説明

バルブ管の接続補助具

【課題】コンテナ容器等の排出管からのバルブ管の取り付け及び取り外しを一人の作業者で作業できると共に、取り付け及び取り外し作業を容易にすることができる接続補助具を提供すること。
【解決手段】コンテナ容器等の排出管4にバルブ管5を接続部材6によって接続する際に用いる接続補助具であって、排出管4の先端部にて排出管4との間に空けた隙間に接続部材6を保持する受け部12と、前記受け部12から排出管4の軸方向外方に延び、バルブ管5を排出管4への進退方向に摺動させて誘導可能な誘導路13とからなることを特徴とするバルブ管の接続補助具7。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種流体の輸送や収納に使用するコンテナ容器等の排出管にバルブ管を接続する際に使用する補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示すように、各種流体の輸送や収納に使用するコンテナ容器1は、金属製の容器本体3の下部に排出管4とバルブ管5を設けた構造を有し、この容器本体3の内部に液体や粒状体などの流動物を収納し、排出管4に接続されたバルブ管5に設けられたバルブを開くことにより、流動物の取出しを行うものである。
【0003】
最近は、コンテナ容器本体の内部に装着した内袋に流動物を収納し、内袋本体の底部に内部と連通する状態で取付けられたノズルを排出管内に位置させ、内袋内に流動物を収納することにより、流動物と容器本体の直接的な接触の発生がないようにしたものがあり、これらコンテナ容器用の内袋を用いたものは、収納する流動物の種類を変更する場合には内袋を取り換えればよいので、容器本体の洗浄が不要になり、洗浄コストの低減が可能になるという利点がある(例えば、特許文献1や特許文献2)。
【特許文献1】特許第2915342号公報、図1
【特許文献2】特開2000−168888号公報、図1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記したコンテナ容器用の内袋を用いたものであっても、衛生用製品や食料品などを収納する、いわゆるサニタリー用のコンテナ容器の場合、収納物の取り出し後の再利用の前には、内袋を用いたものであっても内袋の取り出しの際の液ダレ等の汚染等を考慮し、万全を期すために高圧水によるコンテナ内部の洗浄が必須となっている。
【0005】
コンテナ内部を洗浄する場合、コンテナ容器の排出管からバルブ管を取り外し、排出管内を高圧水による洗浄を行い、必要に応じてコンテナ容器内部に内袋を取り付けた後、再度、排出管にバルブ管を取り付け、収納物を収納する。
【0006】
ところで、筒状体内にバルブを組み込んだバルブ管を上記排出管へ取り付ける方法は、一人がバルブ管を支えて保持しつつ排出管とバルブ管の両フランジ(鍔部)を合わせてから、もう一人が両フランジの外側から接続部材を外嵌装することにより、排出管にバルブ管を接続するようになっている。
【0007】
また、バルブ管の上記排出管からの取り外しについても、一人がバルブ管を支えた状態で、もう一人が排出管とバルブ管の両フランジを接続している接続部材を取り外すことにより行うようになっている。
【0008】
上記のバルブ管の取り付け取り外し作業は、バルブ管は重量があり作業が重労働になると共に、2人以上の複数人で作業をしなければならないので、作業コストが高くなるという欠点があった。
【0009】
そこで、この発明の課題は、コンテナ容器等の排出管からのバルブ管の取り付け及び取り外しを一人の作業者で作業できると共に、取り付け及び取り外し作業を容易にすることができる接続補助具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記のような課題を解決するため、請求項1の発明は、コンテナ容器等の排出管にバルブ管を接続部材によって接続する際に用いる接続補助具であって、排出管の先端部にて排出管との間に空けた隙間に接続部材を保持する受け部と、前記受け部から排出管の軸方向外方に延び、バルブ管を排出管への進退方向に摺動させて誘導可能な誘導路とからなる構成を採用した接続補助具である。
【0011】
また、請求項2の発明は、上記請求項1の接続補助具において、排出管の鍔部とバルブ管の鍔部とを合わせて両鍔部を1体の接続部材により外嵌装して接続する際に用いる接続補助具であって、排出管の鍔部外周の最下部を含む一部に沿って設けられた受け部と、該受け部の最下部から延設され、バルブ管の摺動による誘導時にバルブ管が横に落ちない程度の凹状溝を有する誘導路とからなる構成を採用したものである。
【発明の効果】
【0012】
上記請求項1の発明によれば、排出管へのバルブ管を接続する作業が、従来はバルブ管を排出管へ接続状態を保持する者と、保持されたバルブ管と排出管とを接続部材によって接続する作業を行う者との複数人が必要であったのが、接続補助具の受け部にて排出管の端部にて接続部材を保持させておいて、バルブ管を接続補助具の誘導路によって接続部材まで誘導でき、その後受け部に保持された接続部材を締結することによって排出管にバルブ管を接続することができ、一人の作業者で容易に取り付け作業ができる。
【0013】
また、排出管からバルブ管を取り外す作業にしても、従来はバルブ管を落ちないように保持する者と、接続部材を取り外す者と複数人が必要であったのが、接続部材の締結の解除を行っても、接続部材は受け部に、バルブ管は受け部と誘導路によって落下が防止され、取り外し後のバルブ管は誘導路に沿って排出管より後退動させて取り外せるので、一人の作業者で容易に取り外し作業ができる。
【0014】
上記請求項2の発明によれば、排出管とバルブ管の両鍔部を外嵌装する接続部材を、排出管の鍔部外周の最下部を含む一部に沿って設けられた受け部により支えることができ、該受け部の最下部から排出管の軸方向外方へ伸びる凹状溝を有する誘導路により、バルブ管を支えると共に排出管へ摺動させることができるので、バルブ管の排出管への進退動と接続部材の鍔部への外嵌装が一人の作業者で別々に行え、バルブ管の取り付け及び取り外しが一人の作業者で容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1のように、コンテナ容器1は、複数の支持脚2で自立するようにした金属製の容器本体3と、この容器本体3の底部に設けた排出管4とからなり、排出管4は、円筒パイプを用い、容器本体3の底部から垂下して途中から水平に屈曲し、端部では水平方向になるように設置され、この排出管4の端部に別途用意したバルブ管5の一方端部を接続部材6により接続することにより、排出管4の端部開口を閉鎖する。
【0016】
そして、排出管4とバルブ管5が接続部材6により接続された部分からバルブ管5の下側にかけて、バルブ管5を接続部材6により接続する際に用いる本発明の接続補助具7が固定されている。
【0017】
図2は、図1の排出管4及びバルブ管5付近を拡大した一部切欠正面図であり、排出管4とバルブ管5との接続は、排出管4の端部の鍔部8(フランジ)と、バルブ管5の一方端部の鍔部9を、必要に応じてOリング等を挟んで向かい合わせ、両鍔部8,9の外側から適宜な接続部材6にて外嵌装してこの接続部材6を締結することによりバルブ管5は排出管4に固定されることになる。
【0018】
バルブ管5は内部に開閉バルブ10を有し、他方端部に着脱自在な蓋11を有し、この蓋11を閉鎖し、開閉バルブ10を閉じた状態でコンテナ容器内に流動物を充填して輸送や格納を行うと共に、収納した流動物の取り出しは、バルブ管5の蓋11を取り外した後、開閉バルブ10を操作することによって行うことができる。
【0019】
接続補助具7は、固定側となる排出管4と位置関係が変わらないように、図示しない適宜な手段により固定されている。
【0020】
図3(a)は上記接続補助具7の斜視図であり、図3(b)はこの接続補助具7と排出管4、バルブ管5、及び接続部材6との位置関係を示す斜視図である。
【0021】
接続補助具7は受け部12と誘導路13とが一体に成形されており、受け部12は排出管4の鍔部8の下側に位置し、誘導路13は前記受け部12の中央最下部からバルブ管5が設置されるべき部分の下部に延設されている。
【0022】
前記受け部12は、鍔部8の外周に沿うように湾曲しており、また鍔部8の外周との間には接続部材6を収めるだけの隙間が設けられており、接続部材6を収めた時に、接続部材6が倒れたり落下しないように排出管4軸方向における鍔部8の前後が盛り上がって湾曲し溝状となっており、受け部12の幅(鍔部8の外周方向)は、接続部材6を保持できる程度の大きさがあれば良く、図示のものでは排出管4の中心からみて鍔部8外周に対し下方に約90度程度である。
【0023】
前記誘導路13は、幅方向両側が盛り上がって湾曲することで排出管4の軸方向に延びる溝状となっており、この湾曲をバルブ管5の最大径部の外周と略一致させ、表面を滑らかに形成しておくことで、バルブ管5を横に落とすことなくスムーズに排出管4の軸方向に摺動させることができる。
【0024】
これら受け部12と誘導路13とからなる接続補助具7の材料は、バルブ管5の積載や摺動に耐える剛性を有するものであれば特に限定されるものではなく、金属の他、合成樹脂やその他のものも使用できる。
【0025】
また、この発明の接続補助具7としては図示のものに限定されず、受け部12や誘導路13の形状や大きさも使用される排出管4の直径や接続部材6の大きさにあわせて適宜変更して実施できる。また、誘導路13も図示の湾曲状の溝の他、例えば、棒状体の複数を排出管の軸方向に並べたようなものや、その他の形状のものであっても良い。
【0026】
排出管4とバルブ管5とを接続するための接続部材6は、内部に溝14を有するリング状のものを2つに均等に分割した分割体6a,6bとからなり、これら両分割体は蝶番15で接続されており、蝶番15が無い他方端部には重ね合わせた時に一致する貫通孔16を有する。
【0027】
この接続部材6の接続原理は、排出管4とバルブ管5を接続状態とした上で両者の重ね合わされた鍔部8,9を溝14に嵌め込み、分割体6a,6bを重ね合わせて貫通孔16にボルトを通してナットを締める等の適宜締結手段により接続部材6全体を両鍔部8,9に外嵌装して固定することにより、排出管4にバルブ管5が固定される。
【0028】
なお、図示のように、前記誘導路13の溝の最下部を受け部12の溝の最下部より上方になるようにする等、適宜の段差を形成しておけば、誘導路13により誘導されたバルブ管5の鍔部9を大きく持ち上げずにスムーズに受け部12に収められた接続部材6の溝14に入れることができ、接続作業が楽になる。
【0029】
次に、この発明の接続補助具7を用いた接続作業を説明すれば、まず、一人の作業者が、排出管4の鍔部8と接続補助具7の受け部12との隙間に接続部材6の下部分割体6aを乗せ、下部分割体6aの溝14上に排出管4の鍔部8が来るようにしておく。
【0030】
続いて、作業者が接続補助具7の誘導路13上にバルブ管5を載せ、排出管5の方向へ誘導路13上を摺動スライドさせて進行させ、受け部12上の接続部材6の下部分割体6a内の溝14にバルブ管5の鍔部9を入れ、図3(B)の状態とする。
【0031】
その後、接続部材6の上部分割体6bを排出管4とバルブ管5との合わさった両鍔部8,9の上半分に重ねて嵌め合わせてから、貫通孔16にボルト・ナット等の締結手段を用いて接続部材6全体を締結すると、バルブ管5は排出管4に接合・固定されることになる。
【0032】
次に、バルブ管5を排出管4から取り外す作業を説明すれば、作業者は接続部材6の締結を解除して接続部材6の上部分割体6bを引き上げて蝶番15を中心に開けた状態とする。
【0033】
そして、接続部材6の下部分割体6aを下方に押すなどして排出管5及びバルブ管4の両鍔部8,9を溝部から外すと、バルブ管5も固定側の排出管4から外れる。
【0034】
この際、接続部材6はその下部分割体6aが接続補助具7の受け部12により支えられて落下が防止され、またバルブ管5もその鍔部9は接続部材6の下部分割体6aと共に接続補助具7の受け部12に支えられ、バルブ管5本体は接続補助具7の誘導路13の部分にて支えられることにより落下が防止される。
【0035】
その後、作業者は接続部材6の下部分割体6aからバルブ管5の鍔部9を外し、接続補助具7の誘導路13に沿ってバルブ管5を排出管4より後退動させ、その後、バルブ管5を取り除く。
【0036】
以上説明した排出管4へのバルブ管5の取り付け作業及び取り外し作業は、全て一人の作業者にて作業を行うことができる。
【0037】
なお、上記説明した接続補助具7の排出管4への固定方法は特に限定されるものではなく、排出管4との位置関係を保持できるものであれば良く、排出管4への適宜手段での固定の他、コンテナ容器が設置された基台に固定された取付枠に接続補助具を固定するようにしても良い。
【0038】
また、接続補助具自体はバルブ管の取り付け、取り外し時を行う時以外の不要時、特に排出管からバルブ管を取り外した後に排出管の下部から突出した誘導路の部分に作業者等が当たって怪我をしないように、既知の適宜着脱機構により取り外し可能としたり、又は、既知の適宜スライド機構により補助具全体を排出管方向に押し込み排出管端部より誘導路が突出しないようにしても良い。
【0039】
また、水平かつ排出管の軸方向と垂直方向の支軸により補助具の受け部付近を支えて使用時は支軸を中心に回動による微調整により誘導路の角度を調整して固定可能とし、不要時は支軸を支点に補助具を下方に回動させて誘導路を下側に下ろしたりするようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】コンテナ容器全体の正面図
【図2】排出管及びバルブ管部分の一部切欠正面図
【図3】(A)は接続補助具の斜視図、(B)は接続補助具の使用方法を示す斜視図
【符号の説明】
【0041】
4 排出管
5 バルブ管
6 接続部材
7 接続補助具
8,9 鍔部
12 受け部
13 誘導路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナ容器等の排出管にバルブ管を接続部材によって接続する際に用いる接続補助具であって、排出管の先端部にて排出管との間に空けた隙間に接続部材を保持する受け部と、前記受け部から排出管の軸方向外方に延び、バルブ管を排出管への進退方向に摺動させて誘導可能な誘導路とからなることを特徴とするバルブ管の接続補助具。
【請求項2】
排出管の鍔部とバルブ管の鍔部とを合わせて両鍔部を1体の接続部材により外嵌装して接続する際に用いる接続補助具であって、排出管の鍔部外周の最下部を含む一部に沿って設けられた受け部と、該受け部の最下部から延設され、バルブ管の摺動による誘導時にバルブ管が横に落ちない程度の凹状溝を有する誘導路とからなる請求項1に記載のバルブ管の接続補助具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−145402(P2007−145402A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−345501(P2005−345501)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(505443399)日本コンテナ株式会社 (4)
【出願人】(594010674)日新産商株式会社 (11)
【Fターム(参考)】