説明

バッテリー接続用のヒューズユニット

【課題】 バッテリーに直付けするヒューズユニットに設けることのできる溶断部の個数を増やし、バッテリーに電線を介して接続する他のヒューズユニットを不要とする。
【解決手段】 入力端子部と、複数の出力端子部と、該入力端子部と出力端子部との間に細幅とした溶断部とを備えた導電性金属板からなるバスバーの一部を樹脂製のハウジング内に固定した複数のヒュージブルリンクを該ハウジングに設けた係止突起と被係止部と係止させて組み合わせてなり、少なくとも1つのヒュージブルリンクのバスバーの入力端子部はバッテリー端子との接続用とされる一方、他のヒュージブルリンクのバスバーの入力端子部は前記バッテリー端子に接続されるバスバーに接続され、各ヒュージブルリンクのバスバーの複数の出力端子部は並列配置され、複数のヒュージブルリンクを組み合わせた状態で出力端子部が複数段に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリー接続用のヒューズユニットに関し、詳しくは、自動車に搭載されるバッテリーボックスのバッテリーポストに嵌合接続するバッテリー端子に接続してバッテリーボックス上に搭載するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車に搭載されるバッテリーボックスのバッテリーポストにバッテリーヒューズを接続しており、バッテリーポストに嵌合するバッテリー端子に電線を介さずに直付けするヒューズユニットが提供されている。
本出願人は、特開2001−256878号公報(特許文献1)において、図9に示す直付けのバッテリー接続用のヒューズユニット1を提供しており、該ヒューズユニット1は、図9(B)に示す入力端子部2aと、複数の出力端子部2bと、該入力端子部2aと出力端子部2bとの間に溶断部2cとを備えた導電性金属板からなる1枚のバスバー2を樹脂製のハウジング3内にモールドしている。バスバー2の入力端子部2aは、バッテリーボックス4のバッテリーポスト5に嵌合したバッテリー端子6にボルト6aとナット7により締結固定する一方、バスバー2の出力端子部2bは電線w端末の端子8に接続している。
前記ヒューズユニット1であれば、電線を介することなくバッテリーヒューズをバッテリーに直付けすることができ、電気接続の信頼性を向上させると共に、車両内のバッテリー以外の場所にヒューズユニットの設置スペースを設ける必要がなくなる。
【0003】
しかしながら、特許文献1で提供しているヒューズユニット1であると、1枚のバスバー2によりヒューズユニット1の回路を形成しているため、溶断部2cの個数を増やすとヒューズユニット1が左右方向に大きくなる。よって、スペース上の理由により設けることのできる溶断部の個数が制限される。従って、バッテリーボックスに直付けするヒューズユニットに設けることのできる個数よりも多くの溶断部が必要となった場合、別のヒューズユニット(ボックス)を電線を介してバッテリーと接続し、車両の他のスペースに配置しなければならない。
【特許文献1】特開2001−256878号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、バッテリーに直付けするヒューズユニットに設けることのできる溶断部の個数を増やし、バッテリーに電線を介して接続する他のヒューズユニット(ボックス)を不要とすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明は、入力端子部と、複数の出力端子部と、該入力端子部と出力端子部との間に細幅とした溶断部とを備えた導電性金属板からなるバスバーの一部を樹脂製のハウジング内に固定したヒュージブルリンクを複数組み合わせてなり、
前記各ヒュージブルリンクのハウジングに、前記バスバーの出力端子部を内部に突出させるコネクタ嵌合部が設けられると共に、所要のヒュージブルリンクのハウジングには係止突起が設けられる一方、他のヒュージブルリンクのハウジングには前記係止突起により係止される被係止部が設けられ、
前記ヒュージブルリンクのうち少なくとも1つのヒュージブルリンクのバスバーの入力端子部は、バッテリーボックスのバッテリーポストに接続するバッテリー端子との接続用とされる一方、他のヒュージブルリンクのバスバーの入力端子部は前記バッテリー端子に接続される前記バスバーに接続され、
各ヒュージブルリンクのバスバーの複数の出力端子部は前記コネクタ嵌合部内で並列配置され、前記係止突起と被係止部との係止により複数のヒュージブルリンクを組み合わせた状態で前記コネクタ嵌合部同士が重ね合わされて、出力端子部が複数段に配置される構成としていることを特徴とするバッテリー接続用のヒューズユニットを提供している。
【0006】
前記構成によれば、バッテリーに接続するヒューズユニットを複数のヒュージブルリンクにより構成し、これらヒュージブルリンクを重ねて配置しているため、バッテリーボックス外面の限られたスペースに配置するヒューズユニットに多数の溶断部と出力端子部を設けることができる。よって、ヒューズユニットに設ける溶断部と出力端子部の個数が増えても、重ねて配置するヒュージブルリンクの個数を増やすことで全て直付けで対応できるため、バッテリーに電線を介して接続するヒューズボックスを不要とすることができる。
また、共用の溶断部および出力端子部とオプション用の溶断部および出力端子部とを異なるヒュージブルリンクに設けておけば、必要なヒュージブルリンクのみをバッテリーボックスに取り付ければよく、車種やグレードに応じて個別にヒューズユニットを設ける必要がない。
【0007】
さらに、各ヒュージブルリンクのハウジングに、前記バスバーの出力端子部を内部に突出させるコネクタ嵌合部が設けられているため、該コネクタ嵌合部にワイヤハーネスに接続した相手方のコネクタを嵌合するだけで容易にヒューズユニットにワイヤハーネスを接続することができる。
【0008】
さらにまた、ヒュージブルリンクのハウジングに設けた係止突起と被係止部を係止することにより、予め複数のヒュージブルリンクを組み付けて互いに保持しているため、ヒューズユニットをバッテリーボックスに取り付ける際に、組み付けたヒュージブルリンク同士が位置ズレすることがなく取付作業を容易にすることができる。また、バッテリーボックスに取り付けた後においても、複数のヒュージブルリンクが互いに組み付けられた状態となっているため、バッテリー端子に接続されるバスバーと他のバスバーの入力端子部との接続箇所にのみ負荷がかかるのを防止することができ、これらバスバー同士を安定した状態で接続して、電気接続の信頼性を高めることができる。
【0009】
具体的には、前記係止突起がコネクタ嵌合部の外壁外面から突出するT字状とされると共に前記被係止部が前記コネクタ嵌合部の対向壁を貫通するスリットとされ、該スリットに前記T字の縦軸を貫通させて横軸を外壁外面に係止させると共に、貫通する縦軸がコネクタ嵌合部の仕切壁とされている。
【0010】
また、前記係止突起がコネクタ嵌合部の外壁の両側よりそれぞれ突設されるL字状とされると共に前記被係止部が前記他のヒュージブルリンクのコネクタ嵌合部の両側壁とされ、これら両側壁に前記L字状の係止突起が外嵌係止される構成としてもよい。
【0011】
前記1つのヒュージブルリンクのバスバーは、そのバッテリー端子との接続用の入力端子部がバッテリー端子にボルト締結されると共に、該バスバーの入力端子部と溶断部の間で他のヒュージブルリンクのバスバーの入力端子部とボルト締結され、
前記ボルト締結部および前記溶断部はバッテリーボックスの上面に配置される一方、前記バスバーの出力端子部が収容されるコネクタ嵌合部は前記バッテリーボックスの側面に沿って配置されることが好ましい。
【0012】
前記構成によれば、前記ヒューズユニットがバッテリーボックスの上面から側面にかけて沿うコンパクトな形状とすることができ、ヒューズユニットの設置スペースを最小限に抑えることができる。
また、溶断部をバッテリーボックスの上面に配置しているため、エンジンルーム内において種々の搭載部品がバッテリーボックスの周囲で密集して配置されていたとしても、ヒューズユニットを覆うカバーに設けられたヒンジを介して該カバーを開けることにより、溶断部が溶断しているか否かを容易に確認することができ、ヒューズユニットをバッテリーボックスから取り外して確認する等の作業工数を減らすこともできる。
【発明の効果】
【0013】
前述したように、本発明によれば、バッテリーに接続するヒューズユニットを複数のヒュージブルリンクにより構成し、これらヒュージブルリンクを重ねて配置しているため、バッテリーボックス外面の限られたスペースに配置するヒューズユニットに多数の溶断部と出力端子部を設けることができる。よって、バッテリー接続用のヒューズユニットに設ける溶断部と出力端子部の個数が増えても、重ねて配置するヒュージブルリンクの個数を増やすことで全て直付けで対応できるため、バッテリーに電線を介して接続するヒューズボックスを不要とすることができる。
【0014】
また、ヒュージブルリンクのハウジングに設けた係止突起と被係止部を係止することにより、予め複数のヒュージブルリンクを組み付けて互いに保持しているため、ヒューズユニットをバッテリーボックスに取り付ける際に、組み付けたヒュージブルリンク同士が位置ズレすることがなく取付作業を容易にすることができる。また、バッテリーボックスに取り付けた後においても、複数のヒュージブルリンクが互いに組み付けられた状態となっているため、バッテリー端子に接続されるバスバーと他のバスバーの入力端子部との接続箇所にのみ負荷がかかるのを防止することができ、これらバスバー同士を安定した状態で接続して、電気接続の信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図5は、本発明の第1実施形態を示し、バッテリー接続用のヒューズユニット10はバッテリーボックス70の上面から側面にかけて沿わせた状態で搭載している。
【0016】
ヒューズユニット10は、バッテリーポスト71に接続したバッテリー端子60に接続するバスバー22を樹脂製のハウジング21に固定した第1ヒュージブルリンク20と、第1ヒュージブルリンク20のバスバー22に接続するバスバー32を樹脂製のハウジング31に固定した第2ヒュージブルリンク30と、これら第1、第2ヒュージブルリンク20、30に被せるカバー40とからなる。
【0017】
第1ヒュージブルリンク20のバスバー22には、図3(A)に示すように、ボルト孔22bを穿設した入力端子部22aを設けており、該入力端子部22aの下流側にそれぞれボルト部22d、22fを突設した2つの端子接続部22c、22eを設けている。入力端子部22aと一方の端子接続部22eとの間にはバスバー22を部分的に細幅とした溶断部22gを介在させている。端子接続部22c、22eの下流側にはバスバー22を部分的に細幅とした溶断部22hをぞれぞれ2つずつ設け、これら溶断部22hのさらに下流側を直交方向に屈曲させ、屈曲側にそれぞれ出力端子部22iを設けている。これら出力端子部22iは一列で並列配置している。
なお、本実施形態ではバスバー22の上面にボルト部22d、22fを立設しているが、ハウジング21内にボルト頭部を埋設固定したボルトをバスバー22を貫通させてバスバー22の上面側に突出させる構成としてもよい。
【0018】
ハウジング21は前記バスバー22の形状に沿った水平部21aと垂直部21bとからなるL字状としている。ハウジング21の水平部21a内にバスバー22を部分的にモールドし、バスバー22の入力端子部22a、端子接続部22c、22e、溶断部22g、22hを外部に露出させている。一方、ハウジング21の垂直部21bには下面開口のコネクタ嵌合部21cを2つ設け、該コネクタ嵌合部21c内にバスバー22の出力端子部22iを突出させている。コネクタ嵌合部21cの両側外壁にはコネクタ係止用の係止孔21dを設けている。
また、コネクタ嵌合部21cの外壁の外面には水平断面T字状の係止突起21eを水平部21aと反対方向に突設しており、該係止突起21eは平板状の縦軸21e−1と該縦軸21e−1の先端から両側に突出させた横軸21e−2とからなる。
さらに、ハウジング21の屈曲位置の外面側両隅部には、位置決め溝21fを設けている。
【0019】
第2ヒュージブルリンク30のバスバー32には、図4(A)に示すように、ボルト孔32bを穿設した入力端子部32aを設けており、該入力端子部32aの下流側を分岐している。該分岐側にはバスバー32を部分的に細幅とした溶断部32cを設け、これら溶断部32cの下流側を直交方向に屈曲させ、屈曲側にそれぞれ出力端子部32dを設けている。これら出力端子部32dは一列で並列配置している。
【0020】
ハウジング31は前記バスバー32の形状に沿った水平部31aと垂直部31bとからなるL字状としている。ハウジング31の水平部31a内にバスバー32を部分的にモールドし、バスバー32の入力端子部32a、溶断部32cを外部に露出させている。一方、ハウジング31の垂直部31bには下面開口のコネクタ嵌合部31cを2つ設け、該コネクタ嵌合部31c内にバスバー32の出力端子部32dを突出させている。コネクタ嵌合部31cの外壁のうち、2つのコネクタ嵌合部31cに亙って延在する外壁31c−1(図4(D)中、左右方向に延在する外壁)には2つのコネクタ嵌合部31cの境界位置に第1ヒュージブルリンク20の係止突起21eの縦軸21e−1を挿入するスリット31eを対向させて設けている。該スリット31eの開口端側はスリット幅を拡径させて係止突起21eの挿入を容易にしている。また、コネクタ嵌合部31cの両側の外壁31c−2(図4(D)中、上下方向に延在する外壁)にはコネクタ係止用の係止孔31dを設けている。
さらに、ハウジング31の屈曲位置の内面側両隅部には、位置決めリブ31fを設けている。
【0021】
前記第1ヒュージブルリンク20と第2ヒュージブルリンク30とは、図5に示すように、重ね合わせるようにして組み合わせている。具体的には、第1ヒュージブルリンク20の外面に第2ヒュージブルリンク30の内面を沿わせて、第1ヒュージブルリンク20の係止突起21eの縦軸21e−1を第2ヒュージブルリンク30のコネクタ嵌合部31cに設けたスリット31eに挿入している。このとき、係止突起21eの縦軸21e−1がコネクタ嵌合部31cを貫通して仕切壁となると共に、係止突起21eの横軸21e−2の内面が被係止部であるコネクタ嵌合部31cの外壁外面に当接され、第2ヒュージブルリンク30が第1ヒュージブルリンク20に対して位置決めされる。また、第2ヒュージブルリンク30の位置決めリブ31fが第1ヒュージブルリンク20の位置決め溝21fに嵌合して第1、第2ヒュージブルリンク20、30の屈曲部分においても互いに位置決めされる。さらに、第2ヒュージブルリンク30の入力端子部32aのボルト孔32bに第1ヒュージブルリンク30の端子接続部22eに設けたボルト部22fが貫通されて、入力端子部32aが端子接続部22eに重ね合わされる。このように、第1、第2ヒュージブルリンク20、30を重ね合わせた状態では、第1ヒュージブルリンク20の出力端子部22iと第2ヒュージブルリンク30の出力端子部32dとが複数段で配置されている。
【0022】
第1ヒュージブルリンク20の端子接続部22eに設けたボルト部22fは、さらにオルタネータ(図示せず)に接続される電線の端末のL型端子50に穿設したボルト孔50aにも貫通させている。即ち、端子接続部22eに第2ヒュージブルリンク30の入力端子部32aとL型端子50を重ね合わせた状態でボルト部22fにナット(図示せず)を螺合させて締結固定している。一方、第1ヒュージブルリンク20の端子接続部22cに設けたボルト部22dは、スターター(図示せず)に接続される電線の端末のL型端子51に穿設したボルト孔51aに貫通させ端子接続部22cとL型端子51を重ね合わせた状態でボルト部22dにナット(図示せず)を螺合させて締結固定している。
【0023】
第1、第2ヒュージブルリンク20、30のコネクタ嵌合部21c、31cには、電線w1、w2の端末に接続したコネクタ52、53を嵌合しており、コネクタ嵌合部21c、31c内に突出する出力端子部22i、32dを電線w1、w2に接続したコネクタ52、53内の端子(図示せず)と嵌合接続している。コネクタ52、53の外面の所要箇所には係止爪52a、53aを設けており、これら係止爪52a、53aをコネクタ嵌合部21c、31cの係止孔21d、31dに係止して、コネクタ52、53をコネクタ嵌合部21c、31c内に係止固定している。
【0024】
また、第1ヒュージブルリンク20の入力端子部22aのボルト孔22bにバッテリー端子60に設けたボルト部61を貫通させ、該ボルト部61にナット(図示せず)を螺合させて締結固定している。該バッテリー端子60には、ボルト部61と一体的にバッテリーポスト71に外嵌する円弧部62を設けており、該円弧部62の両側先端より一対の締付片63、64を突出させて設け、これら締付片63、64にボルト孔63a、64aを穿設している。バッテリー端子60の円弧部62をバッテリーポスト71に外嵌し、締結片63、64のボルト孔63a、64aに通したナットとボルトにより締付片63、64を締め付けて、バッテリー端子60をバッテリーポスト71に外嵌固定している。ヒューズユニット10をバッテリーボックス70に搭載した状態では、第1、第2ヒュージブルリンク20、30の溶断部22h、32cがバッテリーボックス70の上面に配置される一方、第1、第2ヒュージブルリンク20、30の出力端子部22i、32dがバッテリーボックス70の側面に沿って配置される。
【0025】
バッテリー端子60に取り付けた第1、第2ヒュージブルリンク20、30には上方からカバー40を被せている。該カバー40は上壁40aと該上壁40aの外周縁から下方に向けて突出する周壁40bとからなり下面開口としている。カバー40は一方側をバッテリー端子60に被せるバッテリー端子収容部40cとする一方、他方側を第1、第2ヒュージブルリンク20、30に被せるヒュージブルリンク収容部40dとし、バッテリー端子収容部40cの上壁40aとヒュージブルリンク収容部40dの上壁40aとを薄肉ヒンジ部40eで連結している。また、カバー40の周壁40bの所要箇所には前記L型端子50、51に接続した電線を外部へ引き出すための切欠40fを設けている。さらに、カバー40に設けた係止孔(図示せず)に第1、第2ヒュージブルリンク20、30に設けた係止爪(図示せず)を係止して、カバー40を第1、第2ヒュージブルリンク20、30に係止固定している。
【0026】
前記構成によれば、ヒューズユニット10を2つの第1、第2ヒュージブルリンク20、30により構成し、これら第1、第2ヒュージブルリンク20、30を重ねて配置しているため、バッテリーボックス70外面の限られたスペースに配置するヒューズユニット10に多数の溶断部と出力端子部を設けることができる。よって、ヒューズユニット10に設ける溶断部と出力端子部の個数が増えても、重ねて配置するヒュージブルリンクの個数を増やすことで全て直付けで対応できるため、バッテリーに電線を介して接続するバッテリーヒューズボックスを不要とすることができる。
なお、本実施形態では2つのヒュージブルリンクを組み合わせているが、3つ以上のヒュージブルリンクを組み合わせてもよい。この場合には、バッテリー端子に直接接続する1つのヒュージブルリンクのハウジングに縦軸を長尺としたT字状の係止突起を設け、他のヒュージブルリンクのコネクタ嵌合部の外壁に係止突起の縦軸を挿入するスリットを設けている。
【0027】
図6乃至図8は、本発明の第2実施形態を示す。
本実施形態では、第1ヒュージブルリンク20’と第2ヒュージブルリンク30’との位置決め構造を第1実施形態を相違させている。
即ち、第1ヒュージブルリンク20’のコネクタ嵌合部21c’の外壁の両側に係止突起となるL字状の両側枠部21g’を設け、該両側枠部21g’を被係止部となる第2ヒュージブルリンク30’のコネクタ嵌合部31c’の両側壁に係止して、これらコネクタ嵌合部21c’、31c’同士を重ね合わせて保持している。
なお、本実施形態の第1ヒュージブルリンク20’にはT字状の係止突起を設けておらず、第2ヒュージブルリンク30’にはコネクタ嵌合部31c’の外壁にスリットを設けていない。
【0028】
前記構成によっても、ヒューズユニット10’を2つの第1、第2ヒュージブルリンク20’、30’により構成し、これら第1、第2ヒュージブルリンク20’、30’を重ねて配置しているため、バッテリーボックス外面の限られたスペースに配置するヒューズユニット10’に多数の溶断部と出力端子部を設けることができる。
また、第1ヒュージブルリンク20’の両側枠部21g’内に第2ヒュージブルリンク30’のコネクタ嵌合部31’を嵌合させているため、第1ヒュージブルリンク20’と第2ヒュージブルリンク30’との位置決めを容易にすることができる。
なお、他の構成及び作用効果は第1実施形態と同様のため、同一の符号を付して説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態のヒューズユニットの分解斜視図である。
【図2】第1実施形態のヒューズユニットの斜視図である。
【図3】第1実施形態の第1ヒュージブルリンクを示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は右側面図、(D)が底面図である。
【図4】第1実施形態の第2ヒュージブルリンクを示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は右側面図、(D)が底面図である。
【図5】第1実施形態の第1ヒュージブルリンクと第2ヒュージブルリンクとを組み合わせた状態を示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は右側面図、(D)が底面図である。
【図6】第2実施形態の第1ヒュージブルリンクを示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は右側面図、(D)が底面図である。
【図7】第2実施形態の第2ヒュージブルリンクを示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は右側面図、(D)が底面図である。
【図8】第2実施形態の第1ヒュージブルリンクと第2ヒュージブルリンクとを組み合わせた状態を示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は右側面図、(D)が底面図である。
【図9】従来例を示す図面である。
【符号の説明】
【0030】
10 バッテリー接続用のヒューズユニット
20 第1ヒュージブルリンク
21 ハウジング
21c コネクタ嵌合部
21e T字状の係止突起
21e−1 縦軸
21e−2 横軸
22 バスバー
22a 入力端子部
22h 溶断部
22i 出力端子部
30 第2ヒュージブルリンク
31 ハウジング
31c コネクタ嵌合部
32 バスバー
32a 入力端子部
32c 溶断部
32d 出力端子部
40 カバー
52、53 コネクタ
60 バッテリー端子
70 バッテリーボックス
71 バッテリーポスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子部と、複数の出力端子部と、該入力端子部と出力端子部との間に細幅とした溶断部とを備えた導電性金属板からなるバスバーの一部を樹脂製のハウジング内に固定したヒュージブルリンクを複数組み合わせてなり、
前記各ヒュージブルリンクのハウジングに、前記バスバーの出力端子部を内部に突出させるコネクタ嵌合部が設けられると共に、所要のヒュージブルリンクのハウジングには係止突起が設けられる一方、他のヒュージブルリンクのハウジングには前記係止突起により係止される被係止部が設けられ、
前記ヒュージブルリンクのうち少なくとも1つのヒュージブルリンクのバスバーの入力端子部は、バッテリーボックスのバッテリーポストに接続するバッテリー端子との接続用とされる一方、他のヒュージブルリンクのバスバーの入力端子部は前記バッテリー端子に接続される前記バスバーに接続され、
各ヒュージブルリンクのバスバーの複数の出力端子部は前記コネクタ嵌合部内で並列配置され、前記係止突起と被係止部との係止により複数のヒュージブルリンクを組み合わせた状態で前記コネクタ嵌合部同士が重ね合わされて、出力端子部が複数段に配置される構成としていることを特徴とするバッテリー接続用のヒューズユニット。
【請求項2】
前記バッテリー端子に接続されるバスバーを備えた1つのヒュージブルリンクのハウジングに前記係止突起が設けられる一方、他のヒュージブルリンクのハウジングに前記被係止部が設けられ、
前記係止突起がコネクタ嵌合部の外壁外面から突出するT字状とされると共に前記被係止部が前記コネクタ嵌合部の対向壁を貫通するスリットとされ、該スリットに前記T字の縦軸を貫通させて横軸を外壁外面に係止させると共に、貫通する縦軸がコネクタ嵌合部の仕切壁とされている請求項1に記載のバッテリー接続用のヒューズユニット。
【請求項3】
前記バッテリー端子に接続されるバスバーを備えた1つのヒュージブルリンクのハウジングに前記係止突起が設けられる一方、他のヒュージブルリンクのハウジングに前記被係止部が設けられ、
前記係止突起がコネクタ嵌合部の外壁の両側よりそれぞれ突設されるL字状とされると共に前記被係止部が前記他のヒュージブルリンクのコネクタ嵌合部の両側壁とされ、これら両側壁に前記L字状の係止突起が外嵌係止される請求項1に記載のバッテリー接続用のヒューズユニット。
【請求項4】
前記1つのヒュージブルリンクのバスバーは、そのバッテリー端子との接続用の入力端子部がバッテリー端子にボルト締結されると共に、該バスバーの入力端子部と溶断部の間で他のヒュージブルリンクのバスバーの入力端子部とボルト締結され、
前記ボルト締結部および前記溶断部はバッテリーボックスの上面に配置される一方、前記バスバーの出力端子部が収容されるコネクタ嵌合部は前記バッテリーボックスの側面に沿って配置される請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のバッテリー接続用のヒューズユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−87823(P2007−87823A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−276644(P2005−276644)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】