バルーンカテーテルデバイス
弾性カバー(10)によって実質的に包囲されているバルーン長を有するバルーンカテーテル(11)が提供される。当該バルーン及び当該カバーは、膨張中にバルーン長に沿って実質的に円形の断面を維持する。当該断面が、膨張中にバルーンの長さに対して均一な大きさを維持することを可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な外科的医療行為で用いられるカテーテルバルーンに関し、さらにはカテーテルバルーンと共に用いられるバルーンカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な形態のバルーンカテーテルは、多くの外科的な医療行為で通常用いられる。これらのデバイスは、例えば血管のような患者の身体導管を通って案内することができる薄いカテーテルチューブとカテーテルチューブの遠位端に配置される膨張バルーンを含む。膨張の好ましい程度まで液(例えば、水又は食塩水)を満たすことによってバルーンを膨張してその後注射器の中に液を戻すことによってバルーンを収縮することができる液充填注射器又は同様なデバイスの使用によって、バルーンの作動は完成する。
【0003】
使用において、医師は好ましい位置にバルーンカテーテルを案内し、そしてその後、好ましい結果(例えば、閉塞を除去する、又はある他のデバイスを設定若しくは作動する)を得るためにバルーンを拡張するであろう。一旦、処置が完了すると、その後バルーンは収縮して血管から取り出される。
【0004】
バルーンカテーテルデバイスは主な二つの形態がある。血管形成術用カテーテルは、一般的には圧縮して折りたたまれた比較的強度はあるが非弾性材料(例えばポリエステル)からさ作製された小さな直径断面であるバルーンを用いる。これらの比較的硬いカテーテルは、血管内の硬質な沈着物を圧縮するために用いられる。強さと硬さが必要であるために、これらのデバイスは、高圧、通常、見積もられる直径次第ではあるが約8気圧から12気圧までは問題ないように見込まれる。限界を超えた加圧のために破裂するまで、これらのデバイスが見込まれた直径まで膨張してこの直径を超えたところで膨張しないだろうという点で、これらのデバイスは直径に関しては自己制限的になる傾向がある。バルーンの非弾性材料が一般的には沈着物を圧縮することに効果的であるが、それは、収縮時に不規則につぶれて平板化したしわのある袋を残し、さらにはバルーンが最初に設置された時よりも断面積がより大きくなるという傾向になる。膨張とその後の収縮において、平板化した断面となる傾向のため、デバイスの収縮した最大幅は、見込まれた直径に円周率をかけた値の半分に相当するディメンションを見積もる傾向になる。この増大して、しわのある袋は、特に、小さな導管から取り除くためには困難をきたすであろう。さらに、これらのバルーンは非弾性材料から作製されているので、収縮を完了する時間が、弾性バルーンよりも本質的に遅くなる。
【0005】
反対に、塞栓摘出術用カテーテルは、バルーンとして、軟らかくたいへん弾性的な材料(例えばナチュラルラバーラテックス)を用いる。これらのカテーテルは、血栓のような軟質な沈積物を取り除くために用いられ、その沈積物の場合にラテックスのような軟らかくて粘着性のある材料が効果的な抽出手段を提供する。一般的には、ラテックス及びその他の高い弾性材料は、材料がバーストするまで、内部圧が増大する状況下で連続的に延伸するであろう。結果として、好ましいサイズまで適切に膨張する目的のために、一般的にはこれらのカテーテルは容量(例えば、0.3cc)で見積もられる。比較的脆いが、これらのカテーテルは、膨張とその後の収縮の後に当初のサイズとディメンションに迅速に戻る傾向である利点を有している。
【0006】
弾性及び非弾性材料の両方で構成されている幾つかのカテーテルバルーンは、以前に述べられている。米国特許4706670号は、弾性チューブで作製されて縦方向に非弾性フィラメントで補強したシャフトで構成されたバルーン膨張カテーテルを述べている。このデバイスは、バルーンが膨張した場合に、バルーン部分長の縮小の補正を可能とするようにシャフトに可動部を組み込む。この構造はバルーンの膨張と収縮を促進する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
バルーンは広く用いられているが、現在利用可能なデバイスは、多くの欠点を抱えている。第一に、よく指摘されるように、バルーン構造の最も強度を有する材料は比較的非弾性の傾向である。膨張とその後の収縮で起こる、非弾性材料から作製されたカテーテルバルーンの平板化は、収縮したカテーテルの抽出及び経路決定を幾分困難にする。反対に、高い弾性材料は収縮時に優れた回復を有するが、膨張した時に特に強くなく、さらに圧力が増大するにも関わらず最大の見積もられた直径に対して自己制限的ではない。このことは、これらのデバイスで適用される圧力の大きさを厳しく制限することになる。また、これらのデバイスの膨張直径を制御することは幾分困難である。
【0008】
第二に、カテーテルが導管の中に他のあるデバイスを運搬するために利用される場合に、そのデバイスの留置を妨げることなく、そのデバイスとカテーテルバルーンのスムーズな分離が起こることが特に重要である。これらの場合に、上記に述べられた二つのカテーテルデバイスは理想的ではない。当初のサイズまで完全に縮小しないバルーンは、留置の問題を起こし、さらに導管若しくはバルーンに損傷さえをも起こして、デバイスに障害を起こす可能性がある。同様に、粘性材料から構成されるバルーンの使用も、障害の問題やデバイスの可能性のある変位を引き起こすであろう。一般的には、ラテックスバルーンは、デバイス留置に対しては強度的に不充分と考えられる点で留置のためには利用されない。従って、本発明の主な目的は、最初の設置においては小さくて滑りやすく、配置に対しては強固であるカテーテルバルーンであって、そして、収縮後の除去とさらなる経路決定を容易にするために圧縮したサイズとディメンションに戻るバルーンを作製することである。また、膨張と収縮のサイクルを繰り返した後でさえ、当初の圧縮した膨張前サイズに近似することになるだろうカテーテルバルーンを提供することが好ましいと考えられる。本発明の他の主な目的は弾性バルーンを強化することであり、膨張を制限的にすることをバルーンに対して提供することであり、滑り性のある外表面をバルーンに対して提供することである。ここにおいての「収縮」の用語は、膨張に続いて起こる状況を述べるために使われる。「膨張前」は最初の膨張前の状況を述べるために使われる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、様々な外科的な医療行為に用いられる改良されたバルーンカテーテルデバイスである。本発明のバルーンカテーテルデバイスは、カテーテルチューブの一つの端部の膨張性及び収縮性バルーンに結び付けられた連続的なルーメンを有するカテーテルチューブを含む。カテーテルチューブは、他の目的を達成する追加的なルーメンを有してもよい。そのバルーンは、従来のPTAカテーテルバルーンと同じかそれとも大きなバースト強度を有することができる。そのバルーンはまた、従来のPTAカテーテルバルーンと同様な形態で最大の膨張直径を有する。本発明のバルーンは、収縮した時に膨張前とほぼ同一の最大直径であるラッテクスバルーンの回復特性を提供する。このことは、次に続く平板化して不規則な断面の収縮を想定するので、膨張前最大直径よりもずっと大きい収縮最大直径を有する従来のPTAバルーンよりも容易にそのバルーンは次の収縮に持ちこたえることが可能である。また、そのバルーンは、挿入や回収を助けるスムーズで滑らかな表面を有する。カテーテルシャフトの可動部又はある他のメカニカルな補助形態を有さないバルーンカテーテルはこれまで商業的に利用できなかったが、本発明のバルーンは、小さなサイズで作製された時でさえ上記特性の全てを有する。本発明はシャフトの可動部分及びバルーン収縮を補助する関連器材の必要性を排除することができる。
【0010】
本発明は、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFE)材料及び弾性材料から作製される。PTFEは、好ましくは、米国特許3953566号と4187390号によって教示されているように作製され、これらの米国特許は、本願において引用により援用される。弾性要素の追加前に多孔性PTFEチューブを縦方向に圧縮する、追加的で選択的な構造工程により、さらにメカニカルな補助形態を必要としないで、高圧バルーン構造を可能とするようにバルーン又はバルーンカバーの長さが充分に変化することができる。特に小さいサイズ(脳、腎臓、及び肝臓手術に存在するような小さい曲がりくねった経路を含む適用において有用である)は、別個独立の弾性部材を用いる代わりに、シリコーン接着剤、シリコーンエラストマー、シリコーン分散物、ポリウレタン、又は他の適切な弾性材料を有する多孔性PTFEチューブの含浸によりバルーンの壁厚を減らすことによって達成することができる。含浸は多孔性PTFEの多孔部を少なくとも部分的に満たすことを含む。多孔部(空隙)は、PTFE材料によって占められていないPTFE材料のバルク容積内(多孔性PTFE材料の全長、全幅、及び全厚み内)における空間又は容積であると考えられる。バルーンが、多孔性PTFEを有する積層関係にある別個独立チューブ状の弾性基材を使用することによるか、又は弾性材料で多孔性PTFEの空隙を含浸することによるか、又はそれらの両方の方法によるかによって有効な圧力で液密である目的のために、バルーンが少なくとも部分的に構成する多孔性PTFE材料の空隙が、実質的に封印されてもよい。米国特許5519172号は、エラストマーで多孔性PTFEを含浸することについて詳細に教示する。この特許が主に、導電体の保護のための外装材の構成について述べているという点で、カテーテルバルーンのようなin vivo使用のため、述べられた様々な材料の各々は、材料の安定性を考慮しなければならない。
【0011】
バルーンは、完成した独立型のバルーンとして、ここにおいて述べられる材料から作製さてよく、又は代替的に従来のポリエステルPTAバルーン若しくはラテックス塞栓摘出術用バルーンの何れか一方のためのカバーとして作製されてもよい。本発明のバルーンカバーの使用は、形態に関わらず、従来のPTAバルーンの最良の特性を備えるバルーンカバーを提供し、PTA医療行為のための弾性バルーンの使用が実現可能となる。すなわち、バルーンカバーは、高いバースト強度、所定の最大直径、収縮後に膨張前サイズまで実質的に回復する能力、及び滑らかな外表面(弾性材料がバルーンの外表面上に存在するようにバルーンを構成することが望まれないならば)を有するであろう。バルーンカバーは、弾性材料の破裂の危険度を実質的に減らす。さらに、万一、基本構成となるバルーンの破裂が起きるなら、バルーンカバーの存在が、破裂したバルーンの破片を封じ込むのに役に立つであろう。さらにまた、本発明のバルーンとバルーンカバーは、PTAバルーンの収縮の速度を早くすることが可能であり、それによって膨張バルーンが存在する導管をそのバルーンが塞ぐ時間を減らすことができる。
【0012】
本発明はまた、導管及び側枝の拡張又は、導管又はその側枝に特別な力を与えずに導管及びその側枝内のプロステーシスさえの拡張をも可能とする。さらに、プロステーシスの端部を膨らませることにも有用であることが示され、それによって、プロステーシスの端部の不都合な収縮を避けることができる。プロステーシスは、拡張中に公知技術のバルーンの長さ方向に沿って滑ることができてしまうが、本発明は、そのような滑りの程度を減らすだけでなく、グラフトの端部において、公知材料よりもより大きな直径を作り出すために利用することもできる。
【0013】
また、本発明のバルーン及びバルーンカバーは、外的制約条件がなく、膨張と収縮中に実質的に円形な断面を維持する。さらに、本発明のバルーン及びバルーンカバーは、長さ方向において他の部分よりもある部分においてより低い圧力で膨張するように設計することが可能である。例えば、これは、バルーンの長さに沿って拡張することの抑制を大きくする目的でバルーンの長さ方向に沿ってエラストマー含有物の厚みを変更することによって達成することができる。代替的に、同様な効果を達成する目的で、基材チューブが壁厚を変更して構成されてもよく、又は螺旋状に適用されるフィルムの量を変更して、チューブ長に沿って適用されてもよい。
【0014】
本発明によるバルーンカテーテルは、対向する固定手段によってカテーテルに取り付けられた対向端部を有する。バルーンは、対向する固定手段間の測定長を有し、そして、バルーンが収縮状態の場合とバルーンが8気圧の圧力まで膨張する場合との間で、その長さは、好ましくは10パーセント未満であり、さらに好ましくは5パーセント未満である。
【0015】
また、本発明のバルーンは、バルーン膨張圧を超えた圧力で液を溶出するように構成することもできる。そのようなバルーンは導管内で薬剤を運搬するのに利用することができるであろう。
【0016】
本発明のカテーテルバルーンは、グラフト運搬、グラフト拡張、ステント運搬、ステント拡張、及び血管形成を含んだ、様々な外科的脈管処置に特に有用であると考えられる。そして、様々な他の外科的処置、例えば、治療期間中、筋肉コンディショニング期間中、及び大動脈内バルーンとして骨格筋左室補助装置をサポートすることに対して追加的に利用をしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】図1Aは、本発明のバルーン又はバルーンカバーを形成するチューブ構成部材の製造を描写した斜視図である。
【図1B】図1Bは、本発明のバルーン又はバルーンカバーを形成するチューブ構成部材の製造を描写した斜視図である。
【図1C】図1Cは、本発明のバルーン又はバルーンカバーを形成するチューブ構成部材の製造を描写した斜視図である。
【0018】
【図2】図2は、膨張した時に外観として現されるチューブ構成部材を描写した斜視図である。
【0019】
【図3A】図3Aは、エラストマーを備えていない本発明のバルーンカバーの縦断面図を描写する。
【図3B】図3Bは、エラストマーを備えていない本発明のバルーンカバーの縦断面図を描写する。
【0020】
【図4A】図4Aは、エラストマー層を組み込んだ本発明のバルーンカバーの縦断面図を描写する。
【図4B】図4Bは、エラストマー層を組み込んだ本発明のバルーンカバーの縦断面図を描写する。
【0021】
【図5A】図5Aは、図4Aと4Bのバルーンカバーと同一材料の構成を有する本発明のカテーテルバルーンの縦断面図を描写する。
【図5B】図5Bは、図4Aと4Bのバルーンカバーと同一材料の構成を有する本発明のカテーテルバルーンの縦断面図を描写する。
【0022】
【図6A】図6Aは、エラストマー層の代わりに非弾性材料を用いて、図5Aと5Bによって描写されるタイプのカテーテルバルーンの縦断面図を描写する。
【図6B】図6Bは、エラストマー層の代わりに非弾性材料を用いて、図5Aと5Bによって描写されるタイプのカテーテルバルーンの縦断面図を描写する。
【図6C】図6Cは、エラストマー層の代わりに非弾性材料を用いて、図5Aと5Bによって描写されるタイプのカテーテルバルーンの縦断面図を描写する。
【0023】
【図7】図7は、収縮バルーンの圧縮効率比がどのように決定されるかを示す、平板化して収縮した血管形成術用バルーン長の中心点における横断面を示す。
【0024】
【図8】図8は、ディアルルーメンカテーテルのシャフトに取り付けられたバルーンであって、そのバルーンが、バルーンの縦軸に対して実質的に平行に配置された第一のPTFEマンドレル及び縦軸に対して円周方向に配置された第二のPTFEマンドレルを備え、そのPTFEマンドレルがエラストマーに含浸される、バルーンの縦断面を示す。
【0025】
【図8A】図8Aは、図8の実施態様に対して代替の実施態様であって、膨張中のバルーンが、長さ方向において、第二部分よりも第一部分でより大きな直径を示す実施態様の縦断面を示す。
【0026】
【図9】図9は、本発明のバルーンカテーテルの近位端の断面を示す。
【図9A】図9Aは、本発明のバルーンカテーテルの近位端の断面を示す。
【0027】
【図10A】図10Aは、本発明のバルーンカテーテルの代替の実施態様の構成であって、バルーンが、積層関係にある弾性材料と多孔性PTFE材料の別個独立な基材層を備え、各々の基材材料の各々の端部が、別個独立な巻き付け多孔性PTFEフィルムによって独立に取り付けられる、構成を示す。
【図10B】図10Bは、本発明のバルーンカテーテルの代替の実施態様の構成であって、バルーンが、積層関係にある弾性材料と多孔性PTFE材料の別個独立な基材層を備え、各々の基材材料の各々の端部が、別個独立な巻き付け多孔性PTFEフィルムによって独立に取り付けられる、構成を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な外科的医療行為で用いられるカテーテルバルーンに関し、さらにはカテーテルバルーンと共に用いられるバルーンカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な形態のバルーンカテーテルは、多くの外科的な医療行為で通常用いられる。これらのデバイスは、例えば血管のような患者の身体導管を通って案内することができる薄いカテーテルチューブとカテーテルチューブの遠位端に配置される膨張バルーンを含む。膨張の好ましい程度まで液(例えば、水又は食塩水)を満たすことによってバルーンを膨張してその後注射器の中に液を戻すことによってバルーンを収縮することができる液充填注射器又は同様なデバイスの使用によって、バルーンの作動は完成する。
【0003】
使用において、医師は好ましい位置にバルーンカテーテルを案内し、そしてその後、好ましい結果(例えば、閉塞を除去する、又はある他のデバイスを設定若しくは作動する)を得るためにバルーンを拡張するであろう。一旦、処置が完了すると、その後バルーンは収縮して血管から取り出される。
【0004】
バルーンカテーテルデバイスは主な二つの形態がある。血管形成術用カテーテルは、一般的には圧縮して折りたたまれた比較的強度はあるが非弾性材料(例えばポリエステル)からさ作製された小さな直径断面であるバルーンを用いる。これらの比較的硬いカテーテルは、血管内の硬質な沈着物を圧縮するために用いられる。強さと硬さが必要であるために、これらのデバイスは、高圧、通常、見積もられる直径次第ではあるが約8気圧から12気圧までは問題ないように見込まれる。限界を超えた加圧のために破裂するまで、これらのデバイスが見込まれた直径まで膨張してこの直径を超えたところで膨張しないだろうという点で、これらのデバイスは直径に関しては自己制限的になる傾向がある。バルーンの非弾性材料が一般的には沈着物を圧縮することに効果的であるが、それは、収縮時に不規則につぶれて平板化したしわのある袋を残し、さらにはバルーンが最初に設置された時よりも断面積がより大きくなるという傾向になる。膨張とその後の収縮において、平板化した断面となる傾向のため、デバイスの収縮した最大幅は、見込まれた直径に円周率をかけた値の半分に相当するディメンションを見積もる傾向になる。この増大して、しわのある袋は、特に、小さな導管から取り除くためには困難をきたすであろう。さらに、これらのバルーンは非弾性材料から作製されているので、収縮を完了する時間が、弾性バルーンよりも本質的に遅くなる。
【0005】
反対に、塞栓摘出術用カテーテルは、バルーンとして、軟らかくたいへん弾性的な材料(例えばナチュラルラバーラテックス)を用いる。これらのカテーテルは、血栓のような軟質な沈積物を取り除くために用いられ、その沈積物の場合にラテックスのような軟らかくて粘着性のある材料が効果的な抽出手段を提供する。一般的には、ラテックス及びその他の高い弾性材料は、材料がバーストするまで、内部圧が増大する状況下で連続的に延伸するであろう。結果として、好ましいサイズまで適切に膨張する目的のために、一般的にはこれらのカテーテルは容量(例えば、0.3cc)で見積もられる。比較的脆いが、これらのカテーテルは、膨張とその後の収縮の後に当初のサイズとディメンションに迅速に戻る傾向である利点を有している。
【0006】
弾性及び非弾性材料の両方で構成されている幾つかのカテーテルバルーンは、以前に述べられている。米国特許4706670号は、弾性チューブで作製されて縦方向に非弾性フィラメントで補強したシャフトで構成されたバルーン膨張カテーテルを述べている。このデバイスは、バルーンが膨張した場合に、バルーン部分長の縮小の補正を可能とするようにシャフトに可動部を組み込む。この構造はバルーンの膨張と収縮を促進する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
バルーンは広く用いられているが、現在利用可能なデバイスは、多くの欠点を抱えている。第一に、よく指摘されるように、バルーン構造の最も強度を有する材料は比較的非弾性の傾向である。膨張とその後の収縮で起こる、非弾性材料から作製されたカテーテルバルーンの平板化は、収縮したカテーテルの抽出及び経路決定を幾分困難にする。反対に、高い弾性材料は収縮時に優れた回復を有するが、膨張した時に特に強くなく、さらに圧力が増大するにも関わらず最大の見積もられた直径に対して自己制限的ではない。このことは、これらのデバイスで適用される圧力の大きさを厳しく制限することになる。また、これらのデバイスの膨張直径を制御することは幾分困難である。
【0008】
第二に、カテーテルが導管の中に他のあるデバイスを運搬するために利用される場合に、そのデバイスの留置を妨げることなく、そのデバイスとカテーテルバルーンのスムーズな分離が起こることが特に重要である。これらの場合に、上記に述べられた二つのカテーテルデバイスは理想的ではない。当初のサイズまで完全に縮小しないバルーンは、留置の問題を起こし、さらに導管若しくはバルーンに損傷さえをも起こして、デバイスに障害を起こす可能性がある。同様に、粘性材料から構成されるバルーンの使用も、障害の問題やデバイスの可能性のある変位を引き起こすであろう。一般的には、ラテックスバルーンは、デバイス留置に対しては強度的に不充分と考えられる点で留置のためには利用されない。従って、本発明の主な目的は、最初の設置においては小さくて滑りやすく、配置に対しては強固であるカテーテルバルーンであって、そして、収縮後の除去とさらなる経路決定を容易にするために圧縮したサイズとディメンションに戻るバルーンを作製することである。また、膨張と収縮のサイクルを繰り返した後でさえ、当初の圧縮した膨張前サイズに近似することになるだろうカテーテルバルーンを提供することが好ましいと考えられる。本発明の他の主な目的は弾性バルーンを強化することであり、膨張を制限的にすることをバルーンに対して提供することであり、滑り性のある外表面をバルーンに対して提供することである。ここにおいての「収縮」の用語は、膨張に続いて起こる状況を述べるために使われる。「膨張前」は最初の膨張前の状況を述べるために使われる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、様々な外科的な医療行為に用いられる改良されたバルーンカテーテルデバイスである。本発明のバルーンカテーテルデバイスは、カテーテルチューブの一つの端部の膨張性及び収縮性バルーンに結び付けられた連続的なルーメンを有するカテーテルチューブを含む。カテーテルチューブは、他の目的を達成する追加的なルーメンを有してもよい。そのバルーンは、従来のPTAカテーテルバルーンと同じかそれとも大きなバースト強度を有することができる。そのバルーンはまた、従来のPTAカテーテルバルーンと同様な形態で最大の膨張直径を有する。本発明のバルーンは、収縮した時に膨張前とほぼ同一の最大直径であるラッテクスバルーンの回復特性を提供する。このことは、次に続く平板化して不規則な断面の収縮を想定するので、膨張前最大直径よりもずっと大きい収縮最大直径を有する従来のPTAバルーンよりも容易にそのバルーンは次の収縮に持ちこたえることが可能である。また、そのバルーンは、挿入や回収を助けるスムーズで滑らかな表面を有する。カテーテルシャフトの可動部又はある他のメカニカルな補助形態を有さないバルーンカテーテルはこれまで商業的に利用できなかったが、本発明のバルーンは、小さなサイズで作製された時でさえ上記特性の全てを有する。本発明はシャフトの可動部分及びバルーン収縮を補助する関連器材の必要性を排除することができる。
【0010】
本発明は、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFE)材料及び弾性材料から作製される。PTFEは、好ましくは、米国特許3953566号と4187390号によって教示されているように作製され、これらの米国特許は、本願において引用により援用される。弾性要素の追加前に多孔性PTFEチューブを縦方向に圧縮する、追加的で選択的な構造工程により、さらにメカニカルな補助形態を必要としないで、高圧バルーン構造を可能とするようにバルーン又はバルーンカバーの長さが充分に変化することができる。特に小さいサイズ(脳、腎臓、及び肝臓手術に存在するような小さい曲がりくねった経路を含む適用において有用である)は、別個独立の弾性部材を用いる代わりに、シリコーン接着剤、シリコーンエラストマー、シリコーン分散物、ポリウレタン、又は他の適切な弾性材料を有する多孔性PTFEチューブの含浸によりバルーンの壁厚を減らすことによって達成することができる。含浸は多孔性PTFEの多孔部を少なくとも部分的に満たすことを含む。多孔部(空隙)は、PTFE材料によって占められていないPTFE材料のバルク容積内(多孔性PTFE材料の全長、全幅、及び全厚み内)における空間又は容積であると考えられる。バルーンが、多孔性PTFEを有する積層関係にある別個独立チューブ状の弾性基材を使用することによるか、又は弾性材料で多孔性PTFEの空隙を含浸することによるか、又はそれらの両方の方法によるかによって有効な圧力で液密である目的のために、バルーンが少なくとも部分的に構成する多孔性PTFE材料の空隙が、実質的に封印されてもよい。米国特許5519172号は、エラストマーで多孔性PTFEを含浸することについて詳細に教示する。この特許が主に、導電体の保護のための外装材の構成について述べているという点で、カテーテルバルーンのようなin vivo使用のため、述べられた様々な材料の各々は、材料の安定性を考慮しなければならない。
【0011】
バルーンは、完成した独立型のバルーンとして、ここにおいて述べられる材料から作製さてよく、又は代替的に従来のポリエステルPTAバルーン若しくはラテックス塞栓摘出術用バルーンの何れか一方のためのカバーとして作製されてもよい。本発明のバルーンカバーの使用は、形態に関わらず、従来のPTAバルーンの最良の特性を備えるバルーンカバーを提供し、PTA医療行為のための弾性バルーンの使用が実現可能となる。すなわち、バルーンカバーは、高いバースト強度、所定の最大直径、収縮後に膨張前サイズまで実質的に回復する能力、及び滑らかな外表面(弾性材料がバルーンの外表面上に存在するようにバルーンを構成することが望まれないならば)を有するであろう。バルーンカバーは、弾性材料の破裂の危険度を実質的に減らす。さらに、万一、基本構成となるバルーンの破裂が起きるなら、バルーンカバーの存在が、破裂したバルーンの破片を封じ込むのに役に立つであろう。さらにまた、本発明のバルーンとバルーンカバーは、PTAバルーンの収縮の速度を早くすることが可能であり、それによって膨張バルーンが存在する導管をそのバルーンが塞ぐ時間を減らすことができる。
【0012】
本発明はまた、導管及び側枝の拡張又は、導管又はその側枝に特別な力を与えずに導管及びその側枝内のプロステーシスさえの拡張をも可能とする。さらに、プロステーシスの端部を膨らませることにも有用であることが示され、それによって、プロステーシスの端部の不都合な収縮を避けることができる。プロステーシスは、拡張中に公知技術のバルーンの長さ方向に沿って滑ることができてしまうが、本発明は、そのような滑りの程度を減らすだけでなく、グラフトの端部において、公知材料よりもより大きな直径を作り出すために利用することもできる。
【0013】
また、本発明のバルーン及びバルーンカバーは、外的制約条件がなく、膨張と収縮中に実質的に円形な断面を維持する。さらに、本発明のバルーン及びバルーンカバーは、長さ方向において他の部分よりもある部分においてより低い圧力で膨張するように設計することが可能である。例えば、これは、バルーンの長さに沿って拡張することの抑制を大きくする目的でバルーンの長さ方向に沿ってエラストマー含有物の厚みを変更することによって達成することができる。代替的に、同様な効果を達成する目的で、基材チューブが壁厚を変更して構成されてもよく、又は螺旋状に適用されるフィルムの量を変更して、チューブ長に沿って適用されてもよい。
【0014】
本発明によるバルーンカテーテルは、対向する固定手段によってカテーテルに取り付けられた対向端部を有する。バルーンは、対向する固定手段間の測定長を有し、そして、バルーンが収縮状態の場合とバルーンが8気圧の圧力まで膨張する場合との間で、その長さは、好ましくは10パーセント未満であり、さらに好ましくは5パーセント未満である。
【0015】
また、本発明のバルーンは、バルーン膨張圧を超えた圧力で液を溶出するように構成することもできる。そのようなバルーンは導管内で薬剤を運搬するのに利用することができるであろう。
【0016】
本発明のカテーテルバルーンは、グラフト運搬、グラフト拡張、ステント運搬、ステント拡張、及び血管形成を含んだ、様々な外科的脈管処置に特に有用であると考えられる。そして、様々な他の外科的処置、例えば、治療期間中、筋肉コンディショニング期間中、及び大動脈内バルーンとして骨格筋左室補助装置をサポートすることに対して追加的に利用をしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】図1Aは、本発明のバルーン又はバルーンカバーを形成するチューブ構成部材の製造を描写した斜視図である。
【図1B】図1Bは、本発明のバルーン又はバルーンカバーを形成するチューブ構成部材の製造を描写した斜視図である。
【図1C】図1Cは、本発明のバルーン又はバルーンカバーを形成するチューブ構成部材の製造を描写した斜視図である。
【0018】
【図2】図2は、膨張した時に外観として現されるチューブ構成部材を描写した斜視図である。
【0019】
【図3A】図3Aは、エラストマーを備えていない本発明のバルーンカバーの縦断面図を描写する。
【図3B】図3Bは、エラストマーを備えていない本発明のバルーンカバーの縦断面図を描写する。
【0020】
【図4A】図4Aは、エラストマー層を組み込んだ本発明のバルーンカバーの縦断面図を描写する。
【図4B】図4Bは、エラストマー層を組み込んだ本発明のバルーンカバーの縦断面図を描写する。
【0021】
【図5A】図5Aは、図4Aと4Bのバルーンカバーと同一材料の構成を有する本発明のカテーテルバルーンの縦断面図を描写する。
【図5B】図5Bは、図4Aと4Bのバルーンカバーと同一材料の構成を有する本発明のカテーテルバルーンの縦断面図を描写する。
【0022】
【図6A】図6Aは、エラストマー層の代わりに非弾性材料を用いて、図5Aと5Bによって描写されるタイプのカテーテルバルーンの縦断面図を描写する。
【図6B】図6Bは、エラストマー層の代わりに非弾性材料を用いて、図5Aと5Bによって描写されるタイプのカテーテルバルーンの縦断面図を描写する。
【図6C】図6Cは、エラストマー層の代わりに非弾性材料を用いて、図5Aと5Bによって描写されるタイプのカテーテルバルーンの縦断面図を描写する。
【0023】
【図7】図7は、収縮バルーンの圧縮効率比がどのように決定されるかを示す、平板化して収縮した血管形成術用バルーン長の中心点における横断面を示す。
【0024】
【図8】図8は、ディアルルーメンカテーテルのシャフトに取り付けられたバルーンであって、そのバルーンが、バルーンの縦軸に対して実質的に平行に配置された第一のPTFEマンドレル及び縦軸に対して円周方向に配置された第二のPTFEマンドレルを備え、そのPTFEマンドレルがエラストマーに含浸される、バルーンの縦断面を示す。
【0025】
【図8A】図8Aは、図8の実施態様に対して代替の実施態様であって、膨張中のバルーンが、長さ方向において、第二部分よりも第一部分でより大きな直径を示す実施態様の縦断面を示す。
【0026】
【図9】図9は、本発明のバルーンカテーテルの近位端の断面を示す。
【図9A】図9Aは、本発明のバルーンカテーテルの近位端の断面を示す。
【0027】
【図10A】図10Aは、本発明のバルーンカテーテルの代替の実施態様の構成であって、バルーンが、積層関係にある弾性材料と多孔性PTFE材料の別個独立な基材層を備え、各々の基材材料の各々の端部が、別個独立な巻き付け多孔性PTFEフィルムによって独立に取り付けられる、構成を示す。
【図10B】図10Bは、本発明のバルーンカテーテルの代替の実施態様の構成であって、バルーンが、積層関係にある弾性材料と多孔性PTFE材料の別個独立な基材層を備え、各々の基材材料の各々の端部が、別個独立な巻き付け多孔性PTFEフィルムによって独立に取り付けられる、構成を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非弾性バルーンの縦軸に沿ってバルーン長を有する該非弾性バルーン並びに圧縮した収縮状態及び拡張した膨張状態を有することが可能であるカテーテルバルーンを形成する、該バルーン長を包囲する弾性バルーンカバーを含み、該カバーが、カテーテルバルーン膨張中に該バルーン長に沿って均一直径の実質的に円形な断面を示す、カテーテルバルーン。
【請求項2】
前記バルーンが、ポリテトラフルオロエチレン材料を含む、請求項1に記載のカテーテルバルーン。
【請求項3】
前記バルーンカバーが、ポリテトラフルオロエチレン材料を含む、請求項1に記載のカテーテルバルーン。
【請求項4】
前記バルーンが、前記バルーン長に沿って予測可能な膨張直径を示す、請求項1に記載のカテーテルバルーン。
【請求項5】
非弾性バルーンの縦軸に沿ってバルーン長を有する該非弾性バルーン並びに圧縮した収縮状態及び拡張した膨張状態を有することが可能であるカテーテルバルーンを形成する、該バルーン長を包囲する弾性バルーンカバーを含み、該カバーが、外的制約条件がない状態で、カテーテルバルーン膨張と収縮中に該バルーン長に沿って均一直径の実質的に円形な断面を示す、カテーテルバルーン。
【請求項6】
実質的に均一な直径の円形断面が、前記バルーン長に沿って示される、請求項5に記載のカテーテルバルーン。
【請求項7】
非弾性バルーンの縦軸に沿ってバルーン長を有する該非弾性バルーン並びに圧縮した収縮状態、拡張した膨張状態、及び圧縮と膨張状態間の中間状態を有することが可能であるカテーテルバルーンを形成する、該バルーン長を包囲する弾性バルーンカバーを含み、該カバーが、外的制約条件がない状態で、収縮、膨張、及び中間状態で該バルーン長に沿って均一直径の実質的に円形な断面を示す、カテーテルバルーン。
【請求項8】
実質的に均一な直径の円形断面が、前記バルーン長に沿って示される、請求項7に記載のカテーテルバルーン。
【請求項9】
縦軸に沿ってバルーン長を有するカテーテルバルーンであって、該バルーンが、該縦軸に対して実質的に平行方向に配置された第一ポリテトラフルオロエチレン材料と該縦軸に対して実質的に円周方向に配置された第二ポリテトラフルオロエチレン材料を含み、該バルーン長が、弾性カバーによって実質的に包囲され、該弾性カバーが、膨張中に該バルーン長に沿って実質的に円形な断面を維持する、カテーテルバルーン。
【請求項10】
実質的に均一な直径の円形断面が、前記バルーン長に沿って示される、請求項9に記載のカテーテルバルーン。
【請求項1】
非弾性バルーンの縦軸に沿ってバルーン長を有する該非弾性バルーン並びに圧縮した収縮状態及び拡張した膨張状態を有することが可能であるカテーテルバルーンを形成する、該バルーン長を包囲する弾性バルーンカバーを含み、該カバーが、カテーテルバルーン膨張中に該バルーン長に沿って均一直径の実質的に円形な断面を示す、カテーテルバルーン。
【請求項2】
前記バルーンが、ポリテトラフルオロエチレン材料を含む、請求項1に記載のカテーテルバルーン。
【請求項3】
前記バルーンカバーが、ポリテトラフルオロエチレン材料を含む、請求項1に記載のカテーテルバルーン。
【請求項4】
前記バルーンが、前記バルーン長に沿って予測可能な膨張直径を示す、請求項1に記載のカテーテルバルーン。
【請求項5】
非弾性バルーンの縦軸に沿ってバルーン長を有する該非弾性バルーン並びに圧縮した収縮状態及び拡張した膨張状態を有することが可能であるカテーテルバルーンを形成する、該バルーン長を包囲する弾性バルーンカバーを含み、該カバーが、外的制約条件がない状態で、カテーテルバルーン膨張と収縮中に該バルーン長に沿って均一直径の実質的に円形な断面を示す、カテーテルバルーン。
【請求項6】
実質的に均一な直径の円形断面が、前記バルーン長に沿って示される、請求項5に記載のカテーテルバルーン。
【請求項7】
非弾性バルーンの縦軸に沿ってバルーン長を有する該非弾性バルーン並びに圧縮した収縮状態、拡張した膨張状態、及び圧縮と膨張状態間の中間状態を有することが可能であるカテーテルバルーンを形成する、該バルーン長を包囲する弾性バルーンカバーを含み、該カバーが、外的制約条件がない状態で、収縮、膨張、及び中間状態で該バルーン長に沿って均一直径の実質的に円形な断面を示す、カテーテルバルーン。
【請求項8】
実質的に均一な直径の円形断面が、前記バルーン長に沿って示される、請求項7に記載のカテーテルバルーン。
【請求項9】
縦軸に沿ってバルーン長を有するカテーテルバルーンであって、該バルーンが、該縦軸に対して実質的に平行方向に配置された第一ポリテトラフルオロエチレン材料と該縦軸に対して実質的に円周方向に配置された第二ポリテトラフルオロエチレン材料を含み、該バルーン長が、弾性カバーによって実質的に包囲され、該弾性カバーが、膨張中に該バルーン長に沿って実質的に円形な断面を維持する、カテーテルバルーン。
【請求項10】
実質的に均一な直径の円形断面が、前記バルーン長に沿って示される、請求項9に記載のカテーテルバルーン。
【図10B】図10Bは、本発明のバルーンカテーテルの代替の実施態様の構成であって、バルーンが、積層関係にある弾性材料と多孔性PTFE材料の別個独立な基材層を備え、各々の基材材料の各々の端部が、別個独立な巻き付け多孔性PTFEフィルムによって独立に取り付けられる、構成を示す。
【図10C】図10Cは、本発明のバルーンカテーテルの代替の実施態様の構成であって、バルーンが、積層関係にある弾性材料と多孔性PTFE材料の別個独立な基材層を備え、各々の基材材料の各々の端部が、別個独立な巻き付け多孔性PTFEフィルムによって独立に取り付けられる、構成を示す。
【図10D】図10Dは、本発明のバルーンカテーテルの代替の実施態様の構成であって、バルーンが、積層関係にある弾性材料と多孔性PTFE材料の別個独立な基材層を備え、各々の基材材料の各々の端部が、別個独立な巻き付け多孔性PTFEフィルムによって独立に取り付けられる、構成を示す。
【図10E】図10Eは、本発明のバルーンカテーテルの代替の実施態様の構成であって、バルーンが、積層関係にある弾性材料と多孔性PTFE材料の別個独立な基材層を備え、各々の基材材料の各々の端部が、別個独立な巻き付け多孔性PTFEフィルムによって独立に取り付けられる、構成を示す。
【図10F】図10Fは、本発明のバルーンカテーテルの代替の実施態様の構成であって、バルーンが、積層関係にある弾性材料と多孔性PTFE材料の別個独立な基材層を備え、各々の基材材料の各々の端部が、別個独立な巻き付け多孔性PTFEフィルムによって独立に取り付けられる、構成を示す。
【図11A】図11Aは、図10A−10Fと同様な本発明のバルーンカテーテルの代替の実施態様の構成であって、補強巻き付け多孔性PTFEフィルムを提供されたチューブ弾性材料を含むカテーテルシャフトが使用される、構成を示す。
【図11B】図11Bは、図10A−10Fと同様な本発明のバルーンカテーテルの代替の実施態様の構成であって、補強巻き付け多孔性PTFEフィルムを提供されたチューブ弾性材料を含むカテーテルシャフトが使用される、構成を示す。
【図11C】図11Cは、図10A−10Fと同様な本発明のバルーンカテーテルの代替の実施態様の構成であって、補強巻き付け多孔性PTFEフィルムを提供されたチューブ弾性材料を含むカテーテルシャフトが使用される、構成を示す。
【図12A】図12Aは、本発明のバルーンカテーテルの代替の実施態様の構成であって、弾性材料と螺旋状に巻き付けられた多孔性PTFEフィルムの別個独立な基材の積層チューブが、積層チューブの各々の端部で巻き付け多孔性PTFEフィルムによってカテーテルシャフトに取り付けられる、構成を示す。
【図12B】図12Bは、本発明のバルーンカテーテルの代替の実施態様の構成であって、弾性材料と螺旋状に巻き付けられた多孔性PTFEフィルムの別個独立な基材の積層チューブが、積層チューブの各々の端部で巻き付け多孔性PTFEフィルムによってカテーテルシャフトに取り付けられる、構成を示す。
【図12C】図12Cは、本発明のバルーンカテーテルの代替の実施態様の構成であって、弾性材料と螺旋状に巻き付けられた多孔性PTFEフィルムの別個独立な基材の積層チューブが、積層チューブの各々の端部で巻き付け多孔性PTFEフィルムによってカテーテルシャフトに取り付けられる、構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明のカテーテルバルーン及びカテーテルバルーンカバーは、好ましくは、相互に連結したフィブリルの微細構造を有する多孔性PTFEフィルムから作製される。これらのフィルムは、米国特許3953566号及び4187390号によって教示されているように作製される。また、バルーン及びバルーンカバーは、例えば押出及び拡張チューブ又は少なくとも一つのシームを含むフィルムから構成されるチューブの形で多孔性PTFE基材のチューブを組み込んでもよい。また、バルーンは、エラストマー材料で含浸されてもよい。
【0029】
バルーン又はバルーンカバーを形成するために、チューブ形状で、薄い上述したタイプの多孔性PTFEフィルムで作製される両方のそれらは、比較的細い長さでスリットされる。スリットフィルムは、二つの反対方向からマンドレルの表面上に螺旋状に巻きつけられ、それによって、少なくとも二層のチューブを形成する。図1A、1B、及び1Cはこの手順を図示する。図1Aは、巻き付けの横断方向が縦軸18に平行な第一の方向20に適用されるように、マンドレル12に螺旋状に巻き付けられる多孔性PTFEフィルムの第一層14を示す。バルーンの縦軸はバルーンカテーテルシャフトの縦軸と一致するものとして定義され、その縦軸はシャフトの長さ方向である。実質的に、平行とは、カテーテルシャフトの縦軸に対して約0度と45度の間か約135度と180度の間として定義され、実質的に、周方向とは、カテーテルシャフトの縦軸に対して約45度と135度の間として定義される。図1Bは、第一層14の上面の上に螺旋状に巻き付けられた多孔性PTFEフィルム16の第二層の適用を示し、そして第二層16が、縦軸18に平行であって、第一の横断方向20に反対である第二の横断方向22に巻き付けられることを示す。
【0030】
好ましくは、両層の14及び16は、縦軸に対して実測されて、反対方向から実測された同じピッチ角で巻き付けられる。例えば、フィルム層14及び16が、縦軸18に対して反対方向から実測された70度のピッチ角で適用されるならば、その後70度のピッチ角間の内包角Aは40度である。
【0031】
二層以上の螺旋状に巻き付けられたフィルムが適用されてもよい。交互のフィルム層が反対方向から巻き付けられるべきであり、等しい数のフィルム層が使われるべきである。それによって、等しい数の層が各々の方向に適用される。
【0032】
フィルム巻き付けの終了に続いて、螺旋状に巻き付けられたマンドレルは、近接した層が共に熱による結合を引き起こすように適切な時間と温度でオーブン中に置かれた。オーブンから取り出した後、その後冷却し、結果のフィルムチューブはマンドレルから取り出すことができる。そのフィルムチューブは、次にバルーン上に置かれ、縦方向に引っ張られ、そしてバルーン上の所定の位置に固定される。
【0033】
使用するとき、本発明の膨張バルーン又はバルーンカバー10は、図2によって示されるように、結果として内包角Aが実質的に小さくなるように増大した直径を有する。このように、バルーン又はバルーンカバーは、内包角Aがゼロに達するときに所定の直径の最大限界に達する。
【0034】
本発明のバルーン又はバルーンカバー10は、二つの方法のうちの一つによる収縮に続いて直径が小さくなる。第一に、図1Cに図示される形態まで収縮することに続いて、バルーン又はバルーンカバーの直径が小さくなることが引き起こされるように、テンションが縦軸18に平行にバルーン又はバルーンカバーに適用してよい。もし、ロープロファイルが望まれるなら、テンションの適用が必要である。代替的には、バルーン10の内腔表面に適用されてバルーンの使用前にキュアすることが可能であるエラストマーの層によって、収縮に続いて、バルーンが図1Cによって示される膨張前のサイズに実質的に縮まることが起こるであろう。エラストマーは、バルーン又はバルーンカバー10の内腔表面に直接に適用されるエラストマーのコーティングの形をとってもよく、又はラテックスバルーン若しくはシリコーンチューブのようなエラストマーバルーンが、エラストマー接着の使用によって本発明のバルーン10の内腔表面に接着してもよい。代替的に、エラストマーがバルーン又はバルーンカバーを作り出すために多孔性材料の中に含浸されてもよい。
【0035】
図3Aは、血管形成又は塞栓のタイプのどちらか一方の従来のバルーンカテーテルを使用した本発明のバルーンカバー10の横断面図を示す。その図は、エラストマーの内腔コーティングがないバルーンカバーを示す。バルーンカバー10はバルーンカテーテル11の遠位端26で閉じられる。バルーンカバー10は、バルーンカテーテル11の近位端27までの長さ方向部分に拡張し、それによってバルーンカバー10は、カテーテルバルーン25と少なくともカテーテル11の一部分を完全に覆う。図3Bは、膨張状態の同じカテーテルバルーン25を備えるバルーンカテーテル11を示す。バルーンカバー10の層14と16によって、カテーテルバルーン25に沿ってカバーの直径が増大することが可能となる。カテーテルバルーン25の収縮中またはそれに続いて、矢印28によって示されるように、テンションがバルーンカテーテル11の近位端27でバルーンカバー10に適用され、それによってバルーンカバー10の直径が縮小し、図3Aによって示されるような状態に実質的に戻る。図4Aは、本発明のバルーンカバー10の横断面図を示し、そして、バルーンカバー10が、螺旋状に巻き付けられた多孔性PTFEフィルム層14及び16の内部表面に適用される液密層のエラストマー34を有することを示している。バルーンカバー10は遠位端26で閉じられる。その図は、例えば、糸又はフィラメントによる結紮(けっさつ)されたクロージャーを示すが、他の適切な閉鎖手段を使用してもよい。バルーンカバー10の近位端27は、カテーテル24の遠位端32に備え付けられる。バルーン25は血管形成又は塞栓のタイプのどちらか一方でもよい。エラストマー塞栓バルーンが使われるなら、液密層のエラストマー34にエラストマー接着剤を使用することによって、カバーがバルーンに接着されることが好ましい。図4Bによって示されるように、バルーン25の膨張中に、螺旋状に多孔性PTFEフィルム層14と16、及び液密エラストマー層34の直径がバルーン25と同調して増加する。
【0036】
その後の収縮中に、液密エラストマー層34によって、螺旋状に巻き付けられた多孔性PTFEフィルム層14と16の直径は前述したように縮小し、それによって図4Aによって図示されている状態に実質的に戻る。
【0037】
図5A及び5Bは、図4Aと4Bによって述べられているバルーンカバーと同じ形態で作製されたカテーテルカテーテルバルーン10の横断面図を示す。液密エラストマー層34の存在によって、この構造が従来の血管形成術用又は塞栓摘出術用バルーンを必要としないで、前述したように独立したバルーン42として機能することを可能とする。
【0038】
図6A、6B、及び6Cは本発明のカテーテルバルーン10の代替の実施態様の横断面図を示す。この実施態様に従うと、螺旋状に巻き付けられた多孔性PTFEフィルム層14と16は、液密ではあるがエラストマーではない内腔コーティング44を備えている。結果物のバルーンは従来の血管形成術用バルーンの形態で作動するが、有益であって滑らかで化学的に不活性な外表面を備えている。図6Aは、膨張前のバルーンの外観を図示している。図6Bは、膨張状態のバルーンを示している。図6Cによって示されているように、収縮に続いて崩壊したバルーン46は、幾分しわの寄った外観を有し、ポリエステル又は同様な非弾性材料で作製された従来の血管形成術用バルーンと同じ形態である凸凹な横断面を有する。
【0039】
本発明のバルーン及びバルーンカバーは、バルーン(又はバルーンカバー)の外側又は内側表面に追加的なメッシュ又はブレードを備えてもよく、好ましくはフィルムの層間に備えることであって、それによってメッシュ又はブレードが中間に存在するようになる。
【0040】
代替的に、PTFEのメッシュ又はブレードは連続的チューブを含まないでバルーンカバーとして使用してもよい。連続的なチューブは、従来のメッシュ又はブレードのように壁を通過する開放部を含まない。
【0041】
次の実施例は、本発明のバルーンカバーとカテーテルバルーンの様々な実施態様の構成を詳細に述べる。従来の血管形成術用及び塞栓摘除用バルーンと比較して、これらのバルーンの評価もまた述べられる。図7は、平らになって収縮した血管形成術用バルーン70の最大寸法72及び最小寸法74(バルーンの縦軸に横断的に示されている)を示し、そして、その図は典型的な平らになった血管形成術用バルーンの横断面図を示す。表された横断面は、幾分凸凹形状を有する収縮して平らになった典型的な非弾性血管形成術用バルーン70を示していることを意図している。バルーン70は、ガイドワイヤールーメン78及びバルーン膨張ルーメン79を有するカテーテルチューブ76、並びにバルーン70の二つの対向面82と84を含む。最大寸法72は平らになったバルーン70の最大幅であると考えられ、一方、最小寸法74は、平らになったバルーン70の二つの対向面82と84を横切る最大厚みであると考えられる。たとえ、形状が実質的に円形であるにしても、全てのバルーン及びカテーテルの測定は寸法によって表現される。
【実施例】
【0042】
実施例1:
この実施例は、市販の血管形成術用バルーン上の本発明のバルーンカバーの使用を例証する。そのバルーンカバーは、膨張とその後の収縮の後に最初のコンパク形状に近い血管形成術用バルーンに戻ることの手段を提供し、加えて、PTFEによってもたらされる公知の化学的不活性及び低摩擦係数を提供する。
【0043】
使用されたバルーンは、SCHNEIDER(ミネソタ州、Minneapolis)によって生産された、MATCH35TM Percutaneous Transluminal Angioplasty (PTA) Catheter モデルナンバーB508−412であった。生産者によって提供された保護用シースを取り除いた後に素早く測定された時にこのバルーンは、2.04mmの最小ディメンションと2.42mmの最大ディメンションを有した。バルーンの両端に位置して円周上に配置されたX線不透過性マーカーバンドの間の中点によって画定されるように、バルーンのおよそ中心点からこれらの測定はされた。バルーンが縦軸の周りを回転する間に測定をするために、Lasermike(オハイオ州、Dayton)によって生産されたLasermikeモデル183が使われた。シャフトの長さの中心点に最も近い、バルーンが備え付けられた地点の近傍で測定して、バルーンに備え付けられたシャフトは1.74mmの最小ディメンションと1.77mmの最大ディメンションを有した。内部水圧で8気圧まで膨張した時、バルーンは、バルーン長の中心点で、8.23mmの最小ディメンションと8.25mmの最大ディメンションを有した。8気圧の加圧中に導入された水の量を完全に取り除くことによって収縮した時、MitutoyoデジタルキャリパーモデルCD−6’’Pを使用して測定した時、バルーン長の中点で、バルーンは1.75mmの最小ディメンションで、そして11.52mmの最大ディメンションを有した。測定の終了時に、PTAカテーテルのバルーン部分は、保護用のシースの中に慎重に再包装された。
【0044】
本発明のバルーンカバーは、上述したように幅2.5cmにカットされて作製された多孔性フィルム長から作製された。フィルム厚みはおよそ0.02mmであって、密度は0.2g/ccであって、フィブリル長はおよそ70ミクロンであった。厚みは、Mitutoyoはさみゲージモデル2804−10を用いて測定され、密度は、サンプルのディメンションと質量に基づいて計算された。実施例を構成するのに使われた多孔性PTFEフィルムのフィブリル長は、フィルムサンプルの外側表面の走査型電子顕微鏡写真から見積もられた。
【0045】
約5つの重なり合ったフィルム層がマンドレルを覆うように、このフィルムはマンドレルの縦軸に対しておよそ70°の角度で、8mm直径のステンレス鋼マンドレルの裸表面上に巻き付けられた。これに続いて、同一フィルムの別の5層が、縦軸に対して同じピッチ角度であるが、反対方向に第一の5層の上に螺旋状に巻き付けられた。それゆえ、第二の5層もまた、およそ70°の角度で配置され、第一の5層に対して軸の反対端から測定された。これに続いて、同一フィルム別の5層が、縦軸に対して第一の5層と同じバイアス角度で第一及び第二の5層上に螺旋状に巻き付けられ、さらに同一フィルムの別の5層が、縦軸に対して第二の5層と同じバイアス角度で第一及、第二、及び第三の5層上に螺旋状に巻き付けられた。これは、マンドレル上を覆うおよそ全20層の螺旋状に巻き付けられたフィルムになる結果となった。
【0046】
それから、フィルムを巻き付けられたマンドレルは、フィルムの層をヒート結合するために380℃10分間、空気対流オーブンセットに入れ、それから取り出し、冷却をした。その後、結果として得られた、螺旋状に巻き付けられた層から形成された内径8mmのフィルムチューブがマンドレルから取り出され、一つの端部は、セルフシールのインジェクションサイト(イリノイ州、Deerfield、Baxter Healthcare Corporationによって生産されたLuer Lockを有するインジェクションサイト)に連結された。ホールはインジェクションサイトを介して作り出され、そして、前もって測定されたPTAカテーテルのバルーン端部は、このホールを通り抜け、PTAカテーテルのシャフトの部分は勿論のこと、バルーン部分上にフィルムチューブと同軸に取り付けた。フィルムチューブはおよそ25cm長であった。フィルムチューブがPTAカテーテル上であってインジェクションサイトに備え付けられた状態で、インジェクションサイトが固定されている間に、フィルムチューブの直径が減少しPTAカテーテルの基本となるセグメント上にぴったりと合うように、テンションがフィルムチューブのフリーな端部に手動で適用された。次に、バルーンカバーがピンと張ってぴったりと合った状態を依然として保つように、フィルムチューブがPTAカテーテルシャフトの遠位端に連結された。
【0047】
この時点で、今現在カバーされたバルーンは収縮状態で測定された。最小ディメンションは2.33mmと確認され、最大ディメンションは2.63mmと確認された。以前に述べたとおり、X線不透過性マーカーバンドの間の中点によって画定されるように、およそバルーンの中心点からこれらの測定はされ、Lasermike(オハイオ州、Dayton)によって生産されたLasermikeモデル183がその測定をするために使われた。内部水圧で8気圧まで膨張した時、バルーンは、バルーン長の中点で、7.93mmの最小ディメンションと8.06mmの最大ディメンションを有した。8気圧の加圧中に導入された水の量を完全に載り除くことによって収縮した時、バルーン長の中点で、バルーンは1.92mmの最小ディメンションで、そして11.17mmの最大ディメンションを有した。次に、バルーンカバーが、基本となるバルーンの大きさを、特に以前に測定された11.17mmの面に沿って縮小することを引き起こすようなインジェクションサイトに、テンションが手動で適用された。テンションの適用の後、カバーされたバルーンは再び測定され、最小と最大のディメンションは、各々、3.43mmと3.87mmであることがわかった。
【0048】
この実施例は、およそ不使用状態のバルーンの形状までの過程で膨張してその後に収縮したPTAバルーンを圧縮するためにバルーンカバーが効率的に用いられることが可能であることを示している。膨張とその後に続く収縮が示した後のバルーン上で(カバーされていない状態とカバーされている状態の両方において)行われた測定は、バルーンが均一な円形状の圧縮を被るというよりは寧ろ平板化する傾向であることを示す。この平板化は、膨張とその後に続く収縮の後に測定された最大ディメンションに対する最小ディメンションの比率を計算することによって定量化することができる。この比率は圧縮効率比として定義される。円形断面が不変性である圧縮効率比を得ることができることに注意されたい。この実施例に関しては、非カバーのバルーンは、1.75が11.52によって割られて、0.15の圧縮効率比を得た。本発明のバルーンカバーを提供した後のバルーンは3.43が3.87によって割られて、0.89の圧縮効率比を得た。加えて、膨張とその後に続く収縮の後の最大ディメンションに対する任意の膨張前の最大ディメンションの比率は、圧縮比として定義される。任意の膨張前及び膨張とその後に続く収縮の後の最大ディメンションが同一であるバルーンは、不変性の圧縮比を有する。この実施例に関しては、非カバーバルーンは、2.42が11.52によって割られて、0.21の圧縮比を得た。本発明のバルーンカバーを提供した後のバルーンは2.63が3.87によって割られて、0.68の圧縮効率比を得た。
【0049】
実施例2:
この実施例は、市販のラテックス塞栓摘出術用バルーン上のバルーンカバーの使用を例証する。そのバルーンカバーは、塞栓摘除用バルーンの膨張成長に対して画定された限界を提供し、そしてバースト強度の実質的な増強も提供し、さらにはPTFEによってもたらされる公知の化学的不活性及び低摩擦係数も提供する。
【0050】
使用されたバルーンは、Baxter Healthcare Corporation(カルフォルニア州、Irvine)によって生産されたFogartyTMThru−Lumen Embolectomy Catheter モデルであった。生産者によって提供された保護用シースを取り除いた後に素早く測定された時にこのナチュラルなラバーラテックスバルーンは、1.98mmの最小ディメンションと2.02mmの最大ディメンションを有した。X線不透過性マーカーバンドの間の中点によって画定されるように、バルーンのおよそ中心点からこれらの測定はされた。バルーンが縦軸の周りを回転する間に測定をするために、Lasermike(オハイオ州、Dayton)によって生産されたLasermikeモデル183が使われた。シャフトの長さの中心点に最も近い、バルーンが備え付けられた地点の近傍で測定して、バルーンに備え付けられたシャフトは1.64mmの最小ディメンションと1.68mmの最大ディメンションを有した。0.8立方センチメートルの水で満たされた時、バルーンは、バルーンの中心点で、10.71mmの最小ディメンションと10.77mmの最大ディメンションを有した。導入された水の量を完全に取り除くことによって収縮した時、バルーン長の中間点で、バルーンは1.97mmの最小ディメンションで、そして2.04mmの最大ディメンションを有した。携帯の膨張注射器を用いてテストしたバルーンは、バースト強度が60psiであった。
【0051】
同じタイプの別の塞栓摘除用カテーテルは、実施例1で述べたとおりで作製された多孔性PTFEフィルムチューブを用いてカバーされた。塞栓摘除用カテーテルをカバーするために用いられたその方法は、実施例1にPTAカテーテルをカバーするために用いられた方法と同様であった。
【0052】
この時点で、今現在カバーされたバルーンは膨張前状態で測定された。最小ディメンションは2.20mmと確認され、最大ディメンションは2.27mmと確認された。以前に述べたとおり、X線不透過性マーカーバンドの間の中点によって画定されるように、およそバルーンの中心点からこれらの測定はされ、Lasermike(オハイオ州、Dayton)によって生産されたLasermikeモデル183がその測定をするために使われた。0.8立方センチメートルの水で満たされた時、バルーンは、長さの中間点で、8.29mmの最小ディメンションと8.34mmの最大ディメンションを有した。導入された水の量を完全に取り除くことによって収縮した時、長さの中間点で、バルーンは3.15mmの最小ディメンションで、そして3.91mmの最大ディメンションを有した。次に、バルーンカバーが大きさにおいて縮小することを引き起こすようなインジェクションサイトに、テンションが手動で適用された。テンションの適用の後、カバーされたバルーンは再び測定され、最小と最大のディメンションは、各々、2.95mmと3.07mmであることがわかった。カバーバルーンは、188psiのバースト強度を有するように測定され、基本となる塞栓摘出術用バルーンのバーストのため破損しただけであった。本発明のバルーンカバーは破裂の兆候を示さなかった。
【0053】
この実施例は、本発明のバルーンカバーが、膨張成長に対する限界を効率的に提供し、そして塞栓摘出術用バルーンのバースト強度の実質的な増強も効率的に提供する。非カバーバルーンで行われた測定は、0.8立方センチメートルの水で満たされた時に、バルーンが10.77mmの最大ディメンションに達したことを表している。同じテストの条件下で、カバーバルーンは8.34mmの最大ディメンションに達した。手動の液体入り注射器を用いて破裂まで膨張したとき、非カバーバルーンのバースト強度は60psiであり、一方、カバーバルーンのバースト強度は188psiであった。このことは、バースト強度において3倍超の強さを表す。
【0054】
実施例3:
この実施例は、バルーンの適用においてコンポジット材料の使用を例証する。後述されるコンポジット材料から作製されるバルーンは、予測可能な膨張直径、強い強度、優れた圧縮比及び圧縮効率比を示し、さらに加えて、当然のことながら、PTFEによってもたらされる公知の化学的不活性及び低摩擦係数を示す。
【0055】
1.5mmの内径と2.0mmの外径を有する、Dow Corning Corporation(ミシガン州、Midland)によって生産されたSILASTICTM Rx50 Silicone Tubingは、1.1mmステンレス鋼マンドレルと同軸に取り付けられ、両端で固定された。シリコーンチューブは、General Electric Company(ニューヨーク州、Waterford)によって生産されたTranslucent RTV 108 Silicone Rubber Adhesive Sealantの薄い層でコーティングされた。実施例1で述べられた同一の方法で作製された内径8mmのフィルムチューブが、ステンレス鋼マンドレルとシリコーンチューブと同軸に取り付けられた。フィルムチューブの直径が減少しステンレス鋼マンドレルに固定されたシリコーンチューブの基本となるセグメント上にぴったりと合うように、テンションがフィルムチューブの端部に手動で適用された。フィルムチューブがシリコーンチューブと実質的に接触した状態で、このコンポジットチューブは、シリコーンチューブと多孔性PTFEフィルムチューブの間に間隙がないことを保証するために軽くマッサージされた。次に、シリコーン−PTFEコンポジットチューブ全体が最短12時間35℃で空気対流オーブンセットにおいてキュアすることが可能となった。一旦キュアされると、コンポジットチューブはステンレス鋼マンドレルから取り除かれた。それから、水密封印が存在するように、コンポジットチューブの一つの端部は、SCHNEIDER(ミネソタ州、Minneapolis)によって生産されたモデルB507−412MATCH35TM Percutaneous Transluminal Angioplasty(PTA)カテーテルから取り出された5Frカテーテルシャフト部分と同軸に取り付けられ、Oetiker(ニュージャージー州、Livingston)によって生産されたモデル 03.3 RER Ear Clampを用いて、カテーテルシャフトにクランプ締めされた。バルーンの遠位端は、便宜のため止血剤を使って閉じられたが、ワックス糸のような便利な連結線が安定な閉鎖を提供するために使われてもよい。この方法で、バルーンカテーテルは形成され、バルーン材料としてシリコーン−PTFEコンポジットチューブを利用することができた。
【0056】
この時点で、バルーンは膨張前状態で測定された。最小ディメンションは2.31mmと確認され、最大ディメンションは2.42mmと確認された。以前に述べたとおり、バルーンが縦軸の周りを回転する間、およそバルーンの中点からこれらの測定はされ、Lasermike(オハイオ州、Dayton)によって生産されたLasermikeモデル183がその測定をするために使われた。内部水圧で8気圧まで膨張した時、バルーンは、バルーンの中心点で、7.64mmの最小ディメンションと7.76mmの最大ディメンションを有した。8気圧の加圧中に導入された水の量を完全に載り除くことによって収縮した時、長さの中間点で、バルーンは2.39mmの最小ディメンションで、そして2.57mmの最大ディメンションを有した。シリコーン−PTFEコンポジットバルーンは、携帯の膨張デバイスを用いて試験をした時に、150psiのバースト強度を有し、破裂前に最大で約7.9mmのディメンションに達した。
【0057】
この実施例は、シリコーン−PTFEコンポジットチューブが破壊的なバースト強度試験によって実証されたように、直径方向の膨張成長の予測可能な制限を示し、バルーンは、多孔性PTFEフィルムチューブ要素の直径が8mmを越えなかった。前述して定義したように、圧縮比は、2.42が2.57によって割られ0.94であり、前述して定義したように、圧縮効率比は、2.39が2.57によって割られ0.93であった。
【0058】
実施例4:
この実施例は、薄い多孔性PTFEチューブに非多孔性FEPコーティングを有する多孔性PTFEフィルムを螺旋状に巻き付けることによって作製されたPTAバルーンの構造物を説明する。
【0059】
FEPコーティングされた多孔性延伸PTFEフィルムは次の工程を含む方法によって作製された。
a)好ましくはFEPのフィルム又は代替的に別の熱可塑性ポリマーのフィルムである別の層に多孔性PTFEフィルムを接触する工程;
b)熱可塑性ポリマーの融点より高い温度まで、工程a)で得られた組成物を熱する工程;
c)熱可塑性ポリマーの融点より高い温度を維持しながら、工程b)の熱せられた組成物を引き伸ばす工程;及び
d)工程c)の生産物を冷却する工程。
【0060】
FEPに加えて、熱可塑性フルオロポリマーを含む他の熱可塑性ポリマーもまた、このコーティングフィルムを作製するために使用されてもよい。主に引き伸ばしの量及び割合、引き伸ばしの温度、並びに引き伸ばし前の接着の厚み次第で、多孔性延伸PTFEフィルムの接着コーティングは連続的(非多孔性)又は不連続的(多孔性)のどちらであってもよい。
【0061】
この実施例を構成するために使われたFEPコーティングされた多孔性PTFEフィルムは、連続的(非多孔性)なフィルムであった。コーティングされたフィルムの厚み全体は約0.02mmであった。米国特許3953566号及び4187390号によって教示されたとおりで作製された、多孔性延伸PTFEチューブで同軸にカバーされた8mm直径のステンレス鋼のマンドレル上にそのフィルムは螺旋状に巻き付けられた。多孔性PTFEチューブは、約0.10mm厚みの壁を有し、そして約30ミクロン長のフィブリルを有し、3mmの内径であった。フィブリル長は、米国特許4972846号によって教示されているように測定される。3mmのチューブは8mmのマンドレル上にぴったりと取り付けられるように引き伸ばされた。それから、フィルムのFEPコーティングされた面が多孔性PTFEチューブ表面に接するように置かれた状態であって、実施例1によって述べられたような同じ方法で、FEPコーティングされた多孔性PTFEフィルムは、この多孔性PTFEチューブの外表面に巻き付けられた。巻き付けられたマンドレルは380℃2.5分間で空気対流オーブンセットに中に置かれ、取り出され、冷却が可能となり、その時に、結果として得られたチューブはマンドレルから取り出された。水密封印が存在するように、このチューブの一つの端部は、SCHNEIDER(ミネソタ州、Minneapolis)によって生産されたモデルナンバーB507−412 PTAカテーテルから取り出された5Frカテーテルシャフト部分と同軸に取り付けられ、そして、Oetiker(ニュージャージー州、Livingston)によって生産されたモデル 03.3 RER Ear Clampを用いて、カテーテルシャフトにクランプ締めされた。結果として得られたバルーンは、包装されたバルーンカテーテルアセンブリの一部としてSchneiderによって供給された保護用シースの中に詰められた。それから、バルーンから近位であって、カテーテルシャフト上でシースを滑らすことによって、バルーンは保護用シースから取り出した。膨張前として、バルーンの最小と最大の直径は2.25と2.61mmと測定された。それから、バルーンの遠位端は、便宜のため止血剤を使って閉じられたが、ワックス糸のような便利な連結線も安定な閉鎖を提供するために使うことができた。6気圧の圧力まで膨張したとき、最小と最大直径は8.43と8.49mmであった。収縮した後、最小と最大直径は1.19と12.27mmであった。これらの直径により、0.21の圧縮比と0.10の圧縮効率比を得た。
【0062】
実施例5:
この実施例は、螺旋状に適用された多孔性PTFEフィルムを有する多孔性PTFEチューブの中にシリコーン分散物を含浸することによって構成されたバルーンを述べる。この方法で作製されたバルーンは、初期値がたいへん小さい直径、予測可能な膨張直径、強い強度、優れた圧縮比及び圧縮効率比を示し、さらに加えて、当然のことながら、PTFEによってもたらされる公知の化学的不活性及び低摩擦係数を示す。シリコーン分散物を有する含浸によって、さらに薄いバルーン構造が可能である。基材として多孔性PTFEチューブを使用することにより、高圧においてバルーンが伸長することを抑えるための縦方向の強度を強くすることが可能となる。
【0063】
縦方向に押し出され延伸された多孔性PTFE基材チューブが得られた。その基材チューブは、1.5mmの内径であって、約0.17mm厚みの壁を有し、そして約45ミクロン長のフィブリルを有した。そのチューブは1.5mm径のステンレス鋼マンドレルと同軸に取り付けられた。次に、2.54cmの幅にカットされた多孔性延伸PTFEフィルム長が得られた。このフィルムは約0.02mmの厚みを有し、約0.2g/ccの密度を有し、そして約70ミクロンのフィブリル長を有した。厚みは、MitutoyoはさみゲージモデルNo.2804−10を使用して測定された。フィルムバルク密度は、フィルムサンプルのディメンションと質量に基づいて計算された。非多孔性PTFEの密度は2.2g/ccと判断された。本実施例を構成するために使われた多孔性PTFEフィルムのフィブリル長は、フィルムのサンプルの外表面の走査型電子顕微鏡写真から見積もられた。
【0064】
約二つの重なり合ったフィルム層がマンドレルを覆うように、このフィルムはマンドレルの縦軸に対して約65°の角度で、7mm直径のステンレス鋼マンドレルの裸表面上に直接に巻き付けられた。フィルムの両エッジは、製造中又は完成品のバルーンの使用中に、フィルムのピッチ角度を測定するために黒インクで着色された。これに続いて、同一フィルムの別のおよそ二層が、第一の二層の上に螺旋状に巻き付けられた。第二の二層が、縦軸に対して同じバイアス角度であるが反対方向に適用された。この手順は三回繰り返され、およそ全16層のフィルムを供給した。それから、フィルムを巻き付けられたマンドレルは、フィルムの近傍層をヒート結合するために380℃10分間、対流オーブンセットに入れ、その後取り出し、冷却をした。それから、結果として得られた、7mm内径フィルムチューブであって、螺旋状に巻き付けられたフィルム層から形成されたチューブはマンドレルから取り出された。
【0065】
その後、この7mm内径の多孔性PTFEフィルムチューブは、1.5mm内径のPTFE基材チューブとマンドレルと同軸に取り付けられた。フィルムチューブが、1.5mmチューブの外表面にぴったりと取り付けられるように、ある程度直径が縮小することを目的として、そのフィルムチューブは縦軸方向に引っ張られた。それから、この補強されるチューブの端部は、熱処理中に縦方向の収縮を防ぐ目的のためにマンドレルに固定された。その組み合わされたチューブとマンドレルアセンブリは、基材チューブの外表面にフィルムチューブをヒート結合するために380℃190秒間、空気対流オーブンセットに入れた。それから、補強されたチューブとマンドレルアセンブリはオーブンから取り出され、冷却をすることが可能となった。
【0066】
それから、その後の工程でチューブのしわを抑制するために、追加的な多孔性PTFEフィルムが補強されたチューブの外表面に螺旋状に適用された。その後、この圧縮工程の直前におよそ0.6の長さにチューブ長を縮小するために、そのチューブに縦方向の圧力をかけた。チューブの長さ方向に沿って、圧力の高い均一性を確保するために細心の注意を払った。ワイヤーが、マンドレルにチューブの端部を一時的に取り付けるために使用された。それから、螺旋状に適用された追加的なフィルムがカバーした状態でマンドレルが備わった補強チューブは、380℃28秒間、空気対流オーブンセットに入れ、それから、オーブンから取り出され、冷却をすることが可能となった。
【0067】
その後、補強されたチューブは、シリコーン分散物(カルフォルニア州、Ventura、PN40000、Applied Silicone Corp.、Medical Implant Grade Dimethyl Silicone Elastomer Dispersion in Xylene)の含浸に対して準備された。まず、シリコーン分散物は、1部のシリコーン分散物に対して2.3部のn−ヘプタン(J.T.Barker ロット#J07280)を混合することによって調製された。n−ヘプタンとの別の混合は、1部のシリコーン分散物に対して0.5部を混合することによって調製された。各々の混合物は、注射器に入れられた。
【0068】
注射器の各々の分配針は補強チューブの一つの端部の内側に挿入された。ワイヤーは針の周辺のチューブを固定するために使われた。分配針の一つはキャップされ、そして、2.3:1のシリコーン分散物溶液を含む注射器はもう一方に連結された。溶液は、約6psi圧で補強チューブの内側に分配された。チューブの外表面が溶液で湿り始めるまで
圧力はおよそ1分間維持され、分散物がPTFE材料の多孔部に入ることを示唆した。シリコーン分散物がPTFEチューブの内側をコーティングしたことが保証された。この時点で、注射器が取り除かれ、キャップがもう一方の針から取り除かれ、そして、0.5:1のシリコーン分散物を含む注射器が以前にキャップをされた針に連結された。その後、この高い粘性の分散物は注射器を備えるチューブに導入され、次に、低い粘性の分散物に置き換えて、もう一方の端部から針を通して導入して高い粘性の分散物が針を通ってチューブから排出し始めるまで続けられた。チューブが分散物で完全に満たされたことを確保した後、両方の針はキャップされた。150℃で最低1時間、対流オーブンセットにてそのアセンブリを熱することによって、シリコーン分散物のキュアが起こった。キュア工程中に溶媒は蒸発し、それによってチューブの中にルーメンを再生させた。含浸されて補強されたチューブはオーブンから取り出され、冷却することが可能となった。チューブの両端は開放され、ルーメンを再び満たすために一つの端部に、0.5:1シリコーン分散物溶液が注入され、その後、針端部はキャップされ、それから、分散物は前述したように同じ方法でキュアされた。この時点で、バルーン構造物は完成した。
【0069】
上記に述べられた方法により、バルーンの最外表面にPTFEを確保した。代替的に、最初の含浸中に、さらに長い含浸時間又はさらに高い注入圧により、シリコーン分散物でPTFE構造をさらに湿らすことになり、それによって、バルーンの最外表面にさらに多くの分散物を導くことが可能である。
【0070】
それから、バルーン膨張カテーテル(Schneider Match 35 PTA Catheter、6mm径、4cm長、モデルno.B506−412)から得られた5Frカテーテルシャフトに取り付けるためにバルーンは準備された。このバルーンは、図8に図示されるように1.67mm径のカテーテルシャフトに取り付けられた。バルーンの両端はシャフトに取り付けられた。バルーン膨張カテーテルのバルーンに加えてカテーテル先端部は、カテーテルシャフト24のみを残しながらシャフトの二重のルーメン部分で切除された。マンドレル(図示されていない)として役目を果たすガイドワイヤーはシャフトの両ルーメンに挿入された。0.32mmのマンドレルは膨張ルーメン87に挿入され、そして0.6mmのマンドレルはワイヤールーメン83に挿入された。膨張ルーメン87を含むシャフト24の24A部分は、シャフトに配置されるバルーン長よりもおよそ1cm長い長さに薄く切られた。それゆえ、それからは、シャフト24の24A部分は、外側の半円形横断面を有したワイヤールーメン83のみを含んだ(その余分な1cm長が、最終的なアセンブリであって、バルーンがカバーしていない状態で、カテーテルの先端部分のための場所を確保する。)。マンドレルが所定の場所に留まっている状態で、シャフト24の24B部分は、約30秒間、ダイスが共に置かれた時に1.5mm径の穴を含む熱せられたスプリットダイスの中に挿入された。そのダイスは180℃の温度まで熱せられ、1.5mm円形断面の中に半円形断面形状のシャフトの一部分を形成し、そして、膨張ルーメン87の遠位端に近位した領域に着地部91を作り出す。次に、バルーン10(周囲に配置されフィルム層14と16、そして縦方向に配置された基材チューブ81を有する)は、バルーン10の近位端が着地部91の端部からおよそ0.5cmであるように、改良されたシャフト24の遠位端部を滑った。隣接部に近接した、このおよそ0.5cmの着地部91のセグメントは、15秒間の塗装をした(コネチカット州、Newington、Loctite PrismTM Primer770、Item#18397)。それから、シアノアクリレート接着剤(コネチカット州、Rocky Hill、Loctite 4014 Instant Adhesive、Part#18014)がセグメントに適用された。バルーンの近位端が着地部91の端部を終端とするように、バルーン10が近位に移動して、接着剤がセットすることが可能となった。取り付けの間バルーンのしわに対して保証しながら、同様な方法で、バルーン10の遠位端も取り付けられた。この時点で、X線不透過性マーカがバルーンの各々の端部に取り付けられた。取り付け方法における最後の工程は、収縮チューブ93(ニューハンプシャー州、Salem、Advanced Polymers、Inc.ポリエステル収縮チューブ−クリア、アイテム#085100CST)でバルーンの端部を固定する工程を含んだ。およそ0.25cmのバルーンの近位端とおよそ0.75cmのバルーンの端部に近接したシャフトは、上述したように同じ塗装剤と接着剤で処理された。およそ1cm長の収縮チューブは、シャフト24とバルーン10の処理された領域に配置された。バルーンの遠位端と近接した改良シャフト部分を処理すること及び別のおよそ1cm長の収縮チューブ93を取り付けることの両方の目的のために、同様な方法が続けて実行された。その後、収縮チューブを収縮するために、全アセンブリが少なくとも約2分間150℃の対流オーブンセットの中に配置された。
【0071】
膨張前バルーンは、2.03mm及び2.06mmの最小及び最大ディメンションをそれぞれ有した。バルーンカテーテルは実施例1で述べたような圧力下で試験された。膨張バルーンは、5.29mm及び5.36mmの最小及び最大ディメンションをそれぞれ有した。収縮バルーンは、2.19mm及び3.21mmの最小及び最大ディメンションをそれぞれ有した。結果として得られた圧縮効率比及び圧縮比は、各々0.68及び0.64であった。
【0072】
膨張前、膨張時(8気圧)、及び収縮時において、フィルムのピッチ角度もまた、測定され、それぞれ、約20°、50°、及び25°の値を得た。バルーンは10気圧で再膨張され、フィルムのピッチ角度は、膨張と収縮状態で測定された。両方の膨張圧で角度は同じだった。
【0073】
破損の圧力を測定するためにバルーンを一定な高圧状態にした。バルーンの遠位端の収縮チューブの破損が原因で、バルーンは破損前において19.5気圧の圧力状態に持ちこたえた。別のバルーンカテーテルは、同一のバルーン材料の要素を使って作製され、この実施例で述べられた同じ手順を追随した。このバルーンカテーテルは、外側の補強フィルムが取り除かれた3mmのGORE−TEX Vascular Graft(アリゾナ州、Flagstaff、W.L.Gore and Associates、アイテムno.V03050L)を膨張させるために使われた。グラフとの遠位端がバルーンの遠位端からおよそ1cmの位置になるように、グラフトはバルーン上に配置された。バルーンは8気圧まで膨張し、グラフトはバルーンに対して縦方向に移動することなく均一に膨張した。同じグラフとの他の要素は、6mm径、4cm長のSchneider Match 35 PTA Catheter(モデルno.B506−412)を用いて同様な方法で試験された。この場合において、グラフトは、膨張中に、バルーンの長さ方向で近位に滑った。グラフトの遠位端は膨張しなかった。
【0074】
実施例6:
膨張中にたわむバルーンを提供する目的で、一つの例外だけで実施例5の全ての工程に従って、バルーンカテーテルが作製された。
【0075】
縦方向の圧縮工程を素早く進行する手動の伸長工程を除外することの例外があるだけで、全ての同一工程は実施例5の工程を追随した。すなわち、シリコーン分散物で含浸された地点において、フィルムカバーされた多孔性PTFEチューブは、最初の段階で0.6の長さであった(実施例5においては0.8でった)。
【0076】
バルーンカテーテルはこのバルーンを用いて構成された。バルーンの長さは4.0cmであった。バルーンのたわみは。8気圧までバルーン膨張することによって試験され、膨張によって作り出された、たわみ角度を測定した。バルーンの真ん中が基準の位置になるようにして、分度器の0°のけがき線に一致させて並べられたバルーンを介して測定がされた。たわみ角度は50°であった。その後、バルーンは、さらに90°まげられ、弛緩することが可能になった。ねじれは140°でさえ起きなかった。今なお膨張し、弛緩したバルーンの角度は90°で安定した。
【0077】
無傷の6mm径、4cm長のSchneider Match 35 PTAカテーテル(モデルno.B506−412)のバルーンは同様な方法で試験された。8気圧圧下のたわみ角度は0°であった。その後、膨張バルーンは90°までたわみ、ねじれを作り出した。膨張バルーンは弛緩することが可能になった。バルーンたわみ角度は25°で安定した。本発明の物品のたわみ特性は血管及びその同じ血管の側枝の膨張を同時に可能とする。本発明のバルーンは、ねじれがない状態で容易にたわむことが可能である。ねじれはバルーン材料のしわとして定義される。
【0078】
実施例7:
この実施例は、本発明のバルーンカテーテルアセンブリの代替的な構造を示す。述べられる構造は、積層関係の螺旋状に巻き付けられた多孔性PTFEフィルム及びエラストマーチューブのチューブ状の基材から作製されたバルーンに関し、バルーンの端部が、多孔性PTFEフィルムの巻き付けを利用してカテーテルシャフトに固定されている、バルーンに関する。そのバルーンは、バルーンとカテーテルシャフトの長さに対して縦方向に配置されたフィブリルを有する追加的な多孔性PTFE層を必要としない。
【0079】
図9の縦断面図によって示されるように、バルーンカテーテルアセンブリ100の近位端は、注入用の成形Y型付属品で同時につなぎ合わされたカテーテルチューブの三つのセグメントを用いて作り出された。本実施例と後述の実施例で述べられるように、バルーンカテーテルの遠位端は、バルーンに備え付けられた端部であって、患者の体に最初に挿入される端部であると考えられ、近位端は、遠位端とは反対側のバルーンカテーテルの端部であると考えられる。全てのチューブセグメントは、他の方法で言及をしていないなら、Pebax7233チューブであって、述べられる全てのチューブは、他の方法で言及をしていないなら、カルフォルニア州、Santa Clara Infinity Extrusions and Engineeringから入手可能である。カテーテルシャフト101の主な要素は、約2.3mmの外径で、約1.07mmの内径を有するガイドワイヤールーメン105及び約0.5mmの高さの三日月形の膨張ルーメン107を有するチューブ103であってデュアルルーメンセグメントであった。このチューブの横断面図は図9Aによって図示される。このメインシャフト101のガイドワイヤールーメン105は、約2.34mmの外径と約1.07mmの内径を有する12cm長の単一のルーメンチューブ111の一つの端部にY型付属品109でつなぎ合わされ、メインシャフト101の膨張ルーメン107は、12cm長のPebax4033単一ルーメンチューブ115につなぎ合わされた。連結は、デュアルルーメンチューブ103及びシングルルーメンチューブ111の端部が隣接するまで、デュアルルーメンチューブ103のガイドワイヤールーメン105の一つの端部の中に1.0mm外径スチールワイヤー長(図示されていない)を配置し、スチールワイヤーの反対端部上にシングルルーメンチューブ111の一つの端部を滑らすことによって完成する。ワイヤー長の中点で30度のたわみを有する0.48mm径ワイヤー長(これも図示されていない)が、ワイヤーのたわみの地点まで、デュアルルーメンチューブ103の三日月形膨張ルーメン107の中に挿入され、ワイヤーのたわみ地点に達するまで、シングルルーメンチューブ115の第二長のルーメン117が、このワイヤーの反対端に取り付けられた。このように、隣接したチューブ端部の領域のワイヤーの存在が、隣接部の地点で両ルーメンの連続性を維持した。隣接したチューブ端部の領域が、分岐部を封入するために設計されたモールド(型)の空洞の中に配置された。モデルIMP6000 Injection Molding Press(ミネソタ州、Plymouth、Novel Biomedical Inc.)を用いて、熱せられたPebax7033が、Y−フィッティング109を形成するために、モールド(型)の中に注入された。冷却後、結果として得られたアセンブリがモールド(型)から取り除かれ、スチールワイヤー長がチューブのルーメンから引き抜かれた。最後に、メス用のLuerフィッティング(ニューヨーク州、Edgewood、Qosina Corp.、パーツno.65250)が、Loctite 4014 Instant Adhesive(コネチカット州、Newington、Loctite Corp.)を用いて、シングルルーメンチューブ111と115の各々の残りの端部に取り付けられた。
【0080】
その後、カテーテルアセンブリ100の遠位又はバルーン端は、次のように組み立てられるが、図10Aによって表される縦断面にしたがって開始する。1.00mm直径ステンレス鋼ワイヤー(図示されていない)のおよそ30cm長が、デュアルルーメンチューブ103のガイドワイヤールーメン105の遠位端の中におよそ15cm挿入された。デュアルルーメンチューブ103の端部に隣接するように、1.02mmの内径と1.58mmの外径を有するシングルルーメンチューブ119の13cm長が、ガイドワイヤールーメン105から突き出ている曝されたワイヤー上に配置された。二つのチューブ103と119、及び内在ワイヤーの隣接端部が、PIRFTM Thermoplastic Forming and Welding System(アリゾナ州、Tucson、SebraTM Engineering and Research Associates、Inc.、パーツナンバー3220、3226、3262、及び3263)の中に配置され、シングルルーメンチューブ119とディアルルーメンカテーテルシャフト103の間の突き合わせ連結は完成した。ディアルルーメンカテーテルチューブ103の三日月形膨張ルーメン107の遠位部内に内在する0.49mmステンレススチールワイヤーは、動作中にルーメン107の遠位端が開放状態であることを維持する保証をした。この工程で使われて熱せられたダイスは、ディアルルーメンカテーテルチューブ103とシングルルーメンチューブ119のディメンションを調整するために特別に組み立てられた。本実施で使われた加熱と他のパラメータは試行錯誤によって導かれ、適切なリフロー及び二つのチューブの近接した端部の適切な突き合わせ溶接の結果が導かれた。
【0081】
次に、1.00mmステンレススチールワイヤーが、近接したチューブ103と119のガイドワイヤールーメン105と121内でそのまま所定の場所に存在しながら、ディアルルーメンカテーテルチューブ103の膨張ルーメン107の遠位部内に内在する0.49mmのステンレススチールワイヤーが、0.39mmのステンレススチールワイヤーのおよそ30cm長に置き換えられた(これも図示されていない)。再び、ワイヤーが膨張ルーメン107の中に約15cm配置された。突き合わせ溶接したシングルルーメンチューブ119及びディアルルーメンチューブ103からなるアセンブリ、並びに内在したワイヤーは、異なるダイスで再取り付けされた、PIRFTMThermoplastic Forming and Welding Systemの中に配置された。熱処理中、アセンブリは、システムの熱せられたダイスの中を約2.0cm進み、ディアルルーメンカテーテルチューブ103の2cm長の遠位端の外径が、熱せられたダイスの1.83mm内径と同じディメンションに縮小したことが起こった。図10Bの縦方向の断面は、熱処理後のアセンブリの外観を示し、「a」領域は1.58mm外径のシングルルーメンチューブ119を有することを示し、「b」領域は1.83mm外径に変更されたことを示し、そして、「c」領域は最初の2.3mm外径のディアルルーメンチューブ103を維持することを示す。ディアルルーメンカテーテルチューブ103の膨張ルーメン107内に内在する0.39mmのステンレススチールワイヤーは、そのルーメン107がこの動作中に開放状態を維持することを保証した。本実施で使われた加熱と他のパラメータは試行錯誤によって導かれ、ディアルルーメンチューブの適切なリフローの結果が導かれた。一度この実施が完成すると、充分な長さのシングルルーメンチューブ119の全外表面(突合せ溶接から遠位の「a」領域)は、これから述べるように、シリコーンチューブ123の端部の結合を促進するために220研磨紙で研磨した。
【0082】
カテーテルシャフト101の構造物が完成した状態において、カテーテルシャフト101の外径が1.83mmから2.3mmに変更した地点から、シリコーンチューブ123の近位端がおよそ7.5mm遠位であるように、長さでおよそ9cmのシリコーンチューブ123のセグメントであって、およそ1.40mmの内径であり、およそ1.71mmの外径であり、デュロメータがShore60A(ウィスコンシン州、Racine、Beere Precision Silicone)である、シリコーンチューブ123のセグメントが、図10Cの縦方向の断面によって示されるようにカテーテルシャフト101の遠位端上に配置された。カテーテルシャフト101上の最終的な位置となるときに、シリコーンチューブ123の切片が、縦方向に伸長(例えば、テンションで伸長)しないことを保証するために、このことは、たいへん注意深く実行された。イソプロピルアルコールは、カテーテルシャフト101とシリコーンチューブ123の間の滑剤として使われた。
【0083】
この実施例で使われたエラストマーチューブはシリコーンチューブであったが、ポリウレタン又はフルオロエラストマーチューブのような他のエラストマー材料から作製されたチューブもまた適切に用いられてよい。
【0084】
シリコーンチューブ123が、カテーテルシャフト101に適切に配置された状態で、任意の残留アルコールが多くの時間で蒸発することができて、シャフト101が完全に乾燥することについて保証された。一旦残留アルコールがなくなると、少量のMedical Implant Grade Dimethyl Silicone Elastomer Dispersion In Xylene(カリフォルニア州、Ventura、Applied Silicone、Part40000)が、シリコーンチューブ123の端部と基本構成のカテーテルシャフト101の外表面の間に適用された。シリコーンチューブ123の各々の端部で、シリコーンチューブ123の端部と基本構成のカテーテルシャフト101の外表面の間であって、カテーテルシャフト101の長さに平行方向に測定されておよそ7.5mmの距離に対して、小さい先の尖っていない針が挿入された。シリコーンチューブ23の端部下で結合するように、シリコーンエラストマー分散物が、7.5mm長の領域において充分に内部コーティングされたことの状態を保つように、シリコーンエラストマー分散物が、先の尖っていない針に連結された3cc注射器を用いて、カテーテルシャフト101の全円周方向に慎重に適用された。その後、シリコーンエラストマー分散物が、室温でおよそ30分間、キュアをすることが可能となり、それから、さらに30分間150℃で空気対流オーブンセットにおいてキュアをすることが可能となった。次に、シリコーンエラストマー分散物が下域に存在するシリコーンチューブ123の端部領域及びシリコーンチューブ123の端部から測定しておよそ7.5mmの長さであってシリコーンチューブ123によって覆われていないカテーテルシャフト101の近接部に、およそ1.0cm幅である、上述したような多孔性PTFEフィルム長が巻き付けられた。巻き付け中、多孔性PTFEフィルムの空隙が実質的に分散物によって充填されるように、多孔性PTFEフィルムの全長が少量のシリコーンエラストマー分散物でコーティングされ、分散物が多孔性PTFEフィルムに浸透した。このように、分散物は、多孔性PTFEフィルムを基本構成とする要素に備え付けるために接着材料として使われた。他の接着材料、例えば、他のエラストマー(例えば、ポリウレタン若しくはフルオロエラストマー、選択的に分散物の形態でもまたよい)、シアノアクリレート、又はその後の熱の適用によって活性化することができるフッ素化エチレンプロピレンのような熱可塑性接着剤を用いてもよいと考えられる。およそ3つの重なり合う層(図10Cにおいて層125として図式化されている)が各々の領域を覆うように多孔性PTFEフィルムが適用されることを確保することに細心の注意は払われた。たいへん薄い多孔性PTFEフィルムは、カテーテルアセンブリ100の外径を有意に増大させなかった。この時点で、多孔性PTFEフィルムをコーティングするために用いられたシリコーンエラストマー分散物は、室温でおよそ30分間、キュアをすることが可能となり、それから、さらに30分間150℃で空気対流オーブンセットにおいてキュアをすることが可能となった。
【0085】
次に、フィルムチューブが、実施例1で述べられた形態と同じ形態で構成された。重なり合う5つの層のフィルムがマンドレルを覆うように(例えば、フィルムチューブの任意の横断面が約5層のフィルムを横断する)、上述したように作製された、幅2.5cmにカットされた、多孔性PTFEフィルム長は、マンドレルの縦軸に対しておよそ70°の角度で8mmステンレススチールマンドレルの裸表面に巻き付けられた。これに続いて、別の同じ5層のフィルムが、縦軸に対して同じピッチ角度であるが、反対方向に、第一の5層の上に螺旋状に巻き付けられた。それゆえ、第二の5層もまた、およそ70°の角度で配置されたが、第一の5層と比較して軸の反対端から測定された。その同じ方法で、全約30層の螺旋状に巻き付けられたフィルムがマンドレルを覆うまで、各々の連続した5層群が前の巻き付け5層群とは反対方向に適用されるように、追加的なフィルム層が巻き付け1回について5層の適用がされた。それから、フィルムが巻き付けられた、このマンドレルは、フィルム層をヒート結合するために11.5分間380℃で空気対流オーブンセットの中に置かれ、それから取り出し、冷却が可能となった。
【0086】
フィルムチューブはまた、上述したよりも多いフィルムか少ないフィルムを使って構成されてよく、フィルム量を増やすか又は減らすかの使用によって、より強く(フープ強度の観点から)そしてより小さいコンプライアント性であるか、又はより弱くそしてより大きいコンプライアント性であるかの結果になる。僅かに異なる多孔性PTFE材料(例えば、多孔度、厚み及び幅)の利用、利用される多孔性PTFE材料の量、縦軸及び近接する材料層に対する配向性の全てが、結果物のバルーンの性能特性に影響を与えると考えることができ、これらの変更は、通常の実験によって特別な性能要求のために最適にしてもよい。
【0087】
その後、結果物の8mm内径フィルムチューブは、8mmのマンドレルから取り出され、1.76mm直径のステンレススチールマンドレルと同軸に取り付けられ、そしてチューブの直径が縮小することを引き起こすように縦方向に手動で引っ張られた。その後、フィルムチューブの端部(マンドレル端部を越えて延在する)は、平面なあごを装備した、Instron(マサチューセツ州、Canton)によって生産されたモデル4201 Tensile Testing Machineに置かれ、そして4.8と4.9kgの間の力に達するまで200mm/mmの一定割合で引っ張られた。その後、そのフィルムチューブは、ワイヤー結ばれてマンドレル端部に固定された。
【0088】
その後、固定されたフィルムチューブを備える1.76mmのマンドレルは、30秒間380℃で空気対流オーブンセットに置かれた。それから、マンドレルとフィルムチューブは、取り出されて、冷却が可能となり、その後、上述のように作製された1.9cm幅の多孔性PTFEフィルム長を手動で螺旋状に巻き付け(縦軸に対して約70度のピッチ角で巻き付けた)、結果として重なり合う約2つの層のフィルムがマンドレルとフィルムチューブを覆った。これに続いて、別の同じ2層のフィルムが、縦軸に対して同じピッチ角度で、反対方向ではあるが、第一の2層の上に螺旋状に巻き付けられた。その後に続く熱処理とキュア工程の間、マンドレルの外表面にフィルムチューブを固定するために、これらのフィルム層(図示されていない)はクランプ手段として一時的に適用された。固定されたフィルムチューブを備える1.76mmのマンドレル及びフィルムチューブ上に巻き付けられた多孔性PTFEフィルム層は、その後、45秒間380℃で空気対流オーブンセットの中に置かれ、それから取り出し、冷却が可能となった。それから、消えないペンを使って、1cmきざみで巻き付けられたフィルムチューブの長さに沿って印がつけられ、そしてこれらの印はおよそ5mmの均等な間隔になるまで、巻き付けられたフィルムチューブは縦方向に圧縮された。インクが外側のフィルム層を浸透し、また基本要素のフィルムチューブに印がされるように、これらのペンによる印は外側で螺旋状に巻き付けられたフィルムチューブにつけられた。マンドレル上に固定されて縦軸方向に圧縮されたフィルムチューブを備える1.76mmのマンドレル及びフィルムチューブ上に巻き付けられた多孔性PTFEフィルム層は、その後、45秒間380℃で空気対流オーブンセットの中に置かれ、それから取り出し、冷却が可能となった。一旦冷却されると、フィルムチューブ上に巻き付けられた多孔性PTFEフィルム層は完全に取り除かれ、結果として、1.76m内径のフィルムチューブがマンドレルから取り出された。5cmきざみで、目に見えるペンでマークをつけたフィルムチューブは、ペンの印がおよそ1cmきざみの間隔になるまで、縦方向に手動で引っ張られ、その後縮めることが可能となった。結果として、1.76mm内径のフィルムチューブは、7mmから8mmの間隔で離れた、目に見えるペンの印を有した。 Nusil Silicone Tchnology(カリフォルニア州、Carpinteria)によって生産された、質量換算で1部のMED1137 Adhesive Silicone Type Aを、6部のn−ヘプタン(ニュージャージー州、Phillipsburg、J.T.Baker)に混合したものを含むジャーの中に、そのフィルムチューブは置かれ、その混合物でフィルムチューブを浸漬した。このように、多孔性PTFEフィルムチューブ127内の空隙は、シリコーン接着剤の混合物によって浸漬され、実質的に充填された。また、この工程はフルオロエラストマーとポリウレタンを含む弾性接着剤の他のタイプによって遂行されてもよいと考えられる。
【0089】
シリコーンチューブ123を備えるカテーテルシャフト101は、多孔性PTFEフィルム125を介して備え付けられ、その後、シリコーンエラストマー分散物は、Nusil Silicone Tchnology(カリフォルニア州、Carpinteria)によって生産された、質量換算で2部のMED1137 Adhesive Silicone Type Aを、1部のn−ヘプタン(ニュージャージー州、Phillipsburg、J.T.Baker)に混合したものからなる薄層で慎重にコーティングされた。1.76mm内径のフィルムチューブは、シリコーン−ヘプタン混合物から取り出され、そして、シャフト101に備え付けられた全シリコーンチューブ123はフィルムチューブ127によって覆われ、そしてシャフトの外側のディメンションが1.83mmから2.3mmまで変化する地点に近位なカテーテルシャフトの近接部分も覆われるように、図10Dの縦断面によって示されているが、フィルムチューブ127内と同軸上で、コーティングされたカテーテルシャフト101は慎重に備え付けられた。カテーテルシャフト101と備え付けられたシリコーンチューブ123がフィルムチューブ127によって覆われている状態で、近位端がカテーテルシャフト101の外側のディメンションが1.83mmから2.3mmまで変化した地点に一致し、そしてもう一方の端部が、カテーテルシャフト101に備え付けられたシリコーンチューブ123の遠位端からおよそ7.5mm遠位であるように、フィルムチューブ27の端部は調整された。それから、フィルムチューブ127の外表面は、手によって、上述したように作製された1.9cm幅の多孔性PTFEフィルム長で螺旋状に巻き付けられ、その結果、重なり合う約2つのフィルム層がその長さ全体を覆った。このフィルム(図示されていない)は、その後に続く熱処理とキュア工程の間に好ましい固定手段として一時的に適用された。その後、前に適用されたシリコーン接着剤混合物のキュアをするために、カテーテルアセンブリ100の遠位端が、15から30分間の期間、水蒸気浴に置かれた。
【0090】
それから、カテーテルアセンブリ100は、水蒸気浴から取り出され、外側の螺旋状に巻き付けられたフィルムは取り除かれた。次に、シャフトの外側のディメンションが1.83mmから2.3mmまで変化した地点からおよそ15mm遠位で、そしてシリコーンチューブの遠位端の周りに巻き付けられた多孔性PTFEフィルムの最も近位端からおよそ15mm遠位である、フィルムチューブ127の端部に、およそ1.0cm幅で、上述したような多孔性PTFEフィルム長は手動で巻き付けられた。巻き付け中、多孔性PTFEフィルムの全長は、質量換算で、等量部のMED1137 Adhesive Silicone Type A、及びn−ヘプタン(ニュージャージー州、Phillipsburg、J.T.Baker)の少量の混合物でコーティングされた。重なり合うおよそ3つの層(図10Dに層129として図式的に示されている)が、カテーテルの直径を特別な意味を持って増大させることなく領域を覆うように、多孔性PTFEフィルムが適用されることを確保することに細心の注意は払われた。層129と125のために用いられた多孔性PTFEフィルムの領域「b」における縮小した直径と薄い特性のために、フィルム層129と125の位置のカテーテルアセンブリ100の直径の大きさは、これらのフィルムの近位のカテーテルチューブ101の直径の大きさにたいへん近くなる。その後、カテーテルの遠位部は、最終的なキュアを実行するために、最低でも8時間水蒸気浴に置かれた。最終的なキュアの後、カテーテルシャフトの最も遠位な部分は、フィルムチューブの外側であって多孔性PTFEフィルムの最も遠位なエッジで横方向に切り取られた。バルーン部分を組み込むカテーテルアセンブリ100の遠位領域の構成は今、完成した。結果として完成したこの構成のバルーン部分は領域133として表される。バルーンの端部とバルーンの長さは(バルーンの端部間で測定される距離として表される)、バルーン部分133に最も近い多孔性PTFEフィルム層129エッジの発端(終結部又は固定手段)として示されるように、角括弧で囲まれた領域133によって定義される。
【0091】
このように、バルーン部分133は、バルーンの各々の端部の二つの別個の終結部(又は固定手段)によってカテーテルシャフトの外表面に固定され、これらは、シリコーンチューブ123を固定するために使われたフィルム層125及び多孔性PTFEフィルムチューブ127を固定するために使われたフィルム層129の形となって現れる。バルーンの一つの端部の二つの別個の終結部の存在(例えば、別個の層125と129)は、終結領域を通る横断面を確認し、走査型電子顕微鏡のような適切な顕微鏡法を利用して調べることによって実証することができる。
【0092】
膨張性バルーン部分133は、二つの基材、すなわち積層関係にあって連結された多孔性PTFEフィルムチューブ127と弾性シリコーンチューブ123の結果となった。このように、多孔性PTFEフィルムチューブ127の空隙は、シリコーンチューブ123と、多孔性PTFEフィルムチューブ127の空隙を含浸してシリコーンチューブ123のフィルムチューブを接着する前に適用されたシリコーン接着剤によって実質的に封印された。
【0093】
この時点で、バルーン部分133の直径は膨張前状態で測定された。最小直径は2.14mmであると確認され、最大直径は2.31mmと確認された。以前に述べたように、バルーンのおよそ中点からこれらの測定はされ、バルーンが縦軸の周りを回転する間に測定をするために、Lasermike(オハイオ州、Dayton)によって生産されたLasermikeモデル183が使われた。1分以内で内部水圧が8気圧まで膨張した時(図10Eの縦断面によって図示されている)、バルーンは、バルーン長の中心点で、6.89mmの最小直径と6.93mmの最大直径を有した。8気圧の加圧中に、バルーン部分133がカテーテルシャフト101の縦軸に対して実質的に真っ直ぐであって、バルーン部分133がカテーテルシャフト101に備え付けられた地点からバルーンが充分な直径の状態になるバルーン上の地点までの距離が比較的短いことを理解することができる。これは、バルーン端部に近くなるほど直径が小さくなる状態であって長さに沿ってテーパーな外観を有することとは反対に、膨張した時のバルーンは、バルーン部分133の長さの中点の直径と実質的に同じ直径の平滑末端を有したと言うことができる。8気圧の加圧中に導入された水の全量を取り除くことによって収縮した時に、中点におけるバルーンは2.22mmの最小直径と2.46mmの最大直径を有した。このシリコーン−PTFEコンポジットバルーンは、携帯の膨張デバイスを使って試験するときに、およそ22気圧(ゼロ圧から始まって、約30秒間で達した)のバースト圧力を有し、破裂によって破損する前で最大直径約7.95mmに達した。
【0094】
この実施例は、シリコーンとPTFEを使って上述したように構成されたバルーンが、破壊的なバーストテストによって実証されたように、直径の増大に対して予測可能な限界を示すことを例証し、そして、破損前に多孔性PTFEフィルムチューブ要素が8mm径を越えなかったことを例証する。前に定義された圧縮比は2.31が2.46によって割られて、0.94であり、そして、前に定義された圧縮効率比は、2.22が2.46によって割られて、0.90である。本発明のバルーンカバーを提供した後のバルーンは2.63が3.87によって割られて、0.68の圧縮効率比を得た。水が漏れることなく前述した圧力まで膨張するバルーンの能力は、多孔性PTFEの空隙が弾性材料によって、実質的に封印されることを事実上実証した。
【0095】
この実施例によって述べられるバルーンカテーテルを作り出すために使われた方法を記載したフローチャートは、図10Fとして表され、この方法のバリエーションは、同一又は類似のバルーンカテーテルを作り出すために用いられてもよいことは明らかだろう。
【0096】
実施例8:
この実施例は、弾性材料で作製されたカテーテルシャフトを使ってバルーンカテーテル構造物の方法を教示する。この実施例は、膨張を意図したルーメンを備えるシングルルーメンシリコーンカテーテルシャフトのみを使って作られるが、二つの部分又は3つ以上の多数のルーメンシャフトが使用されてもよいことは明らかだろう。
【0097】
4frシャフト外径(約1.35mm)と40cm長を有する、Cathlab Division of American Biomed Inc.(カルフォルニア州、Irvine)によって生産されたシリコーンモデル4 EMB 40 Arterial Embolectomy Catheterを入手した。塞栓摘出術用カテーテルは、シャフトの近位端にLuerフィッティングとシャフトの遠位端にシリコーンエラストマーで作製されたバルーンを含んだ。カテーテル(バルーンを含む)の最も遠位な20cm部分は切り取られ、0.38mm直径ワイヤーが、シャフトのオープンルーメンを通って完全に挿入された。およそ5mm長の切断部は、遠位端からおよそ6.5cm近位のシャフト壁を貫いて作られ、0.38mmワイヤーを曝すことになるが、シャフトの残りの部分を損傷することはなかった。図11Aに縦断面によって示されるように、結果として得られた開放部201は、カテーテルシャフト219の領域上に構成される新しいバルーンのための膨張口としての役目を果たすことになった。
【0098】
シリコーンチューブ123の近位端が、カテーテルシャフト219の遠位端からおよそ9.8cm近位であるように、長さでおよそ8cmのシリコーンチューブ123のセグメントであって、およそ1.40mmの内径であり、さらにおよそ1.71mmの外径であり、デュロメータがShore60A(ウィスコンシン州、Racine、Beere Precision Silicone)である、シリコーンチューブ123のセグメントが、カテーテルシャフト219の遠位端上に配置された。カテーテルシャフト219上の最終的な位置となるときに、シリコーンチューブ123の切片が、縦方向に伸長(例えば、テンションで伸長)しないことを保証するために、このことは、たいへん注意深く実行された。イソプロピルアルコールは、カテーテルシャフト219とシリコーンチューブ123の間の滑剤として使われた。
【0099】
この実施例のために使われた弾性チューブはシリコーンチューブであったが、ポリウレタンチューブのような他の弾性チューブ材料もまた適切に用いられてもよいことは考えられる。
【0100】
シリコーンチューブ123がカテーテルシャフト219に適切に配置された状態で、任意の残留アルコールが多くの時間で蒸発することができて、シャフト219が完全に乾燥することについて保証された。一旦残留アルコールがなくなると、少量のMedical Implant Grade Dimethyl Silicone Elastomer Dispersion In Xylene(カリフォルニア州、Ventura、Applied Silicone、Part40000)が、シリコーンチューブ123の端部と基本構成のカテーテルシャフト219の外表面の間に適用された。シリコーンチューブ123の各々の端部において、シリコーンチューブ123の端部と、カテーテルシャフト101の長さの平行方向に測定されておよそ7.5mmの距離がある基本構成のカテーテルシャフト219の外表面の間に平滑針が挿入された。シリコーンチューブ23の端部下で結合するように、シリコーンエラストマー分散物が、7.5mm長の領域において充分に内部コーティングされたことの状態を保つように、シリコーンエラストマー分散物が、先の尖っていない針に連結された3cc注射器を用いて、カテーテルシャフト219の全円周方向に慎重に適用された。その後、シリコーンエラストマー分散物が、室温でおよそ30分間、キュアをすることが可能となり、それから、さらに30分間150℃で空気対流オーブンセットにおいてキュアをすることが可能となった。次に、シリコーンエラストマー分散物が下域に存在するシリコーンチューブ123の端部上に、シリコーンチューブ123によって覆われていないカテーテルシャフト219の近接部に、シリコーンチューブ123の端部から測定しておよそ7.5mmの長さに向けて、およそ1.0cm幅である、上述したような多孔性PTFEフィルム長が巻き付けられた。巻き付け中、多孔性PTFEフィルムの全長が少量のシリコーンエラストマー分散物でコーティングされた。およそ3つの重なり合う層(図11Aと11Bにおいて層125として図式化されている)が各々の領域を覆うように多孔性PTFEフィルムが適用されることを確保することに細心の注意が払われた。たいへん薄い多孔性PTFEフィルムは、カテーテルアセンブリ100の外径を有意に増大させなかった。この時点で、多孔性PTFEフィルムをコーティングするために用いられたシリコーンエラストマー分散物は、室温でおよそ30分間、キュアをすることが可能となり、それから、さらに30分間150℃で空気対流オーブンセットにおいてキュアをすることが可能となった。
【0101】
次に、実施例7で述べたような同じ形態でフィルムチューブは構成された。シリコーンチューブ123を備えるシリコーンカテーテルシャフト219は、多孔性PTFEフィルム125を介して備え付けられ、その後、シリコーンエラストマー分散物は、Nusil Silicone Tchnology(カリフォルニア州、Carpinteria)によって生産された、質量換算で2部のMED1137 Adhesive Silicone Type Aを、1部のn−ヘプタン(ニュージャージー州、Phillipsburg、J.T.Baker)に混合したものからなる薄層で慎重にコーティングされた。1.76mm内径のフィルムチューブは、シリコーン−ヘプタン混合物から取り出され、そして、シャフト219に備え付けられた全シリコーンチューブ123はフィルムチューブ127によって覆われ、シリコーンチューブ123の両端部に近位なカテーテルシャフト219の近接部分も覆われるように、フィルムチューブ127内と同軸上で、コーティングされたカテーテルシャフト219は慎重に備え付けられた。カテーテルシャフト219と備え付けられたシリコーンチューブ123がフィルムチューブ127によって覆われている状態で、フィルムチューブ127の遠位端が、基本構成のシリコーンチューブ123の遠位端から7.5mm遠位に配置され、そして近位端が、基本構成のシリコーンチューブ123の近位端から7.5mm近位に配置されるように、フィルムチューブ127の端部は調整された。それから、フィルムチューブ127の外表面は、手によって、上述したように作製された1.9cm幅の多孔性PTFEフィルム長で螺旋状に巻き付けられ、その結果、重なり合う約2つのフィルム層がその長さ全体を覆った。このフィルム(図示されていない)は、その後に続く熱処理とキュア工程の間に好ましい固定手段として一時的に適用された。その後、前に適用されたシリコーン接着剤混合物のキュアをするために、カテーテルアセンブリ100の遠位端が、15から30分間の期間、水蒸気浴に置かれた。
【0102】
それから、カテーテルアセンブリ200は、水蒸気浴から取り出され、外側の螺旋状に巻き付けられたフィルムは取り除かれた。次に、フィルムチューブ127の遠位端からおよそ15mm近位であって、フィルムチューブ127の近位端からおよそ15mm遠位であるフィルムチューブの端部上に、およそ1.0cm幅であり、上述したような多孔性PTFEフィルム長は手動で巻き付けられた。層129として図式的に示されているように、これらの領域は重なり合うおよそ3つの層によって覆われた。また、重なり合うおよそ2つの層がカテーテルシャフト219覆い、それから同じフィルムの別の2層が、縦軸に対して同一のピッチ角度(約70度)ではあるが、反対方向で第一の2層上に螺旋状に巻き付けられるように、多孔性PTFEフィルム長(層221として図式化されている)が、シリコーンチューブ123の近位端からカテーテルシャフト219の近位端のLuerフィッティングまでカテーテルシャフト219の長さに沿って螺旋状に巻き付けられた。
巻き付け中、各々の多孔性PTFEフィルム長は、質量換算で、等量部のMED1137 Adhesive Silicone Type A、及びn−ヘプタン(ニュージャージー州、Phillipsburg、J.T.Baker)の少量の混合物でコーティングされた。多孔性PTFEフィルムは、カテーテルの直径を有意に増大させることなく適用されることを確保することに細心の注意が払われた。これは、多孔性PTFEフィルムの薄い特性の結果であるために可能である。その後、カテーテルアセンブリ200は、キュアを実行するために、最低でも8時間水蒸気浴に置かれた。キュアの後、カテーテルシャフト219の最も遠位な部分は、フィルムチューブ127の外側の多孔性PTFEフィルム129の最も遠位なエッジで横方向に切り取られた。そして、質量換算で、等量部のNusil Silicone Tchnology(カリフォルニア州、Carpinteria)によって生産されたMED1137 Adhesive Silicone Type A、及びn−ヘプタン(ニュージャージー州、Phillipsburg、J.T.Baker)の混合物の中に浸漬された0.38mmワイヤー225の1cm長切片の挿入によって、開放の膨張ルーメン107は封印された。その後、カテーテルアセンブリ200は、最終的なキュアを実行するために、最低でも8時間水蒸気浴に置かれた。
【0103】
この時点で、バルーン部分133の直径は膨張前状態で測定された。最小ディメンションは2.13mmと確認され、最大ディメンションは2.28mmと確認された。以前に述べたとおり、バルーンが縦軸の周りを回転する間、およそバルーンの中点からこれらの測定はされ、Lasermike(オハイオ州、Dayton)によって生産されたLasermikeモデル183がその測定をするために使われた。1分間以内で内部水圧8気圧まで膨張した時(図11Bの縦断面によって図示されているように)、バルーンは、バルーン長の中心点で、6.00mmの最小直径と6.11mmの最大直径を有した。8気圧の加圧中に導入された水の量を完全に載り除くことによって収縮した時、長さの中間点で、バルーンは2.16mmの最小直径で、そして2.64mmの最大直径を有した。このシリコーン−PTFEコンポジットバルーンは、携帯の膨張デバイスを用いて試験をした時に、21気圧のバースト圧を有し(ゼロ圧から始めて約30秒で達した)、破損前に約7.54mmの最大直径に達した。バルーンは、バルーン部分133のシリコーンチューブ要素123の漏れの発生によって破損した。漏れはフィルムチューブ127とシリコーンチューブ123の間の分離を発生させ、液がフィルムチューブ127を通過することを可能とした。
【0104】
これは、シリコーンとPTFEを使って上述したように構成されたバルーンが、破壊的なバーストテストによって実証されたように、直径の増大に対して予測可能な限界を示すことを例証し、そして、破損前に多孔性PTFEフィルムチューブ要素が8mm径を越えなかったことを例証する。前に定義された圧縮比は2.28が2.64によって割られて、0.86であり、そして、前に定義された圧縮効率比は、2.16が2.64によって割られて、0.82であった。さらに、シリコーンカテーテルシャフト219の周囲に螺旋状に巻き付けられた多孔性PTFEフィルムの存在によって、シリコーンカテーテルシャフト219が血管形成術に関する比較的高い圧力に耐え得る充分な強度が可能となった。
【0105】
シリコーンチューブ123の近位端からシャフト219の近位端のLuerフィッティングまでのシリコーンカテーテルシャフト219の長さが、多孔性PTFEフィルム221によって覆われていないことを除いては、上記に述べたような同一の形態で別のバルーンが構成された。バルーン部分133が膨張前状態で測定された時、最小直径が2.14mmで、最大直径が2.21mmであることがわかった。上述したように、これらの測定はされた。1分間以内で内部水圧8気圧まで膨張した時、バルーンは、バルーン長の中心点で、5.98mmの最小直径と6.03mmの最大直径を有した。8気圧の加圧中に導入された水の量を完全に載り除くことによって収縮した時、長さの中間点で、バルーンは2.10mmの最小直径で、そして2.45mmの最大直径を有した。このシリコーン−PTFEコンポジットバルーンは、携帯の膨張デバイスを用いて試験をした時に、15気圧のバースト圧を有し、破損前に約6.72mmの最大ディメンションに達した。バルーンの破損形態はシャフトの破裂であった。
【0106】
これは、シリコーンとPTFEを使って上述したように構成されたバルーンが、破壊的なバーストテストによって実証されたように、直径の増大に対して予測可能な限界を示すことを例証し、そして、破損前に多孔性PTFEフィルムチューブ要素が8mm径を越えなかったことを例証する。前に定義された圧縮比は2.21が2.45によって割られて、0.86であり、そして、前に定義された圧縮効率比は、2.10が2.45によって割られて、0.86であった。さらに、シャフトの周囲に螺旋状に巻き付けられた多孔性PTFEフィルムが存在しないことによって、バルーンがシャフトで破損することが可能となった。水が漏れることなく前述した圧力まで膨張するバルーンの能力は、多孔性PTFEの空隙が弾性材料によって、実質的に封印されることを事実上実証した。この実施例によって述べられるバルーンカテーテルを作り出すために使われた方法を記載したフローチャートは、図11Fとして表され、この方法のバリエーションは、同一又は類似のバルーンカテーテルを作り出すために用いられてもよいことは明らかだろう。
【0107】
実施例9
この実施例は、シリコーン−PTFE積層バルーン部分を作製する代替的な方法、及び血管形成術用バルーンとしてバルーン部分の使用を述べる。
【0108】
まず、カテーテルシャフトが、実施例7で述べられたような同一の形態で構成された。
【0109】
カテーテルシャフトの完成の後、フィルムチューブが以下のように作製された。重なり合う5つの層のフィルムがマンドレルを覆うように(例えば、フィルムチューブの任意の横断面が約5層のフィルムを横断する)、上述したように作製された、幅2.5cmにカットされた、多孔性PTFEフィルム長は、マンドレルの縦軸に対しておよそ70°の角度で8mmステンレススチールマンドレルの裸表面に巻き付けられた。これに続いて、別の同じ5層のフィルムが、縦軸に対して同じピッチ角度であるが、反対方向に、第一の5層の上に螺旋状に巻き付けられた。それゆえ、第二の5層もまた、およそ70°の角度で配置されたが、第一の5層と比較して軸の反対端から測定された。その同じ方法で、全約30層の螺旋状に巻き付けられたフィルムがマンドレルを覆うまで、各々の連続した5層群が前の巻き付け5層群とは反対方向に適用されるように、追加的なフィルム層が巻き付け1回について5層の適用がされた。それから、フィルムが巻き付けられた、このマンドレルは、フィルム層をヒート結合するために11.5分間380℃で空気対流オーブンセットの中に置かれ、それから取り出し、冷却が可能となった。一旦、冷却されると、結果により得られたフィルムチューブは8mmマンドレルから取り出せた。
【0110】
次に、24cm長のシリコーンチューブであって、およそ1.40mmの内径であり、さらにおよそ1.71mmの外径であり、デュロメータがShore60A(ウィスコンシン州、Racine、Beere Precision Silicone)である、シリコーンチューブが、1.14mm直径ステンレススチールマンドレルと同軸上に備え付けられた。シリコーンチューブの一つの端部が、細い糸で結ぶことによってマンドレルに固定された後、テンションがもう一方の端部に適用され、全長が約31cmになるまで、チューブを引き伸ばした。チューブが31cmまで引き伸ばされた状態で、フリーな端部もまた細い糸を使ってマンドレルに固定された。
【0111】
その後、8mm内径フィルムチューブが縦方向に手動で引っ張られ、直径の縮小が起こった。その後、フィルムチューブが一つの端部で結ばれ、平滑針がもう一方の端部に挿入された。平滑針に連結された20cc注射器を使って、Nusil Silicone Tchnology(カリフォルニア州、Carpinteria)によって生産された、質量換算で1部のMED1137 Adhesive Silicone Type Aを、4部のn−ヘプタン(ニュージャージー州、Phillipsburg、J.T.Baker)に混合したものがフィルムチューブに注入された。その混合物は、フィルムチューブのルーメンに存在する間、注射器を介して手動で加圧され、多孔性PTFEを通過して流れ、完全にフィルムチューブを湿らし、飽和させた。
【0112】
次に、1.14mmのマンドレルと重なり合うシリコーンチューブが、Nusil Silicone Tchnology(カリフォルニア州、Carpinteria)によって生産された、質量換算で2部のMED1137 Adhesive Silicone Type Aを、1部のn−ヘプタン(ニュージャージー州、Phillipsburg、J.T.Baker)に混合したものでコーティングされた。平滑針がPTFEがPTFEフィルムチューブから取り除かれた。その後、1.14mmのマンドレルと重なり合うシリコーンチューブは、マンドレル端部を越えて延在するフィルムチューブの端部を有するフィルムチューブ内と同軸で備え付けられた。その後、フィルムチューブの端部は、平面なあごを装備した、Instron(マサチューセツ州、Canton)によって生産されたモデル4201 Tensile Testing Machineに置かれ、そして4.8と4.9kgの間の力に達するまで200mm/mmの一定割合で引っ張られた。引っ張っている間、フィルムチューブはマッサージされ、PTFEとシリコーンチューブ間の接触を確保した。内在するシリコーン−ヘプタン混合物が抜けるように、小さい針の穴がフィルムチューブの中に作られた。4.8と4.9kgの間の力に一旦達すると、フィルムチューブは、最低24時間その機械のあごに放置され、シリコーンが完全にキュアすることが可能となった。シリコーンが完全にキュアされると、結果として得られたシリコーン−PTFEコンポジットチューブは、1.14mmのマンドレルから慎重に取り出された。
【0113】
この実施例は、積層関係にある共に連結された別個独立の基材としてシリコーンチューブと多孔性PTFEフィルムを用いたが、バルーンはまた、実施例7で述べたように作製された多孔性PTFEフィルムチューブのみを用いて構成されてエラストマー材料で含浸される(例えば、バルーンがシリコーンチューブ基材なしで構成される。)。そのような構成に対して、Xylene中のシリコーンエラストマー分散物の利用が、多孔性PTFEチューブの空隙を実質的に封印する目的で用いられる弾性材料として好ましい(例えば、弾性材料の実質的な部分が多孔性PTFEチューブ内の空隙に配置される。)。そのように構成されたバルーンは、以下に述べられる同一の方法でカテーテルシャフトに連結された。結果として得られたバルーンは、優れた圧縮効率比と圧縮比を有する特に薄厚の壁を有し、このバルーンに組み込まれたバルーンカテーテルは、神経系のバルーン膨張カテーテルとして特に有用であると考えられる。
【0114】
図12Aの縦断面によって示されるように、カテーテルシャフト101の構造物が完成した状態において、カテーテルシャフト101の外径が1.83mmから2.3mmに変更した地点から、コンポジットチューブ223の近位端がおよそ7mm遠位であるように、シリコーン−PTFEコンポジットチューブ223のセグメント(積層関係にある多孔性PTFEフィルムチューブの外側の基材に連結された弾性材料(シリコーンチューブ)の内部基材を含む)であって、およそ9cm長がカテーテルシャフト101の遠位端上に配置された。カテーテルシャフト101上の最終的な位置となるときに、コンポジットチューブ223の切片が、縦方向に伸長(例えば、テンションで伸長)しないことを保証するために、このことは、たいへん注意深く実行された。イソプロピルアルコールは、カテーテルシャフト101とコンポジットチューブ223の間の滑剤として使われた。
【0115】
コンポジットチューブ223がカテーテルシャフト219に適切に配置された状態で、任意の残留アルコールが多くの時間で蒸発することができて、シャフト219が完全に乾燥することについて保証された。一旦残留アルコールがなくなると、Nusil Silicone Tchnology(カリフォルニア州、Carpinteria)によって生産された、質量換算で等量部のMED1137 Adhesive Silicone Type Aとn−ヘプタン(ニュージャージー州、Phillipsburg、J.T.Baker)の少量の混合物が、チューブ223の端部と基本構成のカテーテルシャフト101の外表面の間に適用された。シリコーンチューブ223の各々の端部において、チューブ223の端部と、カテーテルシャフト101の長さの平行方向に測定しておよそ7.5mmの距離がある基本構成のカテーテルシャフト101の外表面の間に平滑針が挿入された。コンポジットチューブ223の端部下で結合するように、混合物が、7.5mm長の領域において充分に内部コーティングされたことの状態を保つように、混合物が、平滑針に連結された3cc注射器を用いて、カテーテルシャフト101の全円周方向に慎重に適用された。接着剤が膨張性のバルーン部分長133に移動しないことを確保するために、接着剤の適用の前に、細い糸が、バルーン部分133に最も近い多孔性PTFEフィルムのエッジに近接したコンポジットチューブの周りに一時的に巻き付けられた。また、コンポジットチューブ223とカテーテルシャフト101の間の接触を保証するために、およそ1.0cm幅である、上述されたような多孔性フィルム長は、シリコーン混合物が適用される領域のコンポジットチューブ上に手動で巻き付けられた。このフィルムは(図示されていない)、その後に続く熱処理とキュア工程中に好ましい固定手段として、一時的に適用された。その後、シリコーン混合物は、蒸気浴内でおよそ30分間キュアをすることが可能となった。その後、カテーテルは蒸気浴から取り出され、1.0cm幅のPTFEフィルムは一時的にされた糸に沿って取り出された。
【0116】
次に、シリコーン混合物が下域に存在するコンポジットチューブ223の端部上で、コンンポジットチューブ223によって覆われていないカテーテルシャフト101の近接部に、コンポジットチューブ223の端部から測定しておよそ7.5mmの長さに向けて、およそ1.0cm幅である、上述したような多孔性PTFEフィルム長が巻き付けられた。巻き付け中、多孔性PTFEフィルムの全長が、Nusil Silicone Tchnology(カリフォルニア州、Carpinteria)によって生産された、質量換算で等量部のMED1137 Adhesive Silicone Type Aとn−ヘプタン(ニュージャージー州、Phillipsburg、J.T.Baker)の少量の混合物でコーティングされた。およそ3つの重なり合う層(図12において層125として図式化されている)がカテーテルシャフトの直径を有意には増大させることなく各々の領域を覆うように、多孔性PTFEフィルムが適用されることを確保することに細心の注意が払われた。デュアルルーメンチューブ103の遠位端の縮小した直径領域と層125に用いられる多孔性PTFEフィルムのたいへん薄い特性のため、フィルム層125の位置のカテーテルアセンブリ100の直径は、フィルム層125に近位のカテーテルシャフト101の直径にたいへん近くなった。最後に、多孔性PTFEフィルムをコーティングするために用いられたシリコーン混合物は、最低8時間蒸気浴内でキュアをすることが可能となった。
【0117】
この時点で、上記で述べた同じ方法を用いて、バルーン部分133の直径は膨張前状態で測定された。最小直径は2.21mmと確認され、最大直径は2.47mmと確認された。1分間以内で内部水圧8気圧まで膨張した時(図12Bの縦断面によって図示されているように)、バルーンは、中心点で、6.51mmの最小直径と6.65mmの最大直径を有した。バルーン部分がカテーテルシャフトの縦軸に対して実質的に直線状であったこと、及びバルーン部分がカテーテルシャフトに取り付けられた地点からバルーンが充分な直径であるバルーン部分の地点までの距離は比較的短かったことがバルーン部分8気圧の加圧中に確認された。8気圧の加圧中に導入された水の量を完全に載り除くことによって収縮した時、長さの中点で、バルーンは2.28mmの最小直径で、そして2.58mmの最大直径を有した。このシリコーン−PTFEコンポジットバルーンは、携帯の膨張デバイスを用いて試験をした時に、15気圧のバースト圧を有し(ゼロ圧から始めて約30秒で達した)、破損前に約7.06mmの最大直径に達した。
【0118】
これは、シリコーン−PTFEコンポジットバルーン部分を使って上述したように構成されたバルーンが、破壊的なバーストテストによって実証されたように、直径の増大に対して予測可能な限界を示すことを例証し、そして、破損前に多孔性PTFEフィルムチューブ要素が8mm径を越えなかったことを例証する。前に定義された圧縮比は2.47が2.58によって割られて、0.96であり、そして、前に定義された圧縮効率比は、2.28が2.58によって割られて、0.88であった。水が漏れることなく前述した圧力まで膨張するバルーンの能力は、多孔性PTFEの空隙が弾性材料によって、実質的に封印されることを事実上実証した。
【0119】
この実施例によって述べられるバルーンカテーテルを作り出すために使われた方法を記載したフローチャートは、図12Cとして表され、この方法のバリエーションは、同一又は類似のバルーンカテーテルを作り出すために用いられてもよいことは明らかだろう。
【0120】
本発明の特定の実施態様は、ここにおいて例示され記載されたが、本発明はそのような例示及び記載に制限されるべくではない。次の特許請求の範囲内で、本発明の一部として組み込まれ、そして用いられてもよいことは明白であろう。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図8A】
【図9】
【図9A】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図10C】図10Cは、本発明のバルーンカテーテルの代替の実施態様の構成であって、バルーンが、積層関係にある弾性材料と多孔性PTFE材料の別個独立な基材層を備え、各々の基材材料の各々の端部が、別個独立な巻き付け多孔性PTFEフィルムによって独立に取り付けられる、構成を示す。
【図10D】図10Dは、本発明のバルーンカテーテルの代替の実施態様の構成であって、バルーンが、積層関係にある弾性材料と多孔性PTFE材料の別個独立な基材層を備え、各々の基材材料の各々の端部が、別個独立な巻き付け多孔性PTFEフィルムによって独立に取り付けられる、構成を示す。
【図10E】図10Eは、本発明のバルーンカテーテルの代替の実施態様の構成であって、バルーンが、積層関係にある弾性材料と多孔性PTFE材料の別個独立な基材層を備え、各々の基材材料の各々の端部が、別個独立な巻き付け多孔性PTFEフィルムによって独立に取り付けられる、構成を示す。
【図10F】図10Fは、本発明のバルーンカテーテルの代替の実施態様の構成であって、バルーンが、積層関係にある弾性材料と多孔性PTFE材料の別個独立な基材層を備え、各々の基材材料の各々の端部が、別個独立な巻き付け多孔性PTFEフィルムによって独立に取り付けられる、構成を示す。
【図11A】図11Aは、図10A−10Fと同様な本発明のバルーンカテーテルの代替の実施態様の構成であって、補強巻き付け多孔性PTFEフィルムを提供されたチューブ弾性材料を含むカテーテルシャフトが使用される、構成を示す。
【図11B】図11Bは、図10A−10Fと同様な本発明のバルーンカテーテルの代替の実施態様の構成であって、補強巻き付け多孔性PTFEフィルムを提供されたチューブ弾性材料を含むカテーテルシャフトが使用される、構成を示す。
【図11C】図11Cは、図10A−10Fと同様な本発明のバルーンカテーテルの代替の実施態様の構成であって、補強巻き付け多孔性PTFEフィルムを提供されたチューブ弾性材料を含むカテーテルシャフトが使用される、構成を示す。
【図12A】図12Aは、本発明のバルーンカテーテルの代替の実施態様の構成であって、弾性材料と螺旋状に巻き付けられた多孔性PTFEフィルムの別個独立な基材の積層チューブが、積層チューブの各々の端部で巻き付け多孔性PTFEフィルムによってカテーテルシャフトに取り付けられる、構成を示す。
【図12B】図12Bは、本発明のバルーンカテーテルの代替の実施態様の構成であって、弾性材料と螺旋状に巻き付けられた多孔性PTFEフィルムの別個独立な基材の積層チューブが、積層チューブの各々の端部で巻き付け多孔性PTFEフィルムによってカテーテルシャフトに取り付けられる、構成を示す。
【図12C】図12Cは、本発明のバルーンカテーテルの代替の実施態様の構成であって、弾性材料と螺旋状に巻き付けられた多孔性PTFEフィルムの別個独立な基材の積層チューブが、積層チューブの各々の端部で巻き付け多孔性PTFEフィルムによってカテーテルシャフトに取り付けられる、構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明のカテーテルバルーン及びカテーテルバルーンカバーは、好ましくは、相互に連結したフィブリルの微細構造を有する多孔性PTFEフィルムから作製される。これらのフィルムは、米国特許3953566号及び4187390号によって教示されているように作製される。また、バルーン及びバルーンカバーは、例えば押出及び拡張チューブ又は少なくとも一つのシームを含むフィルムから構成されるチューブの形で多孔性PTFE基材のチューブを組み込んでもよい。また、バルーンは、エラストマー材料で含浸されてもよい。
【0029】
バルーン又はバルーンカバーを形成するために、チューブ形状で、薄い上述したタイプの多孔性PTFEフィルムで作製される両方のそれらは、比較的細い長さでスリットされる。スリットフィルムは、二つの反対方向からマンドレルの表面上に螺旋状に巻きつけられ、それによって、少なくとも二層のチューブを形成する。図1A、1B、及び1Cはこの手順を図示する。図1Aは、巻き付けの横断方向が縦軸18に平行な第一の方向20に適用されるように、マンドレル12に螺旋状に巻き付けられる多孔性PTFEフィルムの第一層14を示す。バルーンの縦軸はバルーンカテーテルシャフトの縦軸と一致するものとして定義され、その縦軸はシャフトの長さ方向である。実質的に、平行とは、カテーテルシャフトの縦軸に対して約0度と45度の間か約135度と180度の間として定義され、実質的に、周方向とは、カテーテルシャフトの縦軸に対して約45度と135度の間として定義される。図1Bは、第一層14の上面の上に螺旋状に巻き付けられた多孔性PTFEフィルム16の第二層の適用を示し、そして第二層16が、縦軸18に平行であって、第一の横断方向20に反対である第二の横断方向22に巻き付けられることを示す。
【0030】
好ましくは、両層の14及び16は、縦軸に対して実測されて、反対方向から実測された同じピッチ角で巻き付けられる。例えば、フィルム層14及び16が、縦軸18に対して反対方向から実測された70度のピッチ角で適用されるならば、その後70度のピッチ角間の内包角Aは40度である。
【0031】
二層以上の螺旋状に巻き付けられたフィルムが適用されてもよい。交互のフィルム層が反対方向から巻き付けられるべきであり、等しい数のフィルム層が使われるべきである。それによって、等しい数の層が各々の方向に適用される。
【0032】
フィルム巻き付けの終了に続いて、螺旋状に巻き付けられたマンドレルは、近接した層が共に熱による結合を引き起こすように適切な時間と温度でオーブン中に置かれた。オーブンから取り出した後、その後冷却し、結果のフィルムチューブはマンドレルから取り出すことができる。そのフィルムチューブは、次にバルーン上に置かれ、縦方向に引っ張られ、そしてバルーン上の所定の位置に固定される。
【0033】
使用するとき、本発明の膨張バルーン又はバルーンカバー10は、図2によって示されるように、結果として内包角Aが実質的に小さくなるように増大した直径を有する。このように、バルーン又はバルーンカバーは、内包角Aがゼロに達するときに所定の直径の最大限界に達する。
【0034】
本発明のバルーン又はバルーンカバー10は、二つの方法のうちの一つによる収縮に続いて直径が小さくなる。第一に、図1Cに図示される形態まで収縮することに続いて、バルーン又はバルーンカバーの直径が小さくなることが引き起こされるように、テンションが縦軸18に平行にバルーン又はバルーンカバーに適用してよい。もし、ロープロファイルが望まれるなら、テンションの適用が必要である。代替的には、バルーン10の内腔表面に適用されてバルーンの使用前にキュアすることが可能であるエラストマーの層によって、収縮に続いて、バルーンが図1Cによって示される膨張前のサイズに実質的に縮まることが起こるであろう。エラストマーは、バルーン又はバルーンカバー10の内腔表面に直接に適用されるエラストマーのコーティングの形をとってもよく、又はラテックスバルーン若しくはシリコーンチューブのようなエラストマーバルーンが、エラストマー接着の使用によって本発明のバルーン10の内腔表面に接着してもよい。代替的に、エラストマーがバルーン又はバルーンカバーを作り出すために多孔性材料の中に含浸されてもよい。
【0035】
図3Aは、血管形成又は塞栓のタイプのどちらか一方の従来のバルーンカテーテルを使用した本発明のバルーンカバー10の横断面図を示す。その図は、エラストマーの内腔コーティングがないバルーンカバーを示す。バルーンカバー10はバルーンカテーテル11の遠位端26で閉じられる。バルーンカバー10は、バルーンカテーテル11の近位端27までの長さ方向部分に拡張し、それによってバルーンカバー10は、カテーテルバルーン25と少なくともカテーテル11の一部分を完全に覆う。図3Bは、膨張状態の同じカテーテルバルーン25を備えるバルーンカテーテル11を示す。バルーンカバー10の層14と16によって、カテーテルバルーン25に沿ってカバーの直径が増大することが可能となる。カテーテルバルーン25の収縮中またはそれに続いて、矢印28によって示されるように、テンションがバルーンカテーテル11の近位端27でバルーンカバー10に適用され、それによってバルーンカバー10の直径が縮小し、図3Aによって示されるような状態に実質的に戻る。図4Aは、本発明のバルーンカバー10の横断面図を示し、そして、バルーンカバー10が、螺旋状に巻き付けられた多孔性PTFEフィルム層14及び16の内部表面に適用される液密層のエラストマー34を有することを示している。バルーンカバー10は遠位端26で閉じられる。その図は、例えば、糸又はフィラメントによる結紮(けっさつ)されたクロージャーを示すが、他の適切な閉鎖手段を使用してもよい。バルーンカバー10の近位端27は、カテーテル24の遠位端32に備え付けられる。バルーン25は血管形成又は塞栓のタイプのどちらか一方でもよい。エラストマー塞栓バルーンが使われるなら、液密層のエラストマー34にエラストマー接着剤を使用することによって、カバーがバルーンに接着されることが好ましい。図4Bによって示されるように、バルーン25の膨張中に、螺旋状に多孔性PTFEフィルム層14と16、及び液密エラストマー層34の直径がバルーン25と同調して増加する。
【0036】
その後の収縮中に、液密エラストマー層34によって、螺旋状に巻き付けられた多孔性PTFEフィルム層14と16の直径は前述したように縮小し、それによって図4Aによって図示されている状態に実質的に戻る。
【0037】
図5A及び5Bは、図4Aと4Bによって述べられているバルーンカバーと同じ形態で作製されたカテーテルカテーテルバルーン10の横断面図を示す。液密エラストマー層34の存在によって、この構造が従来の血管形成術用又は塞栓摘出術用バルーンを必要としないで、前述したように独立したバルーン42として機能することを可能とする。
【0038】
図6A、6B、及び6Cは本発明のカテーテルバルーン10の代替の実施態様の横断面図を示す。この実施態様に従うと、螺旋状に巻き付けられた多孔性PTFEフィルム層14と16は、液密ではあるがエラストマーではない内腔コーティング44を備えている。結果物のバルーンは従来の血管形成術用バルーンの形態で作動するが、有益であって滑らかで化学的に不活性な外表面を備えている。図6Aは、膨張前のバルーンの外観を図示している。図6Bは、膨張状態のバルーンを示している。図6Cによって示されているように、収縮に続いて崩壊したバルーン46は、幾分しわの寄った外観を有し、ポリエステル又は同様な非弾性材料で作製された従来の血管形成術用バルーンと同じ形態である凸凹な横断面を有する。
【0039】
本発明のバルーン及びバルーンカバーは、バルーン(又はバルーンカバー)の外側又は内側表面に追加的なメッシュ又はブレードを備えてもよく、好ましくはフィルムの層間に備えることであって、それによってメッシュ又はブレードが中間に存在するようになる。
【0040】
代替的に、PTFEのメッシュ又はブレードは連続的チューブを含まないでバルーンカバーとして使用してもよい。連続的なチューブは、従来のメッシュ又はブレードのように壁を通過する開放部を含まない。
【0041】
次の実施例は、本発明のバルーンカバーとカテーテルバルーンの様々な実施態様の構成を詳細に述べる。従来の血管形成術用及び塞栓摘除用バルーンと比較して、これらのバルーンの評価もまた述べられる。図7は、平らになって収縮した血管形成術用バルーン70の最大寸法72及び最小寸法74(バルーンの縦軸に横断的に示されている)を示し、そして、その図は典型的な平らになった血管形成術用バルーンの横断面図を示す。表された横断面は、幾分凸凹形状を有する収縮して平らになった典型的な非弾性血管形成術用バルーン70を示していることを意図している。バルーン70は、ガイドワイヤールーメン78及びバルーン膨張ルーメン79を有するカテーテルチューブ76、並びにバルーン70の二つの対向面82と84を含む。最大寸法72は平らになったバルーン70の最大幅であると考えられ、一方、最小寸法74は、平らになったバルーン70の二つの対向面82と84を横切る最大厚みであると考えられる。たとえ、形状が実質的に円形であるにしても、全てのバルーン及びカテーテルの測定は寸法によって表現される。
【実施例】
【0042】
実施例1:
この実施例は、市販の血管形成術用バルーン上の本発明のバルーンカバーの使用を例証する。そのバルーンカバーは、膨張とその後の収縮の後に最初のコンパク形状に近い血管形成術用バルーンに戻ることの手段を提供し、加えて、PTFEによってもたらされる公知の化学的不活性及び低摩擦係数を提供する。
【0043】
使用されたバルーンは、SCHNEIDER(ミネソタ州、Minneapolis)によって生産された、MATCH35TM Percutaneous Transluminal Angioplasty (PTA) Catheter モデルナンバーB508−412であった。生産者によって提供された保護用シースを取り除いた後に素早く測定された時にこのバルーンは、2.04mmの最小ディメンションと2.42mmの最大ディメンションを有した。バルーンの両端に位置して円周上に配置されたX線不透過性マーカーバンドの間の中点によって画定されるように、バルーンのおよそ中心点からこれらの測定はされた。バルーンが縦軸の周りを回転する間に測定をするために、Lasermike(オハイオ州、Dayton)によって生産されたLasermikeモデル183が使われた。シャフトの長さの中心点に最も近い、バルーンが備え付けられた地点の近傍で測定して、バルーンに備え付けられたシャフトは1.74mmの最小ディメンションと1.77mmの最大ディメンションを有した。内部水圧で8気圧まで膨張した時、バルーンは、バルーン長の中心点で、8.23mmの最小ディメンションと8.25mmの最大ディメンションを有した。8気圧の加圧中に導入された水の量を完全に取り除くことによって収縮した時、MitutoyoデジタルキャリパーモデルCD−6’’Pを使用して測定した時、バルーン長の中点で、バルーンは1.75mmの最小ディメンションで、そして11.52mmの最大ディメンションを有した。測定の終了時に、PTAカテーテルのバルーン部分は、保護用のシースの中に慎重に再包装された。
【0044】
本発明のバルーンカバーは、上述したように幅2.5cmにカットされて作製された多孔性フィルム長から作製された。フィルム厚みはおよそ0.02mmであって、密度は0.2g/ccであって、フィブリル長はおよそ70ミクロンであった。厚みは、Mitutoyoはさみゲージモデル2804−10を用いて測定され、密度は、サンプルのディメンションと質量に基づいて計算された。実施例を構成するのに使われた多孔性PTFEフィルムのフィブリル長は、フィルムサンプルの外側表面の走査型電子顕微鏡写真から見積もられた。
【0045】
約5つの重なり合ったフィルム層がマンドレルを覆うように、このフィルムはマンドレルの縦軸に対しておよそ70°の角度で、8mm直径のステンレス鋼マンドレルの裸表面上に巻き付けられた。これに続いて、同一フィルムの別の5層が、縦軸に対して同じピッチ角度であるが、反対方向に第一の5層の上に螺旋状に巻き付けられた。それゆえ、第二の5層もまた、およそ70°の角度で配置され、第一の5層に対して軸の反対端から測定された。これに続いて、同一フィルム別の5層が、縦軸に対して第一の5層と同じバイアス角度で第一及び第二の5層上に螺旋状に巻き付けられ、さらに同一フィルムの別の5層が、縦軸に対して第二の5層と同じバイアス角度で第一及、第二、及び第三の5層上に螺旋状に巻き付けられた。これは、マンドレル上を覆うおよそ全20層の螺旋状に巻き付けられたフィルムになる結果となった。
【0046】
それから、フィルムを巻き付けられたマンドレルは、フィルムの層をヒート結合するために380℃10分間、空気対流オーブンセットに入れ、それから取り出し、冷却をした。その後、結果として得られた、螺旋状に巻き付けられた層から形成された内径8mmのフィルムチューブがマンドレルから取り出され、一つの端部は、セルフシールのインジェクションサイト(イリノイ州、Deerfield、Baxter Healthcare Corporationによって生産されたLuer Lockを有するインジェクションサイト)に連結された。ホールはインジェクションサイトを介して作り出され、そして、前もって測定されたPTAカテーテルのバルーン端部は、このホールを通り抜け、PTAカテーテルのシャフトの部分は勿論のこと、バルーン部分上にフィルムチューブと同軸に取り付けた。フィルムチューブはおよそ25cm長であった。フィルムチューブがPTAカテーテル上であってインジェクションサイトに備え付けられた状態で、インジェクションサイトが固定されている間に、フィルムチューブの直径が減少しPTAカテーテルの基本となるセグメント上にぴったりと合うように、テンションがフィルムチューブのフリーな端部に手動で適用された。次に、バルーンカバーがピンと張ってぴったりと合った状態を依然として保つように、フィルムチューブがPTAカテーテルシャフトの遠位端に連結された。
【0047】
この時点で、今現在カバーされたバルーンは収縮状態で測定された。最小ディメンションは2.33mmと確認され、最大ディメンションは2.63mmと確認された。以前に述べたとおり、X線不透過性マーカーバンドの間の中点によって画定されるように、およそバルーンの中心点からこれらの測定はされ、Lasermike(オハイオ州、Dayton)によって生産されたLasermikeモデル183がその測定をするために使われた。内部水圧で8気圧まで膨張した時、バルーンは、バルーン長の中点で、7.93mmの最小ディメンションと8.06mmの最大ディメンションを有した。8気圧の加圧中に導入された水の量を完全に載り除くことによって収縮した時、バルーン長の中点で、バルーンは1.92mmの最小ディメンションで、そして11.17mmの最大ディメンションを有した。次に、バルーンカバーが、基本となるバルーンの大きさを、特に以前に測定された11.17mmの面に沿って縮小することを引き起こすようなインジェクションサイトに、テンションが手動で適用された。テンションの適用の後、カバーされたバルーンは再び測定され、最小と最大のディメンションは、各々、3.43mmと3.87mmであることがわかった。
【0048】
この実施例は、およそ不使用状態のバルーンの形状までの過程で膨張してその後に収縮したPTAバルーンを圧縮するためにバルーンカバーが効率的に用いられることが可能であることを示している。膨張とその後に続く収縮が示した後のバルーン上で(カバーされていない状態とカバーされている状態の両方において)行われた測定は、バルーンが均一な円形状の圧縮を被るというよりは寧ろ平板化する傾向であることを示す。この平板化は、膨張とその後に続く収縮の後に測定された最大ディメンションに対する最小ディメンションの比率を計算することによって定量化することができる。この比率は圧縮効率比として定義される。円形断面が不変性である圧縮効率比を得ることができることに注意されたい。この実施例に関しては、非カバーのバルーンは、1.75が11.52によって割られて、0.15の圧縮効率比を得た。本発明のバルーンカバーを提供した後のバルーンは3.43が3.87によって割られて、0.89の圧縮効率比を得た。加えて、膨張とその後に続く収縮の後の最大ディメンションに対する任意の膨張前の最大ディメンションの比率は、圧縮比として定義される。任意の膨張前及び膨張とその後に続く収縮の後の最大ディメンションが同一であるバルーンは、不変性の圧縮比を有する。この実施例に関しては、非カバーバルーンは、2.42が11.52によって割られて、0.21の圧縮比を得た。本発明のバルーンカバーを提供した後のバルーンは2.63が3.87によって割られて、0.68の圧縮効率比を得た。
【0049】
実施例2:
この実施例は、市販のラテックス塞栓摘出術用バルーン上のバルーンカバーの使用を例証する。そのバルーンカバーは、塞栓摘除用バルーンの膨張成長に対して画定された限界を提供し、そしてバースト強度の実質的な増強も提供し、さらにはPTFEによってもたらされる公知の化学的不活性及び低摩擦係数も提供する。
【0050】
使用されたバルーンは、Baxter Healthcare Corporation(カルフォルニア州、Irvine)によって生産されたFogartyTMThru−Lumen Embolectomy Catheter モデルであった。生産者によって提供された保護用シースを取り除いた後に素早く測定された時にこのナチュラルなラバーラテックスバルーンは、1.98mmの最小ディメンションと2.02mmの最大ディメンションを有した。X線不透過性マーカーバンドの間の中点によって画定されるように、バルーンのおよそ中心点からこれらの測定はされた。バルーンが縦軸の周りを回転する間に測定をするために、Lasermike(オハイオ州、Dayton)によって生産されたLasermikeモデル183が使われた。シャフトの長さの中心点に最も近い、バルーンが備え付けられた地点の近傍で測定して、バルーンに備え付けられたシャフトは1.64mmの最小ディメンションと1.68mmの最大ディメンションを有した。0.8立方センチメートルの水で満たされた時、バルーンは、バルーンの中心点で、10.71mmの最小ディメンションと10.77mmの最大ディメンションを有した。導入された水の量を完全に取り除くことによって収縮した時、バルーン長の中間点で、バルーンは1.97mmの最小ディメンションで、そして2.04mmの最大ディメンションを有した。携帯の膨張注射器を用いてテストしたバルーンは、バースト強度が60psiであった。
【0051】
同じタイプの別の塞栓摘除用カテーテルは、実施例1で述べたとおりで作製された多孔性PTFEフィルムチューブを用いてカバーされた。塞栓摘除用カテーテルをカバーするために用いられたその方法は、実施例1にPTAカテーテルをカバーするために用いられた方法と同様であった。
【0052】
この時点で、今現在カバーされたバルーンは膨張前状態で測定された。最小ディメンションは2.20mmと確認され、最大ディメンションは2.27mmと確認された。以前に述べたとおり、X線不透過性マーカーバンドの間の中点によって画定されるように、およそバルーンの中心点からこれらの測定はされ、Lasermike(オハイオ州、Dayton)によって生産されたLasermikeモデル183がその測定をするために使われた。0.8立方センチメートルの水で満たされた時、バルーンは、長さの中間点で、8.29mmの最小ディメンションと8.34mmの最大ディメンションを有した。導入された水の量を完全に取り除くことによって収縮した時、長さの中間点で、バルーンは3.15mmの最小ディメンションで、そして3.91mmの最大ディメンションを有した。次に、バルーンカバーが大きさにおいて縮小することを引き起こすようなインジェクションサイトに、テンションが手動で適用された。テンションの適用の後、カバーされたバルーンは再び測定され、最小と最大のディメンションは、各々、2.95mmと3.07mmであることがわかった。カバーバルーンは、188psiのバースト強度を有するように測定され、基本となる塞栓摘出術用バルーンのバーストのため破損しただけであった。本発明のバルーンカバーは破裂の兆候を示さなかった。
【0053】
この実施例は、本発明のバルーンカバーが、膨張成長に対する限界を効率的に提供し、そして塞栓摘出術用バルーンのバースト強度の実質的な増強も効率的に提供する。非カバーバルーンで行われた測定は、0.8立方センチメートルの水で満たされた時に、バルーンが10.77mmの最大ディメンションに達したことを表している。同じテストの条件下で、カバーバルーンは8.34mmの最大ディメンションに達した。手動の液体入り注射器を用いて破裂まで膨張したとき、非カバーバルーンのバースト強度は60psiであり、一方、カバーバルーンのバースト強度は188psiであった。このことは、バースト強度において3倍超の強さを表す。
【0054】
実施例3:
この実施例は、バルーンの適用においてコンポジット材料の使用を例証する。後述されるコンポジット材料から作製されるバルーンは、予測可能な膨張直径、強い強度、優れた圧縮比及び圧縮効率比を示し、さらに加えて、当然のことながら、PTFEによってもたらされる公知の化学的不活性及び低摩擦係数を示す。
【0055】
1.5mmの内径と2.0mmの外径を有する、Dow Corning Corporation(ミシガン州、Midland)によって生産されたSILASTICTM Rx50 Silicone Tubingは、1.1mmステンレス鋼マンドレルと同軸に取り付けられ、両端で固定された。シリコーンチューブは、General Electric Company(ニューヨーク州、Waterford)によって生産されたTranslucent RTV 108 Silicone Rubber Adhesive Sealantの薄い層でコーティングされた。実施例1で述べられた同一の方法で作製された内径8mmのフィルムチューブが、ステンレス鋼マンドレルとシリコーンチューブと同軸に取り付けられた。フィルムチューブの直径が減少しステンレス鋼マンドレルに固定されたシリコーンチューブの基本となるセグメント上にぴったりと合うように、テンションがフィルムチューブの端部に手動で適用された。フィルムチューブがシリコーンチューブと実質的に接触した状態で、このコンポジットチューブは、シリコーンチューブと多孔性PTFEフィルムチューブの間に間隙がないことを保証するために軽くマッサージされた。次に、シリコーン−PTFEコンポジットチューブ全体が最短12時間35℃で空気対流オーブンセットにおいてキュアすることが可能となった。一旦キュアされると、コンポジットチューブはステンレス鋼マンドレルから取り除かれた。それから、水密封印が存在するように、コンポジットチューブの一つの端部は、SCHNEIDER(ミネソタ州、Minneapolis)によって生産されたモデルB507−412MATCH35TM Percutaneous Transluminal Angioplasty(PTA)カテーテルから取り出された5Frカテーテルシャフト部分と同軸に取り付けられ、Oetiker(ニュージャージー州、Livingston)によって生産されたモデル 03.3 RER Ear Clampを用いて、カテーテルシャフトにクランプ締めされた。バルーンの遠位端は、便宜のため止血剤を使って閉じられたが、ワックス糸のような便利な連結線が安定な閉鎖を提供するために使われてもよい。この方法で、バルーンカテーテルは形成され、バルーン材料としてシリコーン−PTFEコンポジットチューブを利用することができた。
【0056】
この時点で、バルーンは膨張前状態で測定された。最小ディメンションは2.31mmと確認され、最大ディメンションは2.42mmと確認された。以前に述べたとおり、バルーンが縦軸の周りを回転する間、およそバルーンの中点からこれらの測定はされ、Lasermike(オハイオ州、Dayton)によって生産されたLasermikeモデル183がその測定をするために使われた。内部水圧で8気圧まで膨張した時、バルーンは、バルーンの中心点で、7.64mmの最小ディメンションと7.76mmの最大ディメンションを有した。8気圧の加圧中に導入された水の量を完全に載り除くことによって収縮した時、長さの中間点で、バルーンは2.39mmの最小ディメンションで、そして2.57mmの最大ディメンションを有した。シリコーン−PTFEコンポジットバルーンは、携帯の膨張デバイスを用いて試験をした時に、150psiのバースト強度を有し、破裂前に最大で約7.9mmのディメンションに達した。
【0057】
この実施例は、シリコーン−PTFEコンポジットチューブが破壊的なバースト強度試験によって実証されたように、直径方向の膨張成長の予測可能な制限を示し、バルーンは、多孔性PTFEフィルムチューブ要素の直径が8mmを越えなかった。前述して定義したように、圧縮比は、2.42が2.57によって割られ0.94であり、前述して定義したように、圧縮効率比は、2.39が2.57によって割られ0.93であった。
【0058】
実施例4:
この実施例は、薄い多孔性PTFEチューブに非多孔性FEPコーティングを有する多孔性PTFEフィルムを螺旋状に巻き付けることによって作製されたPTAバルーンの構造物を説明する。
【0059】
FEPコーティングされた多孔性延伸PTFEフィルムは次の工程を含む方法によって作製された。
a)好ましくはFEPのフィルム又は代替的に別の熱可塑性ポリマーのフィルムである別の層に多孔性PTFEフィルムを接触する工程;
b)熱可塑性ポリマーの融点より高い温度まで、工程a)で得られた組成物を熱する工程;
c)熱可塑性ポリマーの融点より高い温度を維持しながら、工程b)の熱せられた組成物を引き伸ばす工程;及び
d)工程c)の生産物を冷却する工程。
【0060】
FEPに加えて、熱可塑性フルオロポリマーを含む他の熱可塑性ポリマーもまた、このコーティングフィルムを作製するために使用されてもよい。主に引き伸ばしの量及び割合、引き伸ばしの温度、並びに引き伸ばし前の接着の厚み次第で、多孔性延伸PTFEフィルムの接着コーティングは連続的(非多孔性)又は不連続的(多孔性)のどちらであってもよい。
【0061】
この実施例を構成するために使われたFEPコーティングされた多孔性PTFEフィルムは、連続的(非多孔性)なフィルムであった。コーティングされたフィルムの厚み全体は約0.02mmであった。米国特許3953566号及び4187390号によって教示されたとおりで作製された、多孔性延伸PTFEチューブで同軸にカバーされた8mm直径のステンレス鋼のマンドレル上にそのフィルムは螺旋状に巻き付けられた。多孔性PTFEチューブは、約0.10mm厚みの壁を有し、そして約30ミクロン長のフィブリルを有し、3mmの内径であった。フィブリル長は、米国特許4972846号によって教示されているように測定される。3mmのチューブは8mmのマンドレル上にぴったりと取り付けられるように引き伸ばされた。それから、フィルムのFEPコーティングされた面が多孔性PTFEチューブ表面に接するように置かれた状態であって、実施例1によって述べられたような同じ方法で、FEPコーティングされた多孔性PTFEフィルムは、この多孔性PTFEチューブの外表面に巻き付けられた。巻き付けられたマンドレルは380℃2.5分間で空気対流オーブンセットに中に置かれ、取り出され、冷却が可能となり、その時に、結果として得られたチューブはマンドレルから取り出された。水密封印が存在するように、このチューブの一つの端部は、SCHNEIDER(ミネソタ州、Minneapolis)によって生産されたモデルナンバーB507−412 PTAカテーテルから取り出された5Frカテーテルシャフト部分と同軸に取り付けられ、そして、Oetiker(ニュージャージー州、Livingston)によって生産されたモデル 03.3 RER Ear Clampを用いて、カテーテルシャフトにクランプ締めされた。結果として得られたバルーンは、包装されたバルーンカテーテルアセンブリの一部としてSchneiderによって供給された保護用シースの中に詰められた。それから、バルーンから近位であって、カテーテルシャフト上でシースを滑らすことによって、バルーンは保護用シースから取り出した。膨張前として、バルーンの最小と最大の直径は2.25と2.61mmと測定された。それから、バルーンの遠位端は、便宜のため止血剤を使って閉じられたが、ワックス糸のような便利な連結線も安定な閉鎖を提供するために使うことができた。6気圧の圧力まで膨張したとき、最小と最大直径は8.43と8.49mmであった。収縮した後、最小と最大直径は1.19と12.27mmであった。これらの直径により、0.21の圧縮比と0.10の圧縮効率比を得た。
【0062】
実施例5:
この実施例は、螺旋状に適用された多孔性PTFEフィルムを有する多孔性PTFEチューブの中にシリコーン分散物を含浸することによって構成されたバルーンを述べる。この方法で作製されたバルーンは、初期値がたいへん小さい直径、予測可能な膨張直径、強い強度、優れた圧縮比及び圧縮効率比を示し、さらに加えて、当然のことながら、PTFEによってもたらされる公知の化学的不活性及び低摩擦係数を示す。シリコーン分散物を有する含浸によって、さらに薄いバルーン構造が可能である。基材として多孔性PTFEチューブを使用することにより、高圧においてバルーンが伸長することを抑えるための縦方向の強度を強くすることが可能となる。
【0063】
縦方向に押し出され延伸された多孔性PTFE基材チューブが得られた。その基材チューブは、1.5mmの内径であって、約0.17mm厚みの壁を有し、そして約45ミクロン長のフィブリルを有した。そのチューブは1.5mm径のステンレス鋼マンドレルと同軸に取り付けられた。次に、2.54cmの幅にカットされた多孔性延伸PTFEフィルム長が得られた。このフィルムは約0.02mmの厚みを有し、約0.2g/ccの密度を有し、そして約70ミクロンのフィブリル長を有した。厚みは、MitutoyoはさみゲージモデルNo.2804−10を使用して測定された。フィルムバルク密度は、フィルムサンプルのディメンションと質量に基づいて計算された。非多孔性PTFEの密度は2.2g/ccと判断された。本実施例を構成するために使われた多孔性PTFEフィルムのフィブリル長は、フィルムのサンプルの外表面の走査型電子顕微鏡写真から見積もられた。
【0064】
約二つの重なり合ったフィルム層がマンドレルを覆うように、このフィルムはマンドレルの縦軸に対して約65°の角度で、7mm直径のステンレス鋼マンドレルの裸表面上に直接に巻き付けられた。フィルムの両エッジは、製造中又は完成品のバルーンの使用中に、フィルムのピッチ角度を測定するために黒インクで着色された。これに続いて、同一フィルムの別のおよそ二層が、第一の二層の上に螺旋状に巻き付けられた。第二の二層が、縦軸に対して同じバイアス角度であるが反対方向に適用された。この手順は三回繰り返され、およそ全16層のフィルムを供給した。それから、フィルムを巻き付けられたマンドレルは、フィルムの近傍層をヒート結合するために380℃10分間、対流オーブンセットに入れ、その後取り出し、冷却をした。それから、結果として得られた、7mm内径フィルムチューブであって、螺旋状に巻き付けられたフィルム層から形成されたチューブはマンドレルから取り出された。
【0065】
その後、この7mm内径の多孔性PTFEフィルムチューブは、1.5mm内径のPTFE基材チューブとマンドレルと同軸に取り付けられた。フィルムチューブが、1.5mmチューブの外表面にぴったりと取り付けられるように、ある程度直径が縮小することを目的として、そのフィルムチューブは縦軸方向に引っ張られた。それから、この補強されるチューブの端部は、熱処理中に縦方向の収縮を防ぐ目的のためにマンドレルに固定された。その組み合わされたチューブとマンドレルアセンブリは、基材チューブの外表面にフィルムチューブをヒート結合するために380℃190秒間、空気対流オーブンセットに入れた。それから、補強されたチューブとマンドレルアセンブリはオーブンから取り出され、冷却をすることが可能となった。
【0066】
それから、その後の工程でチューブのしわを抑制するために、追加的な多孔性PTFEフィルムが補強されたチューブの外表面に螺旋状に適用された。その後、この圧縮工程の直前におよそ0.6の長さにチューブ長を縮小するために、そのチューブに縦方向の圧力をかけた。チューブの長さ方向に沿って、圧力の高い均一性を確保するために細心の注意を払った。ワイヤーが、マンドレルにチューブの端部を一時的に取り付けるために使用された。それから、螺旋状に適用された追加的なフィルムがカバーした状態でマンドレルが備わった補強チューブは、380℃28秒間、空気対流オーブンセットに入れ、それから、オーブンから取り出され、冷却をすることが可能となった。
【0067】
その後、補強されたチューブは、シリコーン分散物(カルフォルニア州、Ventura、PN40000、Applied Silicone Corp.、Medical Implant Grade Dimethyl Silicone Elastomer Dispersion in Xylene)の含浸に対して準備された。まず、シリコーン分散物は、1部のシリコーン分散物に対して2.3部のn−ヘプタン(J.T.Barker ロット#J07280)を混合することによって調製された。n−ヘプタンとの別の混合は、1部のシリコーン分散物に対して0.5部を混合することによって調製された。各々の混合物は、注射器に入れられた。
【0068】
注射器の各々の分配針は補強チューブの一つの端部の内側に挿入された。ワイヤーは針の周辺のチューブを固定するために使われた。分配針の一つはキャップされ、そして、2.3:1のシリコーン分散物溶液を含む注射器はもう一方に連結された。溶液は、約6psi圧で補強チューブの内側に分配された。チューブの外表面が溶液で湿り始めるまで
圧力はおよそ1分間維持され、分散物がPTFE材料の多孔部に入ることを示唆した。シリコーン分散物がPTFEチューブの内側をコーティングしたことが保証された。この時点で、注射器が取り除かれ、キャップがもう一方の針から取り除かれ、そして、0.5:1のシリコーン分散物を含む注射器が以前にキャップをされた針に連結された。その後、この高い粘性の分散物は注射器を備えるチューブに導入され、次に、低い粘性の分散物に置き換えて、もう一方の端部から針を通して導入して高い粘性の分散物が針を通ってチューブから排出し始めるまで続けられた。チューブが分散物で完全に満たされたことを確保した後、両方の針はキャップされた。150℃で最低1時間、対流オーブンセットにてそのアセンブリを熱することによって、シリコーン分散物のキュアが起こった。キュア工程中に溶媒は蒸発し、それによってチューブの中にルーメンを再生させた。含浸されて補強されたチューブはオーブンから取り出され、冷却することが可能となった。チューブの両端は開放され、ルーメンを再び満たすために一つの端部に、0.5:1シリコーン分散物溶液が注入され、その後、針端部はキャップされ、それから、分散物は前述したように同じ方法でキュアされた。この時点で、バルーン構造物は完成した。
【0069】
上記に述べられた方法により、バルーンの最外表面にPTFEを確保した。代替的に、最初の含浸中に、さらに長い含浸時間又はさらに高い注入圧により、シリコーン分散物でPTFE構造をさらに湿らすことになり、それによって、バルーンの最外表面にさらに多くの分散物を導くことが可能である。
【0070】
それから、バルーン膨張カテーテル(Schneider Match 35 PTA Catheter、6mm径、4cm長、モデルno.B506−412)から得られた5Frカテーテルシャフトに取り付けるためにバルーンは準備された。このバルーンは、図8に図示されるように1.67mm径のカテーテルシャフトに取り付けられた。バルーンの両端はシャフトに取り付けられた。バルーン膨張カテーテルのバルーンに加えてカテーテル先端部は、カテーテルシャフト24のみを残しながらシャフトの二重のルーメン部分で切除された。マンドレル(図示されていない)として役目を果たすガイドワイヤーはシャフトの両ルーメンに挿入された。0.32mmのマンドレルは膨張ルーメン87に挿入され、そして0.6mmのマンドレルはワイヤールーメン83に挿入された。膨張ルーメン87を含むシャフト24の24A部分は、シャフトに配置されるバルーン長よりもおよそ1cm長い長さに薄く切られた。それゆえ、それからは、シャフト24の24A部分は、外側の半円形横断面を有したワイヤールーメン83のみを含んだ(その余分な1cm長が、最終的なアセンブリであって、バルーンがカバーしていない状態で、カテーテルの先端部分のための場所を確保する。)。マンドレルが所定の場所に留まっている状態で、シャフト24の24B部分は、約30秒間、ダイスが共に置かれた時に1.5mm径の穴を含む熱せられたスプリットダイスの中に挿入された。そのダイスは180℃の温度まで熱せられ、1.5mm円形断面の中に半円形断面形状のシャフトの一部分を形成し、そして、膨張ルーメン87の遠位端に近位した領域に着地部91を作り出す。次に、バルーン10(周囲に配置されフィルム層14と16、そして縦方向に配置された基材チューブ81を有する)は、バルーン10の近位端が着地部91の端部からおよそ0.5cmであるように、改良されたシャフト24の遠位端部を滑った。隣接部に近接した、このおよそ0.5cmの着地部91のセグメントは、15秒間の塗装をした(コネチカット州、Newington、Loctite PrismTM Primer770、Item#18397)。それから、シアノアクリレート接着剤(コネチカット州、Rocky Hill、Loctite 4014 Instant Adhesive、Part#18014)がセグメントに適用された。バルーンの近位端が着地部91の端部を終端とするように、バルーン10が近位に移動して、接着剤がセットすることが可能となった。取り付けの間バルーンのしわに対して保証しながら、同様な方法で、バルーン10の遠位端も取り付けられた。この時点で、X線不透過性マーカがバルーンの各々の端部に取り付けられた。取り付け方法における最後の工程は、収縮チューブ93(ニューハンプシャー州、Salem、Advanced Polymers、Inc.ポリエステル収縮チューブ−クリア、アイテム#085100CST)でバルーンの端部を固定する工程を含んだ。およそ0.25cmのバルーンの近位端とおよそ0.75cmのバルーンの端部に近接したシャフトは、上述したように同じ塗装剤と接着剤で処理された。およそ1cm長の収縮チューブは、シャフト24とバルーン10の処理された領域に配置された。バルーンの遠位端と近接した改良シャフト部分を処理すること及び別のおよそ1cm長の収縮チューブ93を取り付けることの両方の目的のために、同様な方法が続けて実行された。その後、収縮チューブを収縮するために、全アセンブリが少なくとも約2分間150℃の対流オーブンセットの中に配置された。
【0071】
膨張前バルーンは、2.03mm及び2.06mmの最小及び最大ディメンションをそれぞれ有した。バルーンカテーテルは実施例1で述べたような圧力下で試験された。膨張バルーンは、5.29mm及び5.36mmの最小及び最大ディメンションをそれぞれ有した。収縮バルーンは、2.19mm及び3.21mmの最小及び最大ディメンションをそれぞれ有した。結果として得られた圧縮効率比及び圧縮比は、各々0.68及び0.64であった。
【0072】
膨張前、膨張時(8気圧)、及び収縮時において、フィルムのピッチ角度もまた、測定され、それぞれ、約20°、50°、及び25°の値を得た。バルーンは10気圧で再膨張され、フィルムのピッチ角度は、膨張と収縮状態で測定された。両方の膨張圧で角度は同じだった。
【0073】
破損の圧力を測定するためにバルーンを一定な高圧状態にした。バルーンの遠位端の収縮チューブの破損が原因で、バルーンは破損前において19.5気圧の圧力状態に持ちこたえた。別のバルーンカテーテルは、同一のバルーン材料の要素を使って作製され、この実施例で述べられた同じ手順を追随した。このバルーンカテーテルは、外側の補強フィルムが取り除かれた3mmのGORE−TEX Vascular Graft(アリゾナ州、Flagstaff、W.L.Gore and Associates、アイテムno.V03050L)を膨張させるために使われた。グラフとの遠位端がバルーンの遠位端からおよそ1cmの位置になるように、グラフトはバルーン上に配置された。バルーンは8気圧まで膨張し、グラフトはバルーンに対して縦方向に移動することなく均一に膨張した。同じグラフとの他の要素は、6mm径、4cm長のSchneider Match 35 PTA Catheter(モデルno.B506−412)を用いて同様な方法で試験された。この場合において、グラフトは、膨張中に、バルーンの長さ方向で近位に滑った。グラフトの遠位端は膨張しなかった。
【0074】
実施例6:
膨張中にたわむバルーンを提供する目的で、一つの例外だけで実施例5の全ての工程に従って、バルーンカテーテルが作製された。
【0075】
縦方向の圧縮工程を素早く進行する手動の伸長工程を除外することの例外があるだけで、全ての同一工程は実施例5の工程を追随した。すなわち、シリコーン分散物で含浸された地点において、フィルムカバーされた多孔性PTFEチューブは、最初の段階で0.6の長さであった(実施例5においては0.8でった)。
【0076】
バルーンカテーテルはこのバルーンを用いて構成された。バルーンの長さは4.0cmであった。バルーンのたわみは。8気圧までバルーン膨張することによって試験され、膨張によって作り出された、たわみ角度を測定した。バルーンの真ん中が基準の位置になるようにして、分度器の0°のけがき線に一致させて並べられたバルーンを介して測定がされた。たわみ角度は50°であった。その後、バルーンは、さらに90°まげられ、弛緩することが可能になった。ねじれは140°でさえ起きなかった。今なお膨張し、弛緩したバルーンの角度は90°で安定した。
【0077】
無傷の6mm径、4cm長のSchneider Match 35 PTAカテーテル(モデルno.B506−412)のバルーンは同様な方法で試験された。8気圧圧下のたわみ角度は0°であった。その後、膨張バルーンは90°までたわみ、ねじれを作り出した。膨張バルーンは弛緩することが可能になった。バルーンたわみ角度は25°で安定した。本発明の物品のたわみ特性は血管及びその同じ血管の側枝の膨張を同時に可能とする。本発明のバルーンは、ねじれがない状態で容易にたわむことが可能である。ねじれはバルーン材料のしわとして定義される。
【0078】
実施例7:
この実施例は、本発明のバルーンカテーテルアセンブリの代替的な構造を示す。述べられる構造は、積層関係の螺旋状に巻き付けられた多孔性PTFEフィルム及びエラストマーチューブのチューブ状の基材から作製されたバルーンに関し、バルーンの端部が、多孔性PTFEフィルムの巻き付けを利用してカテーテルシャフトに固定されている、バルーンに関する。そのバルーンは、バルーンとカテーテルシャフトの長さに対して縦方向に配置されたフィブリルを有する追加的な多孔性PTFE層を必要としない。
【0079】
図9の縦断面図によって示されるように、バルーンカテーテルアセンブリ100の近位端は、注入用の成形Y型付属品で同時につなぎ合わされたカテーテルチューブの三つのセグメントを用いて作り出された。本実施例と後述の実施例で述べられるように、バルーンカテーテルの遠位端は、バルーンに備え付けられた端部であって、患者の体に最初に挿入される端部であると考えられ、近位端は、遠位端とは反対側のバルーンカテーテルの端部であると考えられる。全てのチューブセグメントは、他の方法で言及をしていないなら、Pebax7233チューブであって、述べられる全てのチューブは、他の方法で言及をしていないなら、カルフォルニア州、Santa Clara Infinity Extrusions and Engineeringから入手可能である。カテーテルシャフト101の主な要素は、約2.3mmの外径で、約1.07mmの内径を有するガイドワイヤールーメン105及び約0.5mmの高さの三日月形の膨張ルーメン107を有するチューブ103であってデュアルルーメンセグメントであった。このチューブの横断面図は図9Aによって図示される。このメインシャフト101のガイドワイヤールーメン105は、約2.34mmの外径と約1.07mmの内径を有する12cm長の単一のルーメンチューブ111の一つの端部にY型付属品109でつなぎ合わされ、メインシャフト101の膨張ルーメン107は、12cm長のPebax4033単一ルーメンチューブ115につなぎ合わされた。連結は、デュアルルーメンチューブ103及びシングルルーメンチューブ111の端部が隣接するまで、デュアルルーメンチューブ103のガイドワイヤールーメン105の一つの端部の中に1.0mm外径スチールワイヤー長(図示されていない)を配置し、スチールワイヤーの反対端部上にシングルルーメンチューブ111の一つの端部を滑らすことによって完成する。ワイヤー長の中点で30度のたわみを有する0.48mm径ワイヤー長(これも図示されていない)が、ワイヤーのたわみの地点まで、デュアルルーメンチューブ103の三日月形膨張ルーメン107の中に挿入され、ワイヤーのたわみ地点に達するまで、シングルルーメンチューブ115の第二長のルーメン117が、このワイヤーの反対端に取り付けられた。このように、隣接したチューブ端部の領域のワイヤーの存在が、隣接部の地点で両ルーメンの連続性を維持した。隣接したチューブ端部の領域が、分岐部を封入するために設計されたモールド(型)の空洞の中に配置された。モデルIMP6000 Injection Molding Press(ミネソタ州、Plymouth、Novel Biomedical Inc.)を用いて、熱せられたPebax7033が、Y−フィッティング109を形成するために、モールド(型)の中に注入された。冷却後、結果として得られたアセンブリがモールド(型)から取り除かれ、スチールワイヤー長がチューブのルーメンから引き抜かれた。最後に、メス用のLuerフィッティング(ニューヨーク州、Edgewood、Qosina Corp.、パーツno.65250)が、Loctite 4014 Instant Adhesive(コネチカット州、Newington、Loctite Corp.)を用いて、シングルルーメンチューブ111と115の各々の残りの端部に取り付けられた。
【0080】
その後、カテーテルアセンブリ100の遠位又はバルーン端は、次のように組み立てられるが、図10Aによって表される縦断面にしたがって開始する。1.00mm直径ステンレス鋼ワイヤー(図示されていない)のおよそ30cm長が、デュアルルーメンチューブ103のガイドワイヤールーメン105の遠位端の中におよそ15cm挿入された。デュアルルーメンチューブ103の端部に隣接するように、1.02mmの内径と1.58mmの外径を有するシングルルーメンチューブ119の13cm長が、ガイドワイヤールーメン105から突き出ている曝されたワイヤー上に配置された。二つのチューブ103と119、及び内在ワイヤーの隣接端部が、PIRFTM Thermoplastic Forming and Welding System(アリゾナ州、Tucson、SebraTM Engineering and Research Associates、Inc.、パーツナンバー3220、3226、3262、及び3263)の中に配置され、シングルルーメンチューブ119とディアルルーメンカテーテルシャフト103の間の突き合わせ連結は完成した。ディアルルーメンカテーテルチューブ103の三日月形膨張ルーメン107の遠位部内に内在する0.49mmステンレススチールワイヤーは、動作中にルーメン107の遠位端が開放状態であることを維持する保証をした。この工程で使われて熱せられたダイスは、ディアルルーメンカテーテルチューブ103とシングルルーメンチューブ119のディメンションを調整するために特別に組み立てられた。本実施で使われた加熱と他のパラメータは試行錯誤によって導かれ、適切なリフロー及び二つのチューブの近接した端部の適切な突き合わせ溶接の結果が導かれた。
【0081】
次に、1.00mmステンレススチールワイヤーが、近接したチューブ103と119のガイドワイヤールーメン105と121内でそのまま所定の場所に存在しながら、ディアルルーメンカテーテルチューブ103の膨張ルーメン107の遠位部内に内在する0.49mmのステンレススチールワイヤーが、0.39mmのステンレススチールワイヤーのおよそ30cm長に置き換えられた(これも図示されていない)。再び、ワイヤーが膨張ルーメン107の中に約15cm配置された。突き合わせ溶接したシングルルーメンチューブ119及びディアルルーメンチューブ103からなるアセンブリ、並びに内在したワイヤーは、異なるダイスで再取り付けされた、PIRFTMThermoplastic Forming and Welding Systemの中に配置された。熱処理中、アセンブリは、システムの熱せられたダイスの中を約2.0cm進み、ディアルルーメンカテーテルチューブ103の2cm長の遠位端の外径が、熱せられたダイスの1.83mm内径と同じディメンションに縮小したことが起こった。図10Bの縦方向の断面は、熱処理後のアセンブリの外観を示し、「a」領域は1.58mm外径のシングルルーメンチューブ119を有することを示し、「b」領域は1.83mm外径に変更されたことを示し、そして、「c」領域は最初の2.3mm外径のディアルルーメンチューブ103を維持することを示す。ディアルルーメンカテーテルチューブ103の膨張ルーメン107内に内在する0.39mmのステンレススチールワイヤーは、そのルーメン107がこの動作中に開放状態を維持することを保証した。本実施で使われた加熱と他のパラメータは試行錯誤によって導かれ、ディアルルーメンチューブの適切なリフローの結果が導かれた。一度この実施が完成すると、充分な長さのシングルルーメンチューブ119の全外表面(突合せ溶接から遠位の「a」領域)は、これから述べるように、シリコーンチューブ123の端部の結合を促進するために220研磨紙で研磨した。
【0082】
カテーテルシャフト101の構造物が完成した状態において、カテーテルシャフト101の外径が1.83mmから2.3mmに変更した地点から、シリコーンチューブ123の近位端がおよそ7.5mm遠位であるように、長さでおよそ9cmのシリコーンチューブ123のセグメントであって、およそ1.40mmの内径であり、およそ1.71mmの外径であり、デュロメータがShore60A(ウィスコンシン州、Racine、Beere Precision Silicone)である、シリコーンチューブ123のセグメントが、図10Cの縦方向の断面によって示されるようにカテーテルシャフト101の遠位端上に配置された。カテーテルシャフト101上の最終的な位置となるときに、シリコーンチューブ123の切片が、縦方向に伸長(例えば、テンションで伸長)しないことを保証するために、このことは、たいへん注意深く実行された。イソプロピルアルコールは、カテーテルシャフト101とシリコーンチューブ123の間の滑剤として使われた。
【0083】
この実施例で使われたエラストマーチューブはシリコーンチューブであったが、ポリウレタン又はフルオロエラストマーチューブのような他のエラストマー材料から作製されたチューブもまた適切に用いられてよい。
【0084】
シリコーンチューブ123が、カテーテルシャフト101に適切に配置された状態で、任意の残留アルコールが多くの時間で蒸発することができて、シャフト101が完全に乾燥することについて保証された。一旦残留アルコールがなくなると、少量のMedical Implant Grade Dimethyl Silicone Elastomer Dispersion In Xylene(カリフォルニア州、Ventura、Applied Silicone、Part40000)が、シリコーンチューブ123の端部と基本構成のカテーテルシャフト101の外表面の間に適用された。シリコーンチューブ123の各々の端部で、シリコーンチューブ123の端部と基本構成のカテーテルシャフト101の外表面の間であって、カテーテルシャフト101の長さに平行方向に測定されておよそ7.5mmの距離に対して、小さい先の尖っていない針が挿入された。シリコーンチューブ23の端部下で結合するように、シリコーンエラストマー分散物が、7.5mm長の領域において充分に内部コーティングされたことの状態を保つように、シリコーンエラストマー分散物が、先の尖っていない針に連結された3cc注射器を用いて、カテーテルシャフト101の全円周方向に慎重に適用された。その後、シリコーンエラストマー分散物が、室温でおよそ30分間、キュアをすることが可能となり、それから、さらに30分間150℃で空気対流オーブンセットにおいてキュアをすることが可能となった。次に、シリコーンエラストマー分散物が下域に存在するシリコーンチューブ123の端部領域及びシリコーンチューブ123の端部から測定しておよそ7.5mmの長さであってシリコーンチューブ123によって覆われていないカテーテルシャフト101の近接部に、およそ1.0cm幅である、上述したような多孔性PTFEフィルム長が巻き付けられた。巻き付け中、多孔性PTFEフィルムの空隙が実質的に分散物によって充填されるように、多孔性PTFEフィルムの全長が少量のシリコーンエラストマー分散物でコーティングされ、分散物が多孔性PTFEフィルムに浸透した。このように、分散物は、多孔性PTFEフィルムを基本構成とする要素に備え付けるために接着材料として使われた。他の接着材料、例えば、他のエラストマー(例えば、ポリウレタン若しくはフルオロエラストマー、選択的に分散物の形態でもまたよい)、シアノアクリレート、又はその後の熱の適用によって活性化することができるフッ素化エチレンプロピレンのような熱可塑性接着剤を用いてもよいと考えられる。およそ3つの重なり合う層(図10Cにおいて層125として図式化されている)が各々の領域を覆うように多孔性PTFEフィルムが適用されることを確保することに細心の注意は払われた。たいへん薄い多孔性PTFEフィルムは、カテーテルアセンブリ100の外径を有意に増大させなかった。この時点で、多孔性PTFEフィルムをコーティングするために用いられたシリコーンエラストマー分散物は、室温でおよそ30分間、キュアをすることが可能となり、それから、さらに30分間150℃で空気対流オーブンセットにおいてキュアをすることが可能となった。
【0085】
次に、フィルムチューブが、実施例1で述べられた形態と同じ形態で構成された。重なり合う5つの層のフィルムがマンドレルを覆うように(例えば、フィルムチューブの任意の横断面が約5層のフィルムを横断する)、上述したように作製された、幅2.5cmにカットされた、多孔性PTFEフィルム長は、マンドレルの縦軸に対しておよそ70°の角度で8mmステンレススチールマンドレルの裸表面に巻き付けられた。これに続いて、別の同じ5層のフィルムが、縦軸に対して同じピッチ角度であるが、反対方向に、第一の5層の上に螺旋状に巻き付けられた。それゆえ、第二の5層もまた、およそ70°の角度で配置されたが、第一の5層と比較して軸の反対端から測定された。その同じ方法で、全約30層の螺旋状に巻き付けられたフィルムがマンドレルを覆うまで、各々の連続した5層群が前の巻き付け5層群とは反対方向に適用されるように、追加的なフィルム層が巻き付け1回について5層の適用がされた。それから、フィルムが巻き付けられた、このマンドレルは、フィルム層をヒート結合するために11.5分間380℃で空気対流オーブンセットの中に置かれ、それから取り出し、冷却が可能となった。
【0086】
フィルムチューブはまた、上述したよりも多いフィルムか少ないフィルムを使って構成されてよく、フィルム量を増やすか又は減らすかの使用によって、より強く(フープ強度の観点から)そしてより小さいコンプライアント性であるか、又はより弱くそしてより大きいコンプライアント性であるかの結果になる。僅かに異なる多孔性PTFE材料(例えば、多孔度、厚み及び幅)の利用、利用される多孔性PTFE材料の量、縦軸及び近接する材料層に対する配向性の全てが、結果物のバルーンの性能特性に影響を与えると考えることができ、これらの変更は、通常の実験によって特別な性能要求のために最適にしてもよい。
【0087】
その後、結果物の8mm内径フィルムチューブは、8mmのマンドレルから取り出され、1.76mm直径のステンレススチールマンドレルと同軸に取り付けられ、そしてチューブの直径が縮小することを引き起こすように縦方向に手動で引っ張られた。その後、フィルムチューブの端部(マンドレル端部を越えて延在する)は、平面なあごを装備した、Instron(マサチューセツ州、Canton)によって生産されたモデル4201 Tensile Testing Machineに置かれ、そして4.8と4.9kgの間の力に達するまで200mm/mmの一定割合で引っ張られた。その後、そのフィルムチューブは、ワイヤー結ばれてマンドレル端部に固定された。
【0088】
その後、固定されたフィルムチューブを備える1.76mmのマンドレルは、30秒間380℃で空気対流オーブンセットに置かれた。それから、マンドレルとフィルムチューブは、取り出されて、冷却が可能となり、その後、上述のように作製された1.9cm幅の多孔性PTFEフィルム長を手動で螺旋状に巻き付け(縦軸に対して約70度のピッチ角で巻き付けた)、結果として重なり合う約2つの層のフィルムがマンドレルとフィルムチューブを覆った。これに続いて、別の同じ2層のフィルムが、縦軸に対して同じピッチ角度で、反対方向ではあるが、第一の2層の上に螺旋状に巻き付けられた。その後に続く熱処理とキュア工程の間、マンドレルの外表面にフィルムチューブを固定するために、これらのフィルム層(図示されていない)はクランプ手段として一時的に適用された。固定されたフィルムチューブを備える1.76mmのマンドレル及びフィルムチューブ上に巻き付けられた多孔性PTFEフィルム層は、その後、45秒間380℃で空気対流オーブンセットの中に置かれ、それから取り出し、冷却が可能となった。それから、消えないペンを使って、1cmきざみで巻き付けられたフィルムチューブの長さに沿って印がつけられ、そしてこれらの印はおよそ5mmの均等な間隔になるまで、巻き付けられたフィルムチューブは縦方向に圧縮された。インクが外側のフィルム層を浸透し、また基本要素のフィルムチューブに印がされるように、これらのペンによる印は外側で螺旋状に巻き付けられたフィルムチューブにつけられた。マンドレル上に固定されて縦軸方向に圧縮されたフィルムチューブを備える1.76mmのマンドレル及びフィルムチューブ上に巻き付けられた多孔性PTFEフィルム層は、その後、45秒間380℃で空気対流オーブンセットの中に置かれ、それから取り出し、冷却が可能となった。一旦冷却されると、フィルムチューブ上に巻き付けられた多孔性PTFEフィルム層は完全に取り除かれ、結果として、1.76m内径のフィルムチューブがマンドレルから取り出された。5cmきざみで、目に見えるペンでマークをつけたフィルムチューブは、ペンの印がおよそ1cmきざみの間隔になるまで、縦方向に手動で引っ張られ、その後縮めることが可能となった。結果として、1.76mm内径のフィルムチューブは、7mmから8mmの間隔で離れた、目に見えるペンの印を有した。 Nusil Silicone Tchnology(カリフォルニア州、Carpinteria)によって生産された、質量換算で1部のMED1137 Adhesive Silicone Type Aを、6部のn−ヘプタン(ニュージャージー州、Phillipsburg、J.T.Baker)に混合したものを含むジャーの中に、そのフィルムチューブは置かれ、その混合物でフィルムチューブを浸漬した。このように、多孔性PTFEフィルムチューブ127内の空隙は、シリコーン接着剤の混合物によって浸漬され、実質的に充填された。また、この工程はフルオロエラストマーとポリウレタンを含む弾性接着剤の他のタイプによって遂行されてもよいと考えられる。
【0089】
シリコーンチューブ123を備えるカテーテルシャフト101は、多孔性PTFEフィルム125を介して備え付けられ、その後、シリコーンエラストマー分散物は、Nusil Silicone Tchnology(カリフォルニア州、Carpinteria)によって生産された、質量換算で2部のMED1137 Adhesive Silicone Type Aを、1部のn−ヘプタン(ニュージャージー州、Phillipsburg、J.T.Baker)に混合したものからなる薄層で慎重にコーティングされた。1.76mm内径のフィルムチューブは、シリコーン−ヘプタン混合物から取り出され、そして、シャフト101に備え付けられた全シリコーンチューブ123はフィルムチューブ127によって覆われ、そしてシャフトの外側のディメンションが1.83mmから2.3mmまで変化する地点に近位なカテーテルシャフトの近接部分も覆われるように、図10Dの縦断面によって示されているが、フィルムチューブ127内と同軸上で、コーティングされたカテーテルシャフト101は慎重に備え付けられた。カテーテルシャフト101と備え付けられたシリコーンチューブ123がフィルムチューブ127によって覆われている状態で、近位端がカテーテルシャフト101の外側のディメンションが1.83mmから2.3mmまで変化した地点に一致し、そしてもう一方の端部が、カテーテルシャフト101に備え付けられたシリコーンチューブ123の遠位端からおよそ7.5mm遠位であるように、フィルムチューブ27の端部は調整された。それから、フィルムチューブ127の外表面は、手によって、上述したように作製された1.9cm幅の多孔性PTFEフィルム長で螺旋状に巻き付けられ、その結果、重なり合う約2つのフィルム層がその長さ全体を覆った。このフィルム(図示されていない)は、その後に続く熱処理とキュア工程の間に好ましい固定手段として一時的に適用された。その後、前に適用されたシリコーン接着剤混合物のキュアをするために、カテーテルアセンブリ100の遠位端が、15から30分間の期間、水蒸気浴に置かれた。
【0090】
それから、カテーテルアセンブリ100は、水蒸気浴から取り出され、外側の螺旋状に巻き付けられたフィルムは取り除かれた。次に、シャフトの外側のディメンションが1.83mmから2.3mmまで変化した地点からおよそ15mm遠位で、そしてシリコーンチューブの遠位端の周りに巻き付けられた多孔性PTFEフィルムの最も近位端からおよそ15mm遠位である、フィルムチューブ127の端部に、およそ1.0cm幅で、上述したような多孔性PTFEフィルム長は手動で巻き付けられた。巻き付け中、多孔性PTFEフィルムの全長は、質量換算で、等量部のMED1137 Adhesive Silicone Type A、及びn−ヘプタン(ニュージャージー州、Phillipsburg、J.T.Baker)の少量の混合物でコーティングされた。重なり合うおよそ3つの層(図10Dに層129として図式的に示されている)が、カテーテルの直径を特別な意味を持って増大させることなく領域を覆うように、多孔性PTFEフィルムが適用されることを確保することに細心の注意は払われた。層129と125のために用いられた多孔性PTFEフィルムの領域「b」における縮小した直径と薄い特性のために、フィルム層129と125の位置のカテーテルアセンブリ100の直径の大きさは、これらのフィルムの近位のカテーテルチューブ101の直径の大きさにたいへん近くなる。その後、カテーテルの遠位部は、最終的なキュアを実行するために、最低でも8時間水蒸気浴に置かれた。最終的なキュアの後、カテーテルシャフトの最も遠位な部分は、フィルムチューブの外側であって多孔性PTFEフィルムの最も遠位なエッジで横方向に切り取られた。バルーン部分を組み込むカテーテルアセンブリ100の遠位領域の構成は今、完成した。結果として完成したこの構成のバルーン部分は領域133として表される。バルーンの端部とバルーンの長さは(バルーンの端部間で測定される距離として表される)、バルーン部分133に最も近い多孔性PTFEフィルム層129エッジの発端(終結部又は固定手段)として示されるように、角括弧で囲まれた領域133によって定義される。
【0091】
このように、バルーン部分133は、バルーンの各々の端部の二つの別個の終結部(又は固定手段)によってカテーテルシャフトの外表面に固定され、これらは、シリコーンチューブ123を固定するために使われたフィルム層125及び多孔性PTFEフィルムチューブ127を固定するために使われたフィルム層129の形となって現れる。バルーンの一つの端部の二つの別個の終結部の存在(例えば、別個の層125と129)は、終結領域を通る横断面を確認し、走査型電子顕微鏡のような適切な顕微鏡法を利用して調べることによって実証することができる。
【0092】
膨張性バルーン部分133は、二つの基材、すなわち積層関係にあって連結された多孔性PTFEフィルムチューブ127と弾性シリコーンチューブ123の結果となった。このように、多孔性PTFEフィルムチューブ127の空隙は、シリコーンチューブ123と、多孔性PTFEフィルムチューブ127の空隙を含浸してシリコーンチューブ123のフィルムチューブを接着する前に適用されたシリコーン接着剤によって実質的に封印された。
【0093】
この時点で、バルーン部分133の直径は膨張前状態で測定された。最小直径は2.14mmであると確認され、最大直径は2.31mmと確認された。以前に述べたように、バルーンのおよそ中点からこれらの測定はされ、バルーンが縦軸の周りを回転する間に測定をするために、Lasermike(オハイオ州、Dayton)によって生産されたLasermikeモデル183が使われた。1分以内で内部水圧が8気圧まで膨張した時(図10Eの縦断面によって図示されている)、バルーンは、バルーン長の中心点で、6.89mmの最小直径と6.93mmの最大直径を有した。8気圧の加圧中に、バルーン部分133がカテーテルシャフト101の縦軸に対して実質的に真っ直ぐであって、バルーン部分133がカテーテルシャフト101に備え付けられた地点からバルーンが充分な直径の状態になるバルーン上の地点までの距離が比較的短いことを理解することができる。これは、バルーン端部に近くなるほど直径が小さくなる状態であって長さに沿ってテーパーな外観を有することとは反対に、膨張した時のバルーンは、バルーン部分133の長さの中点の直径と実質的に同じ直径の平滑末端を有したと言うことができる。8気圧の加圧中に導入された水の全量を取り除くことによって収縮した時に、中点におけるバルーンは2.22mmの最小直径と2.46mmの最大直径を有した。このシリコーン−PTFEコンポジットバルーンは、携帯の膨張デバイスを使って試験するときに、およそ22気圧(ゼロ圧から始まって、約30秒間で達した)のバースト圧力を有し、破裂によって破損する前で最大直径約7.95mmに達した。
【0094】
この実施例は、シリコーンとPTFEを使って上述したように構成されたバルーンが、破壊的なバーストテストによって実証されたように、直径の増大に対して予測可能な限界を示すことを例証し、そして、破損前に多孔性PTFEフィルムチューブ要素が8mm径を越えなかったことを例証する。前に定義された圧縮比は2.31が2.46によって割られて、0.94であり、そして、前に定義された圧縮効率比は、2.22が2.46によって割られて、0.90である。本発明のバルーンカバーを提供した後のバルーンは2.63が3.87によって割られて、0.68の圧縮効率比を得た。水が漏れることなく前述した圧力まで膨張するバルーンの能力は、多孔性PTFEの空隙が弾性材料によって、実質的に封印されることを事実上実証した。
【0095】
この実施例によって述べられるバルーンカテーテルを作り出すために使われた方法を記載したフローチャートは、図10Fとして表され、この方法のバリエーションは、同一又は類似のバルーンカテーテルを作り出すために用いられてもよいことは明らかだろう。
【0096】
実施例8:
この実施例は、弾性材料で作製されたカテーテルシャフトを使ってバルーンカテーテル構造物の方法を教示する。この実施例は、膨張を意図したルーメンを備えるシングルルーメンシリコーンカテーテルシャフトのみを使って作られるが、二つの部分又は3つ以上の多数のルーメンシャフトが使用されてもよいことは明らかだろう。
【0097】
4frシャフト外径(約1.35mm)と40cm長を有する、Cathlab Division of American Biomed Inc.(カルフォルニア州、Irvine)によって生産されたシリコーンモデル4 EMB 40 Arterial Embolectomy Catheterを入手した。塞栓摘出術用カテーテルは、シャフトの近位端にLuerフィッティングとシャフトの遠位端にシリコーンエラストマーで作製されたバルーンを含んだ。カテーテル(バルーンを含む)の最も遠位な20cm部分は切り取られ、0.38mm直径ワイヤーが、シャフトのオープンルーメンを通って完全に挿入された。およそ5mm長の切断部は、遠位端からおよそ6.5cm近位のシャフト壁を貫いて作られ、0.38mmワイヤーを曝すことになるが、シャフトの残りの部分を損傷することはなかった。図11Aに縦断面によって示されるように、結果として得られた開放部201は、カテーテルシャフト219の領域上に構成される新しいバルーンのための膨張口としての役目を果たすことになった。
【0098】
シリコーンチューブ123の近位端が、カテーテルシャフト219の遠位端からおよそ9.8cm近位であるように、長さでおよそ8cmのシリコーンチューブ123のセグメントであって、およそ1.40mmの内径であり、さらにおよそ1.71mmの外径であり、デュロメータがShore60A(ウィスコンシン州、Racine、Beere Precision Silicone)である、シリコーンチューブ123のセグメントが、カテーテルシャフト219の遠位端上に配置された。カテーテルシャフト219上の最終的な位置となるときに、シリコーンチューブ123の切片が、縦方向に伸長(例えば、テンションで伸長)しないことを保証するために、このことは、たいへん注意深く実行された。イソプロピルアルコールは、カテーテルシャフト219とシリコーンチューブ123の間の滑剤として使われた。
【0099】
この実施例のために使われた弾性チューブはシリコーンチューブであったが、ポリウレタンチューブのような他の弾性チューブ材料もまた適切に用いられてもよいことは考えられる。
【0100】
シリコーンチューブ123がカテーテルシャフト219に適切に配置された状態で、任意の残留アルコールが多くの時間で蒸発することができて、シャフト219が完全に乾燥することについて保証された。一旦残留アルコールがなくなると、少量のMedical Implant Grade Dimethyl Silicone Elastomer Dispersion In Xylene(カリフォルニア州、Ventura、Applied Silicone、Part40000)が、シリコーンチューブ123の端部と基本構成のカテーテルシャフト219の外表面の間に適用された。シリコーンチューブ123の各々の端部において、シリコーンチューブ123の端部と、カテーテルシャフト101の長さの平行方向に測定されておよそ7.5mmの距離がある基本構成のカテーテルシャフト219の外表面の間に平滑針が挿入された。シリコーンチューブ23の端部下で結合するように、シリコーンエラストマー分散物が、7.5mm長の領域において充分に内部コーティングされたことの状態を保つように、シリコーンエラストマー分散物が、先の尖っていない針に連結された3cc注射器を用いて、カテーテルシャフト219の全円周方向に慎重に適用された。その後、シリコーンエラストマー分散物が、室温でおよそ30分間、キュアをすることが可能となり、それから、さらに30分間150℃で空気対流オーブンセットにおいてキュアをすることが可能となった。次に、シリコーンエラストマー分散物が下域に存在するシリコーンチューブ123の端部上に、シリコーンチューブ123によって覆われていないカテーテルシャフト219の近接部に、シリコーンチューブ123の端部から測定しておよそ7.5mmの長さに向けて、およそ1.0cm幅である、上述したような多孔性PTFEフィルム長が巻き付けられた。巻き付け中、多孔性PTFEフィルムの全長が少量のシリコーンエラストマー分散物でコーティングされた。およそ3つの重なり合う層(図11Aと11Bにおいて層125として図式化されている)が各々の領域を覆うように多孔性PTFEフィルムが適用されることを確保することに細心の注意が払われた。たいへん薄い多孔性PTFEフィルムは、カテーテルアセンブリ100の外径を有意に増大させなかった。この時点で、多孔性PTFEフィルムをコーティングするために用いられたシリコーンエラストマー分散物は、室温でおよそ30分間、キュアをすることが可能となり、それから、さらに30分間150℃で空気対流オーブンセットにおいてキュアをすることが可能となった。
【0101】
次に、実施例7で述べたような同じ形態でフィルムチューブは構成された。シリコーンチューブ123を備えるシリコーンカテーテルシャフト219は、多孔性PTFEフィルム125を介して備え付けられ、その後、シリコーンエラストマー分散物は、Nusil Silicone Tchnology(カリフォルニア州、Carpinteria)によって生産された、質量換算で2部のMED1137 Adhesive Silicone Type Aを、1部のn−ヘプタン(ニュージャージー州、Phillipsburg、J.T.Baker)に混合したものからなる薄層で慎重にコーティングされた。1.76mm内径のフィルムチューブは、シリコーン−ヘプタン混合物から取り出され、そして、シャフト219に備え付けられた全シリコーンチューブ123はフィルムチューブ127によって覆われ、シリコーンチューブ123の両端部に近位なカテーテルシャフト219の近接部分も覆われるように、フィルムチューブ127内と同軸上で、コーティングされたカテーテルシャフト219は慎重に備え付けられた。カテーテルシャフト219と備え付けられたシリコーンチューブ123がフィルムチューブ127によって覆われている状態で、フィルムチューブ127の遠位端が、基本構成のシリコーンチューブ123の遠位端から7.5mm遠位に配置され、そして近位端が、基本構成のシリコーンチューブ123の近位端から7.5mm近位に配置されるように、フィルムチューブ127の端部は調整された。それから、フィルムチューブ127の外表面は、手によって、上述したように作製された1.9cm幅の多孔性PTFEフィルム長で螺旋状に巻き付けられ、その結果、重なり合う約2つのフィルム層がその長さ全体を覆った。このフィルム(図示されていない)は、その後に続く熱処理とキュア工程の間に好ましい固定手段として一時的に適用された。その後、前に適用されたシリコーン接着剤混合物のキュアをするために、カテーテルアセンブリ100の遠位端が、15から30分間の期間、水蒸気浴に置かれた。
【0102】
それから、カテーテルアセンブリ200は、水蒸気浴から取り出され、外側の螺旋状に巻き付けられたフィルムは取り除かれた。次に、フィルムチューブ127の遠位端からおよそ15mm近位であって、フィルムチューブ127の近位端からおよそ15mm遠位であるフィルムチューブの端部上に、およそ1.0cm幅であり、上述したような多孔性PTFEフィルム長は手動で巻き付けられた。層129として図式的に示されているように、これらの領域は重なり合うおよそ3つの層によって覆われた。また、重なり合うおよそ2つの層がカテーテルシャフト219覆い、それから同じフィルムの別の2層が、縦軸に対して同一のピッチ角度(約70度)ではあるが、反対方向で第一の2層上に螺旋状に巻き付けられるように、多孔性PTFEフィルム長(層221として図式化されている)が、シリコーンチューブ123の近位端からカテーテルシャフト219の近位端のLuerフィッティングまでカテーテルシャフト219の長さに沿って螺旋状に巻き付けられた。
巻き付け中、各々の多孔性PTFEフィルム長は、質量換算で、等量部のMED1137 Adhesive Silicone Type A、及びn−ヘプタン(ニュージャージー州、Phillipsburg、J.T.Baker)の少量の混合物でコーティングされた。多孔性PTFEフィルムは、カテーテルの直径を有意に増大させることなく適用されることを確保することに細心の注意が払われた。これは、多孔性PTFEフィルムの薄い特性の結果であるために可能である。その後、カテーテルアセンブリ200は、キュアを実行するために、最低でも8時間水蒸気浴に置かれた。キュアの後、カテーテルシャフト219の最も遠位な部分は、フィルムチューブ127の外側の多孔性PTFEフィルム129の最も遠位なエッジで横方向に切り取られた。そして、質量換算で、等量部のNusil Silicone Tchnology(カリフォルニア州、Carpinteria)によって生産されたMED1137 Adhesive Silicone Type A、及びn−ヘプタン(ニュージャージー州、Phillipsburg、J.T.Baker)の混合物の中に浸漬された0.38mmワイヤー225の1cm長切片の挿入によって、開放の膨張ルーメン107は封印された。その後、カテーテルアセンブリ200は、最終的なキュアを実行するために、最低でも8時間水蒸気浴に置かれた。
【0103】
この時点で、バルーン部分133の直径は膨張前状態で測定された。最小ディメンションは2.13mmと確認され、最大ディメンションは2.28mmと確認された。以前に述べたとおり、バルーンが縦軸の周りを回転する間、およそバルーンの中点からこれらの測定はされ、Lasermike(オハイオ州、Dayton)によって生産されたLasermikeモデル183がその測定をするために使われた。1分間以内で内部水圧8気圧まで膨張した時(図11Bの縦断面によって図示されているように)、バルーンは、バルーン長の中心点で、6.00mmの最小直径と6.11mmの最大直径を有した。8気圧の加圧中に導入された水の量を完全に載り除くことによって収縮した時、長さの中間点で、バルーンは2.16mmの最小直径で、そして2.64mmの最大直径を有した。このシリコーン−PTFEコンポジットバルーンは、携帯の膨張デバイスを用いて試験をした時に、21気圧のバースト圧を有し(ゼロ圧から始めて約30秒で達した)、破損前に約7.54mmの最大直径に達した。バルーンは、バルーン部分133のシリコーンチューブ要素123の漏れの発生によって破損した。漏れはフィルムチューブ127とシリコーンチューブ123の間の分離を発生させ、液がフィルムチューブ127を通過することを可能とした。
【0104】
これは、シリコーンとPTFEを使って上述したように構成されたバルーンが、破壊的なバーストテストによって実証されたように、直径の増大に対して予測可能な限界を示すことを例証し、そして、破損前に多孔性PTFEフィルムチューブ要素が8mm径を越えなかったことを例証する。前に定義された圧縮比は2.28が2.64によって割られて、0.86であり、そして、前に定義された圧縮効率比は、2.16が2.64によって割られて、0.82であった。さらに、シリコーンカテーテルシャフト219の周囲に螺旋状に巻き付けられた多孔性PTFEフィルムの存在によって、シリコーンカテーテルシャフト219が血管形成術に関する比較的高い圧力に耐え得る充分な強度が可能となった。
【0105】
シリコーンチューブ123の近位端からシャフト219の近位端のLuerフィッティングまでのシリコーンカテーテルシャフト219の長さが、多孔性PTFEフィルム221によって覆われていないことを除いては、上記に述べたような同一の形態で別のバルーンが構成された。バルーン部分133が膨張前状態で測定された時、最小直径が2.14mmで、最大直径が2.21mmであることがわかった。上述したように、これらの測定はされた。1分間以内で内部水圧8気圧まで膨張した時、バルーンは、バルーン長の中心点で、5.98mmの最小直径と6.03mmの最大直径を有した。8気圧の加圧中に導入された水の量を完全に載り除くことによって収縮した時、長さの中間点で、バルーンは2.10mmの最小直径で、そして2.45mmの最大直径を有した。このシリコーン−PTFEコンポジットバルーンは、携帯の膨張デバイスを用いて試験をした時に、15気圧のバースト圧を有し、破損前に約6.72mmの最大ディメンションに達した。バルーンの破損形態はシャフトの破裂であった。
【0106】
これは、シリコーンとPTFEを使って上述したように構成されたバルーンが、破壊的なバーストテストによって実証されたように、直径の増大に対して予測可能な限界を示すことを例証し、そして、破損前に多孔性PTFEフィルムチューブ要素が8mm径を越えなかったことを例証する。前に定義された圧縮比は2.21が2.45によって割られて、0.86であり、そして、前に定義された圧縮効率比は、2.10が2.45によって割られて、0.86であった。さらに、シャフトの周囲に螺旋状に巻き付けられた多孔性PTFEフィルムが存在しないことによって、バルーンがシャフトで破損することが可能となった。水が漏れることなく前述した圧力まで膨張するバルーンの能力は、多孔性PTFEの空隙が弾性材料によって、実質的に封印されることを事実上実証した。この実施例によって述べられるバルーンカテーテルを作り出すために使われた方法を記載したフローチャートは、図11Fとして表され、この方法のバリエーションは、同一又は類似のバルーンカテーテルを作り出すために用いられてもよいことは明らかだろう。
【0107】
実施例9
この実施例は、シリコーン−PTFE積層バルーン部分を作製する代替的な方法、及び血管形成術用バルーンとしてバルーン部分の使用を述べる。
【0108】
まず、カテーテルシャフトが、実施例7で述べられたような同一の形態で構成された。
【0109】
カテーテルシャフトの完成の後、フィルムチューブが以下のように作製された。重なり合う5つの層のフィルムがマンドレルを覆うように(例えば、フィルムチューブの任意の横断面が約5層のフィルムを横断する)、上述したように作製された、幅2.5cmにカットされた、多孔性PTFEフィルム長は、マンドレルの縦軸に対しておよそ70°の角度で8mmステンレススチールマンドレルの裸表面に巻き付けられた。これに続いて、別の同じ5層のフィルムが、縦軸に対して同じピッチ角度であるが、反対方向に、第一の5層の上に螺旋状に巻き付けられた。それゆえ、第二の5層もまた、およそ70°の角度で配置されたが、第一の5層と比較して軸の反対端から測定された。その同じ方法で、全約30層の螺旋状に巻き付けられたフィルムがマンドレルを覆うまで、各々の連続した5層群が前の巻き付け5層群とは反対方向に適用されるように、追加的なフィルム層が巻き付け1回について5層の適用がされた。それから、フィルムが巻き付けられた、このマンドレルは、フィルム層をヒート結合するために11.5分間380℃で空気対流オーブンセットの中に置かれ、それから取り出し、冷却が可能となった。一旦、冷却されると、結果により得られたフィルムチューブは8mmマンドレルから取り出せた。
【0110】
次に、24cm長のシリコーンチューブであって、およそ1.40mmの内径であり、さらにおよそ1.71mmの外径であり、デュロメータがShore60A(ウィスコンシン州、Racine、Beere Precision Silicone)である、シリコーンチューブが、1.14mm直径ステンレススチールマンドレルと同軸上に備え付けられた。シリコーンチューブの一つの端部が、細い糸で結ぶことによってマンドレルに固定された後、テンションがもう一方の端部に適用され、全長が約31cmになるまで、チューブを引き伸ばした。チューブが31cmまで引き伸ばされた状態で、フリーな端部もまた細い糸を使ってマンドレルに固定された。
【0111】
その後、8mm内径フィルムチューブが縦方向に手動で引っ張られ、直径の縮小が起こった。その後、フィルムチューブが一つの端部で結ばれ、平滑針がもう一方の端部に挿入された。平滑針に連結された20cc注射器を使って、Nusil Silicone Tchnology(カリフォルニア州、Carpinteria)によって生産された、質量換算で1部のMED1137 Adhesive Silicone Type Aを、4部のn−ヘプタン(ニュージャージー州、Phillipsburg、J.T.Baker)に混合したものがフィルムチューブに注入された。その混合物は、フィルムチューブのルーメンに存在する間、注射器を介して手動で加圧され、多孔性PTFEを通過して流れ、完全にフィルムチューブを湿らし、飽和させた。
【0112】
次に、1.14mmのマンドレルと重なり合うシリコーンチューブが、Nusil Silicone Tchnology(カリフォルニア州、Carpinteria)によって生産された、質量換算で2部のMED1137 Adhesive Silicone Type Aを、1部のn−ヘプタン(ニュージャージー州、Phillipsburg、J.T.Baker)に混合したものでコーティングされた。平滑針がPTFEがPTFEフィルムチューブから取り除かれた。その後、1.14mmのマンドレルと重なり合うシリコーンチューブは、マンドレル端部を越えて延在するフィルムチューブの端部を有するフィルムチューブ内と同軸で備え付けられた。その後、フィルムチューブの端部は、平面なあごを装備した、Instron(マサチューセツ州、Canton)によって生産されたモデル4201 Tensile Testing Machineに置かれ、そして4.8と4.9kgの間の力に達するまで200mm/mmの一定割合で引っ張られた。引っ張っている間、フィルムチューブはマッサージされ、PTFEとシリコーンチューブ間の接触を確保した。内在するシリコーン−ヘプタン混合物が抜けるように、小さい針の穴がフィルムチューブの中に作られた。4.8と4.9kgの間の力に一旦達すると、フィルムチューブは、最低24時間その機械のあごに放置され、シリコーンが完全にキュアすることが可能となった。シリコーンが完全にキュアされると、結果として得られたシリコーン−PTFEコンポジットチューブは、1.14mmのマンドレルから慎重に取り出された。
【0113】
この実施例は、積層関係にある共に連結された別個独立の基材としてシリコーンチューブと多孔性PTFEフィルムを用いたが、バルーンはまた、実施例7で述べたように作製された多孔性PTFEフィルムチューブのみを用いて構成されてエラストマー材料で含浸される(例えば、バルーンがシリコーンチューブ基材なしで構成される。)。そのような構成に対して、Xylene中のシリコーンエラストマー分散物の利用が、多孔性PTFEチューブの空隙を実質的に封印する目的で用いられる弾性材料として好ましい(例えば、弾性材料の実質的な部分が多孔性PTFEチューブ内の空隙に配置される。)。そのように構成されたバルーンは、以下に述べられる同一の方法でカテーテルシャフトに連結された。結果として得られたバルーンは、優れた圧縮効率比と圧縮比を有する特に薄厚の壁を有し、このバルーンに組み込まれたバルーンカテーテルは、神経系のバルーン膨張カテーテルとして特に有用であると考えられる。
【0114】
図12Aの縦断面によって示されるように、カテーテルシャフト101の構造物が完成した状態において、カテーテルシャフト101の外径が1.83mmから2.3mmに変更した地点から、コンポジットチューブ223の近位端がおよそ7mm遠位であるように、シリコーン−PTFEコンポジットチューブ223のセグメント(積層関係にある多孔性PTFEフィルムチューブの外側の基材に連結された弾性材料(シリコーンチューブ)の内部基材を含む)であって、およそ9cm長がカテーテルシャフト101の遠位端上に配置された。カテーテルシャフト101上の最終的な位置となるときに、コンポジットチューブ223の切片が、縦方向に伸長(例えば、テンションで伸長)しないことを保証するために、このことは、たいへん注意深く実行された。イソプロピルアルコールは、カテーテルシャフト101とコンポジットチューブ223の間の滑剤として使われた。
【0115】
コンポジットチューブ223がカテーテルシャフト219に適切に配置された状態で、任意の残留アルコールが多くの時間で蒸発することができて、シャフト219が完全に乾燥することについて保証された。一旦残留アルコールがなくなると、Nusil Silicone Tchnology(カリフォルニア州、Carpinteria)によって生産された、質量換算で等量部のMED1137 Adhesive Silicone Type Aとn−ヘプタン(ニュージャージー州、Phillipsburg、J.T.Baker)の少量の混合物が、チューブ223の端部と基本構成のカテーテルシャフト101の外表面の間に適用された。シリコーンチューブ223の各々の端部において、チューブ223の端部と、カテーテルシャフト101の長さの平行方向に測定しておよそ7.5mmの距離がある基本構成のカテーテルシャフト101の外表面の間に平滑針が挿入された。コンポジットチューブ223の端部下で結合するように、混合物が、7.5mm長の領域において充分に内部コーティングされたことの状態を保つように、混合物が、平滑針に連結された3cc注射器を用いて、カテーテルシャフト101の全円周方向に慎重に適用された。接着剤が膨張性のバルーン部分長133に移動しないことを確保するために、接着剤の適用の前に、細い糸が、バルーン部分133に最も近い多孔性PTFEフィルムのエッジに近接したコンポジットチューブの周りに一時的に巻き付けられた。また、コンポジットチューブ223とカテーテルシャフト101の間の接触を保証するために、およそ1.0cm幅である、上述されたような多孔性フィルム長は、シリコーン混合物が適用される領域のコンポジットチューブ上に手動で巻き付けられた。このフィルムは(図示されていない)、その後に続く熱処理とキュア工程中に好ましい固定手段として、一時的に適用された。その後、シリコーン混合物は、蒸気浴内でおよそ30分間キュアをすることが可能となった。その後、カテーテルは蒸気浴から取り出され、1.0cm幅のPTFEフィルムは一時的にされた糸に沿って取り出された。
【0116】
次に、シリコーン混合物が下域に存在するコンポジットチューブ223の端部上で、コンンポジットチューブ223によって覆われていないカテーテルシャフト101の近接部に、コンポジットチューブ223の端部から測定しておよそ7.5mmの長さに向けて、およそ1.0cm幅である、上述したような多孔性PTFEフィルム長が巻き付けられた。巻き付け中、多孔性PTFEフィルムの全長が、Nusil Silicone Tchnology(カリフォルニア州、Carpinteria)によって生産された、質量換算で等量部のMED1137 Adhesive Silicone Type Aとn−ヘプタン(ニュージャージー州、Phillipsburg、J.T.Baker)の少量の混合物でコーティングされた。およそ3つの重なり合う層(図12において層125として図式化されている)がカテーテルシャフトの直径を有意には増大させることなく各々の領域を覆うように、多孔性PTFEフィルムが適用されることを確保することに細心の注意が払われた。デュアルルーメンチューブ103の遠位端の縮小した直径領域と層125に用いられる多孔性PTFEフィルムのたいへん薄い特性のため、フィルム層125の位置のカテーテルアセンブリ100の直径は、フィルム層125に近位のカテーテルシャフト101の直径にたいへん近くなった。最後に、多孔性PTFEフィルムをコーティングするために用いられたシリコーン混合物は、最低8時間蒸気浴内でキュアをすることが可能となった。
【0117】
この時点で、上記で述べた同じ方法を用いて、バルーン部分133の直径は膨張前状態で測定された。最小直径は2.21mmと確認され、最大直径は2.47mmと確認された。1分間以内で内部水圧8気圧まで膨張した時(図12Bの縦断面によって図示されているように)、バルーンは、中心点で、6.51mmの最小直径と6.65mmの最大直径を有した。バルーン部分がカテーテルシャフトの縦軸に対して実質的に直線状であったこと、及びバルーン部分がカテーテルシャフトに取り付けられた地点からバルーンが充分な直径であるバルーン部分の地点までの距離は比較的短かったことがバルーン部分8気圧の加圧中に確認された。8気圧の加圧中に導入された水の量を完全に載り除くことによって収縮した時、長さの中点で、バルーンは2.28mmの最小直径で、そして2.58mmの最大直径を有した。このシリコーン−PTFEコンポジットバルーンは、携帯の膨張デバイスを用いて試験をした時に、15気圧のバースト圧を有し(ゼロ圧から始めて約30秒で達した)、破損前に約7.06mmの最大直径に達した。
【0118】
これは、シリコーン−PTFEコンポジットバルーン部分を使って上述したように構成されたバルーンが、破壊的なバーストテストによって実証されたように、直径の増大に対して予測可能な限界を示すことを例証し、そして、破損前に多孔性PTFEフィルムチューブ要素が8mm径を越えなかったことを例証する。前に定義された圧縮比は2.47が2.58によって割られて、0.96であり、そして、前に定義された圧縮効率比は、2.28が2.58によって割られて、0.88であった。水が漏れることなく前述した圧力まで膨張するバルーンの能力は、多孔性PTFEの空隙が弾性材料によって、実質的に封印されることを事実上実証した。
【0119】
この実施例によって述べられるバルーンカテーテルを作り出すために使われた方法を記載したフローチャートは、図12Cとして表され、この方法のバリエーションは、同一又は類似のバルーンカテーテルを作り出すために用いられてもよいことは明らかだろう。
【0120】
本発明の特定の実施態様は、ここにおいて例示され記載されたが、本発明はそのような例示及び記載に制限されるべくではない。次の特許請求の範囲内で、本発明の一部として組み込まれ、そして用いられてもよいことは明白であろう。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図8A】
【図9】
【図9A】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【公表番号】特表2010−500107(P2010−500107A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523776(P2009−523776)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【国際出願番号】PCT/US2007/017175
【国際公開番号】WO2008/019022
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【国際出願番号】PCT/US2007/017175
【国際公開番号】WO2008/019022
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】
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