説明

バッテリ装置、給電制御装置及びプログラム、充電制御装置及びプログラム

【課題】バッテリ装置を分散型電源として適切に利用する。
【解決手段】本実施の形態に係るバッテリ装置は、複数の蓄電部と、複数の蓄電部の各々について単位電力量当たりの購入価格に関するデータを格納するデータ格納部とを有する。このような構成であれば、充電及び給電の対象となる蓄電部を、単位電力量当たりの購入価格という観点から決定できるようになる。これにより、バッテリ装置を分散型電源として適切に利用することができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、バッテリの充放電を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、日本では年間約400キロワット時(kWh)以上の送電ロスがあると言われているが、この送電ロスを減らすための取り組みとして、分散型発電の導入が進められている。分散型発電は、電気エネルギーを利用する場所の近くで発電を行うので、遠距離送電による送電ロスを減らすことができる。しかし、分散型発電で用いられる、太陽光発電等の再生可能エネルギーを利用した発電方法は、自然現象の影響を受けるため、電力供給が不安定になりやすいという問題がある。
【0003】
そこで、再生可能エネルギーによる発電の不安定な電力供給を平準化するための手段として、移動可能な電気自動車に搭載されたバッテリ装置の電力を利用することが提案されている。
【0004】
また、電力会社では、電力需要が急増した場合に備えて瞬動予備力を確保するようにしているが、この瞬動予備力の確保によるコストの増大や、環境への負荷が指摘されている。このような、電力会社による瞬動予備力の確保に代替する手段としても、移動可能な電気自動車に搭載されたバッテリ装置の電力を利用することが提案されている。
【0005】
従来、電気自動車から電力を供給する技術として、以下のような技術が存在する。具体的には、電気自動車から住宅への電力供給と、住宅の家庭用電源から電気自動車への電力供給との双方を行えるようにし、電力需要の平準化を図る。しかし、この技術では、電気自動車と自宅との間の電力のやりとりを想定しており、住宅よりも多くの電力需要がある他の施設(例えばマンションなどの集合住宅や店舗、公共施設など)に対して給電を行うことは考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001-8380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本技術の目的は、一側面においては、バッテリ装置を分散型電源として適切に利用するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施の形態の第1の態様に係るバッテリ装置は、(A)複数の蓄電部と、(B)複数の蓄電部の各々について単位電力量当たりの購入価格に関するデータを格納するデータ格納部とを有する。
【0009】
本実施の形態の第2の態様に係る給電制御装置は、(C)バッテリ装置から電力を供給することにより得られる報酬の単価のデータを電力の供給先の装置から受信する受信部と、(D)バッテリ装置に含まれる複数の蓄電部の各々について単位電力量当たりの購入価格に関するデータを格納するデータ格納部から、単位電力量当たりの購入価格が報酬の単価よりも安い蓄電部を特定し、当該蓄電部から電力の供給先の装置に対して給電を行うようにバッテリ装置を制御する給電制御部とを有する。
【0010】
本実施の形態の第3の態様に係る充電制御装置は、(E)バッテリ装置に充電する電力の購入単価のデータを電力の供給元の装置から受信する受信部と、(F)バッテリ装置に含まれる複数の蓄電部の各々について単位電力量当たりの購入価格に関するデータを格納するデータ格納部から、複数の蓄電部のうち単位電力量当たりの購入価格が充電する電力の購入単価に最も近い蓄電部を特定し、当該蓄電部に対して電力の供給元の装置から充電を行うようにバッテリ装置を制御する充電制御部とを有する。
【発明の効果】
【0011】
バッテリ装置を分散型電源として適切に利用することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本実施の形態に係る電気自動車の機能ブロック図である。
【図2】図2は、本実施の形態に係るバッテリの構成図である。
【図3】図3は、本実施の形態に係る給電装置の機能ブロック図である。
【図4】図4は、本実施の形態に係る需要側装置の機能ブロック図である。
【図5】図5は、本実施の形態における電気自動車と給電装置との関係を示す図である。
【図6】図6は、本実施の形態における電気自動車と需要側装置との関係を示す図である。
【図7】図7は、ユーザデータ格納部に格納されているデータの一例を示す図である。
【図8】図8は、利用施設DBに格納されているデータの一例を示す図である。
【図9】図9は、燃費DBに格納されているデータの一例を示す図である。
【図10】図10は、バッテリDBに格納されているデータの一例を示す図である。
【図11】図11は、ステーションデータ格納部に格納されているデータの一例を示す図である。
【図12】図12は、顧客データに格納されているデータの一例を示す図である。
【図13】図13は、施設データ格納部に格納されているデータの一例を示す図である。
【図14】図14は、施設データ格納部に格納されているデータの一例を示す図である。
【図15】図15は、充電時に行われる処理の処理フローを示す図である。
【図16】図16は、充電時に行われる処理の処理フローを示す図である。
【図17】図17は、充電時に行われる処理の処理フローを示す図である。
【図18】図18は、充電終了時の表示画面の一例を示す図である。
【図19】図19は、給電時に行われる処理の処理フローを示す図である。
【図20】図20は、登録処理の処理フローを示す図である。
【図21】図21は、消費量算出処理の処理フローを示す図である。
【図22】図22は、給電時に行われる処理の処理フローを示す図である。
【図23】図23は、給電時に行われる処理の処理フローを示す図である。
【図24】図24は、給電時に行われる処理の処理フローを示す図である。
【図25】図25は、付与インセンティブDBに格納されているデータの一例を示す図である。
【図26】図26は、獲得インセンティブDBに格納されているデータの一例を示す図である。
【図27】図27は、給電終了時の表示画面の一例を示す図である。
【図28】図28は、充電回数と購入価格との関係を示す図である。
【図29】図29は、購入単価が安いバッテリグループから優先的に給電を行うことを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に、本実施の形態に係る電気自動車1の機能ブロック図を示す。電気自動車1は、判断部101及び制御部102を含む給電制御部121と、充電制御部103と、充放電部106、バッテリグループA乃至Eを含むバッテリ105、及びバッテリデータベース(DB)104を含むバッテリ装置120と、通信部107と、データ管理部108と、獲得インセンティブDB109と、利用施設DB110と、ユーザデータ格納部111と、燃費DB112と、地図DB113を含むナビゲーションシステム122と、出力部123とを有する。なお、図1においてバッテリグループの数は5つであるが、数に限定は無い。
【0014】
判断部101は、バッテリDB104及び燃費DB112に格納されているデータを用いて、給電の対象となるバッテリグループを決定する処理等を行い、制御部102に対して給電の制御を指示する。制御部102は、判断部101の指示に従い充放電部106を制御する。充電制御部103は、バッテリDB104に格納されているデータを用いて充電の対象となるバッテリグループを決定する処理等を行い、充放電部106に対して充電の指示を行う。充放電部106は、他の装置からバッテリ105に対して充電を行ったり、バッテリ105から他の装置に対して給電を行う。ナビゲーションシステム122は、給電制御部121からの指示に応じて、電気自動車1が走行する距離を算出する処理等を行う。通信部107は、他の装置との間でデータを送受信する処理等を行う。データ管理部108は、獲得インセンティブDB109、利用施設DB110及びユーザデータ格納部111に格納されているデータを管理する。出力部123は、受信した課金データ及び獲得インセンティブのデータを表示部(図示せず)に表示する。
【0015】
図2に、本実施の形態に係るバッテリ105の構成図を示す。バッテリ105は、セル型バッテリが直列に接続されたバッテリグループが、並列に接続されるようになっている。充放電部106は、スイッチ21及び22を切り替えることにより、充電及び放電の対象となるバッテリグループを切り替える。また、スイッチ23及び24を切り替えることにより、充電及び放電を切り替える。なお、図2の例では、直列に接続するセル型バッテリの数は7つであり、並列に接続するバッテリグループの数は5つであるが、数に限定は無い。
【0016】
図3に、本実施の形態に係る給電装置3の機能ブロック図を示す。給電装置3は、電気自動車1に電気を給電するための装置であり、例えば電気ステーションやコンビニエンスストアなどに設置されている。給電装置3は、給電部31と、バッテリ32と、通信部33と、データ管理部34と、ステーションデータ格納部35と、顧客データ格納部36とを有する。
【0017】
給電部31は、バッテリ32から他の装置に対して給電を行う。通信部33は、他の装置との間でデータの送受信を行ったり、給電部31に対して給電を指示する。データ管理部34は、ステーションデータ格納部35及び顧客データ格納部36に格納されているデータを管理する。
【0018】
図4に、本実施の形態に係る需要側装置5の機能ブロック図を示す。需要側装置5は、電気自動車1から給電を受ける施設(例えばマンションなどの集合住宅や店舗、公共施設など)に設置されている装置である。需要側装置5は、充電部51と、バッテリ52と、通信部53と、データ管理部54と、付与インセンティブDB55と、顧客データ格納部56と、施設データ格納部57とを有する。
【0019】
充電部51は、他の装置からバッテリ52に対して充電を行う。通信部53は、他の装置との間でデータの送受信を行ったり、充電部51に対して充電を指示する。データ管理部54は、付与インセンティブDB55、顧客データ格納部56及び施設データ格納部57に格納されているデータを管理する。
【0020】
図5に、本実施の形態における電気自動車1と給電装置3との関係を示す。本実施の形態では、電気自動車1が電気ステーション等に到着した場合に、電気自動車1のユーザが電気ステーション等に設置されている給電装置3と電気自動車1とをケーブル51で接続することにより、給電装置3から電気自動車1のバッテリ装置120に対して充電を行う。
【0021】
図6に、本実施の形態における電気自動車1と需要側装置5との関係を示す。本実施の形態では、電気自動車1が施設に到着した場合に、電気自動車1のユーザが施設に設置されている需要側装置5と電気自動車1とをケーブル61で接続することにより、電気自動車1のバッテリ装置120から需要側装置5に対して給電を行う。
【0022】
図7に、ユーザデータ格納部111に格納されているデータの一例を示す。図7の例では、車両識別子と、ユーザ名と、ユーザ住所と、クレジットカード番号とが格納されている。
【0023】
図8に、利用施設DB110に格納されているデータの一例を示す。図8の例では、施設名の列と、施設IDの列と、会員IDの列と、施設住所の列と、インセンティブの列とが含まれる。
【0024】
図9に、バッテリDB104に格納されているデータの一例を示す。図9の例では、バッテリグループ番号の列と、購入単価の列と、残量の列とが含まれる。なお、購入単価は、一般充電では1kwhあたり5円であるのに対し、急速充電では1kwhあたり50円であるといったように、充電方法によって単価が大きく異なるように設定されることもある。
【0025】
図10に、燃費DB112に格納されているデータの一例を示す。図10の例では、高速道路の場合と一般道の場合とについて、電気自動車1の燃費のデータが格納されている。
【0026】
図11に、図3に示された給電装置3におけるステーションデータ格納部35に格納されているデータの一例を示す。図11の例では、ステーション名と、ステーションIDと、ステーションの住所と、購入単価のデータとが格納されている。
【0027】
図12に、図3に示された給電装置3における顧客データ格納部36に格納されているデータの一例を示す。図12の例では、ステーション会員IDと、会員住所と、会員氏名と、クレジットカード番号と、最終利用日のデータとが格納されている。
【0028】
図13に、図4に示された需要側装置5における施設データ格納部57に格納されているデータの一例を示す。図13の例では、施設名と、施設IDと、施設住所と、インセンティブのデータとが格納されている。なお、インセンティブは、施設で利用可能なポイントとして付与するようにしてもよいし、お金と交換可能なポイントとして付与するようにしてもよい。
【0029】
図14に、図4に示された需要側装置5における顧客データ格納部56に格納されているデータの一例を示す。図14の例では、会員IDの列と、会員住所の列と、会員氏名の列と、インセンティブの列とが含まれる。
【0030】
次に、図15乃至図18を用いて、電気自動車1のバッテリ装置120に対して充電を行う場合に行われる処理について説明する。電気自動車1が、バッテリ装置120に充電を行うために電気ステーションに到着する。電気自動車1のユーザは、電気自動車1と、電気ステーションに設置されている給電装置3とをケーブルで接続する。これにより、充電を行えるようになると共に、電気自動車1と給電装置3との間でデータの送受信が行えるようになる。
【0031】
すると、電気自動車1の通信部107は、電気自動車1と給電装置3とが接続されたことを検出し、給電装置3に充電要求を送信する(図15:ステップS1)。一方、給電装置3の通信部33は、電気自動車1から充電要求を受信する(ステップS3)。また、通信部33は、購入単価のデータ及び電気ステーションのステーションIDをデータ管理部34を介してステーションデータ格納部35から取得し、電気自動車1に送信する(ステップS5)。
【0032】
一方、電気自動車1の通信部107は、電気ステーションの給電装置3から購入単価のデータ及び電気ステーションのステーションIDを受信し、メインメモリ等の記憶装置に格納する(ステップS7)。そして、充電制御部103は、ステップS7において受信した購入単価のデータと一致する購入単価のデータがバッテリDB104(図9)に格納されているか判断する(ステップS9)。受信した購入単価のデータと一致する購入単価のデータがバッテリDB104に格納されていると判断された場合(ステップS9:Yesルート)、充電制御部103は、当該購入単価のデータに対応付けて格納されているバッテリグループ番号をバッテリDB104から特定し、当該バッテリグループ番号が付与されているバッテリグループを充電対象グループに決定する(ステップS11)。そして、特定されたバッテリグループに対して充電を行うよう充放電部106に指示する。なお、ステップS9においては購入単価が一致する場合としたが、購入単価から所定の範囲内に含まれるかを判断するようにしても良い。その場合は、購入単価を改めて計算して再度登録を行う。
【0033】
一方、ステップS7において受信した購入単価のデータと一致する購入単価のデータがバッテリDB104に格納されていないと判断された場合(ステップS9:Noルート)、充電制御部103は、空きのバッテリグループを充電対象グループに決定する(ステップS13)。ステップS13においては、バッテリDB104において購入単価及び残量のデータが格納されていないバッテリグループに対応付けて、ステップS7において受信した購入単価のデータを格納する。そして、決定された充電対象グループに対して充電を行うよう充放電部106に指示する。
【0034】
そして、充放電部106は、充電制御部103から指示を受け取ると、充電対象グループに対して充電を行うように、バッテリ105のスイッチを切り替える(ステップS15)。また、ユーザから受け付けた充電量のデータを含む開始要求を給電装置3に送信する(ステップS17)。
【0035】
一方、給電装置3の通信部33は、電気自動車1から開始要求を受信する(ステップS19)。そして、通信部33が給電部31に対して充電を指示すると、給電部31は充電を開始する(ステップS21)。処理は端子Aを介して図16の処理に移行する。
【0036】
図16を用いて端子A以降の処理について説明する。電気自動車1における充放電部106は、充電が終了したか判断する(図16:ステップS23)。例えば、ユーザから受け付けた充電量分の充電が終わった場合や、ケーブルが外された場合には充電が終了したと判断する。充電が終了したと判断された場合(ステップS23:Yesルート)、処理は端子Cを介して図17の処理に移行する。
【0037】
一方、充電が終了していないと判断された場合(ステップS23:Noルート)、充放電部106は、充電対象グループが満充電であるか判断する(ステップS25)。充電対象グループが満充電ではないと判断された場合(ステップS25:Noルート)、ステップS23の処理に戻る。一方、充電対象グループが満充電であると判断された場合(ステップS25:Yesルート)、充放電部106は、充電対象グループへの充電を終了する(ステップS27)。
【0038】
そして、充電制御部103は、バッテリDB104(図9)を探索し、空きのバッテリグループがあるか判断する(ステップS29)。空きのバッテリグループが無いと判断された場合(ステップS29:Noルート)、処理は端子Cを介して図17の処理に移行する。
【0039】
一方、空きのバッテリグループが有ると判断された場合(ステップS29:Yesルート)、充電制御部103は、空きのバッテリグループを充電対象グループに決定する(ステップS31)。ステップS31においては、バッテリDB104において購入単価及び残量のデータが格納されていないバッテリグループに対応付けて、ステップS7において受信した購入単価のデータを格納する。そして、決定された充電対象グループに対して充電を行うよう充放電部106に指示する。
【0040】
そして、充放電部106は、充電制御部103から指示を受け取ると、充電対象グループに対して充電を行うように、バッテリ105のスイッチを切り替え(ステップS33)、ステップS23の処理に戻る。
【0041】
図17を用いて端子B及びC以降の処理について説明する。電気自動車1の通信部107は、充電終了通知を給電装置3に送信する(図17:ステップS35)。また、充放電部106は、バッテリ105のスイッチを解放する(ステップS37)。一方、給電装置3の通信部33は、電気自動車1から充電終了通知を受信すると、充電の終了を給電部31に指示する。そして、給電部31は充電を終了する(ステップS39)。
【0042】
そして、データ管理部34は、充電量及び購入単価のデータを用いて、電気自動車1のユーザに請求する料金を算出し、算出された料金のデータを含む課金データを電気自動車1に送信する(ステップS41)。一方、電気自動車1の通信部107は、給電装置3から課金データを受信する。そして、出力部123は、通信部107から受け取った課金データを表示部(図示せず)に表示する(ステップS43)。
【0043】
図18に、ステップS43における表示画面の一例を示す。図18の例では、充電量と、請求される料金と、料金の支払い方法とが表示されている。
【0044】
また、データ管理部108は、バッテリDB104(図9)における、充電対象グループの残量のデータを、今回充電を行った分だけ増やすように更新する(ステップS45)。
【0045】
以上のような処理を実施することにより、複数のバッテリグループを有するバッテリ装置に対して適切に充電を行うことができるようになる。
【0046】
次に、図19乃至図27を用いて、電気自動車1のバッテリ装置120から給電を行う場合に行われる処理について説明する。電気自動車1は、バッテリ装置120から給電を行うために、例えば店舗、マンション、公共施設など電力需要のある場所(以下、施設と呼ぶ)に到着する。電気自動車1のユーザは、電気自動車1と、施設に設置されている需要側装置5とをケーブルで接続する。これにより、給電を行えるようになると共に、電気自動車1と需要側装置5との間でデータの送受信が行えるようになる。
【0047】
すると、電気自動車1の通信部107は、電気自動車1と施設における需要側装置5とが接続されたことを検出し、需要側装置5に給電要求を送信する(図19:ステップS51)。一方、需要側装置5の通信部53は、電気自動車1から給電要求を受信する(ステップS53)。また、通信部53は、施設名、施設ID、施設住所及びインセンティブのデータをデータ管理部54を介して施設データ格納部57から取得し、電気自動車1に送信する(ステップS55)。
【0048】
一方、電気自動車1の通信部107は、施設における需要側装置5から施設名、施設ID、施設住所及びインセンティブのデータを受信し、メインメモリ等の記憶装置に格納する(ステップS57)。そして、電気自動車1は、登録処理を実施する(ステップS59)。登録処理については、図20を用いて説明する。
【0049】
まず、電気自動車1におけるデータ管理部108は、ステップS57において受信した施設IDが利用施設DB110(図8)に登録されているか判断する(図20:ステップS121)。ステップS57において受信した施設IDが利用施設DB110に登録されていると判断された場合(ステップS121:Yesルート)、ステップS137の処理に移行する。
【0050】
一方、ステップS57において受信した施設IDが利用施設DB110に登録されていないと判断された場合(ステップS121:Noルート)、通信部107は、ユーザ名及び住所のデータをデータ管理部108を介してユーザデータ格納部111から取得し、当該ユーザ名及び住所のデータを含むID発行要求を需要側装置5に送信する(ステップS123)。一方、需要側装置5の通信部53は、電気自動車1からID発行要求を受信し、メインメモリ等の記憶装置に格納する(ステップS125)。そして、データ管理部54は、会員IDを発行(ステップS127)する。また、通信部53は、当該会員IDを電気自動車1に送信する(ステップS129)。さらに、データ管理部54は、ステップS125において受信した住所及び氏名のデータと、会員IDとを顧客データ格納部56(図14)に登録する(ステップS131)。
【0051】
そして、電気自動車1における通信部107は、施設における需要側装置5から会員IDを受信し、メインメモリ等の記憶装置に格納する(ステップS133)。そして、データ管理部108は、ステップS57において受信した施設名、施設ID及び施設住所のデータと、ステップS133において受信した会員IDとを利用施設DB110(図8)に登録する(ステップS135)。
【0052】
一方、ステップS57において受信した施設IDが利用施設DB110に登録されていると判断された場合(ステップS121:Yesルート)、通信部107は、データ管理部108を介して利用施設DB110から会員IDを取得し、需要側装置5に送信する(ステップS137)。そして、需要側装置5は、電気自動車1から会員IDを受信し、メインメモリ等の記憶装置に格納する(ステップS139)。これにより、施設の会員であることを確認することができる。
【0053】
以上のような処理を実施することにより、施設は、登録された会員に対してのみインセンティブを付与することができるようになる。
【0054】
図19の説明に戻り、給電制御部121における判断部101は、ステップS57において受信したインセンティブ(以下、施設が提供するインセンティブと呼ぶ)よりも安い購入単価が対応付けられているバッテリグループがバッテリDB104(図9)に登録されているか判断する(ステップS61)。施設が提供するインセンティブよりも安い購入単価が対応付けられているバッテリグループがバッテリDB104に登録されていないと判断された場合(ステップS61:Noルート)、通信部107は、給電中止を表す通知を需要側装置5に送信する(ステップS63)。そして、需要側装置5の通信部107は、電気自動車1から給電中止を表す通知を受信する(ステップS65)。これにより、給電が中止される。
【0055】
一方、施設が提供するインセンティブよりも安い購入単価が対応付けられているバッテリグループがバッテリDB104に登録されていると判断された場合(ステップS61:Yesルート)、判断部101は、消費電力量算出処理を実施する(ステップS67)。消費電力量算出処理については、図21を用いて説明する。
【0056】
まず、判断部101は、ナビゲーションシステム122に、目的地が設定されているか判断する(図21:ステップS151)。目的地が設定されていない場合(ステップS151:Noルート)、判断部101は、自宅を次の充電場所に決定し、自宅の位置データをナビゲーションシステム122の地図DB113から取得する(ステップS153)。
【0057】
一方、目的地が設定されていると判断された場合(ステップS151:Yesルート)、判断部101は、目的地に充電施設(例えば給電装置を有する施設)が有るか判断する(ステップS155)。目的地に充電施設が無いと判断された場合(ステップS155:Noルート)、判断部101は、目的地手前の電気ステーションを次の充電場所に決定し、ナビゲーションシステム122の地図DB113から目的地手前の電気ステーションの位置データを取得する(ステップS157)。なお、目的地手前の電気ステーションは、目的地までの経路上に在ることが好ましい。
【0058】
一方、目的地に充電施設が有ると判断された場合(ステップS155:Yesルート)、判断部101は、目的地を次の充電場所に決定し、ナビゲーションシステム122の地図DB113から目的地の位置データを取得する(ステップS159)。
【0059】
そして、判断部101は、現在の地点から、ステップS153、S157又はS159において決定された次の充電場所までの距離及び経路データ(例えば、次の充電場所に到着するまでに走行する高速道路の距離など)をナビゲーションシステム122から取得する(ステップS161)。そして、判断部101は、燃費DB112(図10)に格納されている燃費のデータと、現在の地点から次の充電場所までの距離及び経路データとを用いて、次の充電場所に到着するまでに消費する電力量を算出する(ステップS163)。また、判断部101は、算出した電力量に所定の電力量を加算して消費電力量を算出し、メインメモリ等の記憶装置に格納する(ステップS165)。そして、元の処理に戻る。
【0060】
以上のような処理を実施することにより、次の充電場所に到着するまでに消費する電力量を適切に算出することができるようになる。
【0061】
図19の説明に戻り、判断部101は、バッテリ105の総残量をバッテリDB104(図9)の残量のデータを総和することにより算出し、総残量が消費電力量以上であるか判断する(ステップS69)。総残量が消費電力量以上ではないと判断された場合(ステップS69:Noルート)、次の充電場所に到達できなくなってしまうため、ステップS63の処理に移行する。
【0062】
一方、総残量が消費電力量以上であると判断された場合(ステップS69:Yesルート)、処理は端子D及びEを介して図22の処理に移行する。
【0063】
図22を用いて端子D及びE以降の処理について説明する。判断部101は、購入単価が安い方から順にバッテリグループに優先度を設定する(図22:ステップS71)。例えば、図9に示すようなデータがバッテリDB104に格納されている場合、バッテリグループ番号「4」のバッテリグループの優先度が最も高く、バッテリグループ番号「2」のバッテリグループの優先度が次に高く、バッテリグループ番号「3」のバッテリグループの優先度が次に高く、バッテリグループ番号「1」のバッテリグループの優先度が最も低くなる。
【0064】
また、判断部101は、購入単価がインセンティブよりも高いバッテリグループの残量の合計が消費電力量よりも多いか判断する(ステップS73)。すなわち、購入単価がインセンティブよりも安いバッテリグループから給電を行ったとしても次の充電場所に到着することができるかを判断する。購入単価がインセンティブよりも高いバッテリグループの電力量の合計が消費電力量よりも少ないと判断された場合(ステップS73:Noルート)、処理は端子Fを介して図23の処理に移行する。
【0065】
一方、購入単価がインセンティブよりも高いバッテリグループの電力量の合計が消費電力量よりも多いと判断された場合(ステップS73:Yesルート)、判断部101は、優先度が最も高いバッテリグループを特定する(ステップS75)。そして、制御部102は、ステップS75において特定されたバッテリグループから給電を行うように充放電部106に指示する。そして、充放電部106は、バッテリ105のスイッチを切り替え、当該バッテリグループから需要側装置5に給電する(ステップS77)。
【0066】
そして、判断部101は、次に優先度が高いバッテリグループが有るか判断する(ステップS79)。次に優先度が高いバッテリグループが有ると判断された場合(ステップS79:Yesルート)、判断部101は、次に優先度が高いバッテリグループを特定し(ステップS81)、ステップS77の処理に戻る。次に優先度が高いバッテリグループが無いと判断された場合(ステップS79:Noルート)、通信部107は、給電終了を表す通知を需要側装置5に送信する(ステップS83)。また、データ管理部108は、バッテリDB104における残量のデータを、給電した分だけ減らすように更新する(ステップS85)。
【0067】
一方、需要側装置5の通信部53は、給電終了を表す通知を受信する(ステップS87)。そして、充電部51は電気自動車1からの給電を終了し、処理は端子G及びHを介して図24の処理に移行する。
【0068】
ここで、図23を用いて、端子F以降の処理について説明する。まず、判断部101は、総残量から消費電力量を差し引いた値である充電可能量を算出する(図23:ステップ89)。また、判断部101は、未処理のバッテリグループのうち優先度が最も高いバッテリグループ(以下、給電対象のバッテリグループと呼ぶ)を特定する(ステップS91)。
【0069】
そして、判断部101は、給電対象のバッテリグループの残量より充電可能量の方が多いか判断する(ステップS93)。給電対象のバッテリグループの残量より充電可能量の方が多いと判断された場合(ステップS93:Yesルート)、制御部102は、給電対象のバッテリグループから給電を行うよう充放電部106に指示する。そして、充放電部106は、給電対象のバッテリグループから需要側装置5に給電を行う(ステップS95)。
【0070】
そして、判断部101は、未処理のバッテリグループが有るか判断する(ステップS97)。未処理のバッテリグループが無いと判断された場合(ステップS97:Noルート)、ステップS103の処理に移行する。一方、未処理のバッテリグループが有ると判断された場合(ステップS97:Yesルート)、判断部101は、ステップS95において給電した電力量を充電可能量から差し引いた値を新たに充電可能量に設定し(ステップS99)、ステップS91の処理に戻る。
【0071】
一方、給電対象のバッテリグループの残量より充電可能量の方が少ないと判断された場合(ステップS93:Yesルート)、制御部102は、給電対象のバッテリグループから充電可能量の分だけ需要側装置5に給電する(ステップS101)。また、通信部107は、給電終了通知を需要側装置5に送信する(ステップS103)。さらに、データ管理部108は、バッテリDB104における残量のデータを、ステップS95又はS101において給電した分だけ減らすように更新する(ステップS105)。処理は端子Gを介して図24の処理に移行する。
【0072】
図24を用いて端子G及びH以降の処理について説明する。まず、需要側装置5のデータ管理部54は、施設データ格納部57(図13)に格納されているインセンティブのデータと、バッテリ52に給電された電力量とから、獲得インセンティブを算出し、メインメモリ等の記憶装置に格納する(ステップS107)。そして、通信部53は、獲得インセンティブのデータを電気自動車1に送信する(ステップS109)。また、データ管理部54は、ステップS127において発行した会員ID又はステップS139において受信した会員IDに対応付けて獲得インセンティブのデータを付与インセンティブDB55に登録する(ステップS111)。
【0073】
図25に、付与インセンティブDB55に格納されているデータの一例を示す。図25の例では、日付と、会員IDと、付与インセンティブのデータとが格納されている。なお、付与インセンティブは獲得インセンティブと同じものである。
【0074】
そして、電気自動車1の通信部107は、需要側装置5から獲得インセンティブのデータを受信し、メインメモリ等の記憶装置に格納する(ステップS113)。そして、データ管理部108は、ステップS57において受信した施設IDに対応付けて獲得インセンティブのデータ及び累計インセンティブのデータを獲得インセンティブDB109に登録する(ステップS115)。累積インセンティブのデータは、電気自動車1のユーザがこれまでに獲得したインセンティブの合計である。
【0075】
図26に、獲得インセンティブDB109に格納されているデータの一例を示す。図26の例では、日付と、施設IDと、獲得インセンティブのデータと、累計インセンティブのデータとが格納されている。
【0076】
そして、出力部123は、ステップS113において受信した獲得インセンティブのデータを含む表示データを表示部(図示せず)に表示する(ステップS117)。
【0077】
図27に、ステップS117における表示画面の一例を示す。図27の例では、施設名と、給電量と、獲得インセンティブのデータとが表示されている。
【0078】
以上のような処理を実施することにより、ポイントを得られるというインセンティブをユーザに与え、給電を行うことをユーザに促すことができるようになる。
【0079】
なお、一般的には、通常充電のようなバッテリへの負荷が小さい充電方法の方が購入単価が安く設定されている。これに対し、急速充電のようなバッテリへの負荷が大きい充電方法の方が購入単価が高く設定されている。一方、通常充電は急速充電に比べ、多くの回数充電を行うことが可能となる。この関係を、図28に示す。図28では、縦軸が充電回数を表しており、横軸が購入単価を表している。図28に示すように、充電回数と購入価格との関係は、反比例するような関係が成立することが多い。
【0080】
本実施の形態では、このような関係を考慮しているため、単価が安い(すなわちバッテリへの負荷が小さい)充電方法で充電したバッテリグループから優先的に給電を行うようにしている。具体例を、図29を用いて説明する。図29において、グループAは購入単価が安いバッテリグループであり、グループBは購入単価が高いバッテリグループである。図29の例では、購入単価が安いバッテリグループから優先的に給電を行うようにしているので、バッテリへの負荷が小さい通常充電については3回行っているが、バッテリへの負荷が大きい急速充電については1回で済んでいる。この結果、特定のバッテリグループへの負荷の集中を避け、バッテリ全体としての寿命を延ばすことができる。
【0081】
以上本技術の一実施の形態を説明したが、本技術はこれに限定されるものではない。例えば、上で説明した電気自動車1、給電装置3及び需要側装置5の機能ブロック図は必ずしも実際のプログラムモジュール構成に対応するものではない。
【0082】
また、上で説明した各テーブルの構成は一例であって、必ずしも上記のような構成でなければならないわけではない。さらに、処理フローにおいても、処理結果が変わらなければ処理の順番を入れ替えることも可能である。さらに、並列に実行させるようにしても良い。
【0083】
また、上で述べた例では、バッテリDB104において購入単価そのものを管理するような例を示したが、各バッテリグループに価格帯を割り当てるようにしてもよい。
【0084】
また、上で述べた例では、購入単価が一致するバッテリグループに対して充電を行うような例を示したが、たとえ購入単価が一致するバッテリグループが無かったとしても、購入単価が最も近いバッテリグループに対して充電を行うようにしてもよい。その際、充電量及び充電時の購入単価のデータと、充電を行うバッテリグループの残量及び購入単価のデータとを用いて、平均購入単価を再計算するようにしてもよい。
【0085】
また、上で述べた例では、購入単価に応じてバッテリグループを使い分けるようにしているが、充電を行う場所に応じてバッテリグループを使い分けるようにしてもよい。例えば、充電のみをサービスとした電気ステーションでは急速充電設備、映画館等の施設には中速充電設備、長時間駐車する施設には一般充電設備といったような役割分担が行われることも考えられるためである。
【0086】
また、上で述べた例では、バッテリ装置120の中にバッテリDB104を設けるようにしているが、電気自動車1内のバッテリ装置120の中ではない部分に設けるようにしてもよい。
【0087】
以上述べた本技術の実施の形態をまとめると以下のようになる。
【0088】
本実施の形態の第1の態様に係るバッテリ装置は、(A)複数の蓄電部と、(B)複数の蓄電部の各々について単位電力量当たりの購入価格に関するデータを格納するデータ格納部とを有する。
【0089】
このような構成であれば、充電及び給電の対象となる蓄電部を、単位電力量当たりの購入価格という観点から決定できるようになる。これにより、バッテリ装置を分散型電源として適切に利用することができるようになる。
【0090】
本実施の形態の第2の態様に係る給電制御装置は、(C)バッテリ装置から電力を供給することにより得られる報酬の単価のデータを電力の供給先の装置から受信する受信部と、(D)バッテリ装置に含まれる複数の蓄電部の各々について単位電力量当たりの購入価格に関するデータを格納するデータ格納部から、単位電力量当たりの購入価格が報酬の単価よりも安い蓄電部を特定し、当該蓄電部から電力の供給先の装置に対して給電を行うようにバッテリ装置を制御する給電制御部とを有する。
【0091】
このようにすれば、報酬を得られるというインセンティブをユーザに与え、給電を行うことをユーザに促すことができるようになる。また、一般的には、単位電力量当たりの購入価格が安い充電方法(例えば通常充電)ほど蓄電部への負荷が小さく、単位電力量当たりの購入価格が高い充電方法(例えば急速充電)ほど蓄電部への負荷が大きい。従って、上で述べたようにすれば、負荷が小さい充電方法を利用する蓄電部を優先的に利用するようになる。これにより、充放電を繰り返すことによる蓄電部への負荷は全体として平準化され、バッテリ装置の寿命を延ばすことができるようになる。
【0092】
また、上で述べたデータ格納部には、複数の蓄電部の各々について当該蓄電部の電力量のデータがさらに格納されるようにしてもよい。そして、上で述べた給電制御部が、(d1)データ格納部に格納されているデータを用いて単位電力量当たりの購入価格が報酬の単価よりも高い蓄電部の電力量の合計である第1の電力量を算出すると共に、次に充電を行う場所に到達するまでに消費する消費電力量を算出し、第1の電力量が消費電力量よりも多いか判断する判断部と、(d2)第1の電力量が消費電力量よりも多いと判断された場合に、単位電力量当たりの購入価格が報酬の単価よりも安い蓄電部から給電を行うようにバッテリ装置を制御する制御部とを有するようにしてもよい。このようにすれば、走行で使用する電力が不足してしまうことがないことを確認した上で給電を行うことができるようになる。
【0093】
また、第1の電力量が消費電力量よりも少ないと判断された場合には、上で述べた判断部が、データ格納部に格納されているデータを用いてバッテリ装置の総電力量を算出し、当該総電力量から消費電力量を差し引くことにより給電可能な電力量を算出し、上で述べた制御部が、給電量が給電可能な電力量に達するまで、単位電力量当たりの購入価格が安い蓄電部から順に給電を行うようにバッテリ装置を制御するようにしてもよい。単位電力量当たりの購入価格が報酬の単価よりも安い蓄電部から給電を行うと、走行で使用する電力が不足してしまう場合がある。そのような場合においても、上で述べたように給電可能な分だけ給電を行えば、走行に支障が出ないようにすることができるようになる。
【0094】
本実施の形態の第3の態様に係る充電制御装置は、(E)バッテリ装置に充電する電力の購入単価のデータを電力の供給元の装置から受信する受信部と、(F)バッテリ装置に含まれる複数の蓄電部の各々について単位電力量当たりの購入価格に関するデータを格納するデータ格納部から、複数の蓄電部のうち単位電力量当たりの購入価格が充電する電力の購入単価に最も近い蓄電部を特定し、当該蓄電部に対して電力の供給元の装置から充電を行うようにバッテリ装置を制御する充電制御部とを有する。
【0095】
このような構成であれば、適切な蓄電部に対して充電を行うことができるようになる。また、一般的には、充電時における蓄電部への負荷の大きさは、単位電力量当たりの購入価格が高い充電方法ほど大きくなり、安い充電方法ほど小さくなる。従って、単位電力量当たりの購入価格が安い蓄電部は、充電時の負荷が小さい充電方法で充電が行われるようになり、単位電力量当たりの購入価格が高い蓄電部は、充電時の負荷が大きい充電方法で充電が行われるようになる。
【0096】
本実施の形態の第4の態様に係る給電制御方法は、(G)バッテリ装置から電力を供給することにより得られる報酬の単価のデータを電力の供給先の装置から受信するステップと、(H)バッテリ装置に含まれる複数の蓄電部の各々について単位電力量当たりの購入価格に関するデータを格納するデータ格納部から、単位電力量当たりの購入価格が報酬の単価よりも安い蓄電部を特定し、当該蓄電部から電力の供給先の装置に対して給電を行うようにバッテリ装置を制御するステップとを含む。
【0097】
本実施の形態の第5の態様に係る充電制御方法は、(I)バッテリ装置に充電する電力の購入単価のデータを電力の供給元の装置から受信するステップと、(J)バッテリ装置に含まれる複数の蓄電部の各々について単位電力量当たりの購入価格に関するデータを格納するデータ格納部から、複数の蓄電部のうち単位電力量当たりの購入価格が充電する電力の購入単価に最も近い蓄電部を特定し、当該蓄電部に対して電力の供給元の装置から充電を行うようにバッテリ装置を制御するステップとを含む。
【0098】
なお、上記方法による処理をコンピュータに行わせるためのプログラムを作成することができ、当該プログラムは、例えばフレキシブルディスク、CD−ROM、光磁気ディスク、半導体メモリ、ハードディスク等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体又は記憶装置に格納される。尚、中間的な処理結果はメインメモリ等の記憶装置に一時保管される。また、上記方法による処理を行うためのハードウェアについては、少なくともCPU(Central Processing Unit)とメモリとを有するコンピュータ装置を用いることができる。
【0099】
以上の実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0100】
(付記1)
複数の蓄電部と、
前記複数の蓄電部の各々について単位電力量当たりの購入価格に関するデータを格納するデータ格納部と、
を有するバッテリ装置。
【0101】
(付記2)
バッテリ装置から電力を供給することにより得られる報酬の単価のデータを電力の供給先の装置から受信する受信部と、
前記バッテリ装置に含まれる複数の蓄電部の各々について単位電力量当たりの購入価格に関するデータを格納するデータ格納部から、単位電力量当たりの購入価格が前記報酬の単価よりも安い蓄電部を特定し、当該蓄電部から前記電力の供給先の装置に対して給電を行うように前記バッテリ装置を制御する給電制御部と、
を有する給電制御装置。
【0102】
(付記3)
前記データ格納部には、前記複数の蓄電部の各々について当該蓄電部の電力量のデータがさらに格納されており、
前記給電制御部が、
前記データ格納部に格納されているデータを用いて単位電力量当たりの購入価格が前記報酬の単価よりも高い蓄電部の電力量の合計である第1の電力量を算出すると共に、次に充電を行う場所に到達するまでに消費する消費電力量を算出し、前記第1の電力量が前記消費電力量よりも多いか判断する判断部と、
前記第1の電力量が前記消費電力量よりも多いと判断された場合に、単位電力量当たりの購入価格が前記報酬の単価よりも安い蓄電部から給電を行うように前記バッテリ装置を制御する制御部と、
を有する付記2記載の給電制御装置。
【0103】
(付記4)
前記第1の電力量が前記消費電力量よりも少ないと判断された場合には、前記判断部が、前記データ格納部に格納されているデータを用いて前記バッテリ装置の総電力量を算出し、当該総電力量から前記消費電力量を差し引くことにより給電可能な電力量を算出し、
前記制御部が、
給電量が前記給電可能な電力量に達するまで、単位電力量当たりの購入価格が安い蓄電部から順に給電を行うように前記バッテリ装置を制御する
ことを特徴とする付記3記載の給電制御装置。
【0104】
(付記5)
バッテリ装置に充電する電力の購入単価のデータを電力の供給元の装置から受信する受信部と、
前記バッテリ装置に含まれる複数の蓄電部の各々について単位電力量当たりの購入価格に関するデータを格納するデータ格納部から、前記複数の蓄電部のうち単位電力量当たりの購入価格が前記充電する電力の購入単価に最も近い蓄電部を特定し、当該蓄電部に対して前記電力の供給元の装置から充電を行うように前記バッテリ装置を制御する充電制御部と、
を有する充電制御装置。
【0105】
(付記6)
バッテリ装置から電力を供給することにより得られる報酬の単価のデータを電力の供給先の装置から受信するステップと、
前記バッテリ装置に含まれる複数の蓄電部の各々について単位電力量当たりの購入価格に関するデータを格納するデータ格納部から、単位電力量当たりの購入価格が前記報酬の単価よりも安い蓄電部を特定し、当該蓄電部から前記電力の供給先の装置に対して給電を行うように前記バッテリ装置を制御する給電制御ステップと、
を、コンピュータに実行させるための給電制御プログラム。
【0106】
(付記7)
前記データ格納部には、前記複数の蓄電部の各々について当該蓄電部の電力量のデータがさらに格納されており、
前記給電制御ステップが、
前記データ格納部に格納されているデータを用いて単位電力量当たりの購入価格が前記報酬の単価よりも高い蓄電部の電力量の合計である第1の電力量を算出すると共に、次に充電を行う場所に到達するまでに消費する消費電力量を算出し、前記第1の電力量が前記消費電力量よりも多いか判断する判断ステップと、
前記第1の電力量が前記消費電力量よりも多いと判断された場合に、単位電力量当たりの購入価格が前記報酬の単価よりも安い蓄電部から給電を行うように前記バッテリ装置を制御する制御ステップと、
を含む付記6記載の給電制御プログラム。
【0107】
(付記8)
前記判断ステップが、
前記第1の電力量が前記消費電力量よりも少ないと判断された場合には、前記データ格納部に格納されているデータを用いて前記バッテリ装置の総電力量を算出し、当該総電力量から前記消費電力量を差し引くことにより給電可能な電力量を算出ステップ
を含み、
前記制御ステップが、
給電量が前記給電可能な電力量に達するまで、単位電力量当たりの購入価格が安い蓄電部から順に給電を行うように前記バッテリ装置を制御するステップ
を含む付記7記載の給電制御装置。
【0108】
(付記9)
バッテリ装置に充電する電力の購入単価のデータを電力の供給元の装置から受信するステップと、
前記バッテリ装置に含まれる複数の蓄電部の各々について単位電力量当たりの購入価格に関するデータを格納するデータ格納部から、前記複数の蓄電部のうち単位電力量当たりの購入価格が前記充電する電力の購入単価に最も近い蓄電部を特定し、当該蓄電部に対して前記電力の供給元の装置から充電を行うように前記バッテリ装置を制御するステップと、
を、コンピュータに実行させるための充電制御プログラム。
【符号の説明】
【0109】
1 電気自動車 101 判断部
102 制御部 103 充電制御部
104 バッテリDB 105 バッテリ
105A,B,C バッテリグループ 106 充放電部
107 通信部 108 データ管理部
109 獲得インセンティブDB 110 利用施設DB
111 ユーザデータ格納部 112 燃費DB
113 地図DB 120 バッテリ装置
121 給電制御部 122 ナビゲーションシステム
123 出力部
3 給電装置 31 給電部
32 バッテリ 33 通信部
34 データ管理部 35 ステーションデータ格納部
36 顧客データ格納部
5 需要側装置 51 充電部
52 バッテリ 53 通信部
54 データ管理部 55 付与インセンティブDB
56 顧客データ格納部 57 施設データ格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電部と、
前記複数の蓄電部の各々について単位電力量当たりの購入価格に関するデータを格納するデータ格納部と、
を有するバッテリ装置。
【請求項2】
バッテリ装置から電力を供給することにより得られる報酬の単価のデータを電力の供給先の装置から受信する受信部と、
前記バッテリ装置に含まれる複数の蓄電部の各々について単位電力量当たりの購入価格に関するデータを格納するデータ格納部から、単位電力量当たりの購入価格が前記報酬の単価よりも安い蓄電部を特定し、当該蓄電部から前記電力の供給先の装置に対して給電を行うように前記バッテリ装置を制御する給電制御部と、
を有する給電制御装置。
【請求項3】
前記データ格納部には、前記複数の蓄電部の各々について当該蓄電部の電力量のデータがさらに格納されており、
前記給電制御部が、
前記データ格納部に格納されているデータを用いて単位電力量当たりの購入価格が前記報酬の単価よりも高い蓄電部の電力量の合計である第1の電力量を算出すると共に、次に充電を行う場所に到達するまでに消費する消費電力量を算出し、前記第1の電力量が前記消費電力量よりも多いか判断する判断部と、
前記第1の電力量が前記消費電力量よりも多いと判断された場合に、単位電力量当たりの購入価格が前記報酬の単価よりも安い蓄電部から給電を行うように前記バッテリ装置を制御する制御部と、
を有する請求項2記載の給電制御装置。
【請求項4】
前記第1の電力量が前記消費電力量よりも少ないと判断された場合には、前記判断部が、前記データ格納部に格納されているデータを用いて前記バッテリ装置の総電力量を算出し、当該総電力量から前記消費電力量を差し引くことにより給電可能な電力量を算出し、
前記制御部が、
給電量が前記給電可能な電力量に達するまで、単位電力量当たりの購入価格が安い蓄電部から順に給電を行うように前記バッテリ装置を制御する
ことを特徴とする請求項3記載の給電制御装置。
【請求項5】
バッテリ装置に充電する電力の購入単価のデータを電力の供給元の装置から受信する受信部と、
前記バッテリ装置に含まれる複数の蓄電部の各々について単位電力量当たりの購入価格に関するデータを格納するデータ格納部から、前記複数の蓄電部のうち単位電力量当たりの購入価格が前記充電する電力の購入単価に最も近い蓄電部を特定し、当該蓄電部に対して前記電力の供給元の装置から充電を行うように前記バッテリ装置を制御する充電制御部と、
を有する充電制御装置。
【請求項6】
バッテリ装置から電力を供給することにより得られる報酬の単価のデータを電力の供給先の装置から受信するステップと、
前記バッテリ装置に含まれる複数の蓄電部の各々について単位電力量当たりの購入価格に関するデータを格納するデータ格納部から、単位電力量当たりの購入価格が前記報酬の単価よりも安い蓄電部を特定し、当該蓄電部から前記電力の供給先の装置に対して給電を行うように前記バッテリ装置を制御するステップと、
を、コンピュータに実行させるための給電制御プログラム。
【請求項7】
バッテリ装置に充電する電力の購入単価のデータを電力の供給元の装置から受信するステップと、
前記バッテリ装置に含まれる複数の蓄電部の各々について単位電力量当たりの購入価格に関するデータを格納するデータ格納部から、前記複数の蓄電部のうち単位電力量当たりの購入価格が前記充電する電力の購入単価に最も近い蓄電部を特定し、当該蓄電部に対して前記電力の供給元の装置から充電を行うように前記バッテリ装置を制御するステップと、
を、コンピュータに実行させるための充電制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2012−165500(P2012−165500A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22073(P2011−22073)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】