説明

バンパー・ビーム装置

バンパー・ビーム装置は、2つのクラッシュ・ボックス(12、13)に留めたバンパー・ビームを含む。クラッシュ・ボックスは、バンパー・ビームよりも垂直方向に高くなっており、バンパー・ビームは、クラッシュ・ボックスに垂直方向にオフセットで留めてある。バンパー・ビームによって覆われていないクラッシュ・ボックス部分は、バンパー・ビーム輪郭の前端に向って前方へ延びている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に留めるようになっている2つのクラッシュ・ボックスに留めたバンパー・ビームを含み、このバンパー・ビームが、クラッシュ・ボックスに垂直方向にオフセットで留めてあり、クラッシュ・ボックスがバンパー・ビームよりも大きい垂直方向延長部を有する自動車用のバンパー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クラッシュ・ボックスは、通常、自動車プラットフォームのサイドレールに留めてあって衝突力をサイドレールに直接伝える。バンパー・ビームは、通常、サイドレールと同じ垂直位置にあり、衝突力がサイドレールに対称的に伝わるようにしている。或る種の自動車、たとえば、SUVの場合、バンパー・ビームとサイドレールは垂直方向にオフセットとなるだろう。米国特許第5,803,514号は、垂直方向にオフセットであるバンパー・ビームとサイドレールを示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、バンパー・ビームの高さが自動車プラットフォームと同じ高さにないとき、クラッシュ・ボックスにかかる非対称的な荷重を低減して塑性変形およびエネルギ吸収を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的のために、バンパー・ビームによって覆われていないクラッシュ・ボックス部分が、バンパー・ビームの前端から10mm以内の位置まで水平方向に延びている。クラッシュ・ボックスの変形をさらに制御するためにトリガを使用できる。
【0005】
図1は、発明の一例として、上から見たバンパー・ビーム装置を示している。
図2は、矢印2方向から見た同じ装置を示している。
図3は、図1における3−3線に沿った断面図である。
図4は、図2における4−4線に沿った断面図である。
【0006】
本発明の図示した好ましい例の説明
図1、2は、2つのクラッシュ・ボックス12、13に留めたバンパー・ビーム11を示している。クラッシュ・ボックスおよびそれらへのバンパー・ビームの留め部は同様であり、クラッシュ・ボックス13のみを以下に説明する。クラッシュ・ボックス13は、好ましくはボックスに溶接したプレートまたはフランジ14を有し、プレートまたはフランジは多数のねじ穴15を有し、これらのねじ穴を用いて、自動車の支持部、すなわち、自動車プラットフォームにクラッシュ・ボックスを留めることができる。クラッシュ・ボックスは、ねじおよびナットによって自動車のサイドレールの前端にある対応するプレートに留めることができる。図3は、下方部分16および上方部分17からなるクラッシュ・ボックス13の横断面を示し、これらの部分は相互に溶接してあって閉じた輪郭を形成している。図2からわかるように、バンパー・ビームは、垂直方向にオフセットでクラッシュ・ボックスに留めてあり、クラッシュ・ボックスはバンパー・ビームよりも垂直方向に高い。図1からわかるように、クラッシュ・ボックスの上方部分17は、クラッシュ・ボックスを通る縦断面を示す図4からもわかるようにバンパー・ビームのほぼ前端までバンパー・ビーム上方へ延びている。
【0007】
バンパー・ビームは、図4に示すようにハット輪郭を有すると好ましいが、別の輪郭を持っていてもよい。バンパー・ビームは、プレス硬化法、すなわち、平らな素材から熱間打ち抜きし、冷却した形成用工具内で直接硬化させる方法で作ることができる。この方法の場合、1000MPaを超える、そして1500MPaすら超える耐力強度を得ることができる。あるいは、バンパー・ビームは、高張力冷間形成用鋼板から冷間形成して
もよい。クラッシュ・ボックスの2つの半部分16、17は、好ましくは、同様に製造して相互に溶接するとよい。
【0008】
クラッシュ・ボックスの下方部分16のつきあわせ端と上方部分17の最下部のつきあわせ端はバンパー・ビームに適合する形を有し、バンパー・ビームに溶接する。バンパー・ビームは孔18を有し、この孔内に、牽引フック用の支えを留めることができる。クラッシュ・ボックスの上方部分17は、その延長部分の内端にトリガ19を持っていてもよく、このトリガが初期変形を引き起こし、制御する。クラッシュ・ボックスのさらなる変形を制御するためにトリガ20のような他のトリガも使用できる。
【0009】
自動車上のクラッシュ・ボックス12、13の位置は、自動車の設計で決まり、バンパー・ビーム11も自動車の設計に合わせなければならないが、法的および標準的な試験手順にも合わせなければならない。クラッシュ・ボックスは、バンパー・ビームが変形してしまうまで変形し始めないような寸法とする。クラッシュ・ボックスは、バンパー・ビームがその留め部のところで持っている高さよりも高い横断面を有するものとして示してある。バンパー・ビームで覆われていないクラッシュ・ボックス部分は、図示のように、バンパー・ビーム輪郭の前端まで延びており、バンパー・ビームが変形し始めるか変形してしまったときにこれらの部分が衝突力を吸収することになる。その結果、クラッシュ・ボックスが曲がり、下向きに全体的に回転する傾向が相殺されることになる。このようにして、たとえバンパー・ビームがクラッシュ・ボックスに対して垂直方向にオフセットであっても、変形特性が良好となる。好ましくは、クラッシュ・ボックスは、図示のようにバンパー・ビーム輪郭のほぼ前端まで延びるが、クラッシュ・ボックスがバンパー・ビームの前端の後方10mm以内で終わっている場合も、あるいは、例え最高10mmまでバンパー・ビームを越えていても、所望の機能を果すことは可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一例として、上から見たバンパー・ビーム装置を示している。
【図2】矢印2方向から見た同じ装置を示している。
【図3】図1における3−3線に沿った断面図である。
【図4】図2における4−4線に沿った断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に留めるようになっている2つのクラッシュ・ボックス(12、13)に留めるバンパー・ビーム(11)を含み、このバンパー・ビーム(11)がクラッシュ・ボックス(12、13)に垂直方向にオフセットで留めてあり、クラッシュ・ボックスが、バンパー・ビームよりも大きい垂直方向延長部を有する自動車用バンパー装置であって、バンパー・ビームで覆われていないクラッシュ・ボックス部分(17)が、バンパー・ビームの前端から10mm以内の位置まで水平方向に延びていることを特徴とする自動車用バンパー装置。
【請求項2】
バンパー・ビームの前端に向かって延びるクラッシュ・ボックス部分の内端のところに変形トリガ(19)を設けたことを特徴とする、請求項1に記載のバンパー・ビーム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2007−530346(P2007−530346A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504911(P2007−504911)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【国際出願番号】PCT/SE2005/000397
【国際公開番号】WO2005/090128
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(501426943)イェスタムプ・ハードテック・アクチエボラーグ (34)