説明

バネを移送するための装置および方法

本発明は、移送機器(51)および出力機器(15、16)を備えるバネコンベヤ(4)にバネ(61〜64)を移送するための装置に関する。移送機器は、複数の位置(51a、51b)間を移動できるように取り付けられており、移送機器(51)は、いずれの場合でも、バネ(63〜65)を受け取るように設計されており、かつ移送機器(51)が移動する間、受け取られたバネ(63〜65)を複数の位置(51a、51b)間で運搬するように設計されている。出力機器(15、16)は、移送機器(51)によって受け取られたバネ(63〜65)を、所望に応じて、複数の出力位置のうちの1か所で移送機器(51)から出力するように設計されており、これら複数の出力位置は、対ごとに互いに異なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バネコンベヤにバネを移送するための装置および方法に関する。本発明は特に、バネコンベヤにバネを搬送するための装置および方法に関し、この装置または方法を使用して、バネ列、特にポケットスプリング列を生産するための機械に、あるいはスプリングコアまたはポケットスプリングコアを生産するための自動システムに設けられたバネコンベヤにバネを移送することができる。本発明は特に、バネをスプリングフォーマーからバネコンベヤへ移送できるようにする装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スプリングコアまたはポケットスプリングコアを生産するには、機械または自動システムが使用され、これらの機械や自動システムにより、バネ列、ポケットスプリング列、スプリングコアまたはポケットスプリングコアを生産する際に、高度な自動化が可能となる。かかる機械または自動システムは、バネを製造するためのスプリングフォーマーと、スプリングフォーマーの下流に設けられた複数のステーションとを有し得る。そこでは例えば、バネを選択的に回転し、列を成して配置され、ポケットに入り、かつ/またはスプリングコアあるいはポケットスプリングコアに結合され得る。スプリングフォーマーの下流に配置されるステーションの数および動作は、それぞれの機械またはそれぞれの自動システムの動作によって異なる場合がある。その機械または自動システムでは、バネが1つまたは複数の搬送機器により、スプリングフォーマーから機械のステーションあるいは自動システムのステーションへと運搬される。以降、この搬送機器をスプリングコンベヤと称する。
【0003】
バネ列、ポケットスプリング列、スプリングコアまたはポケットスプリングコアを生産するための機械または自動システムは、バネをバネコンベヤへ移送することを可能にする機器を有することが多い。かかる機器は、例えば、スプリングフォーマーから、機械または自動システムによってバネを先へと搬送し得る1本あるいは1対の搬送ベルトへと移送する目的で提供され得る。バネを移送するための従来の機器は、1つのまたは1対の要素がバネを把持し、そのバネをバネコンベヤに移送するように構成されていることが多く、バネが移送された後、および別のバネが新しい作業サイクルでそのバネコンベヤに移送できるようになる前に、その1つまたは1対の要素を開始位置に戻す必要がある。その1つまたは1対の要素がその開始位置に戻る動きにより、各作業サイクルの時間が長くなり、機械のサイクル回数、あるいはバネが搬送される自動システムのサイクル回数が制限され得る。さらには、バネを移送するための従来の機器は、例えば米国特許第5,950,473号に記載されているコンベヤの場合のように、バネコンベヤがクロック方式駆動されるように構成されていることが多い。時間当たりに運搬される所与の数のバネについて、クロック動作を実行するには、コンベヤに要求される加速および減速を保証するのに、十分に強力で、かつ相応に高価な駆動装置が設けられる必要がある。
【0004】
国際公開第00/147348 A1号パンフレットは、バネ巻き機で形成されたバネを回転させ、位置付けるための装置について記載しており、この装置では、押し入れ手段がバネの終端コイルと係合して、そのバネを1対の無限ベルトなどの運搬手段に移送し、この運搬手段がバネをスプリングコア組立てシステムへと移送する。この押し入れ手段は、新しい作業サイクルが始まる前に、枢動して開始位置に戻る。
【0005】
欧州特許第1 492 637 B1号は、バネを方向付けるための、1対の回転ディスクに設けられ得る複数対の回転板を有し得る機器について記載している。バネ巻き機の運搬開始位置からバネコンベヤへとバネが移送され、移送中は、バネが複数対の回転板のうちの1対の間に固定されている。このバネは、所定の位置でその1対の回転板から出力される。
【0006】
バネコンベヤにバネを移送するための改良された装置と改良された方法とに対するニーズがある。特に、バネを高速で移送できるようにするかかる装置とかかる方法とに対するニーズがある。また、絶えず移動するバネコンベヤへとバネを移送できるようにするかかる装置およびかかる方法に対するニーズもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明によれば、独立クレームに記載の装置および方法が提供される。従属クレームは、有利または好適な実施形態を定義する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本装置および方法により、バネをバネコンベヤへと移送することができる。本明細書では、バネコンベヤが、1つまたは複数のバネを運搬できる機器であると理解される。バネコンベヤは、1つまたは複数のバネを受け取る別々の要素と、1つまたは複数の運搬ベルトと、運搬車輪または同様物とを備え得る。
【0009】
一態様によれば、バネコンベヤにバネを移送するための装置、特に、ポケットスプリング列を生産するための機械向けの装置が提供され、この装置は、移送機器と出力機器とを備える。移送機器は複数の位置間を移動可能であり、これらの位置で移送機器はバネを受け取るようにそれぞれ構成されている。この移送機器は、それら複数の位置のうちの2つの位置間を移動するときに、受け取られたバネを運搬するように構成されている。出力機器は、複数の出力位置のうちの1つで移送機器から移送機器によって受け取られたバネを選択的に出力するように構成されており、それら複数の出力位置は対ごとに異なる。出力位置の対は、特に互いに間隔が空いていても良い。
【0010】
装置の移送機器は、複数の位置でバネをそれぞれ受け取るように構成されているように構成されていることから、それら複数の位置の異なる位置が、新しい作業サイクルの開始位置として各々機能し得る。受け取られたバネは、複数の異なる出力位置のうちの1つで移送機器から出力することができるので、バネが移送機器から出力される位置は、特に、別のバネが移送機器によって受け取られる新しい作業サイクルの開始位置としても機能し得る。これにより、移送機器があるサイクルの終端位置から後続サイクルの開始位置へと別々に戻るステップが省略され得る。この機器は、特に、絶え間なく移動するバネコンベヤにバネを移送するようにも構成されている。
【0011】
移送機器は、受け取られたバネを第1の方向で、あるいは第1の方向とは異なる第2の方向、特に第1の方向とは反対である第2の方向に選択的に運搬するように構成され得る。この構成により、移送機器が、これらの位置間、特に第1の位置と第2の位置との間を反対方向に交互に往復移動することができる。バネは、移送機器によって受け取られた複数の位置のうちのどの位置かに応じて、移送機器から出力される前に第1の方向または第2の方向に運搬され得る。
【0012】
この装置は、バネコンベヤの移動方向に対して本質的に平行であるか、あるいは本質的に逆平行である複数の位置のうちの位置間を移送機器が移動するように構成され得る。これにより、短い距離を経て異なる出力位置でバネコンベヤにバネを受け渡すことができる。
【0013】
この装置は、複数の出力位置の各出力位置が、それぞれの出力位置で出力されたバネが移送機器によって受け取られた移送機器の位置と関連付けられるように構成され得る。これにより、移送機器が、それら複数の位置でバネコンベヤに搬送される複数のバネを順次受け取ることができ、これらのバネは、それぞれの受け取り位置と関連付けられている出力位置で明確に定義された方法で出力することができる。それにより、例えば、バネコンベヤ上のバネの等距離配置が容易に達成され得る。
【0014】
この装置は、移送機器によって受け取られたバネを出力機器が出力する一方で、移送機器が別のバネを並行して受け取るように構成され得る。そのために、出力機器に連結されており、出力機器を、移送機器が位置付けられている位置の関数として制御するコントローラが設けられ得る。その結果、移送機器によって受け取られたバネがこの移送機器から出力される一方で、新しいバネが受け取られる。バネの出力と別のバネの受け取りが時間的に重なることから、バネが移送され得る速度がさらに短縮され得る。
【0015】
この装置は、移送機器が第1の位置と第2の位置とを有するように構成されてもよく、バネを出力し、第1の位置および第2の位置の各々で別のバネを受け取るように構成されている。移送機器は、第1の位置と第2の位置との間を交互に移動し得る。第1の位置で移送機器によって受け取られたバネは、移送機器が第2の位置にあるときに、出力機器によって第1の出力位置で移送機器から出力され得る。移送機器は、第2の位置にある間に、第2のバネを受け取り得る。第2の位置で移送機器によって受け取られた第2のバネは、移送機器が再び第1の位置に来たときに、出力機器によって第2の出力位置で移送機器から出力され得る。
【0016】
この装置は、移送機器によって受け取られたバネを形状を維持した状態で支持する保持手段を有し得る。この保持手段により、それら複数の位置の位置間を移送機器が移動する間、移送機器上でバネを保持することができる。加えて、形状を維持した状態でバネを支持する保持手段は、バネが移送機器で受け取られるとき、特にバネが移送機器で形成されるときに、バネの振動を抑制するように動作可能であり得る。保持手段は、その保持手段によってバネ上に印加された合力がバネの縦方向軸に対して垂直に方向付けられるように構成され得る。
【0017】
別の実装形態では、この装置が、移送機器によって受け取られるバネを摩擦係止によって支持する保持手段を備え得る。
保持手段は、移送機器が位置する複数の位置のうちの1つの位置の関数として移送機器によって受け取られるバネを解放するように制御可能であり得る。この保持手段は特に、移送機器が第2の位置にあるときに第1の位置で移送機器によって受け取られるバネが解放されように構成され得る。この保持手段は、移送機器が第1の位置にあるときに第2の位置で移送機器によって受け取られる別のバネが解放されるように構成され得る。この構成により、移送機器によって受け取られたバネは、移送機器が移動する間に、移送機器で支えられ得るとともに、複数の出力位置のうちの1つで選択的に解放され得る。
【0018】
移送機器は、バネを受け取るための空洞を有することがあり、保持手段は、この空洞に対して転置可能である空洞の壁部を備える。この保持手段は、移送機器に対して転置可能であるように取り付けられている空洞の床部を特に備え得る。それにより、受け取ったバネを単純な構造を用いて形状を維持した状態に係止させることができ、受け取ったバネを床部に当てることができる。この空洞は、延伸する空洞の両側にある少なくとも1対の壁によって定められ得る。その1対の壁は、互いに間隔を空けるように設けられ得るか、互いに対して一定の角度で配置され得る。一実装形態において、保持手段は、移送機器によって受け取られたバネが複数の出力位置のうちの1つで移送機器を通過できるようにするトラップドア機構を備え得る。
【0019】
移送機器は、複数の空洞を備えても良く、それらの空洞の各々でバネを受け取ることができる。空洞の数は、移送機器の位置の数に対応し得る。
この装置は、完成したバネが移送機器に供給されるように構成され得る。
【0020】
この装置は、バネが移送機器の空洞で形成されるように構成され得る。そのために、この装置は、そのように構成され、移送機器の空洞で移送機器によって受け取られるバネを巻回するように移送機器に対して配置されるバネ巻き機器を備え得る。特に、このバネ巻き機器は、移送機器の複数の位置の各々に対応する移送機器の複数の空洞のうちの1つの空洞に配置されている巻回ヘッドを備えても良い。
【0021】
別の態様によれば、1つのスプリングコアに対して少なくとも1列のバネを生産するための機械が提供され、この機械は、バネを搬送するためのバネコンベヤと、バネをバネコンベヤに移送するための装置とを備え、バネを移送するための装置は、一態様または実施形態にかかる装置として構成されている。かかる装置では、バネを移送するための装置を使用することにより、バネを高速でバネコンベヤへと移送することができる。この装置により、絶え間なく移動するバネコンベヤへとバネを移送することができる。
【0022】
この機械は、ポケットスプリング列を生産するための機械として構成され得る。そのため、この機械は、バネをポケットに収納するためのポケット収納機器を備えても良く、バネコンベヤによってこのポケット収納機器にバネが移送される。
【0023】
バネコンベヤは、バネが形成される起点となるワイヤの熱処理の後、あるいはバネがポケットに収納する前に行われるバネの熱処理の後にスプリングが冷却される放熱板として構成され得る。
【0024】
この機械では、バネコンベヤが絶え間なく移動し得る。これにより、必要とされる加速が可能となり、このようにして、クロック移動と比較して力を減らすことができる。したがって、バネコンベヤに求められる要件を下げることができるため、部品の使用寿命を延ばすことができ、かつ/またはバネコンベヤに安価な部品を使用できるようになる。
【0025】
一態様によれば、バネコンベヤにバネを移送するための方法、特に、ポケットスプリング列を生産するための機械向けの方法が提供される。この方法では、移送されるバネが、複数の位置に位置付けることのできる移送機器によって受け取られ、移送されるバネを運搬するために移送機器が移動し、移送されるバネが移送機器から出力される。このプロセスでは、移送されるバネが複数の出力位置のうちの1つで選択的に出力され、複数の出力位置は対ごとに互いに異なる。これらの出力位置は特に、対ごとに互いに間隔を空けても良い。
【0026】
この方法では、受け取られたバネが、出力機器によって複数の異なる出力位置のうちの1つで移送機器から出力され得ることから、バネが移送機器から出力される移送機器の位置が、移送機器によって別のバネが受け取られる新しい作業サイクルの開始位置としての役割も果たし得る。
移送されるバネは、第1の方向、あるいは第1の方向とは異なる第2の方向、特に、移送されるバネが移送機器によって受け取られた移送機器の位置に応じて、第1の方向とは反対の第2の方向に運搬され得る。
【0027】
移送されるバネは、移送機器から出力される一方で、移送される別のバネを移送機器が並行して受け取り得る。それにより、バネが移送される速度がさらに上がり得る。
移送機器は、反対の方向に順次移動して、移送されるバネと移送される他のバネとを運搬し得る。
【0028】
移送機器が移動する間、移送されるバネは、移送機器において形状を維持した状態で支えられ得る。形状を維持した状態で移送されるバネを支持するための保持手段が設けられても良く、その保持手段は、移送されるバネが形成されている間にすでにそのバネを支持し得る。
【0029】
本発明の方法の有利または好適な実施形態の効果に関する説明については、本発明の装置の対応する実施形態の効果を参照されたい。
本発明の別の態様によれば、バネコンベヤにバネを移送するための装置、特に、ポケットスプリング列を生産するための機械向けの装置が提供され、この装置は、移送機器と保持手段とを備える。移送機器は、バネを受け取るように構成されており、複数の位置間を移動可能である。この移送機器は、それら複数の位置のうちの2つの位置間を移動する際に、受け取ったバネを運搬するように構成されている。保持手段は、移送機器が複数の位置のうちの2つの位置間を移動する間、移送機器によって受け取られたバネを形状を維持した状態で支持するように構成されている。この保持手段は、移送機器によって受け取られたバネを、移送機器が所望の位置に到達したときに移送機器から出力できるようにさらに構成され得る。この保持手段は、保持手段によってバネ上に印加された力がバネの縦方向軸に対して直角に方向付けられるように構成され得る。
【0030】
保持手段は、移送機器によって定められる空洞に対して転置可能であるように取り付けられている空洞の壁部を備え得る。この保持手段は特に、移送機器によって受け取られたバネが移送機器から出力されるときに選択的に開かれるトラップドア機構を備え得る。
【0031】
本発明の各種実施形態にかかる装置および方法は、一般にバネコンベヤにバネを移送する目的で使用され得る。バネ巻き機の巻回ヘッドからバネコンベヤへのバネの移送は、例示的な使用分野である。別の使用分野は、ポケットスプリング列を生産するための機械におけるバネの移送である。ただし、装置および方法は、これらの使用分野に限定されない。
【0032】
本発明について、実施形態を添付の図面を参照しながら、以下さらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】一実施形態にかかる、ポケットスプリング列を生産するための機械の略図である。
【図2A】装置動作中の異なる時期における、一実施形態にかかる、バネを移送するための装置の略図である。
【図2B】装置動作中の異なる時期における、一実施形態にかかる、バネを移送するための装置の略図である。
【図2C】装置動作中の異なる時期における、一実施形態にかかる、バネを移送するための装置の略図である。
【図2D】装置動作中の異なる時期における、一実施形態にかかる、バネを移送するための装置の略図である。
【図2E】装置動作中の異なる時期における、一実施形態にかかる、バネを移送するための装置の略図である。
【図2F】装置動作中の異なる時期における、一実施形態にかかる、バネを移送するための装置の略図である。
【図3A】装置動作中の異なる時期における、一実施形態にかかる、バネを移送するための装置の略図である。
【図3B】装置動作中の異なる時期における、一実施形態にかかる、バネを移送するための装置の略図である。
【図3C】装置動作中の異なる時期における、一実施形態にかかる、バネを移送するための装置の略図である。
【図3D】装置動作中の異なる時期における、一実施形態にかかる、バネを移送するための装置の略図である。
【図3E】動作を説明するための略図である。
【図4】別の実施形態にかかる、バネを移送するための装置の略図である。
【図5】図4の装置の略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態についてさらに詳しく説明する。各種実施形態の特徴は、以降の記述で明示的に除外されない限り、互いに組み合わせて良い。各種実施形態は、ポケットスプリング列を生産するための機械など、具体的な使用分野に照らして記載されるが、本発明はこれらの使用分野に限定されない。
【0035】
図1は、一実施形態にかかる、ポケットスプリング列を生産するための機械1の略図である。機械1は、巻回ヘッド2を有するバネ巻き機器と、巻回ヘッド2からバネコンベヤへとバネを移送するための装置3と、運搬車輪4として構成されており、かつ駆動装置6を有するバネコンベヤと、機械のフレーム28に取り付けられた、バネをポケットに収納するための機器とを備える。装置の動作時に、バネ巻き機器の巻回ヘッド2によって形成されるバネが、以下でさらに詳しく説明する装置3によって運搬車輪4へと移送される。運搬車輪4は複数の受容体5を有し、そこでバネ21がそれぞれ受け取られ得る。駆動装置6は、運搬車輪4を方向27に絶え間なく駆動する。ここで方向27は、巻回ヘッド2からバネをポケットに収納するための機器へと運搬される間にスプリングが冷却されるように選択され、その結果、運搬車輪4は、熱処理後およびバネをポケットに収納する前にスプリングが冷却される放熱板としての役割を果たす。この場合には、例えば、バネが形成される前にワイヤが加熱されても良く、あるいは形成されたバネが熱処理されても良い。バネはその後、バネポケットに収納するための機器に収納され、複数のポケットスプリング26を有するポケットスプリング列25が形成される。ポケットスプリング列という用語は、互いに装着されており、かつ中にバネを入れた複数のポケットを言及する目的で一般に使用される。
【0036】
一実施形態の機械でバネをポケットに収納するための機器の実装形態を以下に記載する。バネをポケットに収納するための機器は、例えば不織布など、供給された網状ポケット素材22用のガイド機器7を有する。ガイド機器7は、ポケット素材22の網の端部を折り上げた後にバネが素材の網22に挿入されるように構成され得る。1つまたは複数の枢動アームなどを備え得る移送手段9は、fの受容体から素材の網22に、それぞれ1つのバネを移送する。機器8では、バネ22が挿入された後、このポケット素材が管状体内で、挿入されたバネ22の上に重ねられ、その結果、バネがポケット素材の層23、24の間に入れられる。機器8では、例えば超音波溶接により、管状体内で折り上げられたポケット素材が、縦方向の縫い目を使用して網の縦方向に接合され得る。その後、ポケットに収納されたポケットスプリング列25のバネ26用のポケットを形成するために、図中に模式的に示されている超音波ホーン10を有する超音波溶接機器を使用して、超音波溶接によってポケット間の横方向の縫い目が形成される。バネをポケットに収納するための機器の実装例を図1に記載したが、他の実施形態にかかる、ポケットスプリング列を生産するための機械が、代替構成を有するポケット形成機器に設けられても良い。
【0037】
各種実施形態にかかる、バネを移送するための装置3の構造および作動について、以下さらに詳しく記載する。装置3は、複数の部分13、14を有する移送機器11を備える。移送機器11は、バネをそれぞれ受け取り得る。部分13、14は、チャンバ状の構成を有して良く、少なくとも2つの側で1対の壁によってそれぞれ区切られていて良く、壁の間に定められた空洞でバネをそれぞれ受け取ることができる。移送機器11は、移動可能であるように取り付けられており、矢印12によって模式的に示された第1の位置と第2の位置との間を移動することができる。第1の位置では、第1の部分13が巻回ヘッド2によって形成されたバネを受け取るように移送機器が配置されている。図1に示された第2の位置では、第2の部分14が巻回ヘッド2によって形成されたバネを受け取るように移送機器が配置されている。
【0038】
バネを移送するための装置3は、複数の出力位置のうちの1つで移送機器11によって移送機器から受け取られるバネを出力する出力機器をさらに備える。出力機器は、矢印17、18が表すとおり、転置可能であるように取り付けられた1対のプッシャー15、16を有し得る。出力機器は、移送機器11が自身の部分13、14のうちの1つでバネを受け取る複数の位置の各々において、移送機器11のその他の部分13、14で受け取られたバネがプッシャーのうちの1つの作動によって移送機器11から運搬車輪4に出力されるように構成される。出力位置は、対ごとに互いに間隔が空いている。特に、図1に示す移送機器11の第2の位置で巻回ヘッド2によって形成され、かつ移送機器11の第2の部分14で受け取られるバネは、図1に示すとおり、第1の部分13で受け取られたバネが移送機器11から出力される第1の出力位置から、間隔の空いた第2の出力位置で、移送機器11から運搬車輪4に沿って円周方向に出力される。
【0039】
バネを移送するための装置3は、少なくとも1つの駆動機構(図示せず)を有し、この駆動機構により、移送機器が、運搬車輪4の搬送方向および運搬車輪4の搬送方向とは反対の方向に交互に枢動し、かつこの駆動機構により、移送機器11で受け取られたバネが、別のバネを受け取る2つの位置のうちの一方に達したときに移送機器11から出力されるように、出力機器のプッシャー15、16が転置する。装置3の単数または複数の駆動機構はそれぞれ、機械1の制御機器20によって適切に制御され得る。この場合、制御は、運搬車輪4の角位置の関数として、および/またはポケット形成機器7〜10の稼働頻度の関数として実施され得る。
【0040】
図2〜図5を参照すると、各種実施形態にかかる、バネコンベヤにバネを移送するための装置の構成および動作がさらに詳しく記載されている。図2〜図5に記載されている装置は、機械1における装置3として使用されても良い。構造または関数に関して、図1に記載された要素または機器に対応する要素または機器は、同じ参照符号で表される。
【0041】
図2A〜図2Fは、バネコンベヤにバネを移送するための装置30の略図である。装置30は、移送機器31を備え、明確化のために、第1の位置にある移送機器は、図2Aおよび図2Fで31aと付番されており、第2の位置にある移送機器は、図2Cおよび図2Dで31bと付番されている。移送機器31は、バネを受け取るようにそれぞれ構成されている2つの部分32、33を有する。部分32、33は、例えば、第1の1対の側壁34、36が、バネを受け取るための第1の部分32を定め、第2の1対の側壁35、36が、バネを受け取るための第2の部分33を定めるチャンバ形状を有するように形成され得る。移送機器31は、軸38を中心に枢動可能であるように取り付けられている。駆動装置39aは、移送機器31がそれぞれにバネを受け取る2つの位置31a、31b間で第1の方向46および第2の方向48に移送機器を交互に移動するよう動作可能に移送機器31に連結されている。
【0042】
装置30は、壁部37を備える。壁部37は、移送機器31に対する位置に応じて、部分32、33のうちの少なくとも一方の床としての役割を果たすように形成されている。壁部37は、それぞれの部分32、33における位置31a、31b間を移送機器31が移動する間、部分32、33のうちの一方で受け取られたバネを支持するように、軸38を中心に枢動可能であるように取り付けられており、駆動装置39bによって移動する。そのため、壁部37はバネの保持手段としての役割を果たす。壁部37は、側壁36と組み合わせて、バネを受け取るためのそれぞれの空洞を定める。
【0043】
装置30は、移送機器によって受け取られたバネを移送機器から出力するための出力機器を備える。この出力機器は、移送機器が自身の部分32、33のうちの一方でバネを受け取る移送機器の位置31a、31bの各々で、出力機器が移送機器から部分32、33のうちの他方で受け取られたバネを出力するように構成されている。この出力機器は、転置可能であるように取り付けられており、かつその端部が、移送機器31の部分32、33に入り、その中で受け取られた移送機器からバネを出力するように構成されている1対のプッシャー15、16を有し得る。この出力機器には、プッシャー15またはプッシャー16が移送機器31の部分32、33のうちの一方に入るように移送機器の位置の関数としてプッシャー15、16を移動し得る駆動装置40(図2Aにのみ明示)が設けられている。
【0044】
バネを移送するための装置30の動作時には、バネが位置31a、31bのうちの一方で移送機器31によって選択的に受け取られ得る。バネが受け取られる位置に応じて、バネは移送機器の部分32、33のうちの一方で受け取られる。バネは特に、それぞれの部分32、33で巻回ヘッド2によって形成され得る。バネを受け取った後、移送機器31が移動し、受け取られたバネが移送機器31によって出力位置へと運搬される。このプロセスでは、壁部37が形状を維持した状態でバネを支持する。位置31a、31bのうちのどちらでバネが受け取られたかに応じて、移送機器は、受け取られたバネを第1の方向46に、あるいは第1の方向46とは反対の第2の方向48に移動して、出力位置へと運搬し得る。このバネは、移送機器の第1の位置31aで受け取られたか、第2の位置31bで受け取られたかどうかに応じて、第1の出力位置、あるいは第1の出力位置から間隔の空いている第2の出力位置で移送機器から出力される。そのバネの出力と並行して、別のバネが移送機器の別の部分32、33で受け取られる。
【0045】
装置の動作については、図2A〜図2Fで詳しく説明する。
図2Aは、装置30の動作状態を示し、移送機器30が第1の位置31aに位置する。巻回ヘッド2によって形成されたバネ42は、移送機器31の第1の部分32で受け取られる。壁部37は、第1の部分31によって形成されたチャンバを、下方向、すなわちバネコンベヤの方に少なくとも部分的に閉じるように位置付けられている。壁部37は、バネ42の振動を減らすために、すでに形成プロセス中に、第1の部分32で形成されたバネ42を支持し得る。前の作業サイクル実行中に形成された、移送機器31の第2の部分33で受け取られるバネ41が移送機器31から出力され、バネ41の出力がバネ42の形成と並行して実行され得る。壁部37は、バネ41が移送機器31の第2の部分33から出てバネコンベヤへと移動できるように位置付けられている。プッシャー16は、バネ41を移送機器41の第2の部分33からバネコンベヤへと出力するように駆動装置40によって転置される。移送機器31が第1の位置31aにあるときには、第2の部分33の位置が、第2の位置31bで受け取られたバネ41が移送機器31から出力される第2の出力位置44を定める。
【0046】
図2Bは、バネ41が出力された後、およびバネ42が形成された後の動作状態を示す。移送機器31は、第1の位置31aから第2の位置31bへと第1の方向46に移動する。第1の方向46は、バネコンベヤの移動方向に対して逆平行であっても良い。移送機器が第1の位置31aから第2の位置31bへと移動する間に、移送機器31の第1の部分32で受け取られたバネ42が、第1の部分32で移送機器31によって運搬される。壁部37は、移送機器31が第1の位置31aから第2の位置31bへと移動する間、形状を維持した状態で第1の部分でバネ42を支持するように位置付けられている。
【0047】
図2Cは、移送機器が第2の位置31bに到達した動作状態を示す。壁部37は、図2Aおよび図2Bに示す位置から移動し、移送機器31の第1の部分32を下方向に、少なくとも部分的に区切って、移送機器31からバネ42を出力できるようにする。そのために、壁部37は、壁部37の移動によって第1の部分32によって定められたチャンバの床が開かれ、第2の部分33によって定められたチャンバの床が閉じるように移動し得る。壁部37は、移送機器31が第1の位置31aから第2の位置31bへと前回移動した第1の方向46とは反対の第2の方向47に移動し得る。
【0048】
壁部37が、第1の部分32によって定められたチャンバの床が開かれ、第2の部分33によって定められたチャンバの床が少なくとも部分的に閉じられるように移動した後に、装置の作業サイクルが完了する。バネ42は、移送機器31から出力されても良く、その一方で、図2D〜図2Fで説明するとおり、移送機器の第2の部分33で別のバネ43が並行して受け取られる。
【0049】
図2Dは、装置30の動作状態を示し、移送機器30が第1の位置31bに位置する。壁部37は、第1の部分32によって定められたチャンバの床が開かれ、第2の部分33によって定められたチャンバの床が少なくとも部分的に閉じられるように位置付けられている。移送機器31の第1の部分32で受け取られたバネ42は、移送機器31から出力され、バネ42の出力は、他のバネ43の形成と並行して実行され得る。壁部37は、バネ42が移送機器31の第1の部分32から出てバネコンベヤへと移動できるように位置付けられている。プッシャー15は、バネ42を移送機器31の第1の部分32からバネコンベヤへと出力するように駆動装置40によって転置される。移送機器31が第2の位置31bにあるときには、第1の部分32の位置が、第1の位置31aで受け取られたバネ42が移送機器31から出力される第1の出力位置45を定める。巻回ヘッド2によって形成された他のバネ43は、移送機器31の第2の部分33で受け取られる。壁部37は、第2の部分33によって形成されチャンバを、下方向、すなわちバネコンベヤの方に少なくとも部分的に閉じるように位置付けられている。壁部37は、他のバネ43の振動を減らすために、すでに形成プロセス中に、第2の部分33で他のバネ43を支持し得る。
【0050】
図2Eは、バネ42が出力された後、および他のバネ43が形成された後の動作状態を示す。移送機器31は、第2の位置31bから第1の位置31aへと第2の方向48に移動する。第2の方向48は、バネコンベヤの移動方向に対して平行であっても良い。移送機器31が第2の位置31bから第1の位置31aへと移動する間に、移送機器31の第2の部分33で受け取られた他のバネ43が、第2の部分33で移送機器31によって運搬される。壁部37は、第2の位置31bから第1の位置31aへの移送が行われる間、第2の部分33にある他のバネ43を形状を維持した状態で支持するように位置付けられている。
【0051】
図2Fは、移送機器が第1の位置31aに到達した動作状態を示す。壁部37は、図2Dおよび図2Eに示す位置から移動し、移送機器31の第2の部分33を下方向に少なくとも部分的に閉じて、他のバネ43を移送機器31から出力できるようにする。そのために、壁部37は、壁部37の移動のおかげで第2の部分33によって定められたチャンバの床が開かれ、第1の部分32によって定められたチャンバの床が閉じるように移動し得る。壁部37は、移送機器31が第2の位置31bから第1の位置31aへと前回移動した第2の方向48とは反対の第1の方向49に移動し得る。
【0052】
装置30はその後、図2A〜図2Fに記載されている2つの作業サイクルを再び遂行し得る。
この実施形態にかかる装置30は、異なる出力位置45、44で移送機器によって順次受け取られるバネ42、43を移送機器31から出力することができるので、バネが出力されるという、バネを移送するための1つの作業サイクルの最後の状態は、同時に、別のバネが受け取られる別の作業サイクルの最初の状態でもあり得る。バネが移送機器上で支持されずに移送機器が戻る動きは、連続動作における別々の処理ステップとして必ずしも必要というわけではない。他のバネは、バネが装置30によって移送される速度をさらに向上できるように、出力位置に前回運搬されたバネの出力と並行して出力され得る。
【0053】
装置30では、可動式の側壁37が、移送機器31の部分32、33のうちの一方からバネを出力することができ、かつバネを形成する間およびバネを運搬する間、移送機器31の部分32、33の別の部分で受け取られた別のバネを支持することのできるトラップドア機構としての役割を果たす。
【0054】
装置30では、移送機器31、可動式の側壁37および出力機器15、16の駆動装置39a、39b、40が、図2に記載されている動作状態を順次実行するように適切に制御され得る。制御は、装置30が使用可能なポケットスプリング列を生産するための図1の機械1の制御機器20によって実行され得る。移送機器31、可動式の側壁37、および出力機器15、16の制御は、バネコンベヤ上で所望のバネ配列を達成するために関数として実行されても良く、バネコンベヤの移動と協調してもよい。バネコンベヤが絶え間なく移動する場合には、移送機器31、可動式の側壁37および出力機器15、16の制御が、バネコンベヤの速度の関数として実行されても良く、バネコンベヤの速度と協調しても良い。それにより、バネがバネコンベヤ上に等距離で配置されるように、装置によってバネをバネコンベヤへと移送することができる。
【0055】
図3を参照すると、バネコンベヤへの複数のバネの移送についてさらに詳しく記載されている。図3A〜図3Dは、一実施形態にかかる、バネコンベヤ4にバネを移送するための装置50の略図を示す。
【0056】
装置50は、移送機器51を備え、明確化のために、第1の位置にある移送機器は、図3Aおよび図3Cで51aによって表されおり、第2の位置にある移送機器は、図3Bおよび3Dで51bによって表されている。移送機器51は、バネを受け取るようにそれぞれ構成されている2つの部分52、53を有する。部分52、53は、例えばチャンバ形状を有するように形成され得る。移送機器51は、軸56に対して移動可能であるように取り付けられ、これは、例えば、バネ巻き機器の巻回ヘッドの位置によって判断されても良く、移送機器51がそれぞれバネを受け取る2つの位置51a、51bの間を移動可能である。装置50は、移送機器によって受け取られるバネを移送機器から出力するための出力機器を備える。この出力機器は、1対の可動的に支持されたプッシャー15、16を備えても良く、その端部は、移送機器51の部分52、53に入るように、かつそこで受け取られたバネを移送機器から出力するように構成されている。装置50は、移送機器51に対して、または移送機器上で移送機器51が移動する間、強制係止あるいは形態係止によってバネを支持する他の保持手段に対して移動可能であるように取り付けられている壁部をさらに備え得る。装置50の他の構成は、例えば、図2に記載する装置30の構成に、あるいは下図4に記載する装置80の構成に対応し得る。
【0057】
図3Aに示す動作状態では、移送機器51が第1の位置51aに位置付けられている。第1の部分52で受け取られたバネ61がプッシャー15によってバネコンベヤ4に出力され、その一方で、別のバネ62が移送機器51の第2の部分53で受け取られる。プッシャー15は、第2の出力位置54にあるバネ61をバネコンベヤ4に出力し、その結果、バネ61はバネコンベヤ4の第1の位置71に出力される。バネコンベヤ4が装置50からバネ41を受け取る第1の位置71は、例えば、バネを受け取るためのバネコンベヤ4に設けられている複数の受容体5のうちの1つの受容体によって定められ得る。
【0058】
バネ61がバネコンベヤ4に出力され、他のバネ62が第2の部分53で受け取られた後、移送機器50は、図3Aに示す第1の位置51aから図3Bに示す第2の位置51bへと移動する。移送機器の第2の位置51bでは、バネがそれぞれ受け取られ得る移送機器の第1の部分52および第2の部分53の両方が、空間における、移送機器51の第1の位置51aとは別の箇所に位置する。特に、移送機器の第2の位置51bでは、移送機器51の第2の部分53が、バネが受け取られる軸56上にある位置から離れて転置され、その一方で、第1の部分52は、バネを受け取ることができるように位置付けられている。
【0059】
移送機器51が第1の位置51aと第2の位置51bの間を移動する間にバネコンベヤ4が進む。
図3Bに示す動作状態では、移送機器51が第2の位置51bにある。第2の部分53で受け取られた他のバネ62は、プッシャー16によってバネコンベヤ4に出力され、その一方で、第3のバネ63が移送機器51の第1の部分52で受け取られる。プッシャー16は、第1の出力位置55にある他のバネ62をバネコンベヤ4に出力し、その結果、他のバネ62はバネコンベヤ4の第2の位置72に受け渡される。図3Bに示すとおり、バネ61よりも後で巻回された他のバネ62は、最初に巻回されたバネ61の下流、すなわち運搬方向に配置されている位置72でバネコンベヤ上に位置付けられるようにバネコンベヤに受け渡され得る。
【0060】
図3Cに示すとおり、バネコンベヤ4が進む間に、移送機器51は再び第1の位置51aに戻る。この場合、装置50のサイクルは、移送機器51が第1の位置51aに再び位置付けられて第3のバネ63を出力するまで、バネコンベヤが2つのバネ61、62用のバネコンベヤに設けられた部分にそれぞれ対応する距離または角距離ずつ進むように選択される。図3Cに示す動作状態では、第1の部分52で受け取られた第3のバネ63がプッシャー15によってバネコンベヤ4に出力され、その一方で、第4のバネ64が移送機器51の第2の部分53で受け取られる。プッシャー15は、第2の出力位置54にある第3のバネ63をバネコンベヤ4に出力し、その結果、第3のバネ63はバネコンベヤ4の第3の位置73に受け渡される。図3Cに示すとおり、他のバネ62のすぐ後に移送機器51によって受け取られた第3のバネ63は、バネ61の位置71に対する隙間を定める位置74でバネコンベヤ上に位置付けられるようにバネコンベヤに受け渡され得る。第4のバネ64は、続く作業サイクルで、バネコンベヤ上の第1のバネ61と第3のバネ63との間の隙間に位置付けられる。
【0061】
図3Dに示すとおり、バネコンベヤ4が進む間、移送機器51は再び第2の位置51bに移動する。図3Dに示す動作状態では、第2の部分53で受け取られた第4のバネ64がプッシャー16によってバネコンベヤ4に出力され、その一方で、第5のバネ65が移送機器51の第1の位置52で受け取られる。プッシャー16は、第4のバネ64がバネコンベヤ4の第4の位置74に受け渡され、すでにバネコンベヤ4上に配置されているバネ61と63との間に位置付けられるように、第1の出力位置55にある第4のバネ64をバネコンベヤ4に出力する。
【0062】
その後、バネコンベヤ4にバネを移送し続けるために、記載されているプロセスが繰り返され得る。バネを受け取るために、バネは、移送機器51のそれぞれの部分52または53でそれぞれ形成され得る。
【0063】
バネを移送するための装置50により、絶え間なく移動するバネコンベヤ4にバネを等距離で位置付けることができる。装置50の移送機器51が、複数の位置51a、51bの各々で、バネを受け取り、複数の出力位置の1つで別のバネを出力するように構成されているため、バネをバネコンベヤ4へと高速で移送できるようになる。
【0064】
図3Eは、移送機器51によって受け取られるバネを、複数の出力位置54、55のうちの1つで交互にバネコンベヤに受け渡せる装置50を表す略図である。ここで、第1の出力位置55は、移送機器が第2の位置51b(図3Bおよび図3Dに明示)に移動した後に、第1の位置51a(図3Aおよび図3Cに明示)で移送機器によって受け取られたバネが出力される出力位置である。第2の出力位置54は、第2の位置51bで移送機器によって受け取られたバネが出力される出力位置である。出力位置54、55は、互いに間隔を空け、かつ移送機器がバネを受け取る位置から間隔を空けるように設けられ、例えば、巻回ヘッド2の位置によって判断され得る。
【0065】
図4は、別の実施形態にかかる、バネコンベヤにバネを移送するための装置80の略図である。構造または動作に関して、図2の装置30ついて説明した要素または機器に対応する装置80の要素または機器は、同じ参照符号で表される。
【0066】
装置80は、2つのチャンバ状の部分32、33を有する移送機器81と、プッシャー15、16を有する出力機器とを有する。
装置80は、バネを受け取り、別のバネを出力するようにそれぞれ構成されている2つの位置間を移送機器81が移動する間、形状を維持した状態でバネを支持する保持手段を有する。装置80では、保持手段が、例えば弾性手段86を使用するなどして移送機器81上で枢動可能に支えられ、かつ付勢される少なくとも1つフラップ82、83を備え、それにより、プッシャー15が少なくとも1つのフラップ82、83を開くために力をさらに印可するまで、移送機器81の第1の部分32でバネを支持し、バネが移送機器81の第1の部分32から出るのを防ぐ。保持手段は、例えば弾性手段を使用するなどして移送機器81上で枢動可能に支持され、付勢される少なくとも1つのフラップ84、85をさらに備え、それにより、プッシャー16が少なくとも1つのフラップ82、83を開くために力をさらに印可するまで、移送機器81の第2の部分33でバネを支持し、バネが移送機器81の第2の部分33から出るのを防ぐ。
【0067】
記載されている各種実施形態にかかる、バネを移送するための装置は、移送機器が異なる高さを有するバネに適応し得るように構成され得る。あるいは、またはさらに、記載されている各種実施形態にかかる、バネを移送するための装置は、移送機器でバネが受け取られる間、そのバネが追加プロセスを受けられるように構成され得る。説明のため、図5を参照しながら後述するとおり、移送機器で受け取られたバネが移送機器から所望の軸長さまで出力される前にそのバネを圧縮する機器が設けられ得る。
【0068】
図5は、図4においてV−Vで示す方向に沿って見た移送機器81の略平面図である。対応する構成が、図1〜図3に記載されている移送機器でさらに設けられ得る。
移送機器81が第1のおよび第2の位置にあるときにバネを受け取ることができる移送機器81のそれぞれの部分32、33は、側壁34および36と側壁35および36とによってそれぞれ区切られ、バネの縦方向軸に対して平行に延伸している。受け取られるバネならびに側壁34および36の縦方向に部分32を区切る終端壁92は、異なるバネ長に合わせて部分32を調整するために異なる位置で側壁34および36に装着できるように構成されている。受け取られるバネならびに側壁35および36の縦方向に部分33を区切る終端壁93は、部分33を異なるバネ長に適合させるために異なる位置で側壁35および36に装着できるように構成されている。
【0069】
移送機器によって受け取られたバネを軸方向に圧縮するための機器が提供される。この機器は、軸方向に圧縮されるバネの縦方向軸に対して平行に転置可能であるようにそれぞれ取り付けられる第1の接触面96と第2の接触面97とを有する。第1の接触面96は、バネが移送機器81から出力される前に、移送機器81の第1の部分32で受け取られたバネの終端コイルまたは終端リングと係合できるように配置される。第2の接触面97は、バネが移送機器81から出力される前に、移送機器81の第2の部分33で受け取られたバネの終端コイルまたは終端リングと係合できるように配置される。受け取られたバネの縦方向軸に対して平行な接触面96および97を転置するために、アクチュエータ98が、バネが移送機器から出力される前に軸方向に圧縮されるように設けられる。
【0070】
バネを軸方向に圧縮するための機器が図2の装置30で使用される場合には、アクチュエータ98が、壁部37の移動中に部分32、33のうちの1つで受け取られたバネが軸方向に圧縮され、その結果移送機器のそれぞれの部分32、33の床がそれぞれのバネを出力するために開かれるように制御され得る。
【0071】
各種実施形態にかかる、バネコンベヤにバネを移送するための装置および方法について、図面を参照しながら説明してきた。詳述した実施形態の変型が他の実施形態で実装され得る。
【0072】
移送機器について、2つの位置でバネを受け取るように構成されている実施形態に照らして説明してきたが、他の実施形態では、この移送機器が、少なくとも3つの異なる位置でそれぞれバネを受け取ることができ、その一方で並行して別のバネが移送機器から出力されるようにも構成され得る。したがって、他の実施形態では、移送機器が、バネが受け取られ得る少なくとも3つの部分を有し得る。
【0073】
移送機器について、複数の側壁によって区切られた複数の空洞を有する実施形態に照らして説明してきたが、他の実施形態では、この移送機器が、少なくとも2つの壁でそれぞれ区切られている複数の空洞を備え得る。それら少なくとも2つの壁は、例えば、空洞および可動的に取り付けられた床部との間に配置されている壁を備え得る。
【0074】
移送機器について、少なくとも2つの側壁によって区切られた複数の空洞を有する実施形態に照らして説明してきたが、他の実施形態では、この移送機器が、バネを受け取るための各種部分が壁によって区切られた空洞として形成されないようにも構成され得る。特に、本明細書で使用されるバネの「受け取り」および「出力」という用語は、バネを受け取るための空洞またはチャンバが必ず設けられる必要があるということを意味するものと限定的な意味で解釈されるべきでない。例えば、他の実施形態では、移送機器が、その移送機器の位置のうちの1つでバネを各々受け取ることができる互いに間隔の空いた複数の心棒を有し得る。この心棒は、複数の出力位置のうちの1つでバネを解放するために可動的に取り付けられ得る。
【0075】
バネを移送するための装置について、出力機器が1つまたは複数のプッシャーを備える実施形態に照らして説明してきたが、出力機器の他の構成は可能である。例えば、出力機器は、移送機器の移動中にバネを支持し、かつ出力位置に到達したときにバネを解放する保持手段によっても構成され得る。その後このバネは、重力の影響を受けて、例えば、移送機器からバネコンベヤへと移動し得る。
【0076】
バネを移送するための装置について、移送機器の一部分で巻回ヘッドによって形成される実施形態に照らして説明してきたが、他の実施形態では、移送機器がこのように構成されても良く、既に完成したバネを受け取る機械でこのように配置されても良い。
【0077】
バネを移送するための装置について、移送機器が枢動可能であるように取り付けられている実施形態に照らして説明してきたが、他の実施形態では、移送機器が、各種位置間を移動するために、直動的に、特に直線的に転置可能であるように取り付けられても良い。これらの位置間における移送機器の直線移動は、例えば、大きな径を有する運搬車輪に、1本または1対のコンベヤーベルトにバネを移送する目的で提供されても良い。
【0078】
装置、方法および機械について、バネを移送するための装置によってそのバネがバネコンベヤに直接受け渡される実施形態に照らして説明してきたが、他の実施形態では、バネを移送するための装置とバネコンベヤとの間に追加機器またはステーションが設けられても良い。
【0079】
バネを巻回することと、そのバネをバネコンベヤに移送することとが分離しているため、本発明の各種実施形態にかかる装置および方法により、バネを高速でバネコンベヤへと移送できるようになる。これらの装置および方法は一般に、バネを移送する目的で使用され得、ポケットスプリング列を生産するための機械における放熱板へのバネの移送は、例示的な使用分野である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バネコンベヤ(4)にバネ(21、41〜43、61〜65)を移送するための装置、特にポケットスプリング(25)列を生産するための機械(1)用の装置であって、
複数の位置(31a、31b、51a、51b)間を移動可能であるように取り付けられている移送機器(11、31、51、81)であって、前記複数の位置(31a、31b、51a、51b)においてバネ(21、41〜43、61〜65)を受け取るようにそれぞれ構成され、前記複数の位置(31a、31b、51a、51b)のうちの少なくとも2つの位置間を前記移送機器(11、31、51、81)が移動すると、受け取られたバネ(21、41〜43、61〜65)を運搬するように構成されている移送機器(11、31、51、81)と、
複数の出力位置(44、45、54、55)のうちの1つで前記移送機器(11、31、51、81)によって受け取られた前記バネ(21、41〜43、61〜65)を選択的に出力するように構成されている出力機器(15、16、40)であって、前記複数の出力位置(44、45、54、55)は対ごとに異なる出力機器(15、16、40)と、
を備える装置。
【請求項2】
前記移送機器(11、31、51、81)が、前記受け取られたバネ(21、41〜43、61〜65)を第1の方向(46)、あるいは第1の方向とは異なる第2の方向(48)、特に前記第1の方向(46)とは反対である第2の方向(48)に選択的に運搬するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数の出力位置(44、45、54、55)の各出力位置(44、45、54、55)が、前記それぞれの出力位置で出力された前記バネ(21、41〜43、61〜65)が前記移送機器(11、31、51、81)によって受け取られた前記移送機器(11、31、51、81)の1つの位置(31a、31b、51a、51b)とそれぞれ関連付けられるように構成されている、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記移送機器(11、31、51、81)によって受け取られた前記バネ(41、61)を前記出力機器(15、16、40)が出力するとともに、前記移送機器(11、31、51、81)が別のバネ(42、62)を並行して受け取るように構成されている、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記移送機器(11、31、51、81)によって形状を維持した状態で受け取られた前記バネを支持する保持手段(37、82〜86)を有する、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記保持手段(37)は、前記移送機器(11、31、51、81)が位置付けられている前記複数の位置(31a、31b、51a、51b)のうちの1つに応じて、前記移送機器(11、31、51、81)によって受け取られた前記バネ(21、41〜43、61〜65)を解放するように制御可能である、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記移送機器(11、31、51、81)が前記バネ(21、41〜43、61〜65)を受け取るための空洞(32、33、52、53)を有し、前記保持手段(37、82〜86)が、前記空洞(32、33、52、53)に対して転置可能である前記空洞の壁部(37、82〜85)を備える、請求項5または6に記載の装置。
【請求項8】
バネ(21、41〜43、61〜65)の形成中に前記移送機器(11、31、51、81)が前記バネ(21、41〜43、61〜65)を支持する箇所で前記移送機器(11、31、51、81)によって受け取られる前記バネ(21、41〜43、61〜65)を形成するように構成されたバネ巻き機器(2)を備える、請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
スプリングコア用のバネ列(25)を生産するための機械、特に少なくとも1列のポケットスプリング(25)を生産するための機械であって、バネ(21、41〜43、61〜65)を搬送するためのバネコンベヤ(4)と、前記バネ(21、41〜43、61〜65)を移送するための、請求項1〜8のうちのいずれか一項に記載の装置(30、50、80)と、を備える機械。
【請求項10】
バネコンベヤ(4)にバネ(21、41〜43、61〜65)を移送する方法、特にポケットスプリング列(25)を生産するための機械向けの方法であって、
移送されるバネ(21、41〜43、61〜65)が、複数の位置(31a、31b、51a、51b)に位置付けることのできる移送機器(11、31、51、81)によって受け取られ、
前記移送機器(11、31、51、81)が、前記移送されるバネ(21、41〜43、61〜65)を運搬するために移動し、前記移送されるバネ(21、41〜43、61〜65)が前記移送機器(11、31、51、81)から出力され、
前記移送されるバネ(21、41〜43、61〜65)が、複数の出力位置(44、45、54、55)のうちの1つで前記移送機器(11、31、51、81)から選択的に出力され、前記複数の出力位置(44、45、54、55)が対ごとに異なる、
方法。
【請求項11】
前記移送されるバネ(21、41〜43、61〜65)が、前記移送されるバネ(21、41〜43、61〜65)を受け取った前記移送機器(11、31、51、81)の位置(31a、31b、51a、51b)の関数として、第1の方向(46)、あるいは前記第1の方向とは異なる第2の方向(48)、特に前記第1の方向(46)とは反対の第2の方向(48)に運搬される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記移送されるバネ(41、61)が前記移送機器(11、31、51、81)から出力されるとともに、前記移送機器(11、31、51、81)が、移送される別のバネ(42、62)を並行して受け取る、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記移送機器(11、31、51、81)が、前記移送されるバネ(41、61)を運搬するため、および前記移送される他のバネ(42、62)を運搬するために、反対方向(46、48)に順次移動する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記移送機器(11、31、51、81)が移動する間、前記移送されるバネ(21、41〜43、61〜65)が、前記移送機器(11、31、51、81)において形状を維持した状態で支持される、請求項10〜13のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
形状を維持した状態で移送される前記バネ(21、41〜43、61〜65)を支持するための保持手段(37、82〜86)が、前記移送されるバネ(21、41〜43、61〜65)が形成されている間、前記移送されるバネ(21、41〜43、61〜65)を支持する、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−508171(P2013−508171A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535664(P2012−535664)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【国際出願番号】PCT/EP2010/006474
【国際公開番号】WO2011/050929
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(510219305)スピュール アーゲー (2)
【氏名又は名称原語表記】SPUEHL AG
【Fターム(参考)】