説明

バンド掛け機におけるバンド供給装置

【課題】 トラブル時のバンド引き戻しにおいて、先端部がバンド供給装置から抜け出ることを確実に防止する。
【解決手段】 駆動ローラ51とこれに押し付けられるニップローラ52の対からなる第1のフィードローラと、同じく駆動ローラ53とこれに押し付けられるマグネットローラ54の対からなる第2のフィードローラと、大径のホイール55とこれに押し付けられるフォロアローラ56の対とがこの順に配置されたバンド供給装置において、第1のフィードローラの開閉と第2のフィードローラの開閉とをリンク機構を介して連動させるとともに第1のフィードローラの駆動ローラ51の回転方向を1方向のみとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体等に樹脂製のバンドでバンド掛けするバンド掛け機におけるバンド供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工業製品や食材等を箱詰めした包装体(以下「ワーク」という)に樹脂製のバンド(以下単に「バンド」という)でバンド掛けすることが行なわれている。バンドは例えば表面に網目状の突起を形成した厚さ0.5〜1.0mm程度の着色ポリプロピレン樹脂製のものである。
まず包装体を載置したテーブルを囲むバンド案内用のアーチにバンドを供給し、1周した重なり部を固定してバンドを引き戻して締め付け、重なり部を加熱溶着して末端部を切断すれば1サイクルが完了する。バンド供給装置はバンド案内アーチの下部に配置され、バンドを供給方向に送り出すとともに、逆方向に引き戻して締め付けることを行なう。また、時にバンド供給が順調に行なわれず、アーチを1周しないで停止してしまった場合などにはバンドを引き戻し、再度供給をやり直すことが必要である。
【0003】
特許文献1には、このような再度供給(バンドリフィード)する方法が記載されている。図7によりこれを簡単に説明する。
図7は特許文献1に記載のバンド掛け機の構成図で、1はワークの載置されるテーブル、11はその下部に設けられたストッパ、2はバンドガイド、3はアーチ、4はバンドの供給装置で、41は正転駆動ローラ、42は逆転駆動ローラ、43はタッチローラ、44はリンク、7はガイドローラ、Bはバンド、Wはワークである。
【0004】
リンク44によりタッチローラ43は正転駆動ローラ41、あるいは逆転駆動ローラ42のいずれかに押し付けられる。図示しないバンドリールから供給されたバンドはガイドローラ7を経てバンド供給装置4に入り、タッチローラ43が正転駆動ローラ41に押し付けられていればこれらにはさまれて上方に進み、バンドガイド2を経てアーチ3に進入する。バンドBの先端がストッパ11に到達したらリンク44を切り換えてタッチローラ43を逆転駆動ローラ42に押し付けると、バンドBは引き戻され、テーブル1上ではバンドBがワークWに密着し、この状態で溶着が行なわれる。このバンド供給・引き戻し装置4ではバンドBの経路に配置された正転駆動ローラ41、逆転駆動ローラ42は常にそれぞれ正転、あるいは逆転方向に回転しており、タッチローラ43をいずれに押し付けるかでバンドの供給、あるいは締め付けを行なうのである。ところで、前記したようにバンドの供給トラブルがあった場合は、バンドを引き戻して供給をやり直すのであるが、バンドを引き戻す際に戻し過ぎてバンドの先端がバンド供給装置4の入口よりも下まで抜けてしまうと、バンドを通し直さなければならなくなる。こうした事態を回避するため、特許文献1に記載のバンドリフィード方法ではバンド供給時のタッチローラ43の回転数を記憶しておき、バンドを引き戻す際はこの回転数から設定した回転数によって引き戻し速度を減速し、バンドBの先端をバンド供給装置4内の所定位置で停止させるようにしている。
【特許文献1】特開2004−123157号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたような従来の方法では、減速のタイミングにばらつきがあると下まで抜けてしまう事態が皆無とはいえず、早めに減速するようにすれば作業時間がかかって能率が低下するという問題点がある。
本発明はこのような問題点を解消し、抜け落ちずに確実にバンド供給装置内で先端部を停止させるようにしたバンド供給装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、高速で駆動される駆動ローラとこれに押し付けられるニップローラの対からなる第1のフィードローラと、同じく高速で駆動される駆動ローラとこれに押し付けられるマグネットローラの対からなる第2のフィードローラと、低速で駆動される大径のホイールとこれに押し付けられるフォロアローラの対とがバンド掛け機のアーチに向けてこの順に配置されてなるバンド掛け機におけるバンド供給装置において、前記第1のフィードローラの開閉と第2のフィードローラの開閉とが同調するようにリンク機構を介して連動していることを特徴とするバンド掛け機におけるバンド供給装置であり、望ましくは前記の第1のフィードローラと第2のフィードローラの開いた場合のロール間隔が第1のフィードローラのものの方が第2のフィードローラのものよりも大きくなるようにリンク比が設定されており、また前記の第1のフィードローラの駆動ローラがバンド送り込み方向にのみ回転するものである前記のバンド掛け機におけるバンド供給装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、2段のフィードローラの内アーチに近い方を先端部が抜けると機械的に他方のフィードローラが閉じてバンドを捕捉するから、2段の中間で確実に先端部を停止させることができ、バンドのリフィードが容易で作業能率が向上するという、優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明においては、高速でバンドの供給、引き戻し行なうためのフィードローラを2段に設け、同一時点でバンドに対して作用するのはいずれか一方であるが、リンク機構によって2組のフィードローラの開閉を同調させることにより両者が連携し、先端部を引き戻す場合でも2段の中間で確実に先端部を停止させることができるようにした。
【実施例】
【0009】
以下、本発明を図面により詳細に説明するが、はじめに図6によりバンド掛け機を説明する。図6はバンド掛け機の正面図で、1はワークWが載置されるテーブル、3はバンドBが供給されるアーチ、5は追って詳しく説明する本発明のバンド供給装置、7はその入口にあるガイドローラ、8はバンドBを巻き付けたバンドリール、9aは操作パネル、9bは足踏みスイッチである。
【0010】
このバンド掛け機は、バンドリール8から巻き戻したバンドBを、ガイドローラ7を経てバンド供給装置5からアーチ3に供給し、ワークWのバンド掛けを行なうもので、基本性能はさきに図7において説明したものと同様であるが、バンドの送り込み、引き戻しを行なうバンド供給装置5において、弱い力で高速で引き戻す1次引き締めと、強い力でゆっくりと引き戻す2次引き締めの2とおりの引き戻し動作を行なうことができる。フィードローラが2段に設けられていて開閉が同調している。バンドの送り込みは2組のフィードローラを使用する。1次引き締めは第2のフィードローラを逆回転させて行い、2次引き締めは低速のホイールを使用する。トラブル時のバンド引き戻しは、引き戻しそのものは第2のフィードローラを使用するが、先端部を捕捉して停止させるのは第1のフィードローラである。
【0011】
図1はバンド供給装置5の正面図で、51は高速で駆動される駆動ローラ、52はこれに押し付けられるニップローラで、これらの対で第1のフィードローラを構成する。駆動ローラ51には駆動機構にワンウエイクラッチが備えられており、バンドBを送り込む方向のみにしか回転しない。53は同じく高速で駆動される駆動ローラ、54はこれに押し付けられるマグネットローラで、これらの対で第2のフィードローラを構成する。マグネットローラ54は直径方向に2個のマグネットを取り付けてあり、57はマグネットの接近を検出して回転数をカウントするカウンタである。55は低速で駆動される大径のホイール、56はこれに押し付けられるフォロアローラである。各ローラ間のバンドの経路にはバンドBを誘導するガイドが取り付けられている。
【0012】
図2は図1のバンド供給装置5を裏側から見た背面図で、61a〜61cはベルト駆動用のプーリ、62a、62bはベルト、63はリンク、64はレバー、65はスプリングであるが、リンク以下のものについては追って説明する。プーリ61aはモータの出力軸に取り付けられた小径のもので、ベルト62aを介してプーリ61bを駆動する。さらにプーリ61bはベルト62bを介してプーリ61cを駆動する。プーリ61bはプーリ61aよりも大径であるから若干減速されてはいるが、プーリ61a、プーリ61bは高速回転する。そしてプーリ61bは駆動ローラ53、プーリ61cは駆動ローラ51、53に直結、あるいは前記したワンウエイクラッチを介して連結しており、これら駆動ローラ51、53を高速回転させる。一方、前記モータの表側は、歯車減速機を介してホイール55に連絡しており、大径のホイール55を大きいトルクでゆっくり回転させる。
【0013】
図3は図1における各ローラのみを示した説明図である。いずれも駆動されている駆動ローラ51、53とホイール55のそれぞれの位置は固定であるが、これらに押し付けられニップローラ52、マグネットローラ54、フォロアローラ56についてはリンク機構によって間隔を変えて開閉可能となっており、しかもニップローラ52とマグネットローラ54の動きは連動している。図4はこれらを連絡するリンク機構のみを示す部分正面図、図5はこれをさらに模式的に示した説明図で、63a〜63cは3連(第1〜第3)のリンク、66a、66bはそれぞれリンク63a、63bの回転中心、64は手動操作用のレバー、65はスプリングである。
【0014】
図5に示したように、第1のリンク63aに取り付けられているマグネットローラ54は、スプリング65によってバンドBを介して駆動ローラ53に押し付けられる。同時に、中間の第2のリンク63bを介して第3のリンク63cに取り付けられたニップローラ52も駆動ローラ51にバンドの有無に関係なく押し付けられる。バンドBがない状態では第1のフィードローラは相手に接し、第2のフィールドローラも接近するように調整されている。この調整は第2のリンク63bの長さを調整することにより容易である。
【0015】
例えばレバー64を矢印の方向に操作すると、これら2組のフィードローラはいずれも同じく矢印で示したように相手のローラから離反するから、手動でバンドを抜き出したり送ったりすることができる。
ロール間隔は、第1のフィードローラにおけるロール間隔aが、第2のフィードローラにおけるロール間隔bよりも大きくなるように、例えば2.5倍になるようにリンク比が設定されている。この設定は、各リンクの長さ、回転中心の位置、各リンクの接続位置等を適宜選定することにより容易に行なうことができる。
【0016】
なお、フォロアローラ56の開閉は図示しない別のリンク機構によって行なわれるが、この部分は本願出願の時点においてすでに公知であるから、詳細は省略する。
以上の構成から、バンドBの送り込み段階において、先端部が第1のフィードローラと第2のフィードローラとの中間にある時点ではバンドBは第1のフィードローラによって送られ、このときのロール間隔aは第1のフィードローラではバンドBの厚み相当、まだバンドが到達しない第2のフィードローラではこれよりせまく、わずかに開いた状態である。そして先端部が第2のフィードローラに到達すると、この部分のロール間隔bがバンドBの厚みに広がり、第1のフィードローラの間隔aはさらにそれよりも大きくなるから、第1のフィードローラはバンド送りには寄与しなくなる。
【0017】
高速の1次引き締めでバンドを引き戻す場合も同様で、はじめは第1、第2の両方のフィードローラの部分にバンドが存在するから、第2のフィードローラのみが引き戻しに関与し、第1のフィードローラは大きく開いたままである。
トラブル等で先端部を引き戻す場合も第2のフィードローラを逆転させて引き戻すのであるが、先端部が第2のフィードローラを抜けると、スプリング65の力によってマグネットローラ54が駆動ローラ53に接近し、これに連動して第1のフィードローラも閉じるので、ここのロール間隔aがせばまってバンドを押さえる。ところが駆動ローラ51にはワンウエイクラッチが入っていて逆転しないから、バンドはそれ以上引き戻されることなく、先端部は第1のフィードローラと第2のフィードローとの中間で確実に停止するので抜けだしが起こらず、リフィードを容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明実施例のバンド供給装置の正面図である。
【図2】本発明実施例のバンド供給装置の背面図である。
【図3】図1における各ローラのみを示した説明図である。
【図4】実施例における各ローラのみリンク機構のみを示す部分正面図である。
【図5】図4のリンク機構を模式的に示した説明図である。
【図6】本発明実施例のバンド掛け機を示す正面図である。
【図7】従来公知のバンド掛け機の構成図である。
【符号の説明】
【0019】
1 テーブル
2 バンドガイド
3 アーチ
4、5 バンド供給装置
7 ガイドローラ
8 バンドリール
9a 操作パネル
9b 足踏みスイッチ
11 ストッパ
41 正転駆動ローラ
42 逆転駆動ローラ
43 タッチローラ
44 リンク
51、53 駆動ローラ
52 フォロアローラ
54 マグネットローラ
55 ホイール
56 フォロアローラ
57 カウンタ
61a〜61c プーリ
62a、62b ベルト
63a〜63c リンク
64 レバー
65 スプリング
66a、66b 回転中心
B バンド
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速で駆動される駆動ローラ(51)とこれに押し付けられるニップローラ(52)の対からなる第1のフィードローラと、同じく高速で駆動される駆動ローラ(53)とこれに押し付けられるマグネットローラ(54)の対からなる第2のフィードローラと、低速で駆動される大径のホイール(55)とこれに押し付けられるフォロアローラ(56)の対とがバンド掛け機のアーチ(3)に向けてこの順に配置されてなるバンド掛け機におけるバンド供給装置(5)において、前記第1のフィードローラ(51、52)の開閉と第2のフィードローラ(53、54)の開閉とが同調するようにリンク機構を介して連動していることを特徴とするバンド掛け機におけるバンド供給装置。
【請求項2】
前記の第1のフィードローラ(51、52)と第2のフィードローラ(53、54)の開いた場合のロール間隔が第1のフィードローラ(51、52)のものの方が第2のフィードローラ(53、54)のものよりも大きくなるようにリンク比が設定されている請求項1に記載のバンド掛け機におけるバンド供給装置。
【請求項3】
前記の第1のフィードローラの駆動ローラ(51)がバンド送り込み方向にのみ回転するものである請求項1または2に記載のバンド掛け機におけるバンド供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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