説明

バンパ衝突試験装置

標準化バンパ試験は、車両バンパの衝撃強さ及び係合を試験するようになっているバリアを備える。本発明の改良は、「一般的な」車両バンパのプロフィール及び圧潰特性を再現するためにバリアに取り付けられた第1熱成形部品及び/又は第2熱成形部品を備える。第1表面部品は、衝撃吸収用の圧潰箱形部分を有するエネルギー吸収部品であって、エネルギー吸収体を再現する。第2部品は、第1部品を覆い、ファシアを再現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[背景]
本発明は、バンパ衝突試験装置であって、振り子形又は静止形バリア等の衝突バリアが、車両バンパの衝突面に、よりうまく類似するように変更されている、バンパ衝突試験装置に関する。
【0002】
本出願は、米国特許法第119条(e)項に基づいて、2004年7月1日に出願された「BUMPER IMPACT-TESTING DEVICE(バンパ衝突試験装置)」と題する米国特許仮出願番号第60/584,510号の利益を主張し、この仮出願の内容全体は、本明細書に全面的に援用される。
【0003】
車両バンパ試験は、米国連邦自動車安全基準及び関連の自動車保険協会の評定及び基準の重要な部分である。近年では、政府の規制当局及び保険業協会が、低速衝突で車両バンパ係合の安定性を、よりうまく測定する試験を必要としている(2004年3月8日付けの「Important Considerations in the Development of a Test to Promote Stable Bumper Engagement in Low-Speed Crashes(低速衝突において安定的なバンパ係合を促進するための試験の開発における重要な考察)」と題するSAE技術論文(Technical paper)2004−01−1319を参照されたい)。その目標は、車両対車両の衝突を(既存の)標準化衝突バリアにおいて、「現実世界での」前端(又は後端)衝突、たとえば一方の車両のバンパが別の車両のバンパの上へ(又は下へ)垂直方向に滑る可能性がある衝突による車両の損傷を、よりうまく再現するような状態で試験することができる試験装置を開発することである。上記のSAE論文では、さまざまなエネルギー吸収体を標準化バリアの表面に取り付けて、試験を行って試験結果を分析した。しかしながら、さらなる改良が望まれる(SAE論文2004−01−1319の10ページ第2欄第24〜26行「特定形状のバリア及び変形可能な部品のさらなる研究及び開発が必要であり、・・・」を参照されたい。)
【0004】
重要な点として、SAE論文2004−01−1319に報告されている試験は、標準化バリア上にファシア再現部品を提供していなかった。ファシア再現部品がないことは、第1バンパが第2バンパの上へ(又は下へ)滑る力学に大きな影響を与え、且つエネルギー吸収体の圧壊及び車両損壊の程度の両方に大きな影響を与える可能性がある。同時に、ファシア再現部品が望まれても、試験後に標準化バリアを分解することなく、エネルギー吸収体に対する目視的にアクセスできることが望ましい。また、さまざまなエネルギー吸収体の、衝突バリアへの取り付けは標準化されておらず、さまざまな生産品のエネルギー吸収体の各々での取り付け位置が、それらの後面形状と同様に異なるので、その取り付けは、最初に思ったより困難であろう。取り付け及び後面支持部の両方が、エネルギー吸収体の性能及びその機能に大きく影響する可能性がある。これらのジレンマに対する解決策は、SAE論文2004−01−1319にまったく提案されていなかった。さらに、SAE論文は、工具費、材料費及びバンパ試験設備用の保管費用等のコスト問題に取り組んでいなかった。少なくとも1つの企業が、バリア衝突試験機の表面に付着させたハニカムアルミニウム(たとえば、CellBond(登録商標)材料)の使用を提案している。しかしながら、この材料は高価であるとともに、或る形状に機械加工又は切断したとき、鋭利なエッジを含む。また一旦付着すると、バリア衝突試験機の、容易に取り除くことができない「永久」部分になる。また、ブラケットの溶接及び/又は衝突バリアの他の永久的な変化は、コスト以外に、ファシア再現が必要ない、又は望ましくない他のバンパ試験に影響を与えるか、又はそれを妨げる可能性があるので、望ましくない。
【0005】
図示のバリア21(図2〜図4)は、従来技術の標準化試験機である。それは、振り子形支持部又は静止形アンカーに取り付けられるベース取り付け板26と、1対の支持壁27と、空力車両バンパをほぼ表す、垂直方向に平坦且つ水平方向に湾曲した前面板28とを備える。バリアを使用する手順は既知であり、米国標準試験方法(ASTM)マニュアルに詳細に説明されている。低速の2車両バンパ間衝突中に、一方の車両バンパが別の車両バンパの上方又は下方に「滑る」ことによる損傷を決定する目的で、標準化試験を車両に実施することができるように、車両の前(又は後)バンパをよりうまく再現する構造を提供することによってバリア21及び他の同様なバリアを改良することが望ましい。同時に、そのような解決策のいずれも、多数の試験(たとえば、年間8000件超)に対応するためや、試験に使用できる限られた予算や、政府、保険業界、自動車機器製造元及び独立した車両試験施設に対するコスト圧力のため、低コストであるという現実的な必要に対処しなければならない。また、システムは、使用が容易でなければならず、好ましくは接着剤又は永久的取り付け手段を使用すべきでない。
【0006】
したがって、上記利点を有するとともに、上記問題を解決する修正形バンパ衝突試験装置が望まれる。特に、ファシアのような部材をバリア試験機に組み込むことができるが、内部部品の変形を含めた試験結果の「読み取り」及び目視検査の可能性の妨害又は混乱を生じないとともに、過大なコストや保管の問題を生じない標準化バリア試験システムが望まれる。また、異なるスイープ半径を有するバリアに使用することができる単一の低コストエネルギー吸収体が望まれる。
【0007】
[本発明の概要]
本発明の一態様では、車両バンパの衝突試験用のバンパバリア試験装置は、車両バンパの衝撃強さを試験するようになっている標準化バリアと、バリアに取り付けられた少なくとも1つの熱成形バリア表面カバー部品とを備える。
【0008】
本発明の別の態様では、車両バンパの衝突試験用のバンパバリア試験装置は、車両バンパの衝撃強さを試験するようになっている標準化衝突バリアと、バリアの表面に取り付けられるように構成され、且つバンパファシアのプロフィールを再現する凹面形状を有するプラスチックバリア表面カバー部品とを備える。
【0009】
本発明の別の態様では、車両バンパの低速衝突を試験するためのバンパバリア試験装置は、車両バンパの衝撃強さを試験するようになっている重量バリアと、バリアの表面に係合するエネルギー吸収体と、エネルギー吸収体を覆う熱成形表面カバー部品であって、バリアに取り付けられ、且つエネルギー吸収体にはめ合い係合してそれを所定位置に保持する凹面形状を有する熱成形表面カバー部品とを有する。
【0010】
本発明の別の態様では、車両バンパの衝突試験を行うためのバンパバリア試験装置は、車両バンパの衝撃強さを試験するようになっている標準化バリアと、バリアの表面上に位置付けられたエネルギー吸収体であって、圧潰箱形部分、及び隣接した圧潰箱形部分を相互連結する材料を有するエネルギー吸収体とを備える。より狭い形では、キャビティを設けたホルダであって、キャビティは、エネルギー吸収体を受け取って保持し、且つ離間配置されてバリアに取り外し可能に取り付けることができるようにする取り付けフランジを有する、ホルダも設けられている。
【0011】
本発明のさらに別の態様では、車両バンパの衝突試験を行うためのバンパバリア試験装置は、車両バンパの衝撃強さを試験するようになっている標準化バリアと、バリアの表面上に位置付けられたエネルギー吸収体と、キャビティを設けたホルダであって、キャビティは、エネルギー吸収体を受け取って保持し、且つ離間配置されてバリアに取り外し可能に取り付けることができるようにする取り付けフランジを有する、ホルダとを備える。
【0012】
上記のものに関連する方法も、本発明の概念の一部を形成する。
【0013】
本発明の目的は、車両バンパシステム用のバリア衝突試験機に取り外し可能に取り付けられるエネルギー吸収体を提供することである。
【0014】
本発明の目的は、たわんで、異なるスイープ半径を有する車両バンパシステム用のバリア衝突試験機に取り付けることができるエネルギー吸収体を提供することである。
【0015】
本発明の上記及び他の態様、目的及び特徴は、以下の明細書、添付の特許請求の範囲及び添付図面を検討すれば、当業者によって理解され、且つ評価されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[好適な実施形態の詳細な説明]
バンパバリア試験機20(図1)は、車両バンパの衝撃強さを試験するようになっている標準化バリア21(図2)(本明細書では「バリア衝突試験機」とも呼ぶ)と、「一般的な」車両バンパのプロフィール及び機能を再現するためにバリア21に取り付けられた第1バリア表面部品22及び第2バリア表面部品23(図1)とを備える。第1表面部品22(本明細書では「エネルギー吸収体」とも呼ぶ)は、乗用車のバンパシステムのエネルギー吸収体を再現する熱成形エネルギー吸収部品である。一般的に、車両バンパの衝突試験における所望の圧潰強度は、約344,700Pa〜517,100Pa(約50psi〜75psi)であり、エネルギー吸収部品22は、この所望の衝撃強さを達成することができる材料、厚さ及び形状で作製される。第2部品23は、車両のファシアを再現するように、エネルギー吸収体模擬部品22及びバリア21を覆う熱成形ファシア模擬カバー部品である。第2熱成形カバー部品23は、バリア上の比較的簡単なC字形部品であることができると考えられる。任意選択であるが、カバー部品23は、エネルギー吸収体に対する目視アクセス(すなわち、第1エネルギー吸収部品22に対する目視アクセスであって、これは試験後の検査を可能にする)を可能にするように形成される。本明細書で使用する「バリア」という表現は、静止式(たとえば壁形バリア)又は可動式(たとえば、振り子形バリア)の任意の試験装置を意味するように、幅広く解釈されると考えられる。
【0017】
本発明は、シート状の熱可塑性材料、好ましくは高密度ポリエチレン(HDPE)から作製された熱成形部品を用いることによって改善された試験の要望に対処する。熱成形は、高分子シートを加熱し、マンドレル上に引き降ろし、次に冷却してその新しい形を保持する処理である。好都合にも、熱成形部品は、低コストであるとともに短い調達時間で迅速に作製されることができる工具から形成されることができる。したがって、部品22及び23は、それらが少量且つ多種多様の異なる形を有するにもかかわらず、迅速に低コストで作製されることができる。ツーリング(tooling)を変化させることなく、圧潰負荷を変更することも可能である。より高い圧潰負荷に対しては、より厚いシートを使用する。より低い圧潰負荷に対しては、より薄いシートを使用する。また、被試験部材22及び23は容易にリサイクルされて、新しい部品にされることができる。
【0018】
図示のエネルギー吸収体模擬熱成形部品22(図1)は、バリア21の湾曲前板28に当接するベース壁30を有する。ベース壁30から前方に延出する異なった形状の複数の圧潰箱形部分31A〜31Dが示されているが、部品22の特定の要件しだいで、圧潰箱形部分のすべてが同一又は同様の寸法、形状及び高さであってもよいと考えられる。特に、後述する部品22A(図6)を参照されたい。部品22では、図示の圧潰箱形部分31A〜31Dの各々が、中空の三次元形状を形成する前壁、上壁、底壁及び側壁を有する。圧潰箱形部分31A〜31Dは、バンパシステムの望ましい三次元曲線状前部形状(本明細書では「スイープ曲線」又は「長手方向湾曲」とも呼ぶ)を与え、且つそれらが再現しようとする領域強さ及び力−たわみ吸収曲線を与えるように配置される。図示の部品22は、ビーム21の垂直寸法に等しい高さに制限され、さらに長さが、ビーム21の幅寸法に等しい幅に制限される。しかしながら、再現中である特定の「一般的な」バンパシステムしだいで、エネルギー吸収体模擬熱成形部品22を垂直方向及び長手方向にバリア21より大きく、又は小さくすることができると考えられる。部品22は、バリア21に取り付けるためのフランジを備えることができる(図1Aの破線を参照)、或いは、後述するように、第2部品23によってバリア21の表面に当接した状態に保持されることができる。代替として、一体型押しピン締結具(時には「クリスマスツリー形締結具」と呼ばれる)又は合わせ押しピン締結具38’(図1)(本体と、穴に挿入した後に締結具の脚部を広げるためのリベット様の押しピン芯とを有する)によって、エネルギー吸収部品22及びカバー部品23をバリア衝突試験機に保持することができる。特に、締結具は、部品22及び/又は23の上部又は底部内へ垂直方向に延出する(図1)ことができる、或いは、位置38A(図7A及び図14)等で部品22の前壁を貫通することができる。そのような締結具は当該技術分野では既知であり、市販されている。締結具は、部品22及び/又は23の穴又はスロット(又はスリット)を貫通して、バリア衝突試験機の表面又は他の面の穴に延在する。締結具は、着脱が容易であるが、確実な保持を行う。
【0019】
ファシア模擬熱成形部品23(図1)は、エネルギー吸収体模擬熱成形部品22を覆い、且つそれをバリア21の表面に当接した状態で保持するような形状になっている。具体的に言うと、ファシア模擬熱成形部品23は、バリア上に使用されている「一般的な」バンパシステムの前部プロフィールを再現するように形成された前壁35を有し、さらに、バリア21上の上部底部取り付け位置38及び底部取り付け位置39に連結されるように後方に延出した上壁36及び底壁37を有する。衝突試験中に滑ることができる(それによって締結具又は吸収体材料のせん断を防止する)ように、取り付け位置38及び39をスロットにすることができる、或いは、より確実且つ固定的な保持を行うために、位置38及び39を穴にすることができると考えられる。図示の部品23は、比較的矩形の断面を有するとともに、わずかに湾曲した長手形状を有する。しかし、その形状は、より尖った中央「ノーズ」又はより丸みがついた中央「ノーズ」(垂直方向又は水平方向)を有するバンパシステムを含めて、バンパシステムのプロフィールを再現する任意の形状であることができることに注意されたい。
【0020】
好ましくは、エネルギー吸収体模擬熱成形部品22の前面は、ファシア模擬熱成形部品23の後面に似ている。そのため、2つの部品がはめ合い係合し、それにより、再現中の「一般的な」バンパシステムに似たエネルギー吸収特性を、衝突中のエネルギー吸収体模擬熱成形部品22上でのファシア模擬熱成形部品23の垂直方向滑りを含めて、与えることができる。エネルギー吸収体22及び部品23は、それらの使用を容易にするために、さまざまな方法でバリア21に簡単且つ迅速に取り付けられることができる。たとえば、ピン形締結具(一体形又は合わせ形)をエネルギー吸収部品22及び/又はカバー部品23の穴に挿通して、バリア衝突試験機の穴に差し込むことができる。また、エネルギー吸収部品22上へのカバー部品23のはめ合い係合は、保持を行うために摩擦嵌合する表面を有することができる。コーナー衝突試験を行う場合、第1試験の後、エネルギー吸収体22(おそらくは部品23も)をひっくりかえして端部同士を入れ換えて、それによって第2コーナー衝突試験用に再利用することができる。特に、本システムでは、部品22及び23を使用するためにバリア21にブラケット及びマウントを追加する必要がまったくなく、そのため、本発明の衝突バリア21をすべての既存の試験手順に使用し続けることができる。
【0021】
図5及び図6は、別の可撓性エネルギー吸収体模擬部品22A(本明細書では「エネルギー吸収体」とも呼ぶ)の上面図及び斜視図である。このエネルギー吸収体22Aは、部品22に似ており、また部品22のように、たわんで、異なるスイープ半径を有するバリア衝突試験機に取り付けられるようになっている。(図1Bを参照されたい。)エネルギー吸収部品22Aは長手方向にたわむことができるが、それが上下縁部に沿って短い縁部フランジ47Aを有することに注意されたい。フランジ47Aは、バリア試験機21Aの表面上でのエネルギー吸収部品22Aの安定化を助ける。必要ならば、フランジ47Aにノッチを付け、それにより、長手方向屈曲時、又は部品22Aの「スイープ半径の変更」時の座屈応力を減少させることができる。「スイープ半径」という表現は、上面図(図6)で最もわかりやすいように、バンパの長手方向湾曲又は空力形状のことを言う。
【0022】
図7〜図9は、図5のエネルギー吸収体の圧潰箱形部分の上面図、底面図及び側面図であって、圧潰箱形部分31Eの箱形の性質、及び結果として得られるそれらのエネルギー吸収能力を示す。各圧潰箱形部分31Eは、所望のレベルの耐衝撃性を与え、より具体的には、所望の力−たわみ曲線を与えるようになっている。たとえば、一形式のよく望まれる衝撃吸収プロフィールが、衝突ストロークの初期部分中に急激にほぼ高エネルギー吸収レベルまで(スパイクなしで)上昇し、衝突シーケンスのストローク全体にわたってそのエネルギー吸収レベルを維持する、力−たわみ曲線で実現される。別の所望の力−たわみ曲線は、歩行者の安全を向上させる(すなわち、圧潰に対する初期抵抗を低くすることによって歩行者の負傷を軽減する)ために、より低い初期エネルギー吸収部分を有してもよい。単一の圧潰箱形部分31E(「ポッド」とも呼ぶ)の一般的な力−たわみ曲線は、約344,700Pa〜517,100Pa(約50psi〜75psi)である。図示のエネルギー吸収部品21では、水平二列の圧潰箱形部分31Eが設けられている。圧潰箱形部分31Eの壁は、熱成形処理を容易にするのに望ましい任意の抜き勾配を有することができるが、好ましくはそれらは予想衝突方向と比較的一直線に並ぶように保持される。図8に示すように、上側及び下側圧潰箱形部分31E(及び/又は隣接の圧潰箱形部分)を構造体45Aで一体状に連結することができる。圧潰箱形部分31Eの壁に波形46Aが形成されている。波形は、予想衝突方向に平行に延びる直線チャネル及びリッジを形成し、且つ予想衝突方向に対して垂直方向に波形曲線を形成し、それにより、それらは予想衝突方向において壁を補剛し、且つ安定させる。
【0023】
図11は、図5に示されたエネルギー吸収体22Aであって、バリア衝突試験機21の前面上に位置付けられているエネルギー吸収体22Aの上面図である。図示の圧潰箱形部分31Aは異なる高さを有し、それにより、エネルギー吸収体22Aの前部が、それを取り付けるバンパ衝突試験機の前部より大きいスイープ(すなわち、小さいスイープ半径)を画定している。(図11の破線は、圧潰箱形部分の高さが均一であるエネルギー吸収体を使用した場合の試験装置の前面を表す。)図12は、図11の装置の上面図であるが、(部品23と同様な)ファシア模擬部品23Aがエネルギー吸収体の周囲に取り付けられて、エネルギー吸収体を覆い、且つバリア衝突試験機21Aの表面を部分的に覆っている。図示のファシア模擬部品23A(図16)は、バリア試験機21に取り付けるために取り付けピンを受け取るためのスロット38Aと、或る程度の長手方向可撓性を与えるためにその上壁及び底壁36A内に設けられたノッチ48Aとを有する。
【0024】
図13及び図14は、それぞれ図12及び図11の斜視図であり、図15〜図17は、図12に示されたファシア模擬部品23Aの正面図、上面図及び端面図である。(図17は、ファシア模擬カバー部品23Aの縦断面図であって、比較的矩形のプロフィールを示す実線を含む。また、非垂直前面を有する圧潰箱形部分を備えるエネルギー吸収部品と一致する形状にした変更断面形状の前壁を示す破線も含む。)図18及び図19は、図11及び図12のエネルギー吸収体部品22A及びカバー部品23Aを壁取り付け型衝突試験機21Aに取り付けたところを示す図である。
【0025】
本発明の概念から逸脱しない限り、上記構造体に変化及び修正を加えることができることを理解されるべきであり、また、そのような概念は、添付の特許請求の範囲が別段にその文言で否であることを明記しない限り、これらの特許請求の範囲に包含されるものとすることを理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】標準化バリアの表面に取り付けられて係合している、第1熱成形エネルギー吸収体模擬部品及び第2熱成形ファシア模擬カバー部品を備えるバンパバリア衝突試験装置の斜視図である。
【図1A】説明のためにエネルギー吸収部品が4つの異なる形状の圧潰箱形部分を有する、第1部品及び第2部品の分解斜視図である。
【図1B】標準化バリア上に位置付けられた熱成形エネルギー吸収体部品、及び分解されたファシア模擬カバー部品を備える別のバンパバリア衝突試験装置の斜視図である。
【図2】上記の従来型標準化バリアの上面図である。
【図3】上記の従来型標準化バリアの正面図である。
【図4】上記の従来型標準化バリアの端面図である。
【図5】たわんで、異なるスイープ半径を有するバリア衝突試験機に取り付けられるようになっている可撓性エネルギー吸収体部品の正面図である。
【図6】たわんで、異なるスイープ半径を有するバリア衝突試験機に取り付けられるようにした可撓性エネルギー吸収体部品の斜視図である。
【図7】図5のエネルギー吸収体部品の圧潰箱形部分の上面図である。
【図7A】端部位置の圧潰箱形部分の上面図である。
【図8】図5のエネルギー吸収体部品の圧潰箱形部分の底面図である。
【図9】図5のエネルギー吸収体部品の圧潰箱形部分の側面図である。
【図10】バリア衝突試験機の前面上に位置付けられた、図5に示されているエネルギー吸収体部品の上面図である。
【図11】バリア衝突試験機の前面上に位置付けられた、図5に示されているエネルギー吸収体部品の上面図であって、エネルギー吸収体部品をよりわかりやすく示すために、ファシア模擬カバー部品を取り除いており、またエネルギー吸収体部品が異なる前部形状を有することができることを示す(破線及び仮想線を比較されたい)図である。
【図12】図10の装置であるが、エネルギー吸収体部品をバリア衝突試験機の表面上に保持するために、異なったファシア模擬カバー部品をエネルギー吸収体の周囲に取り付けた装置の上面図である。
【図13】図12の斜視図である。
【図14】図11の斜視図である。
【図15】図12及び図13に示されたファシア模擬カバー部品の正面図である。
【図16】図12及び図13に示されたファシア模擬カバー部品の上面図である。
【図17】図12及び図13に示されたファシア模擬カバー部品の端面図であって、代替の前部プロフィール(仮想線)も示す図である。
【図18】標準化バリア衝突試験機上に取り付けられたエネルギー吸収体部品及びカバー部品の上面図である。
【図19】標準化バリア衝突試験機上に取り付けられたエネルギー吸収体部品及びカバー部品の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両バンパの衝撃強さを試験するようになっている標準化バリアを用いて、車両バンパの衝突試験を行うバンパバリア試験装置において、
前記バリアの表面を変更するために該バリアに取り付けられた少なくとも1つの熱成形部品を有する改良。
【請求項2】
前記少なくとも1つの熱成形部品は、設計圧潰負荷及び特性を有する成形エネルギー吸収体を再現するように構成されるエネルギー吸収体模擬第1熱成形部品を含む、請求項1に記載の改良。
【請求項3】
前記少なくとも1つの熱成形部品は、前記第1熱成形部品を覆うとともに車両ファシアを再現するファシア模擬第2熱成形部品を含む、請求項2に記載の改良。
【請求項4】
前記第2熱成形部品を通る縦断面は、その前壁上に非対称的な前面を有する、請求項3に記載の改良。
【請求項5】
前記ファシア模擬第2熱成形部品は、下側の目視アクセスが可能であるように離間配置された取り付けフランジを有する、請求項4に記載の改良。
【請求項6】
車両ファシアを再現するファシア模擬部品を含む、請求項1に記載の改良。
【請求項7】
前記ファシア模擬部品は、縦断面に沿って比較的平坦であるが水平断面に沿って湾曲している前面を有する前壁を有する、請求項6に記載の改良。
【請求項8】
前記ファシア模擬部品は、透視可能な材料で作製される、請求項6に記載の改良。
【請求項9】
前記少なくとも1つの熱成形部品は、エネルギー吸収部品を含み、
前記ファシア模擬部品は、該エネルギー吸収部品を前記バリア上に保持する、請求項6に記載の改良。
【請求項10】
前記ファシア模擬部品及び前記エネルギー吸収体模擬部品は、はめ合い係合し、且つ断面が非平面的な前側垂直壁を有する、請求項9に記載の改良。
【請求項11】
前記少なくとも1つの熱成形部品の凹面側にはめ合い係合するような形状を有する射出成形エネルギー吸収体部品を含む、請求項1に記載の改良。
【請求項12】
前記熱成形部品を前記バリアに固定する押しピン締結具を含む、請求項1に記載の改良。
【請求項13】
車両バンパの衝撃強さを試験するようになっている重量バリアを有する、車両バンパの低速衝突試験を行うバンパバリア試験装置において、
前記バリアの表面に係合するエネルギー吸収体と、
該エネルギー吸収体を覆う熱成形表面カバー部品であって、前記バリアに取り付けられ、且つ前記エネルギー吸収体にはめ合い係合して該エネルギー吸収体を所定位置に保持する凹面形状を有する、熱成形表面カバー部品と
を含む改良。
【請求項14】
前記エネルギー吸収体は、熱成形部品である、請求項13に記載の改良。
【請求項15】
車両バンパの衝撃強さを試験するようになっている標準化バリアを用いて、車両バンパの衝撃強さを試験する方法であって、その方法の改良は、
エネルギー吸収部品を前記バリアの表面に当接させるステップと、
表面カバー部品を前記バリアに取り付けるステップであって、該表面カバー部品は、凹面形状を有し、且つ前記エネルギー吸収体を前記バリアに保持する、表面カバー部品を前記バリアに取り付けるステップと、
車両バンパを衝突させるステップであって、それにより、衝突時の少なくとも1つの性能特性を決定する、車両バンパを衝突させるステップと
を含む、車両バンパの衝撃強さを試験するようになっている標準化バリアを用いて、車両バンパの衝撃強さを試験する方法。
【請求項16】
シート材料から前記表面カバー部品を熱成形するステップを含む、請求項15に記載の改良された方法。
【請求項17】
前記表面カバー部品は、透視可能な材料で作製されており、
該透視可能な材料を通して見ることによって、少なくとも部分的に試験結果を分析するステップを含む、請求項16に記載の改良された方法。
【請求項18】
車両バンパの衝撃強さを試験するようになっている標準化バリアを有する、車両バンパの衝突試験を行うバンパバリア試験装置において、
前記バリアの表面上に位置付けられたエネルギー吸収体であって、圧潰箱形部分と、隣接した圧潰箱形部分を相互連結する可撓性材料とを有するエネルギー吸収体を含む改良。
【請求項19】
キャビティを設けたホルダであって、該キャビティは、前記エネルギー吸収体を受け取って保持し、且つ離間配置されて前記バリアに取り外し可能に取り付けることができるようにする取り付けフランジを有する、ホルダを含む、請求項17に記載の改良。
【請求項20】
車両バンパの衝撃強さを試験するようになっているバリアを有する、車両バンパの衝突試験を行うバンパバリア試験装置において、
前記バリアの表面上に位置付けられたエネルギー吸収体と、
キャビティを設けたホルダであって、該キャビティは、前記エネルギー吸収体を受け取って保持し、且つ離間配置されて前記バリアに取り外し可能に取り付けることができるようにする取り付けフランジを有する、ホルダと
を含む改良。

【図1】
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【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図7A】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2008−505341(P2008−505341A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520345(P2007−520345)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/022813
【国際公開番号】WO2006/007494
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(507005090)ネットシェイプ・エナジー・マネージメント・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (6)
【氏名又は名称原語表記】NETSHAPE ENERGY MANAGEMENT LLC
【住所又は居所原語表記】39625 Lewis Drive, Suite 600, Novi, Michigan 48377, United States of America