説明

バーナおよびボイラ

【課題】 装置の小型化、消費電力の削減、燃焼再開時の着火安定性と共に、有害物質の低減を実現可能な、バーナを提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明は、複数の流体O1,W1を混合して噴出する燃料噴出部101と、燃焼用空気を噴出する空気噴出部147とを備えたバーナ100であって、前記燃料噴出部101が、添加流体導入部140と燃料導入部130とを有し、前記燃料導入部130にて導入される燃料O1の導入圧力によって、前記添加流体導入部140を介して導入される添加流体W1が引き込まれるように構成されていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナおよびボイラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、環境保護のために、ボイラやガスタービン等の燃焼装置から排出される燃焼ガス(排ガス)中の窒素酸化物(NOx)については、その低減が求められている。そのため、我国においては、種々の低NOx化技術の開発が進められている。
【0003】
上述した低NOx化技術の一つとして、例えば、エマルジョン燃料を用いた燃焼方法が知られている。これは、液体燃料に水を添加してエマルジョン燃料を構成し、このエマルジョン燃料を燃焼させる方法であり、この方法によれば、燃焼排ガス中のNOxや煤塵を低減することができる。
【0004】
一般に、エマルジョン燃料を構成する場合には、液体燃料と水とを混合させるためのミキシング装置が必要となる(例えば、特許文献1参照)。つまり、エマルジョン燃料を用いたバーナ等を用いた燃焼装置を構成する場合には、通常、バーナ(を構成する燃料噴出部)の上流側に、スクリューや攪拌翼等を備えたミキシング装置が設けられている。
【0005】
しかしながら、上記従来技術によれば、ミキシング装置が必要となることから、装置全体が大型化すると共に、消費電力が大きくなるという問題があった。
【0006】
また、上記従来技術によれば、液体燃料と水とを混合させるためのミキシング装置が燃料噴出部から離れた位置に設けられているため、燃焼停止時にミキシング装置と燃料噴出部との間の配管内で液体燃料と水とが分離して、種々の不具合が発生するという問題があった。例えば、燃焼停止後の再着火時に分離した水が多量に噴出されて、着火が不安定になるという問題があった。
【0007】
【特許文献1】特開平5−157221号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題を解決するためになされたものであって、装置の小型化、消費電力の削減、燃焼再開時の着火安定性と共に、有害物質(NOxおよび煤塵等)の低減を実現可能な、バーナ(エマルジョン燃料を用いたバーナ)を提供することを課題とする。また、本発明は、上記従来技術の問題を解決するためになされたものであって、上述したバーナを用いることにより、装置の小型化、消費電力の削減、燃焼再開時の着火安定性と共に、有害物質(NOxおよび煤塵等)の低減を実現可能な、ボイラを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、複数の流体を混合して噴出する燃料噴出部と、燃焼用空気を噴出する空気噴出部とを備えたバーナであって、前記燃料噴出部が、添加流体導入部と燃料導入部とを有し、前記燃料導入部にて導入される燃料の導入圧力によって、前記添加流体導入部を介して導入される添加流体が引き込まれるように構成されていることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、前記燃料噴出部が複数の流体を混合して噴出可能であるため、従来技術のようなミキシング装置を必要としない。また、前記添加流体は、前記燃料の導入圧力によって前記燃料噴出部内に導入されるため、前記添加流体を供給するポンプ圧力を低減することができる。したがって、このような構成によれば、装置の小型化および消費電力の削減を実現することができる。
【0011】
さらに、このような構成によれば、上記の通り、ミキシング装置を必要とせず、前記燃料噴出部にて流体を混合しているため、燃焼停止時においても、配管内で前記液体燃料と前記添加流体とが分離することはない。したがって、このような構成によれば、燃焼再開時の着火安定性が高まる。
【0012】
また、このような構成によれば、エマルジョン燃料を用いて適切な燃焼状態を実現可能であるため、有害物質(NOxおよび煤塵等)の低減を図ることができる。
【0013】
以上のように、このような構成によれば、装置の小型化、消費電力の削減、燃焼再開時の着火安定性と共に、有害物質(NOxおよび煤塵等)の低減を実現可能な、バーナを得ることができる。
【0014】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、複数の流体を混合して噴出する燃料噴出部と、燃焼用空気を噴出する空気噴出部とを備えたバーナであって、前記燃料噴出部が、添加流体導入部と燃料導入部と空気導入部とを有し、前記燃料導入部にて導入される燃料の導入圧力によって、前記添加流体導入部を介して導入される添加流体が引き込まれるように構成されていることを特徴としている。
【0015】
このような構成によれば、前記燃料噴出部が複数の流体を混合して噴出可能であるため、従来技術のようなミキシング装置を必要としない。また、前記添加流体は、前記燃料の導入圧力によって前記燃料噴出部内に導入されるため、前記添加流体を供給するポンプ圧力を低減することができる。したがって、このような構成によれば、装置の小型化および消費電力の削減を実現することができる。
【0016】
また、このような構成によれば、上記の通り、ミキシング装置を必要とせず、前記燃料噴出部にて流体を混合しているため、燃焼停止時においても、配管内で液体燃料と水とが分離することはない。したがって、このような構成によれば、燃焼再開時の着火安定性が高まる。
【0017】
さらに、このような構成によれば、エマルジョン燃料を用いて適切な燃焼状態を実現可能であるため、有害物質(NOxおよび煤塵等)の低減を図ることができる。
【0018】
また、このような構成によれば、前記燃料噴出部が三流体(添加流体、燃料、空気)を混合して噴出すべく構成されており、この際、前記燃料の導入圧力にて前記添加流体が前記燃料噴出部内に導入され混合されている。つまり、前記燃料に前記添加流体が添加されてから前記空気との混合処理がなされる。このような構成であれば、前記燃料の近くに前記添加流体が存在することとなって、火炎を効果的に冷却することができるため、NOx低減の効果を高めることができる。仮に、前記空気側に前記添加流体を添加すると、NOx低減効果が弱く、前記添加流体の添加量を増やす必要があるため(NOx低減効果を高めるためには)、ボイラ効率も低下することとなる。すなわち、このような構成によれば、前記三流体を混合する際に、前記燃料の近くに前記添加流体を存在させることによって、少ない前記添加流体を用いて火炎冷却効果を高めて低NOx化を図ると共に、ボイラ効率の低下も防ぐことができる。
【0019】
さらに、このような構成によれば、前記燃料と前記添加流体に加えて、前記空気も混合されるため、前記空気により前記燃料等の微粒化が行われる。したがって、このような構成によれば、前記空気を混合させない場合と比較して、より少ない前記添加流体によって効果的な低NOx化を実現できる。さらに、このように、前記燃料等の微粒化が行われることから、低煤塵化および低CO化も実現することができる。
【0020】
以上のように、このような構成によれば、装置の小型化、消費電力の削減、燃焼再開時の着火安定性と共に、有害物質(NOxおよび煤塵等)の低減を実現可能な、バーナを得ることができる。
【0021】
また、本発明にかかるバーナにおいては、前記添加流体として、水、エタノールおよびバイオエタノールの少なくともいずれかを含んだ流体が用いられる構成が好ましい。
【0022】
さらに、本発明にかかるバーナにおいては、前記燃料噴出部における前記燃料の噴出箇所および前記空気噴出部における前記燃焼用空気の噴出箇所のいずれか一方に対応して、前記燃料噴出部における前記燃料の噴出箇所および前記空気噴出部における前記燃焼用空気の噴出箇所のいずれか他方が設けられている構成が好ましい。
【0023】
この好ましい構成によれば、前記添加流体や前記空気を混合させることによる上述した種々の効果に加えて、次のような効果を得ることができる。
すなわち、この好ましい構成によれば、前記燃料(エマルジョン燃料)と前記燃焼用空気とが対応付けて噴出されるため、前記燃料と前記燃焼用空気との混合状態が良好となり、前記バーナにおける低煤塵化および低CO化を図ることができる。また、前記燃料と前記燃焼用空気との混合状態が良好となることから、前記燃料として液体燃料を用いる場合には、火炎が気化燃焼状態に近づくため、低NOx化を図ることができる。さらに、前記燃料と前記燃焼用空気との混合状態が良好となることから、前記バーナを効率的に燃焼させることが可能となるため、燃焼室の小型化、延いては缶体の小型化を図ることができる。
【0024】
また、本発明にかかるバーナにおいては、前記空気噴出部から噴出される前記燃焼用空気の流速の速い位置に合わせて、前記燃料が噴出される構成であることが好ましい。
【0025】
この好ましい構成によれば、前記添加流体や前記空気を混合させることによる上述した種々の効果に加えて、次のような効果を得ることができる。
すなわち、この好ましい構成によれば、前記燃料と前記燃焼用空気との混合状態を良好とすることが可能となって、上述したように、低煤塵化、低NOx化、および缶体の小型化を図ることができる。
【0026】
さらに、本発明にかかるバーナにおいては、前記空気噴出部が、複数設けられており、前記空気噴出部に対応して、前記燃料噴出部が複数設けられている構成(後述する「燃料を噴出する噴出孔が複数設けられている構成」も含む)が好ましい。
【0027】
この好ましい構成によれば、前記添加流体や前記空気を混合させることによる上述した種々の効果に加えて、次のような効果を得ることができる。
すなわち、この好ましい構成によれば、複数の前記空気噴出部(前記燃焼用空気)と前記燃料噴出部(前記燃料(エマルジョン燃料))とが一対一に対応して構成され、分割火炎が形成されることとなる。したがって、このような構成によれば、上述した効果に加え、分割火炎による低NOx化も図ることができる。
【0028】
また、本発明にかかるバーナにおいては、前記空気噴出部が、複数設けられており、前記空気噴出部に対応して、前記燃料噴出部には前記燃料を噴出する噴出孔が複数設けられている構成が好ましい。
【0029】
この好ましい構成によれば、前記添加流体や前記空気を混合させることによる上述した種々の効果に加えて、次のような効果を得ることができる。
すなわち、この好ましい構成によれば、複数の前記空気噴出部(前記燃料用空気)と前記噴出孔(前記燃料(エマルジョン燃料))とが一対一に対応して構成され、上記と同様に分割火炎が形成されることとなる。したがって、このような構成によれば、上述した効果に加え、分割火炎による低NOx化も図ることができる。
【0030】
さらに、本発明にかかるバーナにおいては、それぞれの前記空気噴出部が、空気の噴出方向を制御するガイド部と、噴出される空気を拡散させる拡散部とを有する構成であることが好ましい。
【0031】
この好ましい構成によれば、前記添加流体や前記空気を混合させることによる上述した種々の効果に加えて、次のような効果を得ることができる。
すなわち、この好ましい構成によれば、前記空気噴出部が前記ガイド部を有するため、缶体の構成(ガス流路の位置等)に応じて火炎(ガス)の流れを制御し、有害物質の低減化(低煤塵化、低NOx化)を図ることができる。また、前記空気噴出部が前記拡散部を有するため、前記燃料と前記燃焼用空気とを効果的に混合させて、低煤塵化を図ることができる。このような構成(拡散部を有する構成)によれば、前記燃料噴出部から噴出される燃料と空気とのミキシング状態を一部分不均一にすることができる。つまり、単にミキシング状態を良好にするわけではなく、拡散部によって一部意図的に不均一なミキシング状態を形成するため、かかるバーナを用いて構成されたボイラは、缶体内のガス温度を低下させ、NOx値の低減化を図ることができる。また、このような構成によれば、前記ガイド部を有することにより、前記燃焼用空気を集束させて前記燃料に対し高速で接触させることが可能となるため、火炎の燃焼状態が気化燃焼に近づき、低NOx化を図ることができる。さらに、前記ガイド部を設けて噴出される前記空気の流速を高めることにより、前記ガイド部周辺のガスを巻き込むこととなるため(自己再循環の状態となるため)、低NOx化を図ることができる。
【0032】
また、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、環状に配列された内側水管群と外側水管群とを有する缶体と、前記内側水管群の中央部に配設されたバーナとを備えたボイラであって、前記バーナが上述したいずれかの構成を有するバーナであることを特徴としている。
【0033】
このような構成にかかるボイラによれば、上述した種々の効果を発揮し得るバーナが搭載されているため、有害物質の低減化等を効果的に実現可能なボイラを得ることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、装置の小型化、消費電力の削減、燃焼再開時の着火安定性と共に、有害物質(NOxおよび煤塵等)の低減を実現可能な、バーナを得ることができる。また、本発明によれば、上述したバーナを用いることにより、装置の小型化、消費電力の削減、燃焼再開時の着火安定性と共に、有害物質(NOxおよび煤塵等)の低減を実現可能な、ボイラを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の実施形態を説明する前に、本明細書において使用する用語について説明する。
【0036】
本明細書において、単に「ガス」と称する場合、ガスとは、燃焼反応中のガスおよび燃焼反応が完了したガスの少なくとも一方を含む概念であり、燃焼ガスと称することもできる。つまり、ガスとは、燃焼反応中のガスおよび燃焼反応が完了したガスの両方を有する場合、燃焼反応中のガスのみを有する場合、あるいは燃焼反応が完了したガスのみを有する場合の、いずれをも含む概念である。以下、特に説明しない場合は同様の概念である。
【0037】
また、排ガスとは、燃焼反応が完了または殆ど完了したガスを意味する。さらに、特に説明しない場合は、排ガスとは、ボイラの缶体内を通過して煙突部に達したガス、および缶体内にて循環するガスの両方あるいはいずれかを意味するものとする。
【0038】
また、ガス温度は、特に説明しない限り、燃焼反応中のガスの温度を意味し、燃焼温度あるいは燃焼火炎温度と同義である。さらに、ガス温度の抑制とは、ガス(燃焼火炎)温度の最高値を低く抑えることを意味する。なお、通常、燃焼反応は、上述した「燃焼反応が完了したガス」中においても極微量であるが継続しているので、「燃焼反応の完了」とは、燃焼反応の100%完結を意味するものではない。
【0039】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0040】
まず、本実施形態の第一態様にかかるバーナは、複数の流体を混合して噴出する燃料噴出部と、燃焼用空気を噴出する空気噴出部とを備えたバーナであって、前記燃料噴出部が、添加流体導入部と燃料導入部とを有し、前記燃料導入部にて導入される燃料の導入圧力によって、前記添加流体導入部を介して導入される添加流体が引き込まれるように構成されていることを特徴としている。
【0041】
また、本実施形態の第二態様にかかるバーナは、複数の流体を混合して噴出する燃料噴出部と、燃焼用空気を噴出する空気噴出部とを備えたバーナであって、前記燃料噴出部が、添加流体導入部と燃料導入部と空気導入部とを有し、前記燃料導入部にて導入される燃料の導入圧力によって、前記添加流体導入部を介して導入される添加流体が引き込まれるように構成されていることを特徴としている。
【0042】
さらに、本実施形態の第三態様にかかるバーナは、第一態様または第二態様の構成において、前記添加流体として、水、エタノールおよびバイオエタノールの少なくともいずれかを含んだ流体が用いられることを特徴としている。
【0043】
また、本実施形態の第四態様にかかるバーナは、第一態様から第三態様のいずれかの構成において、前記燃料噴出部における前記燃料の噴出箇所および前記空気噴出部における前記燃焼用空気の噴出箇所のいずれか一方に対応して、前記燃料噴出部における前記燃料の噴出箇所および前記空気噴出部における前記燃焼用空気の噴出箇所のいずれか他方が設けられていることを特徴としている。
【0044】
さらに、本実施形態の第五態様にかかるバーナは、第四態様の構成において、前記空気噴出部から噴出される前記燃焼用空気の流速の速い位置に合わせて、前記燃料が噴出されることを特徴としている。
【0045】
また、本実施形態の第六態様にかかるバーナは、第四態様または第五態様の構成において、前記空気噴出部が、複数設けられており、前記空気噴出部に対応して、前記燃料噴出部が複数設けられていることを特徴としている。
【0046】
さらに、本実施形態の第七態様にかかるバーナは、第四態様または第五態様の構成において、前記空気噴出部が、複数設けられており、前記空気噴出部に対応して、前記燃料噴出部には前記燃料を噴出する噴出孔が複数設けられていることを特徴としている。
【0047】
また、本実施形態の第八態様にかかるバーナは、第六態様または第七態様の構成において、それぞれの前記空気噴出部が、空気の噴出方向を制御するガイド部と、噴出される空気を拡散させる拡散部とを有することを特徴としている。
【0048】
さらに、本実施形態の第九態様にかかるボイラは、環状に配列された内側水管群と外側水管群とを有する缶体と、内側水管群の中央部に配設されたバーナとを備えたボイラであって、このバーナが第一態様から第八態様のいずれかにかかるバーナであることを特徴としている。
【0049】
<第一実施例>
以下、図面に基づき、本発明の第一実施例にかかるボイラについて説明する。
【0050】
図1は、本発明の第一実施例にかかるボイラの縦断面の説明図を示している。図2は、図1のII−II線に沿う横断面の簡略説明図を示している。図3は、図1のIII−III線に沿う横断面の簡略説明図を示している。図4は、図1のIV−IV線に沿う横断面の簡略説明図を示している。
【0051】
図1等に示すように、本実施例にかかるボイラ1は、環状に配列された水管群を有する缶体10と、これらの水管群の中央部に配設されたバーナ100とを用いて構成されており、バーナ100上方位置には、燃焼用空気をバーナ100に供給する、ウインドボックス70が設けられている。
【0052】
缶体10は、上部ヘッダ11と下部ヘッダ12との間に複数の水管群(内側水管群20、外側水管群30)を立設して構成されている。それぞれの水管群20,30は、略同心円上の環状に配列されており、内側水管群20から所定間隔を隔てて外側水管群30が設けられており、内側水管群20と外側水管群30との間に環状ガス流路80が形成されている。
【0053】
本実施例において、内側水管群20は、複数の内側水管21および第一縦ヒレ部24を用いて構成されている。それぞれの内側水管21は、略均等の所定間隔を有した状態で環状に構成されており、各内側水管21間には、隣接する内側水管21間の隙間をなくすべく連接された第一縦ヒレ部24が設けられている。つまり、本実施例においては、この第一縦ヒレ部24を用いて、内側水管群20は、密接状態で環状に構成されることとなる。
【0054】
また、各内側水管21の下端部21aは縮径部となっており、本実施例にかかる内側水管群20においては、この縮径された下端部21a周辺の空間が、環状に形成された内側ガス流路25として機能することとなる。すなわち、この内側ガス流路25は、内側水管群20内部で生成されたガスを環状ガス流路80に導くべく機能する。
【0055】
本実施例において、外側水管群30は、複数の外側水管31および第二縦ヒレ部34を用いて構成されている。それぞれの外側水管31は、略均等の所定間隔を有した状態で環状に構成されており、各外側水管31間には、隣接する外側水管31間の隙間をなくすべく連接された第二縦ヒレ部34が設けられている。つまり、本実施例においては、この第二縦ヒレ部34を用いて、外側水管群30は、密接状態で環状に構成されることとなる。
【0056】
また、各外側水管31間に連接された第二縦ヒレ部34は、図1に示すように、缶体10の内壁上方部に設けられた断熱材との間に所定の空間を有するべく設けられており、本実施例にかかる外側水管群30においては、この第二縦ヒレ部34の上方に形成された空間(第二縦ヒレ部34と上部断熱材との間に形成された空間)が、環状に形成された外側ガス流路35として機能することとなる。この外側ガス流路35は、環状ガス流路80内に導入されたガスを排気筒90側へ導くべく機能する。つまり、内側水管群20内部で生成されたガスは、内側ガス流路25、環状ガス流路80、および外側ガス流路35を介して排気筒90に集められ、この排気筒90を介して缶体10の外部に排出される。
【0057】
内側水管群20を構成する各内側水管21には、下端部21aの上方位置に(内側ガス流路25近傍に)複数の第一スタッドフィン22が設けられている。より具体的には、環状ガス流路80側に面する各内側水管21の略中央部から下方位置にかけて、複数の第一スタッドフィン22が設けられている。第一スタッドフィン22が設けられた箇所の下流側(ガス流れの下流側)に位置する内側水管21には、その環状ガス流路80側に、複数の平板状の第一フィン23(平板状のフィン)が設けられている。
【0058】
また、外側水管群30を構成する各外側水管31には、内側ガス流路25の近傍に複数の第二スタッドフィン32が設けられている。より具体的には、環状ガス流路80側に面する各外側水管31の略中央部から下方位置にかけて、複数の第二スタッドフィン32が設けられている。第二スタッドフィン32が設けられた箇所の下流側(ガス流れの下流側)に位置する外側水管31には、その環状ガス流路80側に、複数の平板状の第二フィン33(平板状のフィン)が設けられている。
【0059】
すなわち、本実施例においては、内側ガス流路25の近傍における内側水管群20(を構成する内側水管21)および外側水管群30(を構成する外側水管31)にスタッドフィン(第一スタッドフィン22,第二スタッドフィン32)が設けられており、これらのスタッドフィンの下流側(ガス流れにおける下流側)に平板状のフィン(第一フィン23,第二フィン33)が設けられている。本実施例においては、第一フィン23および第二フィン33は、ガス流れ(垂直方向の流れ)に対して80°の傾斜角度(水平に対して10°の傾斜角度)を有するように設けられている。
【0060】
図5および図6は、本実施例にかかるボイラに設けられたバーナの概略図を示したものである。ここで、図5は、本実施例にかかるバーナの縦断面の説明図を示し、図6は、図5に示したバーナの下面図を示している。
【0061】
本実施例にかかるボイラ1を構成するバーナ100は、このバーナ100に対して燃焼用空気を供給する空気供給手段たるウインドボックス70内の隔壁71に設置されている(図1、図5参照)。具体的には、バーナ100を構成する載置板141を隔壁71に上方から載置して、ボルト等の締結手段(図示省略)にて載置板141を隔壁71に締結することによって、バーナ100をウインドボックス70内の隔壁71に設置している。なお、本実施例においては、ウインドボックス70内に空気を供給する送風機の構成は、周知の技術であるため省略している。
【0062】
本実施例にかかるバーナ100は、図5および図6に示すように、混合燃料(複数の流体を混合して得られる燃料であって、詳細は後述する。)を噴霧する燃料噴出部101と、この燃料噴出部101近傍にその先端が位置すべく設けられた着火器(図示省略)と、ウインドボックス70からの空気を燃料噴出部101から噴霧(噴出)される混合燃料に供給するために設けられた空気供給経路(一次空気供給用の第一空気供給経路144,二次空気供給用の第二空気供給経路145)と、第一空気供給経路144から供給された空気を燃焼室16側に噴出させる中央空気噴出部146と、第二空気供給経路145から供給された空気を燃焼室16側に噴出させる複数の周囲空気噴出部147(本発明の「空気噴出部」に相当)(第一周囲空気噴出部147a〜第六周囲空気噴出部147f)とを用いて構成されている。
【0063】
本実施例にかかる燃料噴出部101には、その先端部にノズルチップ110が設けられている。このノズルチップ110には、混合燃料を噴出する複数(本実施例においては六つ)の噴出孔(第一噴出孔113A〜第六噴出孔113F)が設けられている。本実施例にかかる燃料噴出部101においては、噴霧される液体燃料の圧力を調整することによって、ボイラにおける燃焼負荷を制御している。すなわち、必要とされるボイラの燃料量に対応して、燃料噴出部101に送られる液体燃料等の供給圧力が調整され、このように圧力調整された液体燃料等から成る混合燃料が、六つの噴出孔113A〜113Fから缶体10の燃焼室16内に噴霧される。
【0064】
上述したように、本実施例にかかるバーナ100は、燃料噴出部101(複数の流体を混合して噴出(噴霧)する燃料噴出部)と周囲空気噴出部147(空気噴出部)等とを用いて構成されており、この燃料噴出部101は、液体燃料O1を導入する燃料導入部130と、添加流体W1を導入する添加流体導入部140と、これらの導入部130,140にて導入された流体をミキシングする混合部120と、この混合部120にて構成された混合燃料を噴霧するノズルチップ110とを用いて構成されている。
【0065】
混合部120は、エゼクタノズルにて構成されており、燃料導入部130を介して導入された液体燃料O1の導入圧力によって、添加流体導入部140を介して導入される添加流体W1が混合部120に引き込まれるべく機能する。燃料導入部130および添加流体導入部140の上流側には、それぞれの流体を混合部120側へ供給する供給ポンプ(図示省略)が設けられているが、本実施例においては、上述の通り、混合部120がエゼクタ構造を有し、液体燃料O1によって添加流体W1が引き込まれるため、添加流体W1側に設けられる供給ポンプ動力(供給圧力)は小さくすることが可能となる。
【0066】
また、本実施例においては、添加流体W1として、水、エタノール、およびバイオエタノールの少なくともいずれかを含んだ流体を用いることが好ましい。したがって、ここで用いられる添加流体W1は、水単体でもよいし、水とエタノール(あるいはバイオエタノール)との水溶液等でもよい。
【0067】
バーナ100を構成する第一空気供給経路144は、燃料噴出部101の外側に設けられた第一筒部材154を用いて構成されており、第二空気供給経路145は、第一筒部材154を用いて構成されている。つまり、第一筒部材154の内側領域が第一空気供給経路144として機能し、第一筒部材154と第二筒部材155との間に形成される領域が第二空気供給経路145として機能する。第二筒部材155の上端部には、上方へ行くに従い外方へ拡開する拡開部155Aが形成されている。このような形状を有する拡開部155Aが設けられているのは、ウインドボックス70から供給された空気が、第二空気供給経路145内の横断面方向に均一に流れるようにするためである。仮に、この拡開部155Aを設けないとすれば、空気流が第二筒部材155の内壁に付着して流れてしまい、第二空気供給経路145内の横断面方向に均一に流れない。
【0068】
第一筒部材154の先端部(ボイラ1の燃焼室16側端部)には、中央空気噴出部146が穿孔された第一空気供給板156が設けられており、ウインドボックス70から供給された空気は、この中央空気噴出部146を介して、燃焼室16側に噴出される。また、第二筒部材155の先端部(ボイラ1の燃焼室16側端部)には、複数の周囲空気噴出部147が設けられた第二空気供給板157が設けられており、ウインドボックス70から供給された空気は、中央空気噴出部146のみならず、これら複数の周囲空気噴出部147を介しても燃焼室16側に噴出される。
【0069】
周囲空気噴出部147(本発明の「空気噴出部」に相当)は、図5および図6に示すように、燃料噴出部101(本発明の「燃料噴出部」に相当)の周囲に設けられている。この周囲空気噴出部147(第一周囲空気噴出部147a〜第六周囲空気噴出部147f)は、燃料噴出部101の周囲に六つ設けられており、燃料噴出部101のノズルチップ110に設けられている噴出孔(第一噴出孔113A〜第六噴出孔113F)は、それぞれから噴出される混合燃料Fa〜Ffが各周囲空気噴出部147(第一周囲空気噴出部147a〜第六周囲空気噴出部147f)の直下に位置するように構成されている(図6参照)。
【0070】
つまり、本実施例においては、周囲空気噴出部147(第一周囲空気噴出部147a〜第六周囲空気噴出部147f)における燃焼用空気の噴出箇所に対応して、燃料噴出部101における混合燃料の噴出箇所(ノズルチップ110に設けられている噴出孔(第一噴出孔113A〜第六噴出孔113F))が設けられている。より具体的には、周囲空気噴出部147(第一周囲空気噴出部147a〜第六周囲空気噴出部147f)から噴出される燃焼用空気の流速の速い位置に合わせて、混合燃料Fa〜Ffが噴出されるべく構成されている(図6参照)。
【0071】
また、この周囲空気噴出部147は、バーナ100にて生成されたガスが外側に広がらないように、空気を内側に向けて噴出させるべく構成されている。このような構成によれば、混合燃料および燃焼開始段階における火炎(ガス)が缶体10の内側水管群20に接触しにくくなるため、バーナ100直近における不適切な不完全燃焼をなくし、COや煤塵の発生を効果的に防止することができる。
【0072】
本実施例にかかる周囲空気噴出部147は、それぞれの周囲空気噴出部147(第一周囲空気噴出部147a〜第六周囲空気噴出部147f)から噴出される空気を内側(燃料噴出部101側)方向に導くガイド部158(第一ガイド部158a〜第六ガイド部158f)と、それぞれの周囲空気噴出部147(第一周囲空気噴出部147a〜第六周囲空気噴出部147f)から噴出される空気の拡散を促す拡散部159(第一拡散部159a〜第六拡散部159f)とを有している。
【0073】
より具体的には、本実施例においては、第二空気供給板157に六つの略台形状の貫通孔部151(第一貫通孔部151a〜第六貫通孔部151f)が穿孔されており、それぞれの貫通孔部151の外周側(燃料噴出部101から遠い側)に板状部材を用いてガイド部158(第一ガイド部158a〜第六ガイド部158f)が構成されている。このガイド部158は、それぞれの貫通孔部151の一部を覆うべく構成されており、本実施例においては、このガイド部158にて覆われていない部分が、周囲空気噴出部147から噴出される空気の拡散を促す拡散部159(第一拡散部159a〜第六拡散部159f)として機能する。
【0074】
それぞれのガイド部158は、各周囲空気噴出部147から噴出される空気の少なくとも一部(主に貫通孔部151のガイド部158によって覆われている領域の空気)を内側(燃料噴出部101側)方向に噴出させるべく、板状部材を傾斜させて構成されている。この際の傾斜角度θ(取り付け角度)は、20°〜60°程度であることが好ましい。
【0075】
また、それぞれのガイド部158は、燃料噴出部101におけるノズルチップ110の各噴出孔(第一噴出孔113A〜第六噴出孔113F)から噴霧される混合燃料Fa〜Ffが接触しないように、各ガイド部158の高さが設定されている。
【0076】
拡散部159(第一拡散部159a〜第六拡散部159f)は、上述したように、貫通孔部151のうちのガイド部158にて覆われていない部分(図5および図6において破線で囲った領域)である。この部分(拡散部159)には、ガイド部158等のような第二空気供給経路145を介して供給された空気を整流するための要素が設けられていないため、拡散部159から噴出された空気は急拡大することになる。
【0077】
したがって、本実施例にかかるバーナ100においては、周囲空気噴出部147から噴出される空気は、ガイド部158によって内側方向に導かれると共に、その一部が拡散部159によって拡散促進されることとなる。
【0078】
本実施例にかかるボイラ1は、以上のように構成されており、その構成に基づき、次のように作用する。以下、上述した図1〜図6を用いて、その作用を具体的に説明する。
【0079】
本実施例にかかるバーナ100を低燃焼状態で作動させる場合には、まずは、送風機(図示省略)を駆動させ、ウインドボックス70を介して第一空気供給経路144および第二空気供給経路145に空気が供給される。次いで、燃料噴出部101におけるノズルチップ110の各噴出孔(第一噴出孔113A〜第六噴出孔113F)から低燃焼に対応した圧力にて混合燃料Fa〜Ffが噴霧され、この噴霧タイミングに合わせて、着火器(図示省略)に通電がなされる。
【0080】
つまり、本実施例においては、第一空気供給経路144および第二空気供給経路145を介して、中央空気噴出部146および周囲空気噴出部147から空気が噴出され、この空気と各噴出孔(第一噴出孔113A〜第六噴出孔113F)から噴霧される混合燃料とのミキシングが行われる。そして、燃料噴出部101の近傍に設けられた、通電されることによって電気火花を形成する着火器(図示省略)によって、空気とミキシングされた混合燃料に対して着火が行われる。この着火によって、燃料噴出部101から噴霧された混合燃料Fa〜Ffが燃焼し、低燃焼に対応した圧力にて混合燃料Fa〜Ffが供給され続ける限り、バーナ100は低燃焼状態が維持されることとなる。また、高燃焼に対応した圧力に昇圧した状態にて混合燃料Fa〜Ffが供給されれば、バーナ100は高燃焼状態となる。
【0081】
本実施例にかかるバーナ100においては、燃料噴出部101における燃料供給状態(燃料供給圧力)を適宜制御することによって、停止状態、低燃焼状態、および高燃焼状態のいずれかへの切り換えが可能である。すなわち、燃焼状態継続時においては、低燃焼から高燃焼、あるいは高燃焼から低燃焼への切り換えが可能である。
【0082】
バーナ100に対する空気の供給量は、一般にウインドボックス70と送風機との間のダクト内に設けられたダンパ(図示省略)や、送風機の回転数を制御するインバータ等(図示省略)を用いて調整される。そして、この空気は、混合燃料の供給量に対応して供給される。例えば、同様の燃料供給性能を有する2つのノズルチップを用いて構成されたバーナにおいて、どちらか一方のノズルチップから混合燃料を噴霧させる際(低燃焼時)に供給される空気量を「1」とすれば、両方のノズルチップから混合燃料を噴霧させる際(高燃焼時)に供給される空気量を「2」とする。このような空気量の調整をダンパやインバータを用いて行っている。
【0083】
さて、以上のように構成され機能するバーナ100においては、図6等に示すように、周囲空気噴出部147(第一周囲空気噴出部147a〜第六周囲空気噴出部147f)における燃焼用空気の噴出箇所に対応して、燃料噴出部101における混合燃料の噴出箇所(ノズルチップ110に設けられている噴出孔(第一噴出孔113A〜第六噴出孔113F))が設けられている。つまり、周囲空気噴出部147(第一周囲空気噴出部147a〜第六周囲空気噴出部147f)から噴出される燃焼用空気の流速の速い位置に合わせて、混合燃料Fa〜Ffを噴出させることによって、燃焼用空気と混合燃料との混合状態を高めるべく構成されている。
【0084】
また、本実施例にかかるバーナ100においては、図5等に示すように、周囲空気噴出部147からの空気を内側に噴出させるべく、ガイド部158が設けられている。よって、バーナ100においては、広がりが抑えられた状態で下方に向けて火炎F(燃焼ガス)(図示省略)が形成されることとなる。そして、バーナ100にて生成された燃焼ガスG0は、内側水管群20に沿って下方向に流動する。内側水管群20に沿って下方向に流動したガスは、缶体10の下面に衝突した後、周方向に向けて放射状に流動するガスG1(図1および図2参照)の流れとなって、内側ガス流路25を介して環状ガス流路80内に導入される。
【0085】
内側ガス流路25を介して環状ガス流路80内に導入されたガスG2は、次いで、内側水管群20と外側水管群30に沿って、上方向に流動する。この際、内側水管群20と外側水管群30とに設けられている平板状のフィン(第一フィン23,第二フィン33)の傾斜角度に応じて、ガスG2は上方向に流動する。そして、上方向に流動したガスG2は、缶体10の上面に衝突した後、周方向に向けて放射状に流動するガスG3(図1および図4参照)の流れとなって、外側ガス流路35を介して排気筒90に集められ、この排気筒90を介して缶体10の外部に排出される。
【0086】
上記のようなガスの流れにおいて、バーナ100にて生成された火炎(燃焼ガス)の熱エネルギは、内側水管群20および外側水管群30にて回収される。
【0087】
より具体的には、まず、内側水管群20の内表面側(バーナ100が設けられている側(燃焼室側))において、ガスG0,G1と内側水管群20の内表面とが接触することによって熱回収が行われる。次いで、ガスG1が内側ガス流路25を通過する際には、内側水管群20(を成す内側水管21の下端部21a)と、ガスG1とが接触することによって熱回収が行われる。
【0088】
次いで、ガスG1が内側ガス流路25を通過した後には、ガスが外側水管群30の下端部に衝突し、加えてこの内側ガス流路25近傍にはスタッドフィン22,32が設けられていることから、この内側ガス流路25近傍においては乱流状態が促進される。したがって、この内側ガス流路25近傍においては、第一スタッドフィン22および第二スタッドフィン32と、ガスとの接触が効果的に行われて、高効率の熱回収が行われることとなる。
【0089】
次いで、環状ガス流路80を上方向に流動するガスG2は、内側水管群20、外側水管群30、およびそれぞれの水管群20,30に設けられた平板状のフィン(第一フィン23,第二フィン33)と接触し、これらの接触を行うことによってガスG2からの熱回収が行われる。最後に、環状ガス流路80を上方向に流動したガスG3は、外側ガス流路35を介して排気筒90に集められるまでの間、外側水管群30の外側(排気筒90側)に接触することによって、熱回収が行われる。
【0090】
本実施例にかかるバーナ100およびボイラ1は、以上のように構成され機能するため、次のような効果を得ることができる。
【0091】
本実施例にかかるバーナ100によれば、燃料噴出部101が複数の流体を混合して噴出可能であるため、従来技術のようなミキシング装置を必要としない。また、添加流体W1は、液体燃料O1の導入圧力によって燃料噴出部101(を構成する混合部120内)に導入されるため、添加流体W1を供給するポンプ圧力を低減することができる。すなわち、通常であれば、液体燃料O1を供給するために使用するポンプと、添加流体W1(例えば、水)を供給するために使用するポンプとは、同等の圧力を必要とするが、本実施例によれば、エゼクタ構造を有する混合部120を用いることで、添加流体W1を供給するポンプ圧力を、液体燃料O1を供給するポンプ圧力よりもかなり小さくすることができる。例えば、本実施例によれば、液体燃料O1を供給するポンプ圧力が1.5MPa〜2.0MPaであるのに対し、添加流体W1を供給するポンプ圧力は0MPa〜1.0MPa程度に低減することができる。したがって、このような構成によれば、装置の小型化および消費電力の削減を実現することができる。
【0092】
さらに、本実施例にかかるバーナ100によれば、ミキシング装置を必要とせず、燃料噴出部を構成する混合部120内で流体(液体燃料O1および添加流体W1)を混合しているため、燃焼停止時においても、配管内で液体燃料O1と添加流体W1とが分離することはない。したがって、このような構成によれば、燃焼再開時の着火安定性が高まる。
【0093】
また、本実施例にかかるバーナ100によれば、エマルジョン燃料を用いて適切な燃焼状態を実現可能であるため、有害物質(NOxおよび煤塵等)の低減を図ることができる。
【0094】
さらに、本実施例にかかるバーナ100によれば、使用する添加流体W1によって、次のような効果を得ることができる。例えば、「水」を用いた場合には、火炎温度を低下させることが可能となって低NOx化を実現することができる。また、「エタノール」を用いた場合であっても、一般的な液体燃料O1(A重油等)よりも発熱量が低いため、火炎温度を低下させて低NOx化を実現することができる。さらに、「エタノール水溶液」(例えば、水80%+エタノール20%)を用いた場合には、エタノールを用いる場合よりも火炎温度を低下させるため、低NOx化を実現することができる。また、「バイオエタノール(あるいはバイオエタノール水溶液)」を用いる場合には、NOxは勿論のこと、COの削減も図ることができる。
【0095】
上述した種々の理由から、本実施例にかかるバーナ100によれば、装置の小型化、消費電力の削減、燃焼再開時の着火安定性と共に、有害物質(NOxおよび煤塵等)の低減を実現可能な、バーナを得ることができる。また、このバーナ100を用いることにより、装置の小型化、消費電力の削減、燃焼再開時の着火安定性と共に、有害物質(NOxおよび煤塵等)の低減を実現可能な、ボイラを得ることができる。
【0096】
また、本実施例にかかるバーナ100は、混合燃料を噴出する燃料噴出部101と、燃焼用空気を噴出する周囲空気噴出部147(本発明の「空気噴出部」に相当)とを備えており、燃料噴出部101における混合燃料の噴出箇所および周囲空気噴出部147における燃焼用空気の噴出箇所のいずれか一方に対応して、燃料噴出部101における混合燃料の噴出箇所および周囲空気噴出部147における燃焼用空気の噴出箇所のいずれか他方が設けられている。本実施例においては、周囲空気噴出部147(第一周囲空気噴出部147a〜第六周囲空気噴出部147f)に対応して、燃料噴出部101におけるノズルチップ110の噴出孔(第一噴出孔113A〜第六噴出孔113F)が設けられている。つまり、周囲空気噴出部147(第一周囲空気噴出部147a〜第六周囲空気噴出部147f)から噴出される燃焼用空気の流速の速い位置に合わせて(周囲空気噴出部147(第一周囲空気噴出部147a〜第六周囲空気噴出部147f)の直下に)、混合燃料Fa〜Ffが噴出されるべく構成されている
【0097】
このような構成によれば、混合燃料と燃焼用空気とが対応付けて噴出されるため、混合燃料と燃焼用空気との混合状態が良好となり、バーナ100における低煤塵化および低CO化を図ることができる。また、混合燃料と燃焼用空気との混合状態が良好となることから、気化燃焼状態に近づくため、低NOx化を図ることができる。さらに、混合燃料と燃焼用空気との混合状態が良好となることから、バーナ100を効率的に燃焼させることが可能となるため、燃焼室16の小型化、延いては缶体10の小型化を図ることができる。
【0098】
また、このような構成によれば、複数の周囲空気噴出部147(第一周囲空気噴出部147a〜第六周囲空気噴出部147f)(燃料用空気)とノズルチップ110の噴出孔(第一噴出孔113A〜第六噴出孔113F)(混合燃料)とが一対一に対応して構成され、分割火炎が形成されることとなる。したがって、このような構成によれば、上述した効果に加え、分割火炎による低NOx化も図ることができる。
【0099】
さらに、本実施例にかかるバーナ100においては、複数の噴出孔(第一噴出孔113A〜第六噴出孔113F)を有する燃料噴出部101(ノズルチップ110)の周囲に燃焼用空気を噴出する複数の周囲空気噴出部147(第一周囲空気噴出部147a〜第六周囲空気噴出部147f)が設けられており、それぞれの周囲空気噴出部147が、空気の噴出方向を制御するガイド部158と、噴出される空気を拡散させる拡散部159とを有している。
【0100】
このような構成によれば、周囲空気噴出部147がガイド部158を有するため、缶体の構成(ガス流路の位置等)に応じて火炎(ガス)の流れを制御し、有害物質の低減化(低煤塵化、低NOx化)を図ることができる。本実施例においては、缶体10の内側ガス流路25が下方に環状に構成されており、この内側ガス流路25に対して均一にガスを流すと共に、内側水管群20へのガス等の早期接触をなくすべく、ガイド部158は、燃焼用空気を内側(燃料噴出部101側)に噴出される角度に設けられている。このような構成に基づき、燃焼用空気を内側に向けて噴出させれば、混合燃料および燃焼開始段階における火炎(ガス)が缶体10の内側水管群20に接触しにくくなるため、バーナ100近傍における不適切な不完全燃焼をなくし、COや煤塵の発生を効果的に防止することができる。
【0101】
また、このような構成によれば、ガイド部158を有することにより、燃焼用空気を集束させて混合燃料に対し高速で接触させることが可能となるため、火炎の燃焼状態が気化燃焼に近づき、低NOx化を図ることができる。また、このようにガイド部158を設けて噴出される燃焼用空気の流速を高めることにより、ガイド部158周辺のガスを巻き込むこととなるため(自己再循環の状態となるため)、低NOx化を図ることができる。
【0102】
さらに、本実施例にかかるバーナ100を構成する周囲空気噴出部147は、上述した種々の効果を発揮するガイド部158と共に、拡散部159をも有している。この拡散部159は、先にも説明したとおり、貫通孔部151のうち、ガイド部158にて覆われていない部分である(図5および図6参照)。つまり、この拡散部159には、ガイド部158等のような空気を整流するための要素が設けられていないため、拡散部159から噴出された空気は、拡散部159のエッジ部分(貫通孔部151のエッジ部分)にて急拡大することになる。そうすると、バーナ100直近においては、空気に小さな乱れが生じ、燃料噴出部101から噴霧される混合燃料と空気とのミキシング状態を一部不均一にすることができる。本実施例にかかるバーナ100は、このような拡散部159を有するため、単にミキシング状態を良好にするわけではなく、一部意図的に不均一なミキシング状態を形成することができる。すなわち、本実施例においては、拡散部159を設けることによって、バーナ100近傍において濃淡燃焼的な燃焼状態を形成可能となるため、ガス温度の低下を図り、NOx値を低減させることができる。勿論、このような構成によれば、周囲空気噴出部147が拡散部159を有するため、混合燃料と燃焼用空気とを効果的に混合させて、低煤塵化をも図ることができる。
【0103】
以上のように、本実施例にかかるボイラ1を構成するバーナ100は、周囲空気噴出部147から噴出される燃焼用空気の流速の速い位置に合わせて、混合燃料が噴出される構成であることから、燃焼用空気と混合燃料とが効率的に混合されるため、低煤塵化、低CO化、および低NOx化を図ることができる。また、本実施例にかかるボイラ1によれば、缶体10の燃焼室16内でガスの広がりを抑えることによるCOおよび煤塵の低下、缶体10内で形成される適切な排ガス循環流によるガス温度の低下、適切な分割火炎が形成されることによるガス温度の低下、および拡散部159によって形成される濃淡燃焼によるガス温度の低下の相乗効果によって、NOxの低減、COの低減、および煤塵の低減等をも図ることができる。
【0104】
さらに、本実施例によれば、ボイラ1が以上のように構成され、その缶体10内にて上述したようにガスが流動するため、熱回収を効果的に行うと共に耐久性の高い拡大伝熱面(フィン等)を有する水管群を備えたボイラを得ることができる。
【0105】
具体的には、本実施例にかかるボイラ1によれば、温度差が大きくなる領域である内側ガス流路25(ガス流路)近傍に、スタッドフィン22,32(拡大伝熱面)が設けられているため、効果的に熱回収を行うことができる。また、この内側ガス流路25近傍に設けられている拡大伝熱面がスタッドフィン22,32であるため、仮に過熱状態となったとしても、亀裂や脱落等が発生しにくい。さらに、このような構成によれば、内側ガス流路25近傍にスタッドフィン22,32を設け、早い段階で燃焼ガスから熱回収を行い、燃焼ガス温度が早期に低下するため、サーマルNOxの発生を低減することが可能となる。
【0106】
また、本実施例にかかるボイラ1においては、内側ガス流路25近傍に設けられたスタッドフィン22,32の下流側に、ガスの流れに対して傾斜させた平板状のフィン23,33が設けられている。このような構成によれば、スタッドフィン22,32によって回収できなかった熱エネルギを無駄にすることなく、より効果的に回収し、高効率で運転可能なボイラ1を構成することが可能となる。
【0107】
さらに、本実施例にかかるボイラ1においては、スタッドフィン22,32の下流側に設けられた平板状のフィン23,33が、ガス流れに対して所定角度傾斜して設けられており、ガスは、環状ガス流路80内を上昇する。つまり、本実施例によれば、ガス流れに対して直角にフィンを設ける場合と比較して、フィン23,33がガス流れを邪魔しないため、低圧損を実現可能なボイラ1とすることができる。
【0108】
また、本実施例にかかるボイラ1によれば、上述したように、効果的に熱回収を実施することが可能となるため、これに起因して、ボイラの小型化を図ることが可能となる。つまり、熱回収率を高めることによって、ボイラの運転効率を高めることが可能となるため、その分、ボイラの小型化を図ることができる。
【0109】
<第二実施例>
次に、本発明の第二実施例にかかるボイラについて説明する。なお、本発明の第二実施例にかかるボイラは、基本的な構成は、先に説明した第一実施例と同様であって、バーナの構成(特に、燃料噴出部の構成)のみが異なる。そこで、以下においては、第一実施例と同様な部分については、第一実施例と同様の符号を付してその詳細な説明を省略し、主に第一実施例と異なる構成について説明を行う。
【0110】
図7は、本発明の第二実施例にかかるボイラに設けられたバーナの概略図を示したものであって、具体的には、本実施例にかかるバーナの縦断面の説明図を示している。なお、本実施例にかかるバーナの下面図は、第一実施例にて説明した図6と同様であるため、ここでは省略する(必要に応じて図6も参照する)。
【0111】
本実施例にかかるボイラ1を構成するバーナ200は、このバーナ200に対して燃焼用空気を供給する空気供給手段たるウインドボックス70内の隔壁71に設置されている(図1、図7参照)。具体的には、バーナ200を構成する載置板141を隔壁71に上方から載置して、ボルト等の締結手段(図示省略)にて載置板141を隔壁71に締結することによって、バーナ200をウインドボックス70内の隔壁71に設置している。
【0112】
本実施例にかかるバーナ200は、図7等に示すように、混合燃料(複数の流体を混合して得られる燃料であって、詳細は後述する。)を噴霧する燃料噴出部201と、この燃料噴出部201近傍にその先端が位置すべく設けられた着火器(図示省略)と、ウインドボックス70からの空気を燃料噴出部201から噴霧(噴出)される混合燃料に供給するために設けられた空気供給経路(一次空気供給用の第一空気供給経路144,二次空気供給用の第二空気供給経路145)と、第一空気供給経路144から供給された空気を燃焼室16側に噴出させる中央空気噴出部146と、第二空気供給経路145から供給された空気を燃焼室16側に噴出させる複数の周囲空気噴出部147(本発明の「空気噴出部」に相当)(第一周囲空気噴出部147a〜第六周囲空気噴出部147f)とを用いて構成されている。
【0113】
本実施例にかかる燃料噴出部201には、その先端部にノズルチップ110が設けられている。このノズルチップ110には、混合燃料を噴出する複数(本実施例においては六つ)の噴出孔(第一噴出孔113A〜第六噴出孔113F)が設けられている。本実施例にかかる燃料噴出部201においては、噴霧される液体燃料の圧力を調整することによって、ボイラにおける燃焼負荷を制御している。すなわち、必要とされるボイラの燃料量に対応して、燃料噴出部201に送られる液体燃料等の供給圧力が調整され、このように圧力調整された液体燃料等から成る混合燃料が、六つの噴出孔113A〜113Fから缶体10の燃焼室16内に噴霧される。
【0114】
上述したように、本実施例にかかるバーナ200は、燃料噴出部201(複数の流体を混合して噴出(噴霧)する燃料噴出部)と周囲空気噴出部147(空気噴出部)等とを用いて構成されており、この燃料噴出部201は、液体燃料O2を導入する燃料導入部230と、添加流体W2を導入する添加流体導入部240と、空気A2を導入する空気導入部250と、これらの導入部230,240,250にて導入された流体(液体燃料O2、添加流体W2、および空気A2)をミキシングする混合部220と、この混合部220にて構成された混合燃料を噴霧するノズルチップ110とを用いて構成されている。
【0115】
混合部220は、エゼクタノズルにて構成されており、燃料導入部230を介して導入された液体燃料O2の導入圧力によって、添加流体導入部240を介して導入される添加流体W2が混合部220に引き込まれるべく機能する。燃料導入部230および添加流体導入部240の上流側には、それぞれの流体を混合部220側へ供給する供給ポンプ(図示省略)が設けられているが、本実施例においては、上述の通り、混合部220がエゼクタ構造を有し、液体燃料O2によって添加流体W2が引き込まれるため、添加流体W2側に設けられる供給ポンプ動力(供給圧力)は小さくすることが可能となる。
【0116】
また、本実施例においても、第一実施例と同様に、添加流体W2として、水、エタノール、およびバイオエタノールの少なくともいずれかを含んだ流体を用いることが好ましい。したがって、ここで用いられる添加流体W2は、水単体でもよいし、水とエタノール(あるいはバイオエタノール)との水溶液等でもよい。
【0117】
本実施例にかかるバーナ200およびボイラ1は、以上のように構成され機能するため、第一実施例にて得られる効果に加えて、次のような効果を得ることができる。
【0118】
本実施例にかかるバーナ200によれば、燃料噴出部201が複数の流体(液体燃料O2、添加流体W2、および空気A2)を混合して噴出可能であるため、従来技術のようなミキシング装置を必要としない。また、添加流体W2は、液体燃料O2の導入圧力によって燃料噴出部201(を構成する混合部220)内に導入されるため、添加流体W2を供給するポンプ圧力を低減することができる。したがって、このようなバーナ200によれば、装置の小型化および消費電力の削減を実現することができる。
【0119】
また、このようなバーナ200によれば、ミキシング装置を必要とせず、燃料噴出部201(を構成する混合部220)内にて複数の流体(液体燃料O2、添加流体W2、および空気A2)を混合しているため、燃焼停止時においても、配管内で液体燃料O2と添加流体W2が分離することはない。したがって、このような構成によれば、燃焼再開時の着火安定性が高まる。
【0120】
さらに、このようなバーナ200によれば、エマルジョン燃料を用いて適切な燃焼状態を実現可能であるため、有害物質(NOxおよび煤塵等)の低減を図ることができる。
【0121】
また、本実施例にかかるバーナ200によれば、燃料噴出部201が三流体(添加流体W2、液体燃料O2、空気A2)を混合して噴出すべく構成されており、この際、液体燃料O2の導入圧力にて添加流体W2が燃料噴出部201の混合部220内に導入され混合されている。つまり、液体燃料O2に添加流体W2が添加されてから空気A2との混合処理がなされる。このような構成であれば、液体燃料O2の近くに添加流体W2が存在することとなって、火炎を効果的に冷却することができるため、NOx低減の効果を高めることができる。仮に、空気側に添加流体を添加すると、NOx低減効果が弱く、添加流体の添加量を増やす必要があるため(NOx低減効果を高めるためには)、ボイラ効率も低下することとなる。すなわち、このような構成によれば、三流体を混合する際に、液体燃料O2の近くに添加流体W2を存在させることによって、少ない添加流体W2を用いて火炎冷却効果を高めて低NOx化を図ると共に、ボイラ効率の低下も防ぐことができる。
【0122】
さらに、このようなバーナ200によれば、液体燃料O2と添加流体W2に加えて、空気A2も混合されるため、空気A2により液体燃料O2等の微粒化が行われる。したがって、このような構成によれば、空気A2を混合させない場合と比較して、より少ない添加流体W2によって効果的な低NOx化を実現できる。さらに、このように、液体燃料O2等の微粒化が行われることから、低煤塵化および低CO化も実現することができる。
【0123】
上述した種々の理由から、本実施例にかかるバーナ200によれば、装置の小型化、消費電力の削減、燃焼再開時の着火安定性と共に、有害物質(NOxおよび煤塵等)の低減を実現可能な、バーナを得ることができる。また、このバーナ200を用いることにより、装置の小型化、消費電力の削減、燃焼再開時の着火安定性と共に、有害物質(NOxおよび煤塵等)の低減を実現可能な、ボイラを得ることができる。
【0124】
<その他の実施例等>
なお、本発明は、上記実施形態および実施例(以下「上記実施形態等」という。)に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で必要に応じて種々の変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0125】
上記実施形態等においては、燃料噴出部101の先端部に設けられたノズルチップ110に複数の噴出孔(第一噴出孔113A〜第六噴出孔113F)を設ける場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されず、燃焼用空気と混合燃料とが適宜対応可能となる構成であればよい。したがって、例えば、複数の周囲空気噴出部147(第一周囲空気噴出部147a〜第六周囲空気噴出部147f)に対応して、それぞれ一つの噴出孔が形成されたノズルチップを有する燃料噴出部を設けてもよい。つまり、周囲空気噴出部147の数だけ、複数の燃料噴出部を設けるような構成としてもよい。このような構成の場合、それぞれの燃料噴出部に対して、それぞれ一つずつの混合部を設ける構成とすることが好ましい。
【0126】
また、上述実施形態等においては、それぞれの周囲空気噴出部147に設けられたガイド部157が同様の方向に(内側方向に)同様の角度で傾斜して設けられる場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。したがって、例えば、それぞれのガイド部157の設置傾斜角度を適宜異なるように構成してもよい。
【0127】
さらに、上述した実施形態等においては、ガイド部157が、断面コ字形状の板状部材(スコップ型)を用いて構成された場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されず、周囲空気噴出部147から噴出される空気の少なくとも一部を内側方向に導くことが可能であれば、どのような構成であってもよい。したがって、例えば、一枚の平板状の板状部材を用いてガイド部を構成してもよい。具体的には、それぞれの周囲空気噴出部147を成す貫通孔部151の外周部に、平板状の板状部材を傾斜させて設けてもよい。このような構成であっても、周囲空気噴出部147から噴出される空気の少なくとも一部を内側方向に導くことが可能であるから、上述した種々の効果を得ることができる。
【0128】
また、上記実施形態等においては、周囲空気噴出部147の全てにガイド部157が設けられた場合について説明したが、本発明は、この構成に限定されるものではない。本発明は、燃焼用空気と混合燃料とを適宜対応させると共に、バーナ100にて生成されたガスが必要以上に外側に広がらないように、空気(燃焼用空気)の流れを制御することを目的とするものであるから、周囲空気噴出部の全てにガイド部を設ける構成の他に、周囲空気噴出部の一部にガイド部を設ける構成も含む概念である。
【0129】
さらに、上記実施形態等においては、複数の周囲空気噴出部147(第一周囲空気噴出部147a〜第六周囲空気噴出部147f)のそれぞれにガイド部158を設ける構成について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。したがって、例えば、周囲空気噴出部は、単に開口部(本実施例における貫通孔部51)のみを有するような構成としてもよい。このような構成であっても、燃焼用空気と混合燃料とが適宜対応可能となるため(燃焼用空気と混合燃料とを一対一の関係で混合させることが可能となるため)、本発明の効果を得ることができる。
【0130】
また、上記実施形態等においては、液体燃料の種類については特に説明しなかったが、本発明は何等かの液体燃料に限定されず、灯油、A重油、B重油、C重油等の液体燃料について適用可能である。
【0131】
さらに、本発明にかかるボイラ1は、図1等にて説明した缶体10の構造に限定されず、必要に応じて、種々の変更が可能である。したがって、例えば、図8に示すような構成としてもよい。ここで、図8は、本発明の他の実施例にかかるボイラの横断面の簡略説明図を示したものである。
【0132】
この他の実施例にかかるボイラは、基本的な構成は、先に説明した第一実施例と同様である。そこで、以下においては、第一実施例と同様な部分については、第一実施例と同様の符号を付してその詳細な説明を省略し、主に第一実施例と異なる構成について説明を行う。
【0133】
図8は、本発明の他の実施例にかかるボイラの横断面の簡略説明図を示したものである。より具体的には、先に説明した第一実施例にかかる図2に相当する簡略説明図である。すなわち、この図8は、本実施例にかかるボイラの内側ガス流路25(本発明の「ガス流路」に相当)近傍における横断面の簡略説明図を示したものである。
【0134】
先にも説明した通り、本実施例にかかるボイラ1は、基本的には第一実施例と同様の構成を有しており、第一実施例との違いは、内側ガス流路25近傍に設けられたスタッドフィンの数である。本実施例においては、第一実施例と比較して、外側水管31の下端部により多くの第二スタッドフィン32が設けられている。
【0135】
第一実施例にて説明した通り、ガスG1が内側ガス流路25を通過した後、そのガスは、外側水管群30の下端部に衝突する。そして、その後、内側ガス流路25近傍において、ガスは主に外側水管群30を沿って上方向に流動する。そうとすれば、内側ガス流路25近傍においては、外側水管群30により多くのスタッドフィン(第二スタッドフィン32)を設けることによって、ガスとの接触回数を高めることが可能となる。
【0136】
本実施例は、このガス流動に着目して構成されたものであり、より高い効率で熱回収を行うことができるボイラ1を提供することを目的としている。
【0137】
本実施例にかかるボイラは、上述した通り、内側ガス流路25近傍における内側水管群20および外側水管群30に、スタッドフィン22,32が設けられており、外側水管群30に対してより多くのスタッドフィンが設けられている。
【0138】
本実施例にかかるボイラ1によれば、内側水管群20の中央部に設けられたバーナ100にて生成された燃焼ガスが、内側ガス流路25を介して外側水管群30に接触した後、水管群間(内側水管群20と外側水管群30との間)(環状ガス流路80)を流通する。この際、ガスは内側水管群20から外側水管群30に向かって連続的に流動するため、環状ガス流路80内においては、どうしてもガスの接触時間は内側水管群20よりも外側水管群30の方が長くなる。そして、本実施例によれば、外側水管群30の方が、内側水管群20よりも多くのスタッドフィンを設けているため、より効果的に燃焼ガスからの熱回収を行うことができる。
【0139】
また、この他の実施例にかかるボイラ1によれば、上記作用効果に加えて、第一実施例にて得られる作用効果も当然のごとく得ることができる。
【0140】
さらに、上記実施形態等においては、内側ガス流路25(ガス流路)近傍における内側水管群20および外側水管群30の両方にスタッドフィン22,32を設ける場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。したがって、例えば、内側ガス流路25近傍における外側水管群30にのみスタッドフィンを設ける構成としてもよい。上述したように、ガスは内側水管群20から外側水管群30に向かって連続的に流動するため、環状ガス流路80内において、ガスの接触時間は内側水管群20よりも外側水管群30の方が長くなる。よって、このように、内側ガス流路25近傍における外側水管群30にのみスタッドフィンを設ける構成としても、比較的効果的に燃焼ガスからの熱回収を行うことができる。
【0141】
また、上記実施形態等においては、略同心円状に二列の水管群を配設した缶体を用いてボイラを構成する場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されず、必要に応じて、三列以上の水管群を配設して缶体を構成してもよい。仮に、略同心円状に三列の水管群(例えば、内側水管群、中間水管群、外側水管群)を配設して缶体を構成した場合、内側水管群の一端側(例えば、下端側)に内側ガス流路を設けたら、中間水管群の他端側(例えば、上端側)に中間ガス流路を設け、外側水管群の一端側(例えば、下端側)に外側ガス流を設けるべく構成することが好ましい。
【0142】
さらに、上記実施形態等においては、円柱形状のスタッドフィン22,32を用いる場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、水管に適切に溶接可能な耐久性の高い突起物であれば如何なる形状であってもよい。したがって、例えば、斜円柱形状、楕円柱形状(斜楕円柱形状も含む)、角柱形状(斜角柱形状も含む)、円錐形状(斜円錐形状も含む)、角錐形状(斜角錐形状も含む)等の形状を有するスタッドフィンを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】本発明の第一実施例にかかるボイラの縦断面の説明図である。
【図2】図1のII−II線に沿う横断面の簡略説明図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う横断面の簡略説明図である。
【図4】図1のIV−IV線に沿う横断面の簡略説明図である。
【図5】本発明の第一実施例にかかるバーナの縦断面の説明図を示したものである。
【図6】図5に示したバーナの下面図を示したものである。
【図7】本発明の第二実施例にかかるバーナの縦断面の説明図を示したものである。
【図8】本発明の他の実施例にかかるボイラの横断面の簡略説明図である。
【符号の説明】
【0144】
1…ボイラ
10…缶体
11…上部ヘッダ
12…下部ヘッダ
16…燃焼室
20…内側水管群
21…内側水管
21a…下端部
22…第一スタッドフィン
23…第一フィン(平板状のフィン)
24…第一縦ヒレ部
25…内側ガス流路
30…外側水管群
31…外側水管
32…第二スタッドフィン
33…第二フィン(平板状のフィン)
34…第二縦ヒレ部
35…外側ガス流路
70…ウインドボックス
71…隔壁
80…環状ガス流路
90…排気筒
100…バーナ
101…燃料噴出部
110…ノズルチップ
113A〜113F…第一噴出孔〜第六噴出孔
120…混合部
130…燃料導入部
140…添加流体導入部
141…載置板
144…第一空気供給経路
145…第二空気供給経路
146…中央空気噴出部
147…周囲空気噴出部
147a〜147f…第一周囲空気噴出部〜第六周囲空気噴出部
151…貫通孔部
151a〜151f…第一貫通孔部〜第六貫通孔部
154…第一筒部材
155…第二筒部材
155A…拡開部
156…第一空気供給板
157…第二空気供給板
158…ガイド部
158a〜158f…第一ガイド部〜第六ガイド部
159…拡散部
159a〜159f…第一拡散部〜第六拡散部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の流体を混合して噴出する燃料噴出部と、燃焼用空気を噴出する空気噴出部とを備えたバーナであって、
前記燃料噴出部が、添加流体導入部と燃料導入部とを有し、前記燃料導入部にて導入される燃料の導入圧力によって、前記添加流体導入部を介して導入される添加流体が引き込まれるように構成されている
ことを特徴とするバーナ。
【請求項2】
複数の流体を混合して噴出する燃料噴出部と、燃焼用空気を噴出する空気噴出部とを備えたバーナであって、
前記燃料噴出部が、添加流体導入部と燃料導入部と空気導入部とを有し、前記燃料導入部にて導入される燃料の導入圧力によって、前記添加流体導入部を介して導入される添加流体が引き込まれるように構成されている
ことを特徴とするバーナ。
【請求項3】
前記添加流体として、水、エタノールおよびバイオエタノールの少なくともいずれかを含んだ流体が用いられる請求項1または2に記載のバーナ。
【請求項4】
前記燃料噴出部における前記燃料の噴出箇所および前記空気噴出部における前記燃焼用空気の噴出箇所のいずれか一方に対応して、前記燃料噴出部における前記燃料の噴出箇所および前記空気噴出部における前記燃焼用空気の噴出箇所のいずれか他方が設けられている
請求項1から3のいずれか1項に記載のバーナ。
【請求項5】
前記空気噴出部から噴出される前記燃焼用空気の流速の速い位置に合わせて、前記燃料が噴出される
請求項4に記載のバーナ。
【請求項6】
前記空気噴出部が、複数設けられており、
前記空気噴出部に対応して、前記燃料噴出部が複数設けられている
請求項4または5に記載のバーナ。
【請求項7】
それぞれの前記空気噴出部が、空気の噴出方向を制御するガイド部と、噴出される空気を拡散させる拡散部とを有する
請求項6に記載のバーナ。
【請求項8】
環状に配列された内側水管群と外側水管群とを有する缶体と、前記内側水管群の中央部に配設されたバーナとを備えたボイラであって、
前記バーナが請求項1から7のいずれか1項に記載のバーナである
ことを特徴とするボイラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−304146(P2008−304146A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−153396(P2007−153396)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)
【Fターム(参考)】