説明

バルーンカテーテル

【課題】操作性を向上して手技時間を短縮することができるバルーンカテーテルを提供する。
【解決手段】バルーンカテーテル40は、可撓性を有して内部にルーメンが形成されたカテーテルシャフト3と、カテーテルシャフトの先端側に配されてルーメンと連通されたバルーン5と、カテーテルシャフトの基端側と接続される接続口、及びバルーンを膨張させるための流体を供給する流体供給源と接続される取付口が配された弁部41とを備え、弁部が、接続口と取付口とを連通させる管路が配された弁部本体と、管路に配され、弾性変形して管路を遮断する栓部と、栓部を押圧して変形させる押圧操作部とを備え、雄ねじ部又は雌ねじ部の一方が弁部本体に、他方が押圧操作部に配されて、弁部本体と押圧操作部とが螺合可能とされ、押圧操作部を弁部本体に対して螺合する際に弁部本体の供回りを規制する規制部がカテーテルシャフトに配されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体腔内に導入して使用されるバルーンカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
総胆管内の結石を内視鏡的に十二指腸内に取り出す方法として、X線造影によって視認しながら胆管にバルーンを配置した後、結石摘出ができる程度にバルーンを高圧で膨張して胆管開口部を拡大して取り出す方法が現在広く普及している。この方法には、例えば、特許文献1に示すようなバルーンカテーテルが使用される。
【0003】
バルーンカテーテルには、開閉弁を介してバルーンを膨張させる流体が挿入されたシリンジが取り付けられるようになっている。そのため、このバルーンカテーテルによれば、バルーンを膨張する際には、開閉弁を開としてシリンジから流体を供給して膨張させることができ、バルーンを膨張させた後は開閉弁を閉じることによってバルーンからの流体の逆流を防止して膨張形状を維持させることができる。また、バルーンを収縮させる際には、開閉弁を開とすることによって、バルーンから流体をシリンジに排出して収縮させることができる。
【0004】
しかしながら、上記従来のバルーンカテーテルでは、術者が内視鏡の操作とバルーンの膨縮操作とを行う際、シリンジの操作までは一人で行うことができても、バルーンの膨張を維持するために、シリンジを押さえておきながら開閉弁を操作する作業までは一人で行うことができず、介助者との連携操作が必要となる。そのため、術者の思惑通りにバルーンの膨縮操作を行うことができない。従って、手技時間が増大し、X線の被爆量も増大してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−143311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、バルーンの膨張又は収縮を術者が一人で行うことができ、操作性を向上して手技時間を短縮することができるバルーンカテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明に係るバルーンカテーテルは、可撓性を有して内部にルーメンが形成されたカテーテルシャフトと、前記カテーテルシャフトの先端側に配されて前記ルーメンと連通されたバルーンと、前記カテーテルシャフトの基端側と接続される接続口、及び前記バルーンを膨張させるための流体を供給する流体供給源と接続される取付口が配された弁部とを備え、前記弁部が、前記接続口と前記取付口とを連通させる管路が配された弁部本体と、前記管路に配され、弾性変形して前記管路を遮断する栓部と、前記栓部を押圧して変形させる押圧操作部とを備え、雄ねじ部又は雌ねじ部の一方が前記弁部本体に、他方が前記押圧操作部に配されて、前記弁部本体と前記押圧操作部とが螺合可能とされ、前記押圧操作部を前記弁部本体に対して螺合する際に前記弁部本体の供回りを規制する規制部が前記カテーテルシャフトに配されている。
【0008】
このバルーンカテーテルは、弁部の取付口に流体供給源を接続し、接続口にカテーテルシャフトを接続して流体供給源から流体を供給することによって、カテーテルシャフトのルーメンに流体を供給してバルーンを膨張させることができる。
このとき、押圧操作部を操作して栓部を押圧することによって、栓部が弾性変形して接続口と取付口との間が遮断される。従って、バルーン内に流入した流体の逆流を抑えてバルーンの膨張を維持することができる。バルーンを収縮させるときには、押圧操作部を操作して栓部の弾性変形を解除して接続口と取付口とを連通させることによって、流体をバルーンから排出させることができる。
また、弁部本体と押圧操作部とを螺合する際、螺合状態を調整することによって栓部の変形状態を調整することができる。この際、カテーテルシャフトに規制部が配されているので、押圧操作部を回転してもカテーテルシャフトに接続された弁部本体を回転規制することができ、弁部本体に対して押圧操作部を確実に回転することができる。
【0009】
本発明に係るバルーンカテーテルは、前記カテーテルシャフトは、基端側に配された分岐部と、前記分岐部から互いに離間して基端側に延びる第一シャフトおよび第二シャフトと、を有し、前記第二シャフトに配されたコネクタ部と、前記第一シャフトに配され前記コネクタ部を着脱可能に支持する支持部とを備え、前記規制部は、前記コネクタ部の外周面から凹んだ凹部と、前記支持部における前記コネクタ部の外周面に係合する曲面に配され、前記凹部と係合する凸部と、を有することが好ましい。
【0010】
本発明に係るバルーンカテーテルは、前記取付口が前記押圧操作部に配されていることが好ましい。
このバルーンカテーテルは、流体供給源を弁部の取付口に取り付けて流体供給源と押圧操作部とを接続することによって、流体供給源を螺合方向に回転して押圧操作部を回転操作することができる。従って、押圧操作部の回転操作を容易にして操作性を向上することができる。
【0011】
本発明に係るバルーンカテーテルは、前記弁部を有する操作部を備え、内視鏡が有する内視鏡操作部若しくはその近傍に前記操作部を着脱可能に装着させる固定部が、前記操作部に設けられていることが好ましい。
このバルーンカテーテルは、内視鏡を操作する術者が、流体供給源からの流体供給操作を行う場合、バルーンの膨張及びその維持操作のみならず、バルーンの収縮操作を安定した状態で行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、介助者の助けを借りずに術者が一人でバルーンの膨張及びその維持、又は収縮を行うことができ、バルーンの操作性を向上して手技時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るバルーンカテーテルの全体概要を示す図である。
【図2A】本発明の第1の実施形態に係るバルーンカテーテルの弁部のバルーンを膨張する際又は膨張を維持する際の状態を示す平面図である。
【図2B】本発明の第1の実施形態に係るバルーンカテーテルの弁部のバルーンを収縮する際の状態を示す平面図である。
【図3A】本発明の第1の実施形態に係るバルーンカテーテルの弁部に配された逆止弁が空気の流れを止めている状態を示す左正面図である。
【図3B】本発明の第1の実施形態に係るバルーンカテーテルの弁部に配された逆止弁が空気の流れを止めている状態を示す側面の断面図である。
【図3C】本発明の第1の実施形態に係るバルーンカテーテルの弁部に配された逆止弁が空気の流れを止めている状態を示す右正面図である。
【図3D】本発明の第1の実施形態に係るバルーンカテーテルの弁部に配された逆止弁が空気を流通している状態を示す側面の断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るバルーンカテーテルの全体概要を示す図である。
【図5A】本発明の第2の実施形態に係るバルーンカテーテルの弁部のバルーンを膨張する際又は膨張を維持する際の状態を示す側面の断面図である。
【図5B】本発明の第2の実施形態に係るバルーンカテーテルの弁部のバルーンを収縮する際の状態を示す側面の断面図である。
【図6】図4のB−B断面図である。
【図7A】逆止弁の他の実施形態において逆止弁が空気の流れを止めている状態を示す側面の断面図である。
【図7B】逆止弁の他の実施形態において逆止弁が空気を流通している状態を示す側面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る第1の実施形態について、図1から図3Dを参照して説明する。
本実施形態に係るバルーンカテーテル1は、図1に示すように、不図示のガイドワイヤに沿って不図示の内視鏡のチャンネル内で進退可能とされている。このバルーンカテーテル1は、細長で柔軟性を有するカテーテルシャフト3と、カテーテルシャフト3の先端側に配されたバルーン5と、カテーテルシャフト3の基端側と接続される弁部6とを備えている。
【0015】
カテーテルシャフト3は、可撓性を有して内部にガイドワイヤが挿通されるガイドワイヤ用ルーメン7と、バルーン5と連通され、バルーン5を膨縮させるための空気(流体)が挿通されるバルーン用ルーメン(ルーメン)8と、造影剤が挿通される不図示の造影剤用ルーメンとが形成されている。
カテーテルシャフト3は、さらに、基端側に配された分岐部10にて、ガイドワイヤ用ルーメン7が配される第一シャフト11と、バルーン用ルーメン8及び造影剤用ルーメンが配される第二シャフト12に二股に分岐されている。
【0016】
第一シャフト11の基端には、ガイドワイヤを挿通するためのワイヤ用口金13が配されている。
第二シャフト12の基端側は、さらに二股に分岐され、弁部6と接続される弁部用口金15と、造影剤を流入するための造影剤用口金16とが配されている。
【0017】
ワイヤ用口金13には、第一シャフト11に対して第二シャフト12を所定の角度及び間隔を有して位置決めするために第二シャフト12に配されたコネクタ部17を着脱可能に支持する支持部18が配されている。
支持部18には、内視鏡等に対してワイヤ用口金13を位置決めするために、内視鏡の図示しない操作部若しくはその近傍に係合可能な略C字状に形成された固定部19が配されている。
なお、バルーンカテーテル1は、分岐部10からその手元側の弁部6及び造影剤用口金16までの部材にて構成される全体操作部(操作部)20を備えている。
【0018】
弁部6は、図2A及び図2Bに示すように、第二シャフト12の弁部用口金15と接続される接続口21、バルーン5を膨張させるための空気を供給する不図示のシリンジ(流体供給源)と接続される取付口23、及び外気への開放口25が配された弁部本体26と、後述する第一管路30と第二管路31との何れか一方を選択して、接続口21と開放口25と又は取付口23と開放口25との何れか一方を連通させる栓部(流体開放部)27と、栓部27と取付口23との間の第一管路30に配され、取付口23側から接続口21側に向かう流体は挿通し、かつ、接続口21側又は開放口25側から取付口23側に向かう流体を遮断する逆止弁(流体規制部)28とを備えている。
【0019】
弁部本体26には、接続口21と取付口23とを連通させる第一管路30と、第一管路30から分岐して接続口21と開放口25とを連通させる第二管路31が配されている。栓部27には、本管部32aと、本管部32aの途中に接続されて連通してT字管を構成する支管部32bとからなるT字管路32が配されている。栓部27の表面には、第一管路30及び第二管路31と、本管部32aの両端位置及び支管部32bの端部位置との位置合わせのための指標部27Aが配されている。
【0020】
このT字管路32は、栓部27を図2Aに示す位置に配した際には、第一管路30と本管部32aとが連通して接続口21と取付口23とを連通状態とする一方、支管部32bの端部が第二管路31と反対方向を向くことにより、接続口21と開放口25とを遮断する。また、栓部27を図2Bに示す位置に配した際には、支管部32bの端部が第一管路30の接続口21側を向き、本管部32aの一端が第二管路31の開放口25側を向いて、接続口21と開放口25とを連通状態とする一方、本管部32aの他端が遮断されて、接続口21と取付口23とを遮断する。
【0021】
逆止弁28は、図3A、図3B、及び図3Cに示すように、第一管路30の径方向内方に突出して配されて中央部にオリフィス孔33Aが形成されたオリフィス部33と、シリコン等の柔軟材で構成され、オリフィス孔33Aよりも大径とされて周縁部がオリフィス部33と接触する蓋部35と、所定の位置から蓋部35の中心部を取付口23側に所定の圧力で押圧する押さえ部36とを備えている。
【0022】
この逆止弁28は、図3Bに示すように、接続口21側から取付口23側に空気が流れる際には、蓋部35が空気によってオリフィス部33に押圧されてオリフィス孔33Aが塞がれる。一方、取付口23側から接続口21側に空気が流れる際には、図3Dに示すように、蓋部35がオリフィス部33から離間する方向に移動する。しかし、押さえ部36によって蓋部35の移動が規制されるため、蓋部35が湾曲する。このとき、蓋部35の周縁部とオリフィス部33との間に隙間37が形成される。従って、空気が図中の矢印Aのように隙間37を介して流通する。
【0023】
次に、本実施形態に係るバルーンカテーテル1の操作方法、及び作用・効果について説明する。
まず、不図示の内視鏡を体腔内に挿入し、不図示のガイドワイヤを周知の方法及び操作により、内視鏡を介して胆管内の所定の位置まで挿入し、所定の処置具による所定の処置を終了する。
【0024】
続いて、弁部6の接続口21と第二シャフト12に配された弁部用口金15とが接続され、弁部6の取付口23にシリンジ52が接続されたバルーンカテーテル1を用意する。
そして、バルーンカテーテル1のガイドワイヤ用ルーメン7にガイドワイヤを挿入させながら内視鏡を介してカテーテルシャフト3の先端側を胆管内に挿入し、バルーンカテーテル1の固定部19を所定の位置に固定する。
また、造影剤用口金16から不図示の造影剤用ルーメンに造影剤を流入してX線造影しながら処置を続行する。
【0025】
バルーン5を膨張する場合、術者は、一方の手で常に内視鏡を把持しながら、もう片方の手で弁部6の栓部27を回転操作して、図2Aに示すように、接続口21と取付口23とを連通させるようにT字管路32の方向を調整する。これによって、シリンジ52とバルーン用ルーメン8とが連通する。
この状態で、もう片方の手によりシリンジ52を操作して所定量の空気を弁部6に流入する。このとき、空気圧によって、逆止弁28の蓋部35がオリフィス部33から離間する方向に移動しようとする。しかし、中心部分が押さえ部36に当接するために周縁部側が湾曲して、蓋部35の周縁部とオリフィス部33との間に隙間37が形成される。空気はこの隙間37を介して第一管路30内を流通する。こうして、バルーン5に空気が流入して膨張する。
【0026】
所定量の空気を流入すると、シリンジ52からの空気圧が低下する代わりにバルーン5側の圧力が上昇する。この空気圧によって、蓋部35がオリフィス部33に押圧されてオリフィス孔33Aが塞がれる。そのため、空気がシリンジ52側に逆流しようとするのが阻止され、バルーン5内の圧力が維持されて膨張状態が維持される。
この状態で結石等を胆管内から掻きだして外に排出する。
【0027】
バルーン5を収縮する際、術者は、上述のように一方の手で常に内視鏡を把持しながら、もう片方の手で弁部6の栓部27を回転操作して、図2Bに示すように、接続口21と開放口25とを連通させるようにT字管路32の方向を調整する。これによって、バルーン5やバルーン用ルーメン8内の空気が、開放口25から外気中に排出される。これにともない、バルーン5が収縮する。
【0028】
こうして、バルーンカテーテル1を、又は内視鏡ごと体腔内から抜去してバルーン5による処置を終える。
このバルーンカテーテル1によれば、弁部6に逆止弁28が配されているので、バルーン5の膨張を維持する際に、シリンジ52やバルーンカテーテル1の操作を特に行わなくても、供給した空気がシリンジ52側に逆流するのを好適に抑えることができ、バルーン5の膨張状態を維持することができる。
【0029】
また、逆止弁28が第一管路30内の取付口23と栓部27との間に配されているので、バルーン5を収縮させるときには、栓部27を切り替えて接続口21と開放口25とを連通させる操作のみによって、空気を第二管路31を介して開放口25から外部へ排出することができる。
【0030】
従って、バルーンの膨張及びその維持、又は収縮操作を片手で行うことができ、介助者の助けを借りなくても術者が一人で作業することができる。
そのため、術者のストレスを緩和し、かつ、手技時間を短縮してX線被爆量を削減するとともに、人件費等のコストダウンを実現することができる。
【0031】
次に、第2の実施形態について図4から図6を参照しながら説明する。
なお、上述した第1の実施形態と同様の構成要素には同一符号を付すとともに説明を省略する。
第2の実施形態と第1の実施形態との異なる点は、本実施形態に係るバルーンカテーテル40の弁部41が、内部に接続口42と取付口43とを連通させる管路45が配された弁部本体46と、管路45に配され、弾性変形して管路45を遮断する栓部47と、栓部47を押圧して変形させる押圧操作部48とを備えているとした点である。
なお、バルーンカテーテル40は、分岐部10からその手元側の弁部41及び造影剤用口金16までの部材にて構成される全体操作部49を備えている。
【0032】
図4、図5A、及び図5Bに示すように、接続口42は、弁部本体46の先端に開口して配されている。弁部本体46の基端側には、内側面に雌ねじ部50Aが形成された大径凹部50と、大径凹部50の底部からさらに凹んで形成された小径凹部51とが配されている。
栓部47は、管路45よりも小径に形成されてこれと連通された貫通孔47Aが配されたゴム部材からなり、小径凹部51と嵌合されて配されている。
押圧操作部48には、弁部本体46の管路45と連通される別の貫通孔48Aが配され、この貫通孔48Aの端部に取付口43が配されている。押圧操作部48の先端側側面には、大径凹部50の雌ねじ部50Aと螺合される雄ねじ部48Bが配されている。
【0033】
取付口43の内面には別の雌ねじ部43Aが形成されており、シリンジ52の先端に形成された別の雄ねじ部52Aと螺合可能とされている。なお、シリンジ52と押圧操作部48との螺合方向は、押圧操作部48と弁部本体46との螺合方向と同一方向となっている。
シリンジ52には、押圧操作部48との螺合を容易に行うためにシリンジ52の側面から径方向外方に突出するフラップ53が配されている。
【0034】
第一シャフト11に配された支持部55及び第二シャフト12に配されたコネクタ部56には、押圧操作部48を弁部本体46に螺合する際に弁部本体46の供回りを規制する規制部57が配されている。この規制部57は、図6に示すように、支持部55に配された凸部57Aと、コネクタ部56に配されて凸部57Aと係合される凹部57Bとを備えている。
【0035】
次に、本実施形態に係るバルーンカテーテル40の操作方法、及び作用・効果について説明する。
まず、第1の実施形態と同様に、所定の処置具による所定の処置を終了する。
シリンジ52が螺合された押圧操作部48を弁部本体46に配された栓部47に接触するまで弁部本体46に螺合し、弁部41の接続口42と第二シャフト12に配された弁部用口金15とが接続されたバルーンカテーテル40を用意する。
【0036】
そして、バルーンカテーテル40のガイドワイヤ用ルーメン7にガイドワイヤを挿入させながら内視鏡を介してカテーテルシャフト3の先端側を胆管内に挿入し、バルーンカテーテル40の固定部19を所定の位置に固定する。
また、造影剤用口金16から不図示の造影剤用ルーメンに造影剤を流入してX線造影しながら処置を続行する。
【0037】
バルーン5を膨張する場合、シリンジ52を操作して所定量の空気を弁部41に流入する。このとき、栓部47は弾性変形していないので、接続口42と取付口43とが連通されている。従って、シリンジ52からの空気は管路45内を流通する。こうして、バルーン用ルーメン8を介してバルーン5に空気が流入して膨張する。
【0038】
シリンジ52からの空気供給を終えた後、すぐにシリンジ52のフラップ53を把持し、図5Aに示す状態からシリンジ52を押圧操作部48に螺合する方向に回転する。このとき、図5Bに示すように、栓部47が押圧操作部48に押圧されて小径凹部51内で弾性変形し、栓部47の貫通孔47Aが潰される。そのため、接続口42と取付口43との間が遮断されてバルーン5内の圧力が維持され、膨張状態が維持される。
この状態で結石等を胆管外に掻きだして胆管内から排出する。
【0039】
バルーン5を収縮する際は、シリンジ52のフラップ53又は押圧操作部48を直接把持して、シリンジ52を取り外す方向に回転操作する。これによって、栓部47への押圧力が低下して栓部47の弾性変形が元の状態に戻り、栓部47の貫通孔47Aの大きさが再び元の状態に戻る。これによって、バルーン5やバルーン用ルーメン8内の空気が、管路45からシリンジ52内に逆流し、バルーン5が収縮する。
【0040】
こうして、バルーンカテーテル40を、又は内視鏡ごと体腔内から抜去してバルーン5による処置を終える。
このバルーンカテーテル40によれば、シリンジ52による空気流入後にフラップ53を把持して回転操作することによってバルーン5の膨張状態を維持することができる。従って、第1の実施形態と同様に、片手でバルーンの膨張及びその維持、又は収縮を行うことが可能となるので、術者と介助者との連携作業を不要にして術者の思惑通りに手技を行うことができる。
【0041】
特に、弁部本体46と押圧操作部48とを螺合する際、螺合状態を調整することによって栓部47の変形状態を微調整することができる。これにより、バルーン5の収縮時における流体の流量を微量にすることができ、バルーン5をゆっくり収縮させることができる。また、バルーン5の外径の微調整が可能となるので、バルーン5を膨張させた状態で胆石を十二指腸に排出する際、胆管の径が下流側に向かうにつれて細くなるのに合わせて、バルーン5の外径を小さくすることができる。さらに、コネクタ部と支持部55とに規制部57が配されているので、シリンジ52や押圧操作部48を回転操作しても、第二シャフト12に接続された弁部本体46を回転規制することができ、弁部本体46に対して押圧操作部48を確実に回転することができる。
【0042】
また、フラップ53を把持して弁部41の取付口43に接続したシリンジ52を回転操作することによって、押圧操作部48を一緒に回転操作することができ、栓部47を弾性変形させることができる。この際、押圧操作部48の外径よりもフラップ53が径方向外方に配されているので、必要な回転力を軽減することができ、押圧操作部48の回転操作を容易にして操作性を向上させることができる。
【0043】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記第1の実施形態では、逆止弁28の押さえ部36が蓋部35の周縁部をオリフィス部33に押圧するものとしているが、図7Aに示すように、蓋部60の中央部に切り欠き部61が配され、押さえ部62が蓋部35の周縁部をオリフィス部33に押圧する逆止弁63としても構わない。
【0044】
この切り欠き部61の形状を接続口側から取付口側に幅広に形成することによって、図7Bに示すように、シリンジから空気を流入する場合には、切り欠き部61が開いて空気の挿通孔61Aが形成される。従って、この挿通孔61Aを介して図中矢印Aに示す方向に空気を流通させて、バルーンに空気を供給することができる。また、接続口側の空気圧が高い場合には、切り欠き部61が塞がれて空気の逆流が抑えられ、バルーンの膨張を維持することができる。
【0045】
(産業上の利用可能性)
生体の体腔内に導入して使用されるデバイスや、デバイスを含むシステムに使用できる。
【符号の説明】
【0046】
1、40 バルーンカテーテル
3 カテーテルシャフト
5 バルーン
6、41 弁部
8 バルーン用ルーメン(ルーメン)
18 支持部
20、49 全体操作部(操作部)
21、42 接続口
23、43 取付口
25 開放口
27、47 栓部(流体開放部)
28 逆止弁(流体規制部)
30 第一管路
31 第二管路
45 管路
48 押圧操作部
48B 雄ねじ部
50A 雌ねじ部
52 シリンジ(流体供給源)
57 規制部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有して内部にルーメンが形成されたカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの先端側に配されて前記ルーメンと連通されたバルーンと、
前記カテーテルシャフトの基端側と接続される接続口、及び前記バルーンを膨張させるための流体を供給する流体供給源と接続される取付口が配された弁部とを備え、
前記弁部が、前記接続口と前記取付口とを連通させる管路が配された弁部本体と、前記管路に配され、弾性変形して前記管路を遮断する栓部と、前記栓部を押圧して変形させる押圧操作部とを備え、
雄ねじ部又は雌ねじ部の一方が前記弁部本体に、他方が前記押圧操作部に配されて、前記弁部本体と前記押圧操作部とが螺合可能とされ、
前記押圧操作部を前記弁部本体に対して螺合する際に前記弁部本体の供回りを規制する規制部が前記カテーテルシャフトに配されているバルーンカテーテル。
【請求項2】
請求項1に記載のバルーンカテーテルであって、
前記カテーテルシャフトは、
基端側に配された分岐部と、
前記分岐部から互いに離間して基端側に延びる第一シャフトおよび第二シャフトと、
を有し、
前記第二シャフトに配されたコネクタ部と、
前記第一シャフトに配され前記コネクタ部を着脱可能に支持する支持部とを備え、
前記規制部は、
前記コネクタ部の外周面から凹んだ凹部と、
前記支持部における前記コネクタ部の外周面に係合する曲面に配され、前記凹部と係合する凸部と、
を有する。
【請求項3】
請求項1に記載のバルーンカテーテルであって、
前記取付口が前記押圧操作部に配されている。
【請求項4】
請求項1に記載のバルーンカテーテルであって、
前記弁部を有する操作部を備え、
内視鏡が有する内視鏡操作部若しくはその近傍に前記操作部を着脱可能に装着させる固定部が、前記操作部に設けられている。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図3D】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate


【公開番号】特開2012−11239(P2012−11239A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228079(P2011−228079)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【分割の表示】特願2007−519082(P2007−519082)の分割
【原出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】