パイプベンダー用の芯体
【課題】パイプの曲げ外周側における減肉不良を抑制することができるパイプベンダー用の芯体を提供する。
【解決手段】パイプベンダー用の芯体1は、パイプ孔90を形成する内壁面92を有するパイプ9を曲げ加工するとき、パイプ9のパイプ孔90にパイプの長さ方向に沿って移動され移動に伴いパイプ9の内壁面92に摺動して内壁面92を整形させる。芯体1はコマ群4をもつ。コマ群4は、パイプ9を曲げ加工する時にパイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bp側の内壁面部分92pに接触可能な第1コマ5と、パイプ9を曲げ加工時にパイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bpの内壁面部分92pに対して第1コマ5よりも接触度が低いかまたは非接触な第2コマ6とを有する。
【解決手段】パイプベンダー用の芯体1は、パイプ孔90を形成する内壁面92を有するパイプ9を曲げ加工するとき、パイプ9のパイプ孔90にパイプの長さ方向に沿って移動され移動に伴いパイプ9の内壁面92に摺動して内壁面92を整形させる。芯体1はコマ群4をもつ。コマ群4は、パイプ9を曲げ加工する時にパイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bp側の内壁面部分92pに接触可能な第1コマ5と、パイプ9を曲げ加工時にパイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bpの内壁面部分92pに対して第1コマ5よりも接触度が低いかまたは非接触な第2コマ6とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパイプベンダー用の芯体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パイプ孔を形成する内壁面を有するパイプを曲げ加工するとき、パイプのパイプ孔に挿入されるパイプベンダー用の芯体が知られている(特許文献1)。この芯体は、パイプを曲げ加工するときパイプ孔の内壁面の形状を整形するため、曲げ加工されたパイプの内壁面の形状不良を低減できる。この芯体は、パイプの長さ方向において複数個のコマを直列に連結し且つ複数個のコマがパイプの曲げ形状に沿って撓むことができるように形成されている。各コマの外壁面は、パイプを曲げ加工するとき、パイプの内壁面のうち曲げ外周側の内壁面部分に接触する外壁面部分を有する。更に各コマは、パイプを曲げ加工するとき、パイプの内壁面のうち曲げ内周側の内壁面部分に接触しないように、切欠部を有する。上記した特許文献1には、コマに切欠部が形成されているため、パイプを曲げ加工するとき、パイプの内壁面のうち曲げ内周側の内壁面部分に皺等が発生することが抑制されると記載されている。
【特許文献1】特開平7−290156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、パイプを曲げ加工するとき、一般的には、パイプの曲げ外周側はパイプの曲げ内周側よりも大きな引張力が作用する。更に、パイプの内壁面のうち曲げ外周側の内壁面部分は、コマの外壁面で強く擦られ、しごかれるため、パイプの曲げ外周の厚みは減少する傾向があり、強度確保上好ましくない。殊に、パイプの周壁の厚みが極めて薄い場合には、パイプの曲げ外周側に減肉不良が発生するおそれがある。
【0004】
上記した特許文献1の技術によれば、パイプの内壁面のうち曲げ内周側の内壁面部分に接触しないように、切欠部がコマに形成されている。このような特許文献1の技術によれば、パイプのうち引張力が作用する曲げ外周側における減肉不良を抑制することができない。
【0005】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、パイプの曲げ外周側における減肉不良を抑制することができるパイプベンダー用の芯体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るパイプベンダー用の芯体は、パイプ孔を形成する内壁面を有するパイプを曲げ加工するとき、前記パイプの前記パイプ孔に前記パイプの長さ方向に沿って移動され移動に伴い前記パイプの前記内壁面に摺動して前記内壁面を整形させるパイプベンダー用の芯体であって、前記芯体は、前記パイプを曲げ加工する時に前記パイプの前記内壁面のうち曲げ外周側の内壁面部分に接触可能な第1コマと、前記パイプを曲げ加工する時に前記パイプの前記内壁面のうち前記曲げ外周側間の内壁面部分に対して前記第1コマよりも接触度が低いかまたは非接触な第2コマとを有し、前記第1コマおよび前記第2コマを前記パイプの長さ方向において直列に連結し且つ前記パイプの曲げ形状に沿って撓むことが可能となるように形成したコマ群を備えていることを特徴とする。
【0007】
パイプを曲げ加工するとき、パイプの曲げ外周側はパイプの曲げ内周側よりも大きな引張力が作用する。ここで、コマ群の第1コマは、パイプの曲げ加工時において、パイプの内壁面のうち曲げ外周側の内壁面部分に接触し、曲げ外周側の内壁面部分の形状を整える。これに対して第2コマは、パイプの曲げ加工時に、パイプの内壁面のうち曲げ外周の内壁面部分に対して第1コマよりも接触度が低いか、または、非接触である。このためパイプの内壁面のうち曲げ外周側の内壁面部分は、第1コマの外壁面で強く擦られてしごかれるものの、第2コマの外壁面とは第1コマほどは強く擦られず、または、非接触である。
【0008】
このため本発明によれば、パイプの内壁面のうち曲げ外周側の内壁面部分がコマ群で過剰に擦られてしごかれることが抑制される。この結果、パイプの曲げ外周の厚みの過剰減少は抑制され、パイプの曲げ外周側の強度確保上好ましい。殊に、パイプの周壁の厚みが極めて薄い場合であっても、パイプの曲げ外周側に減肉不良が発生するおそれが低減される。
【0009】
芯体は、パイプを曲げ加工するときパイプのパイプ孔に挿入され、パイプの長さ方向に沿って移動され、移動に伴い、パイプの内壁面に摺動して内壁面を整形させるものである。芯体は、第1コマと第2コマとを有するコマ群を備えている。第1コマは、パイプの曲げ加工時に、パイプの内壁面のうち曲げ外周側の内壁面部分に接触可能である。第2コマは、パイプの曲げ加工時に、パイプの内壁面のうち曲げ外周の内壁面部分に対して、第1コマよりも接触度が低いかまたは非接触である。
【0010】
本発明によれば、次の態様が例示される。
【0011】
・芯体はコマ群を有する。コマ群は第1コマおよび第2コマを有する。第1コマおよび第2コマの材質としては、金属、セラミックス焼結体、硬質樹脂等が例示される。金属としては鉄系、鋼系、合金鋼系、銅合金系、アルミニウム合金系、チタン合金系、亜鉛合金系、錫合金系が例示される。セラミックス焼結体としてはアルミナ系、炭化珪素系、窒化珪素系、マグネシア系、ジルコニア系が例示される。硬質樹脂として、高強度および高靱性を有するエンジニアプラスチックが例示される。
【0012】
・第1コマは芯体の軸長方向でコマ群の一端側および他端側にそれぞれ配置されている態様が例示される。この場合、第2コマは、コマ群の一端側の第1コマと他端側の第1コマとの間に配置されている態様が例示される。この場合、コマ群の一端側には単数または複数の第1コマが配置されている態様が例示される。コマ群の他端側には単数または複数の第1コマが配置されている態様が例示される。第2コマは、コマ群の両端を形成する第1コマ間において単数または複数で配置されている態様が例示される。
【0013】
・芯体の軸長方向で第1コマおよび第2コマは、直列に交互に配置されている態様が例示される。従って、第1コマ、第2コマ、第1コマ、第2コマ…の順に配置されている態様が例示される。また第2コマ、第1コマ、第2コマ、第1コマ…の順に配置されている態様が例示される。
【0014】
・パイプの軸線に沿った断面で、コマ群の中心軸線に対して、第1コマの外壁面のうちパイプの曲げ外周側に対面する外壁面部分の寸法をD1とし、第2コマの外壁面のうちパイプの曲げ外周側に対面する外壁面部分の寸法をD2とするとき、D2はD1よりも小さく設定されている(D2<D1)態様が例示される。D2/D1としては、0.5〜0.98の範囲内、0.6〜0.95の範囲内、0.7〜0.9の範囲内が例示される。
【0015】
・コマ群の中心軸線に対して平行に投影する投影図で、第2コマの外壁面のうちパイプの曲げ外周側に対面する外壁面部分は、円弧凸形状をなしている態様が例示される。この場合、コマ群の中心軸線の回りを1周する仮想真円と第2コマの外壁面とが交差する部分を交点とするとき、交点は、パイプの径方向において、パイプの曲げ内周側の位置、パイプの曲げ外周側の位置、パイプの曲げ内周と曲げ外周との中間位置のいずれかに設定されている態様が例示される。
【0016】
・コマ群の中心軸線に対して平行に投影する投影図で、第2コマの外壁面のうちパイプの曲げ外周側に対面する外壁面部分は、直線状に延設された直線部を有している態様が例示される。直線部は機械加工が容易となる。第1コマおよび第2コマの双方は、パイプの曲げ加工時にパイプの曲げ内周側の内壁面に接触する態様が例示される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、パイプを曲げ加工した状態で、あるいは、パイプを曲げ加工しつつ、芯体をパイプのパイプ内で往復移動させれば、第1コマは、パイプの内壁面のうち曲げ外周側の内壁面部分を強く接触し、しごく。これに対して、第2コマは、パイプの内壁面のうち曲げ外周側の内壁面部分に第1コマほどは強く接触せず、または、非接触である。
【0018】
このため、パイプの内壁面のうち曲げ外周側の内壁面部分が、コマ群で過剰に擦られてしごかれることが抑制される。この結果、パイプの曲げ外周側の周壁の厚みの過剰減少は抑制される。故に、パイプの曲げ外周の強度確保上好ましい。殊に、パイプの周壁の厚みが極めて薄い場合であっても、パイプの曲げ外周側に減肉不良が発生するおそれが低減される。パイプの曲げ外周側における減肉不良を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の各実施形態について説明する。
【0020】
(実施形態1)
本発明の実施形態1について、図1〜図5を参照して説明する。パイプベンダー用の芯体1は、パイプ孔90を形成する内壁面92を有するパイプ9を曲げ加工するとき、パイプ9のパイプ孔90においてパイプ9の長さ方向に沿って往復移動される。芯体1の往復移動に伴い、芯体1は、パイプ9の内壁面92に摺動して内壁面92を整形させる。
【0021】
パイプ9は金属を母材として形成されている。金属は特に限定されず、鉄系、鋼系、アルミニウム合金、チタン合金等が例示される。パイプ9の用途は特に限定されず、車両に搭載される部品、産業機械に搭載される部品等が例示される。排気ガス流路を形成するパイプ、燃料を供給するパイプ、空気等のガスを供給するパイプ等が例示される。ここで、図1(A)(B)に示すように、パイプ9の曲げ外周側をBpとして示す。パイプ9の曲げ内周側をBiとして示す。
【0022】
図1(A)に示すように、芯体1は、剛性を有する長い連結具20を介して駆動源2に接続される。駆動源2は油圧駆動装置またはモータ駆動装置とされているが、これらに限定されるものではない。
【0023】
芯体1は、基部3と、基部3に連結されたコマ群4を備えている。コマ群4は、第1コマ5と第2コマ6とを有する。第1コマ5および第2コマ6は、パイプ9の長さ方向において直列に連結され且つパイプ9の曲げ形状に沿って撓むことが可能となるように形成されている。第1コマ5は、パイプ9を曲げ加工する時に、パイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bp側の内壁面部分92pに接触するコマである。第2コマ6は、パイプ9を曲げ加工する時に、パイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bpの内壁面部分92pに対して第1コマ5よりも接触度が低いかまたは非接触なコマである。
【0024】
換言すると、第1コマ5は、パイプ9の曲げ加工時に、パイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bp側の内壁面部分92pに強接触する。これに対して第2コマ6は、パイプ9の曲げ加工時に、パイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bpの内壁面部分92pに弱接触するか、または非接触である。
【0025】
図1(A)(B)に示すように、第1コマ5は、芯体1の軸長方向(パイプ9の長さ方向に相当する)において、コマ群4の一端側および他端側にそれぞれ配置されている。この場合、第2コマ6は、コマ群4の一端側の第1コマ5と他端側の第1コマ5との間に配置されている。
【0026】
更に説明を加える。図1(A)(B)は、パイプ9の軸線を通過するように軸線に沿った断面を示す。図1(A)に示すように、コマ群4の中心軸線N1に対して、第1コマ5の外壁面50のうちパイプ9の曲げ外周Bp側に対面する外壁面部分50pの寸法をD1とし、第2コマ6の外壁面60のうちパイプ9の曲げ外周Bp側に対面する外壁面部分60pの寸法をD2とするとき、D2はD1よりも小さく設定されている(D2<D1)。
【0027】
ここで、パイプの曲げ形状の断面の楕円化率の許容範囲内において、D2/D1は設定されることが好ましい。ここで、D2/D1としては、0.5〜0.98の範囲内、0.6〜0.95の範囲内、0.7〜0.9の範囲内が例示される。なお、楕円化率(%)は、[((長径−短径)/長径)×100]で表される。
【0028】
図4は、コマ群4の中心軸線N1に対して平行に第1コマ5を投影する投影図を示す。図4に示すように、第1コマ5の外壁面50は、コマ群4の中心軸線N1に対して円形状(真円形状)の外輪郭で形成されている。図5は、コマ群4の中心軸線N1に対して平行に第2コマ6を投影する投影図を示す。図5に示すように、第2コマ6の外壁面60の大部分は、コマ群4の中心軸線N1に対して円形状(真円形状)の外輪郭で形成されている。但し、第2コマ6の外壁面60のうちパイプ9の曲げ外周Bp側に対面する外壁面部分60pは、三日月状の切欠部69を形成するように、直線状に延設された直線部68を有する。直線部68は機械加工が容易となる。このように第2コマ6に切欠部69が形成されているため、第2コマ6の外壁面60の直線部68は、パイプ9の内壁面92に接触しにくくなる。
【0029】
図1〜図3に示すように、パイプ9の曲げ加工時に、第1コマ5および第2コマ6の双方は、パイプ9の内壁面92のうち曲げ内周Bi側の内壁面部分92iに同程度の接触力で接触する。このためパイプ9の内壁面92のうち曲げ内周Bi側の内壁面部分92iにおける整形を良好に実施できる。
【0030】
前述したように第1コマ5および第2コマ6は、パイプの長さ方向において直列に連結され且つパイプ9の曲げ形状に沿って撓むことが可能となるように形成されている。図3に示すように、基部3のうちコマ群4側には、球面状の内面71をもつ穴70が形成されている。第1コマ5には、球面状の外面76をもつ突部75と、球面状の内面71をもつ穴70とが互いに反対側に形成されている。第2コマ6には、球面状の外面76をもつ突部75と、球面状の内面71をもつ穴70とが互いに反対側に形成されている。基部3の穴70と第1コマ5の突部75とが一方向(正逆方向)に回動可能に嵌合されている。隣設する第1コマ5および第2コマ6において、穴70と突部75とが一方向(正逆方向)に回動可能に嵌合されている。これにより第1コマ5および第2コマ6は、パイプ9の長さ方向において直列に連結され且つパイプ9の曲げ形状に沿って撓むことができるように形成されている。
【0031】
なお、穴70と突部75とを嵌合させるにあたり、焼き嵌め、冷やし嵌め、圧入等が例示される。焼き嵌めでは、穴70側を加熱して拡径させた状態で、穴70と突部75とを嵌合させ、その後、穴70側を常温に冷却させる。冷やし嵌めでは、突部75側を冷却して縮径させた状態で、穴70と突部75とを嵌合させ、その後、突部75側を常温に戻す。圧入では、穴70と突部75とを強制的に嵌合させる。また、穴70を有する基部3、第1コマ5および第2コマ6をそれぞれ複数の分割体で形成し、分割体を一体的にボルト締め等で結合し、基部3、第1コマ5および第2コマ6をそれぞれ形成することにしても良い。
【0032】
第1コマ5および第2コマ6の材質としては特に限定されない。金属、セラミックス焼結体等が例示される。金属としては鉄系、鋼系、合金鋼系、銅合金系、アルミニウム合金系、チタン合金系、亜鉛合金系、錫合金系が例示される。セラミックス焼結体としてはアルミナ系、炭化珪素系、窒化珪素系、マグネシア系、ジルコニア系が例示される。
【0033】
芯体1の使用方法について説明を加える。パイプ9を曲げ加工するとき、パイプ9の曲げ外周Bp側には、パイプ9の曲げ内周Bi側よりも大きな引張力F1(図2(A)参照)が作用する。このためパイプ9の曲げ外周Bp側の周壁の厚みは、一般的には、パイプ9の曲げ内周Bi側の周壁の厚みよりも薄くなりがちである。
【0034】
まず、図1(A)に示すように、芯体1を連結具20を介して駆動源2に接続した状態とする。パイプ9の所定部位を第1クランプ具101で挟むと共に、パイプ9の他の所定部位を第2クランプ具102で挟むクランプ操作を実施する。この状態で、パイプ9のパイプ孔90に芯体1をコマ群4から所定位置まで挿入する挿入操作を実施する。なお、挿入操作を実施した後、クランプ操作を実施しても良い。挿入操作およびクランプ操作を同時に実施しても良い。
【0035】
図1(B)は、芯体1がパイプ9の曲げ予定部91に到達した状態を示す。この状態で、図2(A)に示すように、第2クランプ具102を一方向(矢印A1方向)に移動させてパイプ9の曲げ予定部91を曲げ治具99の外壁面99aに当てて曲げる。図2(A)は、パイプ9が曲げ角度θ1に曲げられている状態を示す。
【0036】
このようにパイプ9を曲げ加工するときにおいて、コマ群4の第1コマ5および第2コマ6の双方は、パイプ9の内壁面92のうち曲げ内周Bi側の内壁面部分92iに接触し、内壁面部分92iの異状変形を抑制する。更に、図2に示すように、コマ群4の第1コマ5は、パイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bp側の内壁面部分92pに接触し、曲げ外周Bp側の内壁面部分92pの異状変形を抑制する。
【0037】
これに対して第2コマ6は、図2に示すように、第1コマ5とは異なり、パイプ9の曲げ加工時に、パイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bpの内壁面部分92pに対して第1コマ5よりも接触度が低いか、または、非接触である。
【0038】
上記したようにパイプ9を曲げ加工した状態で、駆動源2を駆動させ、連結具20を介して芯体1をパイプの長さ方向に沿って所定ストロークで複数回、往復移動させる。このため、パイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bp側の内壁面部分92pは、第1コマ5の外壁面50で強く擦られ、しごかれる。これに対して、第2コマ6の外壁面60は第1コマ5ほどは曲げ外周Bp側の内壁面部分92pに強く擦られず、または、非接触である。
【0039】
このため本実施形態によれば、パイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bp側の内壁面部分92pがコマ群4で過剰に擦られることが抑制される。ひいては内壁面部分92pが過剰にしごかれることが抑制される。
【0040】
その後、パイプ9を第1クランプ具101および第2クランプ具102で挟んだ状態で、曲げ角度θ1(図2(A)参照)が増加するように、第2クランプ具102を一方向(矢印A1方向)に更に曲げる。この状態で、前述同様に、駆動源2の駆動力により芯体1をパイプの長さ方向に沿って所定ストロークで複数回、往復移動させる。このためパイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bp側の内壁面部分92pは、前述同様に、第1コマ5の外壁面50で強く擦られてしごかれる。
【0041】
これに対して、第2コマ6の外壁面60は、第1コマ5ほどは、パイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bp側の内壁面部分92pに強く擦られない。または、第2コマ6の外壁面60は内壁面部分92pに非接触である。
【0042】
更に、前述同様に曲げ角度θ1が増加するようにパイプ9を更に曲げる。この状態で、前述同様に駆動源2の駆動力によりパイプ9内の芯体1をパイプ9の長さ方向に沿って所定ストロークで複数回、往復移動させる。このためパイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bp側の内壁面部分92pは、前述同様に、第1コマ5の外壁面50で強く擦られてしごかれる。これに対して、第2コマ6の外壁面60は、第1コマ5ほどは曲げ外周Bp側の内壁面部分92pに強く擦られず、または、非接触である。上記した操作を曲げ角度θ1が所定の曲げ角度になるまで繰り返す。
【0043】
このような本実施形態によれば、パイプ9の内壁面92のうち、曲げ外周Bp側の内壁面部分92pがコマ群4で過剰に擦られることが抑制される。ひいては曲げ外周Bp側の内壁面部分92pが過剰にしごかれることが抑制される。この結果、パイプ9の曲げ外周Bpの線長において過剰の延びは抑制される、従って、従来技術では、パイプ9の曲げ外周Bp側の線長がβ1(図示せず)になるところ、線長をβ2(図示せず)に抑えることができる(β1>β2)。これにより本実施形態によれば、パイプ9の曲げ外周Bp側の周壁の厚みの過剰減少は、抑制される。殊に、パイプ9の周壁の厚みが0.5ミリメートル以下と極めて薄い場合であっても、パイプ9の曲げ外周Bp側の周壁に減肉不良が発生するおそれが低減される。
【0044】
(実施形態2)
図6は実施形態2を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。図6は、コマ群4の中心軸線N1に対して平行に第2コマ6を投影する投影図を示す。図6に示すように、第2コマ6の外壁面60のうち、パイプ9の曲げ外周Bp側に対面する外壁面部分60pは、円弧凸形状をなしている。
【0045】
この場合、図6に示すように、コマ群4の中心軸線N1の回りを1周する仮想真円60kと第2コマ6の外壁面60とが交差する部分を交点60xとするとき、交点60xは、パイプ9の径方向(矢印R方向)において、パイプ9の曲げ外周Bp側の位置に配置されている。この場合、図6から理解できるように、第2コマ6の中央部の切欠量Kcを確保できるが、第2コマ6の端部の切欠量Keは少なくされている。なお、本実施形態に係る第2コマ6は、図5に示す実施形態1の場合よりも、パイプ9の内壁面92に対する接触度が低い。
【0046】
(実施形態3)
図7は実施形態3を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。図7は、コマ群4の中心軸線N1に対して平行に第2コマ6を投影する投影図を示す。図7に示すように、第2コマ6の外壁面60のうち、パイプ9の曲げ外周Bp側に対面する外壁面部分60pは、円弧凸形状をなしている。
【0047】
この場合、コマ群4の中心軸線N1の回りを1周する仮想真円60kと外壁面60とが交差する部分を交点60xとするとき、交点60xは、パイプ9の径方向(矢印R方向)において、パイプ9の曲げ内周Bi側の位置に設定されている。この場合、図7に示すように、第2コマ6の中央部の切欠量Kcを確保できると共に、第2コマ6の端部の切欠量Keも確保できる。このため第2コマ6の外壁面60は、パイプ9の内壁面92のうち曲げ内周Bi側の内壁面部分92iに摺動できるものの、第2コマ6の外壁面60は、パイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bp側の内壁面部分92pに非接触となり易い。なお、本実施形態に係る第2コマ6は、図6に示す実施形態2の場合よりも、パイプ9の内壁面92に対する接触度が低い。
【0048】
(実施形態4)
図8は実施形態4を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。図8は、コマ群4の中心軸線N1に対して平行に第2コマ6を投影する投影図を示す。図8に示すように、第2コマ6の外壁面60のうちパイプ9の曲げ外周Bp側に対面する外壁面部分60pは、円弧凸形状をなしている。この場合、コマ群4の中心軸線N1の回りを1周する仮想真円60kと外壁面60とが交差する部分を交点60xとするとき、交点60xは、パイプ9の径方向(矢印R方向)において、パイプ9の曲げ内周Biと曲げ外周Bpとの中間位置に設定されている。
【0049】
(実施形態5)
図9は実施形態5を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。芯体1の軸長方向において、第1コマ5および第2コマ6は、直列に交互に配置されている。従って、基部3側から、第1コマ5、第2コマ6、第1コマ5、第2コマ6、第1コマ5の順に配置されて連結されている。本実施形態においても、パイプ9の曲げ外周Bp側の周壁の厚みが過剰減少することが抑制される。
【0050】
(実施形態6)
図10は実施形態6を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。図10に示すように、突部75が穴70に対して一方向(正逆方向)に回動可能に嵌合されている。但し、突部75には係合突起75rが形成されている。穴70には、係合突起75rが移動可能な空間70rが形成されている。第2コマ6の周方向(矢印SA方向)において、係合突起75rが過剰に移動すると、空間70rのストッパ70sに係合する。これにより第2コマ6がこれの周方向(矢印SA方向)に軸線N1回りで過剰に回動することが抑制されている。従って直線部68が曲げ外周Bp側から曲げ内周Bi側に移動することが抑制されている。
【0051】
(実施形態7)
図11は実施形態7を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。実施形態1に対して、穴70および突部75の関係が逆とされている。すなわち、図11に示すように、基部3のうちコマ群4側には、球面状の外面76をもつ突部75が形成されている。第1コマ5には、球面状の内面71をもつ穴70と、球面状の外面76をもつ突部75とが互いに反対側に形成されている。第2コマ6には、球面状の内面71をもつ穴70と、球面状の外面76をもつ突部75とが互いに反対側に形成されている。第1コマ5の穴70と基部3の突部75とが一方向(正逆方向)に回動可能に嵌合されている。隣設する第1コマ5および第2コマ6において、穴70と突部75とが一方向(正逆方向)に回動可能に嵌合されている。これにより第1コマ5および第2コマ6は、パイプ9の長さ方向において直列に連結され且つパイプ9の曲げ形状に沿って撓むことが可能となるように形成されている。
【0052】
(実施形態8)
図12は実施形態8を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。図12に示すように、芯体1は基部3とコマ群4とを備えている。コマ群4は第1コマ5および第2コマ6Bを直列に交互に配置して形成されている。従って、基部3側から、第1コマ5、第2コマ6B、第2コマ6B、第1コマ5の順に配置されて連結されている。第2コマ6Bは、コマ本体600と、弾性変形可能な弾性層601を介してコマ本体に接合された付属体602とで形成されている。弾性層601は樹脂またはゴムで形成されており、熱硬化性でも、熱可塑性でも良い。
【0053】
第1コマ5は、パイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bp側の内壁面部分92pに接触し、曲げ外周Bp側の内壁面部分92pの形状を整える。これに対して第2コマ6Bにおいては、パイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bpの内壁面部分92pに対して第1コマ5よりも接触度が低い。弾性層601が弾性変形可能であるためである。
【0054】
(実施形態9)
図13および図14は実施形態9を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。図13に示すように、芯体1は基部を備えておらず、コマ群4Cを備えている。コマ群4Cは、第1コマ5Cおよび第2コマ6Cをパイプ9の長さ方向において直列に連結し且つパイプ9の曲げ形状に沿って撓むことが可能となるように形成されている。第1コマ5Cは、第1コマ5Cの中央に配置された第1回動部531と、第1回動部531から半径方向の外方に延設された第1腕部532と、第1腕部532に連設された第1リング体533とを有する。第1リング体533の外壁面は真円形状をなす。第2コマ6Cは、第2コマ6Cの中央に配置された第2回動部631と、第2回動部631から半径方向の外方に延設された第2腕部632と、第2腕部632に連設された第2リング体633とを有する。
【0055】
第1回動部531の通孔535、第2回動部631の通孔635には、それぞれ回動ピン540が嵌合されている。第1回動部531および第2回動部631は、あたかもチェーンのように回動ピン540を回動支点として、互いに回動可能とされている。ひいては第1コマ5Cおよび第2コマ6Cは、互いに回動可能とされている。このように一方向に延びる回動ピン540を回動支点として、第1コマ5Cおよび第2コマ6Cは互いに回動可能とされている。このため、第1リング体533および第2リング体633は、これらの周方向(矢印SA方向)への相対移動は抑制されている。従って、第1リング体533および第2リング体633が曲げ内周Biから曲げ外周Bpに矢印SA方向に回動することは、抑制されている。
【0056】
図14(B)に示すように、第2リング体633は、ほぼ三日月状をなす切欠部69を有する。この切欠部69は、パイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bp側の内壁面部分92pに対面するものの、内壁面部分92pに対する接触力を弱める。
【0057】
図13に示すように、第1回動部531および第2回動部631が一直線状とされているとき、第1回動部531および第2回動部631の中心軸線N1に対して、第1コマ5Cの外壁面50のうちパイプ9の曲げ外周Bp側に対面する外壁面部分50pの寸法をD1とする。更に、第2コマ6Cの外壁面60のうちパイプ9の曲げ外周Bp側に対面する外壁面部分60pの寸法をD2とする。このとき、D2はD1よりも小さく設定されている(D2<D1)。ここで、D2/D1としては、0.5〜0.98の範囲内、0.6〜0.95の範囲内、0.7〜0.9の範囲内が例示される。但しこれに限定されるものではない。
【0058】
コマ群4の第1コマ5Cは、前記した実施形態と同様に、パイプ9の曲げ外周Bp側の内壁面部分92pに接触し、内壁面部分92pの形状を整える。これに対して第2コマ6Cは、パイプ9の曲げ外周Bpの内壁面部分92pに対して第1コマ5Cよりも接触度が低いか、または、非接触である。
【0059】
このためパイプ9の曲げ外周Bp側の内壁面部分92pがコマ群4Cで過剰に擦られてしごかれることが抑制される。この結果、パイプ9の曲げ外周Bpの周壁の厚みが過剰に減少することは、抑制される。パイプ9の曲げ外周Bpの強度確保上好ましい。殊に、パイプ9の周壁の厚みが極めて薄い場合であっても、パイプ9の曲げ外周Bp側に減肉不良が発生するおそれが低減される。
【0060】
(適用形態1)
図15は適用形態1を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。図15に示すように、内燃機関と共に車両等に搭載される排気ガス排出用のマニホルド700に適用している。マニホルド700は、曲成パイプ710をマニホルド本体701にこれの開口702から差し込み、溶接等の組付手段で組み付けて形成されている。曲成パイプ710は、金属製の外パイプ711と、外パイプ711との間に断熱空間712を形成するように外パイプ711内にほぼ同軸的に挿入された金属製の内パイプ713とを備えている。
【0061】
内パイプ713のパイプ孔714を通過する排気ガスの伝熱量を低減させるため、内パイプ713の肉厚は、外パイプ711の肉厚よりも薄く設定されており、例えば0.2〜2ミリメートル、0.4〜1ミリメートルに設定されている。このため曲げ加工して内パイプ713を形成する場合、内パイプ713の周壁のうち引張応力が作用する曲げ外周側では、曲成度合が高いときには、過剰減肉や欠損が発生するおそれがある。そこで上記した実施形態に係る芯体1を用いれば、内パイプ713の曲げ外周側の過剰減肉を抑制できる。
【0062】
(適用形態2)
図16は適用形態2を示す。曲成パイプ810(エキゾーストパイプ)を三元触媒コンバータ801(浄化装置本体)に組み付けて触媒コンバータ装置800(排気ガス浄化装置)を形成する。曲成パイプ810は、曲げ角度が40度以上と大きな曲成部812を有すると共に、メインマフラーおよびサブマフラーに繋がる。
【0063】
(その他)
本発明は上記し且つ図面に示した実施形態および適用形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
【0064】
(付記項1)パイプ孔を形成する内壁面を有するパイプを曲げ加工するパイプベンダーであって、前記パイプの所定部位を挟持するクランプ具と、パイプの曲げ予定部が当接されて曲げ予定部を曲げる曲げ治具と、前記パイプ孔に前記パイプの長さ方向に沿って移動され移動に伴い前記パイプの前記内壁面に摺動して前記内壁面を整形させる芯体とを具備しており、前記芯体は、前記パイプの曲げ加工時に前記パイプの前記内壁面のうち曲げ外周側の内壁面部分に接触可能な第1コマと、前記パイプの曲げ加工時に前記パイプの前記内壁面のうち前記曲げ外周側の内壁面部分に対して前記第1コマよりも接触度が低いかまたは非接触な前記第2コマとを有し、前記第1コマおよび前記第2コマを前記パイプの長さ方向において直列に且つ互いに回動可能に構成されたコマ群を備えていることを特徴とするパイプベンダー。この場合、パイプの内壁面のうち曲げ外周側の内壁面部分が、コマ群で過剰に擦られてしごかれることが抑制される。この結果、パイプの曲げ外周側の周壁の厚みの過剰減少は抑制される。故に、パイプの曲げ外周の強度確保上好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明はパイプを曲げ加工するときに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】(A)は芯体をパイプのパイプ孔に挿入している状態を示す断面図であり、(B)は芯体をパイプのパイプ孔の曲げ予定部に挿入した状態を示す断面図である。
【図2】(A)は芯体をパイプのパイプ孔の曲げ予定部に挿入した状態で、パイプを曲げ加工している状態を示す断面図であり、(B)は曲げ加工したパイプ内で芯体を移動させている状態を示す断面図である。
【図3】曲げ加工したパイプ内で芯体を移動させている状態を示す断面図である。
【図4】コマ群の中心軸線に対して平行に第1コマを投影している投影図である。
【図5】コマ群の中心軸線に対して平行に第2コマを投影している投影図である。
【図6】実施形態2に係り、コマ群の中心軸線に対して平行に第2コマを投影している投影図である。
【図7】実施形態3に係り、コマ群の中心軸線に対して平行に第2コマを投影している投影図である。
【図8】実施形態4に係り、コマ群の中心軸線に対して平行に第2コマを投影している投影図である。
【図9】実施形態5に係り、曲げ加工したパイプ内で芯体を移動させている状態を示す断面図である。
【図10】実施形態6に係り、第2コマの内部構造を示す構成図である。
【図11】実施形態7に係り、芯体の断面図である。
【図12】曲げ加工したパイプ内で芯体を移動させている状態を示す断面図である。
【図13】実施形態8に係り、芯体の断面図である。
【図14】(A)は第1コマを示す断面図であり、(B)は第2コマを示す断面図である。
【図15】適用形態1に係る斜視図である。
【図16】適用形態2に係る斜視図である。
【符号の説明】
【0067】
1は芯体、2は駆動源、3は基部、4はコマ群、5は第1コマ、50は外壁面、6は第2コマ、60は外壁面、60xは交点、69は切欠部、9はパイプ、90はパイプ孔、92は内壁面、Bpは曲げ外周、Biは曲げ内周を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明はパイプベンダー用の芯体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パイプ孔を形成する内壁面を有するパイプを曲げ加工するとき、パイプのパイプ孔に挿入されるパイプベンダー用の芯体が知られている(特許文献1)。この芯体は、パイプを曲げ加工するときパイプ孔の内壁面の形状を整形するため、曲げ加工されたパイプの内壁面の形状不良を低減できる。この芯体は、パイプの長さ方向において複数個のコマを直列に連結し且つ複数個のコマがパイプの曲げ形状に沿って撓むことができるように形成されている。各コマの外壁面は、パイプを曲げ加工するとき、パイプの内壁面のうち曲げ外周側の内壁面部分に接触する外壁面部分を有する。更に各コマは、パイプを曲げ加工するとき、パイプの内壁面のうち曲げ内周側の内壁面部分に接触しないように、切欠部を有する。上記した特許文献1には、コマに切欠部が形成されているため、パイプを曲げ加工するとき、パイプの内壁面のうち曲げ内周側の内壁面部分に皺等が発生することが抑制されると記載されている。
【特許文献1】特開平7−290156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、パイプを曲げ加工するとき、一般的には、パイプの曲げ外周側はパイプの曲げ内周側よりも大きな引張力が作用する。更に、パイプの内壁面のうち曲げ外周側の内壁面部分は、コマの外壁面で強く擦られ、しごかれるため、パイプの曲げ外周の厚みは減少する傾向があり、強度確保上好ましくない。殊に、パイプの周壁の厚みが極めて薄い場合には、パイプの曲げ外周側に減肉不良が発生するおそれがある。
【0004】
上記した特許文献1の技術によれば、パイプの内壁面のうち曲げ内周側の内壁面部分に接触しないように、切欠部がコマに形成されている。このような特許文献1の技術によれば、パイプのうち引張力が作用する曲げ外周側における減肉不良を抑制することができない。
【0005】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、パイプの曲げ外周側における減肉不良を抑制することができるパイプベンダー用の芯体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るパイプベンダー用の芯体は、パイプ孔を形成する内壁面を有するパイプを曲げ加工するとき、前記パイプの前記パイプ孔に前記パイプの長さ方向に沿って移動され移動に伴い前記パイプの前記内壁面に摺動して前記内壁面を整形させるパイプベンダー用の芯体であって、前記芯体は、前記パイプを曲げ加工する時に前記パイプの前記内壁面のうち曲げ外周側の内壁面部分に接触可能な第1コマと、前記パイプを曲げ加工する時に前記パイプの前記内壁面のうち前記曲げ外周側間の内壁面部分に対して前記第1コマよりも接触度が低いかまたは非接触な第2コマとを有し、前記第1コマおよび前記第2コマを前記パイプの長さ方向において直列に連結し且つ前記パイプの曲げ形状に沿って撓むことが可能となるように形成したコマ群を備えていることを特徴とする。
【0007】
パイプを曲げ加工するとき、パイプの曲げ外周側はパイプの曲げ内周側よりも大きな引張力が作用する。ここで、コマ群の第1コマは、パイプの曲げ加工時において、パイプの内壁面のうち曲げ外周側の内壁面部分に接触し、曲げ外周側の内壁面部分の形状を整える。これに対して第2コマは、パイプの曲げ加工時に、パイプの内壁面のうち曲げ外周の内壁面部分に対して第1コマよりも接触度が低いか、または、非接触である。このためパイプの内壁面のうち曲げ外周側の内壁面部分は、第1コマの外壁面で強く擦られてしごかれるものの、第2コマの外壁面とは第1コマほどは強く擦られず、または、非接触である。
【0008】
このため本発明によれば、パイプの内壁面のうち曲げ外周側の内壁面部分がコマ群で過剰に擦られてしごかれることが抑制される。この結果、パイプの曲げ外周の厚みの過剰減少は抑制され、パイプの曲げ外周側の強度確保上好ましい。殊に、パイプの周壁の厚みが極めて薄い場合であっても、パイプの曲げ外周側に減肉不良が発生するおそれが低減される。
【0009】
芯体は、パイプを曲げ加工するときパイプのパイプ孔に挿入され、パイプの長さ方向に沿って移動され、移動に伴い、パイプの内壁面に摺動して内壁面を整形させるものである。芯体は、第1コマと第2コマとを有するコマ群を備えている。第1コマは、パイプの曲げ加工時に、パイプの内壁面のうち曲げ外周側の内壁面部分に接触可能である。第2コマは、パイプの曲げ加工時に、パイプの内壁面のうち曲げ外周の内壁面部分に対して、第1コマよりも接触度が低いかまたは非接触である。
【0010】
本発明によれば、次の態様が例示される。
【0011】
・芯体はコマ群を有する。コマ群は第1コマおよび第2コマを有する。第1コマおよび第2コマの材質としては、金属、セラミックス焼結体、硬質樹脂等が例示される。金属としては鉄系、鋼系、合金鋼系、銅合金系、アルミニウム合金系、チタン合金系、亜鉛合金系、錫合金系が例示される。セラミックス焼結体としてはアルミナ系、炭化珪素系、窒化珪素系、マグネシア系、ジルコニア系が例示される。硬質樹脂として、高強度および高靱性を有するエンジニアプラスチックが例示される。
【0012】
・第1コマは芯体の軸長方向でコマ群の一端側および他端側にそれぞれ配置されている態様が例示される。この場合、第2コマは、コマ群の一端側の第1コマと他端側の第1コマとの間に配置されている態様が例示される。この場合、コマ群の一端側には単数または複数の第1コマが配置されている態様が例示される。コマ群の他端側には単数または複数の第1コマが配置されている態様が例示される。第2コマは、コマ群の両端を形成する第1コマ間において単数または複数で配置されている態様が例示される。
【0013】
・芯体の軸長方向で第1コマおよび第2コマは、直列に交互に配置されている態様が例示される。従って、第1コマ、第2コマ、第1コマ、第2コマ…の順に配置されている態様が例示される。また第2コマ、第1コマ、第2コマ、第1コマ…の順に配置されている態様が例示される。
【0014】
・パイプの軸線に沿った断面で、コマ群の中心軸線に対して、第1コマの外壁面のうちパイプの曲げ外周側に対面する外壁面部分の寸法をD1とし、第2コマの外壁面のうちパイプの曲げ外周側に対面する外壁面部分の寸法をD2とするとき、D2はD1よりも小さく設定されている(D2<D1)態様が例示される。D2/D1としては、0.5〜0.98の範囲内、0.6〜0.95の範囲内、0.7〜0.9の範囲内が例示される。
【0015】
・コマ群の中心軸線に対して平行に投影する投影図で、第2コマの外壁面のうちパイプの曲げ外周側に対面する外壁面部分は、円弧凸形状をなしている態様が例示される。この場合、コマ群の中心軸線の回りを1周する仮想真円と第2コマの外壁面とが交差する部分を交点とするとき、交点は、パイプの径方向において、パイプの曲げ内周側の位置、パイプの曲げ外周側の位置、パイプの曲げ内周と曲げ外周との中間位置のいずれかに設定されている態様が例示される。
【0016】
・コマ群の中心軸線に対して平行に投影する投影図で、第2コマの外壁面のうちパイプの曲げ外周側に対面する外壁面部分は、直線状に延設された直線部を有している態様が例示される。直線部は機械加工が容易となる。第1コマおよび第2コマの双方は、パイプの曲げ加工時にパイプの曲げ内周側の内壁面に接触する態様が例示される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、パイプを曲げ加工した状態で、あるいは、パイプを曲げ加工しつつ、芯体をパイプのパイプ内で往復移動させれば、第1コマは、パイプの内壁面のうち曲げ外周側の内壁面部分を強く接触し、しごく。これに対して、第2コマは、パイプの内壁面のうち曲げ外周側の内壁面部分に第1コマほどは強く接触せず、または、非接触である。
【0018】
このため、パイプの内壁面のうち曲げ外周側の内壁面部分が、コマ群で過剰に擦られてしごかれることが抑制される。この結果、パイプの曲げ外周側の周壁の厚みの過剰減少は抑制される。故に、パイプの曲げ外周の強度確保上好ましい。殊に、パイプの周壁の厚みが極めて薄い場合であっても、パイプの曲げ外周側に減肉不良が発生するおそれが低減される。パイプの曲げ外周側における減肉不良を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の各実施形態について説明する。
【0020】
(実施形態1)
本発明の実施形態1について、図1〜図5を参照して説明する。パイプベンダー用の芯体1は、パイプ孔90を形成する内壁面92を有するパイプ9を曲げ加工するとき、パイプ9のパイプ孔90においてパイプ9の長さ方向に沿って往復移動される。芯体1の往復移動に伴い、芯体1は、パイプ9の内壁面92に摺動して内壁面92を整形させる。
【0021】
パイプ9は金属を母材として形成されている。金属は特に限定されず、鉄系、鋼系、アルミニウム合金、チタン合金等が例示される。パイプ9の用途は特に限定されず、車両に搭載される部品、産業機械に搭載される部品等が例示される。排気ガス流路を形成するパイプ、燃料を供給するパイプ、空気等のガスを供給するパイプ等が例示される。ここで、図1(A)(B)に示すように、パイプ9の曲げ外周側をBpとして示す。パイプ9の曲げ内周側をBiとして示す。
【0022】
図1(A)に示すように、芯体1は、剛性を有する長い連結具20を介して駆動源2に接続される。駆動源2は油圧駆動装置またはモータ駆動装置とされているが、これらに限定されるものではない。
【0023】
芯体1は、基部3と、基部3に連結されたコマ群4を備えている。コマ群4は、第1コマ5と第2コマ6とを有する。第1コマ5および第2コマ6は、パイプ9の長さ方向において直列に連結され且つパイプ9の曲げ形状に沿って撓むことが可能となるように形成されている。第1コマ5は、パイプ9を曲げ加工する時に、パイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bp側の内壁面部分92pに接触するコマである。第2コマ6は、パイプ9を曲げ加工する時に、パイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bpの内壁面部分92pに対して第1コマ5よりも接触度が低いかまたは非接触なコマである。
【0024】
換言すると、第1コマ5は、パイプ9の曲げ加工時に、パイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bp側の内壁面部分92pに強接触する。これに対して第2コマ6は、パイプ9の曲げ加工時に、パイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bpの内壁面部分92pに弱接触するか、または非接触である。
【0025】
図1(A)(B)に示すように、第1コマ5は、芯体1の軸長方向(パイプ9の長さ方向に相当する)において、コマ群4の一端側および他端側にそれぞれ配置されている。この場合、第2コマ6は、コマ群4の一端側の第1コマ5と他端側の第1コマ5との間に配置されている。
【0026】
更に説明を加える。図1(A)(B)は、パイプ9の軸線を通過するように軸線に沿った断面を示す。図1(A)に示すように、コマ群4の中心軸線N1に対して、第1コマ5の外壁面50のうちパイプ9の曲げ外周Bp側に対面する外壁面部分50pの寸法をD1とし、第2コマ6の外壁面60のうちパイプ9の曲げ外周Bp側に対面する外壁面部分60pの寸法をD2とするとき、D2はD1よりも小さく設定されている(D2<D1)。
【0027】
ここで、パイプの曲げ形状の断面の楕円化率の許容範囲内において、D2/D1は設定されることが好ましい。ここで、D2/D1としては、0.5〜0.98の範囲内、0.6〜0.95の範囲内、0.7〜0.9の範囲内が例示される。なお、楕円化率(%)は、[((長径−短径)/長径)×100]で表される。
【0028】
図4は、コマ群4の中心軸線N1に対して平行に第1コマ5を投影する投影図を示す。図4に示すように、第1コマ5の外壁面50は、コマ群4の中心軸線N1に対して円形状(真円形状)の外輪郭で形成されている。図5は、コマ群4の中心軸線N1に対して平行に第2コマ6を投影する投影図を示す。図5に示すように、第2コマ6の外壁面60の大部分は、コマ群4の中心軸線N1に対して円形状(真円形状)の外輪郭で形成されている。但し、第2コマ6の外壁面60のうちパイプ9の曲げ外周Bp側に対面する外壁面部分60pは、三日月状の切欠部69を形成するように、直線状に延設された直線部68を有する。直線部68は機械加工が容易となる。このように第2コマ6に切欠部69が形成されているため、第2コマ6の外壁面60の直線部68は、パイプ9の内壁面92に接触しにくくなる。
【0029】
図1〜図3に示すように、パイプ9の曲げ加工時に、第1コマ5および第2コマ6の双方は、パイプ9の内壁面92のうち曲げ内周Bi側の内壁面部分92iに同程度の接触力で接触する。このためパイプ9の内壁面92のうち曲げ内周Bi側の内壁面部分92iにおける整形を良好に実施できる。
【0030】
前述したように第1コマ5および第2コマ6は、パイプの長さ方向において直列に連結され且つパイプ9の曲げ形状に沿って撓むことが可能となるように形成されている。図3に示すように、基部3のうちコマ群4側には、球面状の内面71をもつ穴70が形成されている。第1コマ5には、球面状の外面76をもつ突部75と、球面状の内面71をもつ穴70とが互いに反対側に形成されている。第2コマ6には、球面状の外面76をもつ突部75と、球面状の内面71をもつ穴70とが互いに反対側に形成されている。基部3の穴70と第1コマ5の突部75とが一方向(正逆方向)に回動可能に嵌合されている。隣設する第1コマ5および第2コマ6において、穴70と突部75とが一方向(正逆方向)に回動可能に嵌合されている。これにより第1コマ5および第2コマ6は、パイプ9の長さ方向において直列に連結され且つパイプ9の曲げ形状に沿って撓むことができるように形成されている。
【0031】
なお、穴70と突部75とを嵌合させるにあたり、焼き嵌め、冷やし嵌め、圧入等が例示される。焼き嵌めでは、穴70側を加熱して拡径させた状態で、穴70と突部75とを嵌合させ、その後、穴70側を常温に冷却させる。冷やし嵌めでは、突部75側を冷却して縮径させた状態で、穴70と突部75とを嵌合させ、その後、突部75側を常温に戻す。圧入では、穴70と突部75とを強制的に嵌合させる。また、穴70を有する基部3、第1コマ5および第2コマ6をそれぞれ複数の分割体で形成し、分割体を一体的にボルト締め等で結合し、基部3、第1コマ5および第2コマ6をそれぞれ形成することにしても良い。
【0032】
第1コマ5および第2コマ6の材質としては特に限定されない。金属、セラミックス焼結体等が例示される。金属としては鉄系、鋼系、合金鋼系、銅合金系、アルミニウム合金系、チタン合金系、亜鉛合金系、錫合金系が例示される。セラミックス焼結体としてはアルミナ系、炭化珪素系、窒化珪素系、マグネシア系、ジルコニア系が例示される。
【0033】
芯体1の使用方法について説明を加える。パイプ9を曲げ加工するとき、パイプ9の曲げ外周Bp側には、パイプ9の曲げ内周Bi側よりも大きな引張力F1(図2(A)参照)が作用する。このためパイプ9の曲げ外周Bp側の周壁の厚みは、一般的には、パイプ9の曲げ内周Bi側の周壁の厚みよりも薄くなりがちである。
【0034】
まず、図1(A)に示すように、芯体1を連結具20を介して駆動源2に接続した状態とする。パイプ9の所定部位を第1クランプ具101で挟むと共に、パイプ9の他の所定部位を第2クランプ具102で挟むクランプ操作を実施する。この状態で、パイプ9のパイプ孔90に芯体1をコマ群4から所定位置まで挿入する挿入操作を実施する。なお、挿入操作を実施した後、クランプ操作を実施しても良い。挿入操作およびクランプ操作を同時に実施しても良い。
【0035】
図1(B)は、芯体1がパイプ9の曲げ予定部91に到達した状態を示す。この状態で、図2(A)に示すように、第2クランプ具102を一方向(矢印A1方向)に移動させてパイプ9の曲げ予定部91を曲げ治具99の外壁面99aに当てて曲げる。図2(A)は、パイプ9が曲げ角度θ1に曲げられている状態を示す。
【0036】
このようにパイプ9を曲げ加工するときにおいて、コマ群4の第1コマ5および第2コマ6の双方は、パイプ9の内壁面92のうち曲げ内周Bi側の内壁面部分92iに接触し、内壁面部分92iの異状変形を抑制する。更に、図2に示すように、コマ群4の第1コマ5は、パイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bp側の内壁面部分92pに接触し、曲げ外周Bp側の内壁面部分92pの異状変形を抑制する。
【0037】
これに対して第2コマ6は、図2に示すように、第1コマ5とは異なり、パイプ9の曲げ加工時に、パイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bpの内壁面部分92pに対して第1コマ5よりも接触度が低いか、または、非接触である。
【0038】
上記したようにパイプ9を曲げ加工した状態で、駆動源2を駆動させ、連結具20を介して芯体1をパイプの長さ方向に沿って所定ストロークで複数回、往復移動させる。このため、パイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bp側の内壁面部分92pは、第1コマ5の外壁面50で強く擦られ、しごかれる。これに対して、第2コマ6の外壁面60は第1コマ5ほどは曲げ外周Bp側の内壁面部分92pに強く擦られず、または、非接触である。
【0039】
このため本実施形態によれば、パイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bp側の内壁面部分92pがコマ群4で過剰に擦られることが抑制される。ひいては内壁面部分92pが過剰にしごかれることが抑制される。
【0040】
その後、パイプ9を第1クランプ具101および第2クランプ具102で挟んだ状態で、曲げ角度θ1(図2(A)参照)が増加するように、第2クランプ具102を一方向(矢印A1方向)に更に曲げる。この状態で、前述同様に、駆動源2の駆動力により芯体1をパイプの長さ方向に沿って所定ストロークで複数回、往復移動させる。このためパイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bp側の内壁面部分92pは、前述同様に、第1コマ5の外壁面50で強く擦られてしごかれる。
【0041】
これに対して、第2コマ6の外壁面60は、第1コマ5ほどは、パイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bp側の内壁面部分92pに強く擦られない。または、第2コマ6の外壁面60は内壁面部分92pに非接触である。
【0042】
更に、前述同様に曲げ角度θ1が増加するようにパイプ9を更に曲げる。この状態で、前述同様に駆動源2の駆動力によりパイプ9内の芯体1をパイプ9の長さ方向に沿って所定ストロークで複数回、往復移動させる。このためパイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bp側の内壁面部分92pは、前述同様に、第1コマ5の外壁面50で強く擦られてしごかれる。これに対して、第2コマ6の外壁面60は、第1コマ5ほどは曲げ外周Bp側の内壁面部分92pに強く擦られず、または、非接触である。上記した操作を曲げ角度θ1が所定の曲げ角度になるまで繰り返す。
【0043】
このような本実施形態によれば、パイプ9の内壁面92のうち、曲げ外周Bp側の内壁面部分92pがコマ群4で過剰に擦られることが抑制される。ひいては曲げ外周Bp側の内壁面部分92pが過剰にしごかれることが抑制される。この結果、パイプ9の曲げ外周Bpの線長において過剰の延びは抑制される、従って、従来技術では、パイプ9の曲げ外周Bp側の線長がβ1(図示せず)になるところ、線長をβ2(図示せず)に抑えることができる(β1>β2)。これにより本実施形態によれば、パイプ9の曲げ外周Bp側の周壁の厚みの過剰減少は、抑制される。殊に、パイプ9の周壁の厚みが0.5ミリメートル以下と極めて薄い場合であっても、パイプ9の曲げ外周Bp側の周壁に減肉不良が発生するおそれが低減される。
【0044】
(実施形態2)
図6は実施形態2を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。図6は、コマ群4の中心軸線N1に対して平行に第2コマ6を投影する投影図を示す。図6に示すように、第2コマ6の外壁面60のうち、パイプ9の曲げ外周Bp側に対面する外壁面部分60pは、円弧凸形状をなしている。
【0045】
この場合、図6に示すように、コマ群4の中心軸線N1の回りを1周する仮想真円60kと第2コマ6の外壁面60とが交差する部分を交点60xとするとき、交点60xは、パイプ9の径方向(矢印R方向)において、パイプ9の曲げ外周Bp側の位置に配置されている。この場合、図6から理解できるように、第2コマ6の中央部の切欠量Kcを確保できるが、第2コマ6の端部の切欠量Keは少なくされている。なお、本実施形態に係る第2コマ6は、図5に示す実施形態1の場合よりも、パイプ9の内壁面92に対する接触度が低い。
【0046】
(実施形態3)
図7は実施形態3を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。図7は、コマ群4の中心軸線N1に対して平行に第2コマ6を投影する投影図を示す。図7に示すように、第2コマ6の外壁面60のうち、パイプ9の曲げ外周Bp側に対面する外壁面部分60pは、円弧凸形状をなしている。
【0047】
この場合、コマ群4の中心軸線N1の回りを1周する仮想真円60kと外壁面60とが交差する部分を交点60xとするとき、交点60xは、パイプ9の径方向(矢印R方向)において、パイプ9の曲げ内周Bi側の位置に設定されている。この場合、図7に示すように、第2コマ6の中央部の切欠量Kcを確保できると共に、第2コマ6の端部の切欠量Keも確保できる。このため第2コマ6の外壁面60は、パイプ9の内壁面92のうち曲げ内周Bi側の内壁面部分92iに摺動できるものの、第2コマ6の外壁面60は、パイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bp側の内壁面部分92pに非接触となり易い。なお、本実施形態に係る第2コマ6は、図6に示す実施形態2の場合よりも、パイプ9の内壁面92に対する接触度が低い。
【0048】
(実施形態4)
図8は実施形態4を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。図8は、コマ群4の中心軸線N1に対して平行に第2コマ6を投影する投影図を示す。図8に示すように、第2コマ6の外壁面60のうちパイプ9の曲げ外周Bp側に対面する外壁面部分60pは、円弧凸形状をなしている。この場合、コマ群4の中心軸線N1の回りを1周する仮想真円60kと外壁面60とが交差する部分を交点60xとするとき、交点60xは、パイプ9の径方向(矢印R方向)において、パイプ9の曲げ内周Biと曲げ外周Bpとの中間位置に設定されている。
【0049】
(実施形態5)
図9は実施形態5を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。芯体1の軸長方向において、第1コマ5および第2コマ6は、直列に交互に配置されている。従って、基部3側から、第1コマ5、第2コマ6、第1コマ5、第2コマ6、第1コマ5の順に配置されて連結されている。本実施形態においても、パイプ9の曲げ外周Bp側の周壁の厚みが過剰減少することが抑制される。
【0050】
(実施形態6)
図10は実施形態6を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。図10に示すように、突部75が穴70に対して一方向(正逆方向)に回動可能に嵌合されている。但し、突部75には係合突起75rが形成されている。穴70には、係合突起75rが移動可能な空間70rが形成されている。第2コマ6の周方向(矢印SA方向)において、係合突起75rが過剰に移動すると、空間70rのストッパ70sに係合する。これにより第2コマ6がこれの周方向(矢印SA方向)に軸線N1回りで過剰に回動することが抑制されている。従って直線部68が曲げ外周Bp側から曲げ内周Bi側に移動することが抑制されている。
【0051】
(実施形態7)
図11は実施形態7を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。実施形態1に対して、穴70および突部75の関係が逆とされている。すなわち、図11に示すように、基部3のうちコマ群4側には、球面状の外面76をもつ突部75が形成されている。第1コマ5には、球面状の内面71をもつ穴70と、球面状の外面76をもつ突部75とが互いに反対側に形成されている。第2コマ6には、球面状の内面71をもつ穴70と、球面状の外面76をもつ突部75とが互いに反対側に形成されている。第1コマ5の穴70と基部3の突部75とが一方向(正逆方向)に回動可能に嵌合されている。隣設する第1コマ5および第2コマ6において、穴70と突部75とが一方向(正逆方向)に回動可能に嵌合されている。これにより第1コマ5および第2コマ6は、パイプ9の長さ方向において直列に連結され且つパイプ9の曲げ形状に沿って撓むことが可能となるように形成されている。
【0052】
(実施形態8)
図12は実施形態8を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。図12に示すように、芯体1は基部3とコマ群4とを備えている。コマ群4は第1コマ5および第2コマ6Bを直列に交互に配置して形成されている。従って、基部3側から、第1コマ5、第2コマ6B、第2コマ6B、第1コマ5の順に配置されて連結されている。第2コマ6Bは、コマ本体600と、弾性変形可能な弾性層601を介してコマ本体に接合された付属体602とで形成されている。弾性層601は樹脂またはゴムで形成されており、熱硬化性でも、熱可塑性でも良い。
【0053】
第1コマ5は、パイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bp側の内壁面部分92pに接触し、曲げ外周Bp側の内壁面部分92pの形状を整える。これに対して第2コマ6Bにおいては、パイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bpの内壁面部分92pに対して第1コマ5よりも接触度が低い。弾性層601が弾性変形可能であるためである。
【0054】
(実施形態9)
図13および図14は実施形態9を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。図13に示すように、芯体1は基部を備えておらず、コマ群4Cを備えている。コマ群4Cは、第1コマ5Cおよび第2コマ6Cをパイプ9の長さ方向において直列に連結し且つパイプ9の曲げ形状に沿って撓むことが可能となるように形成されている。第1コマ5Cは、第1コマ5Cの中央に配置された第1回動部531と、第1回動部531から半径方向の外方に延設された第1腕部532と、第1腕部532に連設された第1リング体533とを有する。第1リング体533の外壁面は真円形状をなす。第2コマ6Cは、第2コマ6Cの中央に配置された第2回動部631と、第2回動部631から半径方向の外方に延設された第2腕部632と、第2腕部632に連設された第2リング体633とを有する。
【0055】
第1回動部531の通孔535、第2回動部631の通孔635には、それぞれ回動ピン540が嵌合されている。第1回動部531および第2回動部631は、あたかもチェーンのように回動ピン540を回動支点として、互いに回動可能とされている。ひいては第1コマ5Cおよび第2コマ6Cは、互いに回動可能とされている。このように一方向に延びる回動ピン540を回動支点として、第1コマ5Cおよび第2コマ6Cは互いに回動可能とされている。このため、第1リング体533および第2リング体633は、これらの周方向(矢印SA方向)への相対移動は抑制されている。従って、第1リング体533および第2リング体633が曲げ内周Biから曲げ外周Bpに矢印SA方向に回動することは、抑制されている。
【0056】
図14(B)に示すように、第2リング体633は、ほぼ三日月状をなす切欠部69を有する。この切欠部69は、パイプ9の内壁面92のうち曲げ外周Bp側の内壁面部分92pに対面するものの、内壁面部分92pに対する接触力を弱める。
【0057】
図13に示すように、第1回動部531および第2回動部631が一直線状とされているとき、第1回動部531および第2回動部631の中心軸線N1に対して、第1コマ5Cの外壁面50のうちパイプ9の曲げ外周Bp側に対面する外壁面部分50pの寸法をD1とする。更に、第2コマ6Cの外壁面60のうちパイプ9の曲げ外周Bp側に対面する外壁面部分60pの寸法をD2とする。このとき、D2はD1よりも小さく設定されている(D2<D1)。ここで、D2/D1としては、0.5〜0.98の範囲内、0.6〜0.95の範囲内、0.7〜0.9の範囲内が例示される。但しこれに限定されるものではない。
【0058】
コマ群4の第1コマ5Cは、前記した実施形態と同様に、パイプ9の曲げ外周Bp側の内壁面部分92pに接触し、内壁面部分92pの形状を整える。これに対して第2コマ6Cは、パイプ9の曲げ外周Bpの内壁面部分92pに対して第1コマ5Cよりも接触度が低いか、または、非接触である。
【0059】
このためパイプ9の曲げ外周Bp側の内壁面部分92pがコマ群4Cで過剰に擦られてしごかれることが抑制される。この結果、パイプ9の曲げ外周Bpの周壁の厚みが過剰に減少することは、抑制される。パイプ9の曲げ外周Bpの強度確保上好ましい。殊に、パイプ9の周壁の厚みが極めて薄い場合であっても、パイプ9の曲げ外周Bp側に減肉不良が発生するおそれが低減される。
【0060】
(適用形態1)
図15は適用形態1を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。図15に示すように、内燃機関と共に車両等に搭載される排気ガス排出用のマニホルド700に適用している。マニホルド700は、曲成パイプ710をマニホルド本体701にこれの開口702から差し込み、溶接等の組付手段で組み付けて形成されている。曲成パイプ710は、金属製の外パイプ711と、外パイプ711との間に断熱空間712を形成するように外パイプ711内にほぼ同軸的に挿入された金属製の内パイプ713とを備えている。
【0061】
内パイプ713のパイプ孔714を通過する排気ガスの伝熱量を低減させるため、内パイプ713の肉厚は、外パイプ711の肉厚よりも薄く設定されており、例えば0.2〜2ミリメートル、0.4〜1ミリメートルに設定されている。このため曲げ加工して内パイプ713を形成する場合、内パイプ713の周壁のうち引張応力が作用する曲げ外周側では、曲成度合が高いときには、過剰減肉や欠損が発生するおそれがある。そこで上記した実施形態に係る芯体1を用いれば、内パイプ713の曲げ外周側の過剰減肉を抑制できる。
【0062】
(適用形態2)
図16は適用形態2を示す。曲成パイプ810(エキゾーストパイプ)を三元触媒コンバータ801(浄化装置本体)に組み付けて触媒コンバータ装置800(排気ガス浄化装置)を形成する。曲成パイプ810は、曲げ角度が40度以上と大きな曲成部812を有すると共に、メインマフラーおよびサブマフラーに繋がる。
【0063】
(その他)
本発明は上記し且つ図面に示した実施形態および適用形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
【0064】
(付記項1)パイプ孔を形成する内壁面を有するパイプを曲げ加工するパイプベンダーであって、前記パイプの所定部位を挟持するクランプ具と、パイプの曲げ予定部が当接されて曲げ予定部を曲げる曲げ治具と、前記パイプ孔に前記パイプの長さ方向に沿って移動され移動に伴い前記パイプの前記内壁面に摺動して前記内壁面を整形させる芯体とを具備しており、前記芯体は、前記パイプの曲げ加工時に前記パイプの前記内壁面のうち曲げ外周側の内壁面部分に接触可能な第1コマと、前記パイプの曲げ加工時に前記パイプの前記内壁面のうち前記曲げ外周側の内壁面部分に対して前記第1コマよりも接触度が低いかまたは非接触な前記第2コマとを有し、前記第1コマおよび前記第2コマを前記パイプの長さ方向において直列に且つ互いに回動可能に構成されたコマ群を備えていることを特徴とするパイプベンダー。この場合、パイプの内壁面のうち曲げ外周側の内壁面部分が、コマ群で過剰に擦られてしごかれることが抑制される。この結果、パイプの曲げ外周側の周壁の厚みの過剰減少は抑制される。故に、パイプの曲げ外周の強度確保上好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明はパイプを曲げ加工するときに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】(A)は芯体をパイプのパイプ孔に挿入している状態を示す断面図であり、(B)は芯体をパイプのパイプ孔の曲げ予定部に挿入した状態を示す断面図である。
【図2】(A)は芯体をパイプのパイプ孔の曲げ予定部に挿入した状態で、パイプを曲げ加工している状態を示す断面図であり、(B)は曲げ加工したパイプ内で芯体を移動させている状態を示す断面図である。
【図3】曲げ加工したパイプ内で芯体を移動させている状態を示す断面図である。
【図4】コマ群の中心軸線に対して平行に第1コマを投影している投影図である。
【図5】コマ群の中心軸線に対して平行に第2コマを投影している投影図である。
【図6】実施形態2に係り、コマ群の中心軸線に対して平行に第2コマを投影している投影図である。
【図7】実施形態3に係り、コマ群の中心軸線に対して平行に第2コマを投影している投影図である。
【図8】実施形態4に係り、コマ群の中心軸線に対して平行に第2コマを投影している投影図である。
【図9】実施形態5に係り、曲げ加工したパイプ内で芯体を移動させている状態を示す断面図である。
【図10】実施形態6に係り、第2コマの内部構造を示す構成図である。
【図11】実施形態7に係り、芯体の断面図である。
【図12】曲げ加工したパイプ内で芯体を移動させている状態を示す断面図である。
【図13】実施形態8に係り、芯体の断面図である。
【図14】(A)は第1コマを示す断面図であり、(B)は第2コマを示す断面図である。
【図15】適用形態1に係る斜視図である。
【図16】適用形態2に係る斜視図である。
【符号の説明】
【0067】
1は芯体、2は駆動源、3は基部、4はコマ群、5は第1コマ、50は外壁面、6は第2コマ、60は外壁面、60xは交点、69は切欠部、9はパイプ、90はパイプ孔、92は内壁面、Bpは曲げ外周、Biは曲げ内周を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプ孔を形成する内壁面を有するパイプを曲げ加工するとき、前記パイプの前記パイプ孔に前記パイプの長さ方向に沿って移動され移動に伴い前記パイプの前記内壁面に摺動して前記内壁面を整形させるパイプベンダー用の芯体であって、
前記芯体は、
前記パイプを曲げ加工する時に前記パイプの前記内壁面のうち曲げ外周側の内壁面部分に接触可能な第1コマと、前記パイプを曲げ加工する時に前記パイプの前記内壁面のうち前記曲げ外周側の内壁面部分に対して前記第1コマよりも接触度が低いかまたは非接触な第2コマとを有し、前記第1コマおよび前記第2コマを前記パイプの長さ方向において直列に連結し且つ前記パイプの曲げ形状に沿って撓むことが可能となるように形成したコマ群を備えていることを特徴とするパイプベンダー用の芯体。
【請求項2】
請求項1において、前記第1コマは前記芯体の軸長方向で前記コマ群の一端側および他端側にそれぞれ配置されており、前記第2コマは前記コマ群の前記一端側の前記第1コマと前記他端側の前記第1コマとの間に配置されていることを特徴とするパイプベンダー用の芯体。
【請求項3】
請求項1において、前記芯体の軸長方向で前記第1コマおよび前記第2コマは交互に配置されていることを特徴とするパイプベンダー用の芯体。
【請求項4】
請求項1〜3のうちのいずれか一項において、前記パイプの軸線に沿った断面で、前記コマ群の中心軸線に対して、前記第1コマの外壁面のうち前記パイプの前記曲げ外周側に対面する外壁面部分の寸法をD1とし、前記第2コマの外壁面のうち前記パイプの前記曲げ外周側に対面する外壁面部分の寸法をD2とするとき、D2はD1よりも小さく設定されている(D2<D1)ことを特徴とするパイプベンダー用の芯体。
【請求項5】
請求項1〜4のうちのいずれか一項において、前記コマ群の中心軸線に対して平行に投影する投影図で、前記第2コマの外壁面のうち前記パイプの前記曲げ外周側に対面する外壁面部分は、円弧凸形状をなしており、前記コマ群の前記中心軸線の回りを1周する仮想真円と前記第2コマの前記外壁面とが交差する部分を交点とするとき、前記交点は、前記パイプの径方向において、前記パイプの前記曲げ内周側の位置、前記パイプの前記曲げ外周側の位置、前記パイプの前記曲げ内周と前記曲げ外周との中間位置のいずれかに設定されていることを特徴とするパイプベンダー用の芯体。
【請求項6】
請求項1〜4のうちのいずれか一項において、前記コマ群の中心軸線に対して平行に投影する投影図で、前記第2コマの前記外壁面のうち前記パイプの前記曲げ外周側に対面する前記外壁面部分は、直線状に延設された直線部を有していることを特徴とするパイプベンダー用の芯体。
【請求項7】
請求項1〜6のうちのいずれか一項において、前記第1コマおよび前記第2コマは前記パイプの曲げ加工時に前記パイプの前記曲げ内周側の前記内壁面に接触することを特徴とするパイプベンダー用の芯体。
【請求項1】
パイプ孔を形成する内壁面を有するパイプを曲げ加工するとき、前記パイプの前記パイプ孔に前記パイプの長さ方向に沿って移動され移動に伴い前記パイプの前記内壁面に摺動して前記内壁面を整形させるパイプベンダー用の芯体であって、
前記芯体は、
前記パイプを曲げ加工する時に前記パイプの前記内壁面のうち曲げ外周側の内壁面部分に接触可能な第1コマと、前記パイプを曲げ加工する時に前記パイプの前記内壁面のうち前記曲げ外周側の内壁面部分に対して前記第1コマよりも接触度が低いかまたは非接触な第2コマとを有し、前記第1コマおよび前記第2コマを前記パイプの長さ方向において直列に連結し且つ前記パイプの曲げ形状に沿って撓むことが可能となるように形成したコマ群を備えていることを特徴とするパイプベンダー用の芯体。
【請求項2】
請求項1において、前記第1コマは前記芯体の軸長方向で前記コマ群の一端側および他端側にそれぞれ配置されており、前記第2コマは前記コマ群の前記一端側の前記第1コマと前記他端側の前記第1コマとの間に配置されていることを特徴とするパイプベンダー用の芯体。
【請求項3】
請求項1において、前記芯体の軸長方向で前記第1コマおよび前記第2コマは交互に配置されていることを特徴とするパイプベンダー用の芯体。
【請求項4】
請求項1〜3のうちのいずれか一項において、前記パイプの軸線に沿った断面で、前記コマ群の中心軸線に対して、前記第1コマの外壁面のうち前記パイプの前記曲げ外周側に対面する外壁面部分の寸法をD1とし、前記第2コマの外壁面のうち前記パイプの前記曲げ外周側に対面する外壁面部分の寸法をD2とするとき、D2はD1よりも小さく設定されている(D2<D1)ことを特徴とするパイプベンダー用の芯体。
【請求項5】
請求項1〜4のうちのいずれか一項において、前記コマ群の中心軸線に対して平行に投影する投影図で、前記第2コマの外壁面のうち前記パイプの前記曲げ外周側に対面する外壁面部分は、円弧凸形状をなしており、前記コマ群の前記中心軸線の回りを1周する仮想真円と前記第2コマの前記外壁面とが交差する部分を交点とするとき、前記交点は、前記パイプの径方向において、前記パイプの前記曲げ内周側の位置、前記パイプの前記曲げ外周側の位置、前記パイプの前記曲げ内周と前記曲げ外周との中間位置のいずれかに設定されていることを特徴とするパイプベンダー用の芯体。
【請求項6】
請求項1〜4のうちのいずれか一項において、前記コマ群の中心軸線に対して平行に投影する投影図で、前記第2コマの前記外壁面のうち前記パイプの前記曲げ外周側に対面する前記外壁面部分は、直線状に延設された直線部を有していることを特徴とするパイプベンダー用の芯体。
【請求項7】
請求項1〜6のうちのいずれか一項において、前記第1コマおよび前記第2コマは前記パイプの曲げ加工時に前記パイプの前記曲げ内周側の前記内壁面に接触することを特徴とするパイプベンダー用の芯体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−172661(P2009−172661A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−15786(P2008−15786)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(000100805)アイシン高丘株式会社 (202)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(000100805)アイシン高丘株式会社 (202)
【Fターム(参考)】
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