説明

バッテリスイッチ装置およびバッテリスイッチ制御システム

【課題】電力遮断時用バッテリを備える情報伝送システム子局装置において、電力遮断時の無駄なバッテリ電力消費を回避することを目的とする。
【解決手段】供給網電力遮断時にオンとなることによりバッテリ46の電力を情報伝送システム用子局の電力需要ブロック40へと導き、供給網電力遮断時にオフとなることによりバッテリ46からの放電を遮断するバッテリスイッチ50と、スイッチ制御部34と、供給網電力の供給が停止したことを検出する電源断検出部52と、情報伝送システム用親局が通信を開始する旨、および情報伝送システム用子局が通信を開始する旨を検出する通信開始検出部38とを備える。スイッチ制御部34は、供給網電力遮断時に親局端末が通信を開始する旨、または子局端末が通信を開始する旨が検出されたときはバッテリスイッチ50をオンとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報伝送システム用子局が備える電力遮断時用バッテリの断続制御を行う装置、およびそのような装置を用いたシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力会社の電力供給所と電力需要所との間の通信、列車の運行情報を収集する列車情報収集局と各駅との間の通信等には、光ファイバ通信システムが用いられる。光ファイバ通信システムは、親局装置、および複数の子局装置を備える。親局装置および各子局装置は光ファイバ通信網に接続される。親局装置は、電力供給所、列車情報収集局等に設けられ、子局装置は、電力需要所、駅等に設けられる。親局装置および子局装置には、電力会社が提供する電力供給網から電源電力が供給される。
【0003】
光ファイバ通信システムでは、電力供給網からの電力が遮断された場合であっても、親局装置と子局装置との間で通信を行うことができることが好ましい。そのため、親局装置は、予備発電機等を設けた構成とする。また、親局装置が電力供給所に設置されている場合には、電力供給が途絶えることを回避するための対策が電力供給所において施されていることがあり、そのような場合には予備発電機等を設けなくてもよい。
【0004】
一方、子局装置は親局装置に比較して台数が多い。また、子局装置に対しては設置スペースを広くとることができない場合が多い。したがって、子局装置は、規模を小さくしコストを低減することが好ましい。そのため、子局装置は、電力供給網からの供給電力によって充電され、電力供給網からの供給電力が遮断されたときには子局装置に電力を供給するバッテリを設ける構成とする。
【0005】
親局装置および子局装置をこのような構成にすることによって、電力供給網からの電力供給が停止した場合であっても、親局装置と子局装置との間で通信を行うことができる。
【0006】
【特許文献1】特開平7−59263号公報
【特許文献2】特開平10−309045号公報
【特許文献3】特開2000−134376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
工場等の子局側施設では、夏期休暇期間、年末年始休暇期間等、電力を長期間用いないときがある。この場合、子局側施設では分電盤のスイッチをオフにし、電力供給網から子局側施設内に供給される全電力を遮断することが一般的である。このとき、子局装置に供給される電力は遮断されるが、子局装置はバッテリの充電電力によって親局装置との間の通信を行うことができる。
【0008】
電力供給網からの電力の遮断時に通信が行われない場合には、バッテリ電力が消費されないことが好ましい。しかし、子局装置は、通信を行わない場合であってもわずかに電力を消費する。そのため、電力遮断時における非通信時にはバッテリ充電電力が無駄に消費されてしまう。
【0009】
本発明はこのような課題に対してなされたものである。すなわち、電力遮断時用バッテリを備える情報伝送システム子局装置において、電力遮断時の無駄なバッテリ電力消費を回避することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、情報伝送システム用親局との間で有線通信を行う情報伝送システム用子局に備えられ、電力供給網から供給される供給網電力によって充電されるバッテリを前記情報伝送システム用子局が備え、当該バッテリの断続制御を行うバッテリスイッチ装置において、供給網電力遮断時にオンとなることにより前記バッテリの電力を前記情報伝送システム用子局の電力需要ブロックへと導き、供給網電力遮断時にオフとなることにより前記バッテリからの放電電力を遮断するバッテリスイッチと、前記バッテリスイッチを制御するスイッチ制御部と、前記供給網電力の供給が停止したことを検出する電源断検出部と、を備え、前記スイッチ制御部は、前記情報伝送システム用親局が通信を開始する旨、および前記情報伝送システム用子局が通信を開始する旨を検出する通信開始検出部を備え、前記供給網電力の供給が停止したことを前記電源断検出部が検出し、かつ、前記情報伝送システム用親局が通信を開始する旨、または前記情報伝送システム用子局が通信を開始する旨を前記通信開始検出部が検出したときは前記バッテリスイッチをオンとすることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るバッテリスイッチ装置においては、前記情報伝送システム用親局から送信されたモード設定情報を取得するモード設定情報取得部を備え、前記スイッチ制御部は、前記モード設定情報が前記バッテリスイッチの断続制御を行う旨の情報を含む場合に、前記バッテリスイッチの断続制御を行うことが好適である。
【0012】
また、本発明は、前記情報伝送システム用親局の通信開始情報を生成する通信開始情報生成部と、前記有線通信に用いられる通信光信号の波長とは異なる波長を有し、前記情報伝送システム用親局の通信開始情報を含む通信開始光信号を生成する親局側電源制御部と、前記バッテリスイッチ装置と、を備え、前記通信開始検出部は、前記通信開始光信号に基づいて、前記情報伝送システム用親局が通信を開始する旨を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、バッテリを備える子局装置において、電力遮断時の無駄なバッテリ電力消費を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1に本発明の実施形態に係る光ファイバ通信システムの構成を示す。親局装置10および子局装置14は、光ファイバ通信網12に接続される。親局装置10と子局装置14との間では、光ファイバ通信網12を介して音声、データ等の通信を行うことができる。1台の親局装置10に対しては、複数の子局装置14を設けることができる。
【0015】
図2に親局装置10の構成例を、図3に子局装置14の構成例を示す。親局装置10が備える親局端末16および子局装置14が備える子局端末32は、電話機、コンピュータのモデム等の一般的な通信端末等とすることができる。ここでは、親局端末16および子局端末32が電話機であるものとして説明する。
【0016】
親局装置10では、親局端末16による通信操作によって、子局装置14に備えられた子局端末32との間で通信を行うことができる。子局装置14では、子局端末32による通信操作によって、親局装置10に備えられた親局端末16との間で通信を行うことができる。
【0017】
親局端末16からの発呼について説明する。親局端末16は、オフフック状態とされ相手側子局装置の電話番号がダイヤルされると、相手側子局装置の電話番号情報を含む発呼情報を交換機18に出力する。交換機18は、親局通信部20の通信回線に空きがあるときは、親局端末16から出力された発呼情報を親局通信部20に出力する。親局通信部20は、発呼情報を波長λ1の光信号に変換し親局合分波器22に出力する。波長λ1は、例えば、λ1=1.55μmとする。
【0018】
親局側電源制御部26は、親局端末16、交換機18および通信開始情報生成部24の処理に基づいて、子局装置14の電源制御用の光信号を出力する。この光信号の波長λ2は、例えば、λ2=1.61μmとする。なお、親局側電源制御部26が実行する処理については後述する。
【0019】
親局合分波器22は、親局通信部20から出力された光信号と、親局側電源制御部26から出力された光信号とを合成し、光ファイバ通信網12に出力する。
【0020】
子局装置14の子局合分波器28は、光ファイバ通信網12から取得した光信号から波長λ1の光信号を抽出し、子局通信部30に出力する。子局通信部30は、子局合分波器28から出力された光信号に含まれる発呼情報が示す電話番号と、自らの電話番号とが一致するときは、子局端末32と親局端末16との間の光通信が可能な状態を確立する。そして、子局端末32のリンガーを鳴らす。このとき、子局端末32がオフフック状態とされると、親局端末16と子局端末32とが通信可能な状態となる。
【0021】
この通信は、親局通信部20から出力され親局合分波器22、光ファイバ通信網12、および子局合分波器28を介して子局通信部30に送信される波長λ1の光信号と、子局通信部30から出力され子局合分波器28、光ファイバ通信網12、および親局合分波器22を介して親局通信部20に送信される波長λ3の光信号によって確立される。波長λ3は、例えば、λ3=1.31μmとする。
【0022】
通信中であった親局端末16は、オンフック状態とされると切断情報を交換機18に出力する。交換機18は、切断情報を親局通信部20に出力する。これによって、親局通信部20は、親局合分波器22、光ファイバ通信網12、および子局合分波器28を介して、子局通信部30との間で通信状態を解除する処理を実行する。
【0023】
子局端末32からの発呼について説明する。子局端末32は、オフフック状態とされ相手側親局端末の電話番号がダイヤルされると、相手側親局端末の電話番号情報を含む発呼情報を子局通信部30に出力する。子局通信部30は、発呼情報を波長λ3の光信号に変換し子局合分波器28に出力する。子局合分波器28は、子局通信部30から出力された光信号を光ファイバ通信網12に出力する。
【0024】
親局装置10の親局合分波器22は、光ファイバ通信網12から取得した光信号から波長λ3の光信号を抽出し、親局通信部20に出力する。親局通信部20は、自身の通信回線に空きがあるときは、親局合分波器22から出力された光信号を交換機18が処理可能な信号に変換し、交換機18に出力する。交換機18は、自らに接続される複数の親局端末16のうち発呼情報が示す電話番号が割り当てられた親局端末16と、子局端末32との間の光通信が可能な状態を確立する。そして、その親局端末16のリンガーを鳴らす。このとき、その親局端末16がオフフック状態とされると、子局端末32と親局端末16とが通信可能な状態となる。
【0025】
通信中であった子局端末32は、オンフック状態とされると切断情報を子局通信部30に出力する。これによって、子局通信部30は、子局合分波器28、光ファイバ通信網12、および親局合分波器22を介して、親局通信部20との間で通信状態を解除する処理を実行する。
【0026】
なお、上記では、親局端末16および子局端末32が電話機である場合の処理について説明した。親局端末16および子局端末32を一般的な通信端末とする場合には、オフフック状態とするときの処理およびオンフック状態とするときの処理を、それぞれ、対応する通信開始処理および通信終了処理とする。また、相手方へのダイヤル操作、アドレス指定等は、通信端末における信号処理によって行う。
【0027】
次に、子局装置14の電源電力の供給について説明する。子局装置14には、電力会社等によって提供される電力供給網42によって電力を供給することができる。
【0028】
子局装置14の電力回路44は、電力供給網42に接続される。電力回路44は、入力端子間に印加される交流電圧を直流電圧に変換し、電圧レベルを調整して電力需要ブロック40に出力する。電力需要ブロック40は、電力回路44またはバッテリ46から電力が供給されることによって動作する構成ブロックであり、子局通信部30および子局端末32を含む。電力回路44を介した直流電力供給によって子局装置14は通信を行うことができる。
【0029】
なお、ここでは、電力供給網42から供給される電力が交流電力であるとしているが、供給される電力は直流電力であってもよい。この場合、電力回路44は、入力端子間に印加された直流電圧の電圧レベルを調整して、電力需要ブロック40に出力する。
【0030】
子局装置14は、電力供給網42の停電時にも通信を行うことができることが好ましい。そのため、子局装置14には、バッテリ46が設けられる。ここでいう停電時には、電力供給網42の電力供給機能が停止した場合と、子局装置14が設置される施設の分電盤等がオフにされた場合のいずれをも含むものとする。
【0031】
バッテリ46の正極端子にはダイオード48のカソード端子が接続される。ダイオード48のアノード端子は、電力回路44の正極出力端子に接続される。また、バッテリ46の負極端子は、電力回路44の負極出力端子に接続される。ダイオード48には、スイッチ制御部34によって制御されるバッテリスイッチ50が並列に接続される。
【0032】
電力供給網42が非停電状態にある電力供給時には、電力回路44からは直流電圧が出力される。このとき、バッテリ46の出力電圧よりも電力回路44の出力電圧の方が大きい場合にはダイオード48が順方向バイアス状態となる。これによって、バッテリスイッチ50のオンオフに関わらず、電力回路44の出力電圧によってバッテリ46を充電することができる。
【0033】
したがって、電力供給時には、電力回路44から電力需要ブロック40に電力を供給すると共に、バッテリ充電量が不十分であるときには、電力回路44によってバッテリ46を充電することができる。
【0034】
一方、電力供給網42の停電時には、電力回路44の出力端子間電圧が0となる。このとき、バッテリスイッチ50がオンであれば、バッテリ46の出力電圧は電力需要ブロック40に印加され、バッテリ46の充電電力は電力需要ブロック40に供給される。そして、バッテリスイッチ50がオフであるときは、ダイオード48が逆方向バイアス状態となるため、バッテリ46の正極端子と電力需要ブロック40との間は遮断される。これによって、バッテリ46の放電を阻止することができる。
【0035】
したがって、停電時にはバッテリスイッチ50の制御によって、バッテリ46から電力需要ブロック40への電力供給の断続制御を行うができる。
【0036】
次に、バッテリスイッチ50の制御について説明する。バッテリスイッチ50の制御は、スイッチ制御部34によって行われる。スイッチ制御部34および電源断検出部52には、停電時にもバッテリ46から電力が供給される。スイッチ制御部34および電源断検出部52は、電力需要ブロック40の消費電力よりも十分小さい電力を消費するよう構成する。電源断検出部52は、電力回路44の入力端子間に印加されている電圧の大きさViを検出する。そして、入力端子間電圧の大きさViが所定の閾値以上であるときは、電力供給網42から電力が供給されている旨の受給情報をスイッチ制御部34に出力する。一方、電源断検出部52は、入力端子間電圧の大きさが所定の閾値未満であるときは、電力供給網42からの電力が遮断された旨の遮断情報をスイッチ制御部34に出力する。
【0037】
スイッチ制御部34は、電源断検出部52から受給情報が出力されているときは、バッテリスイッチ50をオンにする。また、スイッチ制御部34は、電源断検出部52から出力される情報が受給情報から遮断情報に切り換わると、タイマー36による時間計測を開始する。スイッチ制御部34は、タイマー計測時間が所定の時間τに達すると、バッテリスイッチ50をオンからオフに切り換える。
【0038】
図4(a)〜(d)は、このような処理に基づくバッテリスイッチ50の制御タイミングを示す。ここでは、バッテリスイッチ50はスイッチ制御部34から出力されるスイッチ制御電圧Vcによって制御されるものとする。そして、バッテリスイッチ50は、スイッチ制御電圧Vcがスイッチオン電圧Vonであるときにオンとなり、スイッチ制御電圧Vcがスイッチオフ電圧Voffであるときにオフとなるものとする。スイッチオン電圧Vonを0とすれば、バッテリスイッチ50にはノーマリオンスイッチを用いることができる。
【0039】
図4(a)は電力回路44の入力端子間電圧の大きさViを示す。図4(b)はスイッチ制御部34から出力されるスイッチ制御電圧Vcを示す。時刻t1において入力端子間電圧Viが動作電圧レベルVaから0になると、時刻t1から時間τだけ経過した時に、スイッチ制御電圧Vcがスイッチオン電圧Vonからスイッチオフ電圧Voffに切り換わる。また、時刻t10において入力端子間電圧の大きさViが0から動作電圧レベルVaになると、スイッチ制御電圧Vcはスイッチオフ電圧Voffからスイッチオン電圧Vonに切り換わる。これによって、時刻t1+τには、バッテリスイッチ50はオンからオフになり、時刻t10には、バッテリスイッチ50はオフからオンになる。
【0040】
電力需要ブロック40の子局通信部30には、親局端末16からの着呼を監視する回路等、非通信時にも電力を消費する電気回路が含まれる。したがって、非通信時に電力需要ブロック40に電源電圧が印加されている場合には、電力需要ブロック40では電力が消費されることとなる。
【0041】
本実施形態によれば、停電時にバッテリスイッチ50をオフとすることができる。これによって、バッテリ46から電力需要ブロック40に電力が供給されることを阻止することができる。そのため、非通信時におけるバッテリ電力の消費を回避することができる。また、スイッチ制御部34は、電源断検出部52から出力される情報が受給情報から遮断情報に切り換わったときから時間τ経過後に、バッテリスイッチ50をオフにする。これによって、電力供給網42における瞬時的な停電によってバッテリスイッチ50の動作が不安定になることを防ぐことができる。
【0042】
このように、停電時にバッテリスイッチ50をオフにした場合であっても、子局端末32と親局端末16との間で通信を行う場合には、バッテリスイッチ50をオンにし、子局装置14を通信可能な状態とする必要がある。そこで、本実施形態では、停電時における子局端末32と親局端末16との間の通信処理を次のように行う。
【0043】
まず、停電時における子局端末32からの発呼について説明する。スイッチ制御部34には、子局端末32がオンフック状態のときにオンとなり、子局端末32がオフフック状態のときにオフとなる外部スイッチ54が接続される。また、スイッチ制御部34は、外部スイッチ54の状態を検出する通信開始検出部38を備える。通信開始検出部38が外部スイッチ54の状態を検出することで、スイッチ制御部34は、子局端末32の通信開始動作を検出することができる。スイッチ制御部34は、通信開始検出部38による検出結果に基づいてバッテリスイッチ50の制御を行う。
【0044】
子局端末32は、オフフック状態とされると外部スイッチ54をオフにする。スイッチ制御部34は、外部スイッチ54がオフになるとバッテリスイッチ50をオンにする。これによって、バッテリ46の充電電力は電力需要ブロック40に供給され、子局端末32による発呼操作が可能となる。
【0045】
スイッチ制御部34は、子局端末32がオフフック状態にあり外部スイッチ54がオフである間、バッテリスイッチ50をオンに維持する。そして、子局端末32がオンフック状態とされ外部スイッチ54がオンになるとバッテリスイッチ50をオフにする。
【0046】
図4(c)は、時刻t2からt3の間、子局端末32がオフフック状態となる例を示す。図4(b)に示されるように、スイッチ制御部34は、時刻t2にスイッチ制御電圧Vcを、スイッチオフ電圧Voffからスイッチオン電圧Vonにする。そして、時刻t3にスイッチ制御電圧Vcを、スイッチオン電圧Vonからスイッチオフ電圧Voffにする。これによって、バッテリスイッチ50は、時刻t2から時刻t3までの間オンとなる。
【0047】
このような処理によれば、停電時に子局端末32において発呼操作が行われ、子局端末32と親局端末16との間で通信が行われている間、バッテリスイッチ50がオンとなる。これによって、停電時であってもバッテリ46の充電電力によって、子局端末32と親局端末16との間で通信を行うことができる。そして、子局端末32がオンフック状態となると共に、バッテリスイッチ50を再びオフにすることができる。これによって、非通信時におけるバッテリ電力の消費を回避することができる。
【0048】
次に、停電時における親局端末16からの発呼について説明する。親局端末16は、オフフック状態とされ相手側子局装置の電話番号がダイヤルされると、発呼情報を交換機18に出力する。交換機18は、親局通信部20の通信回線に空きがあるときは、親局端末16からの発呼情報を親局通信部20に出力する。
【0049】
交換機18は、親局通信部20のみならず通信開始情報生成部24にも発呼情報を出力する。通信開始情報生成部24は、発呼をした親局端末16がオフフック状態とされた旨の親局オフフック情報を発呼情報に基づいて生成し、親局側電源制御部26に出力する。親局オフフック情報には相手方子局装置の電話番号情報を含ませる。このようにして生成された親局オフフック情報は、親局端末16が通信を開始する旨を示す情報であるといえる。親局側電源制御部26は、親局オフフック情報を含む信号を波長λ2の光信号に変換し親局合分波器22に出力する。
【0050】
親局合分波器22は、親局通信部20から出力された光信号と、親局側電源制御部26から出力された光信号とを合成し、光ファイバ通信網12に出力する。
【0051】
子局装置14の子局合分波器28は、光ファイバ通信網12から取得した光信号から波長λ2の光信号を抽出し、スイッチ制御部34に出力する。スイッチ制御部34が備える通信開始検出部38は、子局合分波器28から出力された光信号に含まれる親局オフフック情報が示す電話番号と自らの電話番号とを比較する。通信開始検出部38は、比較結果に基づいて自らの電話番号と一致する電話番号を示す親局オフフック情報を検出する。通信開始検出部38が自らに宛てられた親局オフフック情報を検出することで、スイッチ制御部34は、親局端末16の通信開始動作を検出することができる。スイッチ制御部34は、通信開始検出部38による検出結果に基づいてバッテリスイッチ50の制御を行う。
【0052】
スイッチ制御部34は、親局オフフック情報が検出されたときは、バッテリスイッチ50をオンにすると共に、タイマー36による時間計測を開始する。スイッチ制御部34は、タイマー計測時間が時間τに達するまでの間に、子局端末32がオフフック状態とされ外部スイッチ54がオフとなったときは、バッテリスイッチ50をオンに維持しつつ、タイマー36による時間計測を停止する。時間計測を停止した後、スイッチ制御部34は、外部スイッチ54の状態に基づくスイッチ制御を行う。すなわち、スイッチ制御部34は、子局端末32がオフフック状態にあり外部スイッチ54がオフである間、バッテリスイッチ50をオンに維持する。そして、子局端末32がオンフック状態とされ外部スイッチ54がオンになるとバッテリスイッチ50をオフにする。
【0053】
一方、タイマー計測時間が時間τに達するまでの間、子局端末32がオフフック状態とされず外部スイッチ54の状態に変化がないときは、スイッチ制御部34は、タイマー計測時間が時間τに達すると共にバッテリスイッチ50をオフにする。
【0054】
このような処理によれば、親局オフフック情報が親局装置10から送信されると共に、バッテリ46から電力需要ブロック40に電力を供給することができる。これによって、子局通信部30は、親局装置10から送信された発呼情報に基づいて、子局端末32と親局端末16との間の光通信が可能な状態を確立する処理を開始することができる。
【0055】
また、このような処理によれば、親局オフフック情報が検出されてから時間τが経過するまでの間に、子局端末32がオフフック状態とされない場合には、バッテリスイッチ50をオフにすることができる。これによって、子局端末32が無応答であるときにバッテリスイッチ50をオフにすることができ、非通信時におけるバッテリ電力の消費を回避することができる。
【0056】
なお、親局端末16は、オンフック状態とされると切断情報を交換機18に出力する。交換機18は、切断情報を親局通信部20の他、通信開始情報生成部24にも出力する。通信開始情報生成部24は、交換機18から切断情報が出力されると、親局オフフック情報の出力を停止する。
【0057】
図4(c)および(d)は、時刻t4からt7の間、親局装置10から子局装置14に親局オフフック情報が送信され、時刻t5からt6の間、子局端末32がオフフック状態となる例を示す。ここで、時刻t5は時刻t4+τより前の時刻であるものとする。この例は、親局端末16において発呼操作がなされ、子局端末32が応答した場合に相当する。
【0058】
図4(b)および(d)に示されるように、親局オフフック情報が時刻t4に検出されることにより、スイッチ制御部34は、時刻t4にスイッチ制御電圧Vcをスイッチオフ電圧Voffからスイッチオン電圧Vonにする。そして、時刻t4からタイマー36による時間計測を開始する。
【0059】
図4(c)に示されるように、子局端末32は、時刻t4+τより前の時刻t5にオフフック状態となる。これによって、スイッチ制御部34は、時刻t5に時間計測を停止する。そして、時刻t5から時刻t6までの間は、子局端末32がオフフック状態であることに基づき、スイッチ制御電圧Vcをスイッチオン電圧Vonに維持する。さらに、時刻t6に子局装置32がオンフック状態となると共に、スイッチ制御部34は、スイッチ制御電圧Vcをスイッチオン電圧Vonからスイッチオフ電圧Voffにする。
【0060】
したがって、スイッチ制御部34は、時刻t4にスイッチ制御電圧Vcをスイッチオフ電圧Voffからスイッチオン電圧Vonにし、時刻t6にスイッチ制御電圧Vcをスイッチオン電圧Vonからスイッチオフ電圧Voffにする。これによって、バッテリスイッチ50は、時刻t4から時刻t6までの間オンとなり、親局端末16と子局端末32との間の通信が可能となる。
【0061】
図4(c)および(d)は、さらに、時刻t8からt9の間、親局装置10から子局装置14に親局オフフック情報が送信され、子局端末32が無応答である例を示す。図4(b)に示されるように、スイッチ制御部34は、時刻t8にスイッチ制御電圧Vcをスイッチオフ電圧Voffからスイッチオン電圧Vonにする。この例では、時刻t8から時刻t8+τまでの間、子局端末32が無応答であるため外部スイッチ54の状態が変化することはない。したがって、スイッチ制御部34は時刻t8+τにスイッチ制御電圧Vcをスイッチオン電圧Vonからスイッチオフ電圧Voffにする。これによって、バッテリスイッチ50は、時刻t8+τにオフとなり、非通信時のバッテリ電力の消費を回避する状態となる。
【0062】
上記では、親局装置10が、相手方子局装置の電話番号情報を含む親局オフフック情報を送信し、その電話番号が割り当てられた子局装置14のスイッチ制御部34が、親局オフフック情報に基づく制御を行う構成について説明した。このような構成の他、親局オフフック情報には電話番号情報を含ませず、総ての子局装置14が、親局オフフック情報に基づく制御を行う構成としてもよい。
【0063】
次に、本実施形態の応用例に係る光ファイバ通信システムについて説明する。図5に応用例に係る親局装置10Aの構成を、図6に応用例に係る子局装置14Aの構成を示す。図2の親局装置10および図3の子局装置14と同一の構成部については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0064】
本応用例では、上記のようにバッテリスイッチ50に対して断続制御を行うオン/オフモード、または、バッテリスイッチ50を常にオンに維持する常時オンモードのいずれかのモードに子局装置14Aを設定することができる。モード設定は親局装置10A側で子局装置14Aごとに行うことができる。
【0065】
親局装置10Aは、子局装置14Aのモードを設定する子局設定操作部58を備える。ユーザは、オン/オフモードまたは常時オンモードのいずれのモードに子局装置14Aを設定するかを示す情報、モード設定対象の子局装置14Aの電話番号情報等を含むモード設定情報を子局設定操作部58に入力する。親局通信部20は、子局設定操作部58からモード設定情報を読み込む。
【0066】
親局側電源制御部26は、モード設定情報を含む信号を波長λ2の光信号に変換し、親局合分波器22に出力する。この光信号は、親局合分波器22、光ファイバ通信網12、子局合分波器28を介してスイッチ制御部56およびモード設定情報取得部60に送信される。モード設定情報取得部60は、子局合分波器28から出力された光信号に含まれるモード設定情報が示す電話番号と、自らの電話番号とが一致するときはモード設定を行う。モード設定は、モード設定情報に基づいて、オン/オフモードで自らが動作すべきであることを示すオン/オフモード情報、または、常時オンモードで自らが動作すべきであることを示す常時オンモード情報を、モード記憶部62に記憶させることによって行う。
【0067】
なお、モード情報設定部60およびモード記憶部62には、スイッチ制御部34および電源断検出部52と同様、停電時にもバッテリ46から電力が供給されるため、停電時においてもモード設定を行うことができる。
【0068】
スイッチ制御部56は、モード記憶部62に記憶されている記憶内容を参照する。そして、モード記憶部62にオン/オフモード情報が記憶されているときは、外部スイッチ54の状態または親局オフフック情報に応じた上述の処理を実行する。一方、モード記憶部62に常時オンモード情報が記憶されているときは、外部スイッチ54の状態および親局オフフック情報のいずれにもよらず、バッテリスイッチ50をオンに維持する。
【0069】
子局装置14Aのオン/オフモードへの設定は、バッテリ充電能力が十分でない場合、電力需要ブロック40の電源電力投入時の動作立ち上がり時間が短く、電源電力投入時に迅速に通信を開始することができる場合等に好適である。
【0070】
また、子局装置14Aの常時オンモードへの設定は、子局端末32の発呼または着呼を待つ状態にあるときに、子局装置14Aの電力需要ブロック40への電力供給を遮断することが好ましくない場合に好適である。このような場合としては、例えば、電力需要ブロック40の電源電力投入時の動作立ち上がり時間が長く、電源電力投入時に迅速に通信を開始することができない場合が考えられる。このような場合であっても、常時オンモードに設定することで、バッテリスイッチ50はオンに維持されるため、緊急時の通信を頻繁に行うことができる。
【0071】
本発明は、電話機間の音声通信の他、より一般的な通信端末、例えば、コンピュータのモデムに用いることができる。一般的な通信端末を本発明に係る通信システムに用いる場合には、オフフック状態とするときの処理およびオンフック状態とするときの処理を、それぞれ、対応する通信開始処理および通信終了処理とする。また、オフフック情報に基づくスイッチ制御は、通信端末において通信が開始されることを示す通信開始情報に基づいて行えばよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態に係る光ファイバ通信システムの構成を示す図である。
【図2】親局装置の構成例を示す図である。
【図3】子局装置の構成例を示す図である。
【図4】バッテリスイッチの制御タイミングを示す図である。
【図5】応用例に係る親局装置の構成を示す図である。
【図6】応用例に係る子局装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0073】
10,10A 親局装置、12 光ファイバ通信網、14,14A 子局装置、16 親局端末、18 交換機、20 親局通信部、22 親局合分波器、24 通信開始情報生成部、26 親局側電源制御部、28 子局合分波器、30 子局通信部、32 子局端末、34,56 スイッチ制御部、36 タイマー、38 通信開始検出部、40 電力需要ブロック、42 電力供給網、44 電力回路、46 バッテリ、48 ダイオード、50 バッテリスイッチ、52 電源断検出部、54 外部スイッチ、58 子局設定操作部、60 モード設定情報取得部、62 モード記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報伝送システム用親局との間で有線通信を行う情報伝送システム用子局に備えられ、電力供給網から供給される供給網電力によって充電されるバッテリを前記情報伝送システム用子局が備え、当該バッテリの断続制御を行うバッテリスイッチ装置において、
供給網電力遮断時にオンとなることにより前記バッテリの電力を前記情報伝送システム用子局の電力需要ブロックへと導き、供給網電力遮断時にオフとなることにより前記バッテリからの放電電力を遮断するバッテリスイッチと、
前記バッテリスイッチを制御するスイッチ制御部と、
前記供給網電力の供給が停止したことを検出する電源断検出部と、
を備え、
前記スイッチ制御部は、
前記情報伝送システム用親局が通信を開始する旨、および前記情報伝送システム用子局が通信を開始する旨を検出する通信開始検出部を備え、
前記供給網電力の供給が停止したことを前記電源断検出部が検出し、かつ、前記情報伝送システム用親局が通信を開始する旨、または前記情報伝送システム用子局が通信を開始する旨を前記通信開始検出部が検出したときは前記バッテリスイッチをオンとすることを特徴とするバッテリスイッチ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリスイッチ装置において、
前記情報伝送システム用親局から送信されたモード設定情報を取得するモード設定情報取得部を備え、
前記スイッチ制御部は、
前記モード設定情報が前記バッテリスイッチの断続制御を行う旨の情報を含む場合に、前記バッテリスイッチの断続制御を行うことを特徴とするバッテリスイッチ装置。
【請求項3】
前記情報伝送システム用親局の通信開始情報を生成する通信開始情報生成部と、
前記有線通信に用いられる通信光信号の波長とは異なる波長を有し、前記情報伝送システム用親局の通信開始情報を含む通信開始光信号を生成する親局側電源制御部と、
請求項1または請求項2に記載のバッテリスイッチ装置と、
を備え、
前記通信開始検出部は、
前記通信開始光信号に基づいて、前記情報伝送システム用親局が通信を開始する旨を検出することを特徴とするバッテリスイッチ制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−239380(P2009−239380A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−79482(P2008−79482)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000204424)大井電気株式会社 (25)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【Fターム(参考)】