説明

バージンシール付き蓋

【課題】ベタツキがなく、バージンシール部の開封性に優れるバージンシール付き蓋を提供する。
【解決手段】以下の成分(A)、(B)および(C)を含有し、成分(A)、(B)および(C)の合計を100重量%としたとき、成分(A)の含有量が30〜90重量%であり、成分(B)の含有量が5〜40重量%であり、成分(C)の含有量が5〜40重量%である樹脂組成物からなるバージンシール付き蓋。
(A)結晶性プロピレン系重合体
(B)非晶性または低結晶性のプロピレン系重合体
(C)エチレン−α−オレフィン共重合体

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バージンシール付き蓋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紙容器、プラスチック容器、ガラス瓶などの容器の蓋には、つまみなどを引っ張ることにより、該つまみを備えた開封予定部(バージンシール部)を開封し、該開封予定部を破断除去できる構造を有する、いわゆるバージンシール付き蓋が広く用いられている。該蓋には、耐熱性、バージンシール部の開封性などが求められ、特許文献1には、結晶性プロピレン系重合体と、非晶性または低結晶性のプロピレン系重合体とを含有する重合体組成物からなるバージンシール付き蓋が開示されている。(特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−22657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記の樹脂組成物からなるバージンシール付き蓋は、バージンシール部の開封性は優れていたが、ベタツキが問題となることがあった。
かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、ベタツキがなく、バージンシール部の開封性に優れるバージンシール付き蓋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち本発明は、以下の成分(A)、(B)および(C)を含有し、成分(A)、(B)および(C)の合計を100重量%としたとき、成分(A)の含有量が30〜90重量%であり、成分(B)の含有量が5〜40重量%であり、成分(C)の含有量が5〜40重量%である樹脂組成物からなるバージンシール付き蓋である。
(A)結晶性プロピレン系重合体
(B)非晶性または低結晶性のプロピレン系重合体
(C)エチレン−α−オレフィン共重合体
【発明の効果】
【0006】
本発明により、ベタツキがなく、バージンシール部の開封性に優れるバージンシール付き蓋を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、以下の成分(A)、(B)および(C)を含有し、成分(A)、(B)および(C)の合計を100重量%としたとき、成分(A)の含有量が30〜90重量%であり、成分(B)の含有量が5〜40重量%であり、成分(C)の含有量が5〜40重量%である樹脂組成物からなるバージンシール付き蓋である。
(A)結晶性プロピレン系重合体
(B)非晶性または低結晶性のプロピレン系重合体
(C)エチレン−α−オレフィン共重合体
以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】
本発明における成分(A)の結晶性プロピレン系重合体は、プロピレン単量体単位を有する重合体であって、結晶性の重合体である。耐熱性を高める観点から、結晶性プロピレン系重合体(A)の融解ピーク温度は、好ましくは80℃〜176℃であり、より好ましくは120℃〜176℃である。結晶性プロピレン系重合体(A)の融解熱量は、好ましくは30J/g〜120J/gであり、より好ましくは40J/g〜120J/gである。
【0009】
結晶性プロピレン系重合体(A)は、プロピレン単量体単位以外の単量体単位を含有していてもよく、該単量体としては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンなどのオレフィンをあげることができる。結晶性プロピレン系重合体としては、、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体などがあげられ、共重合体は、ランダム共重合体でもよく、ブロック共重合体であってもよい。
結晶性プロピレン系重合体(A)は、該重合体を構成する全単量体単位の合計を100モル%とするとき、50モル%を超えてプロピレン単量体単位を含有する。
【0010】
結晶性プロピレン系重合体(A)のメルトフローレート(MFR)は、通常0.1g/10分〜100g/10分であり、成型加工性の観点から、好ましくは0.5g/10分〜50g/10分である。なお、該MFRは、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nで測定される。
【0011】
本発明における成分(B)である非晶性または低結晶性のプロピレン系重合体は、プロピレン単量体単位を有する重合体である。非晶性または低結晶性のプロピレン系重合体(B)の融解熱量は、バージンシール部の開封性を高める観点から、好ましくは10J/g以下であり、より好ましくは5J/g以下であり、更に好ましくは1J/g以下である。また、非晶性または低結晶性のプロピレン系重合体(B)の結晶化熱量は、バージンシール部の開封性を高める観点から、好ましくは10J/g以下であり、より好ましくは5J/g以下であり、更に好ましくは1J/g以下である。
【0012】
非晶性または低結晶性のプロピレン系重合体(B)は、プロピレン単量体単位以外のオレフィン単量体単位を含有していてもよく、該オレフィン単量体単位のオレフィンとしては、エチレン、炭素原子数が4以上のα−オレフィンがあげられる。炭素原子数が4以上のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ナノデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ヘキセン、2,2,4−トリメチル−1−ペンテン等が例示され、好ましくは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンであり、より好ましくは1−ブテン、1−ヘキセンであり、更に好ましくは1−ブテンである。
【0013】
非晶性または低結晶性のプロピレン系重合体(B)は、オレフィン単量体単位以外の単量体単位を含有していてもよく、該単位の単量体としては、たとえば、ポリエン化合物、環状オレフィン、ビニル芳香族化合物等があげられる。
【0014】
上記ポリエン化合物としては、共役ポリエン化合物、非共役ポリエン化合物などをあげることができる。共役ポリエン化合物としては、脂肪族共役ポリエン化合物および脂環族共役ポリエン化合物などがあげられ、これらは、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、アラルキルオキシ基などを有していてもよい。
【0015】
上記環状オレフィンとしては、たとえば、ノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5−プロピルノルボルネン、5,6−ジメチルノルボルネン、1−メチルノルボルネン、7−メチルノルボルネン、5,5,6−トリメチルノルボルネン、5−フェニルノルボルネン、5−ベンジルノルボルネン、5−エチリデンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−ヘキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチリデン−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−フルオロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,5−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−シクロへキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジクロロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−イソブチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、5−クロロノルボルネン、5,5−ジクロロノルボルネン、5−フルオロノルボルネン、5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチルノルボルネン、5−クロロメチルノルボルネン、5−メトキシノルボルネン、5,6−ジカルボキシルノルボルネンアンハイドレート、5−ジメチルアミノノルボルネン、5−シアノノルボルネン、シクロペンテン、3−メチルシクロペンテン、4−メチルシクロペンテン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3,5−ジメチルシクロペンテン、3−クロロシクロペンテン、シクロへキセン、3−メチルシクロへキセン、4−メチルシクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロヘキセン、3−クロロシクロヘキセン、シクロへプテン等があげられる。
【0016】
上記ビニル芳香族化合物としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン等があげられる。
【0017】
非晶性または低結晶性のプロピレン系重合体(B)としては、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−ブテン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン−エチレン共重合体などを挙げることができ、これら重合体は、1種で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。非晶性または低結晶性のプロピレン系重合体(B)としては、好ましくは、炭素原子数が4以上のα−オレフィンとプロピレンとの共重合体、および/または炭素原子数が4以上のα−オレフィンとプロピレンとエチレンとの重合体であり、より好ましくはプロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ブテン−エチレン共重合体であり、さらに好ましくはプロピレン−1−ブテン−エチレン共重合体である。
【0018】
非晶性または低結晶性のプロピレン系重合体(B)がプロピレン単量体単位以外の単量体単位を含む場合、該重合体(B)は、プロピレン単量体単位を最も多く含むことが好ましく、該重合体を構成する全単量体単位の合計を100モル%とするとき、50モル%より多くのプロピレン単量体単位を含有することがより好ましい。
【0019】
非晶性または低結晶性のプロピレン系重合体(B)の極限粘度[η]は、耐熱性を高める観点から、好ましくは0.1dl/g以上であり、より好ましくは0.7dl/g以上であり、更に好ましくは1.5dl/g以上であり、バージンシール部の開封性を高める観点から、好ましくは10dl/g以下であり、より好ましくは7dl/gであり、更に好ましくは5dl/g以下である。なお、該極限粘度[η]は、135℃のテトラリン中で測定される。
【0020】
本発明における成分(C)のエチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンと1種類以上の炭素原子数3〜12のα−オレフィンとの共重合体である。
炭素原子数3〜12のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等が挙げられる。このうち、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1を用いることが好ましく、ブテン−1を用いることがより好ましい。
【0021】
エチレン−α−オレフィン共重合体(C)としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−4−メチルペンテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体等が挙げられる。このうち、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体を用いることが好ましく、エチレン−ブテン−1共重合体を用いることがより好ましい。
エチレン−α−オレフィン共重合体(C)は、該重合体を構成する全単量体単位の合計を100モル%とするとき、50モル%を超えてエチレン単量体単位を含有する。
【0022】
エチレン−α−オレフィン共重合体(C)のメルトフローレート(MFR)は、好ましくは1〜50g/10分であり、流動性の観点から、より好ましくは3〜40g/10分であり、さらに好ましくは5〜30g/10分である。
なお、メルトフローレートは、JIS K7210(1995)に従い、試験荷重21.18N、試験温度190℃の条件で測定される。
【0023】
エチレン−α−オレフィン共重合体(C)の密度は、好ましくは860〜930kg/m3であり、バージンシール部の開封性を高める観点から、より好ましくは870〜925kg/m3であり、さらに好ましくは880〜915kg/m3である。なお、密度は、JIS K7112(1999)に従い測定される。
【0024】
樹脂組成物中の各成分の含有量は、成分(A)、(B)および(C)の合計量100重量%として、成分(A)の含有量が30〜90重量%であり、成分(B)の含有量が5〜40重量%であり、成分(C)の含有量が5〜40重量%であり、好ましくは成分(A)の含有量が35〜80重量%であり、成分(B)の含有量が5〜35重量%であり、成分(C)の含有量が5〜30重量%であり、より好ましくは成分(A)の含有量が45〜70重量%であり、成分(B)の含有量が5〜30重量%であり、成分(C)の含有量が5〜25重量%である。
上記した特定の成分(A)、(B)および(C)の含有量を上記の範囲とすることにより、ベタツキがなく、バージンシールの開封性に優れるバージンシール付き蓋を得ることが可能となる。
【0025】
樹脂組成物は、必要に応じて中和剤、分散剤、酸化防止剤、滑剤、耐候性改良剤、帯電防止剤、顔料、フィラー等の他の成分を含有していてもよい。
【0026】
樹脂組成物の調整方法としては、特に制限はなく、公知の方法、例えば、タンブラーブレンダー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、押出機などを用い、成分(A)、(B)および(C)、さらに必要に応じて含有される他の成分を混合する方法があげられる。
【0027】
前記樹脂組成物からなるバージンシール付き蓋は、バージンシール部に備えられたつまみなどを引っ張ることにより、該バージンシール部を破断除去できるバージンシール部を有する蓋であり、バージンシール部の破断除去により生じた開封口を瓶の内容物の注出口とする蓋、蓋本体部と上蓋部の間に設けられたバージンシール部を破断除去することにより上蓋部の開閉が可能となる蓋などをあげることができ、食品、化粧品、ヘアケア用品(シャンプー、リンス等)、洗剤、殺虫剤等の容器の蓋に使用される。また、前記樹脂組成物を用いてバージンシール付き蓋を成形する方法としては、射出成形法があげられる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の物性測定は、以下の方法で行った。
(1)非晶性ポリオレフィン重合体の単量体組成
核磁気共鳴装置(Bruker社製 商品名AC−250)を用いて、1HNMRスペクトル、13CNMRスペクトルの測定結果に基づき算出した。具体的には、13CNMRスペクトルのプロピレン由来メチル炭素スペクトル強度と1−ブテン由来メチル炭素スペクトル強度の比からプロピレンと1−ブテンの組成比を算出し、次に、1HNMRスペクトルのメチン+メチレン由来水素スペクトル強度とメチル由来水素スペクトル強度の比からエチレン、プロピレンおよび1−ブテンの組成比を算出した。
(2)極限粘度[η]
135℃において、ウベローデ粘度計を用いて行った。テトラリン単位体積あたりの非晶性プロピレン系重合体の濃度cが、0.6、1.0、1.5mg/mlである非晶性プロピレン系重合体のテトラリン溶液を調整し、135℃における極限粘度を測定した。それぞれの濃度で3回繰り返し測定し、得られた3回の値の平均値をその濃度での比粘度(ηsp)とし、ηsp/cのcをゼロ外挿した値を極限粘度[η]として求めた。
(3)示差走査熱量測定(DSC)
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製DSC220C:入力補償DSC)を用い以下の条件で測定した。なお、測定の標準物質にはインジウムを用いた。
(i)試料約5mgを室温から30℃/分の昇温速度で200℃まで昇温し、昇温完了後、5分間保持した。
(ii)次いで、200℃から10℃/分の降温速度で−100℃まで降温し、降温完了後、5分間、保持した。
(iii)次いで、−100℃から10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温した。
【0029】
(4)メルトフローレート(MFR)
JIS K 7210(1995)に従い、試験荷重21.18Nで測定した。 ただし、成分(A)、成分(B)については、試験温度230℃、成分(C)については、試験温度190℃の条件で測定を行った。
(5)開封性
射出成形機(東芝機械社製、商品名 IS−100EN)を使用し、射出圧力80MPa、射出速度 設定50%、シリンダー温度230℃、金型温度40℃、成形サイクル30秒の条件により、外径29mmφ×厚み1.5mmのヒンジ部で連結した上蓋付きのバージンシール付き蓋を成形した。該蓋のバージンシール部に備えられたつまみを手で引っ張ったときのバージンシール部の開封状態を、下記のように評価した。
○:バージンシール部を開封できる。
×:つまみ部が切れてしまい、バージンシール部を開封できない。
(6)ベタツキ性
開封性で使用したバージンシール付き蓋を温度121℃で30分間、加温処理した後、23℃、湿度50%の雰囲気下に30分以上放置し、成型品の表面のベタツキ性を手触りで評価した。
○:ベタツキ感なし
×:ベタツキ感あり
【0030】
[実施例1]
[1]非晶性プロピレン系重合体の製造
攪拌機を備えた100LのSUS製重合器中で、エチレンとプロピレンと1−ブテンとを、分子量調節として水素を用い、以下の方法で連続的に共重合させて、本発明のオレフィン重合体に当たるエチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体を得た。
重合器の下部から、重合溶媒としてのヘキサンを124L/時間の供給速度で、エチレンを1.60Kg/時間の供給速度で、プロピレンを24.00Kg/時間の供給速度で、1−ブテンを1.81Kg/時間の供給速度で、それぞれ連続的に供給した。
重合器の上部から、重合器中の反応混合物が100Lの量を保持するように、反応混合物を連続的に抜き出した。
重合器の下部から、重合触媒の成分として、下式で表されるジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライドを0.005g/時間の供給速度で、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを0.235g/時間の供給速度で、トリイソブチルアルミニウムを2.315g/時間の供給速度で、それぞれ連続的に供給した。
共重合反応は、重合器の外部に取り付けられたジャケットに冷却水を循環させることによって、45℃で行った。
重合器の上部から連続的に抜き出された反応混合物に少量のエタノールを添加して重合反応を停止させた後、脱モノマー及び水洗浄をし、次いで、大量の水中でスチームによって溶媒を除去することによって、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体を得、これを80℃で1昼夜減圧乾燥した。該共重合体の生成速度は7.80Kg/時間であった。得られたエチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体(以下、重合体(B1)と称する)の物性評価結果を表1に示す。
【0031】
【表1】


【0032】
[2]重合体組成物の作成(1)
成分(A)として、プロピレン−エチレン共重合体(住友化学(株)製 商品名ノーブレンS131、MFR(温度230℃)=1.5g/10分;以下、重合体(A1)と称する。)15重量部、成分(B)として上記[1]で得られた重合体(B1)85重量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製 イルガノックス1010)0.12重量部、芳香族フォスファイト系酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製 イルガフォス168)0.12重量部ならびに1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンを、二軸混練機を用いて混練することで、樹脂組成物(以下、樹脂組成物(1)と称する。)を得た。該樹脂組成物(1)のMFRは3g/10分であった。
【0033】
[3]重合体組成物の作成(2)
成分(A)として、エチレン−プロピレンブロック共重合体(住友化学(株)製 商品名ノーブレンAZ564、MFR(温度230℃)=30g/10分;以下、重合体(A2)と称する。)50重量%、上記[2]で得られた樹脂組成物(1)25重量%、および成分(C)として、エチレン−ブテン−1共重合体 住友化学(株)製エクセレンVL VL800(MFR:20g/10分、密度:905Kg/m3;以下、重合体(C1)と称する。)25重量%を、スクリュー径30mmの押出機を用いて220℃で溶融混練し、樹脂組成物(以下、樹脂組成物(2)と称する。)を得た。得られた樹脂組成物(2)の物性評価結果を表2に示す。
【0034】
比較例1
成分(A)として、エチレン−プロピレンブロック共重合体(住友化学(株)製 商品名ノーブレンAZ564、MFR(温度230℃)=30g/10分;以下、重合体(A2)と称する。)50重量%、上記[2]で得られた樹脂組成物(1)50重量%とを、スクリュー径30mmの押出機を用いて220℃で溶融混練し、樹脂組成物(以下、樹脂組成物(3)と称する。)を得た。得られた樹脂組成物(3)の物性評価結果を表2に示す。
【0035】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明のバージンシール付き蓋は、耐熱性にも優れ、食品、化粧品、ヘアケア用品(シャンプー、リンス等)、洗剤、殺虫剤等の容器の蓋に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(A)、(B)および(C)を含有し、成分(A)、(B)および(C)の合計を100重量%としたとき、成分(A)の含有量が30〜90重量%であり、成分(B)の含有量が5〜40重量%であり、成分(C)の含有量が5〜40重量%である樹脂組成物からなるバージンシール付き蓋。
(A)結晶性プロピレン系重合体
(B)非晶性または低結晶性のプロピレン系重合体
(C)エチレン−α−オレフィン共重合体
【請求項2】
前記成分(B)が、炭素原子数が4以上のα−オレフィンとプロピレンとの共重合体、および/または炭素原子数が4以上のα−オレフィンとプロピレンとエチレンとの共重合体である請求項1に記載のバージンシール付き蓋。
【請求項3】
前記成分(B)が、50モル%より多くのプロピレン単量体単位を含有するプロピレン系重合体である(ただし、該重合体を構成する全単量体単位の合計を100モル%とする。)請求項1または2に記載のバージンシール付き蓋。

【公開番号】特開2011−162216(P2011−162216A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25191(P2010−25191)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】