説明

バリアブルPS編集システムおよびバリアブルPS編集方法

【課題】フルカラー化したフォームのデザインまで自分自身で行いたいという印刷物の発注者の要望に対応し、かつ発注者の指定に基づいて印刷会社における追加情報の合成を可能とする。
【解決手段】複数の顧客の各々に対応する可変情報を含むバリアブルPS原稿を編集するバリアブルPS編集システム(方法)であって、入稿したバリアブルPS原稿の原稿レイアウトに合成する追加レイアウトの態様を定義した定義体を生成する定義体生成手段(過程)と、前記定義体の定義に従って前記原稿レイアウトと前記追加レイアウトを合成した合成レイアウトを生成し、前記合成レイアウトから成る合成したバリアブルPS(またはPDF)原稿を生成する合成原稿生成手段(過程)とを有するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可変情報が含まれるバリアブルPSを編集する技術分野に属する。特に、製造依頼元より入稿した入稿バリアブルPS原稿に対して追加バリアブル情報を合成し、合成バリアブルPS(またはPDF)原稿を得るためのバリアブルPS編集システムとバリアブルPS編集方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固定情報だけでなく可変情報が含まれる印刷物としてダイレクトメールが良く知られている。ダイレクトメールにおける宛先、その宛先に応じたメッセージ等は代表的な可変情報である。利用明細のダイレクトメールであれば、利用明細の部分も可変情報である。取扱商品の案内状であれば、送付する顧客の属性に合致する取扱商品だけを選択して案内すると効果的であり、そのような取扱商品の部分も可変情報となる。ダイレクトメールだけでなく、パーソナル保険システム等におけるパーソナル約款、学習者が選択した科目とその科目の学習の進展に合わせて必要とする部分だけを編集したパーソナル問題集、等も可変情報が含まれる印刷物である。
このような可変情報が含まれる印刷物の印刷データを編集する従来のシステムとしては、割付領域内に確実に印刷情報を割り付けるバリアブル印刷文書編集システム(特許文献1)、割付の不具合を容易に確認できてこれを修正できるバリアブル印刷文書編集システム(特許文献2)、バリアブルプリンタ装置の多面割付情報を容易に作成するバリアブルプリント割付編集システム(特許文献3)、等が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−152310
【特許文献2】特開2008−134961
【特許文献3】特開2007−130947
【0004】
ところで、可変情報が含まれる印刷物は、顧客、学習者、等の個人に対して提供される印刷物であるから、その個人との好適なコミュニケーション媒体でもある。そこで個人宛のメッセージを含む印刷物を通じて顧客、学習者、等の個人に好印象を与えることは重要であり、それを可能とする印刷物が求められる。
しかしながら従来においては、可変情報が含まれる印刷物においてフォームの部分は印刷会社が版下を作成し、オフセット印刷機等を使用して印刷し、その上にモノクロプリンタで可変情報を印字していた。このため、印刷物の発注者から印刷会社に支給されるデータはテキスト及びモノクロイメージ以外にはなく、印刷物の発注者は顧客を良く知る立場でありながら、自由にフォームのデザインを行うことができないという問題があった。
一方、印刷物の発注者においては、PS(PostScript;アドビ社の登録商標)によって簡易にフルカラー化したフォームのデザインを自分自身で提供する環境が十分に整って来ている。また、印刷物の発注者においては、自分自身の意思を確実に反映できるように、ある程度までは自分自身で編集を行ないたいという要望がある。その反面で、手数が掛かる部分、手に負えない部分、等については、印刷物の発注者は印刷会社に仕様を提示することで編集、印刷、等を行なわせることを要望している。また、印刷会社としては、付加価値の高い印刷内容を発注者に提案し、それを含めて受注することを要望している。
ところで、バリアブルな原稿を編集するときには、一般的には、個別のバリアブルデータ(個人情報等)が含まれている顧客データーベースからデータ抽出等を行なって編集を行なっている。ところが、顧客データーベースには高度のセキュリティ要求がある。したがって、印刷物の発注者からある程度まで編集されたバリアブル原稿が入稿するときには、顧客データーベースを使用せず、その入稿したバリアブル原稿からバリアブルな追加情報を再編集する簡易な編集方法が望まれる。しかしながら、従来のバリアブル編集システムにはそのような仕組みがないという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の問題を解決するために成されたものである。その目的は、フルカラー化したフォームのデザインまで自分自身で行いたいという印刷物の発注者の要望に対応し、かつ発注者の指定に基づいて印刷会社における追加情報の合成を可能とするシステムとしてバリアブルPS編集システムとバリアブルPS編集方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係るバリアブルPS編集システムは、複数の顧客の各々に対応する可変情報を含むバリアブルPS原稿を編集するバリアブルPS編集システムであって、 入稿したバリアブルPS原稿の原稿レイアウトに合成する追加レイアウトの態様を定義した定義体を生成する定義体生成手段と、 前記定義体の定義に従って前記原稿レイアウトと前記追加レイアウトを合成した合成レイアウトを生成し、前記合成レイアウトから成る合成したバリアブルPS(またはPDF)原稿を生成する合成原稿生成手段と、を有するようにしたものである。
また、本発明の請求項2に係るバリアブルPS編集システムは、請求項1に係るバリアブルPS編集システムにおいて、前記定義体生成手段はグラフ追加定義手段を有し、前記グラフ追加定義手段は、原稿レイアウトにおけるデータ領域の指定と、追加レイアウトにおけるグラフ領域の指定と、グラフ化するときの形式の指定とを行なうことにより、追加レイアウトにおけるグラフ領域の態様を定義した定義体の部分を生成するようにしたものである。
また、本発明の請求項3に係るバリアブルPS編集システムは、請求項1または2に係るバリアブルPS編集システムにおいて、前記定義体生成手段はイメージ追加定義手段を有し、前記イメージ追加定義手段は、原稿レイアウトにおけるキー情報領域の指定と、追加レイアウトにおけるイメージ領域の指定とを行なうことにより、追加レイアウトにおけるイメージ領域の態様を定義した定義体の部分を生成するようにしたものである。
また、本発明の請求項4に係るバリアブルPS編集システムは、請求項1〜3のいずれかに係るバリアブルPS編集システムにおいて、前記定義体生成手段はテキスト追加定義手段を有し、前記テキスト追加定義手段は、原稿レイアウトにおけるキー情報領域の指定と、追加レイアウトにおけるテキスト領域の指定とを行なうことにより、追加レイアウトにおけるテキスト領域の態様を定義した定義体の部分を生成するようにしたものである。
また、本発明の請求項5に係るバリアブルPS編集システムは、請求項3または4に係るバリアブルPS編集システムにおいて、前記指定したキー情報領域が複数の場合にはその複数のキー情報領域について論理式の指定を行なうようにしたものである。
また、本発明の請求項6に係るバリアブルPS編集システムは、請求項1〜5に係るバリアブルPS編集システムにおいて、前記合成原稿生成手段は追加グラフ生成手段を有し、前記追加グラフ生成手段は前記定義体の前記指定されたデータ領域のデータ行列を抽出し前記指定された形式でグラフ化し前記指定されたグラフ領域に割付けるようにしたものである。
また、本発明の請求項7に係るバリアブルPS編集システムは、請求項1〜6に係るバリアブルPS編集システムにおいて、前記合成原稿生成手段は追加イメージ生成手段を有志、前記追加イメージ生成手段は前記定義体の前記指定されたキー情報領域の文字列をキー情報としてデータメモリを参照し、そのキー情報に紐付けされたイメージを前記データメモリから抽出し前記指定されたイメージ領域に割付けるようにしたものである。
また、本発明の請求項8に係るバリアブルPS編集システムは、請求項1〜7に係るバリアブルPS編集システムにおいて、前記合成原稿生成手段は追加テキスト生成手段を有し、前記追加テキスト生成手段は前記定義体の前記指定されたキー情報領域の文字列をキー情報としてデータメモリを参照し、そのキー情報に紐付けされたイメージを前記データメモリから抽出し前記指定されたテキスト領域に割付けるようにしたものである。
本発明の請求項9に係るバリアブルPS編集方法は、複数の顧客の各々に対応する可変情報を含むバリアブルPS原稿を編集するバリアブルPS編集システムであって、 入稿したバリアブルPS原稿の原稿レイアウトに合成する追加レイアウトの態様を定義した定義体を生成する定義体生成過程と、 前記定義体の定義に従って前記原稿レイアウトと前記追加レイアウトを合成した合成レイアウトを生成し、前記合成レイアウトから成る合成したバリアブルPS(またはPDF)原稿を生成する合成原稿生成過程と、を有するようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、製造依頼元より入稿した入稿バリアブルPS原稿に対して追加バリアブル情報を合成し、合成バリアブルPS(またはPDF)原稿を得るためのバリアブルPS編集システムとバリアブルPS編集方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明のバリアブルPS編集システムにおける主要な機能の一例を示す説明図である。
【図2】本発明のバリアブルPS編集システムにおける構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明のバリアブルPS編集システムにおける処理過程の一例を示すフロー図である。
【図4】本発明のバリアブルPS編集システムにおける定義体生成に係わる処理過程の一例を示すフロー図である。
【図5】本発明のバリアブルPS編集システムにおける追加レイアウト定義に係わる処理過程の一例を示すフロー図である。
【図6】本発明のバリアブルPS編集システムにおける合成原稿生成に係わる処理過程の一例を示すフロー図である。
【図7】本発明のバリアブルPS編集システムにおける原稿レイアウトの一例(その1)を示す図である。
【図8】本発明のバリアブルPS編集システムにおける追加レイアウトの一例(その1)を示す図である。
【図9】本発明のバリアブルPS編集システムにおける合成レイアウトの一例(その1)を示す図である。
【図10】本発明のバリアブルPS編集システムにおける原稿レイアウトの一例(その2)を示す図である。
【図11】本発明のバリアブルPS編集システムにおける追加レイアウトの一例(その2)を示す図である。
【図12】本発明のバリアブルPS編集システムにおける合成レイアウトの一例(その2)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。本発明のバリアブルPS編集システムにおける主要な機能の一例を説明図として図1に示す。図1において、100はバリアブルPS編集システム、200はバリアブルPS原稿、201は原稿レイアウト、202はイメージ、テキスト、203は追加レイアウト、300は合成済バリアブルPS原稿である。
図1に示すように、印刷物の発注者が途中まで編集したバリアブルPS原稿200を印刷会社に入稿する。バリアブルPS原稿200におけるバリアブルとは複数の顧客の各々に対応する可変情報を含んでいること、すなわち各ページが同じ内容の部分(不変情報)と異なる内容の部分(可変情報)との両方を有することを意味する。また、バリアブルPS原稿200におけるPS原稿とはページ記述言語であるポストスクリプト(PostScript;アドビ社の登録商標)によって記述された原稿であることを意味している。
発注者の指定に基づいて印刷会社における追加情報の合成をそのバリアブルPS原稿200に対して行なうときには、そのバリアブルPS原稿200とともに、原稿レイアウト201とイメージ、テキスト(等の素材)202、追加レイアウト203も印刷会社に入稿する。原稿レイアウト201に追加レイアウト203を合成する作業は印刷会社が行なう作業である。したがって、イメージ、テキスト(等の素材)202、追加レイアウト203は、印刷物の発注者と印刷会社による作業内容(仕様)の打合わせに基づいて、印刷会社が作製してもよい。
【0010】
原稿レイアウト201はバリアブルPS原稿200における可変情報の部分を除き不変情報の部分としたときに同一のレイアウトを1つと見做し、同一でないレイアウトのすべてである。すなわち、可変情報が編集される前の種類の相違するレイアウトのすべてによって原稿レイアウト201が構成される。レイアウトとは、一般的には、ページ(または編集単位、印刷単位)におけるテキスト、イメージ、表、図形、ロゴ、等の実体の割付(配置)を意味する。レイアウトとは、ここでは、その割付とともにすでに割付が行なわれた部分(発注者による編集済の部分)については実体が記述されていてもよい。むしろ、実体が記述されることにより、ページにおける部分がどのような実体が割付けられる部分であるかが明確となる。また、その実体により追加情報を特定することが可能となる(詳細を後述する)。本発明においては、原稿レイアウト201として、バリアブルPS原稿200から抽出されたページそのものを使用することができる。
追加レイアウト203は原稿レイアウト201を構成するページの各々に対応し、追加情報の割付が記述されたページとして作製するものである。追加レイアウト203におけるレイアウトの意味は上記の原稿レイアウト201におけると同様である。
イメージ、テキスト(等の素材)202は追加レイアウト203にイメージやテキスト等の素材の割付が含まれているときに、その割付けるすべてのイメージやテキスト等の素材を有するデータとして作製するものである。
【0011】
バリアブルPS編集システム100は複数の顧客の各々に対応する可変情報を含むバリアブルPS原稿を編集するシステムである。詳細を後述するが、概要としては、バリアブルPS編集システム100は、まず、入稿したバリアブルPS原稿の原稿レイアウトに合成する追加レイアウトの態様を定義した定義体を生成する。次に、その定義体の定義に従って原稿レイアウトと追加レイアウトを合成した合成レイアウトを生成する。その合成レイアウトの生成は入稿したバリアブルPS原稿の全ページに対して行なわれる。これにより、バリアブルPS編集システム100は、合成レイアウトのページから成る合成したバリアブルPS(またはPDF)原稿を生成する。
合成済バリアブルPS原稿300は上述のバリアブルPS編集システム100が生成した合成レイアウトのページから成る合成したバリアブルPS(またはPDF)原稿のことである。合成済バリアブルPS原稿300はPS(PostScript)によって記述されているが、これをPDF(Portable Document format)として生成することも可能である。どちらを選択するかは、通常は、編集の後工程(たとえば印刷工程)との適合性によって決定する。
【0012】
以上、主要な機能について説明した。次に、本発明のバリアブルPS編集システム100について詳細な説明を行なう。
本発明のバリアブルPS編集システム100の構成について説明する。本発明のバリアブルPS編集システムにおける構成の一例をブロック図として図2に示す。本発明のバリアブルPS編集システムはパーソナルコンピュータシステム、等のデータ処理システムのソフトウェアとハードウェアによって実現することができる。
図2において、101は本体、102は記憶部、103は演算部である。200は入稿PS原稿(バリアブルPS原稿)、201は原稿レイアウト、202はイメージ・テキスト、203は追加レイアウト、204は定義体、300は合成PS(PDF)原稿でありこれら200〜300は外部記憶装置または記憶媒体に記憶されたデータである。
また、本体101の記憶部102において、1は原稿レイアウト、2は追加レイアウトキー情報、3は追加レイアウト、4は定義体、5は追加グラフ、6は追加イメージ、7は追加テキスト、8は合成レイアウト、9は合成PS(PDF)原稿、10は表示データである。
また、本体101の演算部103において、31はグラフ追加定義手段、32はイメージ追加定義手段、33はテキスト追加定義手段、34はPS/XML変換手段、35はXML/PS(PDF)変換手段、36は追加グラフ生成手段、37は追加イメージ生成手段、38は追加テキスト生成手段、38は表示データ生成手段である。
【0013】
グラフ追加定義手段31は、オペレータによって、原稿レイアウト1におけるデータ領域の指定と、追加レイアウト3におけるグラフ領域の指定と、グラフ化するときの形式の指定とが行なわれると、追加レイアウト3におけるグラフ領域の態様を定義した定義体4の部分を生成する処理を行う。その定義体4の部分には、原稿レイアウト1におけるデータ領域を特定する情報、追加レイアウト3におけるグラフ領域を特定する情報、グラフ化するときの形式を特定する情報が含まれている。
イメージ追加定義手段32は、オペレータによって、原稿レイアウト1におけるキー情報領域の指定と、追加レイアウト3におけるイメージ領域の指定とが行なわれると、追加レイアウト3におけるイメージ領域の態様を定義した定義体4の部分を生成する処理を行う。その定義体4の部分には、原稿レイアウト1におけるキー情報領域を特定する情報、追加レイアウト3におけるイメージ領域を特定する情報が含まれている。
テキスト追加定義手段33は、オペレータによって、原稿レイアウト1におけるキー情報領域の指定と、追加レイアウト3におけるテキスト領域の指定とが行なわれると、追加レイアウト3におけるテキスト領域の態様を定義した定義体4の部分を生成する処理を行う。その定義体4の部分には、原稿レイアウト1におけるキー情報領域を特定する情報、追加レイアウト3におけるテキスト領域を特定する情報が含まれている。
定義体4は、グラフ追加定義手段31によって生成された部分、イメージ追加定義手段32によって生成された部分、テキスト追加定義手段33によって生成された部分によって構成され、さらに、原稿レイアウト1が複数存在するときには各々の原稿レイアウト1に対応するそれらの部分によって構成される。
【0014】
追加グラフ生成手段36は、定義体4の定義に従って原稿レイアウト1と追加レイアウト3とを合成した合成レイアウトを生成するときに、定義体4によって指定されたデータ領域のデータ行列を抽出し、指定された形式でグラフ化し、指定されたグラフ領域に割付を行なう。
追加イメージ生成手段37は、定義体4の定義に従って原稿レイアウト1と追加レイアウト3とを合成した合成レイアウトを生成するときに、定義体4によって指定されたキー情報領域の文字列をキー情報としてデータメモリを参照し、そのキー情報に紐付けされたイメージをデータメモリから抽出し、指定されたイメージ領域に割付を行なう。
追加テキスト生成手段38は、定義体4の定義に従って原稿レイアウト1と追加レイアウト3とを合成した合成レイアウトを生成するときに、定義体4の指定されたキー情報領域の文字列をキー情報としてデータメモリを参照し、そのキー情報に紐付けされたテキストをデータメモリから抽出し、指定されたテキスト領域に割付を行なう。
【0015】
PS/XML変換手段34は、ページ記述言語であるPS(PostScript)形式で記述された文書、原稿、等をバリアブルPS編集システムにおいて内部形式として使用するマークアップ言語であるXML(Extensible Markup Language)形式で記述された文書(XML文書)、原稿、等に変換する。XML文書の構造は大きく分けると宣言文、全体定義文、本文の3つのコンポーネントから成り立ち、読むのも書くのも非常に簡単である。本文は「タグ」とよぶ識別符号と識別名を挿入した文書であるため、タグで文やデータの意味内容を表現でき、柔軟性が高く変更が容易である。
XML/PS(PDF)変換手段35は、バリアブルPS編集システムにおいて内部形式として使用するマークアップ言語であるXML(Extensible Markup Language)形式で記述された文書、原稿、等をページ記述言語であるPS(PostScript)形式またはPDF(Portable Document format)で記述された文書(PS文書)、原稿、等に変換する。
【0016】
以上、構成について主要な部分を説明した。次に、本発明のバリアブルPS編集システムにおける動作について説明する。本発明のバリアブルPS編集システムにおける処理過程の一例をフロー図として図3に示す。
まず、図3のステップS1(定義体生成)において、バリアブルPS編集システム100の定義体生成手段(図示せず)は、入稿したバリアブルPS原稿の原稿レイアウトに合成する追加レイアウトの態様を定義した定義体4を生成する。定義体4はハードディスク等の外部記憶装置に定義体204として保存される。定義体生成手段には、グラフ追加定義手段31、イメージ追加定義手段32、テキスト追加定義手段33、等が存在する。
入稿したバリアブルPS原稿には、たとえば複数の顧客に郵送する印刷物の原稿が含まれており、一人の顧客に対する印刷物は複数ページが含まれている。すなわち、入稿したバリアブルPS原稿は多数のページの原稿によって構成される。各ページは複数種類ある原稿レイアウトの1つが適用されている。特定の種類の原稿レイアウトには特定の固定情報が存在する。さらに、各ページはその特定の固定情報が存在する原稿レイアウトに対して顧客によって相違する可変情報が存在する。定義体生成手段の処理の対象となるのは、各ページではなくて各ページに適用される複数種類の原稿レイアウトである。
なお、原稿レイアウト201は、たとえば、入稿したバリアブルPS原稿(入稿PS原稿200)とともに印刷物の発注者が印刷会社に提供する。原稿レイアウト1は外部記憶装置から本体101に読み込んだ原稿レイアウトである。追加レイアウトは複数種類の原稿レイアウトに対応するものとして発注者または印刷会社によって編集したものである。
【0017】
次に、ステップS2(合成原稿生成)において、バリアブルPS編集システム100の合成原稿生成手段(図示せず)は、その定義体の定義に従って原稿レイアウトと追加レイアウトを合成した合成レイアウトを生成する。バリアブルPS編集システム100は、その合成レイアウトの生成を入稿したバリアブルPS原稿の全ページに対して行なう。これにより、バリアブルPS編集システム100は、合成レイアウトのページから成る合成したバリアブルPS(またはPDF)原稿を生成する。合成したバリアブルPS(またはPDF)原稿(合成PS(PDF)原稿9)は合成PS(PDF)原稿300としてハードディスク等の外部記憶装置に定義体204として保存される。合成原稿生成手段には、追加グラフ生成手段36、追加イメージ生成手段37、追加テキスト生成手段38、等が存在する。
【0018】
上記(図3に示す)の定義体生成(ステップS1)について詳細を説明する。本発明のバリアブルPS編集システムにおける定義体生成に係わる処理過程の一例をフロー図として図4に示す。
まず、図4のステップS101(原稿レイアウト読込)において、オペレータによる読込指示の入力があると、定義体生成手段は外部記憶装置に保存されている原稿レイアウト201を本体101の記憶部102に読込む。
次に、ステップS102(PS/XML変換)において、PS/XML変換手段34は読込んだPS文書の原稿レイアウトをXML文書に変換する。このXML文書に変換した原稿レイアウトをここでは図2に示す原稿レイアウト1とする。
次に、ステップS103(原稿レイアウト表示)において、表示データ生成手段39は表示データ10を更新し原稿レイアウトをディスプレイ(図示せず)に表示する。表示された原稿レイアウト1の一例を図7、図10に示す。図7(A)と図7(B)、図10(A)と図10(B)は見開きの組となるページの各々を示している。すなわち、ここに示す一例においては、見開きのページを一画面に表示して編集が行なわれる。以降に示す図8〜図9、図11〜図12においても同様である。
【0019】
次に、ステップS104(キー情報領域選択)において、オペレータはデースプレイに表示された原稿レイアウトにおいてキー情報領域を選択する。図7(A)において211の符号で示す領域には「A1」と記載されており、図7(B)において212の符号で示す領域には「E1」と記載されている。「A1」「E1」はそのページの原稿レイアウトと対となる追加レイアウトを紐付けするキー情報すなわち追加レイアウトキー情報2である。また、図10(A)において311の符号で示す領域には「C1」と記載されており、図10(B)において312の符号で示す領域には「FF」と記載されている。「C1」「FF」はそのページの原稿レイアウトと対となる追加レイアウトを紐付けするキー情報すなわち追加レイアウトキー情報2である。
そのキー情報を選択するときには、たとえば、オペレータはそのキー情報の領域を矩形によって囲む。オペレータは作成する矩形の一角にマウスの指示ポイントを置いてマウスの左ボタンを押したまま、作成する矩形の対角にマウスの指示ポイントを移動しマウスの左ボタンを離す。定義体生成手段はオペレータによって選択された領域を追加レイアウトキー情報2として記憶部102に記憶する。
次に、ステップS105(追加レイアウト表示)において、定義体生成手段はその選択されたキー情報すなわち追加レイアウトキー情報2に紐付けされた追加レイアウト203を外部記憶装置から読込む。読込んだ追加レイアウト203がPS文書であるときには、PS/XML変換手段34は読込んだPS文書の追加稿レイアウトをXML文書に変換する。このXML文書に変換した追加レイアウトをここでは図2に示す追加レイアウト3とする。表示データ生成手段39は表示データ10を更新し追加レイアウトをディスプレイに表示する。表示された追加レイアウト3の一例を図8、図11に示す。図8(A)には図7(A)に示す原稿レイアウトに対応する追加レイアウトを示し、図8(B)には図7(B)に示す原稿レイアウトに対応する追加レイアウトを示す。また、図11(A)には図10(A)に示す原稿レイアウトに対応する追加レイアウトを示し、図11(B)には図10(B)に示す原稿レイアウトに対応する追加レイアウトを示す。
【0020】
次に、ステップS106(追加レイアウト定義)において、オペレータによる指示入力に基づいて、定義体生成手段は追加レイアウト3に追加するデータについて定義する。ステップS105において表示した段階の追加レイアウトはオブジェクト(グラフ、イメージ、テキスト等のページを構成する素材)のページにおける割付(配置)の表示が行なわれているに過ぎない。具体的に何を割り付けるかは定義する必要性がある。その定義を追加レイアウト定義において行なう。図8、図11には追加レイアウト定義を行なった後に追加したデータを追加レイアウトに表示した状態が示されている。1つの追加レイアウトを定義すると、その追加レイアウトに対する定義体4の部分が生成される。定義体4はその部分の集合であって、すべての追加レイアウトの定義が含まれる。追加レイアウト定義にはグラフ追加定義、イメージ追加定義、テキスト追加定義が存在する。追加レイアウト定義については詳細を後述する。
次に、ステップS107(全レイアウト終了?)において、全レイアウトについて追加レイアウトの定義が終了しているか否かを判定し、終了していないときにはステップS101に戻って前述した以降のステップを繰り返す。その判定によって終了しているときにはステップS108に進む。追加情報を有する全ての原稿レイアウトに対して、言い換えると全ての追加レイアウトに対して追加レイアウト定義を行ない定義体の対応部分を生成する必要性がある。
次に、ステップS108(定義体書込)において、すべての追加レイアウトの定義が含まれる定義体4を外部記憶装置に書込み保存する。その保存された定義体が図2に示す定義体204である。
【0021】
以上、図4に示す定義体生成の過程について説明した。次に、定義体生成のステップS106における追加レイアウト定義について詳細を説明する。本発明のバリアブルPS編集システムにおける追加レイアウト定義に係わる処理過程の一例をフロー図として図5に示す。
まず、図5のステップS201(グラフ追加定義)において、グラフ追加定義手段31は、原稿レイアウト1におけるデータ領域の指定と、追加レイアウト3におけるグラフ領域の指定と、グラフ化するときの形式の指定とをオペレータが行なうことにより、その指定に基づいて、追加レイアウト3におけるグラフ領域の態様を定義した定義体4の部分を生成する。
データ領域の指定は、表示データ生成手段39がバリアブルPS編集システムのディスプレイ(図示せず)に表示した原稿レイアウト1において、オペレータがデータ領域を矩形によって囲むことによって行なわれる。データ領域は行列配置したデータシート(テーブル)の形式となっている。たとえば、図7(A)、図11(A)に示す一例においては、タイトルが「成績推移」のデータシートが記載されている。そのデータシートにおいては、行の項目として国語、数学、英語、・・・列の項目として1年4月、1年9月、2年4月、・・・それら各行と各列が交叉するセルにテストの点数が記載されている。
データ領域の指定は、オペレータは作成する矩形の一角にマウスの指示ポイントを置いてマウスの左ボタンを押したまま、作成する矩形の対角にマウスの指示ポイントを移動しマウスの左ボタンを離すことによって行なわれる。
【0022】
このデータ領域の指定において、バリアブルPS編集システムはオペレータに対してGUI(graphical user interface)を提供し、指定の操作をやり易く、また誤指定が起きないようにする。
表示データ生成手段39は表示データ10を更新することによって、指定の過程において寸法変化する矩形を原稿レイアウト1とともにディスプレイに表示する。また、表示データ生成手段39は表示データ10を更新することによって、その矩形によって囲まれたデータ領域の表示形態(色、ネガポジ反転、アンダーライン、点滅、等)を変化させディスプレイに表示する。これによりオペレータは指定したデータ領域を確認することが可能となる。
また、表示データ生成手段39は「確定」と「キャンセル」のいずれかを選択するウィンドウを表示する。オペレータが「確定」にマウスの指示ポイントを置いてマウスの左ボタンをクリックすると、グラフ追加定義手段31は、原稿レイアウトにおけるデータ領域として表示形態が変化しているデータ領域が指定されたと認識する。オペレータが「キャンセル」にマウスの指示ポイントを置いてマウスの左ボタンをクリックすると、オペレータが矩形を作成する前の状態すなわちデータ領域を指定する最初の状態に戻る。
このようなバリアブルPS編集システムによるGUIの提供は、このデータ領域の指定だけでなく、後述するイメージ領域、テキスト領域の指定、等においても行なわれる
【0023】
グラフ領域の指定は、表示データ生成手段39がバリアブルPS編集システムのディスプレイ(図示せず)に表示した追加レイアウト3に存在する複数の領域の内からオペレータがグラフを生成する1つの領域(グラフ領域)を選択することよって行なわれる。たとえば、図8(A)に示す一例においては、223の符号で示す領域がグラフを生成する領域である。図11(A)に示す一例においては、323の符号で示す領域がグラフを生成する領域である。その領域にはグラフ領域であることが解かるように仮のグラフが描かれている。オペレータは選択する領域(境界の線で囲まれた内部)にマウスの指示ポイントを置いてマウスの左ボタンをクリックする。表示データ生成手段39は表示データ10を更新することによって、その領域の表示形態(色、ネガポジ反転、アンダーライン、等)を変化させディスプレイに表示する。これによりオペレータは指定した領域を確認することが可能となる。そして、表示データ生成手段39が表示する「確定」と「キャンセル」のいずれかを選択するウィンドウにおいてオペレータが「確定」にマウスの指示ポイントを置いてマウスの左ボタンをクリックすると、グラフ追加定義手段31は、追加レイアウトにおけるグラフを生成する領域すなわちグラフ領域として表示形式が変化している領域が指定されたと認識する。
【0024】
形式の指定は、上記に引き続いて行なわれ、表示データ生成手段39がディスプレイに表示した形式のメニューに存在する複数の形式の内からオペレータが1つの形式を選択することによって行なわれる。メニューには、たとえば、円グラフ、棒グラフ、折線グラフ、等のグラフの形式が存在する。オペレータは選択する形式を示す文字列(または図形)にマウスの指示ポイントを置いてマウスの左ボタンをクリックする。表示データ生成手段39は表示データ10を更新することによって、その文字列(または図形)の表示形態(色、ネガポジ反転、アンダーライン、等)を変化させディスプレイに表示する。これによりオペレータは指定した形式を確認することが可能となる。そして、表示データ生成手段39が表示する「確定」と「キャンセル」のいずれかを選択するウィンドウにおいて、オペレータが「確定」にマウスの指示ポイントを置いてマウスの左ボタンをクリックすると、グラフ追加定義手段31は、グラフ化する形式として表示形式が変化している形式が指定されたと認識する。
【0025】
次に、ステップS202(原稿・追加・合成レイアウト表示)において、オペレータの指示入力によって、表示データ生成手段39が表示データ10を更新することによって原稿レイアウトと、追加レイアウトと、合成レイアウトを表示する。オペレータはその表示によって、適正な指定を行なったか否かの最終確認を行うことができる。適性でない指定が発見されたときには、オペレータは上述のステップに戻って再度の指定を行なう。
次に、ステップS203(全定義終了)において、追加レイアウト定義手段(グラフ追加定義手段、イメージ追加定義手段、テキスト追加定義手段、等)は、すべての追加レイアウトに対して、またすべての定義対象項目に対して、定義を完了しているか否かを判定しており、その判定内容を表示データ生成手段39が表示データ10を更新することによってディスプレイに表示する。オペレータはその表示によって、定義が完了しているか否かの確認を行うことができる。定義が完了していないときには、オペレータは上述のステップに戻って残る定義対象項目に対して定義を行なう。定義が完了しているときには、追加レイアウト定義を終了する。
【0026】
次に、ステップS204(イメージ追加定義)において、イメージ追加定義手段32は、原稿レイアウト1におけるキー情報領域の指定と、追加レイアウト3におけるイメージ領域の指定とを行なうことにより、追加レイアウト3におけるイメージ領域の態様を定義した定義体4の部分を生成する。
キー情報領域の指定は、表示データ生成手段39がバリアブルPS編集システムのディスプレイ(図示せず)に表示した原稿レイアウト1において、オペレータがキー情報領域を矩形によって囲むことによって行なわれる。キー情報領域は原稿レイアウト1におけるテキストの内から特定の文字列が配列する領域とすることができる。キー情報はそのキー情報領域に存在する文字列そのものである。本発明においては、前述したように、入稿したバリアブルPS原稿の特定のページを原稿レイアウト1とすることができる。その原稿レイアウト1において「A女子学園」と記載された特定の領域があるものとすると、その原稿レイアウト1と同種類の原稿レイアウト1である他の入稿したバリアブルPS原稿のページには、「A女子学園」と記載されていることもあるが、他の学校たとえば「B女学院」、「C高等学校」、「D付属高校」、等と記載されていることもある。その特定の領域をキー情報領域とするときには、オペレータはその特定の領域を矩形によって囲む。たとえば、図7(B)に示す一例においては、214の符号で示す領域には「A高校」と記載されており、215の符号で示す領域には「B高校」と記載されている。また、図10(A)に示す一例においては、314の符号で示す領域には「ABC女子学園」と記載されており、315の符号で示す領域には「パンダ学園高校」と記載されている。
オペレータは作成する矩形の一角にマウスの指示ポイントを置いてマウスの左ボタンを押したまま、作成する矩形の対角にマウスの指示ポイントを移動しマウスの左ボタンを離す。そして、表示データ生成手段39が表示する「確定」と「キャンセル」のいずれかを選択するウィンドウにおいて、オペレータが「確定」にマウスの指示ポイントを置いてマウスの左ボタンをクリックすると、イメージ追加定義手段32は、キー情報領域として表示形態が変化しているキー情報領域が指定されたと認識する。
【0027】
このキー情報領域の指定において、複数のキー情報領域を指定することができる。たとえば、「A高校」の領域をキー情報領域として指定したときに、顧客(学習者)が男性か女性かによって追加イメージを変更したいときがある。そのときには「A高校」の領域だけでなく男性か女性かを区別可能なキー情報を含む領域、たとえば「男」または「女」の領域、「氏名」の領域、等をキー情報領域として指定する。指定したキー情報領域が複数の場合にはその複数のキー情報領域について論理式の指定を行なう。表示データ生成手段39が表示する論理式指定ウィンドウ(図示せず)において、たとえば、「A高校」×「氏名」のように論理式の指定を行なう。本発明のバリアブルPS編集システムにおいては、このような論理式で表現されたキー情報領域も通常のキー情報領域と同様に扱う。
【0028】
イメージ領域の指定は、表示データ生成手段39がバリアブルPS編集システムのディスプレイ(図示せず)に表示した追加レイアウト3に存在する複数の領域の内からオペレータがイメージを生成する1つの領域(イメージ領域)を選択することよって行なわれる。たとえば、図8(B)に示す一例においては、224の符号で示す領域と225の符号で示す領域とがグラフを生成する領域である。また図11(B)に示す一例においては、324の符号で示す領域と325の符号で示す領域とがグラフを生成する領域である。オペレータは選択する領域(境界の線で囲まれた内部)にマウスの指示ポイントを置いてマウスの左ボタンをクリックする。表示データ生成手段39は表示データ10を更新することによって、その領域の表示形態(色、ネガポジ反転、アンダーライン、等)を変化させディスプレイに表示する。これによりオペレータは指定した領域を確認することが可能となる。そして、表示データ生成手段39が表示する「確定」と「キャンセル」のいずれかを選択するウィンドウにおいて、オペレータが「確定」にマウスの指示ポイントを置いてマウスの左ボタンをクリックすると、イメージ追加定義手段32は、イメージを生成する領域として表示形式が変化している領域が指定されたと認識する。
上記のステップ204を終えると、図5に示すように、ステップ202、ステップ203へと進む。ステップ202、ステップ203については、すでに説明したからここでは説明を省略する。
【0029】
次に、ステップS205(テキスト追加定義)において、 テキスト追加定義手段33は、原稿レイアウト1におけるキー情報領域の指定と、追加レイアウト3におけるテキスト領域の指定とを行なうことにより、追加レイアウト3におけるテキスト領域の態様を定義した定義体4の部分を生成する。
キー情報領域の指定は、表示データ生成手段39がバリアブルPS編集システムのディスプレイ(図示せず)に表示した原稿レイアウト1において、オペレータがキー情報領域を矩形によって囲むことによって行なわれる。キー情報領域は原稿レイアウト1におけるテキストの内から特定の文字列が配列する領域とすることができる。キー情報はそのキー情報領域に存在する文字列そのものである。本発明においては、前述したように、入稿したバリアブルPS原稿の特定のページを原稿レイアウト1とすることができる。その原稿レイアウト1において「山田太郎」と記載された特定の領域があるものとすると、その原稿レイアウト1と同種類の原稿レイアウト1である他の入稿したバリアブルPS原稿のページには、「山田太郎」と記載されていることもあるが、他の氏名たとえば「海野美紀」、「水谷速人」、「天川星姫」、等と記載されていることもある。たとえば、図7(A)に示す一例においては、216の符号で示す領域には住所と氏名とが記載されている。また、図10(A)に示す一例においては、316の符号で示す領域には住所と氏名とが記載されている。その特定の領域をキー情報領域とするときには、オペレータはその特定の領域を矩形によって囲む。オペレータは作成する矩形の一角にマウスの指示ポイントを置いてマウスの左ボタンを押したまま、作成する矩形の対角にマウスの指示ポイントを移動しマウスの左ボタンを離す。そして、表示データ生成手段39が表示する確定」と「キャンセル」のいずれかを選択するウィンドウにおいて、オペレータが「確定」にマウスの指示ポイントを置いてマウスの左ボタンをクリックすると、テキスト追加定義手段33は、キー情報領域として表示形態が変化しているキー情報領域が指定されたと認識する。
このキー情報領域の指定において、複数のキー情報領域を指定することができる。このテキスト追加定義のステップにおいて複数のキー情報領域を指定する方法と、前述のイメージ追加定義のステップにおいて複数のキー情報領域を指定する方法とは、同様であるから説明を省略する。
【0030】
テキスト領域の指定は、表示データ生成手段39がバリアブルPS編集システムのディスプレイ(図示せず)に表示した追加レイアウト3に存在する複数の領域の内からオペレータがテキストを生成する1つの領域(テキスト領域)を選択することよって行なわれる。たとえば、図8(A)に示す一例においては226の符号で示す領域すなわち「管理No」の部分が、図8(B)に示す一例においては227の符号で示す領域すなわち「管理No」の部分がグラフを生成する領域である。また、図11(A)に示す一例においては326の符号で示す領域すなわち「管理No」の部分が、図11(B)に示す一例においては327の符号で示す領域すなわち「管理No」の部分がテキストを生成する領域である。オペレータは選択する領域(境界の線で囲まれた内部)にマウスの指示ポイントを置いてマウスの左ボタンをクリックする。表示データ生成手段39は表示データ10を更新することによって、その領域の表示形態(色、ネガポジ反転、アンダーライン、等)を変化させディスプレイに表示する。これによりオペレータは指定した領域を確認することが可能となる。そして、表示データ生成手段39が表示する「確定」と「キャンセル」のいずれかを選択するウィンドウにおいて、オペレータが「確定」にマウスの指示ポイントを置いてマウスの左ボタンをクリックすると、テキスト追加定義手段33は、テキストを生成する領域として表示形式が変化している領域が指定されたと認識する。
上記のステップ205を終えると、図5に示すように、ステップ202、ステップ203へと進む。ステップ202、ステップ203については、すでに説明したからここでは説明を省略する。
【0031】
以上、図5に示す追加レイアウト定義の過程について説明した。次に、図2に示す合成原稿生成について詳細を説明する。本発明のバリアブルPS編集システムにおける合成原稿生成に係わる処理過程の一例をフロー図として図6に示す。
まず、図6のステップS301(入稿PS原稿の読込)において、オペレータによる読込指示の入力があると、合成原稿生成手段は外部記憶装置から入稿PS原稿200をバリアブルPS編集システムの本体101の記憶部102に読込む。この読込みは、入稿PS原稿のすべてのページを読込んでもよく、特定の顧客に対応する複数ページを読込んでもよく、1ページ単位で読込んでもよい。
次に、ステップS302(PS/XML変換)において、PS/XML変換手段34は読込んだPS文書の入稿PS原稿をXML文書に変換する。このXML文書に変換した原稿レイアウトをここでは入稿XML原稿(図示せず)とする。
次に、ステップS303(定義体読込)において、合成原稿生成手段は定義体生成の過程で生成した定義体204を外部記憶装置からバリアブルPS編集システムの本体101の記憶部102に読込む。読込んだ定義体が定義体4である。
【0032】
次に、ステップS304(追加レイアウト生成)において、追加レイアウト生成手段(追加グラフ生成手段36、追加イメージ生成手段37、追加テキスト生成手段38、等)は、入稿XML原稿に対応する追加レイアウト3を読込み、定義体4を参照して追加レイアウトを生成する。追加レイアウト生成手段による入稿XML原稿に対応する追加レイアウト3の読込みは、追加レイアウトを紐付けする入稿XML原稿に記載されたキー情報(たとえば、図7(A)の符号211「A1」)すなわち追加レイアウトキー情報2に基づいて行なわれる。また、追加レイアウト生成手段は、そのキー情報に基づいて定義体4における、そのキー情報に対応する部分を抽出する。そして、その定義にしたがって、その入稿XML原稿に対応する追加レイアウトを生成する。
追加グラフ生成手段36は、定義体4のその抽出した部分の定義にしたがって、指定されたデータ領域のデータから指定された形式のグラフを生成し、指定された追加レイアウトの領域に割付ける。たとえば、図7(A)における原稿レイアウト(入稿XML原稿)におけるデータ領域213(タイトルが「成績推移」のデータシート)に基づいて、棒グラフを生成し、図8(A)の追加レイアウトにおけるグラフ領域223にその棒グラフを割付ける。また、図10(A)における原稿レイアウト(入稿XML原稿)におけるデータ領域313(タイトルが「成績推移」のデータシート)に基づいて、棒グラフを生成し、図11(A)の追加レイアウトにおけるグラフ領域323にその棒グラフを割付ける。
追加イメージ生成手段37は、定義体4のその抽出した部分の定義にしたがって、指定されたキー情報領域の文字列をキー情報として外部記憶装置、データベース、等のデータメモリを参照し、キー情報に紐付けされたイメージを抽出し、指定された追加レイアウトの領域に割付ける。たとえば、図7(B)における原稿レイアウト(入稿XML原稿)におけるキー情報領域214の文字列「A高校」をキー情報として、データメモリを参照し、「A高校」に紐付けされたイメージ(たとえばA高校の校舎の写真)を抽出し、図8(B)の追加レイアウトにおけるイメージ領域224にそのイメージを割付ける。また、図7(B)における原稿レイアウト(入稿XML原稿)におけるキー情報領域215の文字列「B高校」をキー情報として、データメモリを参照し、「B高校」に紐付けされたイメージ(たとえばB高校の校舎の写真)を抽出し、図8(B)の追加レイアウトにおけるイメージ領域225にそのイメージを割付ける。上記と同様のことが図10(A)、図11(B)についても当てはまる。
追加テキスト生成手段38は、定義体4のその抽出した部分の定義にしたがって、指定されたキー情報領域の文字列をキー情報として外部記憶装置、データベース、等のデータメモリを参照し、キー情報に紐付けされたテキストを抽出し、指定された追加レイアウトの領域に割付ける。たとえば、図7(A)における原稿レイアウト(入稿XML原稿)におけるキー情報領域216の文字列「100−0001 埼玉県蕨市錦町4−5−1 大日本太郎様」をキー情報として、データメモリを参照し、「100−0001 埼玉県蕨市錦町4−5−1 大日本太郎様」に紐付けされたテキスト(たとえば、顧客番号、入稿XML原稿におけるソート番号、印刷工程における管理番号)を抽出または生成し、図8(A)および図8(B)の追加レイアウトにおけるテキスト領域226およびテキスト領域227にそのテキストを割付ける。たとえば、抽出または生成するテキストが管理番号であるときには、氏名(大日本太郎)が変化するたびに上位の管理番号を更新(たとえばインクリメント)し、その氏名に属する各ページに対して下位の管理番号を付与する。上記と同様のことが図10(A)、図11(A)、図11(B)についても当てはまる。
【0033】
次に、ステップS305(合成)において、原稿レイアウト(入稿XML原稿)6と追加レイアウト7を合成した合成レイアウト8を生成する。
次に、ステップS306(原稿・追加・合成レイアウト表示)において、オペレータの指示入力によって、表示データ生成手段39が表示データ10を更新することによって原稿レイアウト6と、追加レイアウト7と、合成レイアウト8を表示する。オペレータはその表示によって、適正な合成原稿を生成する処理が行われているか否かの最終確認を行うことができる。オペレータの関与を無くし、自動で処理するときにはステップS306を抜かしてステップS305からステップS307へと進むことが、オペレータの指示入力によって可能である。
次に、ステップS307(全定義終了)において、合成原稿生成手段(追加グラフ生成手段、追加イメージ生成手段、追加テキスト生成手段、等)は、読込んだすべての入稿PS原稿に対して、合成原稿の生成を完了しているか否かを判定しており、その判定内容を表示データ生成手段39が表示データ10を更新することによってディスプレイに表示する。オペレータはその表示によって、合成原稿の生成が完了しているか否かの確認を行うことができる。合成原稿の生成が完了していないときには、オペレータは上述のステップに戻って残る入稿PS原稿に対して合成原稿の生成を行なう。合成原稿の生成が完了しているときには、追加レイアウト定義を終了する。
【0034】
次に、ステップS308(XML/PS(PDF)変換)において、XML/PS(PDF)変換手段35は、XML文書である合成レイアウト(合成XML原稿)8をPS文書(またはPDF文書)である合成PS(PDF)原稿9に変換する。
次に、ステップS309(合成PS(PDF)原稿の書込)において、合成PS(PDF)原稿9を外部記憶装置に書込む。外部記憶装置に書込まれた合成PS(PDF)原稿9が合成PS(PDF)原稿300である。
【0035】
図9、図12には合成PS(PDF)原稿300の一例が見開きのページ((A)と(B))として示されている。
図7との比較から分かるように、図9(A)においては、グラフ領域223に折線グラフが割付けられ、テキスト領域226に管理Noが割付けられている。また、図9(B)においては、イメージ領域224に「A高校」のイメージが割付けられ、イメージ領域225に「B高校」のイメージが割付けられ、テキスト領域227に管理Noが割付けられている。
また、図10との比較から分かるように、図12(A)においては、グラフ領域323に折線グラフが割付けられ、テキスト領域326に管理Noが割付けられている。また、図9(B)においては、イメージ領域324に「ABC女子学園」のイメージが割付けられ、イメージ領域325に「パンダ学園高校」のイメージが割付けられ、テキスト領域327に管理Noが割付けられている。
【産業上の利用可能性】
【0036】
不特定多数ではなく、個人を識別できるレベルの顧客に対して、ダイレクトメール、法律的に義務づけられた帳票の発送、電子帳票情報を配信する業務、等において利用可能である。
【符号の説明】
【0037】
101 本体
102 記憶部
103 演算部
200 入稿PS原稿(バリアブルPS原稿)
201 原稿レイアウト
202 イメージ・テキスト
203 追加レイアウト
204 定義体
300 合成PS(PDF)原稿
1 原稿レイアウト
2 追加レイアウトキー情報
3 追加レイアウト
4 定義体
5 追加グラフ
6 追加イメージ
7 追加テキスト
8 合成レイアウト
9 合成PS(PDF)原稿
10 表示データ
31 グラフ追加定義手段
32 イメージ追加定義手段
33 テキスト追加定義手段
34 PS/XML変換手段
35 XML/PS(PDF)変換手段
36 追加グラフ生成手段
37 追加イメージ生成手段
38 追加テキスト生成手段
38 表示データ生成手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の顧客の各々に対応する可変情報を含むバリアブルPS原稿を編集するバリアブルPS編集システムであって、
入稿したバリアブルPS原稿の原稿レイアウトに合成する追加レイアウトの態様を定義した定義体を生成する定義体生成手段と、
前記定義体の定義に従って前記原稿レイアウトと前記追加レイアウトを合成した合成レイアウトを生成し、前記合成レイアウトから成る合成したバリアブルPS(またはPDF)原稿を生成する合成原稿生成手段と、
を有することを特徴とするバリアブルPS編集システム。
【請求項2】
請求項1に記載のバリアブルPS編集システムにおいて、前記定義体生成手段はグラフ追加定義手段を有し、前記グラフ追加定義手段は、原稿レイアウトにおけるデータ領域の指定と、追加レイアウトにおけるグラフ領域の指定と、グラフ化するときの形式の指定とを行なうことにより、追加レイアウトにおけるグラフ領域の態様を定義した定義体の部分を生成することを特徴とするバリアブルPS編集システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のバリアブルPS編集システムにおいて、前記定義体生成手段はイメージ追加定義手段を有し、前記イメージ追加定義手段は、原稿レイアウトにおけるキー情報領域の指定と、追加レイアウトにおけるイメージ領域の指定とを行なうことにより、追加レイアウトにおけるイメージ領域の態様を定義した定義体の部分を生成することを特徴とするバリアブルPS編集システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のバリアブルPS編集システムにおいて、前記定義体生成手段はテキスト追加定義手段を有し、前記テキスト追加定義手段は、原稿レイアウトにおけるキー情報領域の指定と、追加レイアウトにおけるテキスト領域の指定とを行なうことにより、追加レイアウトにおけるテキスト領域の態様を定義した定義体の部分を生成することを特徴とするバリアブルPS編集システム。
【請求項5】
請求項3または4に記載のバリアブルPS編集システムにおいて、前記指定したキー情報領域が複数の場合にはその複数のキー情報領域について論理式の指定を行なうことを特徴とするバリアブルPS編集システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のバリアブルPS編集システムにおいて、前記合成原稿生成手段は追加グラフ生成手段を有し、前記追加グラフ生成手段は前記定義体の前記指定されたデータ領域のデータ行列を抽出し前記指定された形式でグラフ化し前記指定されたグラフ領域に割付けることを特徴とするバリアブルPS編集システム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のバリアブルPS編集システムにおいて、前記合成原稿生成手段は追加イメージ生成手段を有し、前記追加イメージ生成手段は前記定義体の前記指定されたキー情報領域の文字列をキー情報としてデータメモリを参照し、そのキー情報に紐付けされたイメージを前記データメモリから抽出し前記指定されたイメージ領域に割付けることを特徴とするバリアブルPS編集システム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のバリアブルPS編集システムにおいて、前記合成原稿生成手段は追加テキスト生成手段を有し、前記追加テキスト生成手段は前記定義体の前記指定されたキー情報領域の文字列をキー情報としてデータメモリを参照し、そのキー情報に紐付けされたテキストを前記データメモリから抽出し前記指定されたテキスト領域に割付けることを特徴とするバリアブルPS編集システム。
【請求項9】
複数の顧客の各々に対応する可変情報を含むバリアブルPS原稿を編集するバリアブルPS編集方法であって、
入稿したバリアブルPS原稿の原稿レイアウトに合成する追加レイアウトの態様を定義した定義体を生成する定義体生成過程と、
前記定義体の定義に従って前記原稿レイアウトと前記追加レイアウトを合成した合成レイアウトを生成し、前記合成レイアウトから成る合成したバリアブルPS(またはPDF)原稿を生成する合成原稿生成過程と、
を有することを特徴とするバリアブルPS編集方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−186690(P2011−186690A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49960(P2010−49960)
【出願日】平成22年3月6日(2010.3.6)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】