説明

パイプ/フランジ組立体のための回転防止ルーズロックスリーブ

【課題】本明細書に開示するのは、フランジ−パイプ組立体で使用するための回転防止ルーズロックスリーブ設計である。
【解決手段】本設計は、パイプ及びフランジ間に配置されて該フランジに対する該パイプの回転を防止するロックスリーブを含む。ロックスリーブは、パイプから半径方向外向きに延びる2以上のパイプピンを受けるように構成された、該ロックスリーブの第1の端部内の2以上の開口部を含む。ロックスリーブはさらに、フランジから半径方向内向きに延びる4以上のフランジピンを受けるように構成された、該ロックスリーブの第2の端部内の4以上の開口部を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総括的には蒸気タービン用のフランジ−パイプ組立体に関し、より具体的には、フランジ−パイプ組立体で使用するための回転防止ルーズロックスリーブ設計に関する。
【背景技術】
【0002】
既存のフランジ−パイプ組立体は、シェルフランジにボルト止めされかつタング−グルーブガスケット設計を備えた一体形スリーブ−パイプ設計を含む。このような設計の交換は、実行不能であり、既存のフランジを除去しかつパイプを切断してそれを取外すことが必要となる可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書に開示するのは、フランジ−パイプ組立体で使用するための回転防止ルーズロックスリーブ設計である。本設計は、パイプ及びフランジ間に配置されて該フランジに対する該パイプの回転を防止するロックスリーブを含む。ロックスリーブは、パイプから半径方向外向きに延びる2以上のパイプピンを受けるように構成された、該ロックスリーブの第1の端部内の2以上の開口部を含む。ロックスリーブはさらに、フランジから半径方向内向きに延びる4以上のフランジピンを受けるように構成された、該ロックスリーブの第2の端部内の4以上の開口部を含む。
【0004】
本発明の第1の態様は、パイプ及びフランジ間に配置されて該フランジに対する該パイプの回転の減少又は防止の少なくともいずれかを行なうフランジ−パイプ組立体で使用するための回転防止ロックスリーブを提供し、本ロックスリーブは、パイプから半径方向外向きに延びる2以上のパイプピンを受けるように構成された、該ロックスリーブの第1の端部内の2以上の開口部と、フランジから半径方向内向きに延びる4以上のフランジピンを受けるように構成された、該ロックスリーブの第2の端部内の4以上の開口部とを含む。
【0005】
本発明の第2の態様は、回転防止フランジ−パイプ組立体を提供し、本組立体は、それから半径方向外向きに延びる2以上のパイプピンを備えたパイプと、それから半径方向内向きに延びる4以上のフランジピンを備えたフランジと、パイプ及びフランジ間に配置されて該フランジに対する該パイプの回転の減少又は防止の少なくともいずれかを行なうロックスリーブとを含み、ロックスリーブは、該ロックスリーブの第1の端部内に設けられかつ2以上のパイプピンを受けるように構成された2以上の開口部と、該ロックスリーブの第2の端部内に設けられかつ4以上のフランジピンを受けるように構成された4以上の開口部とを含む。
【0006】
本発明のこれらの及びその他の特徴は、本発明の様々な実施形態を示す添付図面と関連させてなした本発明の様々な態様の以下の詳細な説明から一層容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態による、パイプ/フランジ組立体内部に配置したロックスリーブを示す図。
【図2】本発明の実施形態によるロックスリーブの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の図面は正確な縮尺でないことに留意されたい。図面は、本発明の典型的な態様のみを示すことを意図しており、従って本発明の技術的範囲を限定するものとして考えるべきではない。図面では、同じ参照符号付けが、図面間で同様の要素を表している。
【0009】
図1に移ると、本発明の実施形態による、パイプ/フランジ組立体のための回転防止ルーズロックスリーブを示している。図1では、パイプ102は、大型蒸気タービン用のブローダウンパイプとして示しているが、本発明のパイプ/フランジ組立体は、蒸気シールを必要とするあらゆるパイプにおいて使用することができる。パイプ102は、該パイプ102から半径方向外向きに延びる2以上のパイプピン104を含む。パイプピン104は、既存のパイプ102に付加することができ、或いはパイプピン104を含む新規なパイプ102を使用することができる。図1に示すように、フランジ106もまた、設けられ、フランジ106は、該フランジ106から半径方向内向きに延びる4以上のフランジピン108を含む。この場合も同様に、フランジピン108は、既存のフランジ106に付加することができ、或いはフランジピン108を含む新規なフランジ106を使用することができる。当技術分野では解るように、フランジ106は、パイプ102を囲む外側シェル107に対して1以上のボルト109によって結合される。
【0010】
さらに図1に示すように、本発明の実施形態によるロックスリーブ110は、パイプ102及びフランジ106間に配置して、該フランジ106及び外側シェル107に対する該パイプ102の回転を減少させる。図2に一層詳細に示すように、ロックスリーブ110は、第1の端部112及び第2の端部114を含む。第1の端部112は、パイプピン104を受けるように構成された2以上の開口部116を含む。第2の端部114は、フランジピン108を受けるように構成された4以上の開口部118を含む。1つの実施形態では、第2の端部114の外径は、第1の端部112の外径よりも大きい。
【0011】
開口部116は、対応するパイプピン104を受けるようなあらゆる好適な形状及び寸法のものとすることができる。例えば、1つの実施形態では、開口部116は、ロックスリーブの第1の端部112から第2の端部114に向けて長手方向に延びるスロットを含むことができる。図2の実施形態に示すように、開口部116は、外周から内周まで第1の端部112を完全に貫通して延びることができる。また、図2の実施形態に示すように、2つの開口部116は、互いにほぼ対向して配置された状態でつまり各々が互いに対して180°離れて配置された状態で設けることができる。開口部116の数及び互いに対するそれらの相対的位置は、必要に応じて修正して、開口部116が対応する半径方向外向きに延びるパイプピン104上に整列して嵌合するように該開口部116を配置するのを保証することができる。
【0012】
開口部118は、対応するフランジピン108を受けるようなあらゆる好適な形状及び寸法のものとすることができる。例えば、図2に示す実施形態では、開口部118は、第2の端部114の外周表面内に設けられかつ第2の端部114の外周から該第2の端部114の内周に向けて半径方向内向きに延びるポケットを含むことができる。図2に示すように、開口部118は任意選択的に、1以上の湾曲端縁部122を含むことができる。さらに図2の実施形態に示すように、開口部118は、第2の端部114の外周の周りに配置された4以上の開口部118を含むことができる。例えば、各開口部118は、互いに対して90°離れて配置することができる。開口部118の数及び互いに対するそれらの相対的位置は、必要に応じて修正して、開口部118が対応する半径方向内向きに延びるフランジピン108上に整列して嵌合するように該開口部118を配置するのを保証することができる。
【0013】
図2に示す1つの実施形態では、開口部116及び開口部118は、互いに対して千鳥配置して、ロックスリーブ110及びパイプ102間並びにロックスリーブ110及びフランジ106間のロック(固定)を強化するようにする。また、図1に示すように、ロックスリーブ110及びフランジ106間或いはロックスリーブ110及びパイプ102間には、1以上のシール120を設けることができる。また、ロックスリーブ110は、該ロックスリーブ110及びフランジ106間並びに該ロックスリーブ110及びパイプ102間に幾らかの大きさの間隙を形成してフランジ106及び外側シェル107に対するパイプ102の限られた動きを可能にするような寸法になっていることにも注目されたい。言い換えれば、ロックスリーブ110は、圧入(プレス嵌め)ではなくてすき間嵌め(ルーズ嵌め)である。
【0014】
大型蒸気タービン用のブローダウンパイプに関連して本発明の実施形態を説明してきたが、本発明のパイプ/フランジ組立体は、シールを必要とするパイプ/フランジ組立体を備えたあらゆる高圧(HP)、中圧(IP)又は複合HP/IP蒸気タービンにおいて使用することができることを理解されたい。
【0015】
本明細書における「第1の」、「第2の」などの用語は、何らの順序、数量又は重要度を表すものではなく、むしろ1つの要素を別の要素から区別するために使用しており、また本明細書における数詞を付していない表現は、数量の限定を表すものではなく、むしろ記載した事項の少なくとも1つが存在することを表している。数量と関連して使用する「約」と言う修飾語は、記述した数値を包含しかつ文脈によって決まる意図的意味を有する(例えば、特定の数量の測定に関連する誤差の程度を含む)。
【0016】
本明細書では、様々な実施形態について説明しているが、当業者が要素の様々な組合せ、それらの変形或いは改良を行なうことができ、またそれらが本発明の技術的範囲内にあることは、本明細書から分かるであろう。さらに、本発明の技術的範囲から逸脱せずに特定の状況及び物的事項を本発明の教示に適合させるように、多くの変更を加えることができる。従って、本発明は、本発明を実施するために考えられる最良の形態として開示した特定の実施形態に限定されるものではないこと、また本発明は、特許請求の範囲の技術的範囲内に属する全ての実施形態を含むことになることを意図している。
【符号の説明】
【0017】
102 パイプ
104 パイプピン
106 フランジ
107 外側シェル
108 フランジピン
109 ボルト
110 ロックスリーブ
112 第1の端部
114 第2の端部
116、118 開口部
122 湾曲端縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプ(102)及びフランジ(106)間に配置されて該フランジ(106)に対する該パイプ(102)の回転の減少又は防止の少なくともいずれかを行なうフランジ(106)−パイプ(102)組立体で使用するための回転防止ロックスリーブ(110)であって、
前記パイプ(102)から半径方向外向きに延びる2以上のパイプ(102)ピンを受けるように構成された、該ロックスリーブ(110)の第1の端部(112)内の2以上の開口部(116、118)と、
前記フランジ(106)から半径方向内向きに延びる4以上のフランジ(106)ピンを受けるように構成された、該ロックスリーブ(110)の第2の端部(114)内の4以上の開口部(116、118)と
を含む回転防止ロックスリーブ。
【請求項2】
該ロックスリーブ(110)の第1の端部(112)内の2以上の開口部(116、118)が、互いに対して約180°離れて配置された2つの開口部(116、118)を含む、請求項1記載の回転防止ロックスリーブ。
【請求項3】
該ロックスリーブ(110)の第1の端部(112)内の2以上の開口部(116、118)が、該ロックスリーブ(110)の第1の端部(112)から前記第2の端部(114)に向けて長手方向に延びるスロットを含む、請求項1記載の回転防止ロックスリーブ。
【請求項4】
該ロックスリーブ(110)の第1の端部(112)内のスロットが、該第1の端部(112)の外周から該第1の端部(112)の内周を通り抜けて該ロックスリーブ(110)の第1の端部(112)を貫通して半径方向内向きに延びる、請求項3記載の回転防止ロックスリーブ。
【請求項5】
該ロックスリーブ(110)の第2の端部(114)内の4以上の開口部(116、118)が、該ロックスリーブ(110)の第1の端部(112)内の2以上の開口部(116、118)に対して千鳥配置される、請求項1記載の回転防止ロックスリーブ。
【請求項6】
前記第2の端部(114)内の4以上の開口部(116、118)が、互いに対して約90°離れて配置された4つの開口部(116、118)を含む、請求項1記載の回転防止ロックスリーブ。
【請求項7】
該ロックスリーブ(110)の第2の端部(114)内の4以上の開口部(116、118)が、該第2の端部(114)の外周内にポケットを含み、前記ポケットが、前記第2の端部(114)の外周から該第2の端部(114)の内周に向けて半径方向内向きに延びる、請求項1記載の回転防止ロックスリーブ。
【請求項8】
該ロックスリーブ(110)の第2の端部(114)内のポケットが、1以上の湾曲端縁部(122)を含む、請求項7記載の回転防止ロックスリーブ。
【請求項9】
該ロックスリーブ(110)の第2の端部(114)の外径が、該ロックスリーブ(110)の第1の端部(112)の外径よりも大きい、請求項1記載の回転防止ロックスリーブ。
【請求項10】
回転防止フランジ(106)−パイプ組立体であって、
それから半径方向外向きに延びる2以上のパイプピン(104)を備えたパイプ(102)と、
それから半径方向内向きに延びる4以上のフランジピン(108)を備えたフランジ(106)と、
前記パイプ(102)及びフランジ(106)間に配置されて該フランジ(106)に対する該パイプ(102)の回転の減少又は防止の少なくともいずれかを行なうロックスリーブ(110)と
を含み、前記ロックスリーブ(110)が、該ロックスリーブ(110)の第1の端部(112)内に設けられかつ前記2以上のパイプピン(104)を受けるように構成された2以上の開口部(116、118)と、該ロックスリーブ(110)の第2の端部(114)内に設けられかつ前記4以上のフランジピン(108)を受けるように構成された4以上の開口部(116、118)とを含む、回転防止フランジ−パイプ組立体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−52825(P2011−52825A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185751(P2010−185751)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】