説明

バーコードシンボルの読み取り装置

【課題】秘匿性情報が流出する虞がほとんど皆無であるバーコードシンボル専用の読み取り装置として使用することで、安全性の極めて高い情報システムを構築することが可能になるバーコードシンボルの読み取り装置を提供する。
【解決手段】紫外線下でのみ視認可能な印刷液で印刷された鍵情報3と、鍵情報3によって暗号化及びバーコード変換された本データ2から成るバーコードシンボル1の読み取り装置であり、バーコードシンボル1に光線を照射し反射して戻る光線を受けてバーコードシンボル1の本データ2を読み取るバーコードリーダ部と、バーコードシンボル1に向けて紫外線を照射して励起発光させることで鍵情報3を視認可能とする紫外線LEDと、この紫外線照射により視認可能となった鍵情報3が入力されて、この入力された鍵情報3に基づいてバーコードリーダ部で読み取った本データを復号化して出力する制御部を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造業者や商品名などの情報を表示するのに用いる一次元バーコードシンボルや二次元バーコードシンボルなどのバーコードシンボルの読み取り装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記した製造業者や商品名などの情報が入ったバーコードシンボルには、一次元バーコードシンボル及び二次元バーコードシンボルがあるが、大容量で且つ省スペースの高速読み取り可能な二次元バーコードシンボルが広く普及するようになり、最近では、この二次元バーコードシンボルを携帯電話でも読み取ることができるようになっている。
このような二次元バーコードシンボルの場合、比較的容易に読み取ることができるので、秘匿性のある情報を入れることはできない。
【0003】
近年、二次元バーコードシンボルにおいて、公開情報及び非公開情報を分けて入れたセキュリティーバーコードシンボルが出現しており、このバーコードシンボルでは、公開情報と一緒に入れた鍵情報に基づいて解読処理を行うことで、非公開情報を読み取ることができるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2008−299422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記した非公開情報入りの二次元バーコードシンボルでは、この非公開情報を読み取るための鍵情報が公開情報と一緒に表示されていることから、この鍵情報が解読される可能性がないとは言えず、万が一鍵情報が解読された場合には、非公開情報が一般の読み取り装置や携帯電話によって容易に読み取られてしまう危険性があるという問題を有しており、この問題を解決することが従来の課題となっていた。
【0005】
本発明は、上記した従来の課題に着目して本発明者が開発したバーコードシンボル、すなわち、秘匿性情報が流出する虞がほとんど皆無であるバーコードシンボル専用の読み取り装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る発明は、可視光下において視認不能で且つ紫外線(望ましくは波長が365nm程度の紫外線)下においてのみ視認可能な印刷液で印刷された鍵情報と、この鍵情報によって暗号化されてバーコード変換された非公開データを含む商品情報や個人情報などの本データから成るバーコードシンボルの読み取り装置であって、バーコードシンボルに光線を照射すると共に、該バーコードシンボルで反射して戻る光線を受けてバーコードシンボルの前記本データを読み取るバーコードリーダ部と、前記バーコードシンボルに向けて紫外線を照射して励起発光させることで前記鍵情報を視認可能とする紫外線照射部と、この紫外線照射部による紫外線照射により視認可能となった前記鍵情報が入力されて、この入力された鍵情報に基づいて前記バーコードリーダ部で読み取った本データを復号化して出力する制御部を備えている構成としたことを特徴としており、このバーコードシンボルの読み取り装置の構成を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
【0007】
また、本発明の請求項2に係るバーコードシンボルの読み取り装置において、前記制御部は、入力された視認可能となった鍵情報に対してデータ識別用固定キーによる復号化を行って最終鍵情報を作成し、この最終鍵情報に基づいて前記バーコードリーダ部で読み取った本データを復号化して出力する構成としている。
さらに、本発明の請求項3に係るバーコードシンボルの読み取り装置において、前記紫外線照射部は、前記バーコードリーダ部が前記バーコードシンボルの本データを読み取った段階で自動的に一定時間作動して前記バーコードシンボルに向けて紫外線を照射する構成としている。
【0008】
ここで、本発明者が開発したバーコードシンボルは、本データを読み取るための鍵情報が、可視光下において視認不能で且つ紫外線(望ましくは波長が365nm程度の紫外線)下においてのみ視認可能な印刷液で印刷されていることから、通常の読取装置や携帯電話によってこの鍵情報が解読される可能性がほとんどなく、したがって、秘匿性情報が読み取られる懸念を払拭し得ることとなる。
【0009】
このようなバーコードシンボルに対して、本発明に係る読み取り装置では、バーコードリーダ部によるバーコードシンボルの本データの読み取りが完了した後、紫外線照射部を作動させてバーコードシンボルに向けて紫外線を照射させると、紫外線下においてのみ視認可能な印刷液で印刷された鍵情報が励起発光して視認可能となる。
そして、この視認可能となった鍵情報を、例えば、操作者がキーボードなどの入力手段を用いて制御部に入力すると、制御部において、鍵情報に基づいてバーコードリーダ部で読み取った本データを復号化して開示可能な情報に変換するので、本発明に係る読み取り装置を用いた場合のみ、上記バーコードシンボルに入っている本データの内容を知り得ることとなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に係るバーコードシンボルの読み取り装置は、上記した構成としていることから、秘匿性情報が流出する虞がほとんど皆無であるバーコードシンボル専用の読み取り装置として使用することで、安全性の極めて高い情報システムを構築することが可能になるという非常に優れた効果がもたらされる。
また、本発明の請求項2に係るバーコードシンボルの読み取り装置では、鍵情報をデータ識別用固定キーにより復号化することで、最終鍵情報を作成するようにしているので、読み取り時における安全性のより一層の向上を実現することが可能になるという非常に優れた効果がもたらされる。
【0011】
さらに、本発明の請求項3に係るバーコードシンボルの読み取り装置では、上記した構成としていることから、読み取り時における操作性の向上をも実現することが可能になるという非常に優れた効果がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係るバーコードシンボルの読み取り装置を図面に基づいて説明する。
図1〜図3は、本発明に係るバーコードシンボルの読み取り装置の一実施形態を示しており、図4は、本発明者がこのバーコードシンボルの読み取り装置とともに開発したバーコードシンボルを示している。
図4(a)に示すように、このバーコードシンボル1は、ラベルLに印刷された二次元バーコードシンボルであって、非公開データを含む商品情報や個人情報などの本データ2を有しており、この本データ2は、鍵情報によって暗号化されてバーコード変換された状態で表示されている。
【0013】
上記鍵情報は、可視光下において視認不能で且つ波長が365nm程度の紫外線下においてのみ視認可能な印刷液で印刷してあり、図4(b)に示すように、「69」の数値情報3に変換されて上記本データ2に重ねた状態で印刷されている。
このようなバーコードシンボル1を読み取るバーコードシンボルの読み取り装置10は、図1及び図2に示すように、バーコードシンボル1に光線を照射すると共に、該バーコードシンボル1で反射して戻る光線を受けてバーコードシンボル1の本データ2を読み取るバーコードリーダ部11と、バーコードシンボル1に向けて紫外線を照射して励起発光させることで鍵情報である数値情報3を視認可能とする紫外線LED(紫外線照射部)12と、この紫外線LED12による紫外線照射により視認可能となった鍵情報である「69」の数値情報3が入力されて、この入力された数値情報3に対してデータ識別用固定キーによる復号化を行って最終鍵情報を作成し、この最終鍵情報に基づいてバーコードリーダ部11で読み取った本データ2を復号化して出力する制御部13を備えている。
【0014】
この実施形態において、紫外線LED12は、バーコードリーダ部11の投光側に読み取り光源14及びターゲット光源15とともに体で配置されていて、バーコード読み取り光線及びターゲット光線と同一の方向に紫外線を照射するようになっている。
なお、図1において、符号16は視認可能となった鍵情報である「69」の数値情報3を制御部13に入力する入力手段としてのキーボード部、符号17はキーボード部16による操作内容や読み取り結果を表示する表示部、符号18は読み取り結果を外部へ出力する外部インターフェース部、符号19は電源部である。
【0015】
このバーコードシンボルの読み取り装置10を用いて上記バーコードシンボル1のデータ読み取りを行う場合、図3に示すように、まず、ステップS1において、バーコード読み取りモードにしたバーコードリーダ部11の投光側をバーコードシンボル1に向け、この状態でバーコードリーダ部11の図示しないトリガーボタンを押すと、ターゲット光源15からターゲット光線が投光されると共に読み取り光源14から読み取り光線がそれぞれ投光され、ターゲット光線がバーコードシンボルの中心に合った時点でバーコードシンボル1の暗号化された状態の本データ2の読み取りが完了する。
【0016】
次いで、バーコードシンボル1の本データ2の読み取りが完了した後、キーボード部16又はトリガーボタンの押し操作により、紫外線LED12を点灯させて紫外線をバーコードシンボル1に向けて照射すると、ステップS2において、紫外線を浴びたバーコードシンボル1の鍵情報である「69」の数値情報3が励起発光して視認可能となる。
次に、ステップS3において、操作者がこの数値情報3の「69」の数値をキーボード部16を介して制御部13に入力すると、制御部13では、ステップS4において、数値情報3を予め定めたデータ識別用固定キーで復号して最終鍵情報3Aを作成する。
【0017】
そして、制御部13では、ステップS5において、先にバーコードリーダ部11で読み取った暗号化されたままの本データ2を最終鍵情報3Aで復号化して、開示可能な情報に変換し、続いて、この読み取り結果を表示部17において表示すると共に、外部インターフェース部18を介して外部へ出力する。
上記したバーコードシンボル1では、本データ2を読み取るための鍵情報である「69」の数値情報3が、波長365nm程度の紫外線下においてのみ視認可能な印刷液で印刷されていることから、通常の読取装置や携帯電話によってこの数値情報3(鍵情報)が解読される可能性がほとんどなく、したがって、秘匿性情報が読み取られる懸念を払拭し得ることとなる。
【0018】
このような秘匿性情報が流出する虞がほとんど皆無であるバーコードシンボル1に対して、この実施形態に係る読み取り装置10を用いた場合のみ、該バーコードシンボル1に入っている本データ2の内容を知り得ることとなるので、この実施形態に係る読み取り装置10では、上記バーコードシンボル1とともに安全性の極めて高い情報システムを構築し得ることとなる。
【0019】
また、上記した実施形態では、ステップS4において、数値情報3を予め定めたデータ識別用固定キーで復号して最終鍵情報3Aを作成するようにしているので、読み取り時における安全性のより一層の向上を実現し得ることとなる。
なお、ステップS4の最終鍵情報3Aの作成は、必ずしも必要な処理ではないので、この最終鍵情報3Aの作成処理は省略することができる。
【0020】
本発明に係るバーコードシンボルの読み取り装置の構成は、上記した実施形態に係る読み取り装置10の構成に限定されるものではなく、他の構成として、例えば、紫外線照射部としての紫外線LED12が、バーコードリーダ部11によるバーコードシンボル1の本データ2の読み取りが完了した時点で、自動的に作動して(望ましくは一定時間作動して)バーコードシンボル1に向けて紫外線を照射するような構成を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るバーコードシンボルの読み取り装置の一実施形態を示す構成ブロック図である。
【図2】図1におけるバーコードシンボルの読み取り装置のバーコードリーダ部を簡略的に示す斜視説明図である。
【図3】図1におけるバーコードシンボルの読み取り装置の動作を示すフローチャートある。
【図4】図1におけるバーコードシンボルの読み取り装置に対応するバーコードシンボルの可視光線下での目視状態説明図(a)及び紫外線下での目視状態説明図(b)である。
【符号の説明】
【0022】
1 バーコードシンボル
2 本データ
3 数値情報(鍵情報)
10 バーコードシンボルの読み取り装置
11 バーコードリーダ部
12 紫外線LED(紫外線照射部)
13 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光下において視認不能で且つ紫外線下においてのみ視認可能な印刷液で印刷された鍵情報と、
この鍵情報によって暗号化されてバーコード変換された非公開データを含む商品情報や個人情報などの本データから成るバーコードシンボルの読み取り装置であって、
バーコードシンボルに光線を照射すると共に、該バーコードシンボルで反射して戻る光線を受けてバーコードシンボルの前記本データを読み取るバーコードリーダ部と、
前記バーコードシンボルに向けて紫外線を照射して励起発光させることで前記鍵情報を視認可能とする紫外線照射部と、
この紫外線照射部による紫外線照射により視認可能となった前記鍵情報が入力されて、この入力された鍵情報に基づいて前記バーコードリーダ部で読み取った本データを復号化して出力する制御部を備えている
ことを特徴とするバーコードシンボルの読み取り装置。
【請求項2】
前記制御部は、入力された視認可能となった鍵情報に対してデータ識別用固定キーによる復号化を行って最終鍵情報を作成し、この最終鍵情報に基づいて前記バーコードリーダ部で読み取った本データを復号化して出力する請求項1に記載のバーコードシンボルの読み取り装置。
【請求項3】
前記紫外線照射部は、前記バーコードリーダ部が前記バーコードシンボルの本データを読み取った段階で自動的に一定時間作動して前記バーコードシンボルに向けて紫外線を照射する請求項1又は2に記載のバーコードシンボルの読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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