バー構造体を形成するための構成体及び構成体用の固定ねじ
プロテーゼが固定され得るブリッジ構造体を形成するための構成体が、開示される。前記構成体は、以下の構成要素、すなわち、第1の連結要素10であって、インプラントに対してある特定の角度位置において第1の連結要素を固定するために、固定ねじ30の端部30cを中に案内し得る貫通穴11を有する第1の端部10aを有し、ブリッジ40に連結され得る第2の端部10bを有する、第1の連結要素10と、第2の連結要素30、40であって、これら2つの連結要素が互いに対して移動可能となるように、解除可能な連結により第1の連結要素に連結され得る、第2の連結要素30、40と、これら2つの連結要素が連結され移動される際に、これらの連結要素が分離するのを防ぐ、固定手段30c、18とを備える。第2の実施例においては、2つの連結要素60、10’はそれぞれ、実質的に球状の内側面及び実質的に球状の外側面66、15’を有する端部を備える。第3の実施例においては、固定ねじ30の頭部30aが、第1の実質的に球状の外側面及び第2の実質的に円錐状の外側面を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バー構造体を形成するための構成体及び構成体用の固定ねじに関する。
【背景技術】
【0002】
義歯を固定的に設置するために、インプラントに固定され得るバー構造体が使用される。インプラントが、下顎骨の上で互いに対して平行に配置されない場合には、インプラントのその角度位置に対してバー構造体を適合化させることが可能となるように、バー構造体に対して事前措置をとる必要がある。
【0003】
特許文献1は、緩連結要素が、固定ねじの形態の他の連結要素によって固定される構成体を開示している。これらの連結要素は、小さく、したがって、取り扱いづらい。このバー構造体が、口内に配置される際に、個々の連結要素が、患者の咽頭内に落下し、嚥下され、最悪の場合には気道又は肺にさえも進入し得る(誤嚥)危険がある。さらに、この構成体は、形成されるバー構造体の高さが比較的高いという欠点を有する。
【0004】
特許文献2、特許文献3、及び特許文献4は、複数の緩連結要素を有する他の構成体を開示している。これらもやはり、小さく、そのため、取扱いに関して上述の欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,219,286号明細書
【特許文献2】ヨーロッパ特許第393324号公報
【特許文献3】ドイツ特許4211561号公報
【特許文献4】米国特許第2004/0078040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この最新技術を端緒とし、本発明の第1の目的は、取扱いがより容易であるバー構造体を形成するための構成体を作成することである。
【0007】
この課題を解決する一構成体が、請求項1に明示される。
【0008】
本発明の第2の目的は、一構成体と、高さのより低いバー構造体を可能にする固定ねじとを明示することである。この課題は、請求項11による一構成体と、請求項16による固定ねじとによって、解決される。
【0009】
他の請求項が、この構成体及び固定ねじの好ましい実施例を明示する。
【0010】
以下、図面を参照とする例示的な実施例により、本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】バー構造体の第1の実施例を形成するための、本発明による接合部品の斜視図である。
【図2】図3の線II−IIに沿った、図1による接合部品の断面図である。
【図3】図1による接合部品の平面図である。
【図4】図1による接合部品を固定するための固定ねじの斜視図である。
【図5】図4による固定ねじの側断面図である。
【図6】図1による接合部品及び図4による固定ねじによる、バー構造体の第1の実施例の部分破断斜視図である。
【図7】図6の断面VII−VIIにおける、アバットメント上に位置する図6によるバー構造体の図である。
【図8】バー構造体の第2の実施例を形成するための、本発明による第1の接合部品の斜視図である。
【図9】図10の線IX−IXに沿った、図8による接合部品の断面図である。
【図10】図8による接合部品の平面図である。
【図11】バー構造体の第2の実施例を形成するための、本発明による第2の接合部品の斜視図である。
【図12】図13の線XII−XIIに沿った、図11による接合部品の断面図である。
【図13】図11による接合部品の平面図である。
【図14】図11による接合部品の正面図である。
【図15】図1、図8、及び図11による接合部品及び図4による固定ねじを備える、バー構造体の第2の実施例の部分破断斜視図である。
【図16】図15によるバー構造体の平面図である。
【図17】図16の断面XVII−XVIIにおける、アバットメント上に位置する図15によるバー構造体の図である。
【実施例1】
【0012】
「バー構造体の第1の例示的な実施例」
図1から図3に図示される接合部品10、並びに図4及び図5に図示される固定ねじ30は、図6及び図7に図示されるように、バー構造体を形成するための連結要素である。
【0013】
図1から図3により明らかであるように、接合部品10は、環状端部10aを備え、この環状端部10aから、スタッド10bの形態のロッド形態端部が側方に延在する。2つの端部10a及び10bは、例えば接合部品10が単体部材として製造されることなどによって、互いに剛体的に連結される。環状端部10aは、図2に描かれる破線軸線x及びzにより明らかであるように、スタッド10bの長手方向に対して横軸方向に延在する貫通開口11を有する。
【0014】
貫通開口11の形状は、咬合端部から先端部へと見た場合に、以下の内面、すなわち、
− 第1のテーパ状内面11a、
− 第2の、実質的に円筒状の内面11b、
− 固定ねじ30用のボール・ソケットとしての役割を果たす、第3の、実質的に球状の内面11c、及び、
− 雌ねじ部14を備え、固定ねじ30のねじ山部に合致する構成を有する、細長穴によって形成される第4の内面11d
から構成される面によって、画定される。細長穴は、スタッド10bの長手方向13に延在する。
【0015】
環状端部10aの外面15は、実質的に球状であり、組付け後には、球状支持面に当接する。
【0016】
球状内面11c及び球状外面15は、それぞれ、1つの球の上に位置する。これら2つの球は、それぞれ異なる半径を有するが、図2及び図3に描かれる3つの軸線x、y、及びzの交点に対応する同一の中心12を有する。
【0017】
スタッド10bは、カラー16を有し、円筒状部分17がこれに隣接し、この円筒状部分17は、スタッド端部18になる。
【0018】
この部分17は、外径dを有し、これは、受容されることとなる管状バーの内径に対応するようになされる。
【0019】
スタッド端部18は、1つ又は複数のスロット19を備え、ラジアル方向に外方に広がる。この構成により、弾性舌部の形態のクランプ手段が提供され、この弾性舌部は、管状バーがスタッド10b上に押し付けられる際に、管状バーを圧迫する。
【0020】
図4及び図5に図示される固定ねじ30は、ねじ頭部30aを備え、このねじ頭部30aは、ネック部30bによって、ねじ山部を備えるねじ端部30cに連結される。
【0021】
組み付けられた状態においては、接合部品10及び固定ねじ30は、玉継手を形成する。このために、ネック部30bに隣接するねじ頭部30aの外面31は、実質的に球状であり、接合部品10内への挿入後には、球状内面11cに当接する。球状外面31と、ねじ頭部30aの自由端部との間において、外面32は、円錐状である。この組み付けられた状態において、固定ねじ30が、接合部品10に対して傾斜されると、円錐状外面32の一部が、接合部品10の円筒状内面11bに当接する。
【0022】
ねじ頭部30aは、凹部33を備え、この凹部33の断面は、円形とは異なり、例えば多辺形などである。固定ねじ30を装着するためには、凹部33の形状と相補的な端部を有するねじ回しが、凹部33内に挿入される。
【0023】
とりわけ図5が図示するように、ネック部30bの直径は、ねじ山部30cの直径よりも小さい。ネック部30bの長さは、接合部品10中のねじ山部14の長さよりも長い。
【0024】
接合部品10及び固定ねじ30は、ねじ端部30cを接合部品10の貫通開口11内に挿入すること、及び、このねじ端部30cをねじ山部14内にねじ込むことによって、共に接合される。次いで、固定ねじ30は、ねじ端部30cがねじ込まれてねじ山部14を完全に貫通し、ネック部30bが細長穴11d内に位置するようになるまで、回される。図3による平面図において示されるように、細長穴11dの寸法は、ネック部30bよりも大きいが、ねじ端部30cよりも小さい。したがって、接合部品10及び固定ねじ30は、固定ねじ30が接合部品10から離脱されることが不可能な状態にて、互いに対して移動可能となり、とりわけ枢動可能となる。
【0025】
図6は、固定ねじ30がそれぞれの中に挿入される2つの接合部品10を有し、2つの接合部品10に連結されるバー40の形態の連結要素を有する、バー構造体を図示する。
【0026】
バー40は、円形内方形状及び円形外方形状を有する管の形態である。管状バー40の内径は、接合部品10の第2の端部10bの円筒部分17の外径dに対応する。カラー16の直径は、管状バー40の直径に合わされ、それにより、実質的に連続的な移行部が形成される。弾性的に構造化されたスタッド端部18により、接合部品10は、2つの部品10及び40が互いに対して移動可能であるが、この連結の分離が防止されるように、管状バー40にて保持される。スタッド10bが、管状バー40内に挿入される際には、ある一定の力が、克服されなければならず、さらに、2つの部品10及び40が後に再び分離されることとなる場合には、ある一定の力が、加えられなければならない。
【0027】
バー構造体は、患者の下顎骨中に固定される2つのインプラントに固定され得る。このために、例えば歯科医師又は歯科技工士などのユーザは、2つのインプラント間の所与の距離に対応するように管状バー40を切断し、ねじ端部30cが接合部品10の底部から出現するまで、接合部品10内に固定ねじ30をねじ込み、管状バー40内にスタッド10bを挿入する。次いで、個々の連結要素10、30、及び40が、共に接合されて、それらが共に固定的に保持されるが互いに対して移動可能となるように、集合構造体が形成される。これにより、構造体が患者の口内に配置される際の、個々の連結要素の離脱が防止され、患者が連結要素を嚥下する可能性が回避される。
【0028】
接合部品10によりそれらの外面15によって当接される球状支持面51が、図7に図示されるように、バー構造体を設置するために使用される。各支持面51は、例えばねじ式連結などによりインプラントに固定される、例えばアバットメントの形態の連結要素50の一部である。アバットメントは、バー構造体をそれによってインプラントに固定させることが可能な、任意の適切な連結構成要素であると理解される。さらに、インプラント上に直に支持面51を設けることも可能である。
【0029】
組み付けられた状態において、支持面51は、球状面11c及び31の中心12と一致する中心を有する1つの球の上に位置する。接合部品10及び固定ねじ30、並びに接合部品10及び支持面51は、それぞれ、玉継手を形成する。固定ねじ30及びインプラントは、組み付けられた状態においては、z軸線の方向に延在する。図6及び図7において、2つのインプラントが互いに対して平行に配置される状況が、図示される。この「理想的な状態」においては、接合部品10は、z方向に位置合わせされ、そのため、バー40は、この方向に対して直角に配置される。インプラントの所与の角度位置に応じて、各接合部品10は、固定ねじ30に対して傾斜されることとなる。球面11c及び31、並びに15及び51により、接合部品10は、あらゆる方向に枢動することが可能となる。細長穴11dの幾何学形状により、接合部品10は、yz平面内における場合よりも大きな傾斜角度だけxz平面内において傾斜され得る。
【0030】
義歯を、例えばマトリクスなどの既知の手段によって、バー40に固定することが可能である。
【0031】
接合部品10の傾斜角度にかかわらず、ねじ頭部30aは、貫通開口11内に広く受容される。固定ねじ30のこの皿もみ(counter−sinking)により、バー構造体の高さが低くなる。
【実施例2】
【0032】
「バー構造体の第2の例示的な実施例」
図8から図10に図示される第1の接合部品10’、及び図11から図14に図示される第2の接合部品60は、図15から図17に図示されるように、4つのインプラント用のバー構造体を形成するための連結要素である。
【0033】
図8から図10による第1の接合部品10’は、第1の例示的な実施例による接合部品10と実質的に同一の構造からなり、同一の参照番号が、同一の要素に対して使用される。接合部品10’は、主に、環状端部10’aの壁部厚さが比較的薄く、その結果として、外面15’が外面15の球半径よりも小さな半径を有する1つの球の上に位置する点において、接合部品10と本質的に異なる。
【0034】
図11から図14に図示される第2の接合部品60は、追加のバーをインプラントの上に設置することを可能にするために、使用される。接合部品60は、接合端部60a及びロッド形態端部60bを備え、このロッド形態端部60bは、接合端部60aから側方に延在し、接合端部60aに剛体的に接合される。ロッド形態端部60bは、接合部品10及び10’の端部10bと同一の構造からなると、有利である。
【0035】
接合端部60aは、固定ねじ30の端部を中に押し込むことが可能な貫通開口61を有する。貫通開口61は、端部60bの方向に延在し、断面が細長穴11dよりも幾分大きくなされた、細長穴の形態である。
【0036】
接合端部60aは、ボウルの形態である。ボウルは、各場合において第1の接合部品10’の端部10bが貫通して突出することが可能な2つの側方凹部63a及び63b、並びに、凹部63aと63bとの間に配置されるフィンガ64を有する。
【0037】
一方において、接合端部60aは、第1の接合部品10’用のボール・ソケットとしての役割を果たし、このために、実質的に球状の内面65を有し、接合部品10’の外面15’は、この内面65に当接することが可能であり、内面65は、z方向において見た場合に、フィンガ64の高さの上方に延在する。
【0038】
他方において、接合端部60aは、組付け後に当接する支持面と共に、他の玉継手を形成する。このために、接合端部60aは、実質的に球状の外面66を有する。面65及び66はそれぞれ、組付け後に第1の接合部品10’が枢動可能である中心12と一致する、共通の中心12を有する球の上に位置する。
【0039】
フィンガ64は、弾性構造体からなり、そのため、加えられた力を受けると、端部60bに対するその位置が変化し、この力が中断されると、フィンガ64は再びその元の位置をとる。球面65の半径は、球面15’の半径よりも少し小さくなるように選択される。端部10’aが、端部60a内にクリップ留めされる場合には、離脱を防止するスナップ作用連結部が、第1の接合部品10’と第2の接合部品60との間に形成される。同時に、フィンガ64は、端部10’と端部60aとの間にクランプ留めが生じるように、端部10’aを圧迫する。
【0040】
接合端部60aの壁部厚さは、内面65が、第1の例示的な実施例の接合部品10の外面15と同一の距離だけ、中心12から離間されるように選択されると、好ましい。
【0041】
連結要素10、10’、30、40、及び60は、それぞれ、単体部材として製造され得る。しかし、必要な場合には、これらは、複数の部材として製造され、共に接合されることにより、個々の連結要素が形成されてよい。製造に適する材料は、例えば金属、とりわけ純チタンなどのチタンなど、口腔環境に対して耐性のある材料である。インプラントと同一の材料を使用することが可能である。連結要素10、10’、30、40、及び60の外方形状は、とりわけ負傷の危険性を抑制するように、丸められると好ましい。
【0042】
連結要素10、10’、30、40、及び60は、図15から図17に図示されるように、共に接合されることにより、バー構造体70を形成することが可能である。この場合には、接合部品10及び10’中のねじ山部14を有する穴11d、接合部品60の場合におけるフィンガ64、さらには、接合部品10、10’、及び60の場合におけるスロット19を有するスタッド端部18は、固定手段としての役割を果たし、これらの固定手段により、個々の連結要素10、10’、30、40、及び60が移動する際に、それらの連結要素が離脱されないようになる。
【0043】
バー構造体70は、最終的に、例えばアバットメント50によって、又はインプラントに対して直に、4つのインプラントに固定される。第1の例示的な実施例の場合におけるように、バー構造体70は、球状支持面51に当接する。接合部品10は、バー構造体70の2つの端部にて、第1の例示的な実施例の場合におけるように(図7を参照)固定され、これら2つの端部間に配置される接合部品10’及び60は、図17に図示されるように設置される。
【0044】
組み付けられた状態において、固定ねじ30及び接合部品10’は、第1の玉継手を形成し、接合部品10’及び接合部品60は、第2の玉継手を形成し、接合部品60及び支持面51は、第3の玉継手を形成する。図17は、2つの接合部品10’及び60に設置されるバー40が、インプラントが延在する方向であるz軸線に対して正確に直角に配置される状態を図示する。2つの接合部品10’及び60は、互いに無関係に、固定ねじ30に対して、及び共通中心12の周囲にて、枢動可能であり、あらゆる方向に枢動され得る。とりわけ、接合部品10’及び接合部品60は、xz平面内で上下方向に、並びに、xy平面内で前後方向に、枢動され得る。図16においては、左側のバー40が、最大限まで内方に枢動され、右側のバー40が、最大限まで外方に枢動されている。
【0045】
接合端部10aの壁部厚さは、好ましくは、接合端部10’aの壁部厚さ及び接合端部60aの壁部厚さの合計に実質的に一致し、そのため、接合部品10の外面15は、接合部品60の外面66と同一の距離だけ、中心12から離間される。したがって、全てのインプラントについて、中心12は、z方向に見た場合に、同一の高さに位置する。
【0046】
既に規定されたもの以外に、本明細書において説明される連結要素のコンセプトにより、多数の利点がもたらされる。
− 個々の連結要素10、10’、30、40、及び60は、接合されることにより、偶発的に互いから離脱することが不可能になるが、依然として互いに対して移動可能な状態が維持されるように、集合構造体を形成することが可能である。これにより、取扱いがはるかに容易になる。さらに、バー構造体は、患者の口の所与の条件に直接的に適合化され、インプラントの上に簡単な態様で設置させることが可能となる。さらに、固定手段11d、14、30c、18、19、及び64によって、バー構造体を適合化し設置する際に、個々の連結要素が離脱され、患者がそれらを嚥下し得る危険性が、解消される。とりわけ、個々の連結要素が患者の気道内に進入することが防止されるため、誤嚥に対して安全上の保護がもたらされる。
− 事実上あらゆる方向において、インプラントの方向における逸脱を容易に補償することが可能となる。
− バー構造体が実質的に無応力状態となる態様にて、連結要素10、10’、30、40、及び60を設置することが可能となる。応力を生じ得るはんだ付け及びレージングが、不要となる。
− 連結要素10、10’、30、40、及び60を、解除可能な連結によって、互いに接合させることが可能となる。バー構造体を、口から再度取り外すことが可能であり、必要に応じて、個々の連結要素を交換することが可能である。
− バー構造体の高さが低い。その結果として、連結要素10’及び60、さらに30の形状により、とりわけ、同一のインプラントに対する2つのバーの固定部の高さが、低くなる。
− 少数のそれぞれ異なる連結要素が、所要の要件に対してバー構造体を適合化させ得るのに十分なものとなる。
− 連結要素を予め製造することが可能となる。歯科医師が、診療時に直接、バー構造体を適合化させ挿入するのに必要な全てのステップを実施することが、可能となる。はんだ付け、成形等の複雑な手順が不要となる。患者の口内にバー構造体を設置した直後に、バー構造体を負荷にさらすことが可能となる。
− アバットメントを使用することにより、バー構造体は、様々なタイプのインプラントに適合化され得るようになり、口内の所望の高さに適合化され得るようになる。
【0047】
先述から、特許請求の範囲において規定される本発明の範囲から逸脱することなく、多数の修正形態を利用することが、当業者には可能となる。
【0048】
本明細書において示される連結要素は、2つ、3つ、又はそれ以上のインプラントに対して使用され得る。
【0049】
バー40の外方形状は、必ずしも円形である必要はなく、別の形状からなるものであってもよい。
【0050】
スタッド10b及び60bが中に挿入される管状バー40の代わりとして、ロッド形態端部10b及び60bが、スリーブの形態であり、バーが、スリーブ内に挿入可能なロッドの形態である、相補的連結部が可能である。
【0051】
第2の接合部品10’のカラー16は、外周溝をさらに有することが可能であり、それにより、外面15’が、拡張され、接合部品10’がxy平面内において枢動可能となる最大角度が、拡大される。
【0052】
スタッド端部18は、バーに対する力の印加を実現するように膨張形態にて予め製造される必要性は必ずしもない。スロットを有するスタッドを形成し、結果的に得られる舌部を、連結要素が組み付けられる前に工具により押し離すことによって作動可能となるように、スタッド端部を設計することも可能である。
【0053】
固定ねじ30と接合部品10’との、又は10’と60との間の連結部を固定するために、固定ねじ30の上に設置されるOリングを設けることも可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、バー構造体を形成するための構成体及び構成体用の固定ねじに関する。
【背景技術】
【0002】
義歯を固定的に設置するために、インプラントに固定され得るバー構造体が使用される。インプラントが、下顎骨の上で互いに対して平行に配置されない場合には、インプラントのその角度位置に対してバー構造体を適合化させることが可能となるように、バー構造体に対して事前措置をとる必要がある。
【0003】
特許文献1は、緩連結要素が、固定ねじの形態の他の連結要素によって固定される構成体を開示している。これらの連結要素は、小さく、したがって、取り扱いづらい。このバー構造体が、口内に配置される際に、個々の連結要素が、患者の咽頭内に落下し、嚥下され、最悪の場合には気道又は肺にさえも進入し得る(誤嚥)危険がある。さらに、この構成体は、形成されるバー構造体の高さが比較的高いという欠点を有する。
【0004】
特許文献2、特許文献3、及び特許文献4は、複数の緩連結要素を有する他の構成体を開示している。これらもやはり、小さく、そのため、取扱いに関して上述の欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,219,286号明細書
【特許文献2】ヨーロッパ特許第393324号公報
【特許文献3】ドイツ特許4211561号公報
【特許文献4】米国特許第2004/0078040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この最新技術を端緒とし、本発明の第1の目的は、取扱いがより容易であるバー構造体を形成するための構成体を作成することである。
【0007】
この課題を解決する一構成体が、請求項1に明示される。
【0008】
本発明の第2の目的は、一構成体と、高さのより低いバー構造体を可能にする固定ねじとを明示することである。この課題は、請求項11による一構成体と、請求項16による固定ねじとによって、解決される。
【0009】
他の請求項が、この構成体及び固定ねじの好ましい実施例を明示する。
【0010】
以下、図面を参照とする例示的な実施例により、本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】バー構造体の第1の実施例を形成するための、本発明による接合部品の斜視図である。
【図2】図3の線II−IIに沿った、図1による接合部品の断面図である。
【図3】図1による接合部品の平面図である。
【図4】図1による接合部品を固定するための固定ねじの斜視図である。
【図5】図4による固定ねじの側断面図である。
【図6】図1による接合部品及び図4による固定ねじによる、バー構造体の第1の実施例の部分破断斜視図である。
【図7】図6の断面VII−VIIにおける、アバットメント上に位置する図6によるバー構造体の図である。
【図8】バー構造体の第2の実施例を形成するための、本発明による第1の接合部品の斜視図である。
【図9】図10の線IX−IXに沿った、図8による接合部品の断面図である。
【図10】図8による接合部品の平面図である。
【図11】バー構造体の第2の実施例を形成するための、本発明による第2の接合部品の斜視図である。
【図12】図13の線XII−XIIに沿った、図11による接合部品の断面図である。
【図13】図11による接合部品の平面図である。
【図14】図11による接合部品の正面図である。
【図15】図1、図8、及び図11による接合部品及び図4による固定ねじを備える、バー構造体の第2の実施例の部分破断斜視図である。
【図16】図15によるバー構造体の平面図である。
【図17】図16の断面XVII−XVIIにおける、アバットメント上に位置する図15によるバー構造体の図である。
【実施例1】
【0012】
「バー構造体の第1の例示的な実施例」
図1から図3に図示される接合部品10、並びに図4及び図5に図示される固定ねじ30は、図6及び図7に図示されるように、バー構造体を形成するための連結要素である。
【0013】
図1から図3により明らかであるように、接合部品10は、環状端部10aを備え、この環状端部10aから、スタッド10bの形態のロッド形態端部が側方に延在する。2つの端部10a及び10bは、例えば接合部品10が単体部材として製造されることなどによって、互いに剛体的に連結される。環状端部10aは、図2に描かれる破線軸線x及びzにより明らかであるように、スタッド10bの長手方向に対して横軸方向に延在する貫通開口11を有する。
【0014】
貫通開口11の形状は、咬合端部から先端部へと見た場合に、以下の内面、すなわち、
− 第1のテーパ状内面11a、
− 第2の、実質的に円筒状の内面11b、
− 固定ねじ30用のボール・ソケットとしての役割を果たす、第3の、実質的に球状の内面11c、及び、
− 雌ねじ部14を備え、固定ねじ30のねじ山部に合致する構成を有する、細長穴によって形成される第4の内面11d
から構成される面によって、画定される。細長穴は、スタッド10bの長手方向13に延在する。
【0015】
環状端部10aの外面15は、実質的に球状であり、組付け後には、球状支持面に当接する。
【0016】
球状内面11c及び球状外面15は、それぞれ、1つの球の上に位置する。これら2つの球は、それぞれ異なる半径を有するが、図2及び図3に描かれる3つの軸線x、y、及びzの交点に対応する同一の中心12を有する。
【0017】
スタッド10bは、カラー16を有し、円筒状部分17がこれに隣接し、この円筒状部分17は、スタッド端部18になる。
【0018】
この部分17は、外径dを有し、これは、受容されることとなる管状バーの内径に対応するようになされる。
【0019】
スタッド端部18は、1つ又は複数のスロット19を備え、ラジアル方向に外方に広がる。この構成により、弾性舌部の形態のクランプ手段が提供され、この弾性舌部は、管状バーがスタッド10b上に押し付けられる際に、管状バーを圧迫する。
【0020】
図4及び図5に図示される固定ねじ30は、ねじ頭部30aを備え、このねじ頭部30aは、ネック部30bによって、ねじ山部を備えるねじ端部30cに連結される。
【0021】
組み付けられた状態においては、接合部品10及び固定ねじ30は、玉継手を形成する。このために、ネック部30bに隣接するねじ頭部30aの外面31は、実質的に球状であり、接合部品10内への挿入後には、球状内面11cに当接する。球状外面31と、ねじ頭部30aの自由端部との間において、外面32は、円錐状である。この組み付けられた状態において、固定ねじ30が、接合部品10に対して傾斜されると、円錐状外面32の一部が、接合部品10の円筒状内面11bに当接する。
【0022】
ねじ頭部30aは、凹部33を備え、この凹部33の断面は、円形とは異なり、例えば多辺形などである。固定ねじ30を装着するためには、凹部33の形状と相補的な端部を有するねじ回しが、凹部33内に挿入される。
【0023】
とりわけ図5が図示するように、ネック部30bの直径は、ねじ山部30cの直径よりも小さい。ネック部30bの長さは、接合部品10中のねじ山部14の長さよりも長い。
【0024】
接合部品10及び固定ねじ30は、ねじ端部30cを接合部品10の貫通開口11内に挿入すること、及び、このねじ端部30cをねじ山部14内にねじ込むことによって、共に接合される。次いで、固定ねじ30は、ねじ端部30cがねじ込まれてねじ山部14を完全に貫通し、ネック部30bが細長穴11d内に位置するようになるまで、回される。図3による平面図において示されるように、細長穴11dの寸法は、ネック部30bよりも大きいが、ねじ端部30cよりも小さい。したがって、接合部品10及び固定ねじ30は、固定ねじ30が接合部品10から離脱されることが不可能な状態にて、互いに対して移動可能となり、とりわけ枢動可能となる。
【0025】
図6は、固定ねじ30がそれぞれの中に挿入される2つの接合部品10を有し、2つの接合部品10に連結されるバー40の形態の連結要素を有する、バー構造体を図示する。
【0026】
バー40は、円形内方形状及び円形外方形状を有する管の形態である。管状バー40の内径は、接合部品10の第2の端部10bの円筒部分17の外径dに対応する。カラー16の直径は、管状バー40の直径に合わされ、それにより、実質的に連続的な移行部が形成される。弾性的に構造化されたスタッド端部18により、接合部品10は、2つの部品10及び40が互いに対して移動可能であるが、この連結の分離が防止されるように、管状バー40にて保持される。スタッド10bが、管状バー40内に挿入される際には、ある一定の力が、克服されなければならず、さらに、2つの部品10及び40が後に再び分離されることとなる場合には、ある一定の力が、加えられなければならない。
【0027】
バー構造体は、患者の下顎骨中に固定される2つのインプラントに固定され得る。このために、例えば歯科医師又は歯科技工士などのユーザは、2つのインプラント間の所与の距離に対応するように管状バー40を切断し、ねじ端部30cが接合部品10の底部から出現するまで、接合部品10内に固定ねじ30をねじ込み、管状バー40内にスタッド10bを挿入する。次いで、個々の連結要素10、30、及び40が、共に接合されて、それらが共に固定的に保持されるが互いに対して移動可能となるように、集合構造体が形成される。これにより、構造体が患者の口内に配置される際の、個々の連結要素の離脱が防止され、患者が連結要素を嚥下する可能性が回避される。
【0028】
接合部品10によりそれらの外面15によって当接される球状支持面51が、図7に図示されるように、バー構造体を設置するために使用される。各支持面51は、例えばねじ式連結などによりインプラントに固定される、例えばアバットメントの形態の連結要素50の一部である。アバットメントは、バー構造体をそれによってインプラントに固定させることが可能な、任意の適切な連結構成要素であると理解される。さらに、インプラント上に直に支持面51を設けることも可能である。
【0029】
組み付けられた状態において、支持面51は、球状面11c及び31の中心12と一致する中心を有する1つの球の上に位置する。接合部品10及び固定ねじ30、並びに接合部品10及び支持面51は、それぞれ、玉継手を形成する。固定ねじ30及びインプラントは、組み付けられた状態においては、z軸線の方向に延在する。図6及び図7において、2つのインプラントが互いに対して平行に配置される状況が、図示される。この「理想的な状態」においては、接合部品10は、z方向に位置合わせされ、そのため、バー40は、この方向に対して直角に配置される。インプラントの所与の角度位置に応じて、各接合部品10は、固定ねじ30に対して傾斜されることとなる。球面11c及び31、並びに15及び51により、接合部品10は、あらゆる方向に枢動することが可能となる。細長穴11dの幾何学形状により、接合部品10は、yz平面内における場合よりも大きな傾斜角度だけxz平面内において傾斜され得る。
【0030】
義歯を、例えばマトリクスなどの既知の手段によって、バー40に固定することが可能である。
【0031】
接合部品10の傾斜角度にかかわらず、ねじ頭部30aは、貫通開口11内に広く受容される。固定ねじ30のこの皿もみ(counter−sinking)により、バー構造体の高さが低くなる。
【実施例2】
【0032】
「バー構造体の第2の例示的な実施例」
図8から図10に図示される第1の接合部品10’、及び図11から図14に図示される第2の接合部品60は、図15から図17に図示されるように、4つのインプラント用のバー構造体を形成するための連結要素である。
【0033】
図8から図10による第1の接合部品10’は、第1の例示的な実施例による接合部品10と実質的に同一の構造からなり、同一の参照番号が、同一の要素に対して使用される。接合部品10’は、主に、環状端部10’aの壁部厚さが比較的薄く、その結果として、外面15’が外面15の球半径よりも小さな半径を有する1つの球の上に位置する点において、接合部品10と本質的に異なる。
【0034】
図11から図14に図示される第2の接合部品60は、追加のバーをインプラントの上に設置することを可能にするために、使用される。接合部品60は、接合端部60a及びロッド形態端部60bを備え、このロッド形態端部60bは、接合端部60aから側方に延在し、接合端部60aに剛体的に接合される。ロッド形態端部60bは、接合部品10及び10’の端部10bと同一の構造からなると、有利である。
【0035】
接合端部60aは、固定ねじ30の端部を中に押し込むことが可能な貫通開口61を有する。貫通開口61は、端部60bの方向に延在し、断面が細長穴11dよりも幾分大きくなされた、細長穴の形態である。
【0036】
接合端部60aは、ボウルの形態である。ボウルは、各場合において第1の接合部品10’の端部10bが貫通して突出することが可能な2つの側方凹部63a及び63b、並びに、凹部63aと63bとの間に配置されるフィンガ64を有する。
【0037】
一方において、接合端部60aは、第1の接合部品10’用のボール・ソケットとしての役割を果たし、このために、実質的に球状の内面65を有し、接合部品10’の外面15’は、この内面65に当接することが可能であり、内面65は、z方向において見た場合に、フィンガ64の高さの上方に延在する。
【0038】
他方において、接合端部60aは、組付け後に当接する支持面と共に、他の玉継手を形成する。このために、接合端部60aは、実質的に球状の外面66を有する。面65及び66はそれぞれ、組付け後に第1の接合部品10’が枢動可能である中心12と一致する、共通の中心12を有する球の上に位置する。
【0039】
フィンガ64は、弾性構造体からなり、そのため、加えられた力を受けると、端部60bに対するその位置が変化し、この力が中断されると、フィンガ64は再びその元の位置をとる。球面65の半径は、球面15’の半径よりも少し小さくなるように選択される。端部10’aが、端部60a内にクリップ留めされる場合には、離脱を防止するスナップ作用連結部が、第1の接合部品10’と第2の接合部品60との間に形成される。同時に、フィンガ64は、端部10’と端部60aとの間にクランプ留めが生じるように、端部10’aを圧迫する。
【0040】
接合端部60aの壁部厚さは、内面65が、第1の例示的な実施例の接合部品10の外面15と同一の距離だけ、中心12から離間されるように選択されると、好ましい。
【0041】
連結要素10、10’、30、40、及び60は、それぞれ、単体部材として製造され得る。しかし、必要な場合には、これらは、複数の部材として製造され、共に接合されることにより、個々の連結要素が形成されてよい。製造に適する材料は、例えば金属、とりわけ純チタンなどのチタンなど、口腔環境に対して耐性のある材料である。インプラントと同一の材料を使用することが可能である。連結要素10、10’、30、40、及び60の外方形状は、とりわけ負傷の危険性を抑制するように、丸められると好ましい。
【0042】
連結要素10、10’、30、40、及び60は、図15から図17に図示されるように、共に接合されることにより、バー構造体70を形成することが可能である。この場合には、接合部品10及び10’中のねじ山部14を有する穴11d、接合部品60の場合におけるフィンガ64、さらには、接合部品10、10’、及び60の場合におけるスロット19を有するスタッド端部18は、固定手段としての役割を果たし、これらの固定手段により、個々の連結要素10、10’、30、40、及び60が移動する際に、それらの連結要素が離脱されないようになる。
【0043】
バー構造体70は、最終的に、例えばアバットメント50によって、又はインプラントに対して直に、4つのインプラントに固定される。第1の例示的な実施例の場合におけるように、バー構造体70は、球状支持面51に当接する。接合部品10は、バー構造体70の2つの端部にて、第1の例示的な実施例の場合におけるように(図7を参照)固定され、これら2つの端部間に配置される接合部品10’及び60は、図17に図示されるように設置される。
【0044】
組み付けられた状態において、固定ねじ30及び接合部品10’は、第1の玉継手を形成し、接合部品10’及び接合部品60は、第2の玉継手を形成し、接合部品60及び支持面51は、第3の玉継手を形成する。図17は、2つの接合部品10’及び60に設置されるバー40が、インプラントが延在する方向であるz軸線に対して正確に直角に配置される状態を図示する。2つの接合部品10’及び60は、互いに無関係に、固定ねじ30に対して、及び共通中心12の周囲にて、枢動可能であり、あらゆる方向に枢動され得る。とりわけ、接合部品10’及び接合部品60は、xz平面内で上下方向に、並びに、xy平面内で前後方向に、枢動され得る。図16においては、左側のバー40が、最大限まで内方に枢動され、右側のバー40が、最大限まで外方に枢動されている。
【0045】
接合端部10aの壁部厚さは、好ましくは、接合端部10’aの壁部厚さ及び接合端部60aの壁部厚さの合計に実質的に一致し、そのため、接合部品10の外面15は、接合部品60の外面66と同一の距離だけ、中心12から離間される。したがって、全てのインプラントについて、中心12は、z方向に見た場合に、同一の高さに位置する。
【0046】
既に規定されたもの以外に、本明細書において説明される連結要素のコンセプトにより、多数の利点がもたらされる。
− 個々の連結要素10、10’、30、40、及び60は、接合されることにより、偶発的に互いから離脱することが不可能になるが、依然として互いに対して移動可能な状態が維持されるように、集合構造体を形成することが可能である。これにより、取扱いがはるかに容易になる。さらに、バー構造体は、患者の口の所与の条件に直接的に適合化され、インプラントの上に簡単な態様で設置させることが可能となる。さらに、固定手段11d、14、30c、18、19、及び64によって、バー構造体を適合化し設置する際に、個々の連結要素が離脱され、患者がそれらを嚥下し得る危険性が、解消される。とりわけ、個々の連結要素が患者の気道内に進入することが防止されるため、誤嚥に対して安全上の保護がもたらされる。
− 事実上あらゆる方向において、インプラントの方向における逸脱を容易に補償することが可能となる。
− バー構造体が実質的に無応力状態となる態様にて、連結要素10、10’、30、40、及び60を設置することが可能となる。応力を生じ得るはんだ付け及びレージングが、不要となる。
− 連結要素10、10’、30、40、及び60を、解除可能な連結によって、互いに接合させることが可能となる。バー構造体を、口から再度取り外すことが可能であり、必要に応じて、個々の連結要素を交換することが可能である。
− バー構造体の高さが低い。その結果として、連結要素10’及び60、さらに30の形状により、とりわけ、同一のインプラントに対する2つのバーの固定部の高さが、低くなる。
− 少数のそれぞれ異なる連結要素が、所要の要件に対してバー構造体を適合化させ得るのに十分なものとなる。
− 連結要素を予め製造することが可能となる。歯科医師が、診療時に直接、バー構造体を適合化させ挿入するのに必要な全てのステップを実施することが、可能となる。はんだ付け、成形等の複雑な手順が不要となる。患者の口内にバー構造体を設置した直後に、バー構造体を負荷にさらすことが可能となる。
− アバットメントを使用することにより、バー構造体は、様々なタイプのインプラントに適合化され得るようになり、口内の所望の高さに適合化され得るようになる。
【0047】
先述から、特許請求の範囲において規定される本発明の範囲から逸脱することなく、多数の修正形態を利用することが、当業者には可能となる。
【0048】
本明細書において示される連結要素は、2つ、3つ、又はそれ以上のインプラントに対して使用され得る。
【0049】
バー40の外方形状は、必ずしも円形である必要はなく、別の形状からなるものであってもよい。
【0050】
スタッド10b及び60bが中に挿入される管状バー40の代わりとして、ロッド形態端部10b及び60bが、スリーブの形態であり、バーが、スリーブ内に挿入可能なロッドの形態である、相補的連結部が可能である。
【0051】
第2の接合部品10’のカラー16は、外周溝をさらに有することが可能であり、それにより、外面15’が、拡張され、接合部品10’がxy平面内において枢動可能となる最大角度が、拡大される。
【0052】
スタッド端部18は、バーに対する力の印加を実現するように膨張形態にて予め製造される必要性は必ずしもない。スロットを有するスタッドを形成し、結果的に得られる舌部を、連結要素が組み付けられる前に工具により押し離すことによって作動可能となるように、スタッド端部を設計することも可能である。
【0053】
固定ねじ30と接合部品10’との、又は10’と60との間の連結部を固定するために、固定ねじ30の上に設置されるOリングを設けることも可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロテーゼが固定され得るバー構造体を形成するための構成体であって、
第1の連結要素(10;10’;60)であって、
インプラントに対してある特定の角度位置においてこの第1の連結要素を固定するために固定ねじ(30)の端部(30c)が貫通し得る貫通開口(11)を有する、第1の端部(10a;10’a;60a)、及び
バー(40)に連結可能である第2の端部(10b;60b)
を有する、第1の連結要素(10;10’;60)と、
第2の連結要素(30;40;10’)であって、これら2つの連結要素が互いに対して移動可能となるように、解除可能な連結によって前記第1の連結要素に連結可能である、第2の連結要素(30;40;10’)と
を備える、構成体において、
これら2つの連結要素が連結され移動される際に、これら2つの連結要素が互いから分離するのを妨げる固定手段(11d、14、30c;18、19;64)を特徴とする、構成体。
【請求項2】
前記第2の連結要素は、固定ねじ(30)であり、前記固定手段は、前記固定ねじの端部(30c)を中にねじ込み得る、前記貫通開口(11)中に形成されたねじ山部(14)を備える、請求項1に記載の構成体。
【請求項3】
前記貫通開口(11)は、前記ねじ山部(14)を備える細長穴(11d)を有する、請求項2に記載の構成体。
【請求項4】
前記第1の連結要素(60)の第1の端部(60a)が、ボウル形態構造からなり、スナップ作用連結によって、前記第2の連結要素(10’)の第3の端部(10’a)に連結されるようになされる、請求項1から3までのいずれか一項に記載の構成体。
【請求項5】
前記第1の端部(60a)は、フィンガ(64)を有する、請求項4に記載の構成体。
【請求項6】
前記第1の連結要素(10;10’;60)の前記第2の端部(10b;60b)は、ロッドの形態であり、前記第2の連結要素は、前記第2の端部に固定可能なバー(40)である、請求項1から5までのいずれか一項に記載の構成体。
【請求項7】
前記固定手段(11d、14;18、19;64)は、前記バー(40)に力を加えるために、前記第2の端部(10b;60b)に配置されたクランプ手段(18、19)を備える、請求項6に記載の構成体。
【請求項8】
前記第2の端部(10b;60b)は、クランプ手段(18、19)を形成するために少なくとも1つのスロット(18)を有する、及び/又は、広がるように設計される、請求項7に記載の構成体。
【請求項9】
前記第1の連結要素(10;10’;60)の前記第1の端部(10a;10’a;60a)は、実質的に球状の外面(15;15’;66)、及び/又は実質的に球状の内面(11c;65)を備える、請求項1から8までのいずれか一項に記載の構成体。
【請求項10】
前記第2の連結要素(30;10’)は、実質的に球状の外面(31;15’)及び/又は実質的に球状の内面(11c)を備える、端部(30a;10’a)を有する、請求項1から9までのいずれか一項に記載の構成体。
【請求項11】
プロテーゼが固定され得るバー構造体を形成するための構成体であって、
第1の連結要素(60)であって、
第1の貫通開口(61)を有する第1の端部(60a)、及び
第1のバー(40)に連結可能な第2の端部(60b)
を有する、第1の連結要素(60)と、
第2の連結要素(10’)であって、
第2の貫通開口(61)を有する第3の端部(10’a)、及び
第2のバー(40)に連結可能な第4の端部(10b)
を有する、第2の連結要素(10’)と
を備える、構成体において、
各場合において、前記第1の端部(60a)及び前記第3の端部(10’a)は、実質的に球状の内面(65、31)、及び実質的に球状の外面(66、15’)を備えることを特徴とする、構成体。
【請求項12】
前記第1の連結要素(60)の前記第1の端部(60a)は、ボウル形態構造からなり、スナップ作用連結により、前記第2の連結要素(10’)に連結可能である、請求項11に記載の構成体。
【請求項13】
前記第1の端部(10a;10’a)は、前記の又は1つの固定ねじ(30)の前記頭部(30a)が中に沈むことが可能な環状構造からなる、請求項1から12までのいずれか一項に記載の構成体。
【請求項14】
前記第1の連結要素(10、10’;60)の両端部(10a、10b;10’a、10b;60a、60b)が、互いに対して剛体的に連結され、これは、好ましくは単体部材として製造される、請求項1から13までのいずれか一項に記載の構成体。
【請求項15】
前記インプラントに固定可能であり、球状支持面(51)を備える、少なくとも1つのアバットメント(50)を有する、請求項1から14までのいずれか一項に記載の構成体。
【請求項16】
ネック部(30b)によって前記ねじ付き端部(30c)に連結される頭部(30a)を有する、請求項1から15までのいずれか一項に記載の構成体のための固定ねじ(30)において、
前記頭部(30a)は、第1の実質的に球状の外面(31)及び第2の実質的に円錐状の外面(32)を備えることを特徴とする、固定ねじ(30)。
【請求項17】
前記ネック部(30b)の直径が、前記ねじ付き端部(30c)の直径よりも小さい、請求項16に記載の固定ねじ(30)。
【請求項18】
前記頭部(30a)は、好ましくは多辺形である凹部(33)を有する、請求項16又は17に記載の固定ねじ(30)。
【請求項1】
プロテーゼが固定され得るバー構造体を形成するための構成体であって、
第1の連結要素(10;10’;60)であって、
インプラントに対してある特定の角度位置においてこの第1の連結要素を固定するために固定ねじ(30)の端部(30c)が貫通し得る貫通開口(11)を有する、第1の端部(10a;10’a;60a)、及び
バー(40)に連結可能である第2の端部(10b;60b)
を有する、第1の連結要素(10;10’;60)と、
第2の連結要素(30;40;10’)であって、これら2つの連結要素が互いに対して移動可能となるように、解除可能な連結によって前記第1の連結要素に連結可能である、第2の連結要素(30;40;10’)と
を備える、構成体において、
これら2つの連結要素が連結され移動される際に、これら2つの連結要素が互いから分離するのを妨げる固定手段(11d、14、30c;18、19;64)を特徴とする、構成体。
【請求項2】
前記第2の連結要素は、固定ねじ(30)であり、前記固定手段は、前記固定ねじの端部(30c)を中にねじ込み得る、前記貫通開口(11)中に形成されたねじ山部(14)を備える、請求項1に記載の構成体。
【請求項3】
前記貫通開口(11)は、前記ねじ山部(14)を備える細長穴(11d)を有する、請求項2に記載の構成体。
【請求項4】
前記第1の連結要素(60)の第1の端部(60a)が、ボウル形態構造からなり、スナップ作用連結によって、前記第2の連結要素(10’)の第3の端部(10’a)に連結されるようになされる、請求項1から3までのいずれか一項に記載の構成体。
【請求項5】
前記第1の端部(60a)は、フィンガ(64)を有する、請求項4に記載の構成体。
【請求項6】
前記第1の連結要素(10;10’;60)の前記第2の端部(10b;60b)は、ロッドの形態であり、前記第2の連結要素は、前記第2の端部に固定可能なバー(40)である、請求項1から5までのいずれか一項に記載の構成体。
【請求項7】
前記固定手段(11d、14;18、19;64)は、前記バー(40)に力を加えるために、前記第2の端部(10b;60b)に配置されたクランプ手段(18、19)を備える、請求項6に記載の構成体。
【請求項8】
前記第2の端部(10b;60b)は、クランプ手段(18、19)を形成するために少なくとも1つのスロット(18)を有する、及び/又は、広がるように設計される、請求項7に記載の構成体。
【請求項9】
前記第1の連結要素(10;10’;60)の前記第1の端部(10a;10’a;60a)は、実質的に球状の外面(15;15’;66)、及び/又は実質的に球状の内面(11c;65)を備える、請求項1から8までのいずれか一項に記載の構成体。
【請求項10】
前記第2の連結要素(30;10’)は、実質的に球状の外面(31;15’)及び/又は実質的に球状の内面(11c)を備える、端部(30a;10’a)を有する、請求項1から9までのいずれか一項に記載の構成体。
【請求項11】
プロテーゼが固定され得るバー構造体を形成するための構成体であって、
第1の連結要素(60)であって、
第1の貫通開口(61)を有する第1の端部(60a)、及び
第1のバー(40)に連結可能な第2の端部(60b)
を有する、第1の連結要素(60)と、
第2の連結要素(10’)であって、
第2の貫通開口(61)を有する第3の端部(10’a)、及び
第2のバー(40)に連結可能な第4の端部(10b)
を有する、第2の連結要素(10’)と
を備える、構成体において、
各場合において、前記第1の端部(60a)及び前記第3の端部(10’a)は、実質的に球状の内面(65、31)、及び実質的に球状の外面(66、15’)を備えることを特徴とする、構成体。
【請求項12】
前記第1の連結要素(60)の前記第1の端部(60a)は、ボウル形態構造からなり、スナップ作用連結により、前記第2の連結要素(10’)に連結可能である、請求項11に記載の構成体。
【請求項13】
前記第1の端部(10a;10’a)は、前記の又は1つの固定ねじ(30)の前記頭部(30a)が中に沈むことが可能な環状構造からなる、請求項1から12までのいずれか一項に記載の構成体。
【請求項14】
前記第1の連結要素(10、10’;60)の両端部(10a、10b;10’a、10b;60a、60b)が、互いに対して剛体的に連結され、これは、好ましくは単体部材として製造される、請求項1から13までのいずれか一項に記載の構成体。
【請求項15】
前記インプラントに固定可能であり、球状支持面(51)を備える、少なくとも1つのアバットメント(50)を有する、請求項1から14までのいずれか一項に記載の構成体。
【請求項16】
ネック部(30b)によって前記ねじ付き端部(30c)に連結される頭部(30a)を有する、請求項1から15までのいずれか一項に記載の構成体のための固定ねじ(30)において、
前記頭部(30a)は、第1の実質的に球状の外面(31)及び第2の実質的に円錐状の外面(32)を備えることを特徴とする、固定ねじ(30)。
【請求項17】
前記ネック部(30b)の直径が、前記ねじ付き端部(30c)の直径よりも小さい、請求項16に記載の固定ねじ(30)。
【請求項18】
前記頭部(30a)は、好ましくは多辺形である凹部(33)を有する、請求項16又は17に記載の固定ねじ(30)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2010−538706(P2010−538706A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524323(P2010−524323)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【国際出願番号】PCT/CH2007/000447
【国際公開番号】WO2009/033297
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(507205704)サンドル エ メトー ソシエテ アノニム (5)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【国際出願番号】PCT/CH2007/000447
【国際公開番号】WO2009/033297
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(507205704)サンドル エ メトー ソシエテ アノニム (5)
【Fターム(参考)】
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