説明

パウチ容器

【課題】良好な自立安定性を確保することができるボトムガセットタイプのパウチ容器を提供する。
【解決手段】フレキシブルシートによって袋状に形成された容器本体10と、この容器本体10に装着される注入用スパウト20及び注出用スパウト30とを備えている。容器本体10は、表裏一対の外装シート11と、両外装シート11の下端部から内側に折り込まれてボトムガセット部を形成するガセットシート12とから構成されており、折り込まれたガセットシート12の内面の周縁が外装シート11の周縁部にヒートシールされると共に、外装シート11の周縁部同士が相互にヒートシールされることで、袋状に形成されている。底シール部BSPには、ボトムガセット部を拡げたときに、底シール部BSPの下縁中央部と同一高さ位置を通る等高ラインよりも上側に押し罫線10Aが形成されており、その押し罫線10Aの上側にポイントシール部が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、清涼飲料等の液体飲料や食品、医薬品、洗剤等の液体や粘性体を充填するボトムガセットタイプのパウチ容器、特に、自立安定性に優れたパウチ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のパウチ容器としては、例えば、図7に示すように、袋状に形成された容器本体51にスパウト52を装着したスパウト付きのパウチ容器50がある。このパウチ容器50は、図8(a)、(b)に示すように、表裏一対の外装シート51aの下端部からガセットシート51bが内側に折り込まれ、そのガセットシート51bの周縁部が外装シート51aにヒートシールされると共に外装シート51aの上縁部及び両側縁部が相互にヒートシールされることによって袋状に形成されており、二つ折りされたガセットシート51bにヒートシールされた両外装シート51aの下部側の両側縁部が開かないように、一方の外装シート51aとガセットシート51bとがヒートシールされた一方の底シール部BSにおける両側縁の下部と、他方の外装シート51aとガセットシート51bとがヒートシールされた他方の底シール部BSにおける両側縁の下部とがそれぞれポイントシールされている。なお、図8(a)における網掛け表示部分がヒートシール部分を示しており、濃い網掛け表示部分がポイントシール部分を示している。
【0003】
ところで、上述したようなボトムガセットタイプのパウチ容器50の場合、内容物を充填すると、容器本体51のボトムガセット部が広がることになるが、図9(a)、(b)に示すように、ポイントシールされているためにほとんど広がらない両側部に比べて、大きく広がる中央部は、その下端縁が、両側部に比べて高くなり、載置面から浮き上がった状態となるので、自立安定性が低下するといった問題がある。
【0004】
この問題を解決するために、図10(a)に示すように、内容物を充填した状態、即ち、ボトムガセット部が広がった状態で、容器本体51の下端縁が、容器本体51の全幅にわたって載置面に接触するように、容器本体51の下端縁の中央部を予め下方側に膨らませた形状にしたり(実開平1−128543号公報参照)や、同図(b)に示すように、内容物が充填されたパウチ容器を載置したときに、高さ位置が低い両側部側の下縁部が外側に広がるように、容器本体51の下端縁とポイントシールとの間にある程度の間隔を確保したりする手法(実公昭63−8604号公報参照)が提案されている。
【0005】
【特許文献1】実開平1−128543号公報
【特許文献2】実公昭63−8604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、同図(a)に示すように、容器本体51の下端縁の中央部を下方側に膨らませる場合は、ボトムガセット部の広がり状態を想定して下端縁となるカットラインを設定し、製袋工程において、容器本体51を所望の形状に打ち抜くことになるが、柔軟性シートによって形成されているため、形状が定まらないパウチ容器では、必ずしも、容器本体51の下端縁が、容器本体51の全幅にわたって載置面に接触するとは限らないという問題がある。
【0007】
また、同図(b)に示すように、容器本体51の下端縁とポイントシールとの間にある程度の間隔を確保したとしても、容器本体51を形成しているシートの剛性等によっては、容器本体51の両側部側の下縁部が外側に広がりにくいといった問題がある。
【0008】
そこで、この発明の課題は、良好な自立安定性を確保することができるボトムガセットタイプのパウチ容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1にかかる発明は、表裏一対の外装シート及び両外装シートの下端部から内側に折り込まれてボトムガセット部を形成するガセットシートを備え、前記ガセットシートの周縁部が前記外装シートの下部側周縁部にヒートシールされると共に前記外装シートにおける前記ガセットシートより上側の周縁部が相互にヒートシールされることによって袋状に形成され、一方の前記外装シートと前記ガセットシートとがヒートシールされた一方の底シール部における両側縁の下部と、他方の前記外装シートと前記ガセットシートとがヒートシールされた他方の底シール部における両側縁の下部とがそれぞれポイントシールされたボトムガセットタイプのパウチ容器において、前記底シール部には、前記ボトムガセット部を拡げたときに、前記底シール部の下縁中央部と同一高さ位置を通る等高ラインまたはその等高ラインよりも上側に、その等高ラインよりも下側部分を外側に拡げるための折曲用罫線を形成し、その折曲用罫線の上側でポイントシールを行ったことを特徴とするパウチ容器を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、請求項1にかかる発明のパウチ容器では、ボトムガセット部を拡げたときに、底シール部の下縁中央部と同一高さ位置を通る等高ラインまたはその等高ラインよりも上側に、その等高ラインよりも下側部分を外側に拡げるための折曲用罫線を形成し、その折曲用罫線の上側でポイントシールを行ったので、底シール部の下縁部分が折曲用罫線で外側に折り曲げられ、底シール部における等高ラインよりも下側部分を確実に外側に拡げることができる。従って、内容物を充填したパウチ容器を載置したときに、底シール部の下縁中央部が浮き上がることがなく、良好な自立安定性を確保することができる。
【0011】
また、従来のパウチ容器のように、底シール部を等高ラインでカットする場合は、上述したように、必ずしも、容器本体の下端縁が、容器本体の全幅にわたって載置面に接触するとは限らないが、このパウチ容器では、底シール部を外側に折り曲げるようにしているので、容器本体の変形に対する追従性に優れており、底シール部を容器本体の全幅にわたって載置面に確実に接触させることができる。
【0012】
このように、本発明のパウチ容器は、良好な自立安定性を備えているので、載置した状態でスパウトの口部から液体等を注入するスパウト付きのパウチ容器に特に適しているといえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1(a)、(b)は、流動食等の内容物が充填されるボトムガセットタイプのパウチ容器であり、フレキシブルシートによって袋状に形成された容器本体10と、この容器本体10に装着される、希釈水等を注入するための注入用スパウト20及び内容物を注出するための注出用スパウト30とを備えている。
【0014】
前記容器本体10は、図2に示すように、二軸延伸ポリエステルフィルムや二軸延伸ポリアミドフィルム等からなる基材層に、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンやメタロセン系ポリエチレン等からなるシーラント層がラミネートされたフレキシブルシート(必要に応じて、基材層にアルミニウム箔、酸化ケイ素等の無機物を蒸着したガスバリア層を積層してもよい。)によって形成された表裏一対の外装シート11、11と、両外装シート11、11の下端部から内側に折り込まれてボトムガセット部を形成する、外装シート11と同一構造のフレキシブルシートによって形成されたガセットシート12とから構成されており、同図に示すように、折り込まれたガセットシート12の内面の周縁が外装シート11、11の下部側周縁部の内面にヒートシールされると共に、外装シート11、11におけるガセットシート12よりも上側の周縁部における内面同士が相互にヒートシールされることで、袋状に形成されている。なお、同図における網掛け表示部分が、容器本体10のヒートシール部分を示している。
【0015】
この容器本体10を形成している外装シート11、11は、長方形の上端コーナー部がそれぞれ切除されることによって形成された傾斜縁SE1、SE2を有する略六角形状をしており、容器本体10における一方の傾斜縁SE1に注入用スパウト20が装着され、他方の傾斜縁SE2側における外装シート11、11の側縁EVEに注出用スパウト30が装着されていると共に、一方の傾斜縁SE1側におけるヒートシールされた外装シート11、11の側縁EVEには、このパウチ容器1を吊り下げるための吊下穴10Bが形成されている。
【0016】
また、ガセットシート12の両側縁GVEには、二つ折りした状態で相互に一致する切欠部12aがそれぞれ形成されており、この切欠部12aを介して、外装シート11、11の両側縁EVEにおける下端部同士が部分的にヒートシール(ポイントシール)されている。なお、同図における濃い網掛け表示部分がポイントシール部分を示している。
【0017】
外装シート11、11とガセットシート12とがそれぞれヒートシールされた底シール部BSPには、図2及び図3に示すように、ボトムガセット部を拡げたときに、底シール部BSPの下縁中央部と同一高さ位置を通る、図2に一点鎖線で示す等高ラインよりも上側に、外装シート11側から罫線刃を押し付けることによって窪ませた押し罫線10Aが形成されており、その押し罫線10Aの上側にポイントシール部が配置されている。
【0018】
以上のように構成されたパウチ容器1は、図4に示すように、注出用スパウト30が下を向くように、吊下穴10BをフックFC等に引っかけて吊り下げた状態で、注出用スパウト30から内容物を注出することになるが、希釈水等を注入する場合は、図1(a)、(b)に示すように、ボトムガセット部が下を向くように、フラット面に載置した状態で、注入用スパウト20のスクリューキャップを外して、その口部から希釈水等を注入することができる。このとき、底シール部BSPは、図1(a)、(b)及び図5に示すように、押し罫線10A部分で折れ曲がり、底シール部BSPにおける等高ラインよりも下側部分が確実に外側に拡がるので、底シール部BSPの下縁中央部が浮き上がることがなく、良好な自立安定性を確保することができる。
【0019】
特に、このパウチ容器1では、底シール部BSPを押し罫線10A部分で外側に折り曲げるようにしているので、等高ラインを設定する際に想定した形状とは異なる形状に容器本体10が変形した場合でも、底シール部BSPの拡がり角度が変化することで、容易に追従し、底シール部BSPを容器本体10の全幅にわたって載置面に確実に接触させることができる。
【0020】
従って、このパウチ容器1では、ボトムガセット部が下を向くように、フラット面に載置した状態で、上方に傾斜した注入用スパウト20から容器本体10に希釈水等を注入する場合に、パウチ容器1ががたつくことがなく、希釈水等を円滑かつ確実に注入することができる。このように、ボトムガセット部が下を向くように載置した状態で、注入用スパウトの注入口が上方を向くように形成されたパウチ容器は、安定して希釈水等を注入し易いため、経口流動食等に好適である。
【0021】
なお、上述した実施形態では、底シール部BSPの下縁中央部と同一高さ位置を通る等高ラインよりも上側に押し罫線10Aを形成しているが、これに限定されるものではなく、等高ライン上に押し罫線を形成することも可能である。
【0022】
また、上述した実施形態では、パウチ容器1における正面側の底シール部BSPと裏面側の底シール部BSPの同一位置に押し罫線10Aを形成しているが、これに限定されるものではなく、例えば、図6(a)、(b)に示すように、正面側の底シール部BSPに形成する押し罫線10Aaと、裏面側の底シール部BSPに形成する押し罫線10Abとを上下方向に位置ずれさせるようにしてもよく、このようにしておくことで、製袋工程において、正面側及び裏面側の底シール部BSP、BSPの間にスペーサを挿入することなく、正面側及び裏面側の双方から罫線刃で挟み込むことが可能となる。ただし、下側の押し罫線10Abについては、等高ライン上またはその等高ラインよりも上側に形成しなければならないことは言うまでもない。
【0023】
また、上述した実施形態では、底シール部BSPに押し罫線10Aを形成しているが、これに限定されるものではなく、ハーフカット、ミシン目状罫線等を採用することも可能である。特に、ミシン目罫線を採用する場合は、底シール部BSPが外側に折れ曲がるように、予め、開き癖を付けておくことが望ましい。
【0024】
また、上述した実施形態では、注入用スパウト20及び注出用スパウト30といった2種類のスパウトが装着されたスパウト付きのパウチ容器について説明したが、これに限定されるものではなく、スパウトが一つだけ装着されたパウチ容器や、スパウトのないパウチ容器についても、本発明を適用することができることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】(a)はこの発明にかかるパウチ容器の一実施形態を示す斜視図、(b)は同上のパウチ容器を示す側面図である。
【図2】同上のパウチ容器における内容物を充填する前の状態を示す正面図である。
【図3】同上のパウチ容器におけるポイントシール部分を縦断する縦断面図である。
【図4】同上のパウチ容器の使用方法を説明するための説明図である。
【図5】同上のパウチ容器を載置したときのポイントシール部分を縦断する縦断面図である。
【図6】(a)は他の実施形態であるパウチ容器を示す正面図、(b)は同上のパウチ容器を示す裏面図である。
【図7】一般的なボトムガセットタイプのパウチ容器を示す斜視図である。
【図8】(a)及び(b)は同上のパウチ容器における内容物を充填する前の状態を示す正面図及び側面図である。
【図9】(a)及び(b)は同上のパウチ容器の問題点を説明するための説明図である。
【図10】(a)、(b)は、同上のパウチ容器の問題点を解決するための従来の手法を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0026】
1 パウチ容器
10 容器本体
10A、10Aa、10Ab 押し罫線
10B 吊下穴
11 外装シート
12 ガセットシート
12a 切欠部
20 注入用スパウト
30 注出用スパウト
BSP 底シール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏一対の外装シート及び両外装シートの下端部から内側に折り込まれてボトムガセット部を形成するガセットシートを備え、
前記ガセットシートの周縁部が前記外装シートの下部側周縁部にヒートシールされると共に前記外装シートにおける前記ガセットシートより上側の周縁部が相互にヒートシールされることによって袋状に形成され、
一方の前記外装シートと前記ガセットシートとがヒートシールされた一方の底シール部における両側縁の下部と、他方の前記外装シートと前記ガセットシートとがヒートシールされた他方の底シール部における両側縁の下部とがそれぞれポイントシールされたボトムガセットタイプのパウチ容器において、
前記底シール部には、前記ボトムガセット部を拡げたときに、前記底シール部の下縁中央部と同一高さ位置を通る等高ラインまたはその等高ラインよりも上側に、その等高ラインよりも下側部分を外側に拡げるための折曲用罫線を形成し、
その折曲用罫線の上側でポイントシールを行ったことを特徴とするパウチ容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−161317(P2007−161317A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−361776(P2005−361776)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】