説明

バルブID登録システム

【課題】自車両に装着されたタイヤのバルブIDを確実に登録可能なバルブID登録システムを提供する。
【解決手段】バルブID登録システムは、タイヤバルブの急減圧を検出する急減圧検出部と、急減圧検出部が急減圧を検出すると、急減圧情報を含む検出信号を通常のフレーム数よりも多く送信する急減圧通知部と、検出信号に急減圧情報が含まれているか否かを監視する急減圧監視部と、検出信号のフレーム数を監視するフレーム数監視部と、急減圧後に増圧したか否かを監視する増圧監視部と、自身の動作モードが登録モードとなってから受信した急減圧情報を含む検出信号が通常のフレーム数よりも多く受信するとともに、急減圧情報を含む検出信号と同一のバルブIDを含む検出信号の空気圧情報の空気圧が増えていた際に、車両に装着されたタイヤからの検出信号であると判定してバルブIDの登録を行うID登録部と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、タイヤの空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システムに用いるバルブIDを登録するバルブID登録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される装置として、タイヤ空気圧監視システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)が知られている。タイヤ空気圧監視システムは、走行時に車両のタイヤに装着されたセンサからタイヤの空気圧や温度を無線通信によって取得して、タイヤの異常を監視するシステムである。なお、センサは、タイヤバルブに一体に搭載されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記のようなタイヤ空気圧監視システムのタイヤバルブには、搭載されたセンサが検出した空気圧や温度等の検出情報を無線信号で送信する送信機が設けられる。また、車両には、送信機から送信された検出情報を含む無線信号を受信可能な受信機と、受信した信号から空気圧や温度等を表示するとともに、異常時には警告する制御装置とが設けられる。なお、送信機はタイヤバルブに内蔵されているものがほとんどである。
【0004】
タイヤ空気圧監視システムでは、自車両に対応したタイヤバルブから送信された無線信号であるか否かを判断するために、タイヤバルブの送信機からバルブ識別情報(バルブID)を含む無線信号を送信させる。そして、タイヤ空気圧監視システムの制御装置は、予め登録されたバルブIDと一致するか否かの認証を行い、認証が成立したことを条件に、無線信号に含まれる検出情報に基づいて空気圧や温度等を表示するとともに、異常時には警告する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−335115号公報
【特許文献2】特開2004−74923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、タイヤ空気圧監視システムでは、バルブIDの認証を行うために、タイヤ空気圧監視システムの制御装置に、自車両に装着したタイヤのバルブIDを登録しなければならない。そこで、例えばタイヤの空気圧を急減圧させる(わざと空気を抜く)ことで、タイヤバルブからバルブIDと急減圧情報とを含むバルブ信号を送信させて、急減圧情報を含むバルブ信号を受信したことでタイヤバルブを識別して、このバルブ信号に含まれるバルブIDを車両に登録するバルブID登録システムがある(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
このような空気圧の急激な変化に基づいて送信されたバルブIDの登録では、自車両の近くに同様にバルブIDの登録を行う車両が存在したとすると、空気圧の急激な変化を他車両のタイヤバルブが検出して電波送信するので、他車両のバルブIDを誤って登録するおそれがあった。そこで、自車両に装着されたタイヤのバルブIDを確実に登録可能なバルブID登録システムが求められていた。
【0008】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、自車両に装着されたタイヤのバルブIDを確実に登録可能なバルブID登録システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、車両のタイヤに取り付けられたタイヤバルブから送信された空気圧情報を含むバルブ信号を、車体に設置された受信手段で受信して前記タイヤの空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システムに使用し、前記タイヤバルブのバルブIDを前記車体に設けられる制御装置に登録するバルブID登録システムにおいて、前記タイヤバルブの急減圧を検出する急減圧検出手段と、前記急減圧検出手段が急減圧を検出すると、前記急減圧情報を含むバルブ信号を通常のフレーム数よりも多く送信する送信手段と、前記バルブ信号に前記急減圧情報が含まれているか否かを監視する急減圧監視手段と、前記バルブ信号のフレーム数を監視するフレーム数監視手段と、前記急減圧後に増圧したか否かを監視する増圧監視手段と、自身の動作モードが登録モードとなってから受信した前記急減圧情報を含む前記バルブ信号が通常のフレーム数よりも多く受信するとともに、前記急減圧情報を含む前記バルブ信号と同一のバルブIDを含むバルブ信号の空気圧情報の空気圧が増えていた際に、前記車両に装着された前記タイヤからの前記バルブ信号であると判定して前記バルブIDの登録を行う登録手段と、を備えたことをその要旨としている。
【0010】
同構成によれば、タイヤバルブを急減圧すると、急減圧情報を含むバルブ信号をタイヤバルブが通常の送信フレーム数よりも多く送信する。また、登録モードになってからタイヤバルブに急減圧操作を行い、更に増圧操作を行うことで、登録モードになってから受信した急減圧情報が含まれたバルブ信号を通常のフレーム数よりも多く受信するとともに、その後増圧した空気圧情報を含むバルブ信号を受信する。そして、このバルブ信号を自車両に装着されたタイヤからのバルブ信号と判定し、このバルブ信号に含まれるバルブIDを登録する。よって、自車両に装着されたタイヤのバルブIDを確実に登録することが可能である。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のバルブID登録システムにおいて、前記登録手段は、前記急減圧情報を含む前記バルブ信号を通常のフレーム数よりも多く受信した際に、当該バルブ信号のバルブIDと空気圧情報とを仮記憶し、仮記憶したバルブIDと同一のバルブIDを含むバルブ信号を受信した際に、受信したバルブ信号の空気圧が仮記憶した空気圧よりも増えたことを条件に仮記憶したバルブIDを登録することをその要旨としている。
【0012】
同構成によれば、急減圧情報を含みながら通常のフレーム数よりも多く受信した際に、バルブIDと空気圧情報とを仮記憶したので、まず急減圧があったタイヤにおけるバルブIDと空気圧情報とを把握することが可能となる。続いて、仮記憶したバルブIDと同一のバルブIDである際に、仮記憶した空気圧よりも増えたことを条件にバルブIDを登録するので、バルブIDを確認するだけで登録すべきバルブ信号であるか否かを容易に判定することが可能となる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のバルブID登録システムにおいて、前記登録手段は、前記仮記憶したバルブIDと同一のバルブIDを含むバルブ信号を受信した際に、受信したバルブ信号の空気圧が仮記憶した空気圧よりも減ったことを条件に空気圧情報を再度仮記憶することをその要旨としている。
【0014】
同構成によれば、バルブIDが一致しながら、仮記憶した空気圧よりも減った空気圧であった場合には再度仮記憶する。よって、登録手段が空気圧を仮記憶した後に、タイヤの減圧を継続していた場合等においても、仮記憶した空気圧より増えていないことで登録処理を止めず、再度増えた空気圧が含まれたバルブ信号を受信することでバルブIDの登録が可能となる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載のバルブID登録システムにおいて、前記登録手段は、前記仮記憶したバルブIDと異なるバルブIDを含むバルブ信号を受信した際には、前記急減圧情報を含むバルブ信号を通常のフレーム数よりも多く受信したことを条件に受信したバルブ信号のバルブIDと空気圧情報とを再度仮記憶することをその要旨としている。
【0016】
同構成によれば、バルブIDが異なりながら、急減圧情報を含みつつ通常のフレーム数よりも多く受信した際に、バルブIDと空気圧情報とを再度仮記憶する。よって、仮に登録したくないタイヤから送信されたバルブ信号を受信して、急減圧情報を含みながら通常のフレーム数よりも多く受信した際に、訂正することが可能となる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか一項に記載のバルブID登録システムにおいて、前記登録手段は、前記バルブ信号に含まれる前記空気圧情報の空気圧がパンクに相当する気圧である際は、当該バルブ信号のバルブIDを仮記憶しないことをその要旨としている。
【0018】
同構成によれば、バルブ信号に含まれる空気圧情報の空気圧がパンクに相当する気圧である際にはバルブIDを仮記憶しないので、意図的な減圧ではなく、パンクしたことによる急減圧情報を含むバルブ信号における増圧を確認することなく、バルブIDの登録処理を止めることが可能となる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のバルブID登録システムにおいて、前記登録手段は、前記車両に装着された前記タイヤからの前記バルブ信号であると判定した際に前記バルブIDを1本ずつ仮登録し、前記車両に装着された前記タイヤの数量分の前記バルブIDを仮登録した際に全バルブIDを登録することをその要旨としている。
【0020】
同構成によれば、車両に装着されたタイヤの数量分のバルブIDを仮登録した後に全バルブIDを登録するので、確実に登録することが可能となる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載のバルブID登録システムにおいて、前記登録手段は、前記登録モードになると、前記タイヤの位置を順番に指定して、急減圧の操作を指示することで、指定したタイヤ位置に対応させてバルブIDを登録することをその要旨としている。
【0021】
同構成によれば、タイヤの位置を順番に指定して、急減圧の操作を指示することで、指定したタイヤ位置に対応させてバルブIDを登録するので、タイヤ位置とバルブIDとを関連付けて、タイヤの空気圧を監視する際に、どのタイヤに異常があるか認識することが可能となる。
【0022】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載のバルブID登録システムにおいて、前記タイヤバルブは、前記急減圧を検出すると、一定時間の間、前記バルブ信号に前記急減圧情報を含ませて送信することをその要旨としている。
【0023】
同構成によれば、急減圧の検出後、一定時間の間、急減圧情報を含ませたバルブ信号を送信するので、増圧操作を行ったタイヤから送信されるバルブ信号を区別する際に、急減圧情報を含んでいるか否かを確認すればよいので、バルブIDによって確認するよりも容易に区別することが可能となる。また、バルブIDの登録に関わらず、駐車中にタイヤがパンクして走行を開始する際に、急減圧情報を含むバルブ信号を受信することで、タイヤの異常を車両側に伝えることが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、バルブID登録システムにおいて、自車両に装着されたタイヤのバルブIDを確実に登録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】タイヤ空気圧監視システムの概略構成を示すブロック図。
【図2】検出信号の内容を示す概略図。
【図3】バルブID登録時における制御装置の受信データ及び動作を示すタイムチャート。
【図4】バルブID登録時のバルブID登録システムの動作を示すシーケンスチャート。
【図5】バルブID登録時のバルブID登録システムの動作を示すフローチャート。
【図6】バルブID登録時のバルブID登録システムの動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明をタイヤ空気圧監視システムに具体化した一実施形態について図1〜図6を参照して説明する。車両1には、タイヤの空気圧等を検出して、タイヤの異常を監視するタイヤ空気圧監視システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)が設けられている。
【0027】
図1に示されるように、車両1の各タイヤ2(計4個)には、空気注入口であるとともに、タイヤ2の空気圧等を検出して送信するタイヤバルブ3(計4個)がそれぞれ設けられている。タイヤバルブ3には、タイヤバルブ3の動作を制御するバルブ制御部31が搭載されている。バルブ制御部31には、日本国内ではUHF(Ultra High Frequency)帯の電波(約315MHz)によってタイヤ2の空気圧等を含む検出信号Stpを送信するUHF発信部32が接続されている。バルブ制御部31には、バルブIDを記憶したメモリ31aが設けられている。
【0028】
また、タイヤバルブ3には、タイヤ2の圧力を検出する圧力センサ33、タイヤ2の温度を検出する温度センサ34、タイヤ2の径方向に掛かる加速度を検出する加速度センサ35等が搭載されている。これらセンサ類は、検出信号をバルブ制御部31に出力する。
【0029】
UHF発信部32が送信する検出信号Stpには、タイヤ2の空気圧、温度、及びタイヤ2の固有ID(バルブID)等が含まれている。タイヤバルブ3は、加速度センサ35が加速度を検出した際に、各タイヤバルブ3から順に検出信号StpをUHF発信部32から送信する。
【0030】
車両1の車体には、タイヤ空気圧監視システムを制御する制御装置4が搭載されている。制御装置4には、タイヤバルブ3のバルブIDが登録されるメモリ4aが設けられている。制御装置4には、バルブIDの照合を行うID照合部4bが設けられている。
【0031】
制御装置4には、各タイヤ2のタイヤバルブ3から送信されるタイヤ2の空気圧等を含む検出信号Stpを日本国内ではUHF帯の電波(約315MHz)で受信する受信機5が接続されている。受信機5は、車体に設置されている。なお、受信機5が受信手段を構成する。また、制御装置4には、タイヤ2の空気圧等を運転者に表示する表示装置6が接続されている。表示装置6は、車両1の運転席に設置される。
【0032】
受信機5は、検出信号Stpを受信すると、検出信号Stpに含まれるバルブIDと検出情報とを制御装置4に出力する。制御装置4は、検出信号Stp内のバルブIDにてID照合を実行し、ID照合が成立すれば、車両1に登録されたタイヤバルブ3からの信号であると認識する。そして、制御装置4は、検出信号Stp内に含まれるタイヤ2の空気圧と低圧閾値とを比較することにより、タイヤの低圧判定を実行する。
【0033】
制御装置4は、タイヤの低圧判定時、検出信号Stp内のタイヤ温度を基に低圧閾値を設定する。これは、タイヤ温度が高くなると、タイヤ空気圧も高くなるので、タイヤ温度に応じた適切な低圧閾値を設定するためである。制御装置4は、タイヤ空気圧と低圧閾値との判定結果を表示装置6に表示させる。また、制御装置4は、タイヤ2の空気圧や温度が異常であれば、その旨を表示装置6や図示しないアラーム等で報知する。制御装置4は、タイヤバルブ3から検出信号Stpを受信する度に、この動作を繰り返し実行する。
【0034】
本実施例のタイヤ空気圧監視システムには、各タイヤ2に設けられるタイヤバルブ3のバルブIDを制御装置4に登録するバルブID登録システムが設けられている。タイヤ空気圧監視システムは、タイヤ空気圧が急減圧したときにタイヤバルブ3から急減圧情報(急減圧ビット)を含む検出信号Stpを送信するとともに、検出信号Stpのフレーム数を通常よりも多く送信する。バルブID登録システムでは、タイヤ空気圧が急減圧した後に増圧したことに加え、タイヤ空気圧が急減圧したときにフレーム数が増加したことを条件にバルブIDを登録する。
【0035】
本例のタイヤバルブ3は、自身の空気圧に急減圧が発生すると、加速度の検出有無に関わらず、急減圧が発生した旨の急減圧情報を含む検出信号Stpを通常のフレーム数よりも多く送信する。なお、タイヤバルブ3は、急減圧が発生した後も急減圧情報を含む検出信号Stpを一定時間送信する。
【0036】
一方、車両1の制御装置4は、各タイヤバルブ3から送信される検出信号Stpに急減圧情報が含まれているかを常時監視するとともに、急減圧情報を含む検出信号Stpのフレーム数を監視する。そして、制御装置4は、ID登録モードになった際に、急減圧情報が含まれるとともに、フレーム数が通常よりも多く、その後空気圧が増圧した検出信号Stpに含まれるバルブIDを自車両1に装着されたタイヤ2のバルブIDとして登録する。
【0037】
タイヤバルブ3のバルブ制御部31には、圧力センサ33が検出した圧力に急激な減少が発生したことを検出する急減圧検出部31bが設けられている。急減圧検出部31bは、圧力センサ33から出力される圧力情報を取得して、以前の圧力と今回の圧力を比較することで、これらの差が大きい場合に急減圧として検出する。急減圧検出部31bは、急減圧を検出すると、急減圧情報をメモリ31aに記憶する。メモリ31aには、急減圧情報を示すビット(急減圧ビット)が割り当てられている。例えば、この急減圧ビットが「1」であれば急減圧であることを表し、「0」であれば急減圧ではないことを表す。ここで、急減圧ビットが「1」である状態を急減圧ビットがあるという。なお、急減圧検出部31bが急減圧検出手段として機能する。
【0038】
バルブ制御部31には、急減圧検出部31bが検出した急減圧を車両1側へ通知する急減圧通知部31cが設けられている。急減圧通知部31cは、タイヤバルブ3から車両1へ空気圧等の検出情報とバルブIDとを含み送信する検出信号Stpに急減圧情報を含ませて送信させる。急減圧通知部31cは、急減圧検出部31bが急減圧を検出すると、急減圧情報を含む検出信号Stpを一定時間(数時間)の間、間欠的に送信する。
【0039】
具体的には、図2に示されるように、検出信号Stpのあるビットが急減圧情報を示すビット(急減圧ビット)として割り当てられている。例えば、この急減圧ビットが「1」であれば急減圧であることを表し、「0」であれば急減圧ではないことを表す。ここで、急減圧ビットが「1」である状態を急減圧ビットがある又は急減圧ビットが立っているという。なお、急減圧通知部31cが送信手段を構成する。
【0040】
図3に示されるように、バルブ制御部31は、バルブIDと検出情報と急減圧ビットとを1フレームとして通常は4フレームを1セットとする検出信号StpをUHF発信部32から送信する。しかしながら、バルブ制御部31は、空気圧が急減圧した際に、通常よりもフレーム数を多くして、本例では6フレームを1セットとする検出信号StpをUHF発信部32から送信する。
【0041】
図1に示されるように、制御装置4には、検出信号Stpに急減圧が含まれるか否かを、制御装置4の動作モードにかかわらず常時監視する急減圧監視部4cが設けられている。急減圧監視部4cは、各タイヤバルブ3から送信された検出信号Stpを受信機5で受信すると、検出信号Stpに急減圧ビットがあるか、すなわち「1」があるかを確認し、急減圧を検出する。なお、急減圧監視部4cが急減圧監視手段として機能する。
【0042】
制御装置4には、検出信号Stpのフレーム数を、登録モード時に監視するフレーム数監視部4dが設けられている。フレーム数監視部4dは、受信機5が受信した検出信号Stpのフレーム数を確認する。なお、フレーム数監視部4dがフレーム数監視手段として機能する。
【0043】
制御装置4には、検出信号Stpに含まれる検出情報の空気圧が増えているか否かを、登録モード時に監視する増圧監視部4eが設けられている。増圧監視部4eは、急減圧監視部4cが急減圧を検出した後に、受信機5が受信した検出信号Stpに含まれる検出情報の空気圧が急減圧を検出したときよりも増えたかを確認し、増圧を検出する。なお、増圧監視部4eが増圧監視手段として機能する。
【0044】
制御装置4には、バルブIDをメモリ4aに登録するID登録部4fが設けられている。ID登録部4fは、受信した検出信号Stpが自車両1に装着されたタイヤ2のバルブIDであると判定した際に、この検出信号Stpに含まれるバルブIDをメモリ4aに登録する。
【0045】
まず、ID登録部4fは、条件1を満たすとともに、フレーム数が5フレーム以上であることを条件に、受信した検出信号Stpに含まれるバルブID及び検出情報をメモリ4aに仮記憶する。このとき、仮記憶したバルブID及び検出情報を情報Aとする。メモリ4aは、RAM等の一時記憶用のメモリを使用する。条件1は、メモリ4aに仮記憶したバルブIDではないこと、急減圧ビットがあること、圧力値が100kPa以上であることである。
【0046】
次に、ID登録部4fは、条件2を満たすことを条件に、受信した検出信号Stpに含まれるバルブIDをメモリ4aに仮登録する。条件2は、急減圧ビットがあること、情報Aの圧力値よりも20kPa以上増加していることである。
【0047】
そして、ID登録部4fは、バルブIDが車両1に装着されたタイヤ2の本数分のバルブIDが仮登録された際に、仮登録されたバルブIDをメモリ4aに登録する。このとき、メモリ4aは、EEPROM等の不揮発性メモリを使用する。
【0048】
また、ID登録部4fは、ID登録モードになると、急減圧を発生させるタイヤバルブ3を指定し、表示装置6や音声等によって指示する。なお、ID登録部4fが登録手段として機能する。
【0049】
制御装置4には、タイヤ空気圧監視システムの動作モードを設定するモード設定部4gが設けられている。モード設定部4gは、各タイヤバルブ3から送信されるタイヤ空気圧情報を取得する通常モード、タイヤ2のバルブIDをメモリ4aに登録するID登録モード、タイヤ空気圧監視システムの状態を診断する診断モード(特殊モード)等のいずれかに設定する。モード設定部4gは、車体に設けられた登録スイッチ7や図示しない登録ツール等が操作されると、動作モードをID登録モードに設定する。
【0050】
次に、バルブID登録システムによるバルブIDの登録動作について図3及び図4を用いて説明する。
例えば、工場やディーラ等において、車両1にタイヤ2を装着した際に、登録スイッチ7を操作することによって動作モードを通常モードからID登録モードに設定してバルブIDの登録を行う。
【0051】
図4に示されるように、制御装置4は、登録スイッチ7が操作されたことによって動作モードをID登録モードに設定する(ステップS1)。すなわち、モード設定部4gは、登録スイッチ7が操作されたことをトリガとして動作モードを通常モードからID登録モードに設定する。制御装置4は、ID登録モードに設定されると、登録処理を開始する。本実施例では、車両1に装着される4本のタイヤ2のバルブIDを取得して登録するので、各バルブIDを取得すべく4本分繰り返す。
【0052】
図3に示されるように、タイヤバルブ3は、4フレームを1セットとする検出信号Stpを定期的に送信している。このとき、検出信号Stpには、空気圧の変動がないので、急減圧ビットは立っていない。制御装置4は、4フレームを1セットとする検出信号Stpを定期的に受信する。制御装置4は、登録モード操作が行われたことでID登録モードに設定すると、各タイヤバルブ3の急減圧と増圧とを検出する。まず、制御装置4は、急減圧情報を含む検出信号Stpの受信を待つ、急減圧ID待ち状態となる。
【0053】
図4に示されるように、制御装置4は、登録処理としてまず急減圧を行うタイヤ位置を指示する(ステップS2)。すなわち、ID登録部4fは、急減圧を発生させるタイヤバルブ3を指定し、表示装置6や音声等によって指示する。タイヤ位置を指示することで、受信した検出信号Stpがいずれのタイヤ位置のタイヤバルブ3から送信されたものか認識でき、バルブIDとタイヤ位置とを関連付けて登録することができる。
【0054】
バルブIDを登録するユーザは、指示に従って指示されたタイヤ位置のタイヤ2に対して急減圧操作を行う(ステップS3)。つまり、ユーザはタイヤ2の空気をわざと抜く。タイヤバルブ3は、急減圧操作が行われると、急減圧ビットを立てる(ステップS4)。すなわち、急減圧検出部31bは、圧力センサ33から出力される圧力情報を取得して、急減圧を検出すると、急減圧ビットを「1」とすることで急減圧をメモリ31aに記憶する。
【0055】
タイヤバルブ3は、6フレームの検出信号StpをUHF発信部32から送信する(ステップS5)。すなわち、急減圧通知部31cは、空気圧等の検出情報とバルブIDと急減圧情報とからなる1フレームを6フレーム含む検出信号Stpを送信する。急減圧通知部31cは、検出信号Stpの急減圧ビットを「1」とすることで急減圧情報を含ませる。
【0056】
図3に示されるように、タイヤバルブ3は、急減圧されると、6フレームを1セットとする検出信号Stpを送信する。このとき、検出信号Stpには、空気圧が急減圧されたので、急減圧ビットが「1」である急減圧情報が含まれている。
【0057】
図4に示されるように、制御装置4は、急減圧情報を含み6フレームを1セットとする検出信号Stpを受信し、検出信号Stpに含まれるバルブID及び検出情報を仮記憶する(ステップS6)。すなわち、急減圧監視部4cは、検出信号Stpに急減圧情報が含まれていることを検出する。また、フレーム数監視部4dは、検出信号Stpのフレーム数が通常の4フレームよりも多い5フレーム以上であることを検出する。そして、ID登録部4fは、条件1を満たすとともに、フレーム数が5フレーム以上であることを条件に、受信した検出信号Stpに含まれるバルブID及び検出情報をメモリ4aに仮記憶する。
【0058】
図3に示されるように、制御装置4は、バルブIDを仮記憶すると、タイヤバルブ3の増圧を検出する。制御装置4は、先ほどの空気圧よりも増圧した検出情報を含む検出信号Stpの受信を待つ、増圧ID待ち状態となる。
【0059】
図4に示されるように、バルブIDを登録するユーザは、指示されたタイヤ位置のタイヤ2に対して増圧操作を行う(ステップS7)。つまり、ユーザはタイヤ2に空気を供給する。急減圧検出部31bは、圧力センサ33から出力される圧力情報を取得して、急減圧でないことを検出する。なお、急減圧検出部31bは、先ほどの急減圧の検出から一定時間経過していないので、メモリ31aの急減圧ビットを「1」のままとする。
【0060】
タイヤバルブ3は、4フレームの検出信号StpをUHF発信部32から送信する(ステップS8)。すなわち、急減圧通知部31cは、空気圧等の検出情報とバルブIDと急減圧情報とからなる1フレームを4フレーム含む検出信号Stpを送信する。
【0061】
図3に示されるように、タイヤバルブ3は、増圧されると、4フレームを1セットとする検出信号Stpを送信する。このとき、検出信号Stpには、空気圧が急減圧されてから一定時間経過していないので、急減圧ビットが「1」である急減圧情報が含まれている。
【0062】
図4に示されるように、制御装置4は、自車両1のバルブIDであるか否かを判定する(ステップS9)。すなわち、増圧監視部4eは、検出信号Stpに含まれる検出情報の空気圧が先ほどの空気圧よりも増加していることを検出する。そして、ID登録部4fは、条件2を満たすか否かを判定する。
【0063】
制御装置4は、自車両1のバルブIDであると判定する(ステップS10)と、タイヤ位置・バルブIDを仮登録する(ステップS11)。すなわち、ID登録部4fは、条件2を満たすことを条件に、受信した検出信号Stpに含まれるバルブIDをメモリ4aに仮登録する。図3に示されるように、自車両のバルブIDであると判定するとバルブIDを仮登録する。なお、以上の登録処理を車両1に装着されたタイヤ2の本数分繰り返す。
【0064】
図4に示されるように、制御装置4は、タイヤ位置・バルブIDを登録する(ステップS12)。すなわち、ID登録部4fは、バルブIDが車両1に装着されたタイヤ2の本数分のバルブIDが仮登録されると、仮登録されたバルブIDをメモリ4aに登録する。
【0065】
制御装置4は、登録処理が終了すると、動作モードを通常モードに設定する(ステップS13)。すなわち、モード設定部4gは、動作モードをID登録モードから通常モードに設定する。制御装置4は、通常モードに設定されると、登録されたバルブIDによって自車両1のタイヤバルブ3を認識して空気圧の監視を行う。
【0066】
次に、バルブID登録システムの制御装置4の動作について図5及び図6を用いて説明する。ここでは、制御装置4がID登録モードに設定された際における処理を説明する。
図5に示されるように、制御装置4は、ID登録モードに設定されると、登録モードを表示装置6に表示するとともに、仮IDを全て消去し、本数カウンタを「1」とする(ステップS21)。そして、制御装置4は、登録するタイヤを指示する(ステップS22)。
【0067】
制御装置4は、急減圧操作が行われて、検出信号Stpが送信されるので、検出信号Stpを受信したか否かを判定する(ステップS23)。そして、制御装置4は、検出信号Stpを受信していないと判定した場合(ステップS23:NO)には、検出信号Stpを受信するまで待機する。例えば、ユーザが減圧操作をまだしていないとき等に、車両1が検出信号Stpを受信しない。
【0068】
一方、制御装置4は、減圧操作によって送信された検出信号Stpを受信したと判定した場合(ステップS23:YES)には、受信した検出信号Stpの受信データが条件1を満たしているか否かを判定する(ステップS24)。そして、制御装置4は、受信データが条件1の全てを満たしていないと判定した場合(ステップS24:NO)には、ステップS23に移行して、検出信号Stpを受信するまで待機する。例えば、別のタイヤバルブ3から送信された検出信号Stpや、パンクしたタイヤ2から送信された検出信号Stp等を受信した場合に、受信データが条件1を満たさない。
【0069】
一方、制御装置4は、受信データが条件1の全てを満たしていると判定した場合(ステップS24:YES)には、受信した検出信号Stpが5フレーム以上であるか否かを判定する(ステップS25)。そして、制御装置4は、受信した検出信号Stpが5フレーム以上ではないと判定した場合(ステップS25:NO)には、ステップS23に移行して、検出信号Stpを受信するまで待機する。例えば、別のタイヤバルブ3から送信された検出信号Stp等を受信した場合に、受信データが5フレーム未満である。
【0070】
一方、制御装置4は、受信した検出信号Stpが5フレーム以上であると判定した場合(ステップS25:YES)には、受信した検出信号Stpに含まれるバルブID及び検出情報を情報Aとしてメモリ4aに仮記憶する(ステップS26)。ここで、情報AのバルブIDを仮ID[n]とする。続いて、制御装置4は、増圧操作が行われて、検出信号Stpが送信されるので、検出信号Stpを受信したか否かを判定する(ステップS27)。そして、制御装置4は、検出信号Stpを受信していないと判定した場合(ステップS27:NO)には、ステップS27に移行して、検出信号Stpを受信するまで待機する。
【0071】
一方、制御装置4は、検出信号Stpを受信したと判定した場合(ステップS27:YES)には、受信した検出信号StpのバルブIDが仮記憶した情報AのバルブIDと同一であるか否かを判定する(ステップS28)。そして、制御装置4は、情報AのバルブIDと同一でないと判定した場合(ステップS28:NO)には、受信データが条件1を満たすとともに、5フレーム以上であるか否かを判定する(ステップS31)。例えば、別のタイヤバルブ3から送信された検出信号Stp等を受信した場合に、受信データのバルブIDが異なる。
【0072】
制御装置4は、受信データが条件1と、5フレーム以上との全てを満たさないと判定した場合(ステップS31:NO)には、ステップS27に移行して、検出信号Stpを受信するまで待機する。例えば、別のタイヤバルブ3から送信された検出信号Stp等を受信した場合に、受信データが条件1を満たさなかったり、5フレーム未満であったりする。
【0073】
一方、制御装置4は、受信データが条件1と、5フレーム以上との全てを満たすと判定した場合(ステップS31:YES)には、情報Aを新たに受信した検出信号Stpに含まれる検出情報に書き換える(ステップS32)。すなわち、制御装置4は、登録すべきタイヤバルブ3とは異なるタイヤバルブの情報をメモリ4aに記憶していたとして、情報Aを新たに受信した情報に書き換える。そして、制御装置4は、ステップS27に移行して、検出信号Stpを受信するまで待機する。
【0074】
ステップS28において、制御装置4は、情報AのバルブIDと同一であると判定した場合(ステップS28:YES)には、新たに受信した検出信号Stpに含まれる検出情報の圧力値が情報Aの圧力値よりも大きいか否かを判定する(ステップS29)。そして、制御装置4は、新たに受信した検出信号Stpに含まれる検出情報の圧力値が情報Aの圧力値よりも大きくないと判定した場合(ステップS29:NO)には、ステップS32に移行する。例えば、ユーザが減圧操作を継続していたときや増圧操作をまだしていないとき等に、車両1が検出信号Stpを受信しない。
【0075】
一方、制御装置4は、新たに受信した検出信号Stpに含まれる検出情報の圧力値が情報Aの圧力値よりも大きいと判定した場合(ステップS29:YES)には、受信データが条件2を満たしているか否かを判定する(ステップS30)。そして、制御装置4は、受信データが条件2を満たしていないと判定した場合(ステップS30:NO)には、ステップS27に移行して、検出信号Stpを受信するまで待機する。例えば、ユーザによる増圧操作が十分でないとき等に、条件2を満たさない。
【0076】
一方、制御装置4は、受信データが条件2を満たしていると判定した場合(ステップS30:YES)には、ステップS33に移行する。
図6に示されるように、ステップS33において、制御装置4は、本数カウンタが1,2,3のいずれかであるか否かを判定する(ステップS33)。そして、制御装置4は、本数カウンタが1,2,3のいずれかであると判定した場合(ステップS33:YES)には、次のタイヤ登録に移行することを報知するアンサーバックを開始する(ステップS34)。
【0077】
制御装置4は、アンサーバックに対してユーザが登録スイッチ7を操作したか否かを判定する(ステップS35)。そして、制御装置4は、登録スイッチ7の操作がなかった場合(ステップS35:NO)には、登録スイッチ7の操作があるまで待機する。例えば、ユーザがアンサーバックに気付いていないとき等に、登録スイッチ7の操作がない。
【0078】
一方、制御装置4は、登録スイッチ7の操作があった場合(ステップS35:YES)には、アンサーバックを停止する(ステップS36)。そして、制御装置4は、仮ID[n]をメモリ4aに仮登録する(ステップS37)。すなわち、制御装置4は、本数カウンタに一致するバルブIDをメモリ4aに仮登録する。続いて、制御装置4は、本数カウンタをn=n+1とする(ステップS38)。
【0079】
ステップS33において、制御装置4は、本数カウンタが1,2,3のいずれかでない、すなわちn=4と判定した場合(ステップS33:NO)には、メモリ4aにバルブIDが記憶されていないことを示す故障診断情報としての未登録ダイアグをセットする(ステップS39)。そして、制御装置4は、仮登録したバルブID[1]〜バルブID[4]をメモリ4aに登録する(ステップS40)。続いて、制御装置4は、故障診断情報としての未登録ダイアグをクリアする(ステップS41)。よって、登録処理を終了する。
【0080】
さて、タイヤバルブ3は、急減圧操作が行われると急減圧情報を含む検出信号Stpを通常よりも多いフレーム数で送信する。また、制御装置4は、増圧操作が行われると、先ほどより空気圧が増えた検出情報を含む検出信号Stpを通常のフレーム数で送信する。そして、制御装置4は、急減圧と、フレーム数の増加と、増圧とを検出した際に、このとき受信した検出信号StpのバルブIDをメモリ4aに登録した。このため、バルブIDを登録する際に、近くにあった他の車両から送信された急減圧情報を含む検出信号Stpを受信したとしても、自車両1のタイヤバルブ3から送信された検出信号Stpを区別することができる。よって、自車両1に装着されたタイヤ2のバルブIDを確実に登録することができる。
【0081】
以上、説明した実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)タイヤバルブ3を急減圧すると、急減圧情報を含む検出信号Stpをタイヤバルブ3が通常の送信フレーム数よりも多く送信する。また、登録モードになってからタイヤバルブに急減圧操作を行い、更に増圧操作を行うことで、登録モードになってから受信した急減圧情報が含まれた検出信号Stpを通常のフレーム数よりも多く受信するとともに、その後増圧した空気圧情報を含む検出信号Stpを受信する。そして、この検出信号Stpを自車両1に装着されたタイヤ2からの検出信号Stpと判定し、この検出信号Stpに含まれるバルブIDを登録する。よって、自車両1に装着されたタイヤ2のバルブIDを確実に登録することができる。
【0082】
(2)急減圧情報を含みながら通常のフレーム数よりも多く受信した際に、バルブIDと空気圧情報とを仮記憶したので、まず急減圧があったタイヤ2におけるバルブIDと空気圧情報とを把握することが可能となる。続いて、仮記憶したバルブIDと同一のバルブIDである際に、仮記憶した空気圧よりも増えたことを条件にバルブIDを登録するので、バルブIDを確認するだけで登録すべき検出信号Stpであるか否かを容易に判定することができる。
【0083】
(3)バルブIDが一致しながら、仮記憶した空気圧よりも減った空気圧であった場合には再度仮記憶する。よって、ID登録部4fが空気圧を仮記憶した後に、タイヤ2の減圧を継続していた場合等においても、仮記憶した空気圧より増えていないことで登録処理を止めず、再度増えた空気圧が含まれた検出信号Stpを受信することでバルブIDの登録ができる。
【0084】
(4)バルブIDが異なりながら、急減圧情報を含みつつ通常のフレーム数よりも多く受信した際に、バルブIDと空気圧情報とを再度仮記憶する。よって、仮に登録したくないタイヤから送信された検出信号Stpを受信して、急減圧情報を含みながら通常のフレーム数よりも多く受信した際に、訂正することができる。
【0085】
(5)検出信号Stpに含まれる空気圧情報の空気圧がパンクに相当する気圧である際にはバルブIDを仮記憶しないので、意図的な減圧ではなく、パンクしたことによる急減圧情報を含む検出信号Stpにおける増圧を確認することなく、バルブIDの登録処理を止めることができる。
【0086】
(6)車両1装着されたタイヤ2の数量分のバルブIDを仮登録した後に全バルブIDを登録するので、確実に登録することができる。
(7)タイヤ2の位置を順番に指定して、急減圧の操作を指示することで、指定したタイヤ位置に対応させてバルブIDを登録するので、タイヤ位置とバルブIDとを関連付けて、タイヤ2の空気圧を監視する際に、どのタイヤ2に異常があるか認識することができる。
【0087】
(8)急減圧の検出後、一定時間の間、急減圧情報を含ませた検出信号Stpを送信するので、増圧操作を行ったタイヤ2から送信される検出信号Stpを区別する際に、急減圧情報を含んでいるか否かを確認すればよいので、バルブIDによって確認するよりも容易に区別することができる。また、バルブIDの登録に関わらず、駐車中にタイヤ2がパンクして走行を開始する際に、急減圧情報を含む検出信号Stpを受信することで、タイヤ2の異常を車両1側に伝えることができる。
【0088】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記実施形態では、急減圧の検出から一定時間の間、急減圧情報を含ませてバルブ信号を送信したが、急減圧検出時にのみ急減圧情報を含ませてバルブ信号を送信してもよい。このようにすれば、急減圧が起きたそのときを確実に認識することができる。
【0089】
・上記実施形態において、タイヤ位置を指示して、急減圧操作を行わせたが、タイヤ位置を特定せず、空気圧の異常のみを通知するのであれば、タイヤ位置の指示を省略してもよい。この場合、車両1に装着されるタイヤ2の数量分のバルブIDを取得できればよい。
【0090】
・上記実施形態では、全バルブIDを仮登録した後に全バルブIDを登録したが、各バルブIDを仮登録せずに登録してもよい。
・上記実施形態では、受信データの空気圧がパンクに相当する気圧を条件2の一条件としたが、パンクに相当する気圧を条件2から除外してもよい。
【0091】
・上記実施形態では、急減圧ビットがあることを条件2の一条件としたが、急減圧ビットがあることを条件2から除外してもよい。
・上記実施形態では、バルブIDが異なりながら、急減圧情報を含みつつ通常のフレーム数よりも多く受信した際に、バルブIDと空気圧情報とを再度仮記憶した。しかしながら、バルブIDが異なった際には、登録処理を終了してもよい。
【0092】
・上記実施形態では、仮記憶したバルブIDと同一のバルブIDである際に、仮記憶した空気圧よりも増えたことを条件にバルブIDを登録した。しかしながら、仮記憶した空気圧が増えた際に、仮記憶したバルブIDと同一のバルブIDであることを条件にバルブIDを登録してもよい。すなわち、ステップS28とステップS29,S30とを逆にしてもよい。
【0093】
・上記実施形態において、ステップS24とステップS25とを逆にしてもよい。
・上記実施形態では、検出信号Stpの通常のフレーム数を4フレームとし、検出信号Stpの急減圧時のフレーム数を6フレームとしたが、通常時よりも急減圧時のフレーム数が多ければ、それぞれのフレーム数を任意に設定してもよい。
【0094】
・上記実施形態において、動作モードは、故障箇所を読み出す故障読み出しモードや、データの設定値等を書き換える書き換えモード等を必要に応じて設けてもよい。
・上記実施形態において、車両1に相互通信を行う電子キーシステムや近距離無線通信システムが並設されていてもよい。
【0095】
・上記実施形態において、特殊モードは、故障読み出しモード以外のモードでもよい。
・上記実施形態において、動作モードの切換完了を例えばアンサーバック等により通知してもよい。
【0096】
・上記実施形態において、タイヤバルブ3に搭載されるセンサ類は、実施形態に述べたものに限定されず、適宜変更してもよいし、追加してもよい。
・上記実施形態において、タイヤバルブ3は、加速度センサ35がタイヤ2の回転を検出したときに検出信号Stpを送信するものに限定されない。例えば、タイヤバルブ3が検出信号Stpを常時送信するものでもよい。
【0097】
・上記実施形態では、タイヤバルブ3からUHF帯の電波で検出信号Stpを送信するようにしたが、UHF帯に限らず、LF帯やHF(High Frequency)帯等の他の周波数帯を用いてもよい。
【0098】
・上記実施形態では、タイヤバルブ3と受信機5との通信をUHF帯の電波で行ったが、同じ周波数帯ではなく異なる周波数帯を用いてもよい。
・上記実施形態において、タイヤ空気圧監視システムは、イニシエータによる起動信号でタイヤバルブ3を起動して検出信号Stpを送信するイニシエータ型であってもよい。
【0099】
・上記実施形態において、受信機5は、制御装置4に一体に組み込まれた構成としてもよい。
・上記実施構成を用いれば、初期化や故障診断時も応用可能である。
【0100】
・上記実施形態では、登録スイッチ7を操作することでID登録モードに設定したが、登録スイッチ7を操作することに限らず、それ以外でもよい。
【符号の説明】
【0101】
1…車両、2…タイヤ、3…タイヤバルブ、4…制御装置、4a…メモリ、4b…ID照合部、4c…急減圧監視手段としての急減圧監視部、4d…フレーム数監視手段としてのフレーム数監視部、4e…増圧監視手段としての増圧監視部、4f…登録手段としてのID登録部、4g…モード設定部、5…受信手段を構成する受信機、6…表示装置、7…登録スイッチ、31…バルブ制御部、31a…メモリ、31b…急減圧検出手段としての急減圧検出部、31c…送信手段を構成する急減圧通知部、32…UHF発信部、33…圧力センサ、34…温度センサ、35…加速度センサ、Stp…検出信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のタイヤに取り付けられたタイヤバルブから送信された空気圧情報を含むバルブ信号を、車体に設置された受信手段で受信して前記タイヤの空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システムに使用し、前記タイヤバルブのバルブIDを前記車体に設けられる制御装置に登録するバルブID登録システムにおいて、
前記タイヤバルブの急減圧を検出する急減圧検出手段と、
前記急減圧検出手段が急減圧を検出すると、前記急減圧情報を含むバルブ信号を通常のフレーム数よりも多く送信する送信手段と、
前記バルブ信号に前記急減圧情報が含まれているか否かを監視する急減圧監視手段と、
前記バルブ信号のフレーム数を監視するフレーム数監視手段と、
前記急減圧後に増圧したか否かを監視する増圧監視手段と、
自身の動作モードが登録モードとなってから受信した前記急減圧情報を含む前記バルブ信号が通常のフレーム数よりも多く受信するとともに、前記急減圧情報を含む前記バルブ信号と同一のバルブIDを含むバルブ信号の空気圧情報の空気圧が増えていた際に、前記車両に装着された前記タイヤからの前記バルブ信号であると判定して前記バルブIDの登録を行う登録手段と、を備えた
ことを特徴とするバルブID登録システム。
【請求項2】
請求項1に記載のバルブID登録システムにおいて、
前記登録手段は、前記急減圧情報を含む前記バルブ信号を通常のフレーム数よりも多く受信した際に、当該バルブ信号のバルブIDと空気圧情報とを仮記憶し、仮記憶したバルブIDと同一のバルブIDを含むバルブ信号を受信した際に、受信したバルブ信号の空気圧が仮記憶した空気圧よりも増えたことを条件に仮記憶したバルブIDを登録する
ことを特徴とするバルブID登録システム。
【請求項3】
請求項2に記載のバルブID登録システムにおいて、
前記登録手段は、前記仮記憶したバルブIDと同一のバルブIDを含むバルブ信号を受信した際に、受信したバルブ信号の空気圧が仮記憶した空気圧よりも減ったことを条件に空気圧情報を再度仮記憶する
ことを特徴とするバルブID登録システム。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のバルブID登録システムにおいて、
前記登録手段は、前記仮記憶したバルブIDと異なるバルブIDを含むバルブ信号を受信した際には、前記急減圧情報を含むバルブ信号を通常のフレーム数よりも多く受信したことを条件に受信したバルブ信号のバルブIDと空気圧情報とを再度仮記憶する
ことを特徴とするバルブID登録システム。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載のバルブID登録システムにおいて、
前記登録手段は、前記バルブ信号に含まれる前記空気圧情報の空気圧がパンクに相当する気圧である際は、当該バルブ信号のバルブIDを仮記憶しない
ことを特徴とするバルブID登録システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のバルブID登録システムにおいて、
前記登録手段は、前記車両に装着された前記タイヤからの前記バルブ信号であると判定した際に前記バルブIDを1本ずつ仮登録し、前記車両に装着された前記タイヤの数量分の前記バルブIDを仮登録した際に全バルブIDを登録する
ことを特徴とするバルブID登録システム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のバルブID登録システムにおいて、
前記登録手段は、前記登録モードになると、前記タイヤの位置を順番に指定して、急減圧の操作を指示することで、指定したタイヤ位置に対応させてバルブIDを登録する
ことを特徴とするバルブID登録システム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のバルブID登録システムにおいて、
前記タイヤバルブは、前記急減圧を検出すると、一定時間の間、前記バルブ信号に前記急減圧情報を含ませて送信する
ことを特徴とするバルブID登録システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−43543(P2013−43543A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182483(P2011−182483)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)