説明

バーコード表示媒体

【課題】表面にマスク層を設けた場合であっても全体を大型化することなくバーコードを正確に読み取る。
【解決手段】情報表示層の配線や接続端子に対向する領域における状態の変化による色が視認されてしまうことを回避するためにその表面に施されたマスク印刷33を、表示される複数のバー5の並び方向最も外側となる2つのバーから、複数のバー5のうちその幅が最も狭いナローバーの幅の10〜29倍だけ複数のバー5の並び方向外側に離れて設け、(明度L*)+(色度a*)+(色度b*)の値が74以下となる色から構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコードを表示するバーコード表示媒体に関し、特に、表面にマスク層が設けられた場合におけるバーコードの読取精度向上技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、物品を管理するためにバーコードが利用されている。このバーコードは、白色を背景として識別情報を複数本からなる黒色線の幅及び間隔で表したものであり、バーコードリーダで読み取ることにより識別情報を認識することができる。このようなバーコードは、物品に直接印刷されたり、ラベルに印刷されて物品に貼付されたりして利用されている。そのため、一度印刷されたバーコードを変更することができず、バーコードを変更する場合は、物品にバーコードを印刷しなおしたり、変更したバーコードが印刷されたラベルを貼り直したりしなければならない。
【0003】
そこで、対向する電極間に、印加された電位に応じてその状態が変化する表示媒体を配置し、その電極に印加する電位を用いて表示媒体の状態を変化させて情報を表示する情報表示パネルを用いてバーコード表示を行う技術が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。この情報表示パネルにおいては、バーコードを構成するバーのうちその幅が最も狭いバーの幅を有する電極を幅方向に複数並べて配置し、この複数の電極に選択的に電位を印加することにより、表示媒体のその電極に対向する領域の状態を変化させ、白色を背景とし、表示する情報に応じた幅及び間隔で黒色線を表示することになる。
【0004】
上述したような情報表示パネルを用いてバーコードを表示するものにおいては、バーコードを表示するために、複数の電極に選択的に電位を印加することになるため、これら複数の電極にはそれぞれ電位を印加するための配線や接続端子が接続されている必要がある。そして、電極に印加された電位に応じて、表示媒体のその電極に対向する領域の状態が変化して白色や黒色が表示されることになるため、表示媒体の電極に接続された配線や接続端子に対向する領域においても、印加された電位に応じて表示媒体の状態が変化して白色の背景領域に黒色線が表示されてしまうことになる。
【0005】
そこで、上述したような配線や接続端子が設けられた領域の表面に、印刷等によってマスク層を設けておき、それにより、表示媒体の配線や接続端子に対向する領域の状態が、印加された電位によって変化した場合であっても、それが視認されてしまうことを回避することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−234911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したようなバーコードにおいては、黒色線によるバーの並びがバーコードであることを識別させるために、バーの並び方向外側に、バーコードを構成するバーのうちその幅が最も狭いナローバーの10倍以上の幅を有するクワイエットゾーンという余白部分が設けられている。
【0008】
ところが、上述したようなマスク層を設けた場合、バーコードを構成するバーのうち最も外側のバーよりもナローバーの10倍以上外側にマスク層を設けても、マスク層のエッジ部分がバーとして認識され、バーコードの読み取り精度が低下してしまう。特に、赤外線レーザタイプのバーコードリーダを用いた場合、バーコードを読み取ることができなくなってしまう場合がある。そのため、マスク層を設ける場合、クワイエットゾーンの幅をかなり広いものとする必要が生じ、それにより、バーコードを表示するバーコード表示媒体全体の大きさが大きくなってしまうという問題点がある。
【0009】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、表面にマスク層を設けた場合であっても全体を大型化することなくバーコードを正確に読み取ることができるバーコード表示媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、
ベース基材の一方の面側に配置された複数の帯状電極からなる第1の電極層と、透明基板上に形成され、前記第1の電極層に対向配置された第2の電極層と、前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に挟み込まれた情報表示層と、前記透明基板上の一部に設けられたマスク層とを有し、前記複数の帯状電極と前記第2の電極層との間の電位差に応じた前記情報表示層による第1の色及び第2の色が前記第2の電極層側から視認されることによって、前記第2の色を背景として、前記第1の色を具備するバーが、表現する情報に応じた幅及び間隔を有して幅方向に複数並んで構成されるバーコードを表示するバーコード表示媒体において、
前記マスク層は、表示される複数のバーの並び方向最も外側となる2つのバーから、前記複数のバーのうちその幅が最も狭いバーの幅の10〜29倍だけ前記複数のバーの並び方向外側に離れて設けられ、(明度L*)+(色度a*)+(色度b*)の値が74以下となる色から構成されていることを特徴とする。
【0011】
上記のように構成された本発明においては、ベース基材の一方の面側に配置された複数の帯状電極と、この複数の帯状電極からなる第1の電極層に対向配置された第2の電極層との間の電位差に応じて、これら第1の電極層と第2の電極層との間に挟み込まれた情報表示層による第1の色及び第2の色が第2の電極層側から視認されることによって、第2の色を背景として、第1の色を具備するバーが、表現する情報に応じた幅及び間隔を有して幅方向に複数並んで構成されるバーコードが表示されることになる。ここで、第2の電極層が形成された透明基板上の一部には、情報表示層の配線や接続端子に対向する領域における状態の変化による色が視認されてしまうことを回避するためにマスク層が設けられているが、このマスク層が、表示される複数のバーの並び方向最も外側となる2つのバーから、複数のバーのうちその幅が最も狭いバーの幅の10〜29倍だけ複数のバーの並び方向外側に離れて設けられ、(明度L*)+(色度a*)+(色度b*)の値が74以下となる色から構成されている。マスク層の色をこのような構成とすることにより、マスク層が、表示される複数のバーの並び方向最も外側となる2つのバーから、複数のバーのうちその幅が最も狭いバーの幅の10倍以上複数のバーの並び方向外側に離れて設けられていれば、マスク層のエッジ部分がバーとして認識されてしまうことがない。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明においては、情報表示層の配線や接続端子に対向する領域における状態の変化による色が視認されてしまうことを回避するために、第2の電極層が形成された透明基板上の一部に設けられたマスク層が、表示される複数のバーの並び方向最も外側となる2つのバーから、複数のバーのうちその幅が最も狭いバーの幅の10〜29倍だけ複数のバーの並び方向外側に離れて設けられ、(明度L*)+(色度a*)+(色度b*)の値が74以下となる色から構成されているため、マスク層が、表示される複数のバーの並び方向最も外側となる2つのバーから、複数のバーのうちその幅が最も狭いバーの幅の10倍以上複数のバーの並び方向外側に離れて設けられていれば、マスク層のエッジ部分がバーとして認識されてしまうことがなくなり、表面にマスク層を設けた場合であっても全体を大型化することなくバーコードを正確に読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のバーコード表示媒体によって表示されるバーコードの一例を示す図である。
【図2】本発明のバーコード表示媒体の実施の一形態に用いられる配線電極基板の構成を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【図3】図2に示した配線電極基板を用いたバーコード表示媒体の構成を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(b)に示したA部拡大図である。
【図4】図3に示したバーコード表示媒体によって図1に示したバーコードを表示する際の動作を説明するための図であり、(a)は帯状電極と透明電極との間における電位差による帯電性粒子の移動を示す図、(b)はバーコード表示媒体を透明導電膜基板側から見た場合の見え方を示す図である。
【図5】図3及び図4に示したバーコード表示媒体においてバーコードの読取精度を向上させるためのマスク印刷の色を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
まず、本発明のバーコード表示媒体によって表示されるバーコードについて説明する。
【0016】
図1は、本発明のバーコード表示媒体によって表示されるバーコードの一例を示す図である。
【0017】
本例におけるバーコードは図1に示すように、第2の色となる白色を具備する背景部4を背景とし、第1の色となる黒色を具備する複数のバー5がその幅方向に複数並んで配置されており、情報を表現するためのバーコードシンボル部2と、このバーコードシンボル部2の両側に配置されたクワイエットゾーン3とから構成されている。
【0018】
バーコードシンボル部2は、背景部4上に、複数のバー5が、バーコード1によって表現する情報に応じた幅及び間隔を有して幅方向に並んでいる。なお、バーコードシンボル部2には、スタートコード及びストップコード、また、チェックデジットを表現する領域も含まれている。
【0019】
クワイエットゾーン3は、白色の背景部4のみからなり、バーコードシンボル部2のバー5の並び方向外側に配置されている。
【0020】
図2は、本発明のバーコード表示媒体の実施の一形態に用いられる配線電極基板の構成を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。なお、図2に示す配線電極基板10は、図1に示したバーコード1を表示するためのバーコード表示媒体に用いられるものである。
【0021】
本形態における配線電極基板は図2に示すように、ベース基板11の一方の面に、第1の電極層を構成する帯状電極12がその幅方向に複数並んで形成され、さらにその帯状電極12の並び方向外側に2つの余白用電極15が形成されており、これら帯状電極12及び余白用電極15のそれぞれには、配線13を介して接続端子14が接続されている。余白用電極15は、クワイエットゾーン3を表示するためのものであって、クワイエットゾーン3が白色の背景部4のみからなるものであるため、クワイエットゾーン3の幅、もしくはそれ以上の幅を有する1つずつのものとなっている。また、複数の帯状電極12のそれぞれは、バーコードシンボル部2を表示するためのものであって、上述したスタートコード、ストップコード及びチェックデジットを表現する部分も含めて、バーコードシンボル部2にて表示されるバー5のうちその幅が最も狭いバー(以下、ナローバーと称する)の幅と同一のものとなっている。
【0022】
図3は、図2に示した配線電極基板10を用いたバーコード表示媒体の構成を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(b)に示したA部拡大図である。
【0023】
本形態におけるバーコード表示媒体は図3に示すように、図2に示した配線電極基板10の帯状電極12及び余白用電極15が形成された面に、情報表示層20と透明導電膜基板30とが積層されて構成されている。透明導電膜基板30は、ガラス等からなる透明基板31の一方の面に第2の電極層となる透明電極(例えば、ITO)32が形成されて構成されており、また、情報表示層20は、隔壁21とシール層24とで囲まれた領域に、帯電性粒子23が分散した隔壁内液体22が収容されて構成されている。そして、これら配線電極基板10、情報表示層20及び透明導電膜基板30は、透明電極32と帯状電極12及び余白用電極15とが、隔壁21とシール層24とで囲まれた領域に収容された隔壁内液体22を介して対向するように積層されている。なお、隔壁21は、底部と、情報表示層20の外周部となる側部と、側部で囲まれた領域を複数の領域に区画するための壁部とからなり、底部とは反対側の面が開口した形状となっている。そして、底部側が透明導電膜基板30に対向するように積層されており、開口した側にシール層24が積層されている。
【0024】
また、透明導電膜基板30は、情報表示層20の帯状電極12とは反対側に積層されており、透明基板31上には、余白用電極15の帯状電極12との並び方向外側の一部と重なりながら帯状電極12と余白用電極15を取り囲むように、マスク印刷33が施されていることによりマスク層が設けられている。それにより、配線電極基板10に形成された配線13及び接続端子14が透明明導電膜基板30を介して視認されないようになっている。
【0025】
以下に、上記のように構成されたバーコード表示媒体6によるバーコード表示について説明する。
【0026】
図4は、図3に示したバーコード表示媒体6によって図1に示したバーコード1を表示する際の動作を説明するための図であり、(a)は帯状電極12と透明電極32との間における電位差による帯電性粒子23の移動を示す図、(b)はバーコード表示媒体6を透明導電膜基板30側から見た場合の見え方を示す図である。
【0027】
図3に示したバーコード表示媒体6によって図1に示したバーコード1を表示する場合、例えば、透明電極32を0Vとし、また、ベース基板11に形成された帯状電極12及び余白用電極15のうち、クワイエットゾーン3を表示するための余白用電極15と、バーコードシンボル部2にて表現したい情報に応じて背景部4を表示するための帯状電極12にプラスの電圧を印加するとともに、バーコードシンボル部2にて表現したい情報に応じてバー5を表示するための帯状電極12にマイナスの電圧を印加する。これは、配線13を介して帯状電極12または余白用電極15に接続された接続端子14にプラスあるいはマイナスの電圧が選択的に印加されることにより行われる。
【0028】
このように、透明電極32が0Vとされ、帯状電極12及び余白用電極15にプラスあるいはマイナスの電圧が印加されると、プラスの電圧が印加された帯状電極12及び余白用電極15に対向する領域においては、帯状電極12に対して透明電極32側がマイナスとなる電位差が生じ、また、マイナスの電圧が印加された帯状電極12に対向する領域においては、帯状電極12に対して透明電極32側がプラスとなる電位差が生じる。すると、隔壁21及びシール層24で囲まれた領域に収容された隔壁内液体22が誘電性物質からなり、帯電性粒子23がプラス電位に帯電しているものであることから、図4(a)に示すように、マイナスの電圧が印加された帯状電極12に対向する領域においては、帯電性粒子23が帯状電極12側に引き寄せられていき、また、プラスの電圧が印加された帯状電極12及び余白用電極15に対向する領域においては、帯電性粒子23が透明電極32側に引き寄せられていく。
【0029】
そして、隔壁内液体22が染料または顔料で黒色に着色されており、帯電性粒子23が高屈折率の光散乱成分を含むため、このバーコード表示媒体6を透明導電膜基板30側から見た場合、マイナスの電圧が印加された帯状電極12に対向する領域においては、情報表示層20による黒色が透明導電膜基板30を介して認識され、また、プラスの電圧が印加された帯状電極12及び余白用電極15に対向する領域においては、情報表示層20による白色が透明導電膜基板30を介して認識されるようになる。
【0030】
バーコードシンボル部2においては、帯状電極12の幅が、上述したように、バーコードシンボル部2にて表示されるバー5のうちナローバーの幅と同一のものとなっているため、バーコードシンボル部2にて黒色で表示されるバー5の幅が帯状電極12の幅と同一である場合は、1つの帯状電極12にマイナスの電圧が印加されるとともにその帯状電極12に隣接する帯状電極12にプラスの電圧が印加され、また、バーコードシンボル部2にて黒色で表示されるバー5の幅が帯状電極12の幅の2倍である場合は、隣接する2つの帯状電極12にマイナスの電圧が印加されるとともにその2つの帯状電極12の両側に隣接する帯状電極12にプラスの電圧が印加され、また、バーコードシンボル部2にて黒色で表示されるバー5の幅が帯状電極12の幅の3倍である場合は、隣接する3つの帯状電極12にマイナスの電圧が印加されるとともにその3つの帯状電極12の両側に隣接する帯状電極12にプラスの電圧が印加されることになる。また、背景部4についても同様に、バーコードシンボル部2にて表示される2つのバー5の間隔が帯状電極12の幅と同一である場合は、1つの帯状電極12にプラスの電圧が印加されるとともにその帯状電極12に隣接する帯状電極12にマイナスの電圧が印加され、また、バーコードシンボル部2にて表示される2つのバー5の間隔が帯状電極12の幅の2倍である場合は、隣接する2つの帯状電極12にプラスの電圧が印加されるとともにその2つの帯状電極12の両側に隣接する帯状電極12にマイナスの電圧が印加され、また、バーコードシンボル部2にて表示される2つのバー5の間隔が帯状電極12の幅の3倍である場合は、隣接する3つの帯状電極12にプラスの電圧が印加されるとともにその3つの帯状電極12の両側に隣接する帯状電極12にマイナスの電圧が印加されることになる。
【0031】
このように、バーコードシンボル部2にて黒色で表示されるバー5の幅及び間隔に応じて帯状電極12にプラスあるいはマイナスの電圧が印加されことにより、バーコード表示媒体6を透明導電膜基板30側から見た場合、図4(b)に示すように、バーコードシンボル部2においては、白色を具備する背景部4を背景とし、黒色を具備する複数のバー5がその幅方向に複数並んで配置されてなるバーコード1が認識され、また、クワイエットゾーン3においては白色の背景部4のみが認識されることになる。なおこの際、バーコードシンボル部2におけるバー5の幅や間隔に応じて同一の電圧が印加される複数の帯状電極12は、微小間隔で並んで配置されているので、隣接する複数の帯状電極12に同一の電圧を印加した場合、微小間隔は認識されず、隣接する2つの帯状電極12に同一の電圧が印加された場合は、帯状電極12の2倍の幅のバー5または背景部4が認識され、隣接する3つの帯状電極14に同一の電圧が印加された場合は、帯状電極12の3倍の幅のバー4または背景部4が認識されることになる。
【0032】
また、情報表示層20においては、配線13や接続端子14に対向する領域においても、帯状電極12に印加される電圧に応じて帯電性粒子23が配線13や接続端子14、または透明電極32に引き寄せられることにより、バーコード表示媒体6を透明導電膜基板30側から見た場合、黒色または白色が認識されてしまうことになるが、透明基板32上において帯状電極12と余白用電極を取り囲む領域にマスク印刷33が施されているため、このマスク印刷33によって、情報表示層20の配線13や接続端子14に対向する領域における状態の変化による色が視認されてしまうことが回避されている。
【0033】
以下に、透明基板32上に施されたマスク印刷33について説明する。
【0034】
マスク印刷33は、上述したように、透明導電膜基板30の透明基板32上のうち、余白用電極15の帯状電極12との並び方向外側の一部と重なりながら帯状電極12と余白用電極15を取り囲むように施されている。そして、図4(b)に示すように、バーコードシンボル部2に表示される複数のバー5の並び方向においては、その並び方向最も外側となる2つのバーからナローバーの幅の10〜29倍だけ複数のバー5の並び方向外側に離れて設けられている。
【0035】
図5は、図3及び図4に示したバーコード表示媒体6においてバーコード1の読取精度を向上させるためのマスク印刷33の色を説明するための図である。
【0036】
図3及び図4に示したバーコード表示媒体6において、マスク印刷33を施す領域を、表示される複数のバー5の並び方向最も外側となる2つのバーから外側に変化させていき、マスク印刷33の色によるバーコード1の読取可否を測定した。なお、本測定においては、赤外線レーザタイプのバーコードリーダを用いた。
【0037】
実施例1としてマスク印刷33を黒色で施した場合、マスク印刷33が、バーコードシンボル部2に表示される複数のバー5の並び方向最も外側となる2つのバーから、複数のバー5の並び方向外側にナローバーの幅の10〜40倍離れている場合の全てにおいてバーコード1の読み取りを行うことができた。なお、本実施例にて用いた黒色は、L*(明度)が23.78、a*(色度)が0.04、b*(色度)が−0.1であり、これらのベクトルを加えた値は23.72である。また、本発明にて規定するL*a*bは、JIS Z 8729によるものである。
【0038】
実施例2としてマスク印刷33を青色で施した場合、マスク印刷33が、バーコードシンボル部2に表示される複数のバー5の並び方向最も外側となる2つのバーから、複数のバー5の並び方向外側にナローバーの幅の10〜40倍離れている場合の全てにおいてバーコード1を読み取ることができた。なお、本実施例にて用いた青色は、L*(明度)が37.1、a*(色度)が0.65、b*(色度)が−46.49であり、これらのベクトルを加えた値は−8.74である。
【0039】
実施例3としてマスク印刷33を青(薄目)色で施した場合、マスク印刷33が、バーコードシンボル部2に表示される複数のバー5の並び方向最も外側となる2つのバーから、複数のバー5の並び方向外側にナローバーの幅の10〜40倍離れている場合の全てにおいてバーコード1を読み取ることができた。なお、本実施例にて用いた青(薄目)色は、L*(明度)が50.17、a*(色度)が−2.82、b*(色度)が−38.55であり、これらのベクトルを加えた値は8.8である。
【0040】
実施例4としてマスク印刷33を緑色で施した場合、マスク印刷33が、バーコードシンボル部2に表示される複数のバー5の並び方向最も外側となる2つのバーから、複数のバー5の並び方向外側にナローバーの幅の10〜40倍離れている場合の全てにおいてバーコード1を読み取ることができた。なお、本実施例にて用いた緑色は、L*(明度)が53.39、a*(色度)が−42.03、b*(色度)が33.51であり、これらのベクトルを加えた値は44.87である。
【0041】
実施例5としてマスク印刷33を灰色(濃目)で施した場合、マスク印刷33が、バーコードシンボル部2に表示される複数のバー5の並び方向最も外側となる2つのバーから、複数のバー5の並び方向外側にナローバーの幅の10〜40倍離れている場合の全てにおいてバーコード1を読み取ることができた。なお、本実施例にて用いた灰色(濃目)は、L*(明度)が56.28、a*(色度)が0.19、b*(色度)が−0.39であり、これらのベクトルを加えた値は56.08である。
【0042】
実施例6としてマスク印刷33を灰色(薄目)で施した場合、マスク印刷33が、バーコードシンボル部2に表示される複数のバー5の並び方向最も外側となる2つのバーから、複数のバー5の並び方向外側にナローバーの幅の10〜40倍離れている場合の全てにおいてバーコード1を読み取ることができた。なお、本実施例にて用いた灰色(薄目)は、L*(明度)が63.18、a*(色度)が0.27、b*(色度)が−0.34であり、これらのベクトルを加えた値は63.11である。
【0043】
実施例7としてマスク印刷33を灰色(極薄)で施した場合、マスク印刷33が、バーコードシンボル部2に表示される複数のバー5の並び方向最も外側となる2つのバーから、複数のバー5の並び方向外側にナローバーの幅の10〜40倍離れている場合の全てにおいてバーコード1を読み取ることができた。なお、本実施例にて用いた灰色(極薄)は、L*(明度)が73.85、a*(色度)が0.35、b*(色度)が−0.24であり、これらのベクトルを加えた値は73.96である。
【0044】
実施例8としてマスク印刷33を水色で施した場合、マスク印刷33が、バーコードシンボル部2に表示される複数のバー5の並び方向最も外側となる2つのバーから、複数のバー5の並び方向外側にナローバーの幅の10〜40倍離れている場合の全てにおいてバーコード1を読み取ることができた。なお、本実施例にて用いた水色は、L*(明度)が79.01、a*(色度)が−0.62、b*(色度)が−7.22であり、これらのベクトルを加えた値は71.17である。
【0045】
一方、比較例1としてマスク印刷33をピンク色で施した場合、マスク印刷33が、バーコードシンボル部2に表示される複数のバー5の並び方向最も外側となる2つのバーから、複数のバー5の並び方向外側にナローバーの幅の10〜29倍離れている場合においてはバーコード1を読み取ることができず、30倍以上離れている場合においてバーコード1を読み取ることができた。なお、本実施例にて用いたピンク色は、L*(明度)が40.65、a*(色度)が62.76、b*(色度)が−1.87であり、これらのベクトルを加えた値は101.54である。
【0046】
比較例2としてマスク印刷33を赤色で施した場合、マスク印刷33が、バーコードシンボル部2に表示される複数のバー5の並び方向最も外側となる2つのバーから、複数のバー5の並び方向外側にナローバーの幅の10〜30倍離れている場合においてはバーコード1を読み取ることができず、35倍、40倍離れている場合においてバーコード1を読み取ることができた。なお、本実施例にて用いた赤色は、L*(明度)が40.35、a*(色度)が52.66、b*(色度)が38.24であり、これらのベクトルを加えた値は131.25である。
【0047】
比較例3としてマスク印刷33を茶色で施した場合、マスク印刷33が、バーコードシンボル部2に表示される複数のバー5の並び方向最も外側となる2つのバーから、複数のバー5の並び方向外側にナローバーの幅の10〜30倍離れている場合においてはバーコード1を読み取ることができず、35倍、40倍離れている場合においてバーコード1を読み取ることができた。なお、本実施例にて用いた茶色は、L*(明度)が64.83、a*(色度)が13.71、b*(色度)が65.87であり、これらのベクトルを加えた値は144.41である。
【0048】
比較例4としてマスク印刷33を黄色で施した場合、マスク印刷33が、バーコードシンボル部2に表示される複数のバー5の並び方向最も外側となる2つのバーから、複数のバー5の並び方向外側にナローバーの幅の10〜35倍離れている場合においてはバーコード1を読み取ることができず、40倍離れている場合においてバーコード1を読み取ることができた。なお、本実施例にて用いた黄色は、L*(明度)が85.6、a*(色度)が−16.76、b*(色度)が88.69であり、これらのベクトルを加えた値は157.53である。
【0049】
比較例5としてマスク印刷33を白色で施した場合、マスク印刷33が、バーコードシンボル部2に表示される複数のバー5の並び方向最も外側となる2つのバーから、複数のバー5の並び方向外側にナローバーの幅の10〜29倍離れている場合においてはバーコード1を読み取ることができず、30倍以上離れている場合においてバーコード1を読み取ることができた。なお、本実施例にて用いた白色は、L*(明度)が89.42、a*(色度)が0.57、b*(色度)が−1.02であり、これらのベクトルを加えた値は88.97である。
【0050】
上述した測定結果により、バーコード表示媒体6を小型化するために、バーコードシンボル部2に表示される複数のバー5の並び方向最も外側となる2つのバーと、マスク印刷33との複数のバー5の並び方向における間隔をナローバーの幅の29倍以下としたい場合、マスク印刷33を、明度L*と色度a*と色度b*のベクトル加えた値、すなわち、(明度L*)+(色度a*)+(色度b*)が74以下となる色で構成することにより、マスク印刷33を、バーコードシンボル部2に表示される複数のバー5の並び方向最も外側となる2つのバーからナローバーの幅の10倍以上複数のバー5の並び方向外側に離れて施せば、マスク印刷33のエッジ部分がバーとして認識されずに、バーコードシンボル部2に表示されるバーコード1を正確に読み取ることができることになる。
【符号の説明】
【0051】
1 バーコード
2 バーコードシンボル部
3 クワイエットゾーン
4 背景部
5 バー
6 バーコード表示媒体
10 配線電極基板
11 ベース基板
12 帯状電極
13 配線
14 接続端子
15 余白用電極
20 情報表示層
21 隔壁
22 隔壁内液体
23 帯電性粒子
24 シール層
30 透明導電膜基板
31 透明基板
32 透明電極
33 マスク印刷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基材の一方の面側に配置された複数の帯状電極からなる第1の電極層と、透明基板上に形成され、前記第1の電極層に対向配置された第2の電極層と、前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に挟み込まれた情報表示層と、前記透明基板上の一部に設けられたマスク層とを有し、前記複数の帯状電極と前記第2の電極層との間の電位差に応じた前記情報表示層による第1の色及び第2の色が前記第2の電極層側から視認されることによって、前記第2の色を背景として、前記第1の色を具備するバーが、表現する情報に応じた幅及び間隔を有して幅方向に複数並んで構成されるバーコードを表示するバーコード表示媒体において、
前記マスク層は、表示される複数のバーの並び方向最も外側となる2つのバーから、前記複数のバーのうちその幅が最も狭いバーの幅の10〜29倍だけ前記複数のバーの並び方向外側に離れて設けられ、(明度L*)+(色度a*)+(色度b*)の値が74以下となる色から構成されていることを特徴とするバーコード表示媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−73482(P2012−73482A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219135(P2010−219135)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】