説明

バーチャルペーシェントシステム及び医療情報提供システム

【課題】 プライバシーを保護した形態にて個人情報を研究や臨床応用に有用な学術情報として使用することができるバーチャルペーシェントシステム等を提供すること。
【解決手段】 バーチャルペーシェントエンジン4は、例えばネットワークNを介して、所定の人物の死亡に関する情報を受け取った場合には、バーチャルペーシェントシステム1上の当該人物に関する個人情報の更新を禁止することで、情報の安全性を確保する。また、バーチャルペーシェントエンジン4は、生前において本人から許諾を受けた人物に関する個人情報から、当該個人を特定し得る情報を削除することで、学術情報を生成し、学術情報として例えば事前に登録された使用者の端末等にネットワークNを介して提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のデータベースに記憶されている医療情報を提供するバーチャルペーシェントシステム及び医療情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の通信情報技術の進歩に伴い、例えば異なる医療機関で行われた診療、治療、投薬等の医療情報を一元的に収集する医療情報システムや、異なる医療機関の医療情報を相互に利用できる医療支援システム等が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照))。これらのシステムによれば、複数の機関のデータベースから医療情報を収集した場合、多くの量の情報を収集することができる。しかし、その中には必要ではない情報も多く含まれており、多くの情報の中から必要とする情報を探し出すという手間や時間が必要とされる。それだけでなく場合によっては、必要不可欠な情報を見落としてしまう事態も起こり得る。
【0003】
このような問題を解決するものとして、近年提案されているバーチャルペーシェントシステムと呼ばれる技術がある。このバーチャルペーシェントシステムは、例えばある患者に関する多くの情報(医療、健康、介護、個人の嗜好等の種々の情報)がネットワーク上に散在している場合において、例えば医師や救急救命士等の利用者にとって必要な情報を所定の条件に基づいて選択し、これらを所定の形態にて提供するものである。これにより、例えば利用者は、過去のものも含めた当該患者の種々の情報を一元管理できると共に、必要な情報を迅速に選択して取り出すことができる。
【0004】
ところで、バーチャルペーシェントシステムにおいて提供可能な所定の人物(今の場合、患者)に関する情報(以下、「個人情報」と呼ぶ)は、その本人の診断や治療目的に限定されず、例えば新薬の開発や症例研究等における学術情報としても大きな利用価値がある。
【0005】
しかしながら、バーチャルペーシェントシステムにおいて提供可能な個人情報をそのまま学術情報として使用するとすれば、同時に診断等を受ける医師以外に当該患者の個人情報が公開されることになり、プライバシー侵害を誘発する原因となる可能性がある。学術情報は、その性格上できる限り自由に利用可能であることが望ましい。その一方で、バーチャルペーシェントシステムがある状況において有益な個人情報を提供するものであるため、両者の利益を両立させることは困難である。
【特許文献1】特開2002−73807号公報
【特許文献2】特開平11−45304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、プライバシーを保護した形態にて個人情報を研究や臨床応用に有用な学術情報として使用することができるバーチャルペーシェントシステム及び医療情報提供システムすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するため、次のような手段を講じている。
【0008】
本発明の第1の視点は、医療、健康、介護の少なくとも1つにかかる個人情報が保存されている個人情報データベースを有する少なくとも一つの個人情報サーバと、当該少なくとも一つの個人情報サーバに電気的通信回線を介して接続される医療情報提供システムと、を具備するバーチャルペーシェントシステムであって、前記医療情報提供システムは、前記電気的通信回線を介して、使用者端末から個人識別情報と、個人情報を使用する使用者の役割と、前記使用者が個人情報を使用する使用場面と、医学的症状とをユーザから受け付ける受付手段と、前記電気的通信回線を介して、前記少なくとも一つの個人情報データから前記個人識別情報と、前記受付手段によって受け付けられた前記使用者の役割、前記使用場面、前記医学的症状とに対応する医療情報を収集する個人情報収集手段と、前記電気的通信回線を介して、前記使用者端末に前記収集した個人情報を提供する提供手段と、前記電気的通信回線を介して、前記個人情報データベースに保存されている前記個人情報の更新指示を受け付け、当該更新指示に基づいて前記個人情報を更新する更新手段と、前記更新手段が、所定の人物の死亡に関する情報を含む前記更新指示を受け付け、当該死亡に関する情報に基づいて前記所定の人物に関する前記個人情報を更新した場合には、その後の更新を禁止することで当該個人情報を保護する情報保護手段と、を有することを特徴とするバーチャルペーシェントシステムである。
【0009】
本発明の第2の視点は、医療、健康、介護の少なくとも1つにかかる個人情報が保存されている個人情報データベースを有する少なくとも一つの個人情報サーバに電気的通信回線を介して接続される医療情報提供システムであって、前記電気的通信回線を介して、使用者端末から個人識別情報と、個人情報を使用する使用者の役割と、前記使用者が個人情報を使用する使用場面と、医学的症状とをユーザから受け付ける受付手段と、前記電気的通信回線を介して、前記少なくとも一つの個人情報データから前記個人識別情報と、前記受付手段によって受け付けられた前記使用者の役割、前記使用場面、前記医学的症状とに対応する医療情報を収集する個人情報収集手段と、前記電気的通信回線を介して、前記使用者端末に前記収集した個人情報を提供する提供手段と、前記電気的通信回線を介して、前記個人情報データベースに保存されている前記個人情報の更新指示を受け付け、当該更新指示に基づいて前記個人情報を更新する更新手段と、前記更新手段が、所定の人物の死亡に関する情報を含む前記更新指示を受け付け、当該死亡に関する情報に基づいて前記所定の人物に関する前記個人情報を更新した場合には、その後の更新を禁止することで当該個人情報を保護する情報保護手段と、を具備することを特徴とする医療情報提供システムである。
【発明の効果】
【0010】
以上本発明によれば、プライバシーを保護した形態にて個人情報を研究や臨床応用に有用な学術情報として使用することができるバーチャルペーシェントシステム及び医療情報提供システムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0012】
図1は、本実施形態に係るバーチャルペーシェントシステム1の概略構成を示した図である。同図に示す様に、バーチャルペーシェントシステム1は、 広域ネットワークN、当該広域ネットワークNを介して互いに接続される医療情報提供システム10、医療施設Aサーバ40、医療施設Bサーバ41、医療施設Cサーバ42、学術情報サーバ60を具備している。
【0013】
広域ネットワークNは、インターネット回線、公衆電話回線等の有線又は無線等によって構成される。
【0014】
医療施設Aサーバ40、医療施設Bサーバ41、医療施設Cサーバ42は、それぞれ各医療施設内に構築されているLAN(Local Area Network)に接続されている。各LANには、各医療施設内の各種データベース、各種医療機器(心電計、超音波診断装置、X線診断装置等)等が接続されている。
【0015】
医療情報提供システム10は、ゲートウェイGW2、端末3、バーチャルペーシェントエンジン4を有している。なお、医療情報提供システム10の設置場所は特に限定しないが、本実施形態では、所定の病院に設置されているものとする。
【0016】
医療情報提供システム10は、広域ネットワークNを介して、各医療施設の各LANに接続されている様々なデータベースや各種医療機器等から、患者の現在状態に関する様々な医療情報を取得する。また、医療情報提供システム10は、後述する学術情報化機能により、バーチャルペーシェントによって提供される個人情報に基づく学術情報を生成し、広域ネットワークNを介して学術情報サーバ60に格納する。
【0017】
学術情報サーバ60は、医療情報提供システム10が有する学術情報化機能(後述)により、プライベート情報が消去等され学術情報化された各種情報を格納する学術情報データベースを有する。また、学術情報サーバ60は、利用者に対して、例えば広域ネットワークNを介して要求する学術情報を提供する。なお、本実施形態においては、この学術情報を利用可能な利用者は、事前に登録された者や団体に限定する例を示す。しかしながら、これに限定する趣旨ではなく、任意に利用可能な形態としてもよい。
【0018】
図2は、バーチャルペーシェントエンジン4のブロック構成図を示している。同図に示す様に、バーチャルペーシェントエンジン4は、入力部11、データ収集部12、特定情報データベース13a、使用許諾情報データベース13b、学術情報生成部14、制御部15、通信部16、医療情報選択部20を具備している。なお、入力部11、データ収集部12、学術情報生成部14、制御部15、通信部16、医療情報選択部20は、コンピュータ5に含まれる。また、学術情報生成部14、医療情報選択部20等は、制御部15の制御のもと、専用プログラムをメモリ上に展開しこれを実行することによっても実現可能である。
【0019】
入力部11は、端末装置3から広域ネットワークN及び通信部16を経由して患者氏名等の患者識別情報、患者の症状、使用者の役割、情報の使用場面、認証コード等の初期情報、さらにプラン候補の選択、診断や治療の医療行為に関する情報を入力し、必要な情報の入力を促す処理情報の選別や認証処理を実行するために構成されている。
【0020】
データ収集部12は、患者の症状、使用者の役割、使用場面に従って使用者がその場面で必要としているであろう情報の種別を特定するとともに、その特定した情報の種別と患者識別情報に対応する医療情報を複数のデータベース5、14、15から収集するために構成されている。患者の症状、使用者の役割、使用場面から、その使用者がその患者に対してその場面で必要としているであろう情報の種別を特定するために、例えば、患者の症状、使用者の役割、使用場面を入力として、情報の種別を出力とするよう構成されたテーブル(ROM又は不揮発性メモリ)23がデータ収集部12に接続されている。
【0021】
特定情報データベース13aは、各個人(被検体)を特定するための情報(特定情報)を被検体毎に管理し記憶している。この個人毎の情報には、生前において本人が自身の個人情報の学術的利用を許諾しているか否かの情報、及び各個人の死亡に関する情報等が含まれる。当該特定情報データベース13aにおいて「生前において本人が自身の個人情報の学術的利用を許諾している」と記録されている個人についての個人情報は、本人死亡の後、後述する学術情報生成処理によって学術情報化され、有効利用される。
【0022】
使用許諾情報データベース13bは、本システムによって生成される、バーチャルペーシェント情報に基づく学術情報の使用を事前に許可された研究者、研究団体等を特定するための情報を記憶する。
【0023】
学術情報生成部14は、特定情報データベース13aに「生前において本人が自身の個人情報の学術的利用を許諾している」と記録されている個人について、本人死亡の後、当該個人を特定しうる人情報(名前、住所、患者ID、職業その他の、当該被検体を特定し得る全ての情報)を個人情報から削除、又はフィルタリング、マスキングすることで、当該バーチャルペーシェント情報から学術情報を生成する。この学術情報生成部14によって実行される学術情報生については、後で詳しく説明する。
【0024】
制御部15、図示していないCPU、メモリ等を有しており、システム全体の制御中枢として、医療情報提供システム10を統括的に制御する。特に、制御部15は、所定のプログラムに従って各構成要素を制御し、後述する個人情報保護処理、学術情報生成処理、学術情報提供処理を実行する。
【0025】
通信部16は、複数種類の電子的通信回線に対応可能な複数種類の通信機器を備えている。
【0026】
医療情報選択部20は、ネットワーク上に存在する多くの医療情報の中から、所定の検索条件に従って、利用者にとって必要な情報を選択する。選択された医療情報は、所定の形態にて使用者に提供される。
【0027】
図3は、医療情報選択部20の概略構成を示したブロック図である。同図に示すように、医療情報選択部20は、患者の病名の推論部24、行動プランの構築部25、対処プラン関連の医療情報収集部26、表示情報選別部28、画面構築29、将来の症状の予測部30、統計処理部31を有している。
【0028】
患者の病名推論部24は、患者の症状、複数のデータベースから収集された医療情報に基づいて患者の病名を推論する。推論エンジンには、例えば、入力された又はデータベースから収集された医療情報の中の患者の症状、性別、年令、体格、生活習慣、患者の既往歴、現在の通院記録、血液等の検査結果を入力として、患者の病名を出力とするニューロコンピュータが採用される。
【0029】
行動プラン構築部25は、推論された病名に基づいて、使用者が次に実施すべき診断、治療、救急時の初期治療、介護等に関する複数種類の行動プランの候補を構築するために構成されている。病名に対する1又は複数の行動プランの候補は、使用者の役割及び場面に応じてほぼ決まる。例えば、患者の病名、使用者の役割、使用場面を入力として、複数の行動プランの候補を出力とするよう構成されたテーブル(ROM又は不揮発性メモリ)が行動プラン構築部25に接続されている。
【0030】
対処プラン関連の医療情報収集部26は、構築された複数の行動プランの候補に対して、それに関連する医療情報を特定のデータベース、例えば薬剤情報データベース7や研究機関の最新医療情報データベースから収集するために構成されている。行動プラン候補には少なくとも1つの処置が含まれており、この処置を入力として、少なくとも1つの情報種別を出力とするよう構成されたテーブル(ROM又は不揮発性メモリ)27が対処プラン関連の医療情報収集部26に接続されている。
【0031】
将来の症状の予測部30は、当該患者に対して各行動プランには含まれる少なくとも1つの処置を施したと仮定した場合における将来的な当該患者の症状(状態変化)を予測するために構成されている。予測エンジンには、例えば、入力された又はデータベースから収集された医療情報の中の患者の症状、性別、年令、体格、生活習慣、患者の既往歴、現在の通院記録、血液等の検査結果、処置内容、投与する薬剤の種類、投与する薬剤の量、最新医療情報等を入力として、将来的な当該患者の症状として、ここでは生活品質QOL(Quality Of Life)、EBM(Evidence Based Medicine)、死亡率(Mortality)を出力とするニューロコンピュータが採用される。
【0032】
表示情報選別部28は、データ収集部12で収集された医療情報、推論部24で推論された病名、構築部25で構築された複数の行動プランの候補、対処プラン関連の医療情報収集部26で収集された対処プラン関連の医療情報、さらに予測部30で予測された将来の症状を、情報を使用する使用者の役割、情報を使用する場面、及び使用者に許可されているアクセス権限に従って選別するために構成されている。画面構築部29は、表示情報選別部28で選別された医療情報を、テンプレートに適合することにより表示画面を構築するために構成されている。この表示画面のデータは通信部16、各端末に対応する通信回線(ネットワーク)を経由して使用者側の端末に送信される。
【0033】
端末装置:また、医療情報提供システム1は、上述した入力部としての診察室等に固定された端末、さらに救急車等の移動車両に装備されている又はポータブル式の移動端末に接続されている。
【0034】
(バーチャルペーシェントが有する種々の機能)
本実施形態に係るバーチャルペーシェントシステム1及び医療情報提供システム19は、基本的に、医療、健康、介護にかかる個人情報が保存されている複数のデータベースに電気的通信回線を介して接続されており、これら複数のデータベースから、患者を特定する個人識別情報だけでなく、個人情報を使用する使用者(ユーザ)の役割(医者、看護士、救急救命士、介護士等)と、使用者が個人情報を使用する使用場面(診断、治療、看護、介護等)と、患者の症状を使って、それらに対応する医療情報を収集することにより、使用者が有用な又は有用とされる可能性の高い情報を使用者に提供することを可能にするように構築されたシステムである。そのために本実施形態に係るバーチャルペーシェントシステム及び医療情報提供システムに必要とされる機能としては以下の通りである。
【0035】
・個人が生まれてから、死ぬまでの全ての健康、医療、福祉に関する個人情報の保管場所を特定することができる
・EBM(Evidence Based Medical)などの診断、治療ガイドラインや最新の研究成果の情報を収集できる
・ある処理を患者に施すことを仮定した場合においてその処置により当該患者が将来的に如何なる状態に至るかを予測するシミュレーション機能を持つ
・インターネットや電話回線、さらには無線通信網等の様々な種類の電子的通信回線を経由して繋がっている複数の個人情報データベースから使用者が有用な又は有用とされる可能性の高い情報を検索する検索機能を持つ
・情報の表示機能を持つ
・様々な種類のネットワークに対してアクセス可能である
・情報使用者を認識できる
・使用者がどのような環境で、どのような情報を必要としているかを特定できる
・必要な情報のみを、使用者が理解しやすい形式で表示する
・他人に開示してよい情報と開示したくない情報を区別できる
・セキュリティー機能を持つ
・プライバシー保護機能を持つ
・バーチャルペーシェントボディ(Virtual Patient Body)を表示することができる
・個人情報を複合的に使用することにより、それぞれ単独で使用する以上の情報を引き出すことを可能にする
・個人情報の使用者、例えば医師、技師、看護婦、本人、保険者などそれぞれの役割に応じた情報を選別して見やすい形式で表示する
・使用者、例えば医師、技師、看護婦、本人、保険者などが個人情報を使用する状況(使用場面(シーン))、例えば、医師がその患者が急患で運ばれてきた場面で使うのか、それとも健康診断場面で使うのか等に応じて個人情報を選別して見やすい形式で表示する
・必要な情報を特定する
・情報をどのように(位置、順番、2次元、3次元など)見せるべきか決定できる
・必要な情報が存在するかを認識できる
・必要なのに保管されていない情報を特定できる
・必要なのに保管されていない情報を入手して保管することを促すことができる
・いつでも、どこでもこの情報を閲覧、使用することができる環境にする
・不足している情報を利用者に知らせ、その情報を追加入力できる
・リアルタイムに患者の個人情報を収集し、保管することができる(体温、脈拍、血圧、尿検査結果、便検査結果、心電図、脳波)
ここで、本実施形態に係るバーチャルペーシェントシステム及び情報提供システムに必要とされる機能を使用者の役割で分類すると次の通りである。
(使用者が医師の場合)
・患者診療情報から、要注意部位と診断結果情報、EBM情報や最新の研究成果を表示できる
・推論した病名等の診断結果を基に、そのときのベストな治療プランを提示する
・最適な診断・治療パス(クリティカルパス)を提示できる。複数提示して、利点、欠点を表示し、使用者に判断の材料を与えることもできる ・患者症状を入力し、疾病の可能性を数値表示することができる
・医療画像を任意に重ね合わせることができ、単独で観察する以上の価値を引きだすことができる ・薬学情報を表示できる ・患者が健康であると仮定した場合には、こうであるはずであるという標準データを持ち合わせ、これと実際の患者の医療情報を比較することで、疾病を見つけることができる。比較する標準データは、年齢や性別、体重、身長などの特徴に喫煙飲酒の有無などの情報をもとに作成される。このデータは標準データであることは必須ではなく、患者がこうなりたいという願望のデータであっても良い ・過去・現在の健康状態トレンドから将来への健康状態を予想することができる(使用人が看護婦・保健婦の場合)
・バーチャルペーシェントに接続することで、昔からの知り合いのように患者さんを理解し、お世話ができる
・患者の嗜好がわかる(特定のプロ野球球団が好き等)
・患者の家族構成、生い立ち、苦労話
・患者本人の状態(肌のつやがよい、目つきがしっかりしている、何となくだるそう等)が分かる
・患者本人の希望する看護方針(打つも話しかけて欲しい、ほっといて欲しい、外出したい等)
・過去・現在の健康状態トレンドから将来への健康状態を予想し、疾病にならないような予防方法を指導できる(使用人が放射線技師、放射線科の医師の場合) ・既往歴、アレルギー情報が分かる ・過去に収集した画像、レポート、読影医が分かる
(使用人が本人の場合)
・現在の健康状態が把握できる
・自分が何時、死ぬかが予想できる
・現在の疾病の病名が分かる
・原因を知ることができる
・治療方法を複数知ることができる
・それぞれの治療方法にかかる、費用、期間、病院施設、医師名、リスク(死亡率、副作用など)、メリットが分かる
・自分が将来、なると予想される疾病と時期を知ることができる
・予防方法を知ることができる
・急に体調を崩したら、リアルタイムで患者の医療情報(身長、体重、体温、脈拍、血圧、尿検査結果、便検査結果、心電図、脳波)を収集し、最適な医師に自動的に連絡を行い、本人が対応可能な場合には患者に指示を与える。もし、本人が対応ができない場合には、重傷度と本人の理想的と考えている対応方法に応じた最適な対応が自動で行われる
・理想の自分の体を認識し、手に入れる方法を知ることができる。
【0036】
・心のケア-をしてくれる、してくれる人を紹介できる、相談相手になってくれる
・患者として病院を受診する権利を売買できる
・自分の疾病の状態を公開して、各病院に公開し、オークションを開くことができる(価格、期間、入院施設の充実度、快適性など)
・使用者が保険者の場合
・過去・現在の健康状態トレンドから将来への健康状態を予想し、保険料を算出できる
・それぞれの治療方法にかかる、費用、期間、病院施設、医師名、リスクを提示できる
・患者として病院を受診する権利を売買できる
図4には以上の機能を考慮した本システムの概要を示している。本実施形態に係るシステムのバーチャルペーシェントエージェントエンジンには、一人の患者に関する全診療情報を時空間的な制約を受けずにスムーズに取り出すことができる、医慮情報を使用するシーン(使用場面)や医療情報の使用者にマッチした必要な情報だけに絞って提供できる、患者診療情報から要注意部位と診断結果情報、EBM情報を提供できる、推論した診断結果を基にそのときベストと想定できる複数の治療プランの候補を提供できる、バーチャルペーシェントとして不足している情報を使用者に知らせてその情報を追加入力できる、といった仕様が求められている。
【0037】
また、図5に示すように、本実施形態に係るシステムのバーチャルペーシェントエージェントエンジンの基本的な機能としては、膨大な情報の中から使用者の役割に応じて情報を選別して提供するものであり、例えば医者や放射線科医であれば、診断の支援となり得る情報、診断結果の確からしさを確認できる情報、画像診断の支援となり得る情報を提供し、また看護婦には、次の看護処置、治療プランの支援情報を提供し、技師には、画像作成プラン情報、撮影手順(プロシージャ)の支援情報を提供し、患者に対しては、インフォームドコンセント(承諾内容)、病気等の予防知識に関する情報を提供し、さらに病院の院長が使用者であれば、病院経営にとって有益と考えられる患者の死亡率、転院率、収益、経費に関する情報を提供し、保険会社には医療費や医療コストさらには死亡率に関する情報を提供し、製薬会社には投薬効果や副作用に関する情報を提供する。
【0038】
本実施形態に係るバーチャルペーシェントシステムは、病院の放射線部門システム、電子カルテシステム及び病棟部門システム、診療所、家庭に設置されているコンピュータシステムに繋がっており、これらコンピュータシステムの記憶装置やデータベースシステムに分散して保管されている医療情報を上述した使用者の役割当に応じて選別して収集して、その情報を要求している端末にサーブする。
【0039】
(個人情報保護機能・学術情報生成機能)
次に、本医療情報提供システム10が有する個人情報保護機能及び学術情報生成機能について説明する。前者の機能は、所定の人物の死亡に関する情報を受け取った場合には、例えば適当な期間が経過した後には、当該人物に関する個人情報を更新(追加、変更、削除等)不可能とすることで、当該個人情報を保護するものである。また、後者の機能は、所定の人物の死亡に関する情報を受け取った場合には、個人情報から当該個人を特定しうる情報を削除することで、学術的な目的として使用しうる学術情報を生成するものである。生成された学術情報は、例えば事前に登録された研究者等によって使用される。
【0040】
図6は、個人情報保護機能/学術情報生成機能を説明するための図であり、これらの機能によって実行される各処理の流れを示したフローチャートである。各ステップの処理は、制御部15の制御のもと、図2に示した各構成要素によって実行される。
【0041】
図6に示すように、被検体P本人の生前においては、バーチャルペーシェント情報は適宜更新され、例えば医療機関における本人の治療、健康管理等に利用される(ステップS1)。
【0042】
一方、被検体P本人が死亡した場合、当該被検体Pの死亡した事実や死亡日時の死亡に関する情報の入力を所定の形態にて受け取ると、当該死亡に関する情報を個人情報データベース13aに記録する。この死亡に関する情報が記録されると、医療情報提供システム10は、バーチャルペーシェントシステム1上の当該被検体に関する個人情報について更新を禁止する(ステップS2)。ここで、個人情報の更新の禁止には、制御部15の制御のもと、通信部16が受信した、例えば当該被検体Pに関する個人情報の更新指示を破棄する、又は、制御部15が各医療施設のサーバに、当該被検体Pに関する個人情報の更新の禁止を指示する等の手法が採用できる。
【0043】
なお、所定の形態による死亡に関する情報の入力の例としては、例えば担当医師が死亡診断書を作成した場合における当該医師の端末からの入力、市役所に当該被検体Pの死亡届を提出した場合における当該市役所の端末からの入力、被検体Pの親族による任意の入力等がある。また、個人情報の更新禁止のタイミングは、特に限定する趣旨ではないが、例えば、死亡に関する情報を受信後一定期間経過した時等が好適である。
【0044】
次に、所定のタイミング(例えば、個人情報の更新を禁止から所定期間経過後、使用者からの学術情報要求受信時)において、制御部15の制御のもと、学術情報生成部14は、所定のタイミングにおいて、当該被検体Pの個人情報から当該人物を特定し得る情報を削除することで、学術情報を生成する(ステップS3)。より具体的には、例えば画像及び通信の規格としてDICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)を用いた場合には、全てのデータのプライベートタグを学術情報生成部14において消去すること等で、システム上の個人情報から学術情報を生成する。
【0045】
次に、制御部15は、特定情報データベース13a内の情報を参照することで、自身の個人情報から生成された学術情報を利用することについて、生前に被検体P本人から許諾を受けているか否かを判定する(ステップS4)。許諾を受けていない場合には、当該情報は破棄され(ステップS5′)、一方、許諾を受けている場合には、当該学術情報が学術情報サーバ60に保存される(ステップS5)。
【0046】
(学術情報提供)
次に、学術情報生成機能によって生成された学術情報の提供処理について説明する。
【0047】
図7は、本バーチェルペーシェントシステム1によって実行される学術情報の提供処理の流れを示したフローチャートである。図8は、本バーチェルペーシェントシステム1によって実行される学術情報の一例を示している。
【0048】
まず、使用者端末からバーチャルペーシェントエンジン4に学術情報取得のための各種条件が入力され、入力された条件に応じた判定等が実行される(ステップS11、ステップS12)。すなわち、所定のネットワークを介して、使用者端末からバーチャルペーシェントエンジン4に学術情報提供要求が出されると、バーチャルペーシェントエンジン4は、使用者端末に対して使用者を特定する情報としてここではユーザIDの入力を要求する。
【0049】
バーチャルペーシェントエンジン4は、この要求に呼応して使用者端末から供給されたユーザIDが使用許諾情報データベース13bに登録されているか否かを判定する。バーチャルペーシェントエンジン4は、ユーザIDが使用許諾情報データベース13b登録されていないと判定した場合には、当該使用者からの学術情報提供要求を破棄し、一方、ユーザIDが使用許諾情報データベース13b登録されていると判定した場合には、当該使用者及びその役割を特定する。
【0050】
続いて、バーチャルペーシェントエンジンは、使用者端末に対して、要求する学術情報を特定するための条件の入力を要求する。この要求に呼応して使用者端末からネットワークを介してバーチャルペーシェントエンジンに各種条件が供給される。なお、要求する学術情報を特定するための条件は、どの様なものであってもよい。ここでは、例えば病名、治療方法、性別、年齢等を入力するものとする。
【0051】
次に、バーチャルペーシェントエンジンは入力部に対して利用場所(場面)に関する情報の入力を要求する。この要求に呼応して入力部からバーチャルペーシェントエンジンに場面情報が供給される。この場面情報は使用者が手動で入力してもよいし、入力部が設置されている場所に置かれたセンサからの出力に応じて入力されるようにしても良い。バーチャルペーシェントエンジンは、特定された使用者、その役割、場面に対応する表示画面のテンプレートを選択する。なお、ここでは、利用場所(場面)として「学術研究」と入力するものとする。
【0052】
次に、バーチャルペーシェントエンジン4は、学術情報サーバ60に対して、学術情報を特定するための条件を満足する学術情報の収集要求を送信する(ステップS13)。学術情報サーバ60は、学術情報データベースを検索し、各条件を満足する学術情報を収集する(ステップS14)。なお、当該学術情報データベース内に各条件を満足する学術情報が存在しない場合には、その旨が学術情報サーバ60からバーチャルペーシェントエンジン4に送信され、使用者端末に報告される。また、各条件を満足する学術情報が複数存在する場合には、該当する全ての学術情報を収集するものとする。収集された学術情報は、バーチャルペーシェントエンジン4に送信され、当該バーチャルペーシェントエンジン4によってネットワークを介した使用者端末に提供される。
【0053】
以上述べた構成によれば、次の効果を得ることができる。
【0054】
まず、本バーチャルペーシェントシステムは、ネットワークを介して所定の人物の死亡に関する情報を受け取った場合には、システム上の当該人物の個人情報の更新を所定のタイミングで禁止する。従って、当該個人が死亡した後にその個人情報が追加、変更、削除されることを防止することができ、当該個人情報の内容を維持しつつ安全に保存することができる。
【0055】
また、本バーチャルペーシェントシステムは、生前において本人が自身の個人情報の学術的利用を許諾している場合には、本人死亡後所定のタイミングにおいて、当該人物の個人情報からこの人物を特定し得る情報を削除することで、学術情報を自動的に生成する。従って、生前に本人の許諾を取得しておき、これをシステム上に登録するのみで、自動的に個人情報に基づく学術情報データベースを生成することができる。その結果、人為的負担をかけることなく、学術研究等に有用なデータベースを迅速且つ比較的安価に作成することができる。
【0056】
また、本バーチャルペーシェントシステムは、自動的に個人情報に基づいて作成された学術情報を保存する学術情報データベースを、要求に応じて使用者に提供している。従って、プライバシーを保護しつつ医学の進歩に寄与することが可能である。
【0057】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0058】
(1)上実施形態では、一律にバーチャルペーシェント情報から学術情報を生成し、事後的に登録者リストと照らし合わせることで、未許諾の被検体に関する学術情報を削除する構成であった。これに対し、事前に登録者リストを参照し、登録されていない被検体については、初めから学術情報を生成しない構成であってもよい。
【0059】
(2)上実施形態では、バーチャルペーシェントエンジンにおいて学術情報を生成し、要求する使用者に適用する構成であった。しかし、これに限定する趣旨ではなく、例えば学術情報生成部14、特定情報データベース13a、使用許諾情報データベース13b等の構成を学術情報プロバイダや、各医療施設等に設ける構成であってもよい。
【0060】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上本発明によれば、プライバシーを保護した形態にて個人情報を研究や臨床応用に有用な学術情報として使用することができるバーチャルペーシェントシステム及び医療情報提供システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は、本実施形態に係るバーチャルペーシェントシステム1の概略構成を示した図である。
【図2】図2は、医療情報提供システム10のブロック構成図を示している。
【図3】図3は、医療情報選択部20の概略構成を示したブロック図である。
【図4】図4は、バーチャルペーシェントシステムの概要を説明するための図である。
【図5】図5は、本バーチャルペーシェントエージェントエンジンの基本的な機能を説明するための図である。
【図6】図6は、個人情報保護機能、学術情報生成機能によって実行される各処理の流れを示したフローチャートである。
【図7】図7は、本バーチェルペーシェントシステム1によって実行される学術情報の提供処理の流れを示したフローチャートである。
【図8】図8は、本バーチェルペーシェントシステム1によって実行される学術情報の一例を示している。
【符号の説明】
【0063】
1…バーチャルペーシェントシステム、4…バーチャルペーシェントエンジン、5…コンピュータ、10…医療情報提供システム、11…入力部、12…データ収集部、13a…特定情報データベース、13b…使用許諾情報データベース、14…学術情報生成部、15…制御部、16…通信部、20…医療情報選択部、24…患者の病名の推論部、25…行動プランの構築部、26…対処プラン関連の医療情報収集部、28…表示情報選別部、29…画面構築、30…将来の症状の予測部、31…統計処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療、健康、介護の少なくとも1つにかかる個人情報が保存されている個人情報データベースを有する少なくとも一つの個人情報サーバと、当該少なくとも一つの個人情報サーバに電気的通信回線を介して接続される医療情報提供システムと、を具備するバーチャルペーシェントシステムであって、
前記医療情報提供システムは、
前記電気的通信回線を介して、使用者端末から個人識別情報と、個人情報を使用する使用者の役割と、前記使用者が個人情報を使用する使用場面と、医学的症状とをユーザから受け付ける受付手段と、
前記電気的通信回線を介して、前記少なくとも一つの個人情報データから前記個人識別情報と、前記受付手段によって受け付けられた前記使用者の役割、前記使用場面、前記医学的症状とに対応する医療情報を収集する個人情報収集手段と、
前記電気的通信回線を介して、前記使用者端末に前記収集した個人情報を提供する提供手段と、
前記電気的通信回線を介して、前記個人情報データベースに保存されている前記個人情報の更新指示を受け付け、当該更新指示に基づいて前記個人情報を更新する更新手段と、
前記更新手段が、所定の人物の死亡に関する情報を含む前記更新指示を受け付け、当該死亡に関する情報に基づいて前記所定の人物に関する前記個人情報を更新した場合には、その後の更新を禁止することで当該個人情報を保護する情報保護手段と、
を有すること、
を特徴とするバーチャルペーシェントシステム。
【請求項2】
前記保護手段は、前記電気的通信回線を介して、前記所定の人物に関する前記個人情報の更新禁止指示を前記少なくとも一つの個人情報サーバに送信し、
前記少なくとも一つの個人情報サーバは、前記更新禁止指示に応答して前記個人情報の更新を禁止すること、
を特徴とする請求項1記載のバーチャルペーシェントシステム。
【請求項3】
前記保護手段は、前記電気的通信回線を介して前記更新指示を受け付けないように前記変更手段を制御することで、当該個人情報の更新を禁止することを特徴とする請求項1記載のバーチャルペーシェントシステム。
【請求項4】
前記少なくとも一つの個人情報サーバは、
自身の前記個人情報に基づく学術情報の生成について、事前に許諾を得ている人物の特定情報を記憶する記憶手段と、
前記情報保護手段によって前記所定の人物の死亡に関する情報が受け付けられた場合には、前記医療情報提供システムからの指示に応答して、当該所定の人物の前記個人情報からその人物を特定し得る情報を削除することで、学術情報を生成する学術情報生成手段と、
自身の前記個人情報に基づく学術情報の生成について、前記所定の人物から事前に許諾を得ているか否かを前記被検体の特定情報に基づいて判定し、事前に許諾を得ていると判定した場合には、前記学術情報を学術情報データベースに保存する判定手段と、
を具備することを特徴とする請求項1又は2記載のバーチャルペーシェントシステム。
【請求項5】
前記医療情報提供システムは、
自身の前記個人情報に基づく学術情報の生成について、事前に許諾を得ている人物の特定情報を記憶する記憶手段と、
前記情報保護手段によって前記所定の人物の死亡に関する情報が受け付けられた場合には、当該所定の人物の前記個人情報からその人物を特定し得る情報を削除することで、学術情報を生成する学術情報生成手段と、
自身の前記個人情報に基づく学術情報の生成について、前記所定の人物から事前に許諾を得ているか否かを前記被検体の特定情報に基づいて判定し、事前に許諾を得ていると判定した場合には、前記学術情報を学術情報データベースに保存する判定手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項1又は3記載のバーチャルペーシェントシステム。
【請求項6】
前記判定手段は、前記所定の人物から、自身の前記個人情報に基づく学術情報の生成について、事前に許諾を得ていないと判定した場合には、前記学術情報を破棄することを特徴とする請求項4又は5記載のバーチャルペーシェントシステム。
【請求項7】
前記情報保護手段は、前記所定の人物の死亡診断書を作成した医師の端末、前記所定の人物の戸籍原本を取り扱う行政機関の端末、前記所定の人物の親族の端末のいずれかより、前記電気的通信回線を介して前記死亡に関する情報を受け付けることを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか一項記載のバーチャルペーシェントシステム。
【請求項8】
医療、健康、介護の少なくとも1つにかかる個人情報が保存されている個人情報データベースを有する少なくとも一つの個人情報サーバに電気的通信回線を介して接続される医療情報提供システムであって、
前記電気的通信回線を介して、使用者端末から個人識別情報と、個人情報を使用する使用者の役割と、前記使用者が個人情報を使用する使用場面と、医学的症状とをユーザから受け付ける受付手段と、
前記電気的通信回線を介して、前記少なくとも一つの個人情報データから前記個人識別情報と、前記受付手段によって受け付けられた前記使用者の役割、前記使用場面、前記医学的症状とに対応する医療情報を収集する個人情報収集手段と、
前記電気的通信回線を介して、前記使用者端末に前記収集した個人情報を提供する提供手段と、
前記電気的通信回線を介して、前記個人情報データベースに保存されている前記個人情報の更新指示を受け付け、当該更新指示に基づいて前記個人情報を更新する更新手段と、
前記更新手段が、所定の人物の死亡に関する情報を含む前記更新指示を受け付け、当該死亡に関する情報に基づいて前記所定の人物に関する前記個人情報を更新した場合には、その後の更新を禁止することで当該個人情報を保護する情報保護手段と、
を具備することを特徴とする医療情報提供システム。
【請求項9】
前記保護手段は、前記電気的通信回線を介して、前記所定の人物に関する前記個人情報の更新禁止指示を前記少なくとも一つの個人情報サーバに送信し、
前記少なくとも一つの個人情報サーバは、前記更新禁止指示に応答して前記個人情報の更新を禁止すること、
を特徴とする請求項8記載の医療情報提供システム。
【請求項10】
前記保護手段は、前記電気通信回線を介して前記更新指示を受け付けないように前記変更手段を制御することで、当該個人情報の更新を禁止することを特徴とする請求項8記載の医療情報提供システム。
【請求項11】
自身の前記個人情報に基づく学術情報の生成について、事前に許諾を得ている人物の特定情報を記憶する記憶手段と、
前記情報保護手段によって前記所定の人物の死亡に関する情報が受け付けられた場合には、当該所定の人物の前記個人情報からその人物を特定し得る情報を削除することで、学術情報を生成する学術情報生成手段と、
自身の前記個人情報に基づく学術情報の生成について、前記所定の人物から事前に許諾を得ているか否かを前記被検体の特定情報に基づいて判定し、事前に許諾を得ていると判定した場合には、前記学術情報を学術情報データベースに保存する判定手段と、
をさらに具備することを特徴とする請求項8又は11記載の医療情報提供システム。
【請求項12】
前記判定手段は、前記所定の人物から、自身の前記個人情報に基づく学術情報の生成について、事前に許諾を得ていいないと判定した場合には、前記学術情報を破棄することを特徴とする請求項11記載の医療情報提供システム。
【請求項13】
前記情報保護手段は、前記所定の人物の死亡診断書を作成した医師の端末、前記所定の人物の戸籍原本を取り扱う行政機関の端末、前記所定の人物の親族の端末のいずれかより、前記電気的通信回線を介して前記死亡に関する情報を受け付けることを特徴とする請求項8乃至12のうちいずれか一項記載の医療情報提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−85631(P2006−85631A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−272342(P2004−272342)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】