説明

パイロ技術的なアクチュエータ

本発明は、アクチュエータであって、ハウジング(1)と、コンタクトピン(5)を備えた点火エレメント(4)とが設けられており、ハウジング(1)内に、ピン(3)を備えたピストン(2)が、長手方向移動可能に挿入されており、コンタクトピン(5)が、ハウジング(1)の接続側(6)でハウジング(1)を越えて突出しており、ピストン(2)が、点火エレメント(4)の点火時に、形成された駆動ガスによって操作側(7)に向かって、ピン(3)が、操作側(7)でハウジング(1)を越えて突出するまで移動させられるようになっている形式のものに関する。より廉価な製作のためには、ハウジング(1)が、一体にかつ円筒状に形成されており、接続側(6)が、ハウジング(1)の端面(9)で円筒状のカバー(10)によって該カバー(10)の射出成形または接着により取り囲まれていることが提案される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータであって、ハウジングと、コンタクトピンを備えた点火エレメントとが設けられており、ハウジング内に、ピンを備えたピストンが、長手方向移動可能に挿入されており、コンタクトピンが、ハウジングの接続側でハウジングを越えて突出しており、ピストンが、点火エレメントの点火時に、形成された駆動ガスによって操作側に向かって、ピンが、操作側でハウジングを越えて突出するまで移動させられるようになっている形式のものに関する。
【0002】
さらに、本発明は、アクチュエータを製作するための方法に関する。
【0003】
このような形式のアクチュエータでは、ハウジングが支持リングを有している。この支持リングは点火エレメントを支持している。これは、比較的手間をかけて製作されなければならないものの、大きな機械的な安定性の利点を有している。
【0004】
本発明の課題は、公知先行技術によるアクチュエータを改良して、アクチュエータを廉価に製作することができるようにし、さらに、このアクチュエータを製作するための方法を提供することである。
【0005】
この課題を解決するために本発明のアクチュエータでは、ハウジングが、一体にかつ円筒状に形成されており、接続側が、ハウジングの端面で円筒状のカバーによって該カバーの射出成形または接着により取り囲まれているようにした。
【0006】
本発明のアクチュエータの有利な態様によれば、ハウジングの外周面に接続側で半径方向の拡張部が配置されており、該拡張部が、カバーの射出成形または接着により一緒に取り囲まれている。
【0007】
本発明のアクチュエータの有利な態様によれば、点火エレメントが、コンタクトピンを除いてハウジング内に接続側で押し込まれている。
【0008】
本発明のアクチュエータの有利な態様によれば、点火エレメントの、コンタクトピンが突出した底部が、ハウジングの端面に整合して形成されている。
【0009】
本発明のアクチュエータの有利な態様によれば、アクチュエータの操作されていない状態において、ピストンが、点火エレメントに接触している。
【0010】
本発明のアクチュエータの有利な態様によれば、ピストンと点火エレメントとが、同一の直径を有している。
【0011】
本発明のアクチュエータの有利な態様によれば、ピストンの直径が、点火エレメントの直径よりも小さく寸法設定されている。
【0012】
本発明のアクチュエータの有利な態様によれば、ハウジングが、第1の孔と第2の孔とを有しており、第1の孔内に点火エレメントが押し込まれており、第2の孔内に、ピンを備えたピストンが押し込まれており、第1の孔が、第2の孔よりも大きな直径を有しており、両孔が、ハウジングの長手方向において互いに隣接しており、これによって、点火エレメントを支持する段付け部が形成されている。
【0013】
本発明のアクチュエータの有利な態様によれば、ピストンの外周面に、全周にわたって延びる溝が配置されており、該溝内にシールリングが挿入されている。
【0014】
さらに、前述した課題を解決するために本発明の方法では、ハウジングを接続側でカバーによって該カバーの射出成形により取り囲む前に、ピストンと点火エレメントとをハウジング内に押し込み、射出成形による取囲み時に点火エレメントをコンタクトピンにおいて位置決めするか、またはピストンを位置決めしかつ点火エレメントをピストンまたは段付け部に向かって押圧するようにした。
【0015】
本発明によって、公知先行技術において慣用であるような支持リングが不要となる。部材数が減少させられている。
【0016】
ハウジングの外周面には、接続側において、有利には半径方向の拡張部が配置されている。この拡張部はカバーの射出成形または接着により一緒に取り囲まれている。これによって、カバーがハウジングに固く位置固定されている。
【0017】
点火エレメントは、有利にはコンタクトピンを除いてハウジング内に接続側で押し込まれている。
【0018】
本発明による1つの態様では、点火エレメントの、コンタクトピンが突出した底部が、ハウジングの端面に整合して形成されている。この事例では、点火エレメントの底部がハウジングの端面と共に1つの面を形成している。
【0019】
有利には、アクチュエータの操作されていない状態において、ピストンが点火エレメントに接触している。点火エレメントがまだ作動させられていない引渡し状態が、「操作されていない状態」と呼ばれる。
【0020】
1つの態様では、ピストンと点火エレメントとが同一の直径を有している。
【0021】
別の態様では、ピストンの直径が点火エレメントの直径よりも小さく寸法設定されている。
【0022】
この場合、有利には、ハウジングが第1の孔と第2の孔とを有している。第1の孔内には、点火エレメントが押し込まれており、第2の孔内には、ピンを備えたピストンが押し込まれている。この場合、第1の孔は第2の孔よりも大きな直径を有している。両孔はハウジングの長手方向において互いに隣接している。これによって、点火エレメントを支持する段付け部が形成されている。
【0023】
有利には、ピストンの外周面に、全周にわたって延びる溝が配置されている。この溝内には、シールリングが挿入されている。
【0024】
アクチュエータを製作するための本発明による方法は、ハウジングを接続側でカバーによって該カバーの射出成形により取り囲む前に、ピストンと点火エレメントとをハウジング内に押し込み、射出成形による取囲み時に点火エレメントをコンタクトピンにおいて位置決めするか、またはピストンを位置決めしかつ点火エレメントをピストンまたは段付け部に向かって押圧することによって特徴付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明によるアクチュエータの1つの実施形態の縦断面図である。
【図2】本発明によるアクチュエータの択一的な実施形態の縦断面図である。
【0026】
以下に、本発明を2つの図面につき詳しく説明する。
【0027】
図1には、縦断面図で本発明によるアクチュエータの1つの実施形態が示してある。このアクチュエータは一体の円筒状のハウジング1を備えている。「一体」とは、本明細書全体において常にカバー10なしのハウジング1にしか適用されない。
【0028】
ハウジング1はその接続側6で開放しており、これによって、ピン3を備えたピストン2が押込み可能となる。このピストン2はハウジング1の内径と同じ直径を有している。操作側7では、ハウジング1の端面に孔が加工されている。この孔内には、ピン3がガイドされている。ピストン2はその外周面に、全周にわたって延びる溝16を有している。この溝16内には、それぞれ1つのシールリング17が嵌め込まれており、これによって、ピストン2がハウジング1内にシールされてガイドされている。ピストン2がその始端位置(この始端位置しか図1には示していない)から終端位置に移動させられると、同時にピン3も移動させられる。このピン3はハウジング1の内径よりも小さな直径を有しており、これによって、ピン3がピストン2の終端位置ではハウジング1を越えて突出している。このことは、1回の過程の機械的な作動のために使用される。
【0029】
操作側7から見てピストン2の背後では、点火エレメント4がハウジング1内に押し込まれている。点火エレメント4の端面はピストン2に接触している。点火エレメント4の底部11から、2つのコンタクトピン5が突出している。両コンタクトピン5は、点火エレメント4への点火電流の案内のために働く。この点火エレメント4が点火電流によって作動させられると、ピストン2ひいてはピン3を接続側6から操作側7に向かって移動させる駆動ガスが形成される。この結果として、ピン3がハウジング1を越えて突出する。このことは、制御のために使用される。
【0030】
点火エレメント4の底部11は、ハウジング1の端面9に整合して形成されており、これによって、コンタクトピン5しかハウジング1を越えて突出していない。ハウジング1を閉鎖するためには、接続側6を取り囲むカバー10が設けられている。このカバー10はハウジング1の接続側6を取り囲むように射出成形されるかまたは接着される。
【0031】
カバー10が固定されているようにするためには、接続側6でハウジング1の外周面に半径方向の拡張部8が配置されている。この拡張部8は、たとえば外周面に全周にわたって形成されている。したがって、接続側6がハウジング1の端面9および拡張部8で円筒状のカバー10によって射出成形または接着により取り囲まれている。コンタクトピン5しかカバー10を越えて突出していない。
【0032】
したがって、図1に示したアクチュエータは4つの部材、つまり、ハウジング1、ピン3を備えたピストン2、点火エレメント4およびカバー10からしか成っていない。これによって、アクチュエータを廉価に製作することができる。
【0033】
図2には、縦断面図で本発明によるアクチュエータの択一的な実施形態が示してある。ここでは、ハウジング1が、第1の孔12と第2の孔13とを有している。第1の孔12内には、点火エレメント4が押し込まれており、第2の孔13内には、ピン3を備えたピストン2が押し込まれている。この場合、第1の孔12は第2の孔13よりも大きな直径を有している。両孔12,13はハウジング1の長手方向14において互いに隣接している。これによって、点火エレメント4を支持する段付け部15が形成されている。拡張部8およびカバー10に関して、この実施形態は、図1に示した実施形態と同一である。
【0034】
以下に、前述したアクチュエータを製作するための方法を2つの択一形態で説明する。両択一形態では、第1の方法ステップにおいて、射出成形によるカバー10での取囲み前にピストン2と点火エレメント4とがハウジング1内に押し込まれる。
【0035】
その後、射出成形による取囲み時に(図1に示したアクチュエータを製作するために)点火エレメント4がコンタクトピン5において位置決めされ、その後、ハウジング1がカバー材料の射出成形によりカバー10で取り囲まれるか、または(図2に示したアクチュエータを製作するために)ピストン2が位置決めされ、かつ点火エレメント4がピストン2または段付け部15に向かって押圧され、その後、ハウジング1がカバー材料の射出成形によりカバー10で取り囲まれる。
【符号の説明】
【0036】
1 ハウジング
2 ピストン
3 ピン
4 点火エレメント
5 コンタクトピン
6 接続側
7 操作側
8 拡張部
9 端面
10 カバー
11 底部
12 第1の孔
13 第2の孔
14 長手方向
15 段付け部
16 溝
17 シールリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータであって、ハウジング(1)と、コンタクトピン(5)を備えた点火エレメント(4)とが設けられており、ハウジング(1)内に、ピン(3)を備えたピストン(2)が、長手方向移動可能に挿入されており、コンタクトピン(5)が、ハウジング(1)の接続側(6)でハウジング(1)を越えて突出しており、ピストン(2)が、点火エレメント(4)の点火時に、形成された駆動ガスによって操作側(7)に向かって、ピン(3)が、操作側(7)でハウジング(1)を越えて突出するまで移動させられるようになっている形式のものにおいて、ハウジング(1)が、一体にかつ円筒状に形成されており、接続側(6)が、ハウジング(1)の端面(9)で円筒状のカバー(10)によって該カバー(10)の射出成形または接着により取り囲まれていることを特徴とする、アクチュエータ。
【請求項2】
ハウジング(1)の外周面に接続側(6)で半径方向の拡張部(8)が配置されており、該拡張部(8)が、カバー(10)の射出成形または接着により一緒に取り囲まれている、請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項3】
点火エレメント(4)が、コンタクトピン(5)を除いてハウジング(1)内に接続側(6)で押し込まれている、請求項1または2記載のアクチュエータ。
【請求項4】
点火エレメント(4)の、コンタクトピン(5)が突出した底部(11)が、ハウジング(1)の端面(9)に整合して形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のアクチュエータ。
【請求項5】
アクチュエータの操作されていない状態において、ピストン(2)が、点火エレメント(4)に接触している、請求項1から4までのいずれか1項記載のアクチュエータ。
【請求項6】
ピストン(2)と点火エレメント(4)とが、同一の直径を有している、請求項1から5までのいずれか1項記載のアクチュエータ。
【請求項7】
ピストン(2)の直径が、点火エレメント(4)の直径よりも小さく寸法設定されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のアクチュエータ。
【請求項8】
ハウジング(1)が、第1の孔(12)と第2の孔(13)とを有しており、第1の孔(12)内に点火エレメント(4)が押し込まれており、第2の孔(13)内に、ピン(3)を備えたピストン(2)が押し込まれており、第1の孔(12)が、第2の孔(13)よりも大きな直径を有しており、両孔(12,13)が、ハウジング(1)の長手方向(14)において互いに隣接しており、これによって、点火エレメント(4)を支持する段付け部(15)が形成されている、請求項7項記載のアクチュエータ。
【請求項9】
ピストン(2)の外周面に、全周にわたって延びる溝(16)が配置されており、該溝(16)内にシールリング(17)が挿入されている、請求項1から8までのいずれか1項記載のアクチュエータ。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項記載のアクチュエータを製作するための方法において、ハウジング(1)を接続側(6)でカバー(10)によって該カバー(10)の射出成形により取り囲む前に、ピストン(2)と点火エレメント(4)とをハウジング(1)内に押し込み、射出成形による取囲み時に点火エレメント(4)をコンタクトピン(5)において位置決めするか、またはピストン(2)を位置決めしかつ点火エレメント(4)をピストン(2)または段付け部(15)に向かって押圧することを特徴とする、アクチュエータを製作するための方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−539401(P2010−539401A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524484(P2010−524484)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際出願番号】PCT/EP2008/062057
【国際公開番号】WO2009/037185
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(506207886)ルアグ アモテック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (5)
【氏名又は名称原語表記】RUAG Ammotec GmbH
【住所又は居所原語表記】Kronacher Strasse 63, D−90765 Fuerth, Germany
【Fターム(参考)】