説明

バルブ

【課題】取り付けコストおよび組み立てコストを実質的に低減することができる、液体塗布用の計量バルブを提供する。
【解決手段】計量バルブは、液滴を吐出することができる閉鎖可能な吐出口4を備え、電磁的な輻射を生成する例えばLEDダイオードまたはレーザ・ダイオードの形式の輻射源10と、ミラー9と、レンズ7とを含んでいるビーム装置を備えている。可視光領域の輻射1である場合、計量バルブを組み立ておよびアライメントする際に、所望のターゲット位置に液滴が正確に当たるように調整するための補助として可視光を利用することができるので、とりわけ簡便な方法で計量バルブの調整を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体塗布用の計量バルブであって、クロージャ要素によって閉鎖でき、バルブが開放された時に液滴を吐出する吐出口を備える、計量バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
上述したバルブとしては、先行技術、例えばその内容の全体を参照によって本発明の対象とする独国特許出願公開公報(DE 10 2007 020 361 A1)より知られている。上述した計量バルブは、自動生産および生産技術において、少量、極少量の範囲の液体や糊状媒体を塗布するために使用されている。この点において、任意の液体または糊状媒体は、粘度が高いものも低いものも、本出願においては液体という。液体を塗布するためには、バルブ内において液体を加圧し、バルブの小さな開口から液滴を吐出する。上記液滴は、吐出口と表面との間の空中を通過して流されて、速度を有したまま表面に塗布される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第102007020361号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の種類の計量バルブでは、計量バルブを動作させずに液滴の衝突点の正確な位置を認識することができないため、バルブの組み立てに度々時間がかかってしまう。上述したように計量バルブを動作させることは、例えば接着剤などの媒体を使用する際には望ましいものではない。
【0005】
本発明は、請求項1のプリアンブル部に従う計量バルブにおいて、取り付けコストおよび組み立てコストを実質的に低減することができる、計量バルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、請求項1の特徴、具体的には、液滴が吐出される領域に電磁的な輻射のビームを生成するビーム装置を備えるバルブよって充足される。可視光領域の輻射である場合、計量バルブを組み立ておよびアライメントする際に、所望のターゲット位置に液滴が正確に当たるように調整するための補助として可視光を利用することができるので、とりわけ簡便な方法で計量バルブの調整を行うことができる。
【0007】
本発明の有利な実施形態を、発明の詳細な説明、図面および従属請求項をもって説明する。
【0008】
第1の有利な実施形態によれば、ビーム装置の光軸と液滴の吐出方向とは実質的に一致する。生成された光ビームまたは光スポットが液滴の軌道に対応しているため、特に簡単な方法で計量バルブの調整を行うことができる。
【0009】
ビーム装置が、液滴を吐出する領域に可視のマーキングを生成する光源およびレンズを備えると、より有利な場合がある。上記マーキングは、例えば、所望のターゲットに正確に当たるように計量バルブを組み立てまたは調整する際の補助となる光スポットとすることができる。
【0010】
ビーム装置が、バルブの少なくとも一部が延びたレンズを備えると、とりわけコンパクト化のため有利である。したがって、例えば、計量バルブの一部が通って延びる横向きの切り欠きが設けられた円形レンズを使用することができる。これによって、計量バルブの吐出口の方向にレンズの光軸をオフセットすることが追加的に可能となる。同時に、レンズに設けられた切り欠きのため光スポットの像をより明瞭化できるので、より精密な位置決めが可能とされる。
【0011】
さらに、計量バルブが、一端で吐出口に開口し、ビーム装置の光軸を横切る偏向区画を備える液体通路を有する場合には、さらなる効果がもたらされる。上述した手法では、計量すべき液体をビーム装置の光軸の領域に誘導することができるので、液滴は、ビーム装置の光軸または本質的に光軸の領域にある飛跡をカバーすることが可能となる。
【0012】
さらに有利な実施形態によれば、光のマーキングは、構造が付与された光スポットを含むことができる。上述した構造とは、例えば、センサまたは人間の目による容易かつ高精度な調整を可能とする、非対称の光スポット、分割された光スポットまたは他の構造が付与された光の領域をいう。上述のような一定の構造を与える光のスポットは、液滴が当たるべき表面上に、例えばギャップを有する形状要素が生成されるように、レンズの特定の部分を覆ったり、ノッチを設けたりすることにより、生成することができる。
【0013】
さらに有利な実施形態に従えば、計量バルブは、ビーム装置の補助により衝突点を容易に認識できるので、手で扱うことができるハンドヘルド装置として製作することができ、この結果、操作者が集束する光スポットと所望の衝突点とを一致させるように計量バルブを保持すれば、液滴もまた位置決めできる。
【0014】
さらに有利な実施形態によれば、ビーム装置は、液滴が吐出される領域に不可視スペクトル領域の輻射を放射する輻射源を有することができる。この実施形態においては、輻射源の補助によって、光活性のある液体に対して能動的に影響を与えることができる。例えば、UV輻射により硬化する接着剤は、液滴の塗布後にUV輻射のパルスを作用させると、接着ポイントの硬化を加速させることができる。同様に、赤外スペクトルまたは他の波長領域にある輻射パルスを、塗布された液滴に導くことも可能である。
【0015】
上述した種類の計量バルブを動作させるための本発明による方法においては、塗布された液滴に物理的に作用し得る可視スペクトルまたは不可視スペクトルの輻射を、バルブの制御の後、かつ液滴の吐出の後に、吐出された液滴に向けて導くことができる。
【0016】
本発明について、以下、純粋な一実施例として、有利な実施形態および添付した図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】計量バルブを通過する断面図。
【図2】図1の計量バルブの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示す計量バルブは、加圧された液体を吐出ノズル4へとガイドするための液体流路15が設けられたハウジング16を備えており、液体通路15は、バルブ・ニードル6によってシーリング・シート3に向けて押圧されたシーリング・ボール5の形状とされたクロージャ要素を備えている。図1のバルブ・ニードル6は、レバー11を介してピエゾ駆動装置12によって既知の仕方で垂直方向に上下する。ピエゾ駆動装置12は、クランプネジ13を用いてハウジング16に固定されているので、シーリング・ボール5は、シーリング・シート3から周期的に持ち上げられ、加圧された液体が、液滴の形状でノズル4から吐出される。
【0019】
図1に示す計量バルブは、さらに、ビーム装置を備えており、このビーム装置は、図示する実施形態では、例えばLEDダイオードまたはレーザ・ダイオードの形式の輻射源10と、ミラー9と、レンズ7とを含んでいる。可視または不可視の輻射1は、光源10からミラー9の方向に放射され、そこで約90度偏向されて、実質的に円形のレンズ(図2を参照。)7へ導かれる。輻射1は、その後、レンズ7によって集束され、ビーム装置の光軸Oに沿って表面20上に導かれる。この点に関していえば、光軸Oは、吐出される液滴の飛跡と同軸、すなわち、吐出ノズル4の中心軸と光軸Oとが実質的に同軸に延びることになる。
【0020】
図1および図2から明らかなように、レンズ7は、環状の中央部ウェブを備える円形のプラスチックレンズであり、概ねV形状の切り欠き18を備えており、この切り欠き18を通して、レバー11と、ニードル締結部8と、バルブ・ニードル6とが延びている。レンズには、ダイアフラム19が均等に設けられており、このダイアフラム19は、また、計量バルブの調整を容易にするために表面20上に生成される形状要素におけるギャップなどを形成するため、ノッチなどの形状として形成することができる。
【0021】
参照記号14は、ピエゾ駆動装置および光源10のための電気的接続を示す。
【0022】
図1から明らかなように、さらに、液体流路15は、まず、シーリング・ボール5で閉鎖されたシーリング・シート3へと、その一端が開口する。このシーリング・シートには、横方向通路22が連結している。この横方向通路は、シーリング・シート・キャリア2に形成されていて、バルブ・ニードル6の中心軸へと横方向に延びている。同時に、横方向流路22は、光軸Oを直角に横切り、ノズル4が、交差ポイントの領域に設けられていて、これに対し、ノズル4は、横方向通路22へと横方向に延びている。上述したように、横方向流路22は、したがって偏向流路を提供し、液滴の吐出ポイントを光軸O上に設定させている。
【0023】
光源10により生成されるライト・ポイントは、取付、調整、または上述した計量バルブのアライメントのために使用することができる。光源10とレンズ7との間の離間は、それぞれの液体の塗布について最適となるように、焦点17が表面20上の液滴の衝撃ポイントと一致するように、すなわち、ノズル4と表面20との間の理想的な離間は、合焦した光マーキングが所望の衝撃ポイントとなるように計量バルブをアライメントするようにして、計量バルブの製造に際して、偏向ミラー9を考慮しながら選択される。
【0024】
上述した計量バルブが据え付けマウントされた場合、さらに液滴がターゲットの表面20を衝撃した後に輻射源10を起動させ、光活性を有する液体に影響を与えるために利用することができる。例えば、UV輻射パルスで液滴を照射して、液滴を加速的に硬化させることができる。
【符号の説明】
【0025】
1…輻射、2…シーリング・シート・キャリア、3…シーリング・シート、4…吐出ノズル、5…シーリング・ボール、6…バルブ・ニードル、7…レンズ、8…ニードル締結部、9…ミラー、10…輻射源、11…レバー、12…ピエゾ駆動装置、13…クランプネジ、14…電気的接続、15…液体流路、16…ハウジング、17…焦点、18…切り欠き、19…ダイアフラム、20…表面、22…横方向通路、O…光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロージャ要素(5)によって閉鎖でき、バルブの開成に応じて液滴を吐出する吐出口(4)を備える、液体塗布用の計量バルブであって、
前記バルブは、液滴が吐出される領域に電磁的な輻射のビームを生成する、ビーム装置を備えることを特徴とする、計量バルブ。
【請求項2】
前記ビーム装置の光軸(O)と液滴の吐出方向とが実質的に一致することを特徴とする、請求項1に記載の計量バルブ。
【請求項3】
前記ビーム装置が、前記液滴が吐出される領域に可視のマーキングを生成するための光源(10)およびレンズ(7)を備えることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の計量バルブ。
【請求項4】
前記ビーム装置が、前記バルブの少なくとも一部(6,11)が通って延びるレンズ(7)を備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の計量バルブ。
【請求項5】
前記ビーム装置が、前記バルブの一部(6,11)が配置される横方向の切り欠き(18)を有するレンズ(7)を備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の計量バルブ。
【請求項6】
一端で前記吐出口(4)に開口する液体流路(15)を有し、前記液体流路が、前記ビーム装置の前記光軸と交差する偏向セクション(22)を有することを特徴とする、上請求項1〜5のいずれか1項に記載の計量バルブ。
【請求項7】
光のマーキングが、構造を有する光のスポットを含むことを特徴とする、請求項3〜5のいずれか1項に記載の計量バルブ。
【請求項8】
手操作可能なハンドヘルド装置として製作されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の計量バルブ。
【請求項9】
前記ビーム装置が、前記液滴が吐出される領域に不可視スペクトルの輻射を伝搬させる輻射源(10)を備えることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の計量バルブ。
【請求項10】
前記ビーム装置は、輻射パルスを生成することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の計量バルブ。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の計量バルブを動作するための方法であって、バルブの起動の後であって液滴の吐出の後に、吐出された液滴を輻射で照射することを特徴とする、方法。
【請求項12】
前記輻射は、UV輻射であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記輻射は、パルス化されていることを特徴とする、請求項11または請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ターゲット表面上に液滴が衝突した時にだけ、該液滴を、輻射で照射することを特徴とする、請求項11、請求項12または請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−261594(P2010−261594A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−108338(P2010−108338)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(508131370)マルコ システムアナリューゼ ウント エントヴィックルング ゲーエムベーハー (2)
【氏名又は名称原語表記】MARCO SYSTEMANALYSE UND ENTWICKLUNG GmbH
【Fターム(参考)】