説明

バッチパンのスライス、バッチパン、その製法、およびそれに用いられる容器

本発明はバッチパンのスライスに関し、このスライスは、クラム(2)、そのクラム(2)の囲むクラスト(3)、および、その1つが少なくともクラム(2)によって基本的に定められた2つの主面(7)を備えている。このバッチパンのスライスは細長く、また、その長さの少なくとも一部にわたって非直線の断面を有し、クラスト(3)によって定められる第1の長辺(4)を少なくとも有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、バッチパンの分野に関する。より具体的には、そのようなバッチパンのスライス、および、そのようなスライスを得ることができる一斤のバッチパンに関する。本発明はまた、このスライスの製造方法、および、この方法で使用されるように設計された焼き缶に関する。
【背景技術】
【0002】
競争総局(General Directorate for Competition)、消費者問題不正管理(Consumer Affairs and
Fraud Control、フランス政府DGCCRF)によって発行されたドキュメントBID 7−8/94に明記されているように、バッチパンは、脂肪、砂糖およびミルク派生物から選ばれた少なくとも1つの物質を含む特別のパンである。バッチパンは缶の中で焼かれ、そのクラムは特に濃厚で柔らかく、一方、クラストは薄く、それほど硬くない。通常、バッチパンは販売に先立って横にスライスされる。こうして得られたスライスは、現在、正方形かまたは円形の形状である。そのような形は、スライスがトーストまたはサンドイッチを作るために使用される場合、適切であるが、他の用途では必ずしも適切ではない。
【0003】
バッチパンの正方形または円形は、コンパクトであり、剛性をもたらす。バッチパンのスライスの周囲のクラストの機械的特性は低いので、そのようなスライスの形状を変更することは、時々、その剛性を著しく低下させることにつながる。これが、現在提示できるバッチパンの形状が非常に少ない理由であり、これは不利である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、一斤のバッチパンから得られるが、上記した2つの以外の形状を有し、同時に、手で簡単に扱うことができるような十分な剛性を維持する少なくともスライスを提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、本発明の主題は、クラムと、このクラムの周辺を囲むクラストと、その少なくとも1つが基本的に前記クラムによって定められる対向する2つの主面と、を備えるバッチパンのスライスにおいて、それ(スライス)は細長く、かつ、非直線の断面をその長さの少なくとも一部にわたって有し、前記クラストによって定められる、少なくとも1つの第1の長辺を有すること、を特徴とするバッチパンのスライスである。
【0006】
このバッチパンのスライスの他の有利な特徴によれば、
それは、前記第1の長辺の反対に位置し、前記クラストによって定められる第2の長辺を備える。
前記第2の長辺が、非直線の断面をその長さの少なくとも一部にわたって有する。
前記断面が基本的に均一にカーブしている。
前記第1の長辺が、その長さの少なくとも一部にわたって少なくとも、全体として凸状である。
前記クラストによって定められ、前記第1および第2の長辺を一緒につなぐ、2つの横の対向する辺を有する。
前記横の辺の1つが、非直線の断面をその長さの少なくとも一部にわたって有する。
長さと幅を有し、0.31と0.61の間の長さ対幅の比を有する。
【0007】
本発明の他の主題は、クラム内側と、クラストの幾つかの面とを備える一斤のバッチパンである。このバッチパンは、スライスされるように意図されている。前記面の少なくとも1つが、スライス後に、上記に定義したようなスライスの第1の長辺を形成するように設計された溝を有している。
【0008】
有利には、各溝が、上記スライスの1つの厚みを予め定める。
【0009】
本発明の更なる主題は、幾つかの内面を有する焼き缶が使用されるバッチパンの製造方法において、これらの内面の少なくとも1つが溝を有しており、
この方法は、
b) 発酵させられた生地が缶の中で焼かれてバッチパンとなるステップ、そして、
c) 缶の溝に対応する溝をその少なくとも1つの面が有する一斤のパンが缶から取り出されるステップ、そして
f) 上記に定義されたようなスライスが、一斤のバッチパンから、この一斤の溝と平行にカットされるステップと、を含むことを特徴とするバッチパンの製造方法である。
【0010】
この方法の他の有利な特徴によれば、それは、
ステップb)の後、前記一斤のバッチパンは幾つかの細長い面を有し、そのうち、溝を備えた面と前記一斤の別の面とが、前記一斤のパンの他の細長い面よりも幅広な2つの対向面であり、
当該方法は、
ステップc)の後におよびステップf)に先立って、
d)コンベア上で、前記一斤のバッチパンがその2つの最大幅面の1つに面して倒されるステップと、
e)前記コンベアが前記一斤を、前記2つの最大幅面の1つに面して安定したやり方で運んでいる間、前記一斤のパッチパンがコンベア上に置かれて冷まされるステップと、
を有する。
【0011】
本発明のさらに別の主題は、成形容積の範囲を一緒に部分的に定める少なくとも2つの対向する細長い壁を備える、一斤のバッチパンを焼くための缶において、
上記に定義されたような方法を実行するのに使用可能であり、
その2つの細長い壁の少なくとも1つの内面が横の溝を有し、該2つの細長い壁は、それらの間の平均距離よりも長い幅を有する、一斤のバッチパンを焼くための缶である。
【0012】
この発明は、添付した図面を参照して単に例として与えられる下記の説明を読むことで明確に理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1に描かれているバッチパンは、Z−Z′方向に延びている。それはクラム2で作られた内部と、この内部を囲む周辺のクラスト3とを有し、クラスト3は、全体として長方形であり、バッチパンのスライスの連続する四辺を形成している。これらの辺のうちの2つは参照符4の長辺であり、参照符5、6の端辺である他の2つの辺に一緒に接続されている。
【0014】
参照符Lおよび参照符lはそれぞれスライス1の長さおよび幅を示し、有利には0.31から0.61の間、好ましくは0.4から0.5の間、例えば0.46のオーダの長さ対幅の比を有している。
【0015】
辺4〜6に加え、スライス1は、対向する2つの主面7を有し、これらは基本的にクラム2によって定められる。
【0016】
図2から明らかなように、各長辺4は凸状であり、その断面は非直線である。図の例では、この断面は基本的に均一にカーブしている。
【0017】
その長辺4の形状のおかげで、スライス1がその長い形状にもかかわらず容易に扱うことができるほどの十分な剛性をもつことが、試験により示された。すなわち、本発明の目的に従って、このスライス1は、円形でも正方形でもないが同時に十分な剛性をもつ。
【0018】
その長い形状のおかげで、スライス1を、ボウルに入れられた液体に簡単に浸すことができる。したがって、それは、朝食時に消費されるのに特に適しており、市場で現在入手できるバッチパンのスライスに限られない。
【0019】
長辺4のように、辺5は凸状である。それは、全体として、長辺4と同じ断面である。辺4、5の形状によってスライス1が持ち易くなることが、試験により示され、これは有利である。
【0020】
スライス1は、図3、図4に描かれている缶8の中で焼かれた一斤のバッチパンをスライスして得られる。この缶8は、X−X′方向に延びている。それは、長手方向のボトム9と、そのボトム9から立ち上がり、互いに続く4つの立上り壁とを有している。これらの立上り壁の2つは、対向する長手方向の壁10であり、これらは、缶8の端部で他の2つの立上り壁11によって一緒につながっている。
【0021】
長手方向の各壁10は幅Dを有し、幅Dは壁の間の距離dよりも長い。
【0022】
長手方向の壁10は一様に波形とされており、これは、それらのそれぞれ内面12が、缶8の対称面Pに対して互いに対称な溝13を有することを意味する。この面Pはより具体的には長手方向X−X′に広がる垂直面である。
【0023】
溝13は、長手方向X−X′に対して横向きであり、ボトム9から立ち上がっている。それらは、缶8に沿って均等に連続し、すべての溝は実質的に同一である。ボトム9の内側の面もまた溝14を定めており、溝14は、一方の壁10の溝13と他の壁10の溝13とをつないでいる。
【0024】
ボトム9および壁10、11は一緒に成形容積15の範囲を定めており、この成形容積15は、壁10、11の上端が缶8の上部開口を定めているので、上端で開口している。
【0025】
缶8を使用して一斤のバッチパンを作ることは、生地を容積15内に置くことから始まり、この生地は発酵のため放置される。それが発酵したら、生地は缶8の中で焼かれ、そして、図5〜7の参照符16の一斤のバッチパンが作られる。この目的のための吸引把持機または他の把持手段を備えた機械によって引き上げられ、一斤のバッチパン16は、「剥離機(demolder)」として一般に知られそれ自体公知のこの機械によって、それを上向きにスライドさせることで缶から取り出される。一斤のパン16が缶8の外に置かれたら、それは、図5に矢印F1で示すように、長手方向の2つの最大幅面17の1つに面して倒される。一斤のパン16は、それから、コンベアのコンベアベルト18上に安定したやり方で置かれ、矢印F2で示すようにスライス装置の方向にゆっくりと運ばれている間、冷ますために放置される。それは、ベルト18に沿って運ばれ、安定しているので、一斤のバッチパン16はこのスライス装置に適切な向きで到達する。
【0026】
冷まされると、一斤のバッチパン16は図6に示すようになる。それは、全体として平行六面体の形状を有し、2つの端面19と4つの長手方向の細長い面17、21、22を有する。それらは、互いに対向して位置し、溝13に対応する溝23を有する。面21も、缶8のボトムの溝14に対応する参照符24の溝を有する。
【0027】
一斤のバッチパン16は図4の参照符Tの面で横にスライスされ、この面Tは、一斤のパン16に沿って一定の間隔で連続し、連続する2つの溝23および連続する2つの溝24の間に収まっている。図7は、一斤のパン16を、前後F3に動くナイフ25を使ってスライスするところを模式的に示している。このスライスの後、一斤のバッチパン16は、全体として、その1つの主面がクラムではなくクラストで定められる端の2つのスライスの除き同じスライス1である複数のスライスの連続物になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明のバッチパンのスライスの斜視図である。
【図2】図1の平面IIの断面図である。
【図3】図1、図2のスライスがそれから得られる一斤のバッチパンを焼くための缶の高さであり、この缶は片側から見られている。
【図4】図3に描かれた缶の上方からの図である。
【図5】図1、図2のスライスがそれから得られる一斤のバッチパンを作るステップを示す斜視図である。
【図6】図1、図2のスライスがそれから得られる一斤のバッチパンの斜視図である。
【図7】図6に描かれた一斤のバッチパンをスライスするところを示す斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラム(2)と、このクラム(2)の周辺を囲むクラスト(3)と、その少なくとも1つが基本的に前記クラム(2)によって定められる対向する2つの主面7と、を備えるバッチパンのスライスにおいて、
細長く、かつ、
非直線の断面をその長さの少なくとも一部にわたって有し、前記クラスト(3)によって定められる、少なくとも1つの第1の長辺(4)を有すること、を特徴とするバッチパンのスライス。
【請求項2】
前記第1の長辺(4)の反対に位置し、前記クラスト(3)によって定められる第2の長辺(4)を備える、請求項1に記載のスライス。
【請求項3】
前記第2の長辺(4)が、非直線の断面をその長さの少なくとも一部にわたって有する、請求項2に記載のスライス。
【請求項4】
前記断面が基本的に均一にカーブしている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のスライス。
【請求項5】
前記第1の長辺(4)が、その長さの少なくとも一部にわたって、少なくとも、全体として凸状である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のスライス。
【請求項6】
前記第2の長辺(4)が、その長さの少なくとも一部にわたって、全体として凸状である、請求項5ならびに請求項2および3のいずれかに記載のスライス。
【請求項7】
前記クラスト(3)によって定められ、前記第1および第2の長辺(4)を一緒につなぐ、2つの横の対向する辺(5、6)を有する、請求項2、3および6のいずれか1項に記載のスライス。
【請求項8】
前記横の辺の1つ(5)が、非直線の断面をその長さの少なくとも一部にわたって有する、請求項7に記載のスライス。
【請求項9】
長さ(L)と幅(l)を有し、0.31と0.61の間の長さ対幅の比を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のスライス。
【請求項10】
クラム内側(2)と、クラスト(3)の幾つかの面(17、19、21、22)とを備え、スライスされるように意図されている一斤のバッチパンにおいて、
前記面の少なくとも1つが、スライス後に、請求項1〜9のいずれか1項に記載のスライス(1)の前記第1の長辺(4)を形成するように設計された溝(23)を有することを特徴とする一斤のバッチパン。
【請求項11】
前記各溝(23)が、前記スライス(1)の厚みを予め定める、請求項10に記載の一斤のバッチパン。
【請求項12】
幾つかの内面(12)を有する焼き缶(8)が使用されるバッチパンの製造方法において、
これらの内面の少なくとも1つ(12)が溝(13)を有しており、
この方法は、
b) 発酵させられた生地が缶(8)の中で焼かれてバッチパンとなるステップ、そして、
c) 缶(8)の溝(13)に対応する溝(23)をその少なくとも1つの面(17)が有する一斤のパン(16)が缶から取り出されるステップ、そして
f) 請求項1〜9のいずれか1項に記載のスライス(1)が、該一斤のバッチパンから、この一斤の溝(23)と平行にカットされるステップと、
を含むことを特徴とするバッチパンの製造方法。
【請求項13】
ステップb)に先立って、a)発酵のために生地が缶(8)の中で放置されるステップを含む、請求項12に記載のバッチパンの製造方法。
【請求項14】
ステップb)の後、前記一斤のバッチパン(16)は幾つかの細長い面(17、21、22)を有し、そのうち、溝(23)を備えた面(17)と前記一斤(16)の別の面(17)とが、前記一斤のパン(16)の他の細長い面(21、22)よりも幅広な2つの対向面であり、
当該方法は、
ステップc)の後におよびステップf)に先立って、
d)コンベア(18)上で、前記一斤のバッチパン(16)が、その2つの最大幅面(17)の1つに面して倒されるステップと、
e)前記コンベアが前記一斤を、前記2つの最大幅面(17)の1つに面して安定したやり方で運んでいる間、前記一斤のパッチパン(16)がコンベア(18)上に置かれて冷まされるステップと、
を有する、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
成形容積(15)の範囲を一緒に部分的に定める少なくとも2つの対向する細長い壁(10)を備える、一斤のバッチパン(16)を焼くための缶において、
請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法を実行するのに使用可能であり、
その2つの細長い壁(10)の少なくとも1つの内面(12)が横の溝(13)を有し、該2つの細長い壁(10)は、それらの間の平均距離(d)よりも長い幅(D)を有する、一斤のバッチパンを焼くための缶。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−508512(P2009−508512A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531746(P2008−531746)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【国際出願番号】PCT/FR2006/050870
【国際公開番号】WO2007/034098
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(508088889)
【Fターム(参考)】