説明

バルブアクチュエータ

配合供給ガンは、ガン本体と、第1成分注入口と、第2成分注入口と、配合ヘッド部と、第1バルブと、第2バルブと、挟持部材と、トリガとを備える。第1成分注入口及び第2成分注入口はガン本体に取り付けられ、第1成分及び第2成分を注入する。配合ヘッド部は、第1成分及び第2成分を配合して供給する。第1バルブ及び第2バルブはガン本体に取り付けられ、第1成分及び第2成分の供給を制御するバルブステムを有する。挟持部材は上部部材及び下部部材を有し、上部部材と下部部材との間は第1バルブステム及び第2バルブステムが配置される。第1バルブステム及び第2バルブステムが、これらバルブステムの軸線と平行な方向へのバルブアクチュエータの移動によって移動するように、上部部材及び下部部材が取り付けられる。トリガはガン本体に取り付けられ、挟持部材の移動を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数成分配合供給装置に係り、より詳しくは、複数成分配合供給ガンにおけるバルブアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、本発明に関連するタイプの複数成分には、単体では化学的に不活性な樹脂または単体では化学的に不活性なゲルコート成分や、同じく単体では化学的に不活性な触媒成分が含まれる。この2つの成分を化合させるとすぐに化学反応が始まり、混合物の架橋結合、硬化、そして凝固に至る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
最適な最終生成物を得るために、2つの成分は適切な比率で供給される必要がある。このような比率は、供給開始から供給停止までの間維持される必要がある。2つの成分が混合されると、この2つの成分は作用し合って凝固するので、2つの成分を別個のバルブで別々に計量して供給する必要がある。しかしながら、バルブを正確に駆動して適切な開度で同時に開くのは困難な場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一形態によれば、配合供給ガンが、ガン本体、第1成分注入口、第2成分注入口、配合ヘッド部、第1バルブ、第2バルブ、挟持部材、及びトリガを備える。第1成分注入口は第1成分を注入するためにガン本体に取り付けられ、第2成分注入口は第2成分を注入するためにガン本体に取り付けられる。配合ヘッド部は、第1成分と第2成分とを供給する。第1バルブはガン本体に取り付けられ、第1成分の供給を制御する第1バルブステムを有する。第2バルブはガン本体に取り付けられ、第1バルブステムに平行な、第2成分の供給を制御する第2バルブステムを有する。挟持部材は上部部材と下部部材とを有し、第1バルブステム及び第2バルブステムは、上部部材と下部部材との間に配置される。上部部材は、第1バルブステム及び第2バルブステムが、自身の軸線と平行な方向でのバルブアクチュエータの動きに合わせて動くように、下部部材に組み付けられている。トリガはガン本体に取り付けられ、挟持部材の動きを制御する。
【0005】
別の形態において、バルブ作動装置が、第1バルブと、第2バルブと、バルブアクチュエータとを備える。第1バルブは、第1成分の供給を制御する第1バルブステムを有する。第2バルブは、第1バルブステムと平行な、第2成分の供給を制御する第2バルブステムを有する。バルブアクチュエータはバルブステムに固定され、第1バルブステム及び第2バルブステムを一緒に動かすことによって、第1バルブ及び第2バルブを開く。バルブアクチュエータは、バルブアクチュエータを第1バルブステム及び第2バルブステムに取り付ける2つのスロットを有しており、これらスロットは、それぞれのバルブシステムの形状に対応した形をなしている。バルブアクチュエータは、止めねじを収容する2つの平行な孔も有している。
【0006】
別の形態において、バルブ組立体が、トリガ、第1バルブ、第2バルブ、バルブアクチュエータ、第1押しピン、及び第2押しピンを備える。トリガは、第1カムと、第2カムとを有する。第1バルブは第1成分の供給を制御する第1バルブステムを備える。第2バルブは、第1バルブステムと平行な、第2成分の供給を制御する第2バルブステムを備える。バルブアクチュエータは、第1バルブステム及び第2バルブステムのための各スロットを有する第1の部分と、第1バルブステム及び第2バルブステムをそれぞれのスロットに固定する第2の部分とを備える。互いに平行な2つの押しピンは、第1カム、第2カム、及びバルブアクチュエータに接する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】バルブアクチュエータを備える配合供給ガンの斜視図である。
【図2A】バルブアクチュエータが閉位置にある図1の配合供給ガンの上面図である。
【図2B】バルブアクチュエータが閉位置にある図1の配合供給ガンの側面図である。
【図3】バルブアクチュエータが開位置にある図1の配合供給ガンの側面図である。
【図4】バルブステムを有するバルブを示すバルブアクチュエータの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1には、配合供給ガン10の斜視図を示している。図1には、配合供給ガン10、ガン本体12、バルブアクチュエータ14、配合ヘッド部16、トリガ18、ハンドル20、第1成分注入口22、第2成分注入口24、流体注入口26、計量装置28、第1成分C1、第2成分C2、及び流体Fが示されている。
【0009】
配合供給ガン10は、ガン本体12と、配合ヘッド部16と、ハンドル20とを備える。配合ヘッド部16はガン本体12の前部に取り付けられており、ハンドル20はガン本体12の下部に取り付けられている。トリガ18はガン本体12に揺動可能に接続されており、バルブアクチュエータ14はガン本体12の上部に取り付けられている。バルブアクチュエータ14は、ガン本体12の上部に取り付けられた3つのバルブと連結されている(図4参照)。
【0010】
ガン本体12の後部には、第1成分注入口22、第2成分注入口24、及び流体注入口26がある(第1成分注入口22、第2成分注入口24、及び流体注入口26は図4に明確に示されている)。計量装置28は、第1成分注入口22、第2成分注入口24、及び流体注入口26を介して配合供給ガン10に流体接続されている。計量装置28は、第1成分C1と、第2成分C2と、流体成分Fとを加圧して配合供給ガン10に供給する。
【0011】
ユーザがトリガ18を引くと、配合供給ガン10が作動する。これにより、3つのバルブに連結されたバルブアクチュエータ14(図4参照)が移動する。バルブアクチュエータ14によって3つのバルブが開くと、第1成分C1、第2成分C2、及び流体Fが配合供給ガン10内を移動し、配合ヘッド部16から吐出される。配合ヘッド部16は、流体下の助けを得ることにより、第1成分C1と第2成分C2とがぶつかり、配合供給ガン16から吐出された後に混合されるように構成されている。加圧された流体Fは適切ないずれの流体でもよく、例示した実施形態において、流体Fは加圧空気である。
【0012】
図1に示した配合供給ガン10の部品及び構成により、凝固する化学反応を開始させるべく、第1成分C1と第2成分C2とを吐出して混合することが可能となる。バルブアクチュエータ14は、第1成分C1と第2成分C2とが適切な比率で供給されるように、バルブの開度を調整する。図1に示しているのは本発明の一実施形態であり、代替実施形態もある。例えば、配合供給ガン16は第1成分C1と第2成分C2とを内部で混合してもよい。このような実施形態において、流体Fは、吐出の際に混合物を生成するために使用可能である。
【0013】
図2Aには、配合供給ガン10の上面図を示している。図2Bには、配合供給ガン10の側面図を示している。図2A、図2Bには、配合供給ガン10、ガン本体12、バルブアクチュエータ14、トリガ18、トリガアーム18A、18B、ハンドル20、トリガピボット30A、30B、押しピン31A(ピンヘッド32Aと、ピンシャフト33Aとを有する)、押しピン31B(ピンヘッド32Bと、ピンシャフト33Bとを有する)、及びトリガロック34が示されている。図2A、図2Bの説明は、同時に行うものとする。
【0014】
前述したように、トリガ18はガン本体12に揺動可能に連結される。具体的には、トリガピボット30Aがガン本体12の一方の側部に取り付けられ、トリガピボット30Bがガン本体12の他方の側部に取り付けられた状態にあり、トリガ18はトリガピボット30A、30Bに支持されて揺動する。トリガ18はトリガアーム18A、18Bを有している。トリガ18はガン本体12の真下から延び、トリガアーム18Aは、ガン本体12の一方の側部を周って、トリガピボット30Aに揺動可能に連結されており、トリガアーム18Bは、ガン本体12の他方の側部を周って、トリガピボット30Bに揺動可能に連結されている。トリガ18の下部近傍にはトリガロック34がある。トリガロック34はハンドル20に揺動可能に連結されており、図には下方位置にある状態で示されている。この位置において、トリガロック34はトリガ18の揺動を妨げる。
【0015】
トリガ18の上部近傍のトリガアーム18A、18Bには、トリガピボット30A、30Bの下側に2つのカム面がある。これらのカム面は、ガン本体12の一側にある押しピン31Aと、ガン本体12の他側にある押しピン31Bとにそれぞれ接している。押しピン31Aはピンヘッド32Aとピンシャフト33Aとを有しており、押しピン31Bはピンヘッド32Bとピンシャフト33Bとを有している。押しピン31A、31Bは、実質的に互いに平行であり、ガン本体12の軸受け内にピンシャフト33A、33Bをスライド可能にしてそれぞれ配置されている。さらに、押しピン31A及び31Bは実質的にピンシャフト33A及び33Bに沿う同一平面上にある。ピンヘッド32Aはトリガアーム18A上のカムに接しており、ピンヘッド32Bはトリガアーム18B上のカムに接している。押しピン31Aはピンボール部35Aが、押しピン31Bはピンボール部35Bがバルブアクチュエータ14とそれぞれ接しており(図4に示して後述する)、ピンボール部35Aはピンヘッド32Aの反対側となるピンシャフト33Aの先端であり、ピンボール部35Bはピンヘッド32Bの反対側となるピンシャフト33Bの先端である。従って、押しピン31A、31Bは、トリガ18からバルブアクチュエータ14まで力を伝えることができる。バルブアクチュエータ14はガン本体12の上部に取り付けられている。バルブアクチュエータ14は、バルブアクチュエータ14がガン本体12に近付いた位置にあることにより明らかなように、図2A、図2Bにおいて閉位置にある。
【0016】
図1に示した配合供給ガン10の部品及び構成により、トリガ18が揺動可能となり、バルブアクチュエータ14に機械的に接続可能となる。トリガ18がバルブアクチュエータ14を作動させる方法の詳細を、図3を参照しながら以下に述べる。
【0017】
図3には、配合供給ガン10の側面図を示している。図3には、配合供給ガン10、ガン本体12、バルブアクチュエータ14、配合ヘッド部16、トリガ18、トリガアーム18A、ハンドル20、トリガピボット30A、押しピン31A、ピンヘッド32A、ピンシャフト33A、及びトリガロック34が示されている。配合供給ガン10の部品間の関係は、図1〜図2Bを用いて述べたとおりである。但し、いくつかの部品の位置が変わっている。
【0018】
具体的には、トリガロック34は上方に回動され、トリガ18を後方のハンドル20に向かって揺動可能にする。トリガアーム18Aはピンヘッド32Aがスライド可能なカム面を有しているので、このような揺動が押しピン31Aを上方且つ後方にスライドさせ、バルブアクチュエータ14を上方且つ後方に押しやる。図示しないが、同様の動きが配合供給ガン10の他方の側部にも生じる。具体的には、トリガアーム18Bが、トリガ18の揺動によって押しピン31Aと平行な方向に押しピン31Bを移動させる。例示した実施形態では、バルブアクチュエータがガン本体12から離間した開位置にある。
【0019】
図3に示した配合供給ガン10の部品及び構成により、トリガ18を引くことによってバルブアクチュエータ14を移動させることが可能となる。図4を用いて詳細に後述するように、バルブアクチュエータのこのような動きが3つのバルブを調整する。これにより、第1成分C1、第2成分C2、及び流体Fが所望の比率で配合ヘッド部16から供給可能となる。
【0020】
図4は、バルブアクチュエータ14の分解図を示している。図4には、ガン本体12、バルブアクチュエータ14、トリガ18、トリガアーム18B、トリガピボット30B、押しピン31A、31B、ピンヘッド32B、ピンシャフト33A、33B、ピンボール部35A、35B、第1バルブ36、第2バルブ38、第3バルブ40、第1バルブステム42、第2バルブステム44、第3バルブステム46、アクチュエータ上部部材48、アクチュエータ下部部材50、止めねじ52A、52B、止めねじ孔54A、54B、アクチュエータねじ56A〜56D、上部アクチュエータ孔57A〜57D、下部アクチュエータ穴58A〜58D、第1ステムスロット60、第2ステムスロット62、及び第3ステムスロット64が示されている。
【0021】
前述したように、トリガ18のトリガアーム18B(及び図示しないトリガアーム18A)は、トリガピボット30Bでガン本体12に揺動可能に接続されている。トリガアーム18Bは、押しピン31Bとピンヘッド32Bで接触するカム面を有している。押しピン31Bのピンシャフト33Bは、ガン本体12の孔にスライド可能に配置されている。ピンヘッド32Bから遠い方のピンシャフト33Bの端部は、ピンボール部35Bとなっている。押しピン31Aのピンボール部35Aはガン本体12の他側に示されている。
【0022】
第1バルブ36、第2バルブ38、及び第3バルブ40も、ガン本体12に取り付けられている。第1バルブ36、第2バルブ38、及び第3バルブ40は閉弁する方向に付勢されている。例示された実施形態の場合、第1バルブ36、第2バルブ38、及び第3バルブ40は、バルブアクチュエータ14が開弁させようとしない場合に、それらを閉弁させるスプリングを有している。第1バルブステム42は第1バルブ36にスライド可能に接続され、第2バルブステム44は第2バルブ38にスライド可能に接続され、第3バルブステム46は第3バルブ40にスライド可能に接続されている。第2バルブステム44と第3バルブステム46とは、第1バルブステム42と実質的に平行である。さらに、第1バルブステム42と、第2バルブステム44と、第3バルブステム46とは、実質的にそれぞれの長手方向に沿う同一平面状にある。例示した実施形態において、第1バルブステム42は第1バルブ36から突出する円筒状の部分を有しており、第2バルブステム44は第2バルブ38から突出する円筒状の部分を有しており、第3バルブステム46は第3バルブ40から突出する円筒状の部分を有している。第1バルブステム42、第2バルブステム44、及び第3バルブステム46の残りの部分は、完全な円筒状ではなく2つの平行な平面を有している。
【0023】
アクチュエータ下部部材50は、第1ステムスロット60、第2ステムスロット62、第3ステムスロット64、及び下部アクチュエータ穴58A〜58Dを有しており、下部アクチュエータ穴58A〜58Dは、ねじ山が形成され、第1ステムスロット60、第2ステムスロット62、及び第3ステムスロット64と実質的に直角である。アクチュエータ下部部材50は、第1バルブステム42と、第2バルブステム44と、第3バルブステム46と接して配置されている。具体的には、第1バルブステム42は、アクチュエータ下部部材50の第1ステムスロット60内に配置され、実質的に第1ステムスロット60と平行である。第2バルブステム44は、アクチュエータ下部部材50の第2ステムスロット62内に配置され、第2ステムスロット62と実質的に平行である。第3バルブステム46は、アクチュエータ下部部材50の第3ステムスロット64内に実質的に平行に配置される。従って、第1ステムスロット60、第2ステムスロット62、及び第3ステムスロット64のそれぞれは、第1バルブステム42、第2バルブステム44、及び第3バルブステム46の形状に対応し、湾曲した側面と平坦な底面とを有して形成される。
【0024】
アクチュエータ上部部材48は、一方の側部に止めねじ孔54Aを有し、他方の側部に止めねじ孔54Bを有する。止めねじ52Aは止めねじ孔54Aと同軸に配置され、止めねじ52Bは止めねじ孔54Bと同軸に配置される。アクチュエータ上部部材48は、止めねじ孔54A、54Bに実質的に直角な上部アクチュエータ孔57A〜57Dも有している。アクチュエータねじ56Aは上部アクチュエータ孔57A内、アクチュエータねじ56Bは上部アクチュエータ孔57B内、アクチュエータねじ56Cは上部アクチュエータ孔57C内、アクチュエータねじ56Dは上部アクチュエータ孔57D内にそれぞれ配置される。図示した分解図において、アクチュエータ上部部材48はアクチュエータ下部部材50の上方に配置される。具体的には、アクチュエータ上部部材48は、上部アクチュエータ孔57Aが下部アクチュエータ穴58Aと同軸上に、上部アクチュエータ孔57Bが下部アクチュエータ穴58Bと同軸上に、上部アクチュエータ孔57Cが下部アクチュエータ穴58Cと同軸上に、及び上部アクチュエータ孔57Dが下部アクチュエータ穴58Dと同軸上に位置するように、それぞれ配置される。
【0025】
バルブアクチュエータ14の組み立ては、アクチュエータ下部部材50に、第1バルブステム42、第2バルブステム44、及び第3バルブステム46を配置することによって行われる(図4に示す)。そして、ピンシャフト33Aの一部とピンボール部35Aとが止めねじ孔54A内にスライド可能に配置され、ピンシャフト33Bの一部とピンボール部35Bとが止めねじ孔54B内にスライド可能に配置された状態で、アクチュエータ上部部材48がアクチュエータ下部部材50に接して配置される。このときアクチュエータ上部部材48は、上部アクチュエータ孔57Aが下部アクチュエータ穴58Aと、上部アクチュエータ孔57Bが下部アクチュエータ穴58Bと、上部アクチュエータ孔57Cが下部アクチュエータ穴58Cと、上部アクチュエータ孔57Dが下部アクチュエータ穴58Dとそれぞれ同軸上に位置するように配置される。アクチュエータねじ56Aは下部アクチュエータ穴58A内に、アクチュエータねじ56Bは下部アクチュエータ穴58B内に、アクチュエータねじ56Cは下部アクチュエータ穴58C内に、アクチュエータねじ56Dは下部アクチュエータ穴58D内にそれぞれ螺合して締めつけられる。図4に示す実施形態において、第1バルブステム42は第1スロット60の長さより、第2バルブステム44は第2スロット62の長さより、第3バルブステム46は第3スロット64の長さよりわずかに長い。第1スロット60、第2スロット62、及び第3スロット64が形成された面でアクチュエータ上部部材48がアクチュエータ下部部材50に組み付けられると、第1バルブステム42、第2バルブステム44、及び第3バルブステム46は、バルブアクチュエータ14によってアクチュエータ上部部材48とアクチュエータ下部部材50との間で固定される。別の実施形態として、第1スロット60、第2スロット62、及び第3スロット64を、アクチュエータ上部部材48に形成してもよいし、アクチュエータ上部部材48及びアクチュエータ下部部材50にそれぞれ部分的に形成してもよい。
【0026】
バルブアクチュエータ14の組み立ては、止めねじ52Aを止めねじ孔54Aに、止めねじ52Bを止めねじ孔54Bにそれぞれ締結することによって引き続き行われる。止めねじ52Aはピンボール部35Aに接するまで、止めねじ52Bはピンボール部35Bに接するまでそれぞれ挿入される。止めねじ52Aはバルブアクチュエータ14と押しピン31Aとの間の接点位置、止めねじ52Bはバルブアクチュエータ14と押しピン31Bとの間の接点位置をそれぞれ調整するために利用可能である。これにより、例えばトリガ18と、押しピン31A、31Bと、アクチュエータ上部部材48との間の寸法許容誤差の問題を緩和することができる。代替の実施形態として、止めねじ52Aはピンボール部35Aに、止めねじ52Bはピンボール部35Bにそれぞれ接しないように配置してもよい。但し、このような実施形態の場合、止めねじ52Aは、ピンボール部35Aからの距離が、止めねじ52Bのピンボール部35Bからの距離と実質的に同じになるようにアクチュエータ上部部材48に取り付けられる。
【0027】
例示した実施形態において、バルブアクチュエータ14が組み立てられると、アクチュエータ上部部材48とアクチュエータ下部部材50との境界面は、第1バルブステム42、第2バルブステム44、及び第3バルブステム46と実質的に平行になる。さらに、押しピン31A、31Bは、第1バルブステム42、第2バルブステム44、及び第3バルブステム46と実質的に平行だが、トリガ18の枢軸(即ち、トリガピボット30A、30B間の軸)は、第1バルブステム42、第2バルブステム44、及び第3バルブステム46と実質的に直角になる。さらに、押しピン31A、31Bと、第1バルブステム42、第2バルブステム44、及び第3バルブステム46とは実質的に同一平面上にある。従って、この平面は、アクチュエータ上部部材48とアクチュエータ下部部材50との間の境界面と実質的に平行である。さらに、この平面はトリガ18の枢軸と平行である。
【0028】
前述のように、トリガ18が引かれると、力がトリガアーム18A、18Bからピンヘッド32A、32Bに伝達され、さらに押しピン31Aを介しピンボール部35Aから止めねじ52Aに、また押しピン31Bを介しピンボール部35Bから止めねじ52Bにそれぞれ伝達される。このような力により、押しピン31A、31Bに沿ってバルブアクチュエータ14がガン本体12から軸線方向に離間するように移動する。このような動きは、第1バルブステム42、第2バルブステム44、及び第3バルブステム46と平行である。バルブアクチュエータ14は、第1バルブステム42、第2バルブステム44、及び第3バルブステム46に固定されているので、第1バルブ36、第2バルブ38、及び第3バルブ40が開く。第1バルブ36、第2バルブ38、及び第3バルブ40が閉弁していたときに、バルブアクチュエータは、第1バルブステム42、第2バルブステム44、及び第3バルブステム46に固定されているので、第1バルブ36、第2バルブ38、及び第3バルブ40は全て同じ開度で開かれる。具体的には、第1バルブ36、第2バルブ38、及び第3バルブ40は同時に開かれ、第2バルブステム42、第2バルブステム44、及び第3バルブステム46は同じ距離だけ移動する。これにより、第1成分C1、第2成分C2、及び流体Fが配合供給ガン10から供給可能となる。このようにして、バルブアクチュエータ14は、第1バルブ36、第2バルブ38、及び第3バルブ40の開弁時における進みや遅れを排除する。トリガ18が離されると、力はバルブアクチュエータ14に作用しなくなる。第1バルブ36、第2バルブ38、及び第3バルブ40が閉じる方向に付勢されているので、第1バルブ36、第2バルブ38、及び第3バルブ40が閉じる際に、第1バルブステム42、第2バルブステム44、及び第3バルブステム46がバルブアクチュエータをガン本体に向けて引き込む。開弁時と同様に、第1バルブ36、第2バルブ38、及び第3バルブ40は全て同時に閉じる。従って、第1バルブ36、第2バルブ38、及び第3バルブ40が同じ吐出特性を有する実施形態の場合、トリガ18を引いている間、同じ配合比が維持される。
【0029】
止めねじ52A、52Bの取付位置によって、トリガ18からの力はバルブアクチュエータ14の両側に均等に配分される。但し、代替の実施形態では、トリガ18が前方にあるときに、止めねじ52Aは押しピン31Aと、止めねじ52Bは押しピン31Bとそれぞれ接していない。このような構成の場合、バルブアクチュエータ14が移動する前にトリガ18の動きに対していくらか遊びがあるが、トリガ18が十分な量動いてしまうと、押しピン31Aは止めねじ52Aに、押しピン31Bは止めねじ52Bにそれぞれ同時に接することになる。その理由は、止めねじ52Aがピンボール部35Aから、止めねじ52Bがピンボール部35Bから実質的にそれぞれ等間隔を有して位置しているからである。従って、例示した実施形態の場合と同様に、第1成分C1、第2成分C2、及び流体Fの供給は同じ比率で行われる。
【0030】
図4に示すようなガン本体12及びバルブアクチュエータ14の部品及び構成により、トリガ18が引かれる量に関わらず維持される第1成分C1と第2成分C2との正確な配合比を得ることが可能となる(適切なバルブ構造と、例えば第1成分C1と第2成分C2との正確な加圧状態といった材料の適切な調整による)。同様に、流体Fに対する成分の正確な配合比率は、第1バルブ36及び第2バルブ38と同じ開度で第3バルブを開くことで維持可能である。さらに、この比率に影響を及ぼすことなく、バルブアクチュエータ14を脱着することが可能である。その理由は、バルブアクチュエータ14が取り外されたときに、第1バルブ36、第2バルブ38、及び第3バルブ40は閉じており、バルブアクチュエータ14が再び組み付けられるときにも、第1バルブ36、第2バルブ38、及び第3バルブ40は閉じているからである。さらに、バルブアクチュエータ14が、第1バルブステム42、第2バルブステム44、及び第3バルブステム46を同時に動かすので、第1バルブ36、第2バルブ38、及び第3バルブ40を開くのに十分な保持力を、バルブアクチュエータ14が、第1バルブステム42、第2バルブステム44、及び第3バルブステム46に対して有している限り、第1バルブステム42、第2バルブステム44、及び第3バルブステム46に対するバルブアクチュエータ14の正確な位置は重要でない。これは、止めねじ52Aの押しピン31Aからの距離が止めねじ52Bの押しピン31Bからの距離と同じであることにより、バルブアクチュエータ14の両端の移動を同時且つ等距離で行うことができるからである。
【0031】
図4には、本発明の一実施形態を示しており、代替の実施形態もある。例えば、アクチュエータ下部部材50の第1ステムスロット60、第2ステムスロット62、及び第3ステムスロット64はそれぞれ異なる形状としつつ、第1バルブステム42、第2バルブステム44、及び第3バルブステム46に対応した形状としてもよい。具体的には、第1バルブステム42、第2バルブステム44、及び第3バルブステム46が図4に示されているような形状なら、第1ステムスロット60、第2ステムスロット62、及び第3ステムスロット64は、長方形とすることができる。別の例として、第1バルブステム42、第2バルブステム44、及び第3バルブステム46は完全な円筒状、または円筒部と矩形部とを有していてもよい。このような実施形態において、第1ステムスロット60は第1バルブステム42、第2ステムスロット62は第2バルブステム44、及び第3ステムスロット64は第3バルブステム46の形状に対応するように構成される。さらなる例として、バルブアクチュエータ14は、アクチュエータねじ56A〜56Dの少なくとも1つが対応する下部アクチュエータ穴58A〜58Dの少なくとも1つに部分的に螺合することによって、アクチュエータ上部部材48とアクチュエータ下部部材50とが組み付けられるようにして組み立てられてもよい。次に、全てのアクチュエータねじ56A〜56Dを完全に締結する前に、半完成状態に組み立てられたバルブアクチュエータ14を、第1バルブステム42、第2バルブステム44、及び第3バルブステム46上に装着することができる。
【0032】
本発明により多くの効果や利点が得られると理解されるべきである。例えば、配合供給ガン10が組み立てられて止めねじ52A、52Bが適度に調整されると、バルブアクチュエータ14の着脱の際に、適切な配合比を維持するための調整は不要となる。
【0033】
代表的な実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更をしたり、各要素の等価物で代用したりすることが可能であることは当業者が容易に理解し得るものである。さらに、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況や素材を本発明の教示に適合させるべく、様々な変更を行うことが可能である。従って、本発明は開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明は添付した特許請求の範囲内に属する全ての形態を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガン本体と、
前記ガン本体に取り付けられ、第1成分を注入する第1成分注入口と、
前記ガン本体に取り付けられ、第2成分を注入する第2成分注入口と、
前記第1成分と前記第2成分とを配合して供給する配合ヘッド部と、
前記配合ヘッド部への前記第1成分の流動を制御する第1バルブステムを有して前記ガン本体に取り付けられる第1バルブと、
前記第1バルブステムと平行な、前記配合ヘッド部への前記第2成分の流動を制御する第2バルブステムを有して前記ガン本体に取り付けられる第2バルブと、
第1の部分と第2の部分とを有し、前記第1の部分と前記第2の部分との間に前記第1バルブステムと前記第2バルブステムとが配置され、前記第1バルブステム及び前記第2バルブステムの軸線と平行な方向に動く挟持部材と、
揺動可能に前記ガン本体に取り付けられ、前記挟持部材の動きを制御するトリガと、を備え、
前記挟持部材は、前記挟持部材の移動によって、前記第1バルブステムと前記第2バルブステムとが移動するように前記第1の部分が前記第2の部分に取り付けられていることを特徴とする配合供給ガン。
【請求項2】
前記第1バルブステムと平行な、加圧流体の供給を制御する第3バルブステムを有して前記ガン本体に取り付けられる第3バブルをさらに備え、
前記第3バルブステムは、前記挟持部材の移動によって移動するように、前記挟持部材の第1の部分と第2の部分との間に配置されることを特徴とする請求項1に記載の配合供給ガン。
【請求項3】
前記挟持部材の一方向への移動により、前記第1バルブと前記第2バルブとの両方が開くことを特徴とする請求項1に記載の配合供給ガン。
【請求項4】
前記第1バルブと前記第2バルブとは、同じ開度で開くことを特徴とする請求項3に記載の配合供給ガン。
【請求項5】
前記第1バルブステムの一部と前記第2バルブステムの一部とは、2つの対向する平面と、2つの対向する湾曲面とからなる4面形状であることを特徴とする請求項1に記載の配合供給ガン。
【請求項6】
前記挟持部材は、
前記第1の部分と前記第2の部分との間に延設され、前記第1バルブステムを収容する第1バルブステムスロットと、
前記第1の部分と前記第2の部分との間に延設され、前記第2バルブステムを収容する第2バルブステムスロットと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の配合供給ガン。
【請求項7】
前記挟持部材の前記第1の部分と前記第2の部分とは、ねじ止め部材で組み付けられることを特徴とする請求項1に記載の配合供給ガン。
【請求項8】
前記第1バルブステム及び前記第2バルブステムと平行であり、前記ガン本体にスライド可能に配置され、第1端部が前記トリガのカム面に接し、第2端部が前記挟持部材に接する互いに平行な複数の押しピンをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の配合供給ガン。
【請求項9】
前記第1バルブステムと、前記第2バルブステムと、前記複数の押しピンとは、同一平面上にあることを特徴とする請求項8に記載の配合供給ガン。
【請求項10】
前記挟持部材は、前記複数の押しピンと前記挟持部材との間の接点位置を調整する複数の止めねじを有することを特徴とする請求項9に記載の配合供給ガン。
【請求項11】
第1成分の供給を制御する第1バルブステムを有する第1バルブと、
前記第1バルブステムと平行な、第2成分の供給を制御する第2バルブステムを有する第2バルブと、
前記第1バルブステムと前記第2バルブステムとに固定され、前記第1バルブステムと前記第2バルブステムとを共に動かすことによって前記第1バルブと前記第2バルブとを開くバルブアクチュエータとを備え、
前記バルブアクチュエータは、
前記第1バルブステムに対応する形状を有して、前記第1バルブステムと平行に設けられ、前記第1バルブステムに前記バルブアクチュエータを取り付ける第1スロットと、
前記第2バルブステムに対応する形状を有して、前記第2バルブステムと平行に設けられ、前記第2バルブステムに前記バルブアクチュエータを取り付ける第2スロットと、
前記バルブアクチュエータの第1端部側に設けられ、第1止めねじを収容し、前記第1バルブステムと平行な第1孔と、
前記バルブアクチュエータの第2端部側に設けられ、前記バルブアクチュエータの前記第1孔とは反対側にあって、第2止めねじを収容し、前記第1孔と平行な第2孔と、
を備えることを特徴とするバルブ組立体。
【請求項12】
前記第1バルブステムと前記第2バルブステムとが同じ距離移動するように前記バルブアクチュエータを移動させるトリガをさらに備えることを特徴とする請求項11に記載のバルブ組立体。
【請求項13】
前記第1バルブと前記第2バルブとは、前記トリガの動きによって同時に開かれることを特徴とする請求項12に記載のバルブ組立体。
【請求項14】
前記トリガは、
前記第1止めねじに接する第1押しピンに対して作用する第1カムと、
前記第2止めねじに接する第2押しピンに対して作用する第2カムと、
を有することを特徴とする請求項12に記載のバルブ組立体。
【請求項15】
前記トリガは、前記第1バルブステム及び前記第2バルブステムの長手方向で規定される平面に平行な軸の周りに揺動するように動くことを特徴とする請求項12に記載のバルブ組立体。
【請求項16】
前記第1バルブステムの一部と、前記第2バルブステムの一部とは、2つの対向する平面と、2つの対向する湾曲面とからなる4面形状であることを特徴とする請求項11に記載のバルブ組立体。
【請求項17】
前記バルブアクチュエータは、接合面に前記第1スロットと前記第2スロットとを形成して、ねじ止め部材によって互いに固定される上部部材と下部部材とを備えることを特徴とする請求項11に記載のバルブ組立体。
【請求項18】
第1カムと第2カムとを有するトリガと、
第1成分の供給を制御する第1バルブステムを有する第1バルブと、
前記第1バルブステムと平行な、第2成分の供給を制御する第2バルブステムを有する第2バルブと、
前記第1バルブステムのための第1スロット、及び前記第2バルブステムのための第2スロットを有する第1の部分、並びに前記第1スロット内に前記第1バルブステムを固定し、前記第2スロット内に前記第2バルブステムを固定した前記第1の部分に組み付けられる第2の部分を有するバルブアクチュエータと、
前記第1バルブステムと平行に設けられ、前記第1カム及び前記バルブアクチュエータに接する第1押しピンと、
前記第1押しピンと平行に設けられ、前記第2カム及び前記バルブアクチュエータに接する第2押しピンと、
を備えることを特徴とするバルブ組立体。
【請求項19】
前記第1バルブステム、前記第2バルブステム、前記第1スロット、前記第2スロット、前記第1押しピン、及び前記第2押しピンは同一平面にあることを特徴とする請求項18に記載のバルブ組立体。
【請求項20】
前記バルブアクチュエータの前記第1の部分と前記第2の部分との間の接合面は、前記第1バルブステムと前記第2バルブステムとの長手方向に形成される平面と平行な平面であることを特徴とする請求項19に記載のバルブ組立体。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−512766(P2013−512766A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539878(P2012−539878)
【出願日】平成22年11月23日(2010.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/003028
【国際公開番号】WO2011/062642
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(308025451)グラコ ミネソタ インコーポレーテッド (32)
【Fターム(参考)】