説明

バルーン保持装置およびバルーン検査装置

【課題】 高精度に検査可能なバルーン検査装置と、そのバルーン検査装置に搭載されるバルーン保持装置を提供する。
【解決手段】 チャック11は、バルーン71における両側の開口うち、一方側の開口を閉じつつ、バルーン71の一部であるバルーン未成型部77を保持する。クランプ21は、バルーン71における両側の開口うち、他方側の開口を通じて、流体をバルーン71に注入させられるように、バルーン未成型部77を保持する。クリップ31は、チャック11からクランプ21に至るまでの間のバルーン未成型部77を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルーン保持装置およびバルーン検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
経皮的血管形成術{例えば、PTA(Percutaneous Transluminal Angioplasty)またはPTCA(Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty)}は、血管内腔の狭窄部または閉塞部等を拡張治療し、冠動脈または末梢血管等の血流の回復または改善を図る。
【0003】
この経皮的血管形成術に使用されるバルーンカテーテルは、先端側に内圧調整により膨張および収縮自在のバルーンを含む。また、このようなバルーンカテーテルには、内部にガイドワイヤを挿通される内腔(ガイドワイヤールーメン)と、バルーンの内圧調整用の圧力流体を供給する内腔(インフレーションルーメン)とが、バルーンカテーテルの長手方向に沿って含まれる。
【0004】
そして、このようなバルーンカテーテルを用いた経皮的血管形成術の一般的な術例は、以下のとおりである。
【0005】
まず、ガイドカテーテルが、大腿動脈、上腕動脈、または橈骨動脈等の穿刺部位から挿通され、ガイドカテーテルの先端が、大動脈を経由して冠状動脈の入口に配置される。次に、ガイドワイヤールーメンに挿通されたガイドワイヤが、冠状動脈の狭窄部位を越えて前進させられ、このガイドワイヤに沿って、バルーンカテーテルが体内に挿入され、さらに、バルーンが狭窄部に一致させられる。
【0006】
次いで、インデフレーター等のデバイスが用いられることで、圧力流体がインフレーションルーメンを経由して、バルーンに供給される。これにより、バルーンが膨張し、狭窄部が拡張治療される。そして、狭窄部が拡張治療された後、バルーンは減圧収縮されて体外へ抜去される。このようにバルーンカテーテルが体外に抜去されることで、PTCAが終了する。
【0007】
なお、PTCAにおけるバルーンカテーテルの使用例について上述したが、バルーンカテーテルは、末梢等の他の血管内腔または体腔における拡張治療にも広く適用されている。
【0008】
以上のようなバルーンカテーテルに取り付けられるバルーンは、例えば、特許文献1に記載されているようにブロー成型によって製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平03−57462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そして、このバルーンは、血管内の狭窄部を拡張するという重要な役割から、厳しい品質管理の下、市場へ出荷される。例えば、バルーンにおける外径あるいは長さ等の寸法特性、または、バルーンにおけるキズあるいは異物混入等に基づく外観特性および耐圧特性は、厳しく検査される{なお、バルーンは、バルーンカテーテルとして、カテーテル本体(シャフト)に取り付けられる前に検査される}。
【0011】
検査としては、バルーンに対して流体を流し、膨らんだバルーンを検査することが挙げられるが、このような検査をするための装置(バルーン検査装置)は、当然ながら高精度な検査をする性能を有さなくてはならない。
【0012】
本発明の目的は、高精度な検査を行えるバルーン検査装置と、そのバルーン検査装置に搭載されるバルーン保持装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
バルーン保持装置は、バルーンカテーテルに搭載されるバルーンの検査のために、そのバルーンを保持する。このバルーン保持装置では、第1留め具、第2留め具、および第3留め具を含む。第1留め具は、バルーンにおける両側の開口うち、一方側の開口を閉じつつ、バルーンの一部を保持する。第2留め具は、バルーンにおける両側の開口うち、他方側の開口を通じて、流体をバルーンに注入させられるようにしつつ、バルーンの一部を保持する。第3留め具は、バルーンにおける両側のうち、少なくとも一方側が不動にされた状態で、第1留め具から第2留め具に至るまでの間のバルーンの一部を保持し、バルーンの長手方向を中心にして、バルーンの一部の流路を確保しつつ、バルーンを回転させるために、正逆回転する。
【0014】
このようなバルーン保持装置であると、例えば、バルーンを測定する測定部が固定されていても、バルーンは、流体によって膨らまされたまま、回転させられる。そのため、バルーンの全周囲が測定されることになる。したがって、このようなバルーン保持装置を、測定部とともに搭載するバルーン検査装置は、バルーンを高精度に検査する(要は、このバルーン保持装置は、バルーン検査装置に適したものといえる)。
【0015】
なお、バルーンは、開口を有した端チューブを含んでおり、バルーン保持装置にて第1留め具、第2留め具、および第3留め具にて保持されるバルーンの一部は、端チューブであると好ましい。
【0016】
なぜなら、バルーンにおける端チューブは、バルーンがバルーンカテーテルに取り付けられる場合に、切断される部分なためである。
【0017】
また、第3留め具は、端チューブを保持する部分を、樹脂とすると好ましい。
【0018】
このようになっていると、第3留め具は、バルーンの一部上にて空転しにくくなる。
【0019】
また、第1留め具が、バルーンの長手方向を軸として、正逆回転すると好ましい。
【0020】
このようになっていると、第1留め具が、第3留め具とともに回転し、第1留め具付近のバルーンの一部のねじれが抑えられ、ひいてはバルーン全体のねじれが抑えられる。
【0021】
また、第1留め具の正逆回転は、第3留め具の正逆回転における回転方向および回転速度の少なくとも一方を同じにすると好ましい。
【0022】
このようになっていると、例えば、第1留め具および第3留め具の回転方向および回転速度が同じになれば、バルーン全体が一層ねじれなくなる。
【0023】
また、バルーン保持装置では、バルーンの長手方向の交差断面方向にて変位する端チューブを不動にさせる変位防止部が含まれると好ましい。
【0024】
このようになっていると、バルーンが揺れにくくなり、例えば測定部の測定精度が低下しにくくなる。
【0025】
特に、変位防止部は、複数の変位防止片の集合体であって、複数の変位防止片における少なくとも1つは、残りのうちの少なくとも1つに対して、バルーンの長手方向においてズレていると好ましい。
【0026】
このようになっていると、バルーンの一部と変位防止片との接触点は、バルーンの長手方向に亘って散らばる。そのため、安定的に、長手方向の交差断面方向にて揺れそうになるバルーンが、確実に制止される。
【0027】
なお、変位防止部は、端チューブの表面周囲の少なくとも3点に接触するようになっており、それら接触点は、交差断面方向に投影された場合、交差断面方向に投影される端チューブの表面周囲を均等に2分割された領域に、分かれて位置すると好ましい。
【0028】
このようになっていると、バルーンが、交差断面方向におけるあらゆる方向に揺れそうになっても、その揺れが防止される。
【0029】
なお、以上のバルーン保持装置と、バルーンの形状を測定する少なくとも1つの測定部と、を含むバルーン検査装置も、本発明といえる。
【0030】
また、測定部が、一方向からバルーンの形状を測定する場合、第3留め具は、バルーンの長手方向を軸として、正方向に半回転した後に、逆方向に1回転すると好ましい。
【0031】
このようになっていると、測定部は、バルーンの全周囲を正面から測定できるので、測定精度(検査精度)が確実に向上する。
【発明の効果】
【0032】
本発明のバルーン保持装置がバルーン検査装置に搭載されていれば、バルーン検査装置の検査精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】は、バルーン検査装置の外観斜視図である。
【図2】は、バルーン検査装置が、バルーンを保持しつつ検査している状態を示す斜視図である。
【図3】は、チャックの斜視図である。
【図4】は、クランプの断面図である。
【図5】は、クランプの断面図である。
【図6】は、クリップの断面図である。
【図7】は、測定部によるバルーンの測定を示す断面図である。
【図8】は、バルーン検査装置が、バルーンを保持しつつ検査している状態を示す斜視図である。
【図9】は、バルーン検査装置が、バルーンを保持しつつ検査している状態を示す斜視図である。
【図10】は、測定部によるバルーンの測定を示す断面図である。
【図11】は、測定部によるバルーンの測定を示す断面図である。
【図12】は、比較例のバルーン検査装置が、バルーンを保持しつつ検査している状態を示す斜視図である。
【図13】は、バルーン検査装置が、バルーンを保持しつつ検査している状態を示す斜視図である。
【図14】は、バルーン検査装置が、バルーンを保持しつつ検査している状態を示す斜視図である。
【図15】は、測定部によるバルーンの測定を示す断面図である。
【図16】は、測定部によるバルーンの測定を示す断面図である。
【図17】は、測定部によるバルーンの測定を示す断面図である。
【図18】は、測定部によるバルーンの測定を示す断面図である。
【図19】は、クリップを示す断面図である。
【図20】は、バルーン検査装置が、バルーンを保持しつつ検査している状態を示す斜視図である。
【図21】は、バルーン検査装置が、バルーンを保持しつつ検査している状態を示す斜視図である。
【図22】は、サポートユニットを搭載したバルーン検査装置が、バルーンを保持しつつ検査している状態を示す斜視図である。
【図23】は、サポートユニットを示す側面図である。
【図24】は、バルーンの長手方向の交差断面方向を示す平面図である。
【図25】は、バルーンの長手方向の交差断面方向を示す平面図である。
【図26】は、バルーンカテーテルの外観斜視図である。
【図27】は、バルーンカテーテルの縦断面図である。
【図28】は、バルーンの縦断面図である。
【図29】は、バルーンの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[実施の形態1]
実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、他の図面を参照するものとする。
【0035】
図26は、バルーンカテーテル61の外観斜視図である。なお、バルーンカテーテル61の長手方向(軸方向)における両側において、体内に挿入される側(すなわち、バルーン71の配置される側)は遠位側と称され、この遠位端側に対する反対側を近位側と称される。
【0036】
図27は、バルーンカテーテル61における遠位側の縦断面図である。なお、縦断面とは、バルーンカテーテル61の長手方向Cに沿った断面のことであり、横断面とは、バルーンカテーテル61の長手方向Cに対して交差(直交等)する断面のことである。
【0037】
図27に示すように、バルーンカテーテル61は、インナーシャフト62、インナーシャフト62をアウタールーメン63Lに通すアウターシャフト63、および、バルーン71を含む。
【0038】
インナーシャフト62は、内部に、ガイドワイヤー(不図示)を通すためのガイドワイヤールーメン62Lを有するものである。
【0039】
アウターシャフト63は、内部のアウタールーメン63Lに、インナーシャフト62を収容するものである。なお、アウターシャフト63の遠位側の端(遠位端)からインナーシャフト62の遠位側の端(遠位端)は露出するように突き出ている。
【0040】
バルーン71は、2つの開口を有するチューブ状の部材である。そして、一方の開口は、インナーシャフト62の遠位端の付近につなげられ、他方の開口は、アウターシャフト63の遠位端の付近につなげられる。
【0041】
詳説すると、バルーン71は、アウターシャフト63の遠位側のアウタールーメン63Lから流れ込む流体(液体等)を貯めて膨らめるように、インナーシャフト62の遠位端付近とアウターシャフト63の遠位端付近とに接合される(接着の方式は、熱等を利用した溶着であっても、接着剤を利用した接着であっても構わない)。
【0042】
ところで、このバルーン71は、例えば、金型を用いるブロー成型によって形成される。そして、ブロー成型のような場合、図28の縦断面図および図29の側面図に示すように、バルーン71には、バルーン71として利用される部分75の他に、バルーン71として利用されない部分77(77D・77P)が付随してくる(なお、部分75と部分77とを含めて、バルーン71と称することもある)。
【0043】
この利用されない部分77は、金型の内部にて成型されない部分であり、金型の内部で成型される部分は、バルーン71として利用される部分75となる。
【0044】
なお、バルーン71として利用される部分75は、図28および図29に示すように、バルーン直管部72、バルーン接合部73(73D・73P)、およびバルーンテーパ部74(74D・74P)を含む。
【0045】
バルーン直管部72は、チューブ状の部分であり、バルーン71にて最も大きな径(内径・外形)を有する。
【0046】
バルーン接合部73もチューブ状の部分で、バルーン直管部72よりも小さな径(内径・外径)を有する。
【0047】
バルーンテーパ部74は、バルーン接合部73とバルーン直管部72との間をつなぐ。
【0048】
一方、金型の内部にて成型されない部分77は、バルーン接合部73につながるチューブ状の部分である。この部分77は、バルーン未成型部[端チューブ]77と称される。なお、このバルーン未成型部77が切断除去された後、バルーン71の遠位側となるバルーン接合部73Dが、インナーシャフト62の遠位端の付近に、バルーン71の近位側となるバルーン接合部73Pがアウターシャフト63の遠位端の付近に接合される。
【0049】
ここで、図28および図29に示すようなバルーン71を検査するための装置(バルーン検査装置)の一例について、図1〜図11を用いて説明する。
【0050】
図1は、バルーン検査装置50の外観斜視図であり、図2はバルーン検査装置50が、バルーン71を保持しつつ検査している状態を示す斜視図である(なお、図2および図2に類似する他図では、便宜上、種々部材を省略している)。
【0051】
図1に示すように、バルーン検査装置50は、バルーン保持装置51と、測定部43とを含む。
【0052】
バルーン保持装置51は、本体部52と、その本体部52を支える支持台53とを含む。本体部52は、チャック[第1留め具]11、クランプ[第2留め具]21、および、クリップ[第3留め具]31を含む{なお、チャック11、クランプ21、およびクリップ31は、バルーン71の向き(遠位側・近位側)を問うことなく、バルーン71の一部(例えば、バルーン未成型部77)を保持する}。
【0053】
チャック11は、図2に示すように、バルーン71の両方側のうち、一方側を保持する。特に、チャック11は、バルーン71における両方側の開口のうち、一方側の開口を閉じる。要は、チャック11は、バルーン71内での液体または気体等の流体の流れを遮断させるように、バルーン未成型部77を潰しながら保持する。
【0054】
このようなチャック11は、詳説すると、図3に示すように、2つの片材12A・12Bを含む。1つの片材であるチャック片12Aは、例えば、2面を尖らすようにつなげた先細りした先端部13Aと、この先端部13Aを進退可能(白色矢印参照)に支持する根本部14Aとを含む。
【0055】
もう1つの片材であるチャック片12Bは、チャック片12Aの先端部13Aに噛み合うように、2面を窪ますようにつなげた先端部13B(V字状の先端部13B)と、この先端部13Bを進退可能(白色矢印参照)に支持する根本部14Bとを含む。なお、先端部13A・13Bを進退可能にさせる駆動機構としては、例えば、圧縮エアで駆動するエアシリンダーまたは電動モータが挙げられる。
【0056】
そして、このようなチャック片12A・12Bは、環状のレール41に正逆回転可能に取り付けられる(点線矢印参照)。詳説すると、環状のレール41の内部にて、先端部13Aと先端部13Bとが向かい合うように、根本部14Aと根本部14Bとがレール41に取り付けられる(なお、先端部13BのV字状を形成する2面は、バルーン未成型部77を挟める程度の大きさである)。
【0057】
また、チャック11では、根本部14Aから伸び出るように移動した先端部13Aと、根本部14Bから伸び出るように移動した先端部13Bとが、バルーン未成型部77を保持しつつ、そのバルーン未成型部77の内部の流路を潰せるように、接触またはほぼ接触するまで移動するように制御される。
【0058】
このようなチャック11であれば、図2に示すように、バルーン71における一端(例えば、バルーン未成型部77)を、チャック片12Aの先端部13Aと、チャック片12Bの先端部13Bとで挟み込める。
【0059】
クランプ21は、図2に示すように、バルーン71の両方側のうち、他方側を保持する。そして、このクランプ21は、図4の縦断面図に示すように、流体チューブ22、フレーム23、ゴム材24、および押圧部25を含む。
【0060】
流体チューブ22は、窒素ガス等の流体を流すチューブである(なお、この流体チューブ22につながり、流体を注入する流体源は、不図示である)。
【0061】
フレーム23は、箱状部材で、流体チューブ22を漏れなくつなげるとともに、チューブ状のバルーン未成型部77を囲める程度ルーメン23Lを壁部に有する。
【0062】
ゴム材24は、フレーム23に収容される部材で、バルーン未成型部77を囲める程度のルーメン24Lを有する。なお、ゴム材24のルーメン24Lとフレーム23のルーメン23Lとは隣り合う。
【0063】
押圧部25は、フレーム23に収容される部材で、バルーン未成型部77を囲める程度のルーメン25Lを有する。そして、この押圧部25は、自身のルーメン25Lをゴム材24のルーメン24Lに隣り合わせつつ、フレーム23におけるルーメン23Lを有する壁部とで、ゴム材24を挟み込む。なお、押圧部25は、フレーム23内部にて、進退可能に取り付けられる(なお、進退可能にさせる駆動機構としては、例えば、圧縮エアで駆動するエアシリンダーまたは電動モータが挙げられる)。
【0064】
そして、このようなクランプ21であれば、図4に示すように、バルーン未成型部77が、フレーム23のルーメン23L、ゴム材24のルーメン24L、さらに、押圧部25のルーメン25Lに差し込まれる。この後に、図5に示すように、押圧部25が、ルーメン23Lを有するフレーム23の壁面に向かって移動することでゴム材24を圧縮すると(白色矢印参照)、ゴム材24のルーメン24Lの内径が縮径し、バルーン未成型部77がゴム材24に保持される(ただし、ゴム材24は、バルーン71内での流体の流れを遮断させないように、保持する)。
【0065】
そして、ゴム材24によるバルーン未成型部77の保持では、バルーン未成型部77の外側周囲がゴム材24のルーメン24Lに密着することから、流体チューブ22からフレーム23の内部に流れてきた流体は、バルーン71の内部へと流れ込む。要は、ゴム材24の圧縮によって、ゴム材24におけるルーメン24Lとバルーン未成型部77との隙間が消失し、フレーム23の内部の流体は、バルーン未成型部77を通じてバルーン71の内部へと流れる(ただし、ゴム材24は、圧縮された場合に、自身のルーメン24Lで、バルーン未成型部77を潰さないものの、バルーン未成型部77を保持するように設計される)。
【0066】
クリップ31は、図2に示すように、チャック11からクランプ21に至るまでの間のバルーン71の一部(例えば、バルーン未成型部77)を保持する。特に、クリップ31は、バルーン71内での液体または気体等の流体の流れを遮断させないように、潰さずに保持する。
【0067】
詳説すると、図6に示すように、クリップ31は、並列する2つの片材であるクリップ片32(32A・32B)と、クリップ片32の根本を支えるクリップ片支持部33とを含む。そして、クリップ片32Aとクリップ片32Bとは、クリップ片支持部33に、正逆回転可能(白色矢印参照)に保持され、互いが近づく場合、バルーン未成型部77を潰さない程度にまで近づけるように制御される(なお、正逆回転させる駆動機構としては、例えば、圧縮エアで駆動するエアシリンダーまたは電動モータが挙げられる)。
【0068】
そして、このようなクリップ31は、環状のレール41に正逆回転可能に取り付けられる(点線矢印参照)。詳説すると、環状のレール41の内部にて、クリップ片32Aの先端とクリップ片32Bの先端とが向かい合うように、クリップ片支持部33がレール41に取り付けられる。なお、クリップ31がレール41に沿って回転した場合であっても、クリップ31がバルーン未成型部77の周りを空転しないように、バルーン未成型部77に対して密着するように、クリップ31(特に、クリップ片32A・32Bの先端)は設計される。
【0069】
このようなクリップ31であれば、図2に示すように、バルーン71におけるバルーン未成型部77を、クリップ片32Aの先端と、クリップ片32Bの先端とで挟み込める。
【0070】
そして、このようなバルーン保持装置51では、チャック11にて先端部13Aと先端部13Bとの向かい合う位置と、クランプ21のルーメン(23L・24L・25L)の位置と、クリップ31におけるクリップ片32A・32Bの先端の位置とが、同軸上に並ぶ。
【0071】
そして、チャック11は、バルーン71における両側の開口うち、一方側の開口を閉じつつ、バルーン71の一部であるバルーン未成型部77を保持する。クランプ21は、バルーン71における両側の開口うち、他方側の開口を通じて、流体(窒素ガス等)をバルーン71に注入させられるようにしつつ、バルーン未成型部77を保持する。また、クリップ31は、チャック11からクランプ21に至るまでの間のバルーン未成型部77を保持する。
【0072】
なお、チャック11は、バルーン未成型部77の流路を潰しながら、そのバルーン未成型部77を保持し、クランプ21は、バルーン未成型部77の流路を潰すことなく、そのバルーン未成型部77を保持するので、クランプ21から流れる流体は、バルーン71に充填される(なお、流体を流す圧力または時間等は、適宜調整される)。
【0073】
測定部43は、バルーン71の形状を測定するものであり、例えば、レーザを用いたレーザ測長器43である。レーザ測長器43の場合、図7の横断面図に示すように、例えば、発光部43Aと、発光部43Aからの光(点線矢印参照)を受光する受光部43Bとを含む。そして、発光部43Aと受光部43Bとの間に配置されるバルーン71によって、発光部43Aからの光が一部遮られ、受光部43Bに到達する光量が変化する。この光量変化に基づいて、測定部43は、バルーン71の長さ(外径の長さ等)を測定する。
【0074】
なお、図2に示すように、測定部43は、バルーン直管部72を挟むように、発光部43Aと受光部43Bとを配置させる{バルーン71の長手方向Cに対して交差(直交等)する方向において、発光部43Aと受光部43Bとは、バルーン直管部72を挟む}。
【0075】
そして、バルーン直管部72において、発光部43Aに最も近く、この発光部43Aからの光を受ける側が、便宜上、PA側と称され、このPA側の反対側(受光部43Bに最も近い側)がPC側と称される。また、便宜上、バルーン71がバルーン保持装置51に保持された状態で、チャック11を奥、クランプ21を手前にした場合に、バルーン直管部72における左側がPB側と称され、右側がPD側と称される。
【0076】
ここで、クリップ31の回転について説明する。クリップ31は、レール41に沿うことで、バルーン71の長手方向Cを中心にして、正逆回転する(なお、正逆回転させる駆動機構としては、例えば、圧縮エアで駆動するエアシリンダーまたは電動モータが挙げられる)。
【0077】
例えば、図8に示すように、クリップ31が、バルーン未成型部77を挟み込みながら、正方向Fに正回転したとする(なお、図8に示すように、チャック11が奥、クランプ21が手前に配置される場合に、半時計回りの回転が正回転Fと称され、時計回りの回転が逆回転Rと称される)。
【0078】
すると、クリップ31が半回転(180°回転)すると、図9に示すように、バルーン未成型部77は半回転し、さらに、このバルーン未成型部77に連なった他部分、すなわち、バルーン接合部73、バルーンテーパ部74、バルーン直管部72、バルーンテーパ部74、バルーン接合部73、もう一方のバルーン未成型部77もほぼ半回転する(なお、クリップ31は回転するものの、チャック11およびクランプ21は回転せず、バルーン未成型部77の一部を不動にしている)。
【0079】
このようなバルーン71の正半回転過程において、回転前に、発光部43Aは、図7に示すように、バルーン直管部72におけるPB側からPA側を経てPD側に至るまでの表面に、光を照射し、PB側からPD側に至るまでの外径を測定する。
【0080】
次に、測定部43は、図10に示すように、バルーン直管部72におけるPA側からPD側を経てPC側に至るまでの表面に、光を照射し、PA側からPC側に至るまでの外径を測定する。続けて、測定部43は、図11に示すように、バルーン直管部72におけるPD側からPC側を経てPB側に至るまでの表面に、光を照射し、PD側からPB側に至るまでの外径を測定する。
【0081】
このように、図7、図10、および図11に示すように、バルーン直管部72が半回転する過程を、測定部43が測定すると、バルーン直管部72の外径が測定される。特に、測定部43が1つであっても、バルーン直管部72の外径が測定される。
【0082】
例えば、バルーン71を回転させられないバルーン保持装置が、バルーン検査装置に搭載されている場合、図12に示すように、バルーン直管部72の外径を測定するためには、測定部43が、複数台{43(43A・43B)、43(43C・43D)}必要になる(なお、測定部43は、バルーン直管部72の管周囲方向における全表面のうち、半分の表面を測定する視野角を有するものとする)。
【0083】
しかしながら、バルーン保持装置51が、バルーン71を回転させられれば、図2に示すように、測定部43は、単数であっても構わない。すなわち、バルーン検査装置50の測定部43の個数が削減され、バルーン検査装置50のコストダウンが図れる。
【0084】
なお、以上では、バルーン71は、半回転されていたが、回転は半回転に限定されるわけではない。例えば、バルーン未成型部77が比較的長ければ、クリップ31は、半回転を越える回転(例えば1回転)をしてもよい。
【0085】
なぜなら、クリップ31による保持と回転とで、比較的長いバルーン未成型部77の内部は潰れず、クランプ21の流体チューブ22からの流体が、遮断されることなくバルーン71に行き渡るためである(つまり、バルーン未成型部77の内部における流路が遮断されない程度であれば、バルーン未成型部77の回転の数は、特に限定されない)。
【0086】
また、測定精度を高めるために、図13に示すような、バルーン71の半回転後の状態から、バルーン保持装置51は、バルーン71を逆方向Rに1回転(360°回転)させて、図14に示すような状態にしてもよい(なお、クリップ31は回転するものの、チャック11およびクランプ21は回転せず、バルーン未成型部77の一部を不動にしている)。
【0087】
このようなバルーン71の逆1回転過程において、回転前に、発光部43Aは、図11に示すように、バルーン直管部72におけるPD側からPC側を経てPB側に至るまでの表面に、光を照射し、PD側からPB側に至るまでの外径を測定する。
【0088】
次に、測定部43は、図15に示すように、バルーン直管部72におけるPA側からPD側を経てPC側に至るまでの表面に、光を照射し、PA側からPC側に至るまでの外径を測定し、続けて、測定部43は、図16に示すように、バルーン直管部72におけるPB側からPA側を経てPD側に至るまでの表面に、光を照射し、PB側からPD側に至るまでの外径を測定する。
【0089】
さらに、測定部43は、図17に示すように、バルーン直管部72におけるPC側からPB側を経てPA側に至るまでの表面に、光を照射し、PC側からPA側に至るまでの外径を測定し、続けて、測定部43は、図18に示すように、バルーン直管部72におけるPD側からPC側を経てPB側に至るまでの表面に、光を照射し、PD側からPB側に至るまでの外径を測定する。
【0090】
このようになっていると、半回転させられるバルーン71同様に、PA側→PD側→PC側に至る表面(図15・図10参照)、PB側→PA側→PD側に至る表面(図16・図7参照)、およびPD側→PC側→PB側に至る表面(図18・図11参照)が測定されるだけでなく、PC側→PB側→PA側に至る表面(図17参照)も測定される。そのため、測定精度が向上する(例えば、バルーン71の外径の最大外径および最小外径が、高精度に測定される)。
【0091】
特に、測定部43が、レーザ測長器43以外のカメラ43のような場合、バルーン直管部72におけるPA側、PB側、PC側、およびPC側が、正面として撮影される。そのため、このバルーン71の検査精度(測定精度)が確実に向上する。なお、カメラ43が測定部43のような場合、バルーン直管部72の表面(外観)からみえる異物等を容易に発見する。
【0092】
ところで、クリップ31は、バルーン未成型部77の流路を潰すことなく、かつ、保持しつつ回転させられるように設計される(要は、クリップ31は、バルーン未成型部77を保持し、バルーン71の長手方向Cを中心にして、バルーン未成型部77の流路を確保しつつ、バルーン71を回転させるために、正逆回転する)。
【0093】
そのような一例としては、図19に示すように、クリップ片32Aおよびクリップ片32Bの先端付近に、樹脂製の保持部材35が取り付けられてもよい(要は、クリップ31にて、バルーン未成型部77を保持する部分が、樹脂であってもよい)。
【0094】
例えば、ニトリルゴム、シリコンゴム、天然ゴム、ウレタンゴム、または、ブチルゴムが保持部材35として挙げられる。なお、耐久性またはバルーン未成型部77に対する保持力の点から、ニトリルゴム(ショアA50)が、保持部材35の材料として使用されると好ましい。
【0095】
なお、保持部材35の幅(バルーン未成型部77の長手方向に沿う保持部材35の長さ)は、長ければ長いほど、バルーン未成型部77に対する圧縮力が弱まる(要は、保持部材35が、バルーン未成型部77の流路を潰しにくい)。一方で、保持部材35の幅が長いと、保持部材35とバルーン未成型部77との接触面積は増大するので、保持部材35、ひいてはクリップ31のバルーン未成型部77に対する保持力は高まる。
【0096】
しかしながら、クリップ31のサイズ増大を抑制する観点から、保持部材35の幅は、5mm以上10mm以下が好ましい。
【0097】
なお、外径1mmのバルーン未成型部77を、幅5mm、厚み1mmのニトリルゴムの保持部材35を取り付けたクリップ31が、3kgfの力でつかんだ場合、そのクリップ31は、バルーン未成型部77の周りを空転せずに保持(把持)できた。また、クランプ21から流れてくる流体の圧力も低下しなかった。
【0098】
また、バルーン保持装置51は、正逆回転可能なクリップ31だけでなく、正逆回転可能なチャック11も搭載する。詳説すると、バルーン保持装置51には、レール41に沿うことで、バルーン71の長手方向Cを中心にして、正逆回転するチャック11が搭載される(なお、正逆回転させる駆動機構としては、例えば、圧縮エアで駆動するエアシリンダーまたは電動モータが挙げられる)。
【0099】
そのため、このようなバルーン保持装置51では、図20に示すように、例えば、クリップ31が正方向Fに半回転する場合に、チャック11も正方向Fに半回転してもよい(なお、図21は、正方向Fに半回転した後のバルーン保持装置51を示す)。なぜなら、チャック11にて保持されたバルーン未成型部77は、ねじれなくなり、ひいてはバルーン71全体が、ねじれにくくなり、測定部43によるバルーン71の形状測定の精度が向上するためである(なお、クリップ31およびチャック11は回転するものの、クランプ21は回転せず、バルーン未成型部77の一部を不動にしている)。
【0100】
特に、チャック11は、自身の正逆回転を、クリップ31の正逆回転の回転方向に同じにするだけでなく、回転速度を、クリップ31の回転速度と同じにしていると好ましい。このようにようになっていれば、一層、バルーン71全体がねじれにくくなる(なお、チャック11は、クリップ31の正逆回転における回転方向および回転速度の少なくとも一方を同じにできる性能を有する)。
【0101】
また、チャック11の回転とクリップ31の回転とは、同期していると、さらに好ましいことはいうまでもない。
【0102】
また、図22および図23に示すように、サポートユニット[変位防止部]45が、バルーン保持装置51に搭載されていてもよい(なお、図22では、サポートユニット45の個数は2個であるが、これに限定されず、単数でも3個以上の複数であっても構わない)。
【0103】
サポートユニット45は、図22に示すように、2つの片材46A・46Bを含む(要は、片材46Aと片材46bとの集合体が、サポートユニット45である)。1つの片材であるサポート片[変位防止片]46Aは、例えば、2面を窪ますようにつなげた爪部47A(V字状の爪部47A)と、この爪部47Aを進退可能(白色矢印参照)に保持する爪支持部48Aとを含む。
【0104】
もう1つの片材であるサポート片[変位防止片]46Bは、サポート片46Aと同様に、V字状の爪部47Bと、爪支持部48Bとを含む。なお、爪部47A・47Bを進退可能にさせる駆動機構としては、例えば、圧縮エアで駆動するエアシリンダーまたは電動モータが挙げられる。
【0105】
そして、このようなサポート片46A・46Bは、バルーン保持装置51の内部に取り付けられる。詳説すると、爪部47Aと爪部47Bとが向かい合うように、爪支持部48Aと爪支持部48Bとがバルーン保持装置51に取り付けられる。ただし、爪部47Aと爪部47Bとは、サポート片46A・46Bの延び方向に対して交差(直交等)する方向、例えば、バルーン71の長手方向Cにおいてズレている。
【0106】
さらに、サポートユニット45では、爪支持部48Aから伸び出るように移動した爪部47AのV字状の面と、爪支持部48Bから伸び出るように移動した爪部47BのV字状の面とは、図23の側面図に示すように、バルーン未成型部77を囲める空洞47Pを形成する。そして、この空洞47Pに収まるバルーン未成型部77は、内部の流路を爪部47A・47Bによって潰されることはなく、かつ、バルーン71の長手方向Cを中心に回転できるようになっている。
【0107】
すなわち、爪部47A・47Bは、バルーン未成型部77を保持しつつ、そのバルーン未成型部77の流路を潰さないように、移動を制御される。
【0108】
そして、このようなサポートユニット45がバルーン保持装置51に搭載されていると、サポートユニット45は、図23に示すように、揺れそうになるバルーン未成型部77の表面周囲に接触する(この接触点は、図23では、☆印で示される)。つまり、サポートユニット45は、バルーン71の長手方向Cの交差断面方向(例えば、直交断面方向)にて変位するバルーン未成型部77を不動にさせる。
【0109】
このようになっていると、例えば、測定部43がカメラ43で、クリップ31の回転によって回転するバルーン71を撮影する場合、カメラ43のピントはずれない。そのため、測定部43の測定精度が確実に向上する。
【0110】
その上、サポートユニット45に含まれるサポート片46Aとサポート片46Bとは、バルーン71の長手方向Cにおいてズレているので、バルーン未成型部77とサポート片46A・46Bとの接触点は、長手方向Cに亘って散らばる。そのため、長手方向Cの交差断面方向にて揺れそうになるバルーン未成型部77が、確実に制止される。
【0111】
なお、図23に示すサポートユニット45は、バルーン未成型部77の表面周囲の4点に接触するようになっている。そして、これら接触点は、図24に示すように、長手方向Cの交差断面方向Eに投影された場合、交差断面方向Eに投影されるバルーン未成型部77の表面周囲77Cを均等に2分割された領域に、分かれて位置する(なお、2分割するための線を二点鎖線で示す)。
【0112】
このようになっていると、バルーン未成型部77が、交差断面方向Eにおけるあらゆる方向に揺れそうになっても、その揺れが防止される。
【0113】
ただし、サポートユニット45がバルーン未成型部77の表面の4点に接触することは必須ではなく、例えば、図25に示すように、サポートユニット45がバルーン未成型部77の表面周囲77Cの3点に接触してもよい。このようになっていても、バルーン未成型部77が、交差断面方向Eにおけるあらゆる方向に揺れそうになっても、その揺れが防止されるためである。
【0114】
要は、サポートユニット45は、バルーン未成型部77の表面周囲の少なくとも3点に接触するようになっており、それら接触点は、交差断面方向Eに投影された場合、交差断面方向Eに投影されるバルーン未成型部77の表面周囲77Cを均等に2分割された領域に、分かれて位置するとよい。
【0115】
なお、サポートユニット45は、2つのサポート片46A・46Bを含んでいたが、その個数は2個に限定されるわけではなく、例えば、3個以上であっても構わない。ただし、複数のサポート片における少なくとも1つは、残りのうちの少なくとも1つに対して、バルーン71の長手方向Cにおいてズレていると好ましい。
【0116】
このようになっていれば、バルーン未成型部77とサポート片との接触点は、長手方向Cに亘って散らばるので、長手方向Cの交差断面方向にて揺れそうになるバルーン未成型部77が、確実に制止される。
【0117】
[その他の実施の形態]
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0118】
例えば、測定部43として、レーザ測長器43およびカメラ43を例に挙げたが、これらに限定されるものではない。例えば、測定部43は、超音波を用いた測定部43であっても、赤外線を用いた測定部43であっても構わない(なお、このような測定部43であれば、例えば、バルーン直管部72の肉厚を測定できる)。
【0119】
また、測定部43がカメラ43の場合、カメラ43からの撮影情報を基にした画像処理がなされることで、バルーン71の外径だけでなく、バルーン71の長手方向Cにおける長さも測定されてもよい。
【0120】
また、測定部43は、バルーン直管部72を測定する例を挙げて説明してきたが、これに限定されるものではない。例えば、測定部43は、配置に応じて、バルーンテーパ部74の形状またはバルーン接合部73の形状を測定してもよい。
【0121】
なお、測定部43の視野角が、長手方向Cに沿って比較的大きければ、その測定部43は、バルーン直管部72の直上に配置されていたとしても、バルーン直管部72だけでなく、バルーンテーパ部74およびバルーン接合部73までも測定できる。
【0122】
また、測定部43の個数は、1台に限定されるわけではなく、測定精度向上のために、複数台、バルーン検査装置50に搭載されても構わない。例えば、1台はレーザ測長器43で、もう1台はカメラ43であっても構わない。
【0123】
また、クリップ31の回転によって、バルーン71が回転させられる(ねじられる)場合、バルーン71の張力が増して、そのバルーン71の形状が変形し、測定部43の測定精度が低下すことがある。しかしながら、このような対策として、チャック11が、バルーン71を長手方向Cに沿って引っ張り、バルーン71の形状を変化させないようにしてもよい(例えば、チャック11が、おもりまたはバネ等を含むことで、バルーン71を引っ張れるような機能を有すると好ましい)。
【0124】
また、クリップ31のクリップ片32A・32Bは、バルーン未成型部77の流路を確保しつつ、そのバルーン未成型部77を保持して回転させられれば、材料または先端の形状は特に問わない。例えば、クリップ片32A・32Bは、バルーン未成型部77に接触する部分を粗面にしていてもよいし、クリップ片32A・32Bの材料は、金属であっても樹脂であっても構わない。
【0125】
[具体的な実施例]
以下に、具体的な実施例について説明する。ただし、この実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0126】
外径(φ)5mm、全長40mmのバルーン71が、バルーン検査装置50にて検査された(なお、バルーン71の外径とは、バルーン直管部72の外径のことであり、全長とはバルーン直管部72の全長である)。
【0127】
具体的には、バルーン71における一方のバルーン未成型部77がチャック11で保持され、他方のバルーン未成型部77がクランプ21に保持される。そして、クランプ21は、1.2MPaの圧力で流入される窒素ガスを、30秒間、バルーン71に供給する。
【0128】
そして、クリップ31が正方向Fに半回転、この半回転後に逆方向Rに1回転することで、バルーン71が回転し、この回転するバルーン71の形状(例えば、外径)が測定部43で測定された(なお、クリップ31の正方向Fの半回転と、この半回転後のクリップ31の逆方向Rの1回転を、1セットの測定と称する)。
【0129】
結果は、10セットの測定において、バルーン71の最大外径のバラツキは、0.01mm以内であった。
【符号の説明】
【0130】
11 チャック[第1留め具]
12 チャック片
13 チャック片の先端部
14 チャック片の根本部
21 クランプ[第2留め具]
22 流体チューブ
23 フレーム
24 ゴム材
25 押圧部
31 クリップ[第3留め具]
32 クリップ片
33 クリップ片支持部
35 保持部材
41 レール
43 測定部
45 サポートユニット[変位防止部]
46 サポート片[変位防止片]
47 爪部
47P 空洞
48 爪支持部
50 バルーン検査装置
51 バルーン保持装置
52 本体部
53 支持台
61 バルーンカテーテル
62 インナーシャフト
63 アウターシャフト
71 バルーン
72 バルーン直管部
73 バルーン接合部
74 バルーンテーパ部
77 バルーン未成型部[端チューブ]
C バルーンの長手方向
E バルーンの長手方向に対する交差断面方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルーンカテーテルに搭載されるバルーンの検査のために、上記バルーンを保持するバルーン保持装置にあって、
上記バルーンにおける両側の開口うち、一方側の開口を閉じつつ、上記バルーン
の一部を保持する第1留め具と、
上記バルーンにおける両側の開口うち、他方側の開口を通じて、流体を上記バル
ーンに注入させられるようにしつつ、上記バルーンの一部を保持する第2留め具と

上記バルーンにおける両側のうち、少なくとも一方側が不動にされた状態で、上
記第1留め具から上記第2留め具に至るまでの間の上記バルーンの一部を保持し、
上記バルーンの長手方向を中心にして、上記バルーンの一部の流路を確保しつつ、
上記バルーンを回転させるために、正逆回転する第3留め具と、
を含むバルーン保持装置。
【請求項2】
上記バルーンは、上記開口を有した端チューブを含んでおり、
上記バルーンの一部は、上記端チューブである請求項1に記載のバルーン保持装置。
【請求項3】
上記第3留め具は、上記端チューブを保持する部分を、樹脂とする請求項2に記載のバルーン保持装置。
【請求項4】
上記第1留め具が、上記バルーンの長手方向を軸として、正逆回転する請求項1〜3のいずれか1項に記載のバルーン保持装置。
【請求項5】
上記第1留め具の正逆回転は、上記第3留め具の正逆回転における回転方向および回転速度の少なくとも一方を同じにする請求項4に記載のバルーン保持装置。
【請求項6】
上記バルーンの長手方向の交差断面方向にて変位する上記端チューブを不動にさせる変位防止部が含まれる請求項1〜5のいずれか1項に記載のバルーン保持装置。
【請求項7】
上記変位防止部は、複数の変位防止片の集合体であって、
複数の変位防止片における少なくとも1つは、残りのうちの少なくとも1つに対して、上記バルーンの長手方向においてズレている請求項6に記載のバルーン保持装置。
【請求項8】
上記変位防止部は、上記端チューブの表面周囲の少なくとも3点に接触するようになっており、それら接触点は、上記交差断面方向に投影された場合、上記交差断面方向に投影される上記端チューブの表面周囲を均等に2分割された領域に、分かれて位置する請求項6または7に記載のバルーン保持装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のバルーン保持装置と、
上記バルーンの形状を測定する少なくとも1つの測定部と、
を含むバルーン検査装置。
【請求項10】
上記測定部が、一方向から上記バルーンの形状を測定する場合、
上記第3留め具は、上記バルーンの長手方向を軸として、正方向に半回転した後に、逆方向に1回転する請求項9に記載のバルーン検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図28】
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【図29】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図27】
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