バリア包装袋
【課題】輸液容器の保存時における輸液の品質劣化を抑え、点滴の際にそのまま遮光カバーとして用いることができ、かつ点滴に用いる際の作業が簡便なバリア包装袋を目的とする。
【解決手段】輸液を収容する本体部21と、輸液を取り出すポート部22とを有する輸液容器20を収納する包装袋であって、前記包装袋がガスバリア層および遮光層を有する積層体からなり、前記包装袋に、該包装袋のポート部22側を開封し、本体部21を収納したままポート部22を露出させるノッチ2および弱化部3が形成されており、かつ、前記包装袋のポート部22側が開封されても、輸液容器20の本体部21が該包装袋の外部に出ないように、本体部21よりもポート部22側の前記包装袋の内面同士が融着されているバリア包装袋1。
【解決手段】輸液を収容する本体部21と、輸液を取り出すポート部22とを有する輸液容器20を収納する包装袋であって、前記包装袋がガスバリア層および遮光層を有する積層体からなり、前記包装袋に、該包装袋のポート部22側を開封し、本体部21を収納したままポート部22を露出させるノッチ2および弱化部3が形成されており、かつ、前記包装袋のポート部22側が開封されても、輸液容器20の本体部21が該包装袋の外部に出ないように、本体部21よりもポート部22側の前記包装袋の内面同士が融着されているバリア包装袋1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸液容器を収納するバリア包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
輸液の点滴には、輸液を収容する本体部と、該本体部から輸液を取り出すポート部と、該本体部を懸架するフック部とを有する輸液容器が広く用いられている。点滴においては、特にアミノ酸類やビタミン類を含有する輸液が紫外線に弱いため、点滴している間に輸液が変質してしまうことがある。また、輸液を収容した輸液容器を保存している間も、紫外線や水蒸気により輸液が変質してしまうことがある。
【0003】
そのため、従来は、遮光性およびガスバリア性を有する包装袋に輸液容器を個装して保存し、点滴を行う際に該包装袋から輸液容器を取り出し、新たに遮光性を有する遮光カバーで輸液容器を覆って使用していた。しかし、この方法では、点滴の際の作業が煩雑である上、廃棄物の量も多くなってしまうという問題があった。そのため、点滴の際に遮光カバーとして兼用できる輸液容器の包装袋が求められていた。
【0004】
特許文献1には、輸液容器の保存時における輸液の品質劣化を防止し、そのまま点滴の際に遮光カバーとして用いることのできる包装袋が示されている。具体的には、図10および図11に示すように、点滴容器110(輸液容器)のフック部113を包装袋101の上部で露出させた状態で、点滴容器110の栓体112(ポート部)付近が位置する包装袋101の下部105を切り取って栓体112を露出させる包装袋101が示されている。
【0005】
この包装袋101を点滴に使用する際は、以下に示す工程を行う。
工程(1):包装袋101に形成されたノッチ104aから下側切裂き案内線102に沿って包装袋101の下部105を開封する。
工程(2):工程(1)と同様に、包装袋101に形成されたノッチ104bから上側切裂き案内線103に沿って包装袋101の下部105を切除する。
工程(3):上部切裂き案内線104cに沿って包装袋101の上中央部106を切除し、包装袋101に形成された開口107から点滴容器110のフック部113を露出させ(図11)、包装袋101で覆った状態で点滴容器110をフックに引っ掛けて吊り下げる。
工程(1)〜(3)の後、輸液容器110の栓体112の部分に注射針を刺し込んで点滴を行う。
【特許文献1】特開2006−167050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の包装袋101は、工程(1)〜(3)のように作業を行うことで、遮光性を有する包装袋101を点滴の際にそのまま遮光カバーとして用いることができる。しかし、この包装袋101では、栓体112を露出させて点滴容器110を懸架するのに前記3つの工程を行わなければならず作業が煩雑であった。また、前述の工程では、輸液容器110の栓体112部分が邪魔になって包装袋101の下部105が切除し難いことがあった。更に、工程(1)および(2)で包装袋101の下側が開封されると、包装袋101内から輸液容器110が飛び出して落下するおそれもあるため、作業を慎重に行う必要があった。また、この包装体101では、図10のように、本体部111よりも幅の狭いフック部113を有する点滴容器110には適しているが、本体部111の端部にフック穴が形成されているような形態(フック部113の幅が本体部111の幅と等しい)の点滴容器の場合には、そのフック部を包装袋101の外部に充分に露出させることが困難であった。
以上のような理由から、輸液容器の保存時における輸液の品質劣化を抑え、点滴の際にそのまま遮光カバーとして用いることができる包装袋として、点滴に用いる際の作業が簡便な包装袋が望まれている。
【0007】
そこで本発明は、輸液容器の保存時における輸液の品質劣化を抑え、点滴の際にそのまま遮光カバーとして用いることができ、かつ点滴に用いる際の作業が簡便なバリア包装袋を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のバイア包装袋は、輸液を収容する本体部と、輸液を取り出すポート部とを有する輸液容器を収納する包装袋であって、前記包装袋がガスバリア層および遮光層を有する積層体からなり、前記包装袋に、該包装袋の前記ポート部側を開封して、前記本体部を収納したまま該ポート部を露出させるノッチおよび/または弱化部が形成されており、かつ、前記包装袋の前記ポート部側が開封されても、前記輸液容器の前記本体部が該包装袋の外部に出ないように、前記本体部よりもポート部側の前記包装袋の内面同士が融着されている。
また、本発明のバリア包装袋は、前記包装袋に該包装袋を吊り下げるフック穴が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のバリア包装袋は、輸液容器の保存時における輸液の品質劣化を抑え、点滴の際にそのまま遮光カバーとして用いることができる。また、点滴に用いる際の作業が簡便である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[バリア包装袋]
以下、本発明のバリア包装袋の実施形態の一例について詳細に説明する。
本実施形態のバリア包装袋1(以下、「包装袋1」という。)は、図2に示すように、輸液を収容する本体部21と、輸液を取り出すポート部22とを有する輸液容器20を収納する包装袋であって、収納されている輸液容器20のポート部22側を開封して、本体部21を収納したままポート部22を露出させるノッチ2および弱化部3が形成されている。
また、包装袋1は、図1に示すように、最外層から順に、外層11、ガスバリア層12、遮光層13、内層14が積層された積層体10からなる。
【0011】
外層11は、包装袋1を形成する積層体10のうち外気と接する層であり、内側のガスバリア層12に傷が生じるのを防止してガスバリア性を維持する役割を果たす。
外層11としては、剛性や透明性、屈曲や磨耗によるピンホール耐性の点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましい。また、PETフィルムの他にも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、エチレン・ビニルアルコール共重合体等のフィルムを用いてもよい。これらのフィルムは、例えば、二軸延伸フィルムもしくは一軸延伸フィルムの単層体か、または積層されたものを用いることができる。
【0012】
外層11の厚みは、12〜25μmであることが好ましく、12〜20μmであることが特に好ましい。外層11の厚みが12μm以上であれば、内側にあるガスバリア層12を保護する効果が得られやすい。また、外層11の厚みが25μm以下であれば、包装袋1を弱化部3に沿って切り裂き、収納された輸液容器20のポート部22を露出させる作業が容易になる。
また、外層は後述するガスバリア層が兼ねてもよい。
【0013】
ガスバリア層12は、包装袋1に酸素バリア性および水蒸気バリア性等のガスバリア性を付与する層である。
ガスバリア層12は、例えば、銅、アルミニウム、マグネシウム等の金属からなる金属箔フィルム;ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等からなるフィルムに、シリカ、アルミニウム、アルミナ等を蒸着させた蒸着フィルム;5〜100μm程度の厚みの金属箔を、PET樹脂やポリプロピレン樹脂で挟み込んだ金属箔積層フィルム;PETやセロファン等のフィルムにポリビニリデンクロライド(PVDC)をコートしたKコートフィルム;バリア性を有する有機系および/または無機系のバリア性材料をポリエステルまたはポリアミド等からなるフィルムにコートしたコート系バリアフィルムが挙げられる。前述の蒸着層やバリアコート層は、ガスバリア層12の内側となるように設けることが好ましい。このような形態のガスバリア層12の場合は、ガスバリア層12が外層を兼ねることもできる。
その他、フィルムの原材料としてポリビニルアルコール系樹脂(PVA)、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)、PVDC、メタキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂(MXD)を用いたフィルムや、これら原材料を用いたフィルムと前述した他のガスバリアフィルムとをドライラミネート法等により積層した積層フィルム、更には、これら原材料とポリオレフィン樹脂等とを共押出にて積層した共押出系バリアフィルムを用いることもできる。
【0014】
ガスバリア層12の酸素バリア性の指標となる酸素透過量は、0〜50ml/m2/24hrs/MPaであることが好ましく、0〜20ml/m2/24hrs/MPaであることがより好ましい。ガスバリア層12の酸素透過量が50ml/m2/24hrs/MPa以下であれば、輸液容器20を保存している際の輸液の変質を防止する効果がより高くなる。
また、ガスバリア層12の水蒸気バリア性の指標となる水蒸気透過量は、0〜30g/m2/24hrsであることが好ましく、0〜10g/m2/24hrsであることがより好ましい。ガスバリア層12の水蒸気透過量が30g/m2/24hrs以下であれば、輸液容器20を保存している際の輸液の変質を防止する効果がより高くなる。
【0015】
ガスバリア層12の厚みは、7〜30μmであることが好ましく、7〜15μmであることがより好ましい。ガスバリア層12の厚みが7μm以上であれば、ガスバリア性に優れた包装袋1が得られやすい。また、ガスバリア層12の厚みが30μm以下であれば、弱化部3に沿って包装袋1を引き裂いて包装袋下部5を切除し、輸液容器20のポート部22を露出させる作業が容易になる。
【0016】
遮光層13は、この例のようにガスバリア層12の内側に遮光性着色インキにより印刷が施されることで形成されていることが好ましい。また、遮光層12は、ガスバリア層12の外側に印刷を施すことにより、ガスバリア層12と外層11の間に形成されていてもよい。また、外層11の内側に印刷を施し、ガスバリア層12と外層11との間に遮光層を設けるようにしてもよい。遮光性着色インキは、包装袋への遮光性の付与に用いられる白色や黄色等の一般的なインキを使用することができる。
その他、外層に公知の紫外線吸収剤等を含有させ、外層が遮光層を兼ねるようにしてもよい。
【0017】
遮光層13は、遮光性着色インキによる印刷により形成する場合、その厚みが2〜15μmであることが好ましい。遮光層13の厚みが2μm以上であれば、充分な遮光性が得られやすい。また、遮光層13が15μm以下であれば、包装袋1を弱化部3に沿って切り裂いて包装袋下部5を切除し、収納された輸液容器20のポート部22を露出させる作業が容易になる。
【0018】
内層14は、熱融着可能なフィルムを用いることが好ましく、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系のフィルムからなるシーラントフィルムが挙げられる。弱化部3に沿って包装袋1を引き裂きやすい点からは、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましく、低密度ポリエチレンの延伸フィルムが特に好ましい。
また、これらの樹脂を押出ラミネートによりガスバリア層12を形成するフィルム上に押し出したものを内層14としてもよい。
【0019】
内層14の厚みは、20〜50μmであることが好ましく、20〜40μmであることがより好ましい。内層14の厚みが20μm以上であれば、熱融着による製袋が行いやすい。また、内層14の厚みが50μm以下であれば、弱化部3に沿って包装袋1を引き裂いて包装袋下部5を切除し、輸液容器20のポート部22を露出させる作業が容易になる。
【0020】
積層体10の製造方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、外層11、印刷により遮光層13を形成したガスバリア層12、および内層14を、ドライラミネート法またはサンドラミネート法により貼り合せて積層体とする方法が挙げられる。また、内層14については、押出ラミネート法により形成してもよい。
【0021】
包装袋1に形成されたノッチ2および弱化部3は、包装袋1の内部に収納されている輸液容器20のポート部22を包装袋1の外部に露出させるために、包装袋下部5を切除して包装袋1を開封するためのものである。
包装袋1の長さ方向の弱化部3の位置は、図2に示すように、収納されている輸液容器20のポート部22と、包装袋1の長さ方向におけるポート部22が位置する側の端部1aとの間であればよく、端部1aにより近く、ポート部22と弱化部3とをできるだけ離すことができる位置であることが好ましい。弱化部3を包装袋1に収納した輸液容器20のポート部22と近接するように設けてもよいが、弱化部3とポート部22とが近接していると、輸送等で強い振動が加わった場合等に、その振動等によってポート部22が弱化部3の部分で包装袋1を突き破り、使用前に包装袋1の内部から露出してしまうおそれがある。
【0022】
また、包装袋1は、内部に収納された輸液容器20の本体部21よりもポート部22側の包装袋1の内面(内層14)同士が、ポート部22の幅方向の両側の2箇所で融着された融着部4(本実施形態例では2つ)が形成されている。これら2つの融着部4は、その距離aが輸液容器20の幅bよりも短くなるように形成される。融着部4同士の距離aが輸液容器20の距離bよりも短いことにより、包装袋下部5が切除されて包装袋1が開封されても、輸液容器20の本体部21は融着部4のところで引っ掛かり、包装袋1内部に留まる(図3)。
【0023】
また、融着部4における包装袋1の長さ方向の位置は、輸液容器20の本体部21が引っ掛かって包装袋1の内部に収納されたままになっている状態で、包装袋下部5が切除されて形成された開口7から輸液容器20のポート部22が包装袋1の外部に露出するような位置とする。融着部4と、包装袋下部5を切除して形成される開口7(弱化部3)との距離は、輸液容器20の本体部21の融着部4との接触部からポート部22の付け根部分までの距離と同等かそれよりも短いことが好ましい。
包装袋1の融着部4は点状に形成されているが、融着部4の形状は特に限定されない。また、包装袋1の内部で輸液容器20の本体部21を留めておければ、その数にも制限はなく、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
【0024】
また、包装袋1には、包装袋1を吊り下げるフック穴6が形成されていることが好ましい。フック穴6をフックに引っ掛けることにより、包装袋1およびその内部に収納されている輸液容器20を懸架した状態で点滴を行うことができる。包装袋がフック穴を有していない場合は、例えば、クリップ等により包装袋を挟んで懸架する方法が挙げられる。このように、本発明の包装袋は、フック穴を有していない輸液容器にも適用可能である。
【0025】
以上説明した包装袋1を点滴に使用する際には、まずノッチ2から弱化部3に沿って包装袋1を引き裂いて包装袋下部5を切除して開口7を形成し、形成した開口7から輸液容器20のポート部22を露出させる(図3)。その後、フック穴6にフックを引っ掛け、ポート部22に注射針を刺し込むことにより、輸液容器20を懸架した状態で点滴を行うことができる。このように、包装袋1では点滴を行う場合、懸架するまでの工程が非常に簡便である。
【0026】
尚、本発明の包装袋は図2に例示した包装袋1には限定されない。例えば、本発明の包装袋は、開封が容易である点から包装袋1のようにノッチ2と弱化部3が共に設けられていることが好ましいが、ノッチ2のみが形成されている包装袋であってもよく、弱化部3のみが形成されている包装袋であってもよい。
【0027】
また、図4に示すように、2点の融着部4を形成する代わりに、凹状のヒートシーラーにより包装袋の下部一帯を、凹部の幅がaとなるようにヒートシールして、ノッチ2から包装袋を引き裂いて包装袋下部5を切除しても、該凹部で輸液容器20の本体部21が引っ掛かるようにした包装袋1’であってもよい。
【0028】
また、図5に示すように、輸液を収納する本体部31、輸液を取り出すポート部32、および本体部31を懸架するフック部33を有する輸液容器30の場合は、融着部4に加えてさらにフック部33の部分で包装袋の内面(内層)同士を融着した融着部8aを形成した包装袋8であってもよい。包装袋8では、収納した輸液容器30がよりしっかりと固定されているため、包装袋下部5を切除する作業が容易である。また、輸液容器30がポリエチレン製の容器である場合には、包装袋8の内層14をポリプロピレンからなるシーラントフィルムとしておけば、棒状のヒートシーラーで包装袋8の幅方向にフック部33の部分をヒートシールすることにより、包装袋8と輸液容器30とを融着させずに、融着部8aを形成することができる(ヒートシーラーの長さによっては融着部8bも形成される)。包装袋8と輸液容器30とを必要以上に融着固定しないことにより、点滴後にそれらを分離して廃棄することが容易になる。
【0029】
また、図6に示すように、輸液を収納する本体部41、輸液を取り出すポート部42、および本体部41を懸架するフック部43を有し、本体部41にシール部41a(輸液が収納されない部分)が設けられている輸液容器40であって、輸液容器40と包装袋の内層とが同じ材料(例えば、ポリエチレン)からなる場合は、融着部4の形成に加えて、輸液容器40のフック部43周辺およびシーフ部41aと、包装袋とを融着固定部9aにより融着固定した包装袋9であってもよい。この場合も、分離して廃棄することを考慮して、包装袋9と輸液容器40とを必要以上に融着固定しないことが好ましい。
【0030】
また、融着部4に加えて、図5に例示した包装袋8のようなフック部の融着部、および図6に例示した包装袋9のような融着固定部が共に形成されている包装袋であってもよい。
【0031】
[製造方法]
以下、本発明の包装袋の製造方法として、前述の包装袋1を例にして包装袋を連続的に製造する方法について説明する。
ガスバリア層12の内側に印刷を施すことにより遮光層13を形成した後、前述した各種ラミネート法により外層11、ガスバリア層12、遮光層13および内層14からなる帯状の積層体10を製造する。
【0032】
次に、ロール51と、該ロール51とロール表面同士が接するように配置され、表面に特定の粒度を有するサンドペーパー53が巻き回された弱化部形成ロール52とを有する弱化部形成機50(図7)により、帯状の積層体10の外層11に該積層体10の長手方向に沿って弱化部3aを連続的に形成する(図8)。すなわち、弱化部形成機50のロール51と弱化部形成ロール52との間に積層体10を通し、積層体10の外層11にサンドペーパー53を圧接することにより、外層11に弱化部3aを連続的に形成していく。
【0033】
弱化部3aを形成した後、帯状の積層体10を、内層14を内側にして短手方向に二つ折りにする。そして、弱化部3a側が開放状態で、輸液容器20を収納する収納部が形成されるように三方ヒートシールを行い、短手方向に沿って形成したヒートシール部に沿って積層体10を切断し、各々の包装袋1となる包装袋前駆体1Aを得る(図9)。包装袋前駆体1Aの長さ方向の端部のヒートシール部にはフック穴6を形成する。また、包装袋前駆体1Aの幅方向の端部には、弱化部3aに対応するようにノッチを形成する。
【0034】
その後、包装袋前駆体1Aの内部に輸液容器20をポート部22が開放端側(弱化部3a側)となるように収納し(図9)、包装袋前駆体1Aの弱化部3a側の端部をヒートシールして密封する。次に、収納された輸液容器20の本体部20よりもポート部22側において包装袋の内面同士を融着させて融着部4を形成して包装袋1を得る。融着部4の形成は、ヒートシール、インパルスシール、超音波シール、レーザー溶着等により行うことができる。
【0035】
尚、本発明の包装袋の製造方法は前記方法には限定されない。例えば、融着部4の形成は包装袋1を密封する前に行ってもよい。また、弱化部3の形成は前記弱化部形成機50を用いる方法には限定されず、ガスバリア層のガスバリア性を損なわなければ、レーザー(CO2レーザー)や刃物を用いる方法であってもよい。
また、積層体10への弱化部3aの形成位置を短手方向の中央側にして、該積層体10を短手方向に二つ折りにし、フック部6を形成する側を開放状態として三方ヒートシールをした後に、輸液容器20を収納して密封を行う方法であってもよい。
【0036】
また、図4に例示した包装袋1’は、包装袋前駆体1Aの内部に輸液容器20をポート部22が開放端側となるように収納した後、該包装袋前駆体1Aの開放端側を凹状のヒートシーラーによりヒートシールすることにより得ることができる。
また、図5に例示した包装袋8は、包装袋1と同様にして融着部4を形成し、さらに棒状のヒートシーラー等でフック部33の部分をヒートシールして融着部8aおよび融着部8bを形成することにより得ることができる。融着部8aおよび融着部8bの形成は、インパルスシール、超音波シール、レーザー溶着等により行ってもよい。
また、図6に例示した包装袋9は、包装袋1と同様にして融着部4を形成し、さらにヒートシール、インパルスシール、超音波シール、レーザー溶着等により融着固定部9aを形成することにより得ることができる。
【0037】
以上説明した本発明のバリア包装袋は、遮光性およびガスバリア性を有しているため、輸液容器の保存時における輸液の品質劣化を抑えることができる。また、点滴の際には、そのまま遮光カバーとして用いることができる。また、本発明のバリア包装袋は、弱化部に沿って包装袋の下部を開封するだけで、形成した開口からポート部を露出させることができるため、作業が簡便である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明のガスバリア包装袋は、輸液容器の保存時の収納袋としてだけでなく、簡便な操作で点滴時における遮光カバーとしても用いることができる。そのため、保存時および点滴時の両方において輸液の変質を防止することができ、輸液容器を収納する包装袋として非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明における積層体の一実施形態例を示した断面図である。
【図2】本発明のバリア包装袋の一実施形態例を示した正面図である。
【図3】図2のバリア包装袋を弱化部で引き裂き、内部の輸液容器のポート部を露出させた様子を示した正面図である。
【図4】本発明のバリア包装袋の他の実施形態例を示した正面図である。
【図5】本発明のバリア包装袋の他の実施形態例を示した正面図である。
【図6】本発明のバリア包装袋の他の実施形態例を示した正面図である。
【図7】本発明のバリア包装袋の弱化部を形成する様子を示した模式図である。
【図8】帯状の積層体に連続的に弱化部を形成している様子を示した正面図である。
【図9】二つ折りにした積層体を三方ヒートシールした様子を示した正面図である。
【図10】従来の包装袋の実施形態の一例を示した正面図である。
【図11】図10の包装袋から輸液容器の栓体およびフック部を露出させた様子を示した正面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 バリア包装袋 2 ノッチ 3 弱化部 4 融着部 6 フック穴 10 積層体 11 外層 12 ガスバリア層 13 遮光層 14 内層 20 輸液容器 21 本体部 22 ポート部
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸液容器を収納するバリア包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
輸液の点滴には、輸液を収容する本体部と、該本体部から輸液を取り出すポート部と、該本体部を懸架するフック部とを有する輸液容器が広く用いられている。点滴においては、特にアミノ酸類やビタミン類を含有する輸液が紫外線に弱いため、点滴している間に輸液が変質してしまうことがある。また、輸液を収容した輸液容器を保存している間も、紫外線や水蒸気により輸液が変質してしまうことがある。
【0003】
そのため、従来は、遮光性およびガスバリア性を有する包装袋に輸液容器を個装して保存し、点滴を行う際に該包装袋から輸液容器を取り出し、新たに遮光性を有する遮光カバーで輸液容器を覆って使用していた。しかし、この方法では、点滴の際の作業が煩雑である上、廃棄物の量も多くなってしまうという問題があった。そのため、点滴の際に遮光カバーとして兼用できる輸液容器の包装袋が求められていた。
【0004】
特許文献1には、輸液容器の保存時における輸液の品質劣化を防止し、そのまま点滴の際に遮光カバーとして用いることのできる包装袋が示されている。具体的には、図10および図11に示すように、点滴容器110(輸液容器)のフック部113を包装袋101の上部で露出させた状態で、点滴容器110の栓体112(ポート部)付近が位置する包装袋101の下部105を切り取って栓体112を露出させる包装袋101が示されている。
【0005】
この包装袋101を点滴に使用する際は、以下に示す工程を行う。
工程(1):包装袋101に形成されたノッチ104aから下側切裂き案内線102に沿って包装袋101の下部105を開封する。
工程(2):工程(1)と同様に、包装袋101に形成されたノッチ104bから上側切裂き案内線103に沿って包装袋101の下部105を切除する。
工程(3):上部切裂き案内線104cに沿って包装袋101の上中央部106を切除し、包装袋101に形成された開口107から点滴容器110のフック部113を露出させ(図11)、包装袋101で覆った状態で点滴容器110をフックに引っ掛けて吊り下げる。
工程(1)〜(3)の後、輸液容器110の栓体112の部分に注射針を刺し込んで点滴を行う。
【特許文献1】特開2006−167050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の包装袋101は、工程(1)〜(3)のように作業を行うことで、遮光性を有する包装袋101を点滴の際にそのまま遮光カバーとして用いることができる。しかし、この包装袋101では、栓体112を露出させて点滴容器110を懸架するのに前記3つの工程を行わなければならず作業が煩雑であった。また、前述の工程では、輸液容器110の栓体112部分が邪魔になって包装袋101の下部105が切除し難いことがあった。更に、工程(1)および(2)で包装袋101の下側が開封されると、包装袋101内から輸液容器110が飛び出して落下するおそれもあるため、作業を慎重に行う必要があった。また、この包装体101では、図10のように、本体部111よりも幅の狭いフック部113を有する点滴容器110には適しているが、本体部111の端部にフック穴が形成されているような形態(フック部113の幅が本体部111の幅と等しい)の点滴容器の場合には、そのフック部を包装袋101の外部に充分に露出させることが困難であった。
以上のような理由から、輸液容器の保存時における輸液の品質劣化を抑え、点滴の際にそのまま遮光カバーとして用いることができる包装袋として、点滴に用いる際の作業が簡便な包装袋が望まれている。
【0007】
そこで本発明は、輸液容器の保存時における輸液の品質劣化を抑え、点滴の際にそのまま遮光カバーとして用いることができ、かつ点滴に用いる際の作業が簡便なバリア包装袋を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のバイア包装袋は、輸液を収容する本体部と、輸液を取り出すポート部とを有する輸液容器を収納する包装袋であって、前記包装袋がガスバリア層および遮光層を有する積層体からなり、前記包装袋に、該包装袋の前記ポート部側を開封して、前記本体部を収納したまま該ポート部を露出させるノッチおよび/または弱化部が形成されており、かつ、前記包装袋の前記ポート部側が開封されても、前記輸液容器の前記本体部が該包装袋の外部に出ないように、前記本体部よりもポート部側の前記包装袋の内面同士が融着されている。
また、本発明のバリア包装袋は、前記包装袋に該包装袋を吊り下げるフック穴が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のバリア包装袋は、輸液容器の保存時における輸液の品質劣化を抑え、点滴の際にそのまま遮光カバーとして用いることができる。また、点滴に用いる際の作業が簡便である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[バリア包装袋]
以下、本発明のバリア包装袋の実施形態の一例について詳細に説明する。
本実施形態のバリア包装袋1(以下、「包装袋1」という。)は、図2に示すように、輸液を収容する本体部21と、輸液を取り出すポート部22とを有する輸液容器20を収納する包装袋であって、収納されている輸液容器20のポート部22側を開封して、本体部21を収納したままポート部22を露出させるノッチ2および弱化部3が形成されている。
また、包装袋1は、図1に示すように、最外層から順に、外層11、ガスバリア層12、遮光層13、内層14が積層された積層体10からなる。
【0011】
外層11は、包装袋1を形成する積層体10のうち外気と接する層であり、内側のガスバリア層12に傷が生じるのを防止してガスバリア性を維持する役割を果たす。
外層11としては、剛性や透明性、屈曲や磨耗によるピンホール耐性の点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましい。また、PETフィルムの他にも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、エチレン・ビニルアルコール共重合体等のフィルムを用いてもよい。これらのフィルムは、例えば、二軸延伸フィルムもしくは一軸延伸フィルムの単層体か、または積層されたものを用いることができる。
【0012】
外層11の厚みは、12〜25μmであることが好ましく、12〜20μmであることが特に好ましい。外層11の厚みが12μm以上であれば、内側にあるガスバリア層12を保護する効果が得られやすい。また、外層11の厚みが25μm以下であれば、包装袋1を弱化部3に沿って切り裂き、収納された輸液容器20のポート部22を露出させる作業が容易になる。
また、外層は後述するガスバリア層が兼ねてもよい。
【0013】
ガスバリア層12は、包装袋1に酸素バリア性および水蒸気バリア性等のガスバリア性を付与する層である。
ガスバリア層12は、例えば、銅、アルミニウム、マグネシウム等の金属からなる金属箔フィルム;ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等からなるフィルムに、シリカ、アルミニウム、アルミナ等を蒸着させた蒸着フィルム;5〜100μm程度の厚みの金属箔を、PET樹脂やポリプロピレン樹脂で挟み込んだ金属箔積層フィルム;PETやセロファン等のフィルムにポリビニリデンクロライド(PVDC)をコートしたKコートフィルム;バリア性を有する有機系および/または無機系のバリア性材料をポリエステルまたはポリアミド等からなるフィルムにコートしたコート系バリアフィルムが挙げられる。前述の蒸着層やバリアコート層は、ガスバリア層12の内側となるように設けることが好ましい。このような形態のガスバリア層12の場合は、ガスバリア層12が外層を兼ねることもできる。
その他、フィルムの原材料としてポリビニルアルコール系樹脂(PVA)、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)、PVDC、メタキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂(MXD)を用いたフィルムや、これら原材料を用いたフィルムと前述した他のガスバリアフィルムとをドライラミネート法等により積層した積層フィルム、更には、これら原材料とポリオレフィン樹脂等とを共押出にて積層した共押出系バリアフィルムを用いることもできる。
【0014】
ガスバリア層12の酸素バリア性の指標となる酸素透過量は、0〜50ml/m2/24hrs/MPaであることが好ましく、0〜20ml/m2/24hrs/MPaであることがより好ましい。ガスバリア層12の酸素透過量が50ml/m2/24hrs/MPa以下であれば、輸液容器20を保存している際の輸液の変質を防止する効果がより高くなる。
また、ガスバリア層12の水蒸気バリア性の指標となる水蒸気透過量は、0〜30g/m2/24hrsであることが好ましく、0〜10g/m2/24hrsであることがより好ましい。ガスバリア層12の水蒸気透過量が30g/m2/24hrs以下であれば、輸液容器20を保存している際の輸液の変質を防止する効果がより高くなる。
【0015】
ガスバリア層12の厚みは、7〜30μmであることが好ましく、7〜15μmであることがより好ましい。ガスバリア層12の厚みが7μm以上であれば、ガスバリア性に優れた包装袋1が得られやすい。また、ガスバリア層12の厚みが30μm以下であれば、弱化部3に沿って包装袋1を引き裂いて包装袋下部5を切除し、輸液容器20のポート部22を露出させる作業が容易になる。
【0016】
遮光層13は、この例のようにガスバリア層12の内側に遮光性着色インキにより印刷が施されることで形成されていることが好ましい。また、遮光層12は、ガスバリア層12の外側に印刷を施すことにより、ガスバリア層12と外層11の間に形成されていてもよい。また、外層11の内側に印刷を施し、ガスバリア層12と外層11との間に遮光層を設けるようにしてもよい。遮光性着色インキは、包装袋への遮光性の付与に用いられる白色や黄色等の一般的なインキを使用することができる。
その他、外層に公知の紫外線吸収剤等を含有させ、外層が遮光層を兼ねるようにしてもよい。
【0017】
遮光層13は、遮光性着色インキによる印刷により形成する場合、その厚みが2〜15μmであることが好ましい。遮光層13の厚みが2μm以上であれば、充分な遮光性が得られやすい。また、遮光層13が15μm以下であれば、包装袋1を弱化部3に沿って切り裂いて包装袋下部5を切除し、収納された輸液容器20のポート部22を露出させる作業が容易になる。
【0018】
内層14は、熱融着可能なフィルムを用いることが好ましく、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系のフィルムからなるシーラントフィルムが挙げられる。弱化部3に沿って包装袋1を引き裂きやすい点からは、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましく、低密度ポリエチレンの延伸フィルムが特に好ましい。
また、これらの樹脂を押出ラミネートによりガスバリア層12を形成するフィルム上に押し出したものを内層14としてもよい。
【0019】
内層14の厚みは、20〜50μmであることが好ましく、20〜40μmであることがより好ましい。内層14の厚みが20μm以上であれば、熱融着による製袋が行いやすい。また、内層14の厚みが50μm以下であれば、弱化部3に沿って包装袋1を引き裂いて包装袋下部5を切除し、輸液容器20のポート部22を露出させる作業が容易になる。
【0020】
積層体10の製造方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、外層11、印刷により遮光層13を形成したガスバリア層12、および内層14を、ドライラミネート法またはサンドラミネート法により貼り合せて積層体とする方法が挙げられる。また、内層14については、押出ラミネート法により形成してもよい。
【0021】
包装袋1に形成されたノッチ2および弱化部3は、包装袋1の内部に収納されている輸液容器20のポート部22を包装袋1の外部に露出させるために、包装袋下部5を切除して包装袋1を開封するためのものである。
包装袋1の長さ方向の弱化部3の位置は、図2に示すように、収納されている輸液容器20のポート部22と、包装袋1の長さ方向におけるポート部22が位置する側の端部1aとの間であればよく、端部1aにより近く、ポート部22と弱化部3とをできるだけ離すことができる位置であることが好ましい。弱化部3を包装袋1に収納した輸液容器20のポート部22と近接するように設けてもよいが、弱化部3とポート部22とが近接していると、輸送等で強い振動が加わった場合等に、その振動等によってポート部22が弱化部3の部分で包装袋1を突き破り、使用前に包装袋1の内部から露出してしまうおそれがある。
【0022】
また、包装袋1は、内部に収納された輸液容器20の本体部21よりもポート部22側の包装袋1の内面(内層14)同士が、ポート部22の幅方向の両側の2箇所で融着された融着部4(本実施形態例では2つ)が形成されている。これら2つの融着部4は、その距離aが輸液容器20の幅bよりも短くなるように形成される。融着部4同士の距離aが輸液容器20の距離bよりも短いことにより、包装袋下部5が切除されて包装袋1が開封されても、輸液容器20の本体部21は融着部4のところで引っ掛かり、包装袋1内部に留まる(図3)。
【0023】
また、融着部4における包装袋1の長さ方向の位置は、輸液容器20の本体部21が引っ掛かって包装袋1の内部に収納されたままになっている状態で、包装袋下部5が切除されて形成された開口7から輸液容器20のポート部22が包装袋1の外部に露出するような位置とする。融着部4と、包装袋下部5を切除して形成される開口7(弱化部3)との距離は、輸液容器20の本体部21の融着部4との接触部からポート部22の付け根部分までの距離と同等かそれよりも短いことが好ましい。
包装袋1の融着部4は点状に形成されているが、融着部4の形状は特に限定されない。また、包装袋1の内部で輸液容器20の本体部21を留めておければ、その数にも制限はなく、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
【0024】
また、包装袋1には、包装袋1を吊り下げるフック穴6が形成されていることが好ましい。フック穴6をフックに引っ掛けることにより、包装袋1およびその内部に収納されている輸液容器20を懸架した状態で点滴を行うことができる。包装袋がフック穴を有していない場合は、例えば、クリップ等により包装袋を挟んで懸架する方法が挙げられる。このように、本発明の包装袋は、フック穴を有していない輸液容器にも適用可能である。
【0025】
以上説明した包装袋1を点滴に使用する際には、まずノッチ2から弱化部3に沿って包装袋1を引き裂いて包装袋下部5を切除して開口7を形成し、形成した開口7から輸液容器20のポート部22を露出させる(図3)。その後、フック穴6にフックを引っ掛け、ポート部22に注射針を刺し込むことにより、輸液容器20を懸架した状態で点滴を行うことができる。このように、包装袋1では点滴を行う場合、懸架するまでの工程が非常に簡便である。
【0026】
尚、本発明の包装袋は図2に例示した包装袋1には限定されない。例えば、本発明の包装袋は、開封が容易である点から包装袋1のようにノッチ2と弱化部3が共に設けられていることが好ましいが、ノッチ2のみが形成されている包装袋であってもよく、弱化部3のみが形成されている包装袋であってもよい。
【0027】
また、図4に示すように、2点の融着部4を形成する代わりに、凹状のヒートシーラーにより包装袋の下部一帯を、凹部の幅がaとなるようにヒートシールして、ノッチ2から包装袋を引き裂いて包装袋下部5を切除しても、該凹部で輸液容器20の本体部21が引っ掛かるようにした包装袋1’であってもよい。
【0028】
また、図5に示すように、輸液を収納する本体部31、輸液を取り出すポート部32、および本体部31を懸架するフック部33を有する輸液容器30の場合は、融着部4に加えてさらにフック部33の部分で包装袋の内面(内層)同士を融着した融着部8aを形成した包装袋8であってもよい。包装袋8では、収納した輸液容器30がよりしっかりと固定されているため、包装袋下部5を切除する作業が容易である。また、輸液容器30がポリエチレン製の容器である場合には、包装袋8の内層14をポリプロピレンからなるシーラントフィルムとしておけば、棒状のヒートシーラーで包装袋8の幅方向にフック部33の部分をヒートシールすることにより、包装袋8と輸液容器30とを融着させずに、融着部8aを形成することができる(ヒートシーラーの長さによっては融着部8bも形成される)。包装袋8と輸液容器30とを必要以上に融着固定しないことにより、点滴後にそれらを分離して廃棄することが容易になる。
【0029】
また、図6に示すように、輸液を収納する本体部41、輸液を取り出すポート部42、および本体部41を懸架するフック部43を有し、本体部41にシール部41a(輸液が収納されない部分)が設けられている輸液容器40であって、輸液容器40と包装袋の内層とが同じ材料(例えば、ポリエチレン)からなる場合は、融着部4の形成に加えて、輸液容器40のフック部43周辺およびシーフ部41aと、包装袋とを融着固定部9aにより融着固定した包装袋9であってもよい。この場合も、分離して廃棄することを考慮して、包装袋9と輸液容器40とを必要以上に融着固定しないことが好ましい。
【0030】
また、融着部4に加えて、図5に例示した包装袋8のようなフック部の融着部、および図6に例示した包装袋9のような融着固定部が共に形成されている包装袋であってもよい。
【0031】
[製造方法]
以下、本発明の包装袋の製造方法として、前述の包装袋1を例にして包装袋を連続的に製造する方法について説明する。
ガスバリア層12の内側に印刷を施すことにより遮光層13を形成した後、前述した各種ラミネート法により外層11、ガスバリア層12、遮光層13および内層14からなる帯状の積層体10を製造する。
【0032】
次に、ロール51と、該ロール51とロール表面同士が接するように配置され、表面に特定の粒度を有するサンドペーパー53が巻き回された弱化部形成ロール52とを有する弱化部形成機50(図7)により、帯状の積層体10の外層11に該積層体10の長手方向に沿って弱化部3aを連続的に形成する(図8)。すなわち、弱化部形成機50のロール51と弱化部形成ロール52との間に積層体10を通し、積層体10の外層11にサンドペーパー53を圧接することにより、外層11に弱化部3aを連続的に形成していく。
【0033】
弱化部3aを形成した後、帯状の積層体10を、内層14を内側にして短手方向に二つ折りにする。そして、弱化部3a側が開放状態で、輸液容器20を収納する収納部が形成されるように三方ヒートシールを行い、短手方向に沿って形成したヒートシール部に沿って積層体10を切断し、各々の包装袋1となる包装袋前駆体1Aを得る(図9)。包装袋前駆体1Aの長さ方向の端部のヒートシール部にはフック穴6を形成する。また、包装袋前駆体1Aの幅方向の端部には、弱化部3aに対応するようにノッチを形成する。
【0034】
その後、包装袋前駆体1Aの内部に輸液容器20をポート部22が開放端側(弱化部3a側)となるように収納し(図9)、包装袋前駆体1Aの弱化部3a側の端部をヒートシールして密封する。次に、収納された輸液容器20の本体部20よりもポート部22側において包装袋の内面同士を融着させて融着部4を形成して包装袋1を得る。融着部4の形成は、ヒートシール、インパルスシール、超音波シール、レーザー溶着等により行うことができる。
【0035】
尚、本発明の包装袋の製造方法は前記方法には限定されない。例えば、融着部4の形成は包装袋1を密封する前に行ってもよい。また、弱化部3の形成は前記弱化部形成機50を用いる方法には限定されず、ガスバリア層のガスバリア性を損なわなければ、レーザー(CO2レーザー)や刃物を用いる方法であってもよい。
また、積層体10への弱化部3aの形成位置を短手方向の中央側にして、該積層体10を短手方向に二つ折りにし、フック部6を形成する側を開放状態として三方ヒートシールをした後に、輸液容器20を収納して密封を行う方法であってもよい。
【0036】
また、図4に例示した包装袋1’は、包装袋前駆体1Aの内部に輸液容器20をポート部22が開放端側となるように収納した後、該包装袋前駆体1Aの開放端側を凹状のヒートシーラーによりヒートシールすることにより得ることができる。
また、図5に例示した包装袋8は、包装袋1と同様にして融着部4を形成し、さらに棒状のヒートシーラー等でフック部33の部分をヒートシールして融着部8aおよび融着部8bを形成することにより得ることができる。融着部8aおよび融着部8bの形成は、インパルスシール、超音波シール、レーザー溶着等により行ってもよい。
また、図6に例示した包装袋9は、包装袋1と同様にして融着部4を形成し、さらにヒートシール、インパルスシール、超音波シール、レーザー溶着等により融着固定部9aを形成することにより得ることができる。
【0037】
以上説明した本発明のバリア包装袋は、遮光性およびガスバリア性を有しているため、輸液容器の保存時における輸液の品質劣化を抑えることができる。また、点滴の際には、そのまま遮光カバーとして用いることができる。また、本発明のバリア包装袋は、弱化部に沿って包装袋の下部を開封するだけで、形成した開口からポート部を露出させることができるため、作業が簡便である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明のガスバリア包装袋は、輸液容器の保存時の収納袋としてだけでなく、簡便な操作で点滴時における遮光カバーとしても用いることができる。そのため、保存時および点滴時の両方において輸液の変質を防止することができ、輸液容器を収納する包装袋として非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明における積層体の一実施形態例を示した断面図である。
【図2】本発明のバリア包装袋の一実施形態例を示した正面図である。
【図3】図2のバリア包装袋を弱化部で引き裂き、内部の輸液容器のポート部を露出させた様子を示した正面図である。
【図4】本発明のバリア包装袋の他の実施形態例を示した正面図である。
【図5】本発明のバリア包装袋の他の実施形態例を示した正面図である。
【図6】本発明のバリア包装袋の他の実施形態例を示した正面図である。
【図7】本発明のバリア包装袋の弱化部を形成する様子を示した模式図である。
【図8】帯状の積層体に連続的に弱化部を形成している様子を示した正面図である。
【図9】二つ折りにした積層体を三方ヒートシールした様子を示した正面図である。
【図10】従来の包装袋の実施形態の一例を示した正面図である。
【図11】図10の包装袋から輸液容器の栓体およびフック部を露出させた様子を示した正面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 バリア包装袋 2 ノッチ 3 弱化部 4 融着部 6 フック穴 10 積層体 11 外層 12 ガスバリア層 13 遮光層 14 内層 20 輸液容器 21 本体部 22 ポート部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸液を収容する本体部と、輸液を取り出すポート部とを有する輸液容器を収納する包装袋であって、
前記包装袋がガスバリア層および遮光層を有する積層体からなり、
前記包装袋に、該包装袋の前記ポート部側を開封し、前記本体部を収納したまま該ポート部を露出させるノッチおよび/または弱化部が形成されており、
かつ、前記包装袋の前記ポート部側が開封されても、前記輸液容器の前記本体部が該包装袋の外部に出ないように、前記本体部よりもポート部側の前記包装袋の内面同士が融着されているバリア包装袋。
【請求項2】
前記包装袋に該包装袋を吊り下げるフック穴が形成されている、請求項1に記載のバリア包装袋。
【請求項1】
輸液を収容する本体部と、輸液を取り出すポート部とを有する輸液容器を収納する包装袋であって、
前記包装袋がガスバリア層および遮光層を有する積層体からなり、
前記包装袋に、該包装袋の前記ポート部側を開封し、前記本体部を収納したまま該ポート部を露出させるノッチおよび/または弱化部が形成されており、
かつ、前記包装袋の前記ポート部側が開封されても、前記輸液容器の前記本体部が該包装袋の外部に出ないように、前記本体部よりもポート部側の前記包装袋の内面同士が融着されているバリア包装袋。
【請求項2】
前記包装袋に該包装袋を吊り下げるフック穴が形成されている、請求項1に記載のバリア包装袋。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−88723(P2010−88723A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−262808(P2008−262808)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(000143880)株式会社細川洋行 (130)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(000143880)株式会社細川洋行 (130)
【Fターム(参考)】
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