説明

パターン形成方法およびパターン形成装置

【課題】ビアホール、コンタクトホール、スルーホール等の穴部の内面のみを改質して、穴部に導体を形成することができるパターン形成方法およびパターン形成装置を提供する。
【解決手段】本発明のパターン形成方法は、穴部が形成された基板について歪みを検出する工程と、基板の歪みがある場合、基板の歪みに基づいて穴部にレーザ光を照射するための照射データを補正する第1の補正データを作成し、穴部に導電性インクを打滴するための打滴データを補正する第2の補正データを作成する工程と、基板の穴部に反応ガスを供給しつつ、穴部の内面だけにレーザ光を、基板の歪みがない場合には照射データに基づいて、基板の歪みがある場合には第1の補正データに基づいて照射して穴部の内面を改質する工程と、穴部に導電性インクを、基板の歪みがない場合には打滴データに基づいて、基板の歪みがある場合には第2の補正データに基づいて打滴する工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穴部の内面に導電性インクを打滴して配線となる導体を形成するパターン形成方法およびパターン形成装置に関し、特に、ビアホール、コンタクトホール、スルーホール等の穴部の内面だけを導電性インクがなじむように改質した後、改質処理された穴部の内面に導電性インクを打滴して配線となる導体を形成するパターン形成方法およびパターン形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子回路の配線、および基板上に電気配線パターンなどの微細パターンを形成する技術が注目されている。また、多層配線基板等において、層間または外部と接続する導体を高密度に形成する技術も注目されている(例えば、特許文献1、2等)。
上述の微細パターンの形成には、インクジェット方式の液体吐出ヘッド(インクジェットヘッド)が用いられる。この場合、例えば、金属粒子または樹脂粒子を拡散させた液体をインクジェットヘッドから打滴してパターンを描画し、加熱等により硬化させて、電気配線パターンが形成される。
【0003】
特許文献1には、生産性に優れ、かつ穴内の樹脂残りを少なくするために、内層回路を形成した内層回路板の上に、光硬化性の樹脂で絶縁層を形成し、その絶縁層を、バイアホールとなる箇所をマスクしたフォトマスクを介して露光し、露光しなかった箇所を現像液で除去してバイアホールとなる穴を形成し、穴の内壁を金属化して、内層回路と外層回路とを電気的に接続する多層配線板の製造方法において、全ての穴内に、レーザを50〜100μmの範囲で照射することが記載されている。
この特許文献1には、フォトビアで一括穴明け後に、小さな径の穴明けに限定してレーザ穴明けを行うため、全ての穴をレーザビア方式で明ける場合に比べて効率が良いことも記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、絶縁層に形成された孔の内表面に形成される配線の密着力を確保しつつ、孔間の絶縁特性の経時劣化を抑制するために、絶縁層を貫通する複数の孔の内表面とオゾンを含む溶液を接触させるオゾン溶液処理を行った後、少なくとも内表面に無電解めっきにより導電層を形成して、この内表面に配線を形成する配線の形成方法が記載されている。この特許文献2には、オゾン溶液処理に代えて、内表面に紫外線を照射するオゾン溶液−紫外線照射処理を行うことも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−177252号公報
【特許文献2】特開2005−50999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、微細パターンの形成にインクジェット方式を用いた場合、基板上に着弾した複数の液滴が合一することにより発生するバルジ(集まり)の発生、液滴の飛翔方向ズレ、または基板上に着弾した液滴の移動より生じるジャギーの発生等によるインクのにじみ等が生じると言う問題点がある。
【0007】
また、特許文献1においては、表面改質されておらず、穴の内部に、例えば、導電インクを滴下しても導電インクが浸透しないという問題点がある。
さらには、特許文献2においては、基板をオゾン溶液中に浸漬するか、基板にオゾン溶液をスプレーしている。このため、必ずしも孔の内表面だけが改質処理されるものではない。これにより、導電インクを孔内に滴下した場合、導電インクが孔以外の改質処理されたところに飛散してしまうという問題点がある。
【0008】
本発明の目的は、前記従来技術に基づく問題点を解消し、ビアホール、コンタクトホール、スルーホール等の穴部の内面のみを改質して、穴部に導体を形成することができるパターン形成方法およびパターン形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、穴部が形成された基板について、前記基板の歪みを検出する工程と、前記基板の歪みがある場合には、前記基板の歪みに基づいて、前記穴部にレーザ光を照射するための照射データを補正する第1の補正データを作成するとともに、前記穴部に導電性インクを打滴するための打滴データを補正する第2の補正データを作成する工程と、前記基板の前記穴部に反応ガスを供給しつつ、前記穴部の内面だけに前記レーザ光を、前記基板の歪みがない場合には前記照射データに基づいて照射し、前記基板の歪みがある場合には前記第1の補正データに基づいて照射して前記穴部の内面を改質する工程と、前記穴部に前記導電性インクを、前記基板の歪みがない場合には前記打滴データに基づいて打滴し、前記基板の歪みがある場合には前記第2の補正データに基づいて打滴する工程とを有することを特徴とするパターン形成方法を提供するものである。
【0010】
この場合、前記レーザ光の径は、導電性インク滴の径よりも小さいことが好ましい。
さらに、前記穴部に前記導電性インクを打滴する工程は、前記導電性インクを複数回にわけて前記穴部に前記導電性インクを打滴することが好ましい。
さらに、前記反応ガスは、例えば、酸素、窒素またはフッ素を含むものである。
前記穴部は、例えば、ビアホール、コンタクトホール、またはスルーホールである。
さらに、前記穴部は、例えば、直径が前記基板の厚さ方向において減少している。すなわち、断面形状が台形状である。
【0011】
本発明の第2の態様は、穴部が形成された基板について、前記基板の歪みを検出する検出部と、前記基板の前記穴部に反応ガスを供給するガス供給部と、前記穴部にレーザ光を照射データに基づいて照射する照射部と、前記穴部に導電性インクを打滴データに基づいて打滴する吐出部と、前記穴部の配置情報に基づく前記照射データを前記照射部に供給するとともに、前記打滴データを前記吐出部に供給するデータ供給部と、前記検出部により前記基板に歪みが検出された場合には、前記基板の歪みに基づいて、前記照射データを補正する第1の補正データを作成するとともに、前記打滴データを補正した第2の補正データを作成する補正データ作成部とを有し、前記ガス供給部により前記基板の前記穴部に反応ガスを供給しつつ、前記照射部により前記穴部の内面だけに前記レーザ光を、前記基板の歪みがない場合には前記照射データに基づいて照射し、前記基板の歪みがある場合には前記第1の補正データに基づいて照射して前記穴部の内面を改質し、前記吐出部により前記穴部に前記導電性インクを、前記基板の歪みがない場合には前記打滴データに基づいて打滴し、前記基板の歪みがある場合には前記第2の補正データに基づいて打滴することを特徴とするパターン形成装置を提供するものである。
【0012】
この場合、前記レーザ光の径は、導電性インク滴の径よりも小さいことが好ましい。
また、前記吐出部は、前記穴部に、前記導電性インクを複数回にわけて打滴することが好ましい。
さらに、前記反応ガスは、例えば、酸素、窒素またはフッ素を含むものである。
前記穴部は、例えば、ビアホール、コンタクトホール、またはスルーホールである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、基板の歪みを検出し、レーザ光の照射位置のズレを抑制することができるため、穴部の内面だけを改質することができる。このため、穴部の内面以外の導電インク滴の飛散を防止することができる。また、基板の歪みを検出し、レーザ光の照射位置のズレおよびインク滴の打滴位位置のズレも抑制することができるため、基板がフレキシブルなものであって、変形しやすい基板でも対応することができる。
さらには、レーザ光を用いて改質するため、改質時のエネルギーを高くでき、程度が高い表面処理が可能となる。このため、改質を高速化でき、しかも非改質材の組成のバリエーションを増すこともできる。さらには、反応ガスを変えることにより、様々な組成の基板、様々な組成のインクに対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係るパターン形成装置を示す模式図である。
【図2】本発明の実施形態のパターン形成装置の照射部の構成を示す模式図である。
【図3】(a)は、本発明の実施形態に係るパターン形成装置によるパターン形成方法を模式的に示す模式的斜視図であり、(b)は、本発明の実施形態のパターン形成方法に用いられる基板を示す模式的断面図である。
【図4】(a)〜(d)は、本発明の実施形態に係るパターン形成装置によるパターン形成の一例を工程順に示す模式的断面図である。
【図5】(a)〜(d)は、本発明の実施形態に係るパターン形成装置によるパターン形成の他の例を工程順に示す模式的断面図である。
【図6】(a)〜(d)は、本発明の実施形態に係るパターン形成装置によるパターン形成の他の例を工程順に示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明のパターン形成方法およびパターン形成装置を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るパターン形成装置を示す模式図である。図2は、本発明の実施形態のパターン形成装置の照射部の構成を示す模式図である。
【0016】
図1に示すパターン形成装置10は、歪み検出ユニット12、改質処理ユニット14、パターン形成ユニット16、基板100のアライメントの位置情報、ビアホールの形成位置情報等のパターンデータを入力する入力部(データ供給部)18、描画データ作成部(データ供給部)20、制御部22、アライメント検出部24、第1の画像処理部(補正データ作成部)26、および第2の画像処理部(補正データ作成部)28を有する。制御部22により、パターン形成装置10の各構成部が制御される。
【0017】
歪み検出ユニット12と改質処理ユニット14とは第1の受渡部60を介して接続されている。改質処理ユニット14とパターン形成ユニット16とは第2の受渡部62を介して接続されている。
なお、パターン形成装置10は、基板100を1枚ずつ処理する枚葉式であるが、本発明はこれに限定されるものではない。パターン形成装置10は、例えば、長尺の基板を連続して搬送するロール・ツー・ロール方式であってもよい。
【0018】
本実施形態のパターン形成装置10では、例えば、図3(b)に示すような予めビアホール110が形成されている基板100が用いられる。この基板100は、例えば、基材102上に絶縁層104が形成されており、この絶縁層104内に電極層105が形成されている。絶縁層104および電極層105上に絶縁層106が形成されている。この絶縁層106において電極層105と整合する位置にビアホール110が形成されている。
ビアホール110は、例えば、直径が基材102に向かうにつれて減少している。すなわち、ビアホール110は、断面形状が台形状である。
また、基材12上に、位置合わせのためのアライメントマーク108(図3(a)参照)が複数形成されている。アライメントマーク108は、例えば、十字印である。
ビアホール110が本発明の穴部に相当するものである。穴部としては、ビアホール110に限定されるものではなく、電子回路などを構成する電子素子において配線を形成するための穴、溝等、および多層配線基板において、各層を接続するために設けられたコンタクトホール等が該当する。穴部としては、例えば、コンタクトホール、スルーホールと呼ばれるものである。
【0019】
基材102には、ガラス基材、シリコンウエハ(シリコン基材)、樹脂フィルム基材などを用いることができる。ガラス基材の材料としては、例えば、石英、LCD用無鉛ガラスを用いることができる。さらに、ガラスと樹脂を混合したガラスエポキシ樹脂(ガラエポ基材板)などを用いることができる。また、樹脂フィルム基材としては、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルサルフォン(PES)などを用いることができる。樹脂フィルム基材は、バリア層、導電層が形成されたものであってもよい。
また、絶縁層104、106には、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂を用いることができる。
【0020】
歪み検出ユニット12は、基板100の歪みを検出するものである。この歪み検出ユニット12は、基板100の歪みを検出する歪みセンサ30を有し、この歪みセンサ30はチャンバー12a内に設けられている。また、歪みセンサ30は、アライメント検出部24に接続されている。さらに、歪み検出ユニット12は、基板100を支持して搬送するする搬送機構32を有する。この搬送機構32は、チャンバー12a内に設けられ、歪みセンサ30の検出領域において基板100を所定の台に載置し、所定の姿勢に保持しながら、例えば、搬送方向Dに移動させるものである。搬送機構32は、基板100を搬送方向Dのような一方向に搬送するものに限定されるものではなく、直交する二方向に搬送するものであってもよい。
【0021】
歪みセンサ30は、LD(半導体レーザ)またはLED等の光源と、CMOS、CCDなどの撮像素子とを備える光学式のものが用いられる。
歪みセンサ30は、予め基板100に設けられているアライメントマーク108(図3(a)参照)を撮像し、アライメントマーク108の画像データを得る。この画像データをアライメント検出部24に出力する。
【0022】
アライメント検出部24は、歪みセンサ30で得られたアライメントマーク108の画像データに基づいて、例えば、アライメントマーク108の大きさ、向き、およびアライメントマーク108間の距離等を算出し、アライメントマーク108の設計値のデータと比較することにより、基板100の歪み情報(描画の歪み情報を含む)を作成するものである。基板100の歪み情報(描画の歪み情報を含む)は、それぞれ第1の画像処理部26および第2の画像処理部28に出力される。なお、後述するように、第1の画像処理部26および第2の画像処理部28においては、基板100の歪み情報(描画の歪み情報を含む)に基づいて、それぞれ改質処理用の補正データおよび打滴用の補正データを作成する。
【0023】
本発明において、基板100の歪みとは、基板100自体の歪みの他に、描画の歪みも含まれる。基板100自体の歪みとしては、基板100が所定位置から縦方向や横方向にずれていること、基板100の厚さ方向にずれていること、または回転していること等である。
また、描画の歪みとしては、描画位置のずれの他に、描画形状が拡大されていること、縮小されていること、台形状に歪んでいること等が挙げられる。
【0024】
なお、歪みセンサ30によるアライメントマーク108の撮像は、特に限定されるものではなく、例えば、歪みセンサ30を二次元的に移動させながら、固定された基板100のアライメントマーク108を撮像する形態、基板100(搬送機構32)を移動させながら、基板100のアライメントマーク108を撮像する形態等がある。
【0025】
改質処理ユニット14は、基板100に形成されたビアホール110の内面110aに改質処理を施すものである。この改質処理ユニット14は、照射部40と、ガス供給部42と、搬送機構44とを有する。照射部40は、第1の画像処理部24に接続されている。チャンバー14a内に照射部40と、ガス供給部42に設けられた配管42aと、搬送機構44とが設けられている。
【0026】
図2に示すように、改質処理ユニット14の照射部40は、基板100のビアホール110の内面110aに対してレーザ光Lを照射するものである。この照射部40は、駆動部40a、レーザ発振器40b、シャッター機構40c、コリメートレンズ40d、レーザ光Lの光束を調整するレンズ系40e、露光対象面に必要なスポット径のレーザ光Lを照射するための先端光学系(ミラー、レンズ等)40fを有し、ビアホール110の開口部の径よりも小さい径(ビームスポット径)を有するレーザ光をビアホール110の内面110aに照射するように構成されている。
【0027】
例えば、基板100の搬送方向Dと直交する方向に吐出部40を走査させて、同方向における一回の走査で改質処理が可能な領域について改質処理を実行する。この走査方向における一回の改質処理が終了すると、基板100を所定量移動させて次の領域について改質処理を実行し、この動作を繰り返すことで基板100に形成されたビアホール110の全てに改質処理が施されるシリアル方式が用いられる。
なお、吐出部40において、レーザ光Lを走査する走査光学部(図示せず)を設け、改質処理に際して、吐出部40を走査させることなく、レーザ光Lを走査させてもよい。
また、吐出部40において、基板100の搬送方向Dと直交する幅方向について、多数のレーザ光Lを照射可能とした構成でもよい。
【0028】
吐出部40においては、レーザ光Lとして、例えば、波長が300(nm)、365(nm)、405(nm)などの紫外線領域又は可視光領域のレーザ光、更には赤外光領域のレーザ光が用いられる。レーザ光の出力としては、10〜数百(mJ/cm)、レーザ光の径(ビームスポット径)は、インク滴およびビアホール110の直径よりも小さく、例えば、1〜2μmである。ここで、ビアホール110の直径とは、ビアホール110の直径が変化するものである場合には、直径の最小値のことである。
また、吐出部40においては、上述のレーザ光を照射することができれば、半導体レーザ、固体レーザ、液体レーザ、気体レーザなど様々のものを用いることができる。
【0029】
ガス供給部42は、基板100に形成されたビアホール110に、改質処理のための反応ガスを、同じく改質処理のためにレーザ光Lを照射する際に供給するものである。ガス供給部42により、基板100に形成されたビアホール110における反応ガスの濃度(充填量)等も調整される。
ガス供給部40には、基板100のビアホール110に反応ガスを供給するため、配管42aが設けられている。配管42aを通して基板100にビアホール110に反応ガスが供給される。また、ガス供給部42は、制御部22に接続されており、この制御部22により反応ガスの供給量、供給タイミング等が制御される。
反応ガスとしては、例えば、酸素を含むもの、窒素を含むもの、またはCFガス、CFガス等のフッ素系ガスを含むものが用いられる。
なお、ガス供給部42において、複数の反応ガスを選択的にチャンバー14a内に充填可能に構成されている場合、必要に応じて、チャンバー14a内から反応ガスの排出、および基板100にビアホール110への供給が適宜行われる。
【0030】
ここで、導電性インクからなるインク滴50aがビアホール110の内面110a以外に付着しないようにするための改質処理としては、導電性インクの特性に応じて、例えば、親液処理、撥液処理がある。
本実施形態においては、改質処理に用いられる反応ガスを切り換えることで、親液処理と撥液処理とを選択的に切換可能である。例えば、水系のインクを用いた場合、ガス供給部42から酸素を含む反応ガス、または窒素を含む反応ガスが、基板100のビアホール110に供給された状態で基板100のビアホール110の内面110aにレーザ光Lが照射されると、レーザ光Lが照射されたビアホール110の内面110aはレーザ光Lが照射されていない非照射領域よりも高い親液性となる。
【0031】
一方、フッ素系ガスが基板100のビアホール110に供給された状態で基板100のビアホール110の内面110aにレーザ光Lが照射されると、レーザ光Lが照射されたビアホール110の内面110aはレーザ光Lが照射されていない非照射領域よりも高い撥液性となる。
なお、「高い親液性」を有する状態とは、ビアホール110の内面110aに対する液滴の接触角が相対的に小さい状態のことであり、「高い撥液性」を有する状態とは、ビアホール110の内面110aに対する液滴の接触角が相対的に大きい状態のことである。
「高い親液性を有する状態」の具体例として、基板100に対する液滴の接触角が45°以下である状態が挙げられる。また、「高い撥液性を有する状態」の具体例として、基板100に対する液滴の接触角が80°以上である状態が挙げられる。
【0032】
搬送機構44は、チャンバー14a内に設けられ、照射部40のレーザ光の照射領域において基板100を所定の台に載置し、所定の姿勢に保持しながら、例えば、搬送方向Dに移動させるものである。
【0033】
改質処理ユニット14においては、吐出部40によるレーザ光Lは、例えば、図3(b)に示す照射部150のように、ビアホール110の内面110aにだけ照射され、その他の領域には照射されない。このレーザ光Lの照射と反応ガスにより、上述のように、ビアホール110の内面110aが、例えば、親液性または撥液性に改質される。
【0034】
パターン形成ユニット16は、改質処理後の基板100ビアホール110に導電性インクを打滴するものである。このパターン形成ユニット16では、チャンバー16a内に吐出部50と、搬送機構52とが設けられている。
吐出部50は、導電性インクが打滴可能なインクジェットヘッド(図示せず)と、このインクジェットヘッドからインク滴50aを打滴するためのドライバ(図示せず)とを有する。このドライバが第2の画像処理部28に接続されている。
インクジェットヘッドの構成としては、導電性インクを吐出することができれば、特に限定されるものではなく、ピエゾ式、サーマル方式など適宜利用可能である。また、インクジェットヘッドには、シリアルタイプまたはフルラインタイプを用いることができる。なお、吐出部50から吐出されるインク滴50aの大きさは、例えば、10〜100μmである。
【0035】
導電性インクとしては、例えば、インクジェットヘッドによって打滴可能な物性(粘度等)であれば、例えば、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)などの金属粒子、これらの金属元素を含む合金の粒子を所定の溶媒中に分散させた金属液、上述の金属元素を含む前駆体溶液などの配線インクを用いることができる。この導電性インクにより、10μm〜数100μmの大きさのビアを形成することができる。
【0036】
搬送機構52は、チャンバー16a内に設けられ、吐出部50のインク滴50aの吐出領域において基板100を所定の台に載置し、所定の姿勢に保持しながら、例えば、搬送方向Dに移動させるものである。なお、搬送機構52においては、吐出部50の形態によって、吐出部50に対して搬送方向Dと直交する方向に基板100を移動させる。
【0037】
パターン形成ユニット16においては、吐出部50により、例えば、図3(b)に示すように、改質処理されたビアホール110の内面110aにインク滴50aが打滴される。このインク滴50aにより、ビアホール110の内面110aを埋める。
ビアホール110が深い場合、ビアホール110内に気泡が入ってインク滴50aが入らないことが生じることがある。このため、吐出部50から、インク滴50aを連続してビアホール110内に打滴するのではなく、複数回に分けてインク滴50aを打滴することが好ましい。
吐出部50から導電性のインク滴50aが、ビアホール110の内面110aに打滴された後、基板100が基板排出部(図示せず)から排出される。
導電性インクの特性に応じて、紫外線を照射するか、または熱を加えることにより、導電性インクを硬化させて配線となるビア112を形成する。この場合、ビアホール110の内面110aに打滴されたインク滴50aを硬化させるために、紫外線照射手段、または加熱手段を、吐出部50の搬送方向Dの真下か下流側に設ける。
【0038】
入力部18は、オペレータ(ユーザ)が各種入力を行うための入力装置(図示せず)と、表示部(図示せず)とを有する。入力装置には、キーボード、マウス、タッチパネル、ボタンなど各種形態のものが用いられる。
オペレータは、入力部18を介して、歪み検出ユニット12、改質処理ユニット14、パターン形成ユニット16の各種の処理条件を制御部22に入力することができるとともに、基板100のアライメントマークの位置情報、アライメントマークの大きさ等の形状情報、更にはビアホールの形成位置情報等のパターンデータを制御部22に入力することができる。
また、オペレータは、入力部18の表示部を介して、歪み検出ユニット12、改質処理ユニット14、パターン形成ユニット16の状態等、パターン形成工程の状態、ビアの形成工程の状態を知ることができる。この表示部はエラーメッセージなどの警告を表示する手段としても機能する。なお、表示部は、異常を知らせる報知手段として機能も果たす。
【0039】
描画データ作成部20は、入力部18から入力されたビアホールの形成位置情報等のパターンデータを、照射部40においてビアホール110の内面110aにレーザ光Lを照射するために利用可能なデータ形式にデータ変換し、照射部40において利用可能な照射データを作成するものである。この描画データ作成部20においては、例えば、ベクトル形式で記述されたビアホール110の形成位置情報等のパターンデータ(CADデータ)を、ラスターデータに変換するものである。なお、入力されるデータ形式が照射部40で利用可能であれば、データ変換は、必ずしも必要がない。この場合、描画データ作成部20で、データ変換しないか、または描画データ作成部20を経由することなく、直接第1の画像処理部26に、ビアホールの形成位置情報等のパターンデータを入力するようにしてもよい。
【0040】
第1の画像処理部26は、描画データ作成部20およびアライメント検出部24に接続されており、歪み検出ユニット12で基板100に歪みが検出された場合、その基板100の歪み情報に受けて、この歪み情報に応じて、レーザ光Lの照射位置を変更するために、照射データを補正する補正照射データ(第1の補正データ)を作成するものである。第1の画像処理部26は、この補正照射データを駆動部40aに出力する。照射部40では、駆動部40aに入力された補正照射データに基づいて、レーザ光Lがビアホール110の内面110aに照射される。
なお、歪み検出ユニット12で歪みが検出されない場合、第1の画像処理部26は、補正照射データを作成しない。このため、第1の画像処理部26に入力された照射データが、補正されることなくそのまま照射部40の駆動部40aに出力される。照射部40では、駆動部40aに入力された照射データに基づいて、レーザ光Lがビアホール110の内面110aに照射される。
【0041】
第2の画像処理部28は、入力部18およびアライメント検出部24に接続されている。なお、吐出部50においては、入力部18から入力されるビアホールの形成位置情報等のパターンデータを変換することなく、打滴データとして利用することができる。
第2の画像処理部28においては、歪み検出ユニット12で基板100に歪みが検出された場合、その基板100の歪み情報に受けて、この歪み情報に応じて、インク滴50aの打滴位置を変更するために、打滴データを補正する補正打滴データ(第2の補正データ)を作成する。この補正打滴データを吐出部50のドライバ(図示せず)に出力する。吐出部50では、ドライバに入力された補正打滴データに基づいて、インク滴50aがビアホール110の内面110aに打滴される。
なお、歪み検出ユニット12で歪みが検出されない場合には、第2の画像処理部28は、補正打滴データを作成しない。このため、第2の画像処理部28に入力された打滴データが、補正されることなくそのまま吐出部50のドライバに出力される。吐出部50では、ドライバに入力された打滴データに基づいて、インク滴50aがビアホール110の内面110aに打滴される。
【0042】
第1の画像処理部26および第2の画像処理部28においては、例えば、基板100の位置が所定位置に対して回転しているときは、その回転量が算出されて、その回転を打ち消すように補正データが、それぞれオンデマンドで生成される。その後、このパターンの補正データに対応する補正照射データおよび補正打滴データがオンデマンドで生成される。ここでいう「補正照射データおよび補正打滴データ」とは、レーザ光照射用の照射データ(ビアホールの形成位置情報)及び打滴データに対して、シフト処理(面方向のずれ補正)、オフセット処理(厚み方向のずれ補正)、回転処理が施されたもの、拡大処理、縮小処理、台形補正処理(台形状に歪んだパターンを矩形状に補正する処理)が施されたものが含まれる。
【0043】
本実施形態のパターン形成装置10においては、改質処理ユニット14およびパターン形成ユニット16は共通のフィードバックループを有しており、歪み検出ユニット12から得られる同一の(共通の)基板100の歪み情報に基づいて、レーザ光Lの照射補正およびインク滴の打滴補正を行うように構成されている。このため、レーザ光Lの照射補正およびインク滴の打滴補正の精度を高くすることができ、しかも、共通の基板の歪み情報を用いているため、補正データの作成を速くすることができ、補正に要するコストも低くすることができる。
なお、第1の画像処理部26および第2の画像処理部28の機能を1つにまとめて、単に画像処理部としてもよい。
【0044】
次に、本実施形態のパターン形成方法について説明する。
図3(a)は、本発明の実施形態に係るパターン形成装置によるパターン形成方法を模式的に示す模式的斜視図であり、(b)は、本発明の実施形態のパターン形成方法に用いられる基板を示す模式的断面図である。図4(a)〜(d)は、本発明の実施形態に係るパターン形成装置によるパターン形成の一例を工程順に示す模式的断面図である。
【0045】
先ず、図3(a)に示すように、予めビアホール110が形成された基板100のアライメントマーク108を歪みセンサ30で撮像し、アライメント検出部24で基板100の歪みがあるか否かが算出される。
なお、上述のように基板100の構成は、例えば、図3(b)および図4(a)に示す構成である。
【0046】
次に、アライメント検出部24で基板100の歪みが検出されない場合、第1の画像処理部26では、入力された照射データを補正する補正照射データが作成されることなく、この照射データに基づいて、図4(b)に示すように、レーザ光Lをビアホール110の内面110aに照射する。
一方、アライメント検出部24で基板100の歪みが検出された場合、第1の画像処理部26では照射データを補正する補正照射データが作成される。この補正照射データに基づいて、図4(b)に示すように、レーザ光Lをビアホール110の内面110aに照射する。
なお、レーザ光Lをビアホール110の内面110aに照射する際には、ガス供給部42から配管42aを介して、例えば、親液性にする場合には、酸素を含む反応ガスまたは窒素を含む反応ガスをビアホール110の内面110aが所定の濃度となるように供給する。また、撥液性にする場合には、フッ素系ガスをビアホール110の内面110aが所定の濃度となるように供給する。
このように、基板100の歪み、形成されているビアホール110の形成位置等に応じて適切にビアホール110の内面110aだけにレーザ光Lを照射して改質処理をする。
【0047】
次に、アライメント検出部24で基板100の歪みが検出されない場合、第2の画像処理部28では、入力された打滴データを補正する補正打滴データが作成されることなく、この打滴データに基づいて、図4(c)に示すように、導電性インクのインク滴50aをビアホール110内に打滴する。
一方、アライメント検出部24で基板100の歪みが検出された場合、第2の画像処理部28では照射データを補正する補正打滴データが作成される。この補正打滴データに基づいて、図4(c)に示すように、導電性インクのインク滴50aをビアホール110内に打滴する。
このように、基板100の歪み、形成されているビアホール110の形成位置等に応じて適切にビアホール110内にインク滴50aを打滴する。
なお、導電性インクの特性等、必要に応じて、紫外線を照射するか、または熱を加えることにより、導電性インクのインク滴50aを硬化させて配線となるビア112をビアホール110内に形成することができる。
【0048】
本実施形態のように、ビアホール110内にインク滴50aを打滴してビア112を形成する場合、ビアホール110が深いと、ビアホール110内に気泡が入ってインク滴50aが入らなくなることがある。このため、インク滴50aを連続してビアホール110内に打滴するのではなく、複数回に分けてインク滴50aを打滴することが好ましい。
次に、絶縁層106の表面106aに電極114を形成する。この電極114の形成方法は、特に限定されるものではない。例えば、フォトリソグラフィー法により形成することができる。
【0049】
本実施形態においては、ビアホール110を例にして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図5(a)に示すように、スルーホール122が形成された基板120についても配線となるビア112を形成することができる。
図5(a)に示すように、基板120は、本実施形態の基材102、絶縁層104、106のいずれかと同じ構成である。基板120には、アライメントマーク(図示せず)が複数形成されている。
この場合においても、基板120のアライメントマークが歪みセンサ30で撮像されて、アライメント検出部24で基板120の歪みがあるか否かが検出される。
【0050】
次に、アライメント検出部24で基板120の歪みが検出されない場合、第1の画像処理部26では、入力された照射データを補正する補正照射データが作成されることなく、この照射データに基づいて、図5(b)に示すように、レーザ光Lをスルーホール122の内面120aに照射する。
一方、アライメント検出部24で基板120の歪みが検出された場合、第1の画像処理部26では照射データを補正する補正照射データが作成される。この補正照射データに基づいて、図5(b)に示すように、レーザ光Lをスルーホール122の内面120aに照射する。
なお、レーザ光Lをスルーホール122の内面120aに照射する際には、ガス供給部42から配管42aを介して、例えば、親液性にする場合には、酸素を含む反応ガスまたは窒素を含む反応ガスをスルーホール122の内面120aが所定の濃度となるように供給する。また、撥液性にする場合には、フッ素系ガスをスルーホール122の内面120aが所定の濃度となるように供給する。
このように、基板120の歪み、形成されているスルーホール122の形成位置等に応じて適切にスルーホール122の内面120aだけにレーザ光Lを照射して改質処理をする。
【0051】
次に、アライメント検出部24で基板120の歪みが検出されない場合、第2の画像処理部28では、入力された打滴データを補正する補正打滴データが作成されることなく、この打滴データに基づいて、図5(c)に示すように、導電性インクのインク滴50aをスルーホール122内に打滴する。
一方、アライメント検出部24で基板120の歪みが検出された場合、第2の画像処理部28では照射データを補正する補正打滴データが作成される。この補正打滴データに基づいて、図5(c)に示すように、導電性インクのインク滴50aをスルーホール122内に打滴する。
なお、基板120は、パターン形成ユニット16(図1参照)の搬送機構52(図1参照)の台に載置されており、インク滴50aをスルーホール122内に打滴する際、スルーホール122からインク滴50aが抜け落ちることはない。
このように、基板120の歪み、形成されているスルーホール122の形成位置等に応じて適切にスルーホール122内にインク滴50aを打滴する。
【0052】
なお、導電性インクの特性等、必要に応じて、紫外線を照射するか、または熱を加えることにより、導電性インクのインク滴50aを硬化させる。これにより、図5(d)に示すように、配線となるビア112をスルーホール122内に形成することができる。
【0053】
さらには、本実施形態においては、例えば、図6(a)に示すように、コンタクトホール140が形成された基板130についても配線となるビア112を形成することができる。
基板130は、ビア133が形成された第1の絶縁層132上に、ビア133に整合する位置に電極層135が形成された第2の絶縁層が設けられており、この電極層135に整合する位置にコンタクトホール140が形成された第3の絶縁層136が設けられている。
本実施形態の第1の絶縁層132〜第3の絶縁層136は、本実施形態の絶縁層104、106と同じ構成である。基板130には、アライメントマーク(図示せず)が複数形成されている。
この場合においても、基板130のアライメントマークが歪みセンサ30で撮像されて、アライメント検出部24で基板130の歪みがあるか否かが検出される。
【0054】
次に、アライメント検出部24で基板130の歪みが検出されない場合、第1の画像処理部26では、入力された照射データを補正する補正照射データが作成されることなく、この照射データに基づいて、図6(b)に示すように、レーザ光Lをコンタクトホール140の内面140aに照射する。
一方、アライメント検出部24で基板130の歪みが検出された場合、第1の画像処理部26では照射データを補正する補正照射データが作成される。この補正照射データに基づいて、図6(b)に示すように、レーザ光Lをコンタクトホール140の内面140aに照射する。
なお、レーザ光Lをコンタクトホール140の内面140aに照射する際には、ガス供給部42から配管42aを介して、例えば、親液性にする場合には、酸素を含む反応ガスまたは窒素を含む反応ガスをコンタクトホール140の内面140aが所定の濃度となるように供給する。また、撥液性にする場合には、フッ素系ガスをコンタクトホール140の内面140aが所定の濃度となるように供給する。
このように、基板130の歪み、形成されているコンタクトホール140の形成位置等に応じて適切にコンタクトホール140の内面140aだけにレーザ光Lを照射して改質処理をする。
【0055】
次に、アライメント検出部24で基板130の歪みが検出されない場合、第2の画像処理部28では、入力された打滴データを補正する補正打滴データが作成されることなく、この打滴データに基づいて、図6(c)に示すように、導電性インクのインク滴50aをコンタクトホール140内に打滴する。
一方、アライメント検出部24で基板130の歪みが検出された場合、第2の画像処理部28では照射データを補正する補正打滴データが作成される。この補正打滴データに基づいて、図6(c)に示すように、導電性インクのインク滴50aをコンタクトホール140内に打滴する。
このように、基板130の歪み、形成されているコンタクトホール140の形成位置等に応じて適切にコンタクトホール140内にインク滴50aを打滴する。
【0056】
なお、導電性インクの特性等、必要に応じて、紫外線を照射するか、または熱を加えることにより、導電性インクのインク滴50aを硬化させる。これにより、図6(d)に示すように、配線となるビア112をコンタクトホール140内に形成することができる。
【0057】
本実施形態においては、上述のように、基板100、120、130の歪み(描画の歪みを含む)を検出し、レーザ光Lの照射位置のズレを抑制することができるため、ビアホール110(穴部)の内面110aだけを改質することができる。このため、ビアホール110の内面110a以外のインク滴50aの飛散を防止することができ、ビア112を高い精度で形成することができる。また、基板100、120、130の歪みを検出し、レーザ光Lの照射位置のズレおよびインク滴の打滴位位置のズレも抑制することができるため、基板100、120、130がフレキシブルで変形しやすいものでも対応でき、しかも、ビア112を高い精度で形成することができる。
さらには、レーザ光Lを用いて改質するため、表面改質時のエネルギーを高くでき、程度が高い表面改質が可能となる。このため、表面改質を高速化でき、しかも非改質材の組成のバリエーションを増すこともできる。さらには、反応ガスを変えることにより、様々な組成の基板、様々な組成のインクに対応することができる。
【0058】
また、本実施形態においては、レーザ光Lと反応ガスを用いて表面改質を施すものであるため、洗浄工程が不要である。このめ、製造工程を簡素化することができる。また、ビアを直接形成しているため、フォトリソグラフィー法に比して、製造工程を簡素化でき、製造コストを低減することができる。
さらには、基板100、120、130の歪みの1つの検出結果を用いてレーザ光Lの照射位置、およびインク滴の打滴位置を補正しているため、レーザ光Lの照射位置の補正、およびインク滴50aの打滴位置の補正の精度を高くすることができ、さらには、1つの検出結果を用いるため、補正照射データ、補正打滴データの作成に要する時間を短縮することができる。しかも1つの検出結果を用いればよいため、歪みセンサ30の数を減らすことができ、低コスト化できる。
【0059】
また、本実施形態においては、ビアホール、スルーホール、コンタクトホール等の穴部が形成れた基板を用いている。これらビアホール、スルーホール、コンタクトホール等は、半導体素子および多層配線基板等の製造工程において用いられている公知の形成方法により、それぞれビアホール、スルーホール、コンタクトホール等の形成位置情報に基づいて形成される。
なお、本実施形態のパターン形成装置およびパターン形成方法は、例えば、多層配線基板の配線、TFTの配線等に用いることができる。より具体的には、太陽電池、電子ペーパー、有機EL素子、有機ELディスプレイ等に用いることができ、いずれの場合も、フレキシブルな基板であっても、基板の歪み(描画の歪み)を補正することができるため、好適である。
【0060】
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明のパターン形成方法およびパターン形成装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0061】
10 パターン形成装置
12 歪み検出ユニット
14 改質処理ユニット
16 パターン形成部
18 入力部
20 描画データ作成部
22 制御部
24 アライメント検出部
26 第1の画像処理部
28 第2の画像処理部
30 歪みセンサ
40 照射部
50 吐出部
100、120、130 基板
110 ビアホール
112 ビア
122 スルーホール
140 コンタクトホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穴部が形成された基板について、前記基板の歪みを検出する工程と、
前記基板の歪みがある場合には、前記基板の歪みに基づいて、前記穴部にレーザ光を照射するための照射データを補正する第1の補正データを作成するとともに、前記穴部に導電性インクを打滴するための打滴データを補正する第2の補正データを作成する工程と、
前記基板の前記穴部に反応ガスを供給しつつ、前記穴部の内面だけに前記レーザ光を、前記基板の歪みがない場合には前記照射データに基づいて照射し、前記基板の歪みがある場合には前記第1の補正データに基づいて照射して前記穴部の内面を改質する工程と、
前記穴部に前記導電性インクを、前記基板の歪みがない場合には前記打滴データに基づいて打滴し、前記基板の歪みがある場合には前記第2の補正データに基づいて打滴する工程とを有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
前記レーザ光の径は、導電性インク滴の径よりも小さい請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記穴部に前記導電性インクを打滴する工程は、前記導電性インクを複数回にわけて前記穴部に前記導電性インクを打滴する請求項1または2に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
前記反応ガスは、酸素、窒素またはフッ素を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
前記穴部は、ビアホール、コンタクトホール、またはスルーホールである請求項1〜4のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項6】
前記穴部は、直径が前記基板の厚さ方向において減少している請求項1〜5のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項7】
穴部が形成された基板について、前記基板の歪みを検出する検出部と、
前記基板の前記穴部に反応ガスを供給するガス供給部と、
前記穴部にレーザ光を照射データに基づいて照射する照射部と、
前記穴部に導電性インクを打滴データに基づいて打滴する吐出部と、
前記穴部の配置情報に基づく前記照射データを前記照射部に供給するとともに、前記打滴データを前記吐出部に供給するデータ供給部と、
前記検出部により前記基板に歪みが検出された場合には、前記基板の歪みに基づいて、前記照射データを補正する第1の補正データを作成するとともに、前記打滴データを補正した第2の補正データを作成する補正データ作成部とを有し、
前記ガス供給部により前記基板の前記穴部に反応ガスを供給しつつ、前記照射部により前記穴部の内面だけに前記レーザ光を、前記基板の歪みがない場合には前記照射データに基づいて照射し、前記基板の歪みがある場合には前記第1の補正データに基づいて照射して前記穴部の内面を改質し、
前記吐出部により前記穴部に前記導電性インクを、前記基板の歪みがない場合には前記打滴データに基づいて打滴し、前記基板の歪みがある場合には前記第2の補正データに基づいて打滴することを特徴とするパターン形成装置。
【請求項8】
前記レーザ光の径は、導電性インク滴の径よりも小さい請求項7に記載のパターン形成装置。
【請求項9】
前記吐出部は、前記穴部に、前記導電性インクを複数回にわけて打滴する請求項7または8に記載のパターン形成装置。
【請求項10】
前記反応ガスは、酸素、窒素またはフッ素を含む請求項7〜9のいずれか1項に記載のパターン形成装置。
【請求項11】
前記穴部は、ビアホール、コンタクトホール、またはスルーホールである請求項7〜10のいずれか1項に記載のパターン形成装置。
【請求項12】
前記穴部は、直径が前記基板の厚さ方向において減少している請求項7〜11のいずれか1項に記載のパターン形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−209460(P2012−209460A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74737(P2011−74737)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】