説明

バブル含有液生成装置

【課題】微細バブルを含むとともに気体の溶解した液体(バブル含有気体溶存液)をより効率的に生成することのできるバブル含有液生成装置を提供することである。
【解決手段】液中に気体が混在する気体含有液を生成する気体含有液生成機構12、13と、前記気体含有液を加圧して液中に気体の溶解した状態の気体溶存液を生成する気体溶存液生成機構15と、前記気体溶存液中に微細バブルを発生させてバブル含有気体溶存液を生成する第1バブル発生機構20とを有する構成となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロバブル、マイクロナノバブル、ナノバブル等の微細バブルを含む液体を生成するバブル含有液生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、微細バブルを含む液体を物体表面の洗浄等の処理に利用することが考えられている。これは、微細バブルと液との界面の電位が洗浄効果や酸化作用を促し、また、物体表面に付着した微細バブルが破裂するときのエネルギーが物体表面から汚れの剥離に寄与する等、微細バブルの働きに着目し、その微細バブルを含む液体を物体表面の洗浄等の処理に利用しようというものである。なお、この微細バブルは、そのサイズが小さくなるに従ってマイクロバブル、マイクロナノバブル、ナノバブルと呼ばれる。
【0003】
微細バブルを発生させるものとして、圧力開放を利用したものがある(特許文献1)。これは、気体と液体とを加圧状態で混合させることで液体中に気体を溶解させ、この液体を圧力弁を介して大気圧に減圧開放することで微細バブルを発生させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−317846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、微細バブルが発生すると、それにつれて液体内の気体濃度は低下する。このため、気体濃度の高い液体によるケミカル作用(例えば、フッ酸液による酸化膜除去)と、微細バブルによる物理作用(例えば、バブル破裂による汚れ剥離作用やバブルによる浮上作用)を兼ね備えた液体が望まれる。特に精密洗浄においては、その要求に応えることが難しかった。
【0006】
また、圧力開放を利用した微細バブルの発生装置では、微細バブルを高い効率で発生させることはできるものの、より多くの微細バブルを含むバブル含有液を生成することも要望されていた。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、微細バブルを含むとともに気体の溶解した液体(バブル含有気体溶存液)を効率的に生成することのできるバブル含有液生成装置を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、より多くの微細バブルを含むバブル含有液を生成することのできるバブル含有液生成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るバブル含有液生成装置は、液中に気体が混在する気体含有液を生成する気体含有液生成機構と、前記気体含有液を加圧して液中に気体の溶解した状態の気体溶存液を生成する気体溶存液生成機構と、前記気体溶存液中に微細バブルを発生させてバブル含有気体溶存液を生成する第1バブル発生機構とを有する構成となる。
【0010】
このような構成により、気体含有液を加圧することにより気体の溶解した状態の気体溶存液を生成し、その生成された気体溶存液中に微細バブルを発生させてバブル含有気体溶存液が生成される。
【0011】
本発明に係るバブル含有液生成装置において、前記第1バブル発生機構は、多孔質体に前記気体溶存液及び気体を供給して、該気体溶存液中に前記多孔質体にある細孔に応じた微細バブルを発生させる多孔質体ユニットを有する構成とすることができる。
【0012】
このような構成により、多孔質体の細孔に応じた微細バブルを含有する気体溶存液を生成することができる。
【0013】
また、本発明に係るバブル含有液生成装置において、前記バブル含有気体溶存液の圧力開放を行って微細バブルを発生させてバブル含有液を生成する第2バブル発生機構を有する構成とすることができる。
【0014】
このような構成により、微細バブルを含有する気体溶存液の圧力開放によって微細バブルが発生するようになるので、気体溶存液にもともと含まれていた微細バブルと圧力開放される気体溶存液から発生する微細バブルとのより多くの微細バブルを含むバブル含有液を生成することができる。そして、そのバブル含有液は、圧力開放後の圧力に応じた量の気体が溶解した状態となる。
【0015】
更に、本発明に係るバブル含有液生成装置において、前記第2バブル発生機構は、前記バブル含有気体溶存液を大気中に噴出するノズルユニットである構成とすることができる。
【0016】
このような構成により、微細バブルを含有する気体溶存液がノズルユニットから大気中に噴出される際に圧力開放がなされ、より多くの微細バブルが含まれる液体がノズルユニットから噴出される。ノズルユニットから噴出されるバブル含有液は、大気圧に応じた量の気体が溶解した状態となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るバブル含有液生成装置によれば、気体含有液を加圧することにより気体の溶解した状態の気体溶存液を生成し、その生成された気体溶存液中に微細バブルを発生させてバブル含有気体溶存液が生成されるので、微細バブルを含むとともに気体の溶解した液体(バブル含有気体溶存液)を効率的に生成することができる。
【0018】
また、このようにして生成された液体(バブル含有気体溶存液)を、圧力開放を行って微細バブルを発生することで、より多くの微細バブルを含むバブル含有液を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の一形態に係るバブル含有液生成装置を示す図である。
【図2】図1に示すバブル含有液生成装置に用いられる多孔質体ユニットの構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0021】
本発明の実施の一形態に係るバブル含有液生成装置は、図1に示すように構成される。図1において、このバブル含有液生成装置は、貯液槽11、第1ガス供給部13、ポンプ14、加圧槽15、第2ガス供給部17、ノズルユニット19及び多孔質体ユニット20を有している。液体W、例えば、純水を貯留する貯液槽11と加圧槽15とが送通管12にて連結され、この送通管12にポンプ14が設けられている。そして、貯液槽11からの液体Wが通る送通管12の貯液槽11とポンプ14との間に、第1ガス供給部13からの気体(例えば、窒素ガスまたは酸素ガス)が開閉弁21を介して供給されるようになっている。
【0022】
第1ガス供給部13からの気体が送通管12内の液体Wに混ざってできる気体含有液(気体含有液生成機構)がポンプ14により送通管12を通って加圧槽15に圧送され、その気体含有液が加圧槽15に一時的に溜められる。加圧槽15では、貯留される気体含有液が加圧され、気体含有液内の気体が溶解して、液中の気体濃度が上昇し、常圧における飽和溶解濃度以上の気体溶存液が生成される(気体溶存液生成機構)。なお、加圧槽15内の圧力は、圧力調整器22によって調整することができる。
【0023】
加圧槽15から延びる送通管16aが多孔質体ユニット20に結合されている。そして、多孔質体ユニット20から延びる送通管16bがノズルユニット19に結合されている。多孔質体ユニット20には、加圧槽15から送通管16aを通して加圧状態の気体溶存液が供給されるとともに、第2ガス供給部17から気体送通管18を通して気体(例えば、窒素ガスまたは酸素ガスであって、第1ガス供給部13から供給されるガスとは種類が同じでも異なるものであってもよい)が加圧供給される。多孔質体ユニット20は、供給される加圧状態の気体溶存液中に第2ガス供給部17からの気体の微細バブルを発生させるもの(第1バブル発生機構)で、図2に示すような構造となっている。
【0024】
図2において、この多孔質体ユニット20は、シラス多孔質ガラス(SPG)の膜を筒状に成型した多孔質体210を有しており、外筒体200内において多孔質体210の両端部が支持部材201、202によって支持されている。加圧槽15から延びる送通管16a(図1参照)が外筒体200の一方側端部の液体導入口211に結合され、送通管16aを通して供給される加圧状態の気体溶存液が外筒体200内に設けられた多孔質体210の筒内を通過するようになっている。外筒体200に形成された気体導入部203に第2ガス供給部17から延びる気体送通管18が結合されており、第2ガス供給部17から気体送通管18を通して供給される気体が気体導入部203を介して外筒体200内に導入される。外筒体200内に導入される気体は、多孔質体210の形成された多数の細孔を通ってその内部に進入し、多孔質体210の筒内を通過する気体溶存液中にその細孔のサイズに応じたサイズの微細バブルが生成される。外筒体200の他方側端部の液体排出口212には送通管16bが結合され、前述したように多孔質体210を通過するバブル含有の気体溶存液が液体排出口212から排出され、更に、送通管16bを通ってノズルユニット19に供給される(図1参照)。
【0025】
なお、外筒体200には、ドレイン口部204が形成されているが、このドレイン口部204は、通常、図1に示す開閉弁23によって閉鎖状態となっている。
【0026】
上述したような構造のバブル含有液生成装置では、送通管12を通る液体Wに第1ガス供給部13からの気体が混ざってできる気体含有液が加圧槽15にて加圧されて常圧における飽和溶解濃度以上の極めて溶存気体濃度の高い気体溶存液が生成される。そして、その加圧状態の気体溶存液が多孔質体ユニット20を通過する際に、第2ガス供給部17からの気体により、気体溶存液中に多孔質体210の細孔のサイズに応じた微細バブルが発生し、多孔質体ユニット20から微細バブルを含有するとともに極めて高い溶存気体濃度の気体溶存液(バブル含有気体溶存液)が排出される。
【0027】
このように、気体含有液を加圧することにより常圧における飽和溶解濃度以上で溶存気体濃度が極めて高い気体溶存液を生成し、その生成された気体溶存液を多孔質体ユニット20に通すことによりその気体溶存液中に微細バブルを発生させてバブル含有気体溶存液が生成されるので、微細バブルを含むとともに気体が高濃度で溶解した液体(バブル含有気体溶存液)を効率的に生成することができる。そして、このようにして生成されたバブル含有気体溶存液を、液体中に新たに気泡が発生しないようにして常圧(大気圧など)に戻すようにすれば、気体濃度の高い液体によるケミカル作用と、微細バブルによる物理作用を兼ね備えた液体を得ることができ、例えば、精密洗浄等に用いることができる。
【0028】
なお、加圧状態の気体溶存液を常圧に戻す際、液体中に新たな気泡を発生させないようにするには、例えば、特開平8−89771号公報に記載されたキャピラリー等を用いればよいが、これに限定されるわけではない。
【0029】
本発明の実施の一形態では、多孔質体ユニット20から排出されて送通管16bを通ってノズルユニット19に供給されるバブル含有気体溶存液は、ノズルユニット19から噴出する。このノズルユニット19から噴出する際に、バブル含有気体溶存液は大気中に圧力開放され、その圧力開放によって、気体溶存液中に微細バブルが発生する。このため、ノズルユニット19から噴出する液体には、多孔質体ユニット20にて発生した微細バブルに加えてノズルユニット19から噴出する際の圧力開放によって発生した微細バブルが含まれることになり、極めて多くの微細バブルが含まれることになる。
【0030】
ノズルユニット19から噴出されるバブル含有液は、半導体ウェーハ等の被処理物(被洗浄物)に直接吹き付けても、また、洗浄槽に貯めて、その洗浄槽内での被処理物の処理に利用するようにしても、更に、貯液槽に貯めて、その貯液槽から送りだして利用するようにしてもよい。
【0031】
加圧状態の気体溶存液中に微細バブルを発生させる機構(第1バブル発生機構)は、多孔質体ユニット20に限られるものではなく、気体溶存液中の気体の溶存状態が維持された状態でその気体溶存液中に微細バブルを発生させるものであれば、気体溶存液を旋回させて微細バブルを発生させる構造のもの等、他の構造のものであってもよい。
【0032】
また、微細バブルを含む気体溶存液を圧力開放して更なる微細バブルを発生させる機構(第2バブル発生機構)は、ノズルユニット19に限られるものではなく、多孔質体ユニット20(第1バブル発生機構)から延びる送通管16bに設けられたオリフィス体等、他の構造のものであってもよい。
【符号の説明】
【0033】
11 貯液槽
12、16a、16b 送通管
13 第1ガス供給部
14 ポンプ
15 加圧槽
17 第2ガス供給部
18 気体送通管
19 ノズルユニット(第2バブル発生機構)
20 多孔質体ユニット(第1バブル発生機構)
21、23 開閉弁
22 圧力調整器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液中に気体が混在する気体含有液を生成する気体含有液生成機構と、
前記気体含有液を加圧して液中に気体の溶解した状態の気体溶存液を生成する気体溶存液生成機構と、
前記気体溶存液中に微細バブルを発生させてバブル含有気体溶存液を生成する第1バブル発生機構とを有するバブル含有液生成装置。
【請求項2】
前記第1バブル発生機構は、多孔質体に前記気体溶存液及び気体を供給して、該気体溶存液中に前記多孔質体にある細孔に応じた微細バブルを発生させる多孔質体ユニットを有する請求項1記載のバブル含有液生成装置。
【請求項3】
前記バブル含有気体溶存液の圧力開放を行って微細バブルを発生させてバブル含有液を生成する第2バブル発生機構を有する請求項1または2記載のバブル含有液生成装置。
【請求項4】
前記第2バブル発生機構は、前記バブル含有気体溶存液を大気中に噴出するノズルユニットである請求項3記載のバブル含有液生成装置。

【図1】
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【図2】
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