説明

パイプ部品の支持装置

【課題】水平部材の所定位置を選んで、商品の展示や商品説明、価額表示POP等の表示に用いるパイプ部品を簡単、迅速に着脱可能にし、以って、商品の種類やデザイン等に応じた展示方法や、商品説明や価額表示POPの表示方法を変更可能にする。
【解決手段】略U字状の支持部材1に、水平部材Pを受容する支持切欠3と、平板部1b、1c間に架設された水平軸6を中心に回動可能な支承部材7と、各平板部1b、1c間に一体に連設されたネジ取付板4と、ネジ取付板4に螺合され、先端に支承部材7をその下面を支承しながら回動付勢する調整ネジ部材2と、上方から挿入された支柱部材10を支持する傾斜片4aとを備え、調整ネジ部材2のねじ込み操作によって、支承部材7と支持切欠3のいずれかとの間に前記水平部材Pを挟圧保持する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品の展示や商品説明、価額表示POPの表示に利用するパイプ部品の支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
商品の展示装置として、基台に設立された支柱上に商品の展示台を取り付けたものが、従来から種々提案されている。この商品の展示装置では、前記支柱が大径のパイプ材内に小径のパイプ材を昇降自在に収納したものからなり、大径のパイプ材の外からねじ込んだ螺子部材の尖端を、小径パイプ材の外周に突き当てることによって、小径のパイプ材を任意の昇降位置にロックできるようにしている。従って、大径のパイプ材に対する小径のパイプ材の高さ位置、つまり小径のパイプ材に支持された展示台の高さ位置が調節可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2002−510784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、かかる従来の商品展示装置にあっては、基台と、支柱と、展示台とが構造上一体に構成され、従って、商品展示装置としてのデザインの変更は不可能であるため、その展示台にて展示できる商品の種類や形態も一定となってしまうという問題があった。つまり、商品の種類や商品のデザイン等に応じて展示方法を変えることができないという不都合があった。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、水平部材の任意の位置に、商品の展示や商品説明、価額表示POP等の表示に用いるパイプ部品を簡単、迅速に装着可能にすることで、商品の種類やデザイン等に応じた展示方法や、商品説明や価額表示POPの表示方法を自由に選択することができるパイプ部品の支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係るパイプ部品の支持装置は、円弧板部およびこの円弧板部の両端に続く平板部を一体に有する略U字状の支持部材と、前記平板部の前記円弧板部側とは反対側の端部から中央部にかけて形成され、水平部材を受容する支持切欠と、前記平板部間に架設された水平軸を中心に回動可能で、前記支持切欠内に受容された前記水平部材を下方から支承する支承部材と、該支承部材の下方において各平板部間に一体に連設されたネジ取付板と、該ネジ取付板に対し下方から上方に貫通するように螺合され、先端に前記支承部材の下面を支承しながら該支承部材を前記水平軸を中心に回動付勢する調整ネジ部材と、前記ネジ取付板に連設され、前記円弧板部および該円弧板部付近の前記各平板部間に上方から挿入された展示用部品である支柱部材を支持する傾斜片とを備え、前記調整ネジ部材のねじ込み操作によって、前記支承部材と前記支持切欠のいずれかとの間に挟圧保持可能にしたことを特徴とする。
【0007】
この構成により、前記U字状の支持部材は、これの水平部に形成された支持切欠が水平部材を受容することにより、この水平部材に支持される。従って、前記支持部材はその水平部材に沿ってこの水平部材の軸方向に摺動可能に装着される。その支持部材が摺動された水平部材上の所定位置では、前記調整ネジ部材をネジ取付板のネジ孔内に上方に進むようにねじ込んでいくと、その調整ネジ部材の先端によって支承されている支承部材が水平軸を中心に回動付勢される。
【0008】
この支承部材の回動付勢によって、前記支持切欠内に受容された前記水平部材がその支承部材によって支承され、上方に持ち上げられる。これにより、水平部材はこの支承部材と前記支持切欠のいずれかの部位との間に挟圧保持される。これにより、前記U字状の支持部材は水平部材の所定位置にガタつくことなく、また自由に摺動することなく堅固に固定される。
【0009】
そこで、円弧板部と水平板部との間であって、上下方向に貫通する前記支持部材の空間内に上方から補助パイプを挿入する。この挿入された補助パイプは前記ネジ取付板に一体のパイプ支持のための傾斜片によって下降が規制される。従って、この傾斜片に商品の展示のための、或いは商品説明や価額表示POPの表示のために用意された種々の支柱部材をその補助パイプ内に挿入(装着)することができ、その支柱部材を用いて展示や表示の形態を任意に設定し、展示や表示のデザインを多様化することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、商品の種類やデザイン等に応じた展示方法、あるいは商品説明や価額表示POPの表示方法を、簡単、迅速に選ぶことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態によるパイプ部品の支持装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示したパイプ部品の支持装置の要部を示す断面図である。
【図3】図1に示したパイプ部品の支持装置の要部を示す平面図である。
【図4】図2に示したパイプ部品の支持装置のA‐A線断面図である。
【図5】図1におけるパイプ支持装置の使用状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、パイプ部品の支持装置の要部を示す断面図、図2は、このパイプ部品の支持装置の要部の断面図、図3は、そのパイプ部品の支持装置の要部の平面図、図4は、図2におけるA−A線断面図、図5は、パイプ支持装置の使用状態の断面図である。
【0013】
本実施形態によるパイプ部品の支持装置は、支持部材1と、調整ネジ部材2と、を備える。これらのうち支持部材1は、円弧板部1aとこの円弧板部1aの両端に続く平板部1b、1cとが一体に設けられてなり、図3および図4に示すように、平板部1b、1cは互いに平行に向き合った形態をなす。従って、支持部材1は全体として、上方から見てU字状をなす。この支持部材1は金属板のプレスや合成樹脂の成形により得られる。
【0014】
また、前記平板部1b、1cの対応部位には、円弧板部1a側とは反対の端部から中央部にかけて支持切欠3が設けられている。各平板部1b、1cに形成されたこれらの支持切欠3は、同一形状、サイズにて相互に水平方向に対向する形態であるため、以下、これらの支持切欠3の各部については同一符号を付す。
【0015】
各支持切欠3は、図2に示すように、前記端部に位置する開口部3aと、この開口部3aに連続し、上方へ向って傾斜する第1の傾斜部(または緩やかな円弧状部)3bと、この傾斜部3bの上端から上方に延びる短目の第1の垂直部3cと、この第1の垂直部3cの上端から水平に延びる第1の水平部3dと、この第1の水平部3d端で下方に向って連続する第2の垂直部3eと、この第2の垂直部3eの下端に、前記円弧板部1a方向に向って連続する第1の水平切欠溝3fと、この第1の水平切欠溝3fに連続して垂直下方に延びる、第2の垂直部3eに比べて十分に長目の第3の垂直部3gと、この第3の垂直部3gの下端に連続し、第1の水平切欠溝3fと同形状、同サイズの第2の水平切欠溝3hと、この第2の水平切欠溝3hに連続し、垂直下方に延びる第4の垂直部3iと、この第4の垂直部3iの下端に連続し、平板部1bの端部方向に向って傾斜する第2の傾斜部3jと、この第2の傾斜部3jに連続し、前記開口部3a側に向って水平に連続する第2の水平部3kと、を持つ。
【0016】
ここで、第1の傾斜部3b、第3の垂直部3gは円筒状断面形状や円柱状断面形状を持つ水平部材P1、P2を、図2に示すように支持する場合に利用される。この場合に、傾斜部3bおよび第3の垂直部3gが水平部材P1、P2から受ける応力の作用点はR、SおよびT、Uとなる。また、第1の垂直部3c、第1の水平部3d、第2の垂直部3eおよび第4の垂直部3iは主に角筒状断面形状や矩形断面形状を持つ水平部材P3等を、図2に示すように支持する場合に利用される。この場合に、第1の垂直部3c、第1の水平部3d、第2の垂直部3eおよび第4の垂直部3iが水平部材P3から受ける作用点は、これら各部の全接触面となる。
【0017】
また、対向する平板部1b、1cの下端部間にはネジ取付板4が水平かつ一体に連接され、このネジ取付板4の一部にネジ孔5が形成されている。このネジ孔5には、頭部にドライバの先やコインの縁部を係止して回動できる係止溝2aを持つ前記調整ネジ2が、下方からねじ込まれている。このネジ取付板4には、前記円弧板部1a方向端に所定長に亘って略V字状に折り曲げられた傾斜片4aを持つ。
【0018】
さらに、平板部1b、1c間であって、前記ネジ取付板4の上方位置には水平軸6がポンチングカシメによって架設されている。そして、この水平軸6には、全体として中央部が下方に「く」の字状に凹むように湾曲する支承部材7の基部が回動可能に取り付けられている。この支承部材7は、図3に示すように、平面視で矩形をなす。
【0019】
この支承部材7は、下方に湾曲するような凹部7a付近の下面に、ネジ取付板4に螺合された調整ネジ2の先端が突き当てられている。この支持部材8上には、ゴムや合成樹脂などからなるすべり止めを兼ねる連山状または平板状のクッション部材8が貼着されている。また、この支承部材7は、前記支持切欠3内に受容された水平部材としてのパイプ部材Pを水平状態を保ちながら支承可能なサイズ、形態をなす。
【0020】
円弧板部1aの内側は前述のように上下方向に貫通した空間となっており、この貫通部分の下方に前記ネジ取付板4の傾斜片4aの傾斜面4bが臨んでいる。この貫通部分には、傾斜片4aの傾斜面4bに接触してこれに密接する形状、サイズの外側傾斜面9aを下端部に持つ円柱状の補助パイプ9が、着脱可能に収納されている。
【0021】
この補助パイプ9は全体として支持部材1の高さと同等または僅かに短目であり、外周径が円弧板部1aの内周径に対して僅かに小さい。前記外側傾斜面9aと傾斜片4aの傾斜面4bとの接合によって、円筒状の補助パイプ9は支持部材1内において回動不可能となっている。この補助パイプ9内には、例えば商品の展示用部品としての支柱部材10の下端部が後述のように挿し込まれる。この支柱部材10の下端部には補助パイプ9下端内周の内側傾斜面9bに適合する傾斜面10aが形成されている。従って、この支柱部材10を補助パイプ9内で回動不可能かつ着脱可能に支持することができる。
【0022】
次に、かかる構成になるパイプ部品の支持装置の使用方法を説明する。
まず、支持部材1を用意し、ネジ取付板4のネジ孔5にねじ込まれている調整ネジ2を緩めて、下方に移動させる。これにより調整ネジ2の先端が下降し、これに伴って、支承部材7が自重によって水平軸6を中心に反時計方向に回動する。従って、支承部材7の先端部は下方に大きく下降し、支持切欠3の開口部3aが大きく開放される。
【0023】
そこで、水平部材Pに対して支持部材1の支持切欠3を開口部3a側から挿し入れる。そして、この挿し入れの状態で、支持部材1を、図2および図4に示すように、水平状態に保ったまま、調整ネジ2をネジ取付板4のネジ孔5に対しねじ込む。このねじ込み操作によって、調整ネジ2の先端は支承部材7の凹部8a下面を支承しながら上方に押し上げる。
【0024】
この調整ネジ2の先端の押し上げによって、支承部材7はクッション部材8を介して水平部材Pの一部を抱え込むようにして、この水平部材Pを支持切欠3の第1の傾斜部3bおよび第3の垂直部3gの2箇所(応力作用点)に突き当てるようにして挟圧保持する。そして、調整ネジ2の適度の締め込みによって、支持切欠3が水平部材Pの外周を掴むように保持する。従って、支持部材1は水平部材Pの所定位置に安定保持される。
【0025】
そこで、このように水平部材Pに取り付けられた支持部材1の円弧板部1a内に、上方から前記補助パイプ9を、図4に示すように、挿入する。この補助パイプ9は前述のように下端部に外側傾斜面9aを有し、この外側傾斜面9aがネジ取付板4の傾斜片4aの傾斜面4bに当接される。このため、補助パイプ9は前記円弧板部1a内で水平方向に回動することなく安定保持される。支柱部材10の外径が補助パイプ9と同径で下端部に傾斜面9aを有したものであれば、補助パイプ9は不要である。
【0026】
次に、このように円弧状部1a内に保持された補助パイプ9内に、上方から、例えば図1に示すような、商品の展示や商品説明、或いは価額表示に用いる支柱部材10の下端部を挿入する。この支柱部材10としては、補助パイプ9の内周より僅か小さい外径寸法を持つものが用いられる。なお、この支柱部材10の基端部(下端部)には、補助パイプ9の内側傾斜面9bに適合(接合)する傾斜面10aが設けられている。
【0027】
従って、この適合状態では、支柱部材10は補助パイプ9内において回動することなく安定保持される。なお、図1では、支柱部材10が全体として垂直部10bと水平部10cが連続するL字状棒からなるものを例示した。そしてこの水平部10c上には、例えば商品を掛けたハンガー等の移動を規制する複数本の突ピン11が突接されている。なお、この支柱部材10としては、前述のL字状棒形のものの外、前記傾斜面10aを有する限りにおいて、商品の展示以外に商品説明や価額表示POP等の表示の目的に利用するあらゆる形状、サイズのものが採用可能である。
【0028】
また、本実施形態の補助パイプ9は合成樹脂によってあらゆるサイズおよび肉厚のパイプを安価に成形できる。このため、肉厚が異なる補助パイプ9を複数種類用意することで、その補助パイプ9にあらゆるサイズ(外径)の支柱部材10を付け替え自在に装着することができる。これにより商品の展示や商品説明等の表示目的にあった支柱部材10を任意に選んで使用可能になる。
【0029】
このように、本実施形態のパイプ部品の支持装置は、円弧板部1aおよびこの円弧板部1aの両端に続く平板部1b、1cを一体に有する略U字状の支持部材1と、平板部1b、1cの円弧板部1a側とは反対側の端部から中央部にかけて形成され、水平部材Pを受容する支持切欠3と、平板部1b、1c間に架設された水平軸6を中心に回動可能で、支持切欠3内に受容された水平部材Pを下方から支承する支承部材7と、支承部材7の下方において各平板部1b、1c間に一体に連設されたネジ取付板4と、ネジ取付板4に対し下方から上方に貫通するように螺合され、先端に支承部材7の下面を支承しながら該支承部材7を水平軸6を中心に回動付勢する調整ネジ部材2と、ネジ取付板4に連設され、円弧板部1aおよび該円弧板部1a付近の前記各平板部1b、1c間に上方から挿入された展示用部品である支柱部材10を支持する傾斜片4aとを備え、調整ネジ部材2のねじ込み操作によって、支承部材7と支持切欠3のいずれかとの間に前記水平部材Pを挟圧保持可能な構成とした。
【0030】
これにより、水平部材Pの所定位置を選んで、商品の展示や商品説明、価額表示POP等の表示に用いる支柱部材を簡単、迅速に着脱でき、商品の種類やデザイン等に応じた展示方法や、商品説明や価額表示POPの表示方法を任意かつ適宜に変えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は商品の種類やデザイン等に応じた展示方法や、商品説明や価額表示POPの表示方法を自由に選択することができるという効果を有し、商品の展示や商品説明、価額表示POPの表示に利用するパイプ部品の支持装置等に有用である。
【符号の説明】
【0032】
1 支持部材
1a 円弧板部
1b、1c 平板部
2 調整ネジ
3 支持切欠
3a 開口部
3b 第1の傾斜部
3c 第1の垂直部
3d 第1の水平部
3e 第2の垂直部
3f、3h 水平切欠溝
3g 第3の垂直部
3i 第4の垂直部
3j 第2の傾斜部
3k 第2の水平部
4 ネジ取付板
4a 傾斜片
6 水平軸
7 支承部材
8 クッション
9 補助パイプ
10 支柱部材
P パイプ部材(水平部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円弧板部およびこの円弧板部の両端に続く平板部を一体に有する略U字状の支持部材と、
前記平板部の前記円弧板部側とは反対側の端部から中央部にかけて形成され、水平部材を受容する支持切欠と、
前記平板部間に架設された水平軸を中心に回動可能で、前記支持切欠内に受容された前記水平部材を下方から支承する支承部材と、
該支承部材の下方において各平板部間に一体に連設されたネジ取付板と、
該ネジ取付板に対し下方から上方に貫通するように螺合され、先端に前記支承部材の下面を支承しながら該支承部材を前記水平軸を中心に回動付勢する調整ネジ部材と、
前記ネジ取付板に連設され、前記円弧板部および該円弧板部付近の前記各平板部間に上方から挿入された展示用部品である支柱部材を支持する傾斜片とを備え、
前記調整ネジ部材のねじ込み操作によって、前記支承部材と前記支持切欠のいずれかとの間に挟圧保持可能にしたことを特徴とするパイプ部品の支持装置。
【請求項2】
前記支持切欠は、前記水平部材外周の少なくとも2箇所に、面接触または点接触可能な水平面または垂直面、或いは円弧面を持つことを特徴とする請求項1に記載のパイプ部品の支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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