説明

バルク超電導体の着磁装置、着磁方法及び超電導同期機

【課題】液体窒素で冷却可能な77ケルビンの温度で磁束密度1テスラ以上の磁界を着磁することができ、かつ、着磁用磁束を効率よく利用でき、しかも、着磁後のバルク超電導体を単体として簡単に取り出して利用することができるバルク超電導体の着磁装置、着磁方法、および、それを利用した超電導同期機を提供する。
【解決手段】バルク超電導体と、前記バルク超電導体を超電導に転移する臨界温度以下の温度に冷却する冷却手段と、前記バルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状とほぼ同形状に巻成した着磁コイルを有する着磁手段と、前記バルク超電導体をその結晶のc軸が前記着磁コイルの巻線中心軸と平行となりかつ前記バルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状が前記着磁コイルの巻線の中心軸に垂直な方向の横断面形状と整合するように支持する支持手段と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバルク超電導体(高温超電導体)を着磁させる着磁装置およびその着磁方法、および前記着磁装置及び着磁方法を適用した超電導同期機に関する。
【背景技術】
【0002】
バルク超電導体は、超電導材料中にピン止め効果を示す非超電導相を分散して溶融成長させた高温超電導体の固まりである。バルク超電導体は大きな磁場を捕捉することができ、着磁させたのちに磁石として用いれば、高性能のモーターや発電機等に有効に利用することができる。
【0003】
上記バルク超電導体の着磁方法には、大別して静磁場着磁法とパルス着磁法がある。静磁場着磁法は着磁対象のバルク超電導体とは別個の超電導磁石を用意し、静磁場によってバルク超電導体を着磁させる。静磁場着磁法によれば、77ケルビンにおいて磁束密度4テスラを超える磁界をバルク超電導体に着磁させることができ、強い磁界を得ることができる。しかし、静磁場着磁法を行う着磁装置は装置の小型化に限界があり、バルク超電導体を組み込んだ機器において該バルク超電導体を着磁させるには不利であった。
【0004】
これに対して、パルス着磁法は、バルク超電導体の側面にコイルを配置し、該コイルにパルス電流を流してパルス着磁させるものである。パルス着磁法を行う装置は静磁場着磁法の装置より一般に小型化が可能であり、大きさの面でバルク超電導体を組み込んだ機器において該バルク超電導体を着磁させるのに適している。
【0005】
以下に従来のバルク超電導体の着磁法を図面を用いて説明する。
【0006】
図12は従来のバルク超電導体の着磁装置(その1)の構成図である。
【0007】
この図において、符号61はバルク超電導体を磁石として用いる機器、62は機器61内に設置された真空容器、63は真空容器62内に設置された冷媒容器、64は冷媒容器63内に設置された着磁コイル、65は着磁コイルの中空部に設置されたバルク超電導体、6は機器61の外に設置された電源、67は着磁コイル64と電源66とを接続する接続線、68は冷媒容器63に接続された冷媒配管、69は冷媒としての液体窒素である。70は冷媒配管68に設けられた接続線67のための貫通部である。
【0008】
バルク超電導体65は冷媒配管68を通して冷媒容器63に入れられた液体窒素69によって超電導に転移する臨界温度以下の温度に冷却され、超電導の状態になる。この状態で電源66から接続線67を介して着磁コイル64に電流を流すようにすると、着磁コイル64は磁束がバルク超電導体65の外周から着磁コイル64の中空部を図面における垂直方向に通る磁場を発生する。この磁場をバルク超電導体65に磁束が侵入する第1(下部)臨界磁場と第2(上部)臨界磁場の間の磁場にすると、バルク超電導体65は磁化される。このバルク超電導体65の磁化された状態は電源66の電流を遮断した後も維持され、機器61の磁石として機能する。
【0009】
次に、従来のパルス着磁法によるバルク超電導体の着磁装置について説明する。
【0010】
図13は従来のパルス着磁法によるバルク超電導体の着磁装置(その2)の構成図である。
【0011】
図において、符号71は断熱容器、72は断熱容器71内のコールドヘッド、73は冷凍機、74は圧縮機、75は銅ブロック、76はバルク超電導体、77は着磁コイル、78は着磁用パルス電流を流すパルス電源である。パルス電源78は、直流可変電圧源79と切換スイッチ80とコンデンサ81とダイオード82とを有している。着磁コイル77はバルク超電導体76の外周を囲むように巻成されている。
【0012】
図13の着磁装置において、バルク超電導体76は冷凍機73によって冷却されたコールドヘッド72により銅ブロック75を介して超電導に転移する臨界温度以下の温度に冷却されて超電導の状態になる。この状態で、パルス電源78ははじめに切換スイッチ80によって直流可変電圧源79とコンデンサ81を接続してコンデンサ81を充電し、次に、切換スイッチ80を切り換えてコンデンサ81と着磁コイル77を接続して着磁コイル77にパルス電流を流す。パルス電源78はこの動作を繰り返して着磁コイル77にパルス状のパルス電流を流す。
【0013】
着磁コイル77にパルス電流が流されると、そのときどきの電流の大きさに比例して着磁コイル77の中空部を通る磁束が生成される。この磁束は超電導の状態になったバルク超電導体76によって捕捉され、バルク超電導体76が着磁される。バルク超電導体の76が捕捉する磁束の量は着磁コイル77に流されるパルス電流の大きさすなわちパルス電流の振幅に比例する。このパルス電流の振幅は直流可変電圧源79の電圧を変えることによってコンデンサ81の充電電圧が変わりそれによって変化する。したがって、直流可変電圧源79の電圧を高くするとバルク超電導体76が強く着磁される。
【特許文献1】特許第3172611号公報
【特許文献2】特開平10−12429号公報
【特許文献3】特開平10−154620号公報
【特許文献4】特開2001−110637号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、上記従来のパルス着磁法によるバルク超電導体の着磁は、77ケルビンにおいて磁束密度1テスラを超える磁界を着磁させることが困難であった。具体的には、従来のパルス着磁法によって磁束密度1テスラを超える磁界を着磁させるには、ヘリウムによって77ケルビン以下の温度に冷却しなければならなかった。
【0015】
このため、液体窒素によって簡易に冷却できる77ケルビンにおいて磁束密度1テスラを超える磁界を着磁させる装置・方法が従来から強く求められていた。
【0016】
加えて、従来のバルク超電導体の着磁装置・方法は、着磁効率が低いという問題があった。
【0017】
すなわち、従来のバルク超電導体の着磁装置・方法は、図12及び図13に示されているように、着磁コイルがバルク超電導体の側面外周に設置されており、磁束は着磁コイルの周囲に同心円状に発生して着磁コイルの中空部を通る。この場合に、着磁コイルとバルク超電導体の距離が長いため、着磁に利用される磁束が減少するという問題があった。
【0018】
さらに、従来のバルク超電導体の着磁装置・方法は、図12及び図13から明らかなように、バルク超電導体の側面外周を着磁コイルで囲む構造であった。このため、着磁後にバルク超電導体を単体として取り出して永久磁石として利用するためには少なくともバルク超電導体を着磁コイルの中空部から抜き出す動きが必要であり、このため、バルク超電導体を利用する実機において複雑なバルク超電導体の支持機構を備える必要があり不便であった。
【0019】
そこで、本発明の解決しようとする課題は、液体窒素で冷却可能な77ケルビンの温度で磁束密度1テスラ以上の磁界を着磁することができ、かつ、着磁用磁束を効率よく利用でき、しかも、着磁後のバルク超電導体を単体として簡単に取り出して利用することができるバルク超電導体の着磁装置、着磁方法、および、それを利用した超電導同期機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の発明者は、十分に着磁されたバルク超電導体の磁場分布と同一の磁場分布を有する着磁用の磁界によってバルク超電導体を着磁させれば、効率よくバルク超電導体を着磁させることができるという知見を得て、本発明を発明したものである。本発明は、着磁対象のバルク超電導体の磁場分布と同一の磁場分布を有する着磁用磁界を発生させるために、バルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状とほぼ同形状に渦巻状に巻成した着磁コイルを用いる。
【0021】
すなわち、本発明によるバルク超電導体の着磁装置は、バルク超電導体と、前記バルク超電導体を超電導に転移する臨界温度以下の温度に冷却する冷却手段と、前記バルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状とほぼ同形状に巻成した着磁コイルを有する着磁手段と、前記バルク超電導体をその結晶のc軸が前記着磁コイルの巻線中心軸と平行となりかつ前記バルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状が前記着磁コイルの巻線の中心軸に垂直な方向の横断面形状と整合するように支持する支持手段と、を有することを特徴とするものである。
【0022】
前記着磁コイルは、巻線の中心部が空洞にすることができる。
【0023】
また、前記着磁手段は、対をなす前記着磁コイルを有し、前記対をなす着磁コイルをそれらの巻線の中心軸が一致しかつ前記中心軸に垂直な方向の前記着磁コイルの横断面形状が整合するように前記着磁コイルを設けており、前記支持手段は、前記バルク超電導体を前記着磁手段の前記着磁コイルの間に、前記バルク超電導体の結晶のc軸が前記着磁コイルの巻線の中心軸と平行となりかつ前記バルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状が前記着磁コイルの巻線の中心軸に垂直な方向の横断面形状と整合するように支持するようにすることができる。
【0024】
前記支持手段は、前記着磁コイルに対して前記バルク超電導体を移動可能に支持するようにするのが好ましい。
【0025】
あるいは、前記着磁手段は、前記バルク超電導体に対して前記着磁コイルを相対的に移動可能に構成されているようにすることもできる。
【0026】
本発明によるバルク超電導体の着磁方法は、バルク超電導体を、前記バルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状とほぼ同形状に巻成した着磁コイルの近傍に、前記バルク超電導体の結晶のc軸が前記着磁コイルの巻線中心軸と平行となりかつ前記バルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状が前記着磁コイルの巻線中心軸に垂直な方向の前記着磁コイルの横断面形状と整合するように配置する段階と、前記バルク超電導体を超電導に転移する臨界温度以下の温度に冷却する段階と、前記着磁コイルに第1臨界磁場と第2臨界磁場の間の磁場を発生する電流を流す段階と、を有することを特徴とするものである。
【0027】
前記着磁コイルは、巻線の中心部が空洞になっているようにすることができる。
【0028】
前記着磁コイルは一対の着磁コイルからなり、前記対をなす着磁コイルはそれらの巻線の中心軸が一致しかつ前記中心軸に垂直な方向の前記着磁コイルの横断面形状が整合するように配置され、前記バルク超電導体は前記着磁コイルの間に、その結晶のc軸が前記着磁コイルの巻線の中心軸と平行となりかつ前記バルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状が前記着磁コイルの巻線の中心軸に垂直な方向の横断面形状と整合するように配置されるようにすることができる。
【0029】
前記着磁コイルに第1臨界磁場と第2臨界磁場の間の磁場を発生する電流を流した後に、前記バルク超電導体を前記臨界温度以下の温度に維持したまま前記着磁コイルに対して相対的に移動させる段階をさらに有するようにすることができる。
【0030】
本発明による超電導同期機は、回転軸に該回転軸に垂直な方向に円板を固定し、前記円板の周方向に結晶のc軸が前記回転軸の軸方向と平行になるように配置した複数のバルク超電導体と、前記バルク超電導体を超電導に転移する臨界温度以下の温度に冷却する冷却手段と、前記バルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状とほぼ同形状に巻成したコイルを有し、前記円板が所定の回転角度のときに前記コイルの巻線の中心軸が前記バルク超電導体の結晶のc軸と平行になりかつ前記バルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状が前記コイルの巻線の中心軸に垂直な方向の横断面形状と整合するように前記コイルを設けた磁場生成手段と、前記コイルに第1臨界磁場と第2臨界磁場の間の磁場を生成する電流を供給する着磁用電源と、前記バルク超電導体を駆動する電流を前記磁場生成手段のコイルに供給する交流電源と、磁場生成モードと交流電流供給モードとを切り換える切換スイッチと、を具備することを特徴とするものである。
【0031】
本発明による他の超電導同期機は、回転軸に該回転軸に垂直な方向に円板を固定し、前記円板の周方向に結晶のc軸が前記回転軸の軸方向と平行になるように配置した複数のバルク超電導体と、前記バルク超電導体を超電導に転移する臨界温度以下の温度に冷却する冷却手段と、前記バルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状とほぼ同形状に巻成したコイルを有し、前記円板が所定の回転角度のときに前記コイルの巻線の中心軸が前記バルク超電導体の結晶のc軸と平行になりかつ前記バルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状が前記コイルの巻線の中心軸に垂直な方向の横断面形状と整合するように前記コイルを設けた磁場生成手段と、前記コイルに第1臨界磁場と第2臨界磁場の間の磁場を生成する電流を供給する着磁用電源と、前記超電導体が配置された前記円板を回転駆動する原動機と、磁場生成モードと発電モードとを切り換えるモード切換スイッチと、を具備することを特徴とするものである。
【0032】
本発明によるさらに他の超電導同期機は、回転軸に該回転軸に垂直な方向に円板を固定し、前記円板の周方向に結晶のc軸が前記回転軸の軸方向と平行になるように配置した複数のバルク超電導体と、前記バルク超電導体を超電導に転移する臨界温度以下の温度に冷却する冷却手段と、前記バルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状とほぼ同形状に巻成したコイルを有し、前記円板が所定の回転角度のときに前記コイルの巻線の中心軸が前記バルク超電導体の結晶のc軸と平行になりかつ前記バルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状が前記コイルの巻線の中心軸に垂直な方向の横断面形状と整合するように前記コイルを設けた磁場生成手段と、前記コイルに第1臨界磁場と第2臨界磁場の間の磁場を生成する電流を供給する着磁用電源と、前記バルク超電導体を駆動する電流を前記磁場生成手段のコイルに供給する交流電源と、前記超電導体が配置された前記円板を回転駆動する原動機と、磁場生成モードと交流電流供給モードと発電モードとを切り換えるモード切換スイッチと、を具備することを特徴とするものである。
【0033】
前記バルク超電導体の磁界の強さを検出するセンサーを具備し、前記センサーの信号を入力し前記バルク超電導体を着磁させる磁場生成モードに切り換える制御手段を有するようにすることができる。
【0034】
前記コイルは前記バルク超電導体を挟んで対をなし、対をなすコイルはそれらの巻線の中心軸が一致しかつ前記中心軸に垂直な方向の前記着磁コイルの横断面形状が前記バルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状と整合するようにすることができる。
【0035】
前記コイル対の数は3の整数倍、前記バルク超電導体の数は2の整数倍とするのが好ましい。
【発明の効果】
【0036】
本発明のバルク超電導体の着磁装置によれば、着磁コイルをバルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状とほぼ同形状に巻成することにより、十分に着磁されたバルク超電導体が生じる磁場分布と同一形状の磁場分布を有する着磁用磁界を発生することができる。そして、上記着磁コイルに対して、バルク超電導体をその結晶のc軸が着磁コイルの巻線中心軸と平行となりかつバルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状が着磁コイルの巻線の中心軸に垂直な方向の横断面形状と整合するように支持し、着磁コイルに着磁用の電流を流すことにより、着磁されるバルク超電導体の磁場分布と同一の磁場分布の磁界によってバルク超電導体を磁化することができる。この結果、77ケルビンにおいてバルク超電導体に磁束密度1テスラ以上の磁界を発生させることができる。
【0037】
その上、本発明のバルク超電導体の着磁装置によれば、着磁コイルと着磁対象のバルク超電導体を極めて近くに保持して、着磁用磁束をほとんど無駄なくバルク超電導体に貫通させることができる。これにより、磁束が着磁のために有効に利用される。さらに、着磁後に、着磁されたバルク超電導体を磁極方向と垂直な方向(側方方向)に平行移動させることによってバルク超電導体を着磁コイルの間から取り出し、永久磁石として利用することができる。これにより、バルク超電導体を利用する機器に簡単に組み込むことができ、バルク超電導体を利用する機器に幅広く適用することができる。
【0038】
また、着磁コイルが巻線の中心部が空洞になっているバルク超電導体の着磁装置・着磁方法によれば、着磁コイルの材料を節約でき、かつ、着磁コイルが高温超電導体からなる場合に加工が困難な小径部分の巻線を形成することなく、十分に着磁されたバルク超電導体が生じる磁場分布と概略同一形状の磁場分布の着磁用磁界を発生させることができる。
【0039】
本発明の超電導同期機は、回転軸に垂直に固定された円板上にその周方向にバルク超電導体を配置し、バルク超電導体に対向する位置の電機子コイルをバルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状とほぼ同形状に巻成し、円板が所定の回転角度になったときにコイルの巻線の中心軸が前記バルク超電導体の結晶のc軸と平行になりかつバルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状がコイルの巻線の中心軸に垂直な方向の横断面形状と整合するようにすることにより、本発明の着磁装置を実現することができる。
【0040】
しかも、円板が回転することにより、着磁されたバルク超電導体は簡単に永久磁石として利用できる。
【0041】
これにより、同期機の電機子コイルを着磁コイルとして利用するとともに、駆動用あるいは発電用のコイルとしてそのまま利用することができる。すなわち、バルク超電導体を着磁した後に電機子コイルに制御された駆動用駆動用を流せば、超電導モーターとして利用でき、あるいは、バルク超電導体を着磁した後に回転軸を回転駆動することによって電機子コイルを発電用コイルとして利用することができる。このように本発明によれば、電機子コイルを着磁用コイル、駆動用コイル、発電用コイルとして兼用して利用することができるので、小型かつ高効率の超電導同期機を提供することができる。
【0042】
磁界センサーと制御手段を有する本発明の超電導同期機によれば、超電導同期機のバルク超電導体の磁力が低減すると、自動的にそれを検知して着磁モードヘ切り換えて、着磁することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下に本発明の実施の形態について説明する。
【0044】
図1は本発明の一実施形態によるバルク超電導体の着磁装置の構成を示している。
【0045】
本実施形態の着磁装置1は、バルク超電導体2と、冷却手段3と、着磁手段4と、支持手段5を有している。
【0046】
バルク超電導体2は、高温超電導体のうち液体窒素で簡単に冷却できる77ケルビン付近で高磁場中でも高い臨界電流密度を示し超電導の状態が破れないRE−Ba−Cu−O超電導体(REはGd,Sm,Yなどの希土類元素)を用いるのが好ましい。
【0047】
RE−Ba−Cu−O等のバルク超電導体は、原料中にピン止め効果を示す非超電導相を分散して溶融成長させた高温超電導体の固まり(バルク)である。バルク超電導体は高性能の永久磁石よりも大きな磁場を捕捉することができる。
【0048】
本実施形態のバルク超電導体2は円柱状に形成され、側面にステンレスの側帯2aを有し、側帯2aの内部に酸化物超電導バルク材料2b(仕込み組成:DdBaCu6.9,70.9wt%、GdBaCu5.0,19.2wt%、Pt 0.5wt%、Ag 9.4wt%)を配置している。側帯2aは適宜省略し、あるいは破損防止の他の代替手段とすることができる。
【0049】
酸化物超電導バルク材料2bは、図1に示す方向に結晶のa,b軸及びc軸を有しているように成形する。すなわち、c軸が円柱の中心軸と平行となるように成形する。
【0050】
冷却手段3は、冷却装置3aと冷媒通路3bとを有している。冷却装置3aは内部に冷媒を有している。冷却通路3bは、配管あるいは支持手段5中に設けられた冷媒用の流路を含む。冷媒通路3bは、好ましくはバルク超電導体2の外周を循環し、バルク超電導体2を超電導の状態に転移する臨界温度以下の温度、すなわち本実施形態では77ケルビン以下の温度に冷却することができるように配設されている。
【0051】
着磁手段4は、一対の着磁コイル4aと、着磁用のパルス電源4bと、接続線4cとを有している。接続線4cは着磁コイル4aとパルス電源4bの間及び着磁コイル4a同士の間を接続している。
【0052】
着磁コイル4aは、バルク超電導体2(厳密には酸化物超電導バルク材料2b)の結晶のa−b軸平面の断面形状とほぼ同形状に巻成されている。具体的には、着磁コイル4aは渦巻状に円形に巻かれた導線が多層状に形成されている。なお、「同形状」とは、相似の場合を含み、輪郭が同一であって寸法が異なっている場合を含む。
【0053】
各渦巻状の銅線の中心を結ぶ線を「巻線の中心軸」と呼ぶ。帯状の銅線を渦巻状に巻成する場合は、渦巻の中心で渦巻面に垂直な線が巻線の中心軸となる。
【0054】
本実施形態のように、着磁コイル4aが対をなす場合は、対をなす着磁コイル4aの各着磁コイル4aの巻線中心軸が一致しかつ巻線の中心軸に垂直な方向の着磁コイル4aの横断面形状が整合するように配置する。なお本実施形態では、巻線の中心軸に垂直な方向の着磁コイル4aの横断面形状は円形であるので、各着磁コイル4aの巻線中心軸が一致すれば、各着磁コイル4aの巻線の中心軸に垂直な方向の横断面形状は自動的に整合するが、例えば上記着磁コイル4aの横断面形状が四角形の場合は各着磁コイル4aの四角形の4辺が整合するように配置する。
【0055】
対をなす着磁コイル4aは、上述したように配置され、接続線4cによって着磁コイル4a同士、着磁コイル4aとパルス電源4bの間が直列的に接続されている。
【0056】
パルス電源4bは、従来のパルス電源のように図示しない直流可変電圧源と切換スイッチとコンデンサとダイオードとを有している。パルス電源4bは、従来技術のところで既述したように、切換スイッチの切り換えによってパルス状の着磁電流を着磁コイル4aに流すことができるようになっている。
【0057】
支持手段5は、バルク超電導体2をその酸化物超電導バルク材料の結晶のc軸が着磁コイル4aの巻線中心軸と平行となりかつバルク超電導体2の酸化物超電導バルク材料の結晶のa−b軸平面の断面形状が着磁コイル4aの巻線の中心軸に垂直な方向の横断面形状と整合するように支持する手段である。なお、バルク超電導体2と着磁コイル4aの大きさが異なるときは巻線の中心軸が一致し、断面形状の頂点や辺が中心軸に関して同一の半径方向線上にあるように支持する。
【0058】
支持手段5は、好ましくはバルク超電導体2を保持した状態で、バルク超電導体2を着磁コイル4aの巻線中心軸に対して横断する方向に移動させることができるように構成されている。
【0059】
着磁装置1において、着磁するときは、支持手段5により、バルク超電導体2を着磁手段4の着磁コイル4aの間に、バルク超電導体2(酸化物超電導バルク材料2b)の結晶のc軸が着磁コイル4aの巻線の中心軸と平行となり、かつ、バルク超電導体2(酸化物超電導バルク材料2b)の結晶のa−b軸平面の断面形状が着磁コイル4aの巻線の中心軸に垂直な方向の横断面形状と整合する位置まで移動させ、その位置に支持する。
【0060】
一方、冷却手段3により、冷媒通路3bを通じて冷媒を送り、バルク超電導体2を超電導の状態に転移する臨界温度以下の温度に冷却する。
【0061】
その状態で、パルス電源4bにより、着磁用のパルス電流を着磁コイル4aに流し、着磁コイル4aに着磁用の磁界を発生させる。着磁コイル4aに第1臨界磁場と第2臨界磁場の間の磁場を発生する電流を流すと、バルク超電導体2は着磁される。
【0062】
図2は、着磁コイル4aによつて生成される磁界の磁場分布を示している。
【0063】
図2(a)は対をなす着磁コイル4aとその間に支持されるバルク超電導体2の側面を示しており、図2(b)は着磁コイル4aによって発生される磁界の磁場分布を示している。
【0064】
図2(b)に示すように、横断面円形の渦巻状に巻成された着磁コイル4aは、着磁用のパルス電流を流すと、円錐状の磁場分布の磁界を発生する。この円錐状の磁場は、円柱状のバルク超電導体2が十分に着磁された場合に発生する磁界と同一形状である。
【0065】
このように磁場分布が同一形状の磁界によってバルク超電導体2を着磁させることにより、図3に示すように、着磁コイル4aに加えたパルス電流の大きさに比例して着磁の最大磁場が増加し、パルス電流のピーク値が3500アンペア付近で従来のパルス着磁法では得られなかった1テスラの最大捕捉磁束密度を超えることができる。
【0066】
この着磁装置および着磁方法により、従来ヘリウム冷凍機や静静磁場着磁法を用いて1テスラを超える着磁を、液体窒素を用いてパルス着磁法によつて簡単かつ高効率で行うことができる。
【0067】
また、本発明の着磁装置及び着磁方法によれば、着磁コイル4aとバルク超電導体2を極めて近傍に配置して着磁させることができ、着磁コイル4aによって発生された磁束が無駄なくバルク超電導体2の着磁用に使用され、高効率の着磁を行うことができる。
【0068】
さらに、本発明の着磁装置及び着磁方法によれば、着磁後に支持手段5を旋回あるいは並進的に移動させれば、着磁コイル4aの間からバルク超電導体2を取り出し、単体の永久磁石として利用することがてきる。これにより、着磁後に永久磁石として簡単に利用することができる機器を構成することができる。なお、バルク超電導体2の超電導の状態を維持するために、移動中および移動後も冷却手段3により、臨界温度(超電導遷移温度)以下の温度にバルク超電導体2を冷却する。
【0069】
上記実施形態では支持手段5が可動的手段であり着磁コイル4aが固定的手段であったが、要は着磁後のバルク超電導体2と着磁コイル4aを相対的に移動させられればよく、必要に応じて支持手段5を固定側とし着磁コイル4aを可動側としてもよい。
【0070】
図4は、図1の着磁装置1の変形例である。
【0071】
図4において、図1と同一の部分は図1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0072】
図4の着磁装置1’は、着磁コイル4a’が巻線の中心部が空洞になっている点が図1の着磁装置1と異なり、その他の構成は図1の着磁装置1と同一である。
【0073】
着磁装置1’の着磁方法は、図1の着磁装置1と同様である。ただし、着磁コイル4a’が中心部空洞になっていることにより着磁の磁場分布が異なる。
【0074】
図5は着磁コイル4aによつて生成される磁界の磁場分布を示している。
【0075】
図5(a)は対をなす巻線中心部が空洞の着磁コイル4a’とその間に支持されるバルク超電導体2の側面を示しており、図5(b)は着磁コイル4a’によって発生される磁界の磁場分布を示している。
【0076】
図5(b)に示すように、横断面円形の渦巻状に巻成され巻線中心部が空洞になった着磁コイル4a’は、着磁用のパルス電流を流すと、概略円錐状であるが頂部がわずかに窪んだ円錐台状の磁場分布の磁界を発生する。この円錐台状の磁場は、円柱状のバルク超電導体2が着磁された場合に発生する磁界と完全に同一形状ではないが、類似する磁場分布により図1の着磁装置1とほぼ同様に高効率の着磁を実現することができる。
【0077】
本着磁装置1’のように、着磁コイル4a’が巻線の中心部が空洞になっている場合は、着磁コイルの材料を節約でき、かつ、高温超電導体の線材によって着磁コイルを形成するときに加工が困難な小径部分の巻線を巻くことなく巻線を形成することができ、かつ、着磁されたバルク超電導体の磁場分布と概略同一形状の磁場分布の着磁用磁界を発生することができるので、実用性の高い着磁装置・着磁方法を得ることができる。
【0078】
以上の実施形態では円柱状のバルク超電導体と円柱状に巻成した着磁コイルについて説明した。しかし、十分に着磁されたバルク超電導体の磁場分布と同一の磁場分布を有する着磁用の磁界によってバルク超電導体を着磁させれば、効率よくバルク超電導体を着磁させることができるという技術的思想は任意の形状の超電導体に適用することができる。以下にその一例として棒状の直方体に形成したバルク超電導体を着磁する着磁装置について説明する。
【0079】
図6は、棒状の直方体に形成したバルク超電導体を着磁する着磁装置を示している。
【0080】
本実施形態の着磁装置6は、バルク超電導体7と、冷却手段8と、着磁手段9と、支持手段10を有している。
【0081】
バルク超電導体7は、全体として棒状の直方体に形成されている。実際にはサイコロ状のバルク超電導体を複数個接続して形成するが、全体として結晶のc軸が長さ方向に直交する方向に同一の向きを有するように形成する。
【0082】
バルク超電導体7の材料は図1のバルク超電導体2と同一のものとすることができる。
【0083】
冷却手段8は、冷却装置8aと冷媒通路8bとを有している。冷却装置8aは内部に冷媒を有している。冷却通路8bは、配管あるいは支持手段10中に設けられた冷媒用の流路を含む。冷媒通路8bは、好ましくはバルク超電導体7の外周を循環し、バルク超電導体7を超電導の状態に転移する臨界温度以下の温度に冷却することができるように配設されている。
【0084】
着磁手段9は、一対の着磁コイル9aと、着磁用のパルス電源9bと、接続線9cとを有している。接続線9cは着磁コイル9aとパルス電源9bの間及び着磁コイル9a同士の間を接続している。
【0085】
着磁コイル9aは、バルク超電導体7の結晶のa−b軸平面の断面形状とほぼ同形状に巻成されている。具体的には、着磁コイル9aは輪郭が長方形で渦巻状に巻かれた導線が多層状に形成されている。なお、「同形状」とは、既述したように相似の場合を含む。
【0086】
着磁コイル9aは、多層構造とすることなく、帯状の線材を渦巻状に単層に巻成することができる。
【0087】
各渦巻状の銅線の中心を結ぶ線を巻線の中心軸と呼ぶが、この場合は長さ方向の中心であって且つ渦巻状の銅線の中心(幅方向の中心)が巻線の中心軸となる。帯状の銅線を渦巻状に巻成する場合は、渦巻の中心(幅方向の中心)かつ長さ方向の中心を通り渦巻面に垂直な線が巻線の中心軸となる。
【0088】
本実施形態は着磁コイル9aが対をなすので、対をなす着磁コイル9aの各着磁コイル9aの巻線の中心軸が一致しかつ巻線の中心軸に垂直な方向の着磁コイル9aの横断面形状(概略長方形)が整合するように配置する。概略長方形の横断面が整合するというのは、巻線中心軸に対して長方形の頂点あるいは4辺が同一角度に位置することをいう。あるいは巻線中心軸から見たときに、両着磁コイル9aの横断面形状が一致するようにしてもよい。
【0089】
両着磁コイル9aは接続線9cによって直列的に接続され、さらにパルス電源9bに接続されている。
【0090】
パルス電源9bは、従来のパルス電源のように図示しない直流可変電圧源と切換スイッチとコンデンサとダイオードとを有し、切換スイッチの切り換えによってパルス状の着磁電流を着磁コイル9aに流すことができるようになっている。
【0091】
支持手段10は、バルク超電導体7をその結晶のc軸が着磁コイル9aの巻線中心軸と平行となりかつバルク超電導体7の結晶のa−b軸平面の断面形状が着磁コイル9aの巻線の中心軸に垂直な方向の横断面形状と整合するように支持する手段である。
【0092】
支持手段10は、好ましくはバルク超電導体7を保持した状態で、バルク超電導体7を着磁コイル9aの巻線中心軸に対して横断する方向に移動させることができるように構成される。
【0093】
図7は、着磁コイル9aによって生成される磁界の磁場分布を示している。
【0094】
図7(a)は対をなす着磁コイル9aとその間に支持されるバルク超電導体7を幅方向から見た側面を示しており、図7(b)は着磁コイル9aによって発生される磁界の磁場分布を示している。
【0095】
図7(b)に示すように、横断面が概略長方形の渦巻状に巻成された着磁コイル9aは、着磁用のパルス電流を流すと、長い畝状で長さ方向に直交する横断面が三角形の磁場を発生する。この長い畝状の磁場は、棒状の直方体のバルク超電導体7が十分に着磁された場合に発生する磁界と同一形状である。
【0096】
このように磁場分布が同一形状の磁界によってバルク超電導体7を着磁させることにより、77ケルビンで1テスラの磁束密度を超える着磁を行うことができる。
【0097】
着磁後は、支持手段10を巻線の中心軸と直交する方向に移動させることにより、着磁されたバルク超電導体7を着磁コイル9aの間から簡単に取り出すことができ、永久磁石として利用することができる。
【0098】
上記着磁コイル9aにおいて、巻線の中心部を空洞とすることもできる。この場合は、着磁コイル9aが生じる畝状の磁場は、その頂部が少し窪むようになるが、概略着磁されたバルク超電導体7が生じる磁界の磁場分布と同一となる。この場合も、高効率でバルク超電導体7を着磁させることができるとともに、曲げ半径が小さい巻線中心部を巻くことを要しないので、製造容易な着磁装置6を得ることができる。
【0099】
以上の実施形態は、すべて着磁コイルが対をなす実施形態について説明したが、一つの着磁コイルを用いてバルク超電導体を片側から着磁させることもできる。
【0100】
以上は本発明の着磁装置および着磁方法についての説明であったが、次に本発明の着磁装置・着磁方法を利用した超電導同期機について以下に説明する。
【0101】
図8は本発明の一実施形態によるバルク超電導体の着磁装置を有する同期機の構成図、図9はそのバルク超電導体の部分を示す平面図である。
【0102】
図8及び図9において、符号11は回転軸、12は回転軸11に垂直な方向に固定された円板、13は外側ケーシング、14は内側ケーシング、15は管、16は冷却手段を構成する冷媒生成機、17は着磁用のパルス電流を生成する着磁用電源、18は接続線、19A,19Bは軸受、20A,20Bはシール、21,21’〜26,26’は磁場生成手段の構成要素および駆動用コイルを兼ねる電機子コイル、27は冷却手段を構成する冷媒チャンバ、28は断熱部、29〜36は円板12に形成された穴、37〜44は穴29〜36にそれぞれ配置されたバルク超電導体、45は同期機を駆動するための交流電源、46は着磁をするための磁場生成モードと駆動運転をするための交流電流供給モードとを切り換える切換スイッチである。
【0103】
なお、円板12は本発明の着磁装置の支持手段に相当し、回転軸11に垂直な方向に固定され、その周方向に結晶のc軸が回転軸11と平行になるようにバルク超電導体37〜44を保持している。
【0104】
また、電機子コイル21,21’〜26,26’は、バルク超電導体37〜44の結晶のa−b軸平面の断面形状とほぼ同形状に巻成され、円板12が所定の回転角度のときに前記コイルの巻線の中心軸がバルク超電導体37〜44の結晶のc軸と平行になりかつ前記バルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状が前記コイルの巻線の中心軸に垂直な方向の横断面形状と整合するように設けられている。
【0105】
また、ここでは、内側ケーシング14の内部に磁界センサー(ここではホール素子)47を配置し、この磁界センサー47により検出されるバルク超電導体の磁力が所定値より下がると制御手段(制御器;PC)48を介して、自動的にを着磁モードに切り換えるようにしている。なお、円板12自体を冷却することができ、その場合には図示されていない冷却手段を別途付加する。
【0106】
以下、そのバルク超電導体の着磁装置を有する同期機の動作について説明する。
【0107】
まず、着磁のための磁場生成モードについて説明する。
【0108】
円板12に取り付けられた8個のバルク超電導体37〜44は冷媒チャンバ27内の冷媒、例えば液体窒素によって超電導に転移する臨界温度以下に冷却される。
【0109】
その間に、磁場生成手段の要素であり内側ケーシング14の側面部に対向するように6個ずつ取り付けられている電機子コイル21,21’〜26,26’に対して、円板12を回転させ、例えば、電機子コイル21,21’とバルク超電導体37の中心を合わせる(このとき図9に示すように電機子コイル24,24’とバルク超電導体41の中心も合う)。
【0110】
この状態で電機子コイル21,21’に着磁用電源17から電流を流して(電機子コイル21,21’と電機子コイル24,24’に同時に電流を流すことが可能)、バルク超電導体37の周りにバルク超電導体37に磁束が侵入する第1臨界磁場と第2臨界磁場の間の磁場をつくる。そのようにすると、バルク超電導体37は磁化され、電機子コイル21と電機子コイル21’に流,していた着磁用電源17の電流を遮断した後もバルク超電導体37が磁化されたまま残りバルク超電導体37は磁石になる(バルク超電導体41も同時に磁化させることができる)。
【0111】
次に、円板12を回転させ、例えば、電機子コイル21,21’とバルク超電導体38の中心を合わせ(このとき電機子コイル24,24’とバルク超電導体42の中心も合う)、同様なことを前述した電流とは逆向きに流す。これにより、バルク超電導体38は磁石になる(バルク超電導体42も同時に磁化することが可能)。このようにしてバルク超電導体37,39,41,43を同じ極性、バルク超電導体38,40,42,44をそれらとは逆極性の磁石にする。
【0112】
このように本実施形態において、電機子コイル21,21’〜26,26’は、後述するように回転軸11を回転駆動する機能とともに、上述したようなバルク超電導体37〜44を磁化する機能も有している。
【0113】
次に回転駆動のための交流電流供給モードについて説明する。
【0114】
バルク超電導体37〜44が着磁されると、切換スイッチ46を切り換えることにより、着磁用電源17から交流電源45に電流の供給源が変わり、交流電流供給モードになり、着磁されたバルク超電導体37〜44と電機子コイル21,21’〜26,26’間にフレミングの左手の法則による力が働き、超電導電動機としての機能を発揮する。そして、その駆動状態で、上記したように、バルク超電導体の磁力の強さが磁界センサー47と制御手段48によりモニターされ、磁力の強さが所定値より下がると、制御手段48により自動的にバルク超電導体の着磁モード(磁場生成モード)に切り換えることができる。
【0115】
このように、本実施形態によれば、電機子コイル21,21’〜26,26’をバルク超電導体37〜44の着磁用とともに、着磁されたバルク超電導体37〜44の回転駆動用にも利用するようにしたので、超電導同期機を小型化することができる。
【0116】
また、本実施形態の超電導同期機は、本発明による着磁装置を用いているので、高効率で強力な着磁を行えるなど本発明による着磁装置の特有の作用効果をすべて奏することができる。
【0117】
次に他の実施形態による超電導同期機について説明する。
【0118】
図10は上記他の実施形態による超電導同期機の構成を示している。図10において、図8の超電導同期機と同一の部分は図8と同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0119】
本実施形態による超電導同期機は、本発明の着磁装置を有する発電機型の同期機である。
【0120】
本実施形態の超電導同期機は、負荷49を有し、磁場生成モード(着磁モード)と発電モードとを切り換えるモード切り換えスィッチ50を有している。また、発電モード時に回転軸11を回転駆動する原動機51も備えている。
【0121】
本実施形態の超電導同期機では、図8の超電導同期機と同様の磁場生成モード(着磁モード)により、バルク超電導体37〜44を着磁させる。
【0122】
発電モードは、バルク超電導体37〜44を着磁させた後に、モード切り換えスィッチ50を切り換えて発電モードとし、原動機51により回転軸11を回転駆動する。回転軸11を原動機51で回転駆動することにより、着磁されたバルク超電導体37〜44と電機子コイル21,21’〜26,26’の間でフレミングの右手の法則による電磁誘導作用により発電が行われる。このときに発生された電流は負荷49に供給され、仕事をすることができる。
【0123】
磁界センサー47はバルク超電導体37〜44の磁力を検出し、制御手段48は磁界センサー47の検出信号を入力し、バルク超電導体37〜44の磁力が所定の値より小さくなったときに、自動的に着磁モード(磁場生成モード)に切り換えてバルク超電導体37〜44を着磁するようにモード切り換えスィッチ50を制御する。
【0124】
本実施形態によれば、電機子コイル21,21’〜26,26’をバルク超電導体37〜44の着磁用に使用するとともに、着磁されたバルク超電導体37〜44によって電流が発生する発電用コイルとしても利用するようにしたので、超電導同期機を小型化することができる。
【0125】
次にさらに他の実施形態による超電導同期機について説明する。
【0126】
図11は上記さらに他の実施形態による超電導同期機の構成を示している。図11において、図8の超電導同期機と同一の部分は図8と同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0127】
本実施形態による超電導同期機は、本発明の着磁装置を有し、磁場生成モード(着磁モード)と、交流電流供給モード(駆動モード)と、発電モードとを切り換えて運転することができる同期機である。
【0128】
本実施形態の超電導同期機は、交流電源52と、負荷53と、モード切換スイッチ54と、制御手段55と、原動機56とを有している。
【0129】
本実施形態の超電導同期機は、図8および図10の超電導同期機と同様の磁場生成モード(着磁モード)により、バルク超電導体37〜44を着磁させる。
【0130】
モード切換スイッチ54の切り換えにより、交流電流供給モード(駆動モード)にある場合には、図8の超電導同期機と同様に、交流電源52から電機子コイル21,21’〜26,26’へ交流電流を供給し、着磁されたバルク超電導体37〜44との相互作用により超電導電動機として機能する。
【0131】
一方モード切換スイッチ54の切換により、発電モードにある場合には、図10の超電導同期機と同様に、原動機56により回転軸11を積極的に回転駆動することにより、着磁されたバルク超電導体37〜44と電機子コイル21,21’〜26,26’の間でフレミングの右手の法則による電磁誘導作用により発電を行い、負荷53に電力を供給することができる。
【0132】
本実施形態においても、発電モード又は電動モ一ドのいずれの場合においても、磁界センサー47がバルク超電導体37〜44の磁力の強さを検出し、制御手段55は磁界センサー47の検出信号を入力し、バルク超電導体37〜44の磁力がある値以下に低下した場合には、着磁モード(磁場生成モード)に切り換えてバルク超電導体37〜44を着磁するようにモード切換スイッチ54を制御する。
【0133】
なお、本実施形態のように横断面(結晶のa−b軸断面)が円形のバルク超電導体は十分に磁化されると円錐状の磁束密度分布になる。このとき電機子コイル21,21’〜26,26’が渦巻状に円形に巻成されていると、同期機の起電力が正弦波状になるという効果も生じる。逆に渦巻状の円形のコイルに電流を流したとき作られる磁場は円錐状の磁束密度を生成するので、これは前述したように十分磁化されたバルク超電導体の磁東密度分布と同じ形状であるので、バルク超電導体を効率よく磁化できるという効果を奏する。
【0134】
以上のように、本実施形態によれば、電機子コイル21,21’〜26,26’をバルク超電導体37〜44の着磁用に使用するとともに、着磁されたバルク超電導体37〜44の回転駆動用にも利用し、さらに着磁されたバルク超電導体37〜44によって電流が発生する発電用コイルとしても利用するようにしたので、多機能かつ小型化された超電導同期機を提供することができる。
【0135】
なお、上記実施形態においては、コイル対の数は3、バルク超電導体の数は8になっているが、本願発明ではコイル対の数を3の整数倍、バルク超電導体の数を2の整数倍にするのが好ましい。この構成により、着磁するために電機子コイルと位置整合する一対のバルク超電導体以外のバルク超電導体は電機子コイルと位置整合せず、不均衡な力が生じないようにバランスされる。また、バルク超電導体と電機子コイルの位相がわずかずつずれるので、駆動用あるいは発電用として好適である。
【0136】
また、上記実施形態においては、電機子コイルが着磁コイルと駆動用コイルを兼ね、あいるは着磁コイルと発電用コイルを兼ね、あるいは着磁コイルと駆動用コイルと発電用コイルを兼ねているが、むろん駆動用コイルと発電用コイルとは別個に着磁コイルを用意してもよい。この場合においても、着磁効率が高く、また着磁後にバルク超電導体を移動させて永久磁石として簡単に利用することができるという作用効果を有する。
【0137】
本発明の超電導同期機によれば、強力な磁場によって大きなトルクを発生することができ、電力変換効率が高く、従来の超電導同期機を格段に小型軽量化することができる。
【0138】
また、本発明は電気推進のプロペラを回す舶用高温超電導同期機において、着磁巻線と鉄芯レス電気子巻線との併用を可能にするものであり、その設計と製作に大きく貢献することができる。
【0139】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明の一実施形態によるバルク超電導体の着磁装置の構成図。
【図2】本発明の一実施形態によるバルク超電導体の着磁装置と着磁用磁界の磁場分布の関係を示した図。
【図3】パルス電流の強さとバルク超電導体による最大捕捉磁束密度の関係を示したグラフ。
【図4】本発明の一実施形態によるバルク超電導体の着磁装置の構成図。
【図5】図4の実施形態によるバルク超電導体の着磁装置と着磁用磁界の磁場分布の関係を示した図。
【図6】本発明の一実施形態によるバルク超電導体の着磁装置の構成図。
【図7】図6の実施形態によるバルク超電導体の着磁装置と着磁用磁界の磁場分布の関係を示した図。
【図8】本発明の一実施形態による超電導同期機の構成図。
【図9】図8の超電導同期機のバルク超電導体と電機子コイルの位置関係を示した図。
【図10】本発明の一実施形態による超電導同期機の構成図。
【図11】本発明の一実施形態による超電導同期機の構成図。
【図12】従来の着磁装置の構成図。
【図13】従来の着磁装置の構成図。
【符号の説明】
【0141】
1 着磁装置
2 バルク超電導体
2a 側帯
2b 酸化物超電導バルク材料
3 冷却手段
3a 冷凍装置
3b 冷媒通路
4 着磁手段
4a 着磁コイル
4b パルス電源
4c 接続線
5 支持手段
6 着磁装置
7 バルク超電導体
8 冷却手段
9 着磁手段
9a 着磁コイル
9b パルス電源
9c 接続線
10 支持手段
11 回転軸
12 円板
13 外側ケーシング
14 内側ケーシング
15 管
16 冷媒生成機
17 着磁用電源
18 接続線
19 軸受
20 シール
21 電機子コイル
21’ 電機子コイル
22 電機子コイル
22’ 電機子コイル
23 電機子コイル
23’ 電機子コイル
24 電機子コイル
24’ 電機子コイル
25 電機子コイル
25’ 電機子コイル
26 電機子コイル
26’ 電機子コイル
27 冷媒チャンバ
28 断熱部
29 穴
30 穴
31 穴
32 穴
33 穴
34 穴
35 穴
36 穴
37 バルク超電導体
38 バルク超電導体
39 バルク超電導体
40 バルク超電導体
41 バルク超電導体
42 バルク超電導体
43 バルク超電導体
44 バルク超電導体
45 交流電源
46 切換スイッチ
48 制御手段
49 負荷
50 モード切り換えスィッチ
51 原動機
52 交流電源
53 負荷
54 モード切換スイッチ
55 制御手段
56 原動機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルク超電導体と、
前記バルク超電導体を超電導に転移する臨界温度以下の温度に冷却する冷却手段と、
前記バルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状とほぼ同形状に巻成した着磁コイルを有する着磁手段と、
前記バルク超電導体をその結晶のc軸が前記着磁コイルの巻線中心軸と平行となりかつ前記バルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状が前記着磁コイルの巻線の中心軸に垂直な方向の横断面形状と整合するように支持する支持手段と、を有することを特徴とするバルク超電導体の着磁装置。
【請求項2】
前記着磁コイルは、巻線の中心部が空洞になっていることを特徴とする請求項1に記載のバルク超電導体の着磁装置。
【請求項3】
前記着磁手段は、対をなす前記着磁コイルを有し、前記対をなす着磁コイルをそれらの巻線の中心軸が一致しかつ前記中心軸に垂直な方向の前記着磁コイルの横断面形状が整合するように前記着磁コイルを設けており、
前記支持手段は、前記バルク超電導体を前記着磁手段の前記着磁コイルの間に、前記バルク超電導体の結晶のc軸が前記着磁コイルの巻線の中心軸と平行となりかつ前記バルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状が前記着磁コイルの巻線の中心軸に垂直な方向の横断面形状と整合するように支持することを特徴とする請求項1または2に記載のバルク超電導体の着磁装置。
【請求項4】
前記支持手段は、前記着磁コイルに対して前記バルク超電導体を移動可能に支持していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のバルク超電導体の着磁装置。
【請求項5】
前記着磁手段は、前記バルク超電導体に対して前記着磁コイルを相対的に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のバルク超電導体の着磁装置。
【請求項6】
バルク超電導体を、前記バルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状とほぼ同形状に巻成した着磁コイルの近傍に、前記バルク超電導体の結晶のc軸が前記着磁コイルの巻線中心軸と平行となりかつ前記バルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状が前記着磁コイルの巻線中心軸に垂直な方向の前記着磁コイルの横断面形状と整合するように配置する段階と、
前記バルク超電導体を超電導に転移する臨界温度以下の温度に冷却する段階と、
前記着磁コイルに第1臨界磁場と第2臨界の間の磁場を発生する電流を流す段階と、を有することを特徴とするバルク超電導体の着磁方法。
【請求項7】
前記着磁コイルは、巻線の中心部が空洞になっていることを特徴とする請求項6に記載のバルク超電導体の着磁方法。
【請求項8】
前記着磁コイルは一対の着磁コイルからなり、前記対をなす着磁コイルはそれらの巻線の中心軸が一致しかつ前記中心軸に垂直な方向の前記着磁コイルの横断面形状が整合するように配置され、前記バルク超電導体は前記着磁コイルの間に、その結晶のc軸が前記着磁コイルの巻線の中心軸と平行となりかつ前記バルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状が前記着磁コイルの巻線の中心軸に垂直な方向の横断面形状と整合するように配置されることを特徴とする請求項6に記載のバルク超電導体の着磁方法。
【請求項9】
前記着磁コイルに第1臨界磁場と第2臨界磁場の間の磁場を発生する電流を流した後に、前記バルク超電導体を前記臨界温度以下の温度に維持したまま前記着磁コイルに対して相対的に移動させる段階をさらに有することを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のバルク超電導体の着磁方法。
【請求項10】
回転軸に該回転軸に垂直な方向に円板を固定し、前記円板の周方向に結晶のc軸が前記回転軸の軸方向と平行になるように配置した複数のバルク超電導体と、
前記バルク超電導体を超電導に転移する臨界温度以下の温度に冷却する冷却手段と、
前記バルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状とほぼ同形状に巻成したコイルを有し、前記円板が所定の回転角度のときに前記コイルの巻線の中心軸が前記バルク超電導体の結晶のc軸と平行になりかつ前記バルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状が前記コイルの巻線の中心軸に垂直な方向の横断面形状と整合するように前記コイルを設けた磁場生成手段と、
前記コイルに第1臨界磁場と第2臨界磁場の間の磁場を生成する電流を供給する着磁用電源と、
前記バルク超電導体を駆動する電流を前記磁場生成手段のコイルに供給する交流電源と、
磁場生成モードと交流電流供給モードとを切り換える切換スイッチと、を具備することを特徴とする超電導同期機。
【請求項11】
回転軸に該回転軸に垂直な方向に円板を固定し、前記円板の周方向に結晶のc軸が前記回転軸の軸方向と平行になるように配置した複数のバルク超電導体と、
前記バルク超電導体を超電導に転移する臨界温度以下の温度に冷却する冷却手段と、
前記バルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状とほぼ同形状に巻成したコイルを有し、前記円板が所定の回転角度のときに前記コイルの巻線の中心軸が前記バルク超電導体の結晶のc軸と平行になりかつ前記バルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状が前記コイルの巻線の中心軸に垂直な方向の横断面形状と整合するように前記コイルを設けた磁場生成手段と、
前記コイルに第1臨界磁場と第2臨界磁場の間の磁場を生成する電流を供給する着磁用電源と、
前記超電導体が配置された前記円板を回転駆動する原動機と、
磁場生成モードと発電モードとを切り換えるモード切換スイッチと、を具備することを特徴とする超電導同期機。
【請求項12】
回転軸に該回転軸に垂直な方向に円板を固定し、前記円板の周方向に結晶のc軸が前記回転軸の軸方向と平行になるように配置した複数のバルク超電導体と、
前記バルク超電導体を超電導に転移する臨界温度以下の温度に冷却する冷却手段と、
前記バルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状とほぼ同形状に巻成したコイルを有し、前記円板が所定の回転角度のときに前記コイルの巻線の中心軸が前記バルク超電導体の結晶のc軸と平行になりかつ前記バルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状が前記コイルの巻線の中心軸に垂直な方向の横断面形状と整合するように前記コイルを設けた磁場生成手段と、
前記コイルに第1臨界磁場と第2臨界磁場の間の磁場を生成する電流を供給する着磁用電源と、
前記バルク超電導体を駆動する電流を前記磁場生成手段のコイルに供給する交流電源と、
前記超電導体が配置された前記円板を回転駆動する原動機と、
磁場生成モードと交流電流供給モードと発電モードとを切り換えるモード切換スイッチと、を具備することを特徴とする超電導同期機。
【請求項13】
前記バルク超電導体の磁界の強さを検出するセンサーを具備し、前記センサーの信号を入力し前記バルク超電導体を着磁させる磁場生成モードに切り換える制御手段を有していることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の超電導同期機。
【請求項14】
前記コイルは前記バルク超電導体を挟んで対をなし、対をなすコイルはそれらの巻線の中心軸が一致しかつ前記中心軸に垂直な方向の前記着磁コイルの横断面形状が前記バルク超電導体の結晶のa−b軸平面の断面形状と整合していることを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載の超電導同期機。
【請求項15】
前記コイル対の数は3の整数倍、前記バルク超電導体の数は2の整数倍であることを特徴とする請求項14に記載の超電導同期機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−173639(P2006−173639A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−368373(P2005−368373)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【分割の表示】特願2004−3933(P2004−3933)の分割
【原出願日】平成16年1月9日(2004.1.9)
【出願人】(504145320)国立大学法人福井大学 (287)
【出願人】(504196300)国立大学法人東京海洋大学 (83)
【出願人】(503018032)北野精機株式会社 (4)
【Fターム(参考)】