説明

バンパ構造

【課題】 複数の検知手段又は第1検知手段及び第2検知手段の性能を安定化させる。
【解決手段】 バンパ10では、車両の前面衝突時に、タッチセンサ26及び荷重検知センサ22(圧力検知センサでもよい)がアブソーバ28に押圧されてバンパ10へ入力する荷重(圧力)を検知する。ここで、バンパリインフォースメント14前壁16の補強部16Aの車両前側にタッチセンサ26及び荷重検知センサ22が設けられると共に、荷重検知センサ22の車両前側に荷重伝達板24を介してタッチセンサ26が設けられている。このため、車両の前面衝突時に、前壁16の補強部16Aにおける変形が抑制されてタッチセンサ26及び荷重検知センサ22へ荷重が適切に入力すると共に、タッチセンサ26から荷重検知センサ22へ荷重が適切に入力する。これにより、タッチセンサ26及び荷重検知センサ22の検知性能を安定化させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のバンパ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
バンパ構造としては、バンパの衝撃吸収材とレインフォースメントとの間に衝突検知センサが設けられたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、このバンパ構造では、複数(特に複数種類)の衝突検知センサを併用する場合については、考慮されていない。
【特許文献1】特開2000−225907公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事実を考慮し、複数の検知手段又は第1検知手段及び第2検知手段の性能を安定化させることができるバンパ構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載のバンパ構造は、車両のバンパに設けられたバンパリインフォースメントと、前記バンパリインフォースメントに設けられ、前記バンパリインフォースメントを補強する補強部と、前記補強部の車両外側に設けられ、前記バンパへ入力する荷重又は圧力を検知する複数の検知手段と、を備えている。
【0006】
請求項2に記載のバンパ構造は、車両のバンパに設けられたバンパリインフォースメントと、前記バンパリインフォースメントの車両外側に設けられ、前記バンパへ入力する荷重又は圧力を検知する第1検知手段と、前記第1検知手段の車両外側に直接又は剛体を介して設けられ、前記バンパへ入力する荷重又は圧力を検知する第2検知手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載のバンパ構造では、車両のバンパにバンパリインフォースメントが設けられており、バンパリインフォースメントに設けられた補強部がバンパリインフォースメントを補強している。さらに、複数の検知手段がバンパへ入力する荷重又は圧力を検知する。
【0008】
ここで、補強部の車両外側に複数の検知手段が設けられている。このため、バンパへ荷重又は圧力が入力する際には、バンパリインフォースメントの補強部における変形が抑制されて、バンパへ入力する荷重又は圧力が複数の検知手段へ適切に入力する。これにより、複数の検知手段の性能を安定化させることができる。
【0009】
請求項2に記載のバンパ構造では、車両のバンパにバンパリインフォースメントが設けられている。さらに、第1検知手段及び第2検知手段がバンパへ入力する荷重又は圧力を検知する。
【0010】
ここで、バンパリインフォースメントの車両外側に第1検知手段が設けられると共に、第1検知手段の車両外側に第2検知手段が直接又は剛体を介して設けられている。このため、バンパへ荷重又は圧力が入力する際には、バンパへ入力する荷重又は圧力が第2検知手段から第1検知手段へ適切に入力する。これにより、第1検知手段及び第2検知手段の性能を安定化させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1には、本発明のバンパ構造が適用されて構成された実施の形態に係るバンパ10が車両左側から見た断面図にて示されている。なお、図面では、車両前方(車両外方)を矢印FRで示し、上方を矢印UPで示す。
【0012】
本実施の形態に係るバンパ10は、車両の前端において車幅方向に延在されており、バンパ10の車幅方向両端部は、車両後側(車両内側)へ向けて湾曲されている。
【0013】
バンパ10には、断面略コ字形板状のバンパカバー12が設けられており、バンパカバー12は、バンパ10の外観意匠を構成して車幅方向に延在されると共に、車幅方向両端部がバンパ10の車幅方向両端部における湾曲に伴い車両後側へ向けて湾曲されている。
【0014】
バンパカバー12の内部には、車両後側部分において、バンパリインフォースメント14が設けられており、バンパリインフォースメント14は、バンパ10を補強して車幅方向に延在されると共に、車幅方向両端部がバンパ10の車幅方向両端部における湾曲に伴い車両後側へ向けて湾曲されている。バンパリインフォースメント14は、車両前部の右側部分及び左側部分において車両前後方向に延在された一対のサイドメンバ(図示省略)の車両前側端に固定されている。
【0015】
バンパリインフォースメント14には、板状の前壁16及び後壁18が設けられており、前壁16は車両前側において垂直に配置されると共に、後壁18は車両後側において垂直に配置されている。前壁16と後壁18とは水平に配置された所定数(本実施の形態では4つ)の補強板20によって連結されており、所定数の補強板20は上下に等間隔に配置され、かつ、上から1番目の補強板20は前壁16の上端と後壁18の上端とを連結すると共に、下から1番目の補強板20は前壁16の下端と後壁18の下端とを連結している。これにより、前壁16が、補強板20との結合部分(以下「補強部16A」という)において、補強されている。
【0016】
バンパリインフォースメント14(前壁16)の車両前側には、検知手段及び第1検知手段としての所定数(本実施の形態では2つ)の荷重検知センサ22(圧力検知センサでもよい)が設けられており、荷重検知センサ22は前壁16の上から1番目の補強部16Aと上から2番目の補強部16Aとの車両前側に直接固定されている。荷重検知センサ22は、入力する荷重(圧力)を数値で検知して、バンパ10へ入力する荷重を検知する。
【0017】
バンパリインフォースメント14(前壁16)の車両前側には、剛体としての荷重伝達板24が設けられており、荷重伝達板24は所定数の荷重検知センサ22の車両前側に直接固定されている。荷重伝達板24は、バンパ10へ入力する荷重を所定数の荷重検知センサ22へ伝達する。
【0018】
バンパリインフォースメント14(前壁16)の車両前側には、検知手段及び第2検知手段としての所定数(本実施の形態では1つ)のタッチセンサ26が設けられており、タッチセンサ26は前壁16の上から2番目の補強部16A及び上から2番目の荷重検知センサ22の車両前側において荷重伝達板24に直接固定されている。タッチセンサ26は、入力する荷重が所定荷重(閾値)以上になることでOFF状態からON状態にされて、バンパ10へ入力する荷重を検知する。
【0019】
バンパリインフォースメント14(前壁16)の車両前側には、収縮部材としてのアブソーバ28(発泡材)が設けられており、アブソーバ28は、バンパリインフォースメント14の前壁16とバンパカバー12の車両前側壁12Aとの間に配置されている。アブソーバ28は、断面コ字形柱状にされて、上部及び下部が車両後側へ突出しており、アブソーバ28上部の突出部28Aは荷重伝達板24にタッチセンサ26の上側において固定されると共に、アブソーバ28下部の突出部28Bはバンパリインフォースメント14の前壁16下部に固定されている。これにより、アブソーバ28が、車両後側部分の凹部28Cによってタッチセンサ26に接触しないようにされた状態で、バンパカバー12内部の車両前側部分に固定されている。
【0020】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0021】
以上の構成のバンパ10では、図2に示す如く、車両の前面衝突時に、バンパ10へ荷重が車両後側に入力して、バンパカバー12が車両後側へ変形又は破断されると共に、アブソーバ28が車両後側へ収縮変形される。さらに、タッチセンサ26がアブソーバ28に車両後側へ押圧されて荷重が入力されると共に、荷重検知センサ22がアブソーバ28に荷重伝達板24又はタッチセンサ26及び荷重伝達板24を介して車両後側へ押圧されて荷重が入力されることで、タッチセンサ26及び荷重検知センサ22がバンパ10へ入力する荷重を検知する。
【0022】
ここで、バンパリインフォースメント14前壁16の上から1番目の補強部16Aの車両前側に荷重検知センサ22が設けられると共に、バンパリインフォースメント14前壁16の上から2番目の補強部16Aの車両前側にタッチセンサ26及び荷重検知センサ22が設けられている。このため、車両が前面衝突してバンパ10へ荷重が入力する際には、バンパリインフォースメント14前壁16の補強部16Aにおける車両後側への変形が抑制されて、バンパ10へ入力する荷重がタッチセンサ26及び荷重検知センサ22へ適切に入力する(バンパリインフォースメント14前壁16の補強部16Aでない部分にタッチセンサ26や荷重検知センサ22が設けられた場合には、当該前壁16の補強部16Aでない部分が車両後側へ変形されて(特にバンパリインフォースメント14の車幅方向端部の湾曲部分において車両後側へ変形され易い)、バンパ10へ入力する荷重がタッチセンサ26や荷重検知センサ22へ適切に入力しない)。これにより、タッチセンサ26が適正なタイミングでOFF状態からON状態にされると共に、荷重検知センサ22が適正な荷重値を検知でき、タッチセンサ26及び荷重検知センサ22の検知性能を安定化させることができる。
【0023】
さらに、上から2番目の荷重検知センサ22の車両前側に剛体である(収縮されない)荷重伝達板24を介して(剛体でないアブソーバ28等を介さないで)タッチセンサ26が設けられている。このため、車両が前面衝突してバンパ10へ荷重が入力する際には、バンパ10へ入力する荷重がタッチセンサ26から当該荷重検知センサ22へ適切に入力する(荷重検知センサ22の車両前側でない荷重伝達板24の部分にタッチセンサ26が設けられた場合には、当該荷重検知センサ22の車両前側でない荷重伝達板24の部分が車両後側へ変形されて、バンパ10へ入力する荷重がタッチセンサ26及び荷重検知センサ22へ適切に入力しない。特に、荷重伝達板24が車両後側へ変形してバンパリインフォースメント14の前壁16に接触した際には、その分荷重検知センサ22へ荷重が入力しない)。これにより、タッチセンサ26が一層適正なタイミングでOFF状態からON状態にされると共に、当該荷重検知センサ22が一層適正な荷重値を検知でき、タッチセンサ26及び当該荷重検知センサ22の検知性能を一層安定化させることができる。
【0024】
なお、本実施の形態では、バンパリインフォースメント14の前壁16に補強板20を結合して補強部16Aを設けた構成としたが、バンパリインフォースメント14の前壁16の肉厚を厚くして補強部16Aを設けた構成としてもよい。
【0025】
また、本実施の形態では、上から2番目の荷重検知センサ22の車両前側にタッチセンサ26を設けた構成としたが、上から1番目の荷重検知センサ22の車両前側にタッチセンサ26を設けた構成としてもよい。
【0026】
さらに、本実施の形態では、荷重検知センサ22の車両前側に荷重伝達板24を介してタッチセンサ26を設けた構成としたが、荷重検知センサ22の車両前側に直接タッチセンサ26を設けた構成としてもよい。
【0027】
また、本実施の形態では、本発明のバンパ構造を車両前端のバンパ10に適用した構成としたが、本発明のバンパ構造を車両後端のバンパに適用した構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態に係るバンパを示す車両左側から見た断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るバンパの車両前面衝突時の状態を示す車両左側から見た断面図である。
【符号の説明】
【0029】
10 バンパ
14 バンパリインフォースメント
16A 補強部
22 荷重検知センサ(検知手段、第1検知手段)
24 荷重伝達板(剛体)
26 タッチセンサ(検知手段、第2検知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のバンパに設けられたバンパリインフォースメントと、
前記バンパリインフォースメントに設けられ、前記バンパリインフォースメントを補強する補強部と、
前記補強部の車両外側に設けられ、前記バンパへ入力する荷重又は圧力を検知する複数の検知手段と、
を備えたバンパ構造。
【請求項2】
車両のバンパに設けられたバンパリインフォースメントと、
前記バンパリインフォースメントの車両外側に設けられ、前記バンパへ入力する荷重又は圧力を検知する第1検知手段と、
前記第1検知手段の車両外側に直接又は剛体を介して設けられ、前記バンパへ入力する荷重又は圧力を検知する第2検知手段と、
を備えたバンパ構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2006−321442(P2006−321442A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−148382(P2005−148382)
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)