説明

バルーン・カテーテル・システム、それを組み立てる方法及び挿入方法

【課題】内視鏡による経皮挿入方法または低侵襲手順を使用して患者内へ挿入するためのカテーテルを提供すること。
【解決手段】バルーン・カテーテル・システムは、チューブと、チューブが患者内の体腔内へ挿入された後にチューブから着脱可能な拡張器とを含む。体腔をガスまたは液体で充填して、体腔を取り囲む内臓を膨張させることができ、例えばトロッカを使用して、ガイド・ワイヤを挿入することができる。チューブは、拡張可能なバルーンへの1つまたは複数の内腔を含み、バルーンは内腔を通って1つまたは複数のバルーン内へ挿入される流体によって膨張可能であり、両端でチューブの外径に封止された弾性膜によって形成される。拡張器は、ステンレス鋼のシャフトおよび体腔内へ挿入されているチューブの端部を覆って延びる拡張器の外装部分などによって、挿入中に定位置で保持される。外装の一部分はバルーンを覆って延びバルーンを保護することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術分野は、内視鏡による経皮挿入方法または低侵襲手順を使用して患者内へ挿入するためのバルーン・カテーテル・システム、それを組み立てる方法及び挿入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、2008年2月26日出願の米国特許出願第61/031,442号、および2008年11月12日出願の米国特許出願第61/113,697号、および2009年2月26日出願の米国特許出願第12/393,717号の利益および優先権を主張する。本出願人は、これらの出願の明細書全体を参照により本明細書に組み込み、またその全体が参照により本明細書に組み込まれる(「Nath出願」)。現状の技術では、着脱可能な拡張器を利用する経皮的な低侵襲手順において使用するためのカテーテルを開示していない。また、既存のデバイスは、経胃栄養、胃減圧、経空腸栄養、膀胱瘻造設、腎瘻造設、減量、および結腸瘻造設など、さまざまな手順に効果的に使用することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
内視鏡による経皮挿入方法または低侵襲手順を使用して患者内へ挿入するためのバルーン・カテーテル・システム、それを組み立てる方法及び挿入方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の例は、以下に限定するものではないが、経胃栄養、胃減圧、経空腸栄養、膀胱瘻造設、膀胱減圧、結腸鏡検査、腎瘻造設、および減量という手順の1つまたは複数を含む多種多様な手順で使用するためのバルーン・カテーテルを含む。一例では、経胃栄養、胃減圧、膀胱瘻造設、膀胱減圧、腎瘻造設、および結腸瘻造設のすべてに、単一バルーン・デバイスを使用することができる。別の例では、これらの1つまたは複数に、また減量に、2重バルーン・デバイスを使用することができる。さらなる例では、経胃栄養、胃減圧、経空腸栄養、および減量の1つまたは複数に、複数のバルーンを含むデバイスを使用することができる。
【0005】
たとえば、カテーテルは、水または生理食塩水などの流体を使用して膨張するバルーンを有し、このバルーンは、たとえば胃、膀胱、または結腸などの体腔または内腔内でカテーテルを保持するように機能させることが可能である。膨張したとき、バルーンは内腔の壁に押し付けられて内腔を封止する。カテーテルは、内視鏡などの低侵襲技法を使用する観察下で挿入することができる。この手順は、Nath出願に開示のプロセスから修正されている。代わりに、カテーテルの端部上に着脱可能な拡張器が構成され、着脱可能な拡張器から導入針、シャフト、またはロッドが貫通する。拡張器は、係蹄を使用して取り外し、また回収することができる。係蹄を使用すると、内視鏡経路を通して、または他の低侵襲方法によって、拡張器を取り出すことができる。別法として、着脱可能な拡張器は、生体吸収することが可能な材料、またはカテーテルから取り外され、悪影響なしで通過することが可能な材料から作ることができる。たとえば、特定の澱粉ベースの材料およびゲルは、生体吸収が可能で、さらに/または悪影響なしで通過することが可能である。また、一切限定しないが、シリコーン・ゴムの拡張器は、悪影響なしで消化管を通過することが可能なはずであると考えられる。拡張器の先端部向けの他の材料は、PEEKまたは高密度ポリエチレンなどのポリエチレンとすることができる。PEEKとは、ポリエーテル・エーテル・ケトンであり、無色とすることができ、公知の生体適合性工学の熱可塑性材料である。
【0006】
このデバイスおよび手順は、いずれの公知の方法に比べても比較的大型のカテーテルを患者内の体腔または内腔内へ挿入するという利点を提供する。カテーテルは、任意のタイプのチューブとすることができ、患者は、ヒトであっても、動物などのヒト以外の患者であってもよい。着脱可能な拡張器を使用すると、カテーテルの挿入は大いに簡略化される。トロッカまたは当技術分野では周知の他のデバイスを使用して、カテーテル法を望む位置に、ガイド・ワイヤ、好ましくは柔らかい先端部のガイド・ワイヤが挿入される。患者内へ挿入される端部とは反対側のガイド・ワイヤの端部は、カテーテルおよび拡張器の少なくとも一部分を貫通する環状シャフト内へ挿入される。環状シャフト、拡張器、およびカテーテル・チューブは、事前に組み立てることができる。この組立物は、カテーテルを潤滑するか否かにかかわらず、ガイド・ワイヤに沿って患者内へ導入することができる。
【0007】
たとえば、環状シャフトは導入針とすることができ、金属などの任意の堅い生体適合性の材料から作ることができる。一例では、この金属はステンレス鋼である。導入針は、挿入中だけ使用され、カテーテルが患者内に正しく位置決めされた後、取り出すことができる。
【0008】
拡張器は、ガイド・ワイヤに従って患者内へ入り、ガイド・ワイヤまたは環状シャフトとほぼ同じ直径からカテーテルの外径とほぼ同じ直径またはそれより大きい直径に移行することによって、入口を広げる。たとえば、拡張器の突端の形状は、円錐形、切頭円錐形、または放物形とすることができる。たとえば、拡張器突端の略円錐形の外周面を使用することができる。別法として、拡張器突端の外周面は、略放物形の形状を有することができる。着脱可能な拡張器を使用する1つの利点は、拡張器が、バルーン・カテーテルの挿入中にバルーン・カテーテルのバルーンを保護する一体型の外装を有することができるということである。着脱可能な拡張器の別の利点は、拡張器がカテーテル自体を通って引き抜かれないということである。したがって、拡張器は、患者内へ挿入されている管状デバイスの内径より大きい外径を有することができる。しかし、外部の拡張器とは異なり、拡張器を通ってカテーテルを挿入する必要はない。代わりに、カテーテルが患者内に正しく位置決めされた後に拡張器がカテーテルから取り除かれるため、拡張器の突端は、カテーテルの外径と同じ外径になるように寸法設定することができる。驚くべきことに、着脱可能な拡張器は、挿入手順中に挿入点の周りで体腔からの漏れを回避、または少なくとも低減しながら、挿入手順を実行する時間を低減させる。
【0009】
驚くべきことに、結腸瘻造設手順では、着脱可能な拡張器をもつバルーン・カテーテルを使用して、普通なら結腸切除に直面したはずの患者を迅速かつ効率的に減圧、洗浄、および治療することができる。結腸瘻造設では、胃瘻造設または膀胱瘻造設に類似の低侵襲外科技法を使用して、結腸内にバルーン・カテーテルを導入する。バルーン・カテーテルは、カテーテルと結腸瘻バッグを接続することによって、減圧および排液に使用することができる。さらに、カテーテルを使用して、感染症などを治療するための結腸へのアクセスが提供される。結腸瘻造設だけでなく、腎瘻造設、膀胱瘻造設、胃瘻造設、および減量にも本質的に同じ手順を使用できるということは、驚くべきことに予想外である。空腸瘻造設に必要な追加のステップは、いずれの空腸瘻造設手順に必要なものと同じである。この挿入手順では、公知の挿入手順より合併症が少なく、用意する必要のあるデバイスがより少なく、また複数の「瘻造設」手順で使用することが可能なデバイスを提供することによって習熟度が上る。
【0010】
胃瘻造設手順では、患者の胃の中へ2重バルーン・カテーテルを挿入することができ、減量に使用することができる。2つのバルーンを膨張させることによって、空腹感が緩和され、患者が体重を減らし、胃の寸法を徐々に減少させながら、栄養および水分補給が阻止されないようにするのに役立つ。一例では、医師によって処方された経胃栄養によって、補助的な栄養および/または水分補給を提供することができる。ダンベル形の2重バルーンは、栄養および水分補給が胃を通過するチャンネルを提供しながら、胃の中の空間を占め、胃の中が空になった感覚からの不快を緩和する。
【0011】
一例では、患者内へ挿入するためのバルーン・カテーテル・システムは、バルーン・カテーテル、環状シャフト、および着脱可能な拡張器を備える。バルーン・カテーテルは、チューブから構成することができ、チューブは、第1の端部と、第1の端部の反対側の第2の端部と、チューブの第1の端部にある入口とチューブの第2の端部にある出口を流体的に結合させる中心穿孔と、チューブの第1の端部に隣接して配置されたコネクタとチューブの第2の端部に隣接して配置されたバルーンを流体的に結合させる内腔とを有し、バルーンは、両端でチューブの外周面に封止された管状膜によって形成される。内腔は内腔出口を有し、したがってコネクタ内へ注入されて内腔を通る流体は、出口にあるチューブの外周面を通って出て、軟性のある弾性材料から作られたバルーンとチューブの外周面の間の膨張可能な体腔内へ入る。膨張可能な体腔内へ流体を注入して内腔を通すことによって、バルーンを膨張させることが可能である。
【0012】
着脱可能な拡張器は、組み立てたときにチューブの出口に結合することができ、したがってチューブの挿入中に定位置で保持される。チューブが挿入された後、拡張器はチューブから取り外される。拡張器は、外装部分および突端を含むことができ、突端は、拡張器がチューブの出口に結合されたときに突端の先端部における第1の外径から突端のうちのチューブの出口に隣接する部分における第2の外径へ移行する外周面を有する。突端の内周面は、環状シャフトを挿入できるチャンネルを提供する。拡張器の外装部分は、軟性のある弾性材料から形成することができ、拡張器がチューブから取り外されると折り畳まれるような形状で形成することができる。拡張器全体は、消化できる材料および/または生体吸収が可能な材料から作ることができる。
【0013】
環状シャフトは、突端を完全に貫通することができ、または拡張器の突端の一部分だけを貫通することができる。たとえば、環状シャフトは、突端の内周面内に形成されたくびれにおいて、拡張器の突端の一部分に当接することができ、拡張器は、環状シャフトを押して拡張器をカテーテル・チューブの端部から引き離すことなどによって、環状シャフトだけを使用してチューブから着脱できるようにすることができる。一例では、環状シャフトは制御機構に取り付けられており、制御機構が作動しているとき、カテーテル・チューブを患者内へ挿入した後、突端を部分的にしか貫通しない環状シャフトを使用して、着脱可能な拡張器を押してカテーテル・チューブから引き離すことができる。環状シャフトは、チューブの中心穿孔を貫通しており、チューブが患者内へ挿入された後、環状シャフトの抜取り部分を引っ張ることによって、チューブの中心穿孔から取り出すことが可能である。抜取り部分は、チューブの入口から延びることができ、またはチューブの入口から延びる抜取り器に取り付けることができる。環状シャフトは、たとえばステンレス鋼から作ることができる。一例では、環状シャフトは、拡張器がチューブの出口に結合されるとき、拡張器の突端から延びる尖った先端部を有する。
【0014】
バルーン・カテーテル・システムは、カテーテル・チューブ、環状シャフト、および拡張器に加えて、別個の取外し機構を備えることができる。たとえば、取外し機構は、環状シャフトの外径に適合する穿孔内径と、拡張器の突端に当接することが可能な先端とを有する管状環を備えることができる。管状環を押すことによって、取外し機構は、たとえばカテーテルのチューブから拡張器を取り外すことが可能である。取外し機構は、取外し機構の管状環の基端に制御機構を含むことができ、またロック機構を含むことができる。ロック機構は、解除されるまで、管状環をしっかりとロックし、管状環の先端が拡張器を押すのを防止する。たとえば、ロック機構は、管状環が管状環の長手方向軸の周りで回転するのを防止することができる。軸の周りで回転した場合、チャンネルに係合するようにガイドが位置合わせされ、それによって管状環を拡張器の突端に係合させ、カテーテルのチューブから拡張器を押すことがある。
【0015】
バルーン・カテーテル・システムを組み立てる方法は、チューブの中心穿孔および突端のチャンネルの少なくとも一部分を通って環状シャフトを挿入するステップと、拡張器の外装部分がチューブの出口およびバルーンの少なくとも一部分を覆って延びるように、拡張器をチューブの出口に結合させるステップとを含むことができる。拡張器の外装部分が、軟性のある弾性材料から形成され、折り畳まれてから拡張器をチューブの出口に結合させる場合、外装部分を開いて広げて、チューブの出口部分を拡張器の外装部分内へ挿入することができる。
【0016】
バルーン・カテーテル・システムを使用する方法は、事前に組み立てたバルーン・カテーテル・システムを選択するステップと、環状シャフトにガイド・ワイヤを通すステップと、バルーンが体腔内に入るまで、ガイド・ワイヤに沿って患者内の体腔内へ拡張器、チューブ、および環状シャフトを挿入するステップと、拡張器をチューブから取り外すステップとを含むことができる。環状シャフトは、拡張器が取り外される前または後に、チューブから抜き取ることができる。カテーテルのバルーンは、バルーンとチューブの外周面の間の膨張可能な体腔内へ流体を注入することによって膨張される。患者の体腔内へ引込み式ネットを挿入して、拡張器を捕獲することができる。次いで、低侵襲外科手順に使用されるトロッカまたは内視鏡などによって、患者の体腔からネットおよび拡張器を取り出すことができる。拡張器の取外しを制御するために、制御機構を使用することができ、制御ステップは、たとえば、制御機構を解除するステップと、制御機構内の戻り止めを越えて制御機構を引き抜くステップと、管状環もしくは環状シャフトまたは両方をプッシュ・ロッドとして使用して、制御機構の軸の周りで制御機構を回転させてから、拡張器を押してチューブの出口から離すステップとを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】カテーテル・チューブを挿入するために外装部分が広げられた状態の着脱可能な拡張器の外観図である。
【図1B】カテーテル・チューブを挿入するために外装部分が広げられた状態の着脱可能な拡張器の断面図である。
【図1C】外装部分が折り畳まれた広げられた状態の着脱可能な拡張器の断面図である。
【図2】針導入器およびバルーン・カテーテルと嵌合させた、着脱可能な拡張器を使用する一例を示す断面図である。
【図3】針導入器、部分断面で示すバルーン・カテーテル、および取外し器の一例と嵌合させた、着脱可能な拡張器を使用する別の例を示す断面図である。
【図4】取外し器ヘッドの一例の斜視図である。
【図5】取外し器ハンドルの一例の斜視図である。
【図6】取外し器ヘッド、取外し器ハンドル、および針導入器の部分分解図である。
【図6A】2重バルーンのカテーテルを示す図である。
【図6B】2重バルーンのカテーテルを示す図である。
【図7】典型的なバルーンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
記載の例および図示の図面は例示的なものであり、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲を限定すると見なすべきではない。
【0019】
着脱可能な拡張器を使用してバルーン・カテーテルを挿入する方法は、Nath出願で使用される手順に類似している。しかし、Nath出願で栄養チューブ内の大きなチャンネルを通って軟性の外装とともに針を引き抜く代わりに、針導入器だけが、カテーテルを通って引き抜かれる。拡張器は、カテーテルの挿入後、カテーテルから取り外される。一例では、拡張器は、生体適合性かつ/または消化できる高分子から作られる。たとえば、ポリテトラフルオロエチレンを拡張器に使用することができ、有利な摩擦性とともに並外れた生体適合性を提供する。しかし、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン・テレフタレート、他のポリエステル類、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート類、ポリアミド類、ポリアセタール類、ポリスルホン類、ならびにテトラフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレンおよびポリウレタンのブロック共重合体などの共重合体など、他の高分子材料を使用することもできる。
【0020】
一例では、拡張器は、低侵襲技法を使用して引き抜かれる。たとえば、内視鏡内とともに使用することが可能なネット状の係蹄のうちの1つなどの係蹄を使用して、拡張器を捕獲して取り出す。たとえば、Roth Net(登録商標)(Roth Net(登録商標)は、US Endoscopy社の商標である)という異物用の標準係蹄を使用することができる。
【0021】
他の例では、拡張器は引き抜かれないが、生体吸収が可能な、もしくは消化できる材料、または害を及ぼすことなく消化管を通過する材料から作られる。たとえば、拡張器は、高い引張り強度および剛性を呈するが、加水分解により乳酸に分解されるポリラクチドから作ることができる。乳酸は消化でき、または害を及ぼすことなく消化管を通過する。他の生体吸収可能な材料には、拡張器として働くのに十分な剛性を提供できるポリ(トリメチル・カーボネート)、ポリ(カーボネート)、ならびに澱粉ベースの高分子およびゲルが含まれる。
【0022】
図1Aは、非対称形の突端14と、図1Bの横断面で示す一体形成された保護外装12とを有する拡張器10を示す。図1Cでは、PEEKまたはシリコーン・ゴムなどの弾性のある軟性材料を使用して、拡張器の外装部分を形成しており、外装部分は、折り畳まれた形状に戻ることが可能である。これにより、たとえば患者に害を及ぼすことなく、拡張器に消化管を通過させることが可能になり、たとえばネットによって捕獲される場合、拡張器の長さを低減させる。図2は、針導入器20と3ファネル・バルーン・カテーテル30をもつ着脱可能な拡張器10の使用を示す。針導入器は、環状の拡張器10の内径によって決まるチャンネルを通って挿入される。一例では、針導入器20と拡張器10は、保護具24を引くことによって拡張器10およびカテーテル30から針導入器を引き抜きながら、カテーテル30を押してカテーテル30を静止したまま保つことができるように寸法設定される。このようにして、針導入器20と針導入器を通って挿入されたガイド・ワイヤはどちらも、カテーテル30から引き抜くことができる。このとき拡張器10は、カテーテル30から自由に取り外すことができる。一例では、一体形成された外装12は、厚さ1ミリメートル未満などと薄く、また剛性ではなく、拡張器10は、針導入器20が取り出されるとすぐにカテーテル30から外れる。別法として、拡張器10は、たとえばバルーン38を膨張させることによってカテーテル30から外すことができる。バルーン38は、バルーンの両端で接着剤39によってカテーテル30の端部に取り付けられる。バルーン内腔56は、ルアー・ロック58にあるシリンジによって挿入された流体が水または生理食塩水などの液体でバルーンを膨張させるように共押出成形することができる。たとえば追加の共押出成形されたバルーン内腔を有することによって、複数のバルーンを提供することができる。外装12は、複数のバルーンのそれぞれ、単一のバルーン、または単一のバルーンの一部分を保護することができる。図2は、たとえばバルーン38の先端部を保護する外装を示す。
【0023】
外部の支え40は、バルーン38が膨張してカテーテル30が定位置についた後に下方へ摺動できるフランジ42を提供する。図2および3の例では、移行領域32によって、カテーテルのチューブに3ファネル・コネクタ50が取り付けられる。カテーテルは、柔軟に取り付けられたプラグ51によって閉じることができる主栄養チャンネルと、排液バッグに接続できる2次排液ポート52とを有する。主チャンネルは、カテーテルに障害物および血のりがつかないように、滅菌水または生理食塩水で流すことができる。使用されていないときは、第2のプラグ53を使用して排液ポート52を閉じることができる。ルアー・ロック58は、バルーンの膨張内腔56を封止する。内腔56は、シリンジを使用してバルーン38を充填または排水するために使用することができる。
【0024】
図3は、たとえばヘッド60と、ハンドル70と、中空のプッシュ・ロッド61とを含む取外し機構60、70の使用を示す。プッシュ・ロッド61は、挿入前に事前に組み立てられたとき、針導入器20が貫通するチャンネルを有する。図4に示すように、ヘッド60は、一方の端部に指掛け69を有し、反対側の端部にスロットまたはチャンネル64、66を有する。スロット64、66は、ハンドル70の狭い部分74を収容するように寸法設定される。ヘッド60の中心穿孔67は、プッシュ・ロッド61の直径を収容するように寸法設定される。プッシュ・ロッド61はハンドル70に結合され、プッシュ・ロッド61の一方の端部はハンドル70の片側から延びる。プッシュ・ロッド61の反対側の端部は、図6に示すように、ハンドル70を引き下げてヘッド60内で90度回転させ、ハンドル70の狭い部分74と細長なチャンネル66を位置合わせしたとき、拡張器10に接触して拡張器10をカテーテル30から取り外すことが可能である。使用者の指は、ハンドル70の指掛け76をヘッド60の指掛け69の方へ圧縮することができる。指掛け69は、弧状の支持部68によって補強される。ヘッド60は、中心穿孔67を取り囲むファネル形状を有し、この形状は、プッシュ・ロッド61が中心穿孔67内へ挿入されたときに中心位置決め機能を提供する。ヘッド60のチューブ側からは、先細りした保持プラグ62が延びており、図3に示す3ファネル・コネクタ50の主チャンネルと嵌合することが可能である。ヘッド60内へは、わずかに先細りしたプランジャ・バレル72が延びており、圧縮中にハンドル70をヘッド60内へ導入するように機能する。ハンドル70は、図6に示すように、針導入器20を収容することが可能な中心穿孔71を含む。針導入器20の外側端部上の保護具24を片手で保持しながら、他方の手を使用してハンドルをヘッド内へ突っ込むことができ、それによって針導入器20を定位置で保ちながら、拡張器10をカテーテル30から取り外すことができる。別法として、針導入器を引き抜いてから、取外し機構60、70を使用して拡張器10を取り外すことができる。
【0025】
図6A〜6Bでは、2重バルーン(ダンベル形)のカテーテルを示す。単一のバルーンでは不十分な患者内で使用するために、カテーテル30の出口に最も近いバルーンに加えて、第2のバルーン88が追加される。これらのバルーンの一方または両方は、単一バルーン・デバイスより大きい体積を有することができる。たとえば、単一バルーン・デバイスが、20立方センチメートルの液体で充填されたバルーンを有する場合、2重バルーンのうちの一方または両方を、40立方センチメートルの液体で充填することができる。別法として、各バルーンは、同じ体積、たとえば20立方センチメートルの液体で充填することができる。一例では、2重バルーン・デバイス内のバルーンはそれぞれ、最大体積の120立方センチメートルに充填することが可能であり、カテーテルの使用は、食餌療法および運動による体重コントロールに失敗した肥満患者に適用される。各バルーンは、図6A〜6Bでは、バルーン体積の膨張および収縮のために、独自の独立したルアー・ロック58、98を有する。2つのバルーン38、88間の間隙は、食物および液体が食道から胃を通って腸まで進む経路を提供する。図2〜3の単一のバルーン・カテーテル内に示すように、栄養ポートおよび排液ポートが提供される。
【0026】
典型的なバルーン38を図7に示し、バルーンの端部上に網掛け領域によって接着層39を表す。
【0027】
これらの例の特徴の追加の例および構成は、これらの例に基づいて理解されるものとし、特許請求の範囲の範囲内に含まれるものとする。特許請求の範囲は、提供した例の詳細によって限定されるものではない。
【符号の説明】
【0028】
10 拡張器
12 保護外装
14 非対称形の突端
20 針導入器
24 保護具
30 3ファネル・バルーン・カテーテル
32 移行領域
38 バルーン
39 接着剤、接着層
40 外部の支え
42 フランジ
50 3ファネル・コネクタ
51 プラグ
52 2次排液ポート
53 プラグ
56 バルーン内腔、膨張内腔
58 ルアー・ロック
60 ヘッド、取外し機構
61 プッシュ・ロッド
62 保持プラグ
64 スロット、チャンネル
66 スロット、チャンネル
67 中心穿孔
68 弧状の支持部
69 指掛け
70 ハンドル、取外し機構
71 中心穿孔
72 プランジャ・バレル
74 ハンドルの狭い部分
76 指掛け
88 バルーン
98 ルアー・ロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者内へ挿入するためのバルーン・カテーテル・システムであって、
チューブから構成されるバルーン・カテーテルであり、前記チューブが、第1の端部と、前記第1の端部の反対側の第2の端部と、前記チューブの前記第1の端部にある入口と前記チューブの前記第2の端部にある出口を流体的に結合させる中心穿孔と、前記チューブの前記第1の端部に隣接して配置されたコネクタと前記チューブの前記第2の端部に隣接して配置されたバルーンを流体的に結合させる内腔とを有し、前記バルーンが、両端で前記チューブの外周面に封止された管状膜によって形成され、前記内腔が内腔出口を有し、したがって前記コネクタ内へ注入されて前記内腔を通る流体が、前記出口にある前記チューブの前記外周面を通って流出し、軟性のある弾性材料から作られた前記バルーンと前記チューブの前記外周面の間の膨張可能な体腔内へ入り、それにより前記膨張可能な体腔内へ流体を注入して前記内腔を通すことによって、前記バルーンを膨張させることが可能である、バルーン・カテーテルと、
前記チューブの前記出口に結合された着脱可能な拡張器であり、前記拡張器が、前記チューブの挿入中に定位置で保持され、前記チューブが挿入された後、前記拡張器が前記チューブから取り外され、前記拡張器が、外装部分および突端を有し、前記突端が、前記拡張器が前記チューブの前記出口に結合されたときに突端の先端部における第1の外径から前記突端のうちのチューブの前記出口に隣接する部分における第2の外径へ移行する外周面と、前記突端を通るチャンネルを提供する内周面とを有し、前記外装部分が、前記突端から前記チューブの前記出口および前記バルーンの少なくとも一部分を覆って延びる、着脱可能な拡張器と、
前記拡張器が前記チューブの前記出口に結合されるとき、前記チューブの前記中心穿孔および前記突端の前記チャンネルの少なくとも一部分を通って挿入される環状シャフトであり、前記チューブが前記患者内へ挿入された後、前記チューブの前記入口から延びる前記環状シャフトの抜取り部分を引っ張ることによって、前記チューブの前記中心穿孔から取り出すことが可能である環状シャフトとを備えるバルーン・カテーテル・システム。
【請求項2】
前記環状シャフトがステンレス鋼のものである、請求項1に記載のバルーン・カテーテル・システム。
【請求項3】
前記環状シャフトが、前記拡張器が前記チューブの前記出口に結合されるとき、前記拡張器の前記突端から延びる尖った先端部を有する、請求項2に記載のバルーン・カテーテル・システム。
【請求項4】
前記拡張器が、前記環状シャフトだけを使用して前記チューブから着脱可能である、請求項1に記載のバルーン・カテーテル・システム。
【請求項5】
取外し機構をさらに備え、前記取外し機構が、前記環状シャフトに嵌合する穿孔内径と、前記拡張器に接触することが可能な先端とを有する管状環を備え、それによって前記取外し機構が、前記チューブから前記拡張器を取り外すことが可能である、請求項1に記載のバルーン・カテーテル・システム。
【請求項6】
前記取外し機構が、前記取外し機構の前記管状環の基端に制御機構を含む、請求項5に記載のバルーン・カテーテル・システム。
【請求項7】
前記制御機構がロック機構を含む、請求項6に記載のバルーン・カテーテル・システム。
【請求項8】
前記制御機構が、前記管状環が前記管状環の長手方向軸の周りを回転するまで、前記先端が前記拡張器を押し、それによって前記拡張器が前記チューブから取り外されるのを防止する、請求項7に記載のバルーン・カテーテル・システム。
【請求項9】
前記拡張器の前記外装部分が、軟性のある弾性材料から形成され、前記外装部分が、前記拡張器が前記チューブから取り外されると折り畳まれる、請求項1に記載のバルーン・カテーテル・システム。
【請求項10】
前記拡張器が、消化できる材料から作られる、請求項9に記載のバルーン・カテーテル・システム。
【請求項11】
請求項1に記載のバルーン・カテーテル・システムを組み立てる方法であって、
前記チューブの前記中心穿孔および前記突端の前記チャンネルの少なくとも一部分を通って前記環状シャフトを挿入するステップと、
前記拡張器の前記外装部分が前記チューブの前記出口および前記バルーンの少なくとも一部分を覆って延びるように、前記拡張器を前記チューブの前記出口に結合させるステップとを含む方法。
【請求項12】
前記拡張器の前記外装部分が、軟性のある弾性材料から形成され、前記外装部分が折り畳まれてから前記拡張器を前記チューブの前記出口に結合させ、また結合させる前記ステップが、前記外装部分を開いて広げるステップと、前記チューブの前記出口を前記拡張器の前記外装部分内へ挿入するステップとを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1に記載のバルーン・カテーテル・システムを使用する方法であって、
事前に組み立てたバルーン・カテーテル・システムを選択するステップと、
前記環状シャフトにガイド・ワイヤを通すステップと、
前記バルーンが前記体腔内に入るまで、前記ガイド・ワイヤに沿って前記患者内の体腔内へ前記拡張器、前記チューブ、および前記環状シャフトを挿入するステップと、
前記拡張器を前記チューブから取り外すステップと、
前記環状シャフトを前記チューブから抜き取るステップと、
前記バルーンと前記チューブの前記外周面の間の前記膨張可能な体腔内へ流体を注入することによって、前記バルーンを膨張させるステップとを含む方法。
【請求項14】
前記患者の前記体腔内へ引込み式ネットを挿入するステップと、
前記引込み式ネット内で前記拡張器を捕獲するステップと、
前記引込み式ネットおよび前記引込み式ネット内の前記拡張器を取り出すステップと
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
取り外す前記ステップが、前記バルーン・カテーテル・システムの制御機構を使用し、取り外す前記ステップが、
前記制御機構を解除するステップと、
前記制御機構内の戻り止めを越えて前記制御機構を引き抜くステップと、
前記制御機構の軸の周りで前記制御機構を回転させるステップと、
前記拡張器を押して前記チューブの前記出口から離すステップとを含む、請求項13に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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