学センサ論理和出力SOは、光学センサ出力S1O〜S6Oを所謂オア(OR)にした出力波形である。
【0036】
このようにして生成された光学センサ論理和出力SOは、下式(5)、(6)によって判別される。
【0037】
光学センサ論理和出力SOが閾値Y以下の範囲Nn(=N1+N2+・・・+N7)が設定値rに対して下式(5)を満たすこと。
【0038】
Nn(=N1+N2+・・・+N7)>r・・・・・・・(5)
Nn:光学センサ論理和出力SOが暗レベル閾値Y以下になる範囲N1〜N7の合計範囲(長さ)
r:暗レベルの範囲の合計範囲を判別する閾値
光学センサ論理和出力SOが閾値Xを超える孔部分の個数がXPに対して下式(6)を満たすこと。
【0039】
SO≧Xp・・・・・・・・・・・・・・(6)
Xp=6
上述した方法によれば、バッチカードBCを安定して検知することができる。
【0040】
次に、上述した厚さ検知センサ4が紙葉類Pを検知した場合の動作を図8及び図9を用いて説明する。
【0041】
図8は、厚さ検知センサ4による紙葉類Pの検知位置及び検知出力の一例である。
【0042】
図8(1)は、厚さ検知センサ4に対して紙葉類Pが図示矢印A方向に搬送された場合の検知位置を破線で示す。
【0043】
本実施例の厚さ検知センサ4は、上述したように、6個の光学センサS1〜S6で構成され、紙葉類Pの搬送方向に対して交差する方向に配置される。光学センサS1〜S6は、それぞれ投光器及び受光器を有して構成され、当該投光器と受光器との間を紙葉類Pが搬送される。このような配置にすることによって、紙葉類Pが図示矢印A方向に搬送されたとき、図示破線で示す部分の紙葉類Pの厚さが検知される。
【0044】
図8(2)は、図8(1)に示す光学センサS1〜S6の光学センサ出力S1O〜S6Oを示す。この光学センサ出力S1O〜S6Oは、透過光量を示しており、全く遮るものが無い場合は光学センサ出力が大きく、この値を100%として表示している。従って、紙葉類の薄い部分、透かし部分又は印刷の薄い部分などは透過光量が多く、検知出力波形が大きい値を示す。
【0045】
上記光学センサ出力S1O〜S6Oを用いて、上式(1)、(2)に基づいてバッチカードの判別を行うと、当該バッチカードは、明レベル閾値Xを越す部分がXP個存在することはないため、バッチカードと判別されることはないが紙葉類が1枚であるのか重ね取りしたものかの判別は困難である。そこで、光学センサ出力S1O〜S6Oを用いて図9に示す方法によって紙葉類の重ね取りを判別する。なお、上述したように、この厚さ検知センサ4では、紙葉類Pの重ね取り(2枚取りを含む)された紙葉類が有る場合には、それを検知しこの厚さ検知センサ4によって排除券扱いにする必要がある。
【0046】
図9は、図8に示す厚さ検知センサ出力による紙葉類Pの重ね取り検知方法を説明する図である。
【0047】
図9(1)は、図8(1)と同じ図であり、厚さ検知センサ4に対して紙葉類Pが図示矢印A方向に搬送された場合の検知位置を破線で示す。
【0048】
図9(2)は、図8(2)に示す光学センサ出力S1O〜S6Oの時間軸tに対し、その平均値を算出して得られた光学センサ平均出力SOavで、紙葉類Pが1枚の場合を示す。紙葉類が1枚の場合、光学センサ平均出力SOavは、暗レベル閾値Yを超えており、2枚取りと判別されない。この結果、当該紙葉類Pは、紙葉類判別装置5側に搬送される。
【0049】
図9(3)は、重ね取り(2枚取り)の場合の光学センサ平均出力SOavを示す。この光学センサ平均出力SOavの算出方法は、上記式(3)に示す通りである。この場合には、同図に示すように、光学センサ平均出力SOavが暗レベル閾値Y以下の部分が検出される。この場合、その検出幅N(=N1+N2+N3+N4)が設定値rを越す場合に重ね取り(2枚取りを含む)と判別される。
【0050】
図10は、上述したバッチカードBCの検知アルゴリズムである。この検知アルゴリズムは、厚さ検知センサ内に設けられたCPU(Central Processing Unit)によって実行され、その判別結果は、搬送制御部(図示しない)に通知される。搬送制御部は判別結果に基づいて区分ゲートG0を切換えることになる。
【0051】
最初に光学センサ出力S1O〜S6Oの平均値である光学センサ平均出力SOavを上記式(3)により算出する(平均値算出手段)。また、光学センサ出力S1O〜S6Oの論理和(OR)出力であるSOを算出する(S1、論理和算出手段)。
【0052】
次に、上記光学センサ平均出力SOavが暗レベル閾値Yに満たない暗レベル合計範囲ΣNnを上記式(4)で算出する(S2、合計範囲算出手段)。
【0053】
次に、上記暗レベル合計範囲ΣNnと設定値rとを比較判別する(S3)。この判別の結果、暗レベル合計範囲ΣNnが設定値r以下の場合は、少なくとも重ね取りではないため通過させる(S4、重ね取り判別手段)。
【0054】
一方、暗レベル合計範囲ΣNnが設定値rを超える場合は、暗レベルの合計範囲が大きく、重ね取りの可能性又はバッチカードが厚い場合の可能性もあるため、ステップS5でバッチカードBCの判別を行う。ここでは、ステップS1で算出した光学センサ論理和出力SO1〜SO6の論理和(OR)出力SOが明レベル閾値X以上である孔の数Xpを計数する。即ち、ここでは図3に示す本実施例1のバッチカードBCには孔が6個あるため、この孔の数が6個に一致するか確認する(S5)。なお、上記論理和は、光学センサ論理和出力SO1〜SO6の、時間軸tに対してそのセンサ出力SO1〜SO6の中の最大値を示す値をプロットすすることにより論理和出力SOがられる。
【0055】
上記、バッチカードの孔の確認の結果、6個に一致しない場合には、バッチカードBCではないものとして排除する(S7)。
【0056】
一方、ステップS5による確認の結果、6個の場合には、バッチカードBCが検知されたものとして通過させる。即ち、紙葉類判別装置側に搬送する(S8)。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施例1に係るバッチカード検知装置を搭載した紙葉類処理装置の概略系統図。
【図2】図1に示す供給部に供給される紙葉類束の一例。
【図3】本実施例1に係るバッチカードの一例。
【図4】図3に示すバッチカードの他の一例(その1)。
【図5】図3に示すバッチカードの他の一例(その2)。
【図6】厚さ検知センサによるバッチカードの検知位置及び検知出力。
【図7】図6に示す厚さ検知センサ出力によるバッチカード検知方法を説明する図。
【図8】厚さ検知センサによる紙葉類の検知位置及び検知出力の一例
【図9】図8に示す厚さ検知センサ出力による紙葉類の重ね取り検知方法を説明する図。
【図10】図6に示すバッチカードの検知アルゴリズム。
【図11】従来のバッチカード検知アルゴリズム。
【符号の説明】
【0058】
BC バッチカード
P 紙葉類
S 紙葉類束
G0〜G3 区分ゲート0〜区分ゲート3
1 紙葉類処理装置
2a 供給部
2b 取出ロータ
3 搬送路
4 厚さ検知センサ
5 紙葉類判別装置
6a〜8a 集積装置1〜集積装置3
6b〜8b 施封装置1〜施封装置3
502 操作表示部
【技術分野】
【0001】
本発明は、有価証券などの紙葉類を、バッチカードを用いて区分して判別処理する紙葉類処理装置に関し、特に、紙葉類処理装置に搭載されるバッチカード検知装置及びバッチカードに関する。
【背景技術】
【0002】
有価証券などの紙葉類を処理する紙葉類処理装置は、一括して投入された紙葉類を一定間隔に1枚ずつ取り出して搬送し、紙葉類判別装置によって当該紙葉類の種類(券種)別、搬送方向判別、真偽判別(真券か偽券か)及び正損判別(再流通可能な正券か再流通不可能な損券か)を行い、この判別結果に基づいて紙葉類を区分し、施封装置又は集積装置などの処理装置に振り分けて処理する装置である。
【0003】
この際、処理する紙葉類束(バッチ)ごとに処理可能な紙葉類処理装置では、小口のバッチ処理を行う場合、バッチ処理の単位ごとに紙葉類の最後にバッチカード(又は、ヘッダーカードともいう)を挿入し、区分して処理するバッチカード処理と称される方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。なお、紙葉類の最初にダミーカードを用い、その後に処理する紙葉類を挿入し、最後にバッチカードを挿入して区分する方法もあるが、基本的には同様の方法である。
【0004】
バッチカードは、処理する紙葉類と異なるため、後述する排除券扱いとなり、排除券集積部に集積される。その際、バッチカードの間に挟まれて集積された紙葉類が当該バッチ処理で排除された紙葉類であることがわかるようにする必要がある。そのため、このバッチカードは、他の紙葉類との区別ができるように特徴的な形態が施される(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
一方、紙葉類処理装置は、装置による誤判別防止、ジャム等障害防止のために、上記紙葉類判別装置による判別を行う前に、例えば、2枚取りなどの重ね取り・連れ取りなどの搬送異状が生じた紙葉類及びバッチカードを予め排除するセンサ(以下、G0センサと称する。)を備えている場合がある。
【0006】
図11に従来のバッチカード検知アルゴリズムの一例を示す。この方法は、G0センサとして光学センサ用い、当該光学センサ出力が暗レベル閾値に満たない合計範囲Nnと設定値rを比較判別し(S10)、この判別の結果、暗レベル閾値に満たない合計範囲Nnが、設定値rを超える場合には、重ね取りをしているものと見なして排除券扱いにしている(S11)。当然、暗レベル閾値に満たない合計範囲Nnが設定値r以下の場合には、正常な紙葉類又はバッチカードとしてこのG0センサでは排除せずに通過させている(S12)。
【0007】
このG0センサを備えている場合には、当該G0センサによって正常搬送された紙葉類及びバッチカードが排除されないようにする必要がある。それは、バッチカードの目的が、バッチカードが当該バッチ処理の最後に搬送されるカードであり、当該バッチ処理中に排除券集積部に集積された排除券の上に確実に集積されることにより、他のバッチによる排除券と区別することを目的にしていることによる。
【特許文献1】特開2006−99391号公報 (第5−6頁、図1)
【特許文献2】特開2007−140940号公報 (第6頁、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のG0センサを備えた紙葉類処理装置において、G0センサがバッチカードを例えば2枚取りの紙葉類に誤検知し、搬送異状券として排除してしまう場合がある。この場合は、バッチカードの前に搬送された紙葉類が上記紙葉類判別装置による判別を行うため、又は判別結果に基づく集積を行うために搬送路上にあるにも係らず、最後に搬送されたバッチカードが排除券集積装置に集積されてしまい、排除券の入り繰りが発生してしまうという課題があった。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、バッチカードに対する誤検知されにくいバッチカードの提供と、当該バッチカードを確実に検知するバッチカード検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載のバッチカード検知装置は、紙葉類及びこの紙葉類を区分するために挿入されたバッチカードからなる媒体が供給された供給部から1枚ずつ取り出して搬送し、前記紙葉類及びバッチカードを検知するバッチカード検知装置であって、前記バッチカード検知装置は、前記紙葉類及びバッチカードの搬送方向と交差する方向に配置した複数の光学センサと、これら複数の光学センサの検知出力の平均値を時間軸に対して算出する平均値算出手段と、前記複数の検知センサの検知出力の論理和を時間軸に対して算出する論理和算出手段と、前記平均値算出手段によって算出された光学センサ平均出力が暗レベル閾値に満たない範囲の合計範囲を算出する合計範囲算出手段と、前記合計範囲が所定の設定値を超える場合に前記媒体が重ね取りであると判別する重ね取り判別手段と、前記論理和算出手段によって算出された光学センサ論理和出力が、明レベル閾値を超える部分の個数を計数する計数手段と、この計数手段による計数値が前記バッチカードに設けた孔の数と一致する場合には前記バッチカードであると判別するバッチカード判別手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、バッチカードに対する誤検知されにくいバッチカードの提供と、当該バッチカードを確実に検知するバッチカード検知装置及びバッチカードを提供することを目的とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の実施例1に係るバッチカード検知装置を搭載した紙葉類処理装置1の概略系統図である。紙葉類処理装置1は、有価証券などの紙葉類Pの真偽(真券か偽券か)又は正損(再流通可能な正券か再流通不可能な損券か)を判別し、例えば正券は集積装置1(6a)・7aに集積し、損券は集積装置3(8a)に集積し、2枚取り券などの搬送異状券及び異種券・判別不能券などの排除券は排除券集積装置9に集積される。
【0014】
紙葉類処理装置1には、紙葉類P及びこの紙葉類Pを区分するために挿入されたバッチカードBCからなる媒体が集積された紙葉類束Sを供給する供給部2aが設けられている。この供給部2aに供給された紙葉類束Sの最上面の紙葉類Pから順番に一定間隔で1枚ずつ取出ロータ(取出手段)2bによって搬送路(搬送手段)3に取り出されて搬送される。
【0015】
このようにして取り出された紙葉類Pは、バッチカード検知装置を構成する厚さ検知センサ(G0センサ)4によって媒体の搬送状態が検知される。この検知によって媒体の重ね取りなどの搬送異状が検知された場合、当該媒体は、紙葉類判別装置5の方向に搬送されず分岐ゲートG0を切り換えることによって排除券集積装置9側に搬送される。一方、上記搬送状態が正常である媒体は、紙葉類判別装置5側に搬送され、紙葉類Pの真偽、正損などが判別される。
【0016】
紙葉類判別装置5による判別の結果、正券と判別された紙葉類P(以下、正券と称する。)は、区分ゲート0(G1)が切り換えられて集積装置1(6a)に集積される。この集積装置1(6a)に集積された正券が所定枚数(例えば、100枚)に到達した場合、継続して集積される正券は、区分ゲートG1、G2が切換えられて集積装置2(7a)に集積される。この場合、集積装置1(6a)に集積された正券100枚は当該集積装置1(6a)の下段に配置された施封装置1(6b)によって施封される。集積装置2(7a)に集積された正券が所定枚数に到達した場合、継続して集積される正券は、区分ゲートG1が切換えられて集積装置1(6a)に集積される。集積装置2(7a)に集積された正券100枚は、当該集積装置2(7a)の下段に配置された施封装置2(7b)によって施封される。
【0017】
また、紙葉類判別装置5による判別の結果、損券と判別された紙葉類(以下、損券と称する。)は、区分ゲートG3が切換えられて集積装置3(8a)に集積される。また、この集積装置3(8a)に集積された損券(例えば、100枚)は、当該集積装置3(8a)の下段に配置された施封装置3(8b)によって施封される。
【0018】
図2は、供給部2aに供給される紙葉類束Sを示す。この紙葉類束Sは、複数枚の紙葉類Pと、当該紙葉類Pの最下面に挿入したバッチカードBCで構成される。このように構成された紙葉類束Sの最上面の紙葉類Pから順番に取り出され、バッチカードBCは最後に取り出される。
【0019】
図3は、本実施例1に係るバッチカードBCの一例である。バッチカードBCには、当該紙葉類束Sを区分するための個別情報が含まれる。この個別教法は、例えば、バーコード・模様・磁気情報などで、単独で又は組み合わされて使用される。
【0020】
また、上記個別情報によって、バッチカードBCそのものが排除券集積装置9に集積された排除券を区分する役割をもっており、正しいタイミングで排除券集積装置9に集積される必要がある。
【0021】
上記バッチカードBCを利用する利便性からは、当該バッチカードBCの搬送方向が表裏又は正逆の何れの方向に上記紙葉類束に挿入された場合であっても利用できることが望ましい。そのためには、バッチカード検知装置としての厚さ検知センサ4によって検知可能で、かつ、図示したように方向性に無関係な点対象形状が適している。本実施例1では、この対角線上に孔を設けた場合を示す。図4及び図5は、図3に示すバッチカードBCの他の一例である。この場合であっても、図3に示すバッチカードBC同様の効果が得られる。
【0022】
図6は、厚さ検知センサ4によるバッチカードBCの検知位置及び検知出力を示す。本実施例1の厚さ検知センサ4は、6個の光学センサS1〜S6で構成され、バッチカードBCの搬送方向に対して交差する方向に配置される。光学センサS1〜S6は、それぞれ投光器及び受光器を有して構成され、当該投光器と受光器との間を媒体が搬送される。
【0023】
バッチカードBCは、当該厚さ検知センサ4によって確実に検知され、排除券扱いにならずに紙葉類判別装置5側に搬送される必要がある。以下、このバッチカードBCの検知方法を図6及び図7を用いて説明する。続いて、当該厚さ検知センサ4によって紙葉類Pが1枚の場合は通過(排除券にならず)、重ね取りした場合は排除券扱いになることを検証する。
【0024】
図6(1)は、厚さ検知センサ4に対してバッチカードBCが図示矢印A方向に搬送されたときの検知位置を破線で示す。図6(2)は、図6(1)に示す光学センサS1〜S6の光学センサ出力S1O〜S6Oを示す。この光学センサ出力S1O〜S6Oは、光学センサS1〜S6が当該バッチカードBCの孔を検知した部分は透過光量が大きいために光学センサ出力S1O〜S6Oが大きな値を示す。この図は、投光器受光器間の透過光量が媒体によって遮られないときに100%と表示してある。これらの光学センサS1〜S6は同様に構成されており、これら光学センサS1〜S6によって検知されるバッチカードBCの孔も当該光学センサS1〜S6の検知範囲を通過するように搬送されるため、これら光学センサ検知出力S1O〜S6Oはほぼ同じ値になる。
【0025】
このバッチカードBCを検知したときの光学センサ出力S1O〜S6Oの信頼性が高ければ安定した検知が可能である。
【0026】
上述したように光学センサ論理和出力SO1〜SO6は同様に構成されているため、ここでは、光学センサ出力S1Oに付いて説明する。
【0027】
光学センサ出力S1Oが暗レベル閾値Y以下の範囲Nn(=N1+N2)が設定値rに対して下式(1)を満たすこと。この範囲Nnは範囲の合計長さを所定の単位で計数することによって算出する。例えば、最小計数単位が1mmの場合、Nn及びrの値はNn(mm)、r(mm)となる。
【0028】
Nn(=N1+N2)>r・・・・・・・(1)
Nn:光学センサ出力S1Oが暗レベル閾値Y以下になる範囲の合計範囲(長さ)
r:暗レベルの範囲の合計範囲(長さ)を判別する閾値
光学センサ出力S1Oが明レベル閾値Xに対して下式(2)を満たすことが望ましい。
【0029】
S1O≧X・・・・・・・・・・・・・・(2)
ここで明レベル閾値Xは、孔を検知するときの許容される変動があっても、当該バッチカードBCを確実に検出可能なし閾値になるように設定される。
【0030】
図7は、図6に示す厚さ検知センサ出力によるバッチカード検知方法を説明する図である。
【0031】
図7(1)は、厚さ検知センサ4に対してバッチカードBCが図示矢印A方向に搬送されたときの検知位置を破線で示しており、図6(1)と同様である。
【0032】
図7(2)は、図6(2)に示す光学センサ出力S1O〜S6Oを時間軸tに対し、その平均値を算出して得られた光学センサ平均出力SOavである。
【0033】
SOav=(1/6)・(S1O+S2O+S3O+S4O+S5O+S6O)・・(3)
従来、この光学センサ平均出力SOavによってバッチカードBCの判別を行っていた。判別方法は、上式(1)を用い、光学センサ出力S1Oが暗レベル閾値Y以下の範囲Nn(=N1)が設定値rに対し上式(1)を満たすかどうかで判別していた。図示した場合、N=N1となるため、上式(1)は、下式(4)で示される。
【0034】
Nn(=N1)>r・・・・・・・・・(4)
上式(3)の場合には、即ち、バッチカードBCの孔部分を積極的に検知していないため、バッチカードBCの厚さが厚い場合には、孔部分の出力変化が相対的に低く、閾値Z
を越す孔部分を確実に検出できない場合があり、この場合には、2枚取り(重ね取り)又は連れ取りした紙葉類と同様に判別され、排除券にしてしまう場合があった。また、この閾値Zを誤検知しにくい高いレベルに設定できないという課題があった。
【0035】
一方、図7(3)は、図6(2)で示す光学センサ出力S1O〜S6Oの、時間軸tに対してその最大値を示す値をプロット(抽出)して生成した光学センサ論理和出力SOである。すなわち、光学センサS1の孔部分の出力は図7(3)の1に対応し、同様に光学センサS2の孔部分の出力は同図の2に対応する。以下、同様に光学センサS6の出力は同図の6に対応する。このようにして、光学センサ論理和出力SOは、光学センサ出力S1O〜S6Oを所謂オア(OR)にした出力波形である。
【0036】
このようにして生成された光学センサ論理和出力SOは、下式(5)、(6)によって判別される。
【0037】
光学センサ論理和出力SOが閾値Y以下の範囲Nn(=N1+N2+・・・+N7)が設定値rに対して下式(5)を満たすこと。
【0038】
Nn(=N1+N2+・・・+N7)>r・・・・・・・(5)
Nn:光学センサ論理和出力SOが暗レベル閾値Y以下になる範囲N1〜N7の合計範囲(長さ)
r:暗レベルの範囲の合計範囲を判別する閾値
光学センサ論理和出力SOが閾値Xを超える孔部分の個数がXPに対して下式(6)を満たすこと。
【0039】
SO≧Xp・・・・・・・・・・・・・・(6)
Xp=6
上述した方法によれば、バッチカードBCを安定して検知することができる。
【0040】
次に、上述した厚さ検知センサ4が紙葉類Pを検知した場合の動作を図8及び図9を用いて説明する。
【0041】
図8は、厚さ検知センサ4による紙葉類Pの検知位置及び検知出力の一例である。
【0042】
図8(1)は、厚さ検知センサ4に対して紙葉類Pが図示矢印A方向に搬送された場合の検知位置を破線で示す。
【0043】
本実施例の厚さ検知センサ4は、上述したように、6個の光学センサS1〜S6で構成され、紙葉類Pの搬送方向に対して交差する方向に配置される。光学センサS1〜S6は、それぞれ投光器及び受光器を有して構成され、当該投光器と受光器との間を紙葉類Pが搬送される。このような配置にすることによって、紙葉類Pが図示矢印A方向に搬送されたとき、図示破線で示す部分の紙葉類Pの厚さが検知される。
【0044】
図8(2)は、図8(1)に示す光学センサS1〜S6の光学センサ出力S1O〜S6Oを示す。この光学センサ出力S1O〜S6Oは、透過光量を示しており、全く遮るものが無い場合は光学センサ出力が大きく、この値を100%として表示している。従って、紙葉類の薄い部分、透かし部分又は印刷の薄い部分などは透過光量が多く、検知出力波形が大きい値を示す。
【0045】
上記光学センサ出力S1O〜S6Oを用いて、上式(1)、(2)に基づいてバッチカードの判別を行うと、当該バッチカードは、明レベル閾値Xを越す部分がXP個存在することはないため、バッチカードと判別されることはないが紙葉類が1枚であるのか重ね取りしたものかの判別は困難である。そこで、光学センサ出力S1O〜S6Oを用いて図9に示す方法によって紙葉類の重ね取りを判別する。なお、上述したように、この厚さ検知センサ4では、紙葉類Pの重ね取り(2枚取りを含む)された紙葉類が有る場合には、それを検知しこの厚さ検知センサ4によって排除券扱いにする必要がある。
【0046】
図9は、図8に示す厚さ検知センサ出力による紙葉類Pの重ね取り検知方法を説明する図である。
【0047】
図9(1)は、図8(1)と同じ図であり、厚さ検知センサ4に対して紙葉類Pが図示矢印A方向に搬送された場合の検知位置を破線で示す。
【0048】
図9(2)は、図8(2)に示す光学センサ出力S1O〜S6Oの時間軸tに対し、その平均値を算出して得られた光学センサ平均出力SOavで、紙葉類Pが1枚の場合を示す。紙葉類が1枚の場合、光学センサ平均出力SOavは、暗レベル閾値Yを超えており、2枚取りと判別されない。この結果、当該紙葉類Pは、紙葉類判別装置5側に搬送される。
【0049】
図9(3)は、重ね取り(2枚取り)の場合の光学センサ平均出力SOavを示す。この光学センサ平均出力SOavの算出方法は、上記式(3)に示す通りである。この場合には、同図に示すように、光学センサ平均出力SOavが暗レベル閾値Y以下の部分が検出される。この場合、その検出幅N(=N1+N2+N3+N4)が設定値rを越す場合に重ね取り(2枚取りを含む)と判別される。
【0050】
図10は、上述したバッチカードBCの検知アルゴリズムである。この検知アルゴリズムは、厚さ検知センサ内に設けられたCPU(Central Processing Unit)によって実行され、その判別結果は、搬送制御部(図示しない)に通知される。搬送制御部は判別結果に基づいて区分ゲートG0を切換えることになる。
【0051】
最初に光学センサ出力S1O〜S6Oの平均値である光学センサ平均出力SOavを上記式(3)により算出する(平均値算出手段)。また、光学センサ出力S1O〜S6Oの論理和(OR)出力であるSOを算出する(S1、論理和算出手段)。
【0052】
次に、上記光学センサ平均出力SOavが暗レベル閾値Yに満たない暗レベル合計範囲ΣNnを上記式(4)で算出する(S2、合計範囲算出手段)。
【0053】
次に、上記暗レベル合計範囲ΣNnと設定値rとを比較判別する(S3)。この判別の結果、暗レベル合計範囲ΣNnが設定値r以下の場合は、少なくとも重ね取りではないため通過させる(S4、重ね取り判別手段)。
【0054】
一方、暗レベル合計範囲ΣNnが設定値rを超える場合は、暗レベルの合計範囲が大きく、重ね取りの可能性又はバッチカードが厚い場合の可能性もあるため、ステップS5でバッチカードBCの判別を行う。ここでは、ステップS1で算出した光学センサ論理和出力SO1〜SO6の論理和(OR)出力SOが明レベル閾値X以上である孔の数Xpを計数する。即ち、ここでは図3に示す本実施例1のバッチカードBCには孔が6個あるため、この孔の数が6個に一致するか確認する(S5)。なお、上記論理和は、光学センサ論理和出力SO1〜SO6の、時間軸tに対してそのセンサ出力SO1〜SO6の中の最大値を示す値をプロットすすることにより論理和出力SOがられる。
【0055】
上記、バッチカードの孔の確認の結果、6個に一致しない場合には、バッチカードBCではないものとして排除する(S7)。
【0056】
一方、ステップS5による確認の結果、6個の場合には、バッチカードBCが検知されたものとして通過させる。即ち、紙葉類判別装置側に搬送する(S8)。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施例1に係るバッチカード検知装置を搭載した紙葉類処理装置の概略系統図。
【図2】図1に示す供給部に供給される紙葉類束の一例。
【図3】本実施例1に係るバッチカードの一例。
【図4】図3に示すバッチカードの他の一例(その1)。
【図5】図3に示すバッチカードの他の一例(その2)。
【図6】厚さ検知センサによるバッチカードの検知位置及び検知出力。
【図7】図6に示す厚さ検知センサ出力によるバッチカード検知方法を説明する図。
【図8】厚さ検知センサによる紙葉類の検知位置及び検知出力の一例
【図9】図8に示す厚さ検知センサ出力による紙葉類の重ね取り検知方法を説明する図。
【図10】図6に示すバッチカードの検知アルゴリズム。
【図11】従来のバッチカード検知アルゴリズム。
【符号の説明】
【0058】
BC バッチカード
P 紙葉類
S 紙葉類束
G0〜G3 区分ゲート0〜区分ゲート3
1 紙葉類処理装置
2a 供給部
2b 取出ロータ
3 搬送路
4 厚さ検知センサ
5 紙葉類判別装置
6a〜8a 集積装置1〜集積装置3
6b〜8b 施封装置1〜施封装置3
502 操作表示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類及びこの紙葉類を区分するために挿入されたバッチカードからなる媒体が供給された供給部から1枚ずつ取り出して搬送し、前記紙葉類及びバッチカードを検知するバッチカード検知装置であって、
前記バッチカード検知装置は、
前記紙葉類及びバッチカードの搬送方向と交差する方向に配置した複数の光学センサと、
これら複数の光学センサの検知出力の平均値を時間軸に対して算出する平均値算出手段と、
前記複数の検知センサの検知出力の論理和を時間軸に対して算出する論理和算出手段と、
前記平均値算出手段によって算出された光学センサ平均出力が暗レベル閾値に満たない範囲の合計範囲を算出する合計範囲算出手段と、
前記合計範囲が所定の設定値を超える場合に前記媒体が重ね取りであると判別する重ね取り判別手段と、
前記論理和算出手段によって算出された光学センサ論理和出力が、明レベル閾値を超える部分の個数を計数する計数手段と、
この計数手段による計数値が前記バッチカードに設けた孔の数と一致する場合には前記バッチカードであると判別するバッチカード判別手段と、
を備えたことを特徴とするバッチカード検知装置。
【請求項2】
前記論理和算出手段は、
前記複数の光学センサ出力の、時間軸に対してその最大値を抽出して論理和出力を生成することを特徴とする請求項1記載のバッチカード検知装置。
【請求項3】
紙葉類及びこの紙葉類を区分するために挿入されたバッチカードからなる媒体が供給された供給部から1枚ずつ取り出して搬送し、前記紙葉類及びバッチカードを検知するバッチカード検知装置に用いられるバッチカードであって、
前記バッチカードの内部に前記バッチカード検知装置によって検知可能で、かつ点対称に配置された複数の孔が配置されていることを特徴とするバッチカード。
【請求項1】
紙葉類及びこの紙葉類を区分するために挿入されたバッチカードからなる媒体が供給された供給部から1枚ずつ取り出して搬送し、前記紙葉類及びバッチカードを検知するバッチカード検知装置であって、
前記バッチカード検知装置は、
前記紙葉類及びバッチカードの搬送方向と交差する方向に配置した複数の光学センサと、
これら複数の光学センサの検知出力の平均値を時間軸に対して算出する平均値算出手段と、
前記複数の検知センサの検知出力の論理和を時間軸に対して算出する論理和算出手段と、
前記平均値算出手段によって算出された光学センサ平均出力が暗レベル閾値に満たない範囲の合計範囲を算出する合計範囲算出手段と、
前記合計範囲が所定の設定値を超える場合に前記媒体が重ね取りであると判別する重ね取り判別手段と、
前記論理和算出手段によって算出された光学センサ論理和出力が、明レベル閾値を超える部分の個数を計数する計数手段と、
この計数手段による計数値が前記バッチカードに設けた孔の数と一致する場合には前記バッチカードであると判別するバッチカード判別手段と、
を備えたことを特徴とするバッチカード検知装置。
【請求項2】
前記論理和算出手段は、
前記複数の光学センサ出力の、時間軸に対してその最大値を抽出して論理和出力を生成することを特徴とする請求項1記載のバッチカード検知装置。
【請求項3】
紙葉類及びこの紙葉類を区分するために挿入されたバッチカードからなる媒体が供給された供給部から1枚ずつ取り出して搬送し、前記紙葉類及びバッチカードを検知するバッチカード検知装置に用いられるバッチカードであって、
前記バッチカードの内部に前記バッチカード検知装置によって検知可能で、かつ点対称に配置された複数の孔が配置されていることを特徴とするバッチカード。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−187156(P2009−187156A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−24727(P2008−24727)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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