説明

パターンド媒体及びこれを搭載した磁気ディスク装置

【課題】パターンド媒体の平坦化工程において、パターニングした記録磁性体の形状を崩すことなく加工したガード領域を埋め戻し、記録媒体の表面を充分に平坦化した記録媒体を提供する。
【解決手段】パターンド媒体100はデータが記録されない凹状のガード領域104に炭素原子が結合してなる中空フラーレンないしその誘導体である中空炭素クラスタ分子110を充填し、ガード領域の段差は中空クラスタ分子110の平均直径よりも小さいパターンド媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超高密度磁気記録技術における記録媒体及びこれを用いた磁気ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理技術の発達に促され、様々な分野でディジタル化が急速に進行しつつある。従来ハードウェアの代表格であったパーソナルコンピュータやサーバに加え、家電・オーディオ・医療機器などでも大量のディジタルデータを貯える必要性が高まってきた。これら膨大なデータを蓄えるため、不揮発性ファイルシステムの中核である磁気ディスク装置(HDD)はこれまでにも増して急速な大容量化を求められている。磁気ディスク装置の大容量化とは、面記録密度即ち媒体上に記録するビット密度をより高めることを意味する。
【0003】
現在実用化されているHDDでは、面内記録・垂直記録いずれの記録方式においても強磁性多結晶薄膜からなる記録媒体が用いられてきた。図9は、従来の連続記録膜を用いた磁気記録媒体における記録状態の模式図である。従来の多結晶薄膜は強い一軸磁気異方性をもつ磁性粒子201と、それを取り囲む非磁性体202からなるのが一般的である。情報を記録するための基本操作は、記録媒体上の任意の位置に局所的な磁界を印加し、磁化極性を適当なタイミングで反転させることで磁化がほぼ180°変化する境界(磁化遷移)を形成することであり、この磁化遷移203をディジタル情報の1に対応させている。また、この磁化遷移203付近における漏洩磁界分布の空間変化を適当な磁界センサで検出することがデータ再生に相当する。実際には、この記録再生動作の前後に符号化・復号化などの処理を経てHDDにおける情報の入出力が行われている。
【0004】
記録密度とはすなわち磁化遷移203を単位面積内にいくつ書き込めるかであり、これを高めるには磁化遷移203の一つひとつをいかに急峻かつスムーズに形成できるかが最も重要となる。この磁化遷移203は通常、図1に示したように、結晶粒界に沿ったジグザグのミクロ構造を有している。そしてこのジグザグの平均的な幅(遷移幅)が、いわば磁化遷移の急峻性を表しているということができる。この幅が広すぎる場合、ビットの間隔を詰められないために記録密度が増えないというだけでなく、再生信号に大きなノイズが加わるので、低いビット誤り率(BER)での安定した読み取りができないという問題がある。それゆえ現行の磁気記録システムにおいては、遷移幅が記録密度を制限する最も大きな要因のひとつとなっている。
【0005】
磁化遷移203の幅を狭くするには様々な手段が考えられる。特に媒体材料からのアプローチとしては、磁性粒子201を小さくすることでジグザグを縮小することが第一に重要である。しかしながら磁性粒子201を過度に微細化すると、磁気異方性エネルギー(磁化を一方向に向けておこうとするエネルギー)に対する熱エネルギー(磁化を不安定化させるエネルギー)の大きさが無視できなくなり、記録した時の磁化状態を長期間(通常約10年)保存しておくことが困難となる。また、これを防ぐために磁性粒子201の磁気異方性エネルギーを大きくしすぎると、磁気ヘッドからの記録磁界による磁化反転が困難になり、正確に情報を書き込むことが出来なくなってしまう。
【0006】
この問題を解決するために考えられているのがパターンド媒体記録方式である。パターンド媒体とは、図1に略示するように、ディスク面上にデータを記録しうる領域(以下、データ領域11と呼ぶ)と記録不可能な領域(以下、ガード領域12と呼ぶ)を、装置へ組み込む前にあらかじめ画定した記録媒体である。パターンド媒体には、図1(a)のようにデータトラック同士を分離するためにパターニングするディスクリートトラック媒体(Discrete Track Media)と、図1(b)のように個々の記録ビットを分離することを目的としたビットパターンド媒体(BPM:Bit Patterned Media)がある。その製法としては、リソグラフィ技術を用いて凹凸状とすることにより凹部分をガード領域12にする方法が一般的である。ここで問題となるのが、記録再生を行なうための磁気ヘッドスライダの浮上性の問題である。磁気ヘッドスライダは通常、スライダ表面とディスク表面の間に流れる空気の流体力学的な効果により、10nm以下の非常に小さいスペーシングを保ちながら浮上している。このためディスクの表面状態はスライダの浮上安定性に著しく影響し、ディスク表面に凹凸があると磁気ディスク装置の動作信頼性を損なうことになる。このため、パターニング後の平坦化処理は、パターンド媒体を製品に適用する上で最も重要な技術の一つである。
【0007】
磁気ディスク装置ないし磁気記録媒体において、何らかの目的でフラーレン分子を用いる例は、特表2004−519800号公報や特開平7−235045号公報に開示されている。
【0008】
【特許文献1】特表2004−519800号公報
【特許文献2】特開平7−235045号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来考えられていたパターンド媒体の平坦化の方法は、図2に断面図で示すように、パターニング(図2(a))の後で非磁性材料24を堆積させ(図2(b))、しかる後にイオンミリング法やCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて媒体表面の余分な非磁性体を除去するとともに平坦面を形成するという方法である。この方法は、半導体や磁気ヘッドの製造プロセスで実績のある技術のみを用いるため、量産技術として信頼性が高いという利点がある。しかし、これらの技術は膜厚方向の制御性が悪く、数nmの精度で削り量を決めるのは非現実的である。このため、図2(c)のように本来は残さなければならないデータ領域の磁性層の表面25を削り取ったり、図2(d)のようにデータ領域の磁性層上に非磁性層26が残ってしまうといった不都合が起こりうる。前者の場合、データを書き込む部分の磁気特性が劣化するため信号の品質が低下し、結果として記録密度が下がってしまう。また後者の場合は、ヘッドと媒体の実質的なスペーシングが広くなるために高い記録密度のデータを充分低いビット誤り率で再生することが困難となるため、やはり記録密度が下がることになる。このように従来技術の組み合わせによる平坦化手法は、パターンド媒体を用いる本来の目的である高記録密度化を阻害する可能性がある。
【0010】
従って、パターニングした記録磁性体の形状を崩すことなく、またヘッド−媒体間のスペーシングを広げることなく、加工したガード領域を埋め戻し、記録媒体の表面を充分に平坦化できることが望ましい。また、将来の更なる高記録密度化に対応するため、熱アシスト記録用媒体として用いるのに充分な耐熱性をもった材料を充填材に用いることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、炭素原子からなる球状又は楕円体形状の中空炭素クラスタ分子をパターンド媒体加工後の凹状のガード領域に充填する。望ましくは、炭素原子20個以上又は60個以上からなるフラーレン分子を用いる。また、記録磁性体への密着性を高めるため、親水基を含む官能基を付与したフラーレン誘導体を用いてもよい。
【0012】
なお、特表2004−519800号公報や特開平7−235045号公報に開示された技術は、従来の高分子系潤滑材に換わるヘッド−ディスク・インターフェイスを提供するため媒体表面部分にフラーレン分子を付着させており、パターニングによって人工的な凹凸構造を形成した場合の平坦化手法とは無関係である。
【発明の効果】
【0013】
パターンド媒体のガード領域に充填する材料としてフラーレンないしその誘導体分子を用いることで、処理の簡易性、充分な平坦性及び高い耐熱性が同時に実現し、余分な加工コストのかからない高密度記録が可能かつ高信頼性を有する記録媒体を提供出来る。
【0014】
本発明により、1Tb/in2を超える超高記録密度のパターンド媒体を用いた小型大容量かつ信頼性の高い磁気ディスク装置を低コストで実現することが出来た。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を適用した具体的な磁気記録媒体及び磁気ディスク装置について、図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
図3は、本発明を適用した第一の実施例におけるパターンド媒体100とこれに情報を書き込むための磁気ヘッドスライダ31を示した断面模式図である。磁気ヘッドスライダ31には、記録素子21と再生素子22が搭載されている。
【0017】
ガラス基板上の記録磁性体層101は凹凸形状に加工され、これによりデータ領域103とガード領域104に分割されている。記録磁性体層101の凹部にあたるガード領域104には中空炭素クラスタ分子110が充填されている。媒体表面には保護層及び潤滑層102が形成されている。ここでデータ領域・ガード領域各々の特徴的なサイズは10nmであり、パターンの面密度は1平方インチあたり1.6テラビットである。
【0018】
本発明による磁気記録媒体の製造プロセスを、図4(a)〜(e)に示した。まず、図4(a)に示すように、直径2.5インチのガラス基板51上に密着層52、Coを主成分とする軟磁性裏打ち層(SUL)53、Ruを主成分とする中間層54及び記録磁性層55をマグネとロンスパッタ法により製膜した。次に、図4(b)に示すように、レジスト樹脂を用いた電子線ないし光リソグラフィ法もしくは、紫外線硬化樹脂・熱硬化樹脂を用いたインプリント・リソグラフィ法により作成したマスクパターンをエッチングにより記録磁性層55と中間層54に転写した。このとき、中間層54までパターンを転写することで充填材をより安定に定着させることが可能となる。但し、軟磁性裏打ち層53まで転写すると、軟磁性裏打ち層53内の磁区構造が乱れてノイズ源となり、記録再生性能を損ねることが分かった。
【0019】
このように作成した凹凸つきのディスクに、図4(c)に示すように、中空炭素クラスタ分子110を混入した揮発性の溶剤を塗布し、中空炭素クラスタ分子110がディスク全体にわたって凹部に均一かつ稠密に充填されるよう適当な処理を施す。この状態ではディスクの凹部のみならず表面にも多数の中空炭素クラスタ分子110が付着しているため、図4(d)に示すように、表面部分に付着した中空炭素クラスタ分子のみを取り除く。このとき、例えば高圧の不活性ガスあるいは液体を吹き付ける等の手法により、記録磁性層表面にダメージを与えることなく表面部分のクラスタ分子を除去することが可能で、図2(d)に示したような特性上好ましくない形状にすることなく、平滑化することが可能である。最後に、図4(e)に示すように、通常の磁気記録メディアと同様に、厚さ20Åのカーボン保護層102を形成し、更に例えばMontedison社のZ-dolのような潤滑材を塗布することで安定なヘッド−ディスク・インターフェイスを確保した。なお、記録磁性層表面とガード領域では表面の材料および状態が異なるためカーボン保護膜の膜質への影響が懸念されたが、膜密度や表面平滑性に関して大きな差は見られなかった。
【0020】
このようにして作製したパターンド媒体は、ガード領域を構成する凹部に中空炭素クラスタ分子110が密に充填されているため、データ領域表面とガード領域表面の段差は中空炭素クラスタ分子一個の直径よりも小さくすることができる。ここでは、中空炭素クラスタ分子として炭素原子60個からなるフラーレンC60を用いた。C60分子の模式図を、図5に示す。C60の直径は0.7nmであり、充填の結果、媒体表面の段差は平均で0.3nmと充分に小さくすることができた。この平坦化された記録媒体上に炭素を主成分とする保護層とフッ素系高分子を主成分とする潤滑層を形成し、適当な後処理を経て磁気ディスクを作製した。なお、ここでは基板として化学硬化ガラスを用いたが、装置の仕様によってはアルミ基板を用いることもあり、この場合もまったく同じ作製プロセスが適用可能である。この記録媒体上で記録素子21及び再生素子22を搭載した磁気ヘッドスライダ31を浮上量5nmでグライドさせ、記録再生特性を評価したところ、パターン密度に相当する面記録密度1.6Tbpsiにおいてビット誤り率10-5を実現することができた。
【0021】
なお、中空炭素クラスタ分子に含まれる炭素原子数を適度に調整することで、ガード領域の充填密度や表面平坦性を自由にコントロールすることが可能である。本実施例では、炭素の中空炭素クラスタ分子として、C70,C74,C76,C78あるいは炭素原子数が80以上の場合も試行したが、いずれも同等の記録再生特性を示した。また、これら各種の中空炭素クラスタ分子を混合して用いることにより、高い充填密度を実現することが出来、記録媒体の耐衝撃性や信頼性を高めることができた。
【実施例2】
【0022】
図6に、本発明の第二の実施例であるパターンド媒体100と磁気ヘッドスライダ31の断面模式図を示す。本実施例のパターンド媒体100は、中空炭素クラスタ分子110がパターニングされた磁気記録媒体のガード領域104に充填されているだけでなく、平坦化された後の潤滑層102にも適度に分散され、ヘッド−ディスク間のインターフェイスを構成している。潤滑層102内に分散する方法としては例えば、フラーレンを混合した揮発性溶媒をスピンコート法などによりディスク表面に付着させ、溶媒を充分蒸発させた後に潤滑層を形成することなどがある。また、溶媒に混合する代わりにアルキル鎖がフラーレン表面に絡まるような構造とすることで流動体の性質を発現させたいわゆる液状フラーレンを用いることも可能である。
【0023】
本実施例のパターンド媒体を用いることで、外部からの衝撃により磁気ヘッドスライダ31が記録媒体表面に衝突した場合も、スライダ31が磁性体101に接触して磁気特性を劣化させることがなかった。本実施例では、表面の中空炭素クラスタ分子が何らかの理由で飛散した場合でも凹部に充填された中空炭素クラスタ分子が自然に表面へ移動することで、一定したベアリング効果を生じさせることが可能である。結果として安定した記録再生動作を長時間継続でき、磁気ディスク装置の長期信頼性を高めることができた。
【0024】
また本実施例では、炭素保護膜を省略してもガード部に充填された炭素クラスタ分子は潤滑層により飛散が充分に抑えられたため同等の効果が得られ、低コスト化にも有効であることがわかった。
【実施例3】
【0025】
図7は、中空炭素クラスタ分子に適当な官能基を付与した誘導体を用いた実施例を示す断面模式図である。ここでは、中空炭素クラスタ分子として、親水性を高めるためOHを含む親水基を付与したフラーレン誘導体を用いた。例えばフロンティア・カーボン社のナノムスペクトラのシリーズから、適当な化学修飾フラーレンを選択することが可能である。これにより磁気記録媒体のガード領域104に充填した中空炭素クラスタ分子111及び表面に分散させた中空炭素クラスタ分子111は、媒体材料に対して強固に吸着するため、磁気ヘッドスライダ31を極低浮上でグライドさせても中空炭素クラスタ分子が磁気ヘッドスライダ31に付着するといった問題を起こさなかった。このため、更に高密度のパターンを形成した記録媒体でも良好な記録再生特性が得られた。たとえば3Tbpsiのパターン密度に対して、3×10-5のビット誤り率を得た。なお、本実施例のパターンド媒体100では、データ領域103を含めて媒体表面に吸着した中空炭素クラスタ分子111は、潤滑層の役割を果たす。
【0026】
図8は、本発明のパターンド媒体を用いた磁気ディスク装置の各コンポーネント間の関係を示す概念図である。磁気ヘッドスライダ31を搭載したスライダはサスペンションアーム32により支持され、アクチュエータ33により本発明のパターンド媒体100上で位置決めされて、所望の場所で情報の読み書きを行う。磁気記録媒体100はスピンドルモータ35により回転が制御され、その上にあるサーボ領域にはあらかじめ位置を示す信号(サーボ信号)が記録されており、ヘッドが読み取ったサーボ信号を機構制御系45で処理したうえでアクチュエータ33にフィードバックすることで、閉ループ制御が行われている。
【0027】
外部インターフェイス44を通して入力されたユーザデータは、コントローラ43及びデータ符号・復号系42で磁気記録系に好適な方法で符号化・整形されて記録再生アンプ41において記録電流波形に変換され、この電流が磁気ヘッドスライダ31の記録素子を励磁することで磁気記録媒体100のユーザデータ領域にビットが書き込まれる。逆に書き込まれたビットから出る漏洩磁界は、磁気ヘッドスライダ31の再生素子がセンスすることで電気的信号に変換され、記録再生アンプ41及びデータ符号・復号系42で磁気記録系に好適な方法で波形整形・復号化処理を経てユーザデータが再現される。
【0028】
本実施例により、数Tbpsiの記録密度を持つパターンド媒体を用いて高い信頼性と耐衝撃性をもつ磁気ディスク装置を低コストで提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】(a)はディスクリートトラック媒体の模式図、(b)はビットパターンド媒体の模式図。
【図2】従来のパターンド媒体平坦化工程の説明図。
【図3】本発明によるパターンド媒体の断面模式図。
【図4】本発明によるパターンド媒体の製造プロセスを示す図。
【図5】フラーレン分子の模式図。
【図6】本発明によるパターンド媒体の断面模式図。
【図7】本発明によるパターンド媒体の断面模式図。
【図8】磁気ディスク装置における各要素の接続図。
【図9】従来の連続記録膜を用いた磁気記録媒体における記録状態の模式図。
【符号の説明】
【0030】
11…データ領域、12…ガード領域、21…記録素子、22…再生素子、24…非磁性材料、31…磁気ヘッドスライダ、32…サスペンションアーム、33…アクチュエータ、35…スピンドルモータ、41…記録再生アンプ、42…データ符号・復号系、43…コントローラ、44…外部インターフェイス、45…機構制御系、51…ガラス基板、52…密着層、53…軟磁性裏打ち層、54…中間層、55…記録磁性層、100…パターンド媒体、101…記録磁性体層、102…保護層及び潤滑層、103…データ領域、104…ガード領域、110…中空炭素クラスタ分子、111…中空炭素クラスタ分子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板上に形成された記録磁性層と、潤滑層とを備え、
前記記録磁性層は、データが記録されない凹状のガード領域と、当該ガード領域によって互いに分離されたユーザデータが記録される複数のデータ領域を有し、
前記ガード領域に、炭素原子が結合してなる中空クラスタ分子又はその誘導体が充填されていることを特徴とするパターンド媒体。
【請求項2】
請求項1記載のパターンド媒体において、前記データ領域の表面と前記中空クラスタ分子又はその誘導体が充填されたガード領域の表面の段差は前記中空クラスタ分子の平均直径よりも小さいことを特徴とするパターンド媒体。
【請求項3】
請求項1記載のパターンド媒体において、前記中空クラスタ分子は60個以上の炭素原子を含むことを特徴とするパターンド媒体。
【請求項4】
請求項1記載のパターンド媒体において、前記中空クラスタ分子の誘導体は親水基を含むことを特徴とするパターンド媒体。
【請求項5】
請求項1記載のパターンド媒体において、前記潤滑層に前記中空クラスタ分子が分散していることを特徴とするパターンド媒体。
【請求項6】
磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体を駆動する媒体駆動部と、記録ヘッドと再生ヘッドを備えるヘッドと、前記ヘッドを前記磁気記録媒体の所望トラックに位置づけるヘッド駆動部とを有する磁気ディスク装置において、
前記磁気記録媒体は、基板と、前記基板上に形成された記録磁性層と、潤滑層とを備え、前記記録磁性層は、データが記録されない凹状のガード領域と、当該ガード領域によって互いに分離されたユーザデータが記録される複数のデータ領域を有し、前記ガード領域に、炭素原子が結合してなる中空クラスタ分子又はその誘導体が充填されているパターンド媒体であることを特徴とする磁気ディスク装置。
【請求項7】
請求項6記載の磁気ディスク装置において、前記パターンド媒体の前記データ領域の表面と前記中空クラスタ分子又はその誘導体が充填されたガード領域の表面の段差は前記中空クラスタ分子の平均直径よりも小さいことを特徴とする磁気ディスク装置。
【請求項8】
請求項6記載の磁気ディスク装置において、前記中空クラスタ分子は60個以上の炭素原子を含むことを特徴とする磁気ディスク装置。
【請求項9】
請求項6記載の磁気ディスク装置において、前記中空クラスタ分子の誘導体は親水基を含むことを特徴とする磁気ディスク装置。
【請求項10】
請求項6記載の磁気ディスク装置において、前記潤滑層に前記中空クラスタ分子が分散していることを特徴とする磁気ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−146669(P2010−146669A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324360(P2008−324360)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】