説明

パターン形成方法及び液滴吐出装置

【課題】液滴の飛行曲がりや吐出口の目詰まりを回避して、液滴からなるパターンの形状制御性を向上したパターン形成方法及び液滴吐出装置を提供する。
【解決手段】レーザ光Lを照射する基板2上の照射位置PTとノズルNとの間を結ぶ直線上に、ノズル形成面31aから基板2側に突出してノズルNの基板側を囲う筒状に形成された光吸収性材料からなる遮光部材40を配設した。そして、遮光部材40の遮光厚さHsを、遮光幅Wsとノズル径Rとの和と同じサイズにして、照射位置PTの領域から反射散乱角θrで反射散乱された反射散乱光Lrを、ノズルNに対して遮光するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン形成方法及び液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置やエレクトロルミネッセンス表示装置等の表示装置には、画像を表示するための基板が備えられている。この種の基板には、品質管理や製造管理を目的として、その製造元や製品番号等の製造情報をコード化した識別コード(例えば、2次元コード)が形成されている。こうした識別コードは、配列された多数のパターン形成領域(データセル)の一部に、パターンとしてのコードパターン(例えば、有色の薄膜や凹部等のドット)を備え、そのコードパターンの有無によって製造情報を再現可能にしている。
【0003】
識別コードの形成方法には、金属箔にレーザ光を照射してコードパターンをスパッタ成膜するレーザスパッタ法や、研磨材を含んだ水を基板等に噴射してコードパターンを刻印するウォータージェット法が提案されている(特許文献1、特許文献2)。
【0004】
しかし、上記レーザスパッタ法では、所望するサイズのコードパターンを得るために、金属箔と基板の間隙を、数〜数十μmに調整しなければならない。つまり、基板と金属箔の表面に対して非常に高い平坦性が要求され、しかも、これらの間隙をμmオーダの精度で調整しなければならない。その結果、識別コードを形成できる対象基板が制限されて、その汎用性を損なう問題を招いていた。また、ウォータージェット法では、基板の刻印時に、水や塵埃、研磨剤等が飛散するため、同基板を汚染する問題があった。
【0005】
近年、こうした生産上の問題を解消する識別コードの形成方法として、インクジェット法が注目されている。インクジェット法は、金属微粒子を含む液滴を吐出口から吐出して、その液滴を乾燥させることによってコードパターンを形成する。そのため、識別コードを形成する基板の対象範囲を拡大することができ、同基板の汚染等を回避して識別コードを形成することができる。
【特許文献1】特開平11−77340号公報
【特許文献2】特開2003−127537号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記インクジェット法では、液滴を乾燥することによってコードパターンを形成するために、基板の表面状態や液滴の表面張力等に応じて、以下の問題を招いていた。すなわち、基板に着弾した液滴が基板表面に沿って直ちに濡れ広がるため、液滴の乾燥に時間を要すると(例えば、100ミリ秒以上の時間を要すると)、着弾した液滴が基板表面で過剰に濡れ広がって、対応するデータセル内から食み出すようになる。その結果、コードパターンを読み取り不可能にして基板情報を損失する問題があった。
【0007】
こうした問題は、図10に示すように、液滴吐出ヘッド101の直下に位置する基板102にレーザ光Lを照射し、基板102に着弾した液滴Fbを、順次レーザ光Lの領域に侵入させる(基板102を搬送して液滴Fbを瞬時に乾燥する)ことによって回避可能と考えられる。しかし、基板102上にレーザ光Lを照射すると、照射した領域(液滴Fbや基板102)からの反射光や散乱光(反射散乱光Lr)が、吐出口103の領域を照射して吐出口103の液状体Fを乾燥あるいは焼成させる。その結果、吐出口103の中の液状体Fが固化して、液滴Fbの飛行曲がりや吐出口103の目詰まりを招く虞があった。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、液滴の飛行曲がりや吐出口の目詰まりを回避して、液滴からなるパターンの形状制御性を向上したパターン形成方法及び液滴吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のパターン形成方法は、パターン形成材料の液滴を吐出口から基板に向けて吐出し、前記基板とレーザ光の照射位置とを相対移動させ、前記基板に着弾した前記液滴をレーザ光の照射位置に移動させ、前記照射位置に到達した前記液滴に前記レーザ光を照射してパターンを形成するようにしたパターン形成方法であって、前記吐出口に向けて反射した前記レーザ光を、前記照射位置と前記吐出口との間を結ぶ直線上に設けられた遮光部材によって遮光するようにした。
【0010】
本発明のパターン形成方法によれば、吐出口に向かうレーザ光を遮光できるため、吐出口の液体等(液体や液状体等)をレーザ光から保護することができる。従って、吐出口における液体等の固化を回避させることができ、液滴の飛行曲がりや吐出口の目詰まりを回避させることができる。この結果、液滴からなるパターンの形状制御性を向上させることができる。
【0011】
本発明の液滴吐出装置は、基板と相対向する吐出口から前記基板に向けて液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、照射位置にレーザ光を照射するレーザ照射手段と、前記基板と前記レーザ照射手段とが相対移動し、前記基板に着弾した前記液滴を前記照射位置に移動する移動手段と、を備えた液滴吐出装置であって、前記照射位置と前記吐出口との間を結ぶ直線上に設けられて、前記吐出口に向けて反射した前記レーザ光を遮光する遮光部材を備えた。
【0012】
本発明の液滴吐出装置によれば、吐出口に向かうレーザ光を遮光することができるため、吐出口の液体等(液体や液状体等)をレーザ光から保護することができる。従って、吐出口における液体等の固化を回避させることができ、液滴の飛行曲がりや吐出口の目詰まりを回避させることができる。この結果、液滴からなるパターンの形状制御性を向上することができる。
【0013】
この液滴吐出装置において、前記吐出口は、前記基板と相対向する吐出口形成面に形成されて、前記遮光部材は、前記吐出口形成面に設けられて、前記吐出口形成面から前記基板側に突出する凸部を前記照射位置と前記吐出口との間を結ぶ直線上に備えるようにしてもよい。
【0014】
この液滴吐出装置によれば、吐出口と遮光部材(凸部)が吐出口形成面を共有するため、吐出口に対する遮光部材の位置整合性を容易に確保させることができる。従って、液滴の飛行曲がりや吐出口の目詰まりを、より確実に回避させることができる。
【0015】
この液滴吐出装置において、前記凸部は、前記吐出口の周囲を囲うように形成されてもよい。
【0016】
この液滴吐出装置によれば、凸部が吐出口を囲う分だけ、凸部によって遮光できる領域を拡大させることができる。従って、基板と吐出口形成面との間の領域でレーザ光が多重反射あるいは乱反射する場合であっても、凸部が吐出口の周囲を囲う分だけ、液滴の飛行曲がりや吐出口の目詰まりを回避させることができる。
【0017】
この液滴吐出装置において、前記吐出口は、前記基板と相対向する吐出口形成面に形成
されて、前記遮光部材は、前記吐出口形成面の法線方向に突出する凸部を有し、前記凸部は、前記法線方向から見て少なくとも前記吐出口の前記照射位置側を囲い、前記レーザ光の前記基板に対する入射角をθとし、前記吐出口の内径をRとし、前記凸部と前記吐出口との間の距離をWsとし、前記凸部の前記法線方向の厚さをHsとすると、Arctan((Ws+R)/Hs)<θを満たす構成であってもよい。
【0018】
この液滴吐出装置によれば、遮光部材と基板との間、あるいは吐出口形成面と基板との間でレーザ光が正反射を繰り返す場合であっても、吐出口に向けて反射したレーザ光を遮光面によって遮光させることができる。従って、液滴の飛行曲がりや吐出口の目詰まりを、より確実に回避させることができる。
【0019】
この液滴吐出装置において、前記遮光部材は、前記レーザ光を吸収する光吸収性を有するようにしてもよい。
【0020】
この液滴吐出装置によれば、遮光部材がレーザ光を吸収するため、遮光部材からの反射を回避させることができる。従って、遮光部材がレーザ光を吸収する分だけ、各種部材(例えば、液滴吐出ヘッドの領域や基板に形成したパターン等)に向かう反射を回避させることができる。よって、液滴の飛行曲がりや吐出口の目詰まりを回避させることができ、かつ、レーザ照射に起因した各種部材の損傷を回避させることができる。
【0021】
この液滴吐出装置において、前記遮光部材は、前記基板側からのレーザ光を溝内部で多重反射させて減衰させる減衰溝を有した構成であってもよい。
【0022】
この液滴吐出装置によれば、遮光部材の機械的設計によって、遮光部材の光吸収性を向上させることができる。
【0023】
この液滴吐出装置において、前記吐出口は、前記基板と相対向する吐出口形成面に列状に配列形成されて、前記遮光部材は、前記吐出口の配列方向に沿って形成されて、前記各吐出口に共通するようにしてもよい。
【0024】
この液滴吐出装置によれば、遮光部材の部材点数を削減することができ、より簡便な構成によって、液滴の飛行曲がりや吐出口の目詰まりを回避させることができる。
【0025】
この液滴吐出装置において、前記吐出口は、前記基板と相対向する吐出口形成面に形成されて、前記遮光部材は、前記吐出口形成面に着脱可能に取着されてもよい。
【0026】
この液滴吐出装置によれば、遮光部材を吐出口形成面から取り外すことができるため、吐出口や吐出口形成面の洗浄を行うことができる。従って、吐出口や吐出口形成面の定期的な洗浄を行うことができ、液滴の飛行曲がりや吐出口の目詰まりを、より長期間にわたって回避させることができる。
【0027】
この液滴吐出装置において、前記遮光部材は、前記吐出口形成面に磁気的に取着される構成であってもよい。
【0028】
この液滴吐出装置によれば、遮光部材の着脱操作を簡便にさせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明を具体化した実施形態を図1〜図5に従って説明する。まず、本発明のパターン形成方法を利用して形成した識別コードを有する液晶表示装置について説明する。
【0030】
図1において、液晶表示装置1は、四角形状に形成されたガラス基板(以下単に、「基板」という)2を備えている。本実施形態では、基板2の長手方向をX矢印方向とし、X矢印方向と直交する方向をY矢印方向とする。
【0031】
基板2の一側面(表面2a)であって、その略中央位置には、液晶分子を封入した四角形状の表示部3が形成されて、その表示部3の外側には、走査線駆動回路4及びデータ線駆動回路5が形成されている。液晶表示装置1は、これら走査線駆動回路4の供給する走査信号と、データ線駆動回路5の供給するデータ信号に基づいて、前記表示部3内の液晶分子の配向状態を制御する。液晶表示装置1は、図示しない照明装置からの平面光を液晶分子の配向状態によって変調して、表示部3の領域に所望の画像を表示する。
【0032】
基板2の表面2aであって、その左側下隅には、液晶表示装置1の識別コード10が形成されている。識別コード10は、一辺が約1mmの正方形で形成されたコード形成領域Sに形成されている。コード形成領域Sは、16行×16列のデータセルCに仮想分割されて、各データセルCの領域に、外径がデータセルCの一辺の長さに相当する半球状のパターンとしてのドットDが選択的に形成されている。本実施形態では、ドットDの形成されたデータセルCを「黒セルC1」とし、ドットDの形成されないデータセルCを「白セルC0」という。また、各黒セルC1の中心位置を「目標吐出位置P」とし、データセルCの一辺の長さを「セル幅W」という。
【0033】
ドットDは、パターン形成材料としての金属微粒子(例えば、ニッケル微粒子やマンガン微粒子)を分散媒に分散させた液状体F(図4参照)によって形成されている。ドットDは、液状体Fを液滴Fbにして黒セルC1に吐出し、黒セルC1に着弾した液滴Fbを乾燥及び焼成させることによって形成されている。この液滴Fbの乾燥・焼成は、レーザ光L(図4参照)を照射することによって行われる。本実施形態では、液滴Fbを乾燥・焼成することによってドットDを形成する構成にしているが、これに限らず、例えばレーザ光Lの乾燥のみによって形成する構成にしてもよい。
【0034】
識別コード10は、各データセルC内のドットDの有無によって、液晶表示装置1の製品番号やロット番号等を再現する。
【0035】
次に、前記識別コード10を形成するための液滴吐出装置について説明する。
【0036】
図2に示すように、液滴吐出装置20には、その長手方向がX矢印方向に沿う直方体形状に形成された基台21が備えられている。基台21の上面には、X矢印方向に延びる1対の案内溝22が形成されて、その案内溝22には、移動手段を構成する基板ステージ23が取付されている。基板ステージ23は、基台21に配設されたX軸モータMX(図5参照)に連結駆動されて、X矢印方向及び反X矢印方向に直動する。基板ステージ23の上面には、図示しない吸引式のチャック機構が設けられて、表面2a(コード形成領域S)を上側にした状態で基板2が位置決め固定される。
【0037】
基台21のY矢印方向両側には、門型に形成された案内部材24が架設されている。案内部材24の上側には、液状体Fを収容する収容タンク25が配設されて、収容する液状体Fを液滴吐出ヘッド(以下単に、「吐出ヘッド」という。)30に供給する。案内部材24の下側には、Y矢印方向に延びる上下一対の案内レール26がY矢印方向全幅にわたり形成されて、その案内レール26には、キャリッジ27が取付られている。キャリッジ27は、案内部材24に配設されたY軸モータMY(図5参照)に連結駆動されて、Y矢印方向及び反Y矢印方向に直動する。
【0038】
キャリッジ27の下側には、吐出ヘッド30が搭載されている。図3は、吐出ヘッド3
0を基板2側から見た斜視図である。
【0039】
図3に示すように、吐出ヘッド30の基板2側(図3における上側)には、ノズルプレート31が備えられている。ノズルプレート31は、ステンレス等の板部材であって、その下面(図3における上面:吐出口形成面としてのノズル形成面31a)が基板2の表面2aと平行に配設されている。ノズルプレート31には、複数の吐出口としてのノズルNがY矢印方向に沿う列状に等間隔に形成されている。ノズルNは、基板2の法線方向(Z矢印方向)に沿って貫通形成された円形孔であって、その内径が所定のノズル径R(例えば、30μm)で形成されている。各ノズルNは、Y矢印方向に沿う形成ピッチが目標吐出位置Pの形成ピッチと同じ幅(セル幅W:図3参照)で形成されている。本実施形態では、図4に示すように、表面2a上の位置であって、各ノズルNの反Z矢印方向に相対する位置を、それぞれ「着弾位置PF」という。
【0040】
図4に示すように、ノズルNのZ矢印方向には、収容タンク25に連通するキャビティ34が形成されて、収容タンク25が導出する液状体Fを、それぞれ対応するノズルN内に供給する。各キャビティ34の上側には、Z矢印方向及び反Z矢印方向(上下方向)に振動可能な振動板35が貼り付けられて、キャビティ34内の容積を拡大・縮小する。振動板35の上側には、各ノズルNに対応する複数の圧電素子PZが配設されて、圧電素子PZを駆動制御するための信号(圧電素子駆動電圧VDP:図5参照)を受けて上下方向に収縮・伸張し、対応する振動板35をZ矢印方向及び反Z矢印方向に振動させる。
【0041】
圧電素子PZは、基板ステージ23が基板2をX矢印方向に搬送するとき、目標吐出位置Pが着弾位置PFに位置するタイミングで収縮・伸張する。圧電素子PZが収縮・伸張すると、対応するキャビティ34内の容積が拡大・縮小し、所定容量の液状体Fが対応するノズルNから液滴Fbとして吐出される。ノズルNから吐出された液滴Fbは、略反Z矢印方向に飛行して対応するノズルNの直下に位置する目標吐出位置P(着弾位置PF)に着弾する。目標吐出位置Pに着弾した液滴Fbは、搬送時間の経過とともに対応するデータセルC内で濡れ広がって、液滴Fbを乾燥するためのサイズ(前記セル幅W)にまで拡大する。本実施形態では、液滴Fbの中心位置(目標吐出位置P)であって、液滴Fbの外径がセル幅Wになる位置を、「照射位置PT」という。
【0042】
図3及び図4に示すように、吐出ヘッド30のX矢印方向側には、複数の半導体レーザLDを搭載したレーザ照射手段としてのレーザヘッド36が配設されている。各半導体レーザLDは、それぞれノズルNのX矢印方向側に配設されて、液状体F(分散媒や金属微粒子)の吸収波長に対応した波長領域のレーザ光Lを出射する。各半導体レーザLDの基板2側には、それぞれ半導体レーザLDからのレーザ光Lを平行光束にするコリメータ37と、コリメータ37からのレーザ光を収束して基板2の表面2aに導く集光レンズ38と、が配設されている。これらコリメータ37と集光レンズ38からなる光学系は、前記照射位置PTに向かう所定の角度(入射角θ)を有した光軸A1を形成する。本実施形態の光学系は、入射角θを45°よりも大きくし、照射位置PTの領域から正反射される反射散乱光Lrの反射角(反射散乱角θr)を45°よりも大きくする。
【0043】
半導体レーザLDは、着弾位置PFに着弾した液滴Fbが照射位置PTに到達するとき、レーザ光Lを出射するための駆動信号(レーザ駆動電圧VDL:図5参照)を受けて所定強度のレーザ光Lを出射する。所定強度のレーザ光Lは、対応する液滴Fbの領域に照射されて液滴Fbの溶媒あるいは分散媒を蒸発し、液滴Fbの濡れ広がりを抑制させる。すなわち、液滴Fbは、外径がセル幅Wからなる半球状パターンとして瞬時に固定される。固定された液滴Fbは、連続するレーザ光Lの照射によってその金属微粒子が焼成されて、外径がセル幅WからなるドットDとして基板2の表面2aに固着する。
【0044】
ドットDが形成されるとき、照射位置PTの領域では、照射されたレーザ光Lの一部が、基板2の表面2aや液滴Fbによって、吐出ヘッド30(ノズルN)側に向かう反射散乱光Lrとして反射散乱される。反射散乱光Lrの殆どは、基板2の表面2aあるいは液滴Fbの表面によって正反射されたものである。そのため、反射散乱光Lrの殆どは、反射散乱角θrを入射角θと同じにしてノズルNに向けて反射される。
【0045】
図4に示すように、ノズルNの内周面であってそのノズル形成面31a側には、ノズル形成面31aにまで広がる撥液膜39が形成されている。撥液膜39は、数百nm程度のシリコーン樹脂やフッ素樹脂等からなる重合膜であって、液状体Fに対する撥液性を有している。撥液膜39は、ノズルN内に形成される液状体Fの界面(メニスカスM)の位置を安定させて、液滴Fbの吐出動作を安定させる。尚、本実施形態では、撥液膜39を直接ノズルプレート31に形成する構成にしたが、これに限らず、ノズルプレート31と撥液膜39との間の密着性を向上するために、ノズルプレート31と撥液膜39との間に、シランカップリング剤等からなる数nmの密着層を介在させる構成にしてもよい。
【0046】
図3及び図4に示すように、ノズル形成面31aであって各ノズルNの周囲には、遮光部材40が固着されている。遮光部材40は、ノズル形成面31aの法線方向に突出する凸部であって、前記照射位置PTとノズルNとの間を結ぶ直線上に配設されている。遮光部材40は、レーザ光Lを吸収する光吸収性の材料によって形成されている。遮光部材40は、全てのノズルN(前記撥液膜39)の周囲を囲うように、ノズル形成面31aのY矢印方向略全幅に延びる四角筒状に形成されている。遮光部材40は、そのX矢印方向側の内壁面40aと各ノズルNとの間の距離(遮光幅Ws)が小さい程、また内壁面40aのZ矢印方向の厚さ(遮光厚さHs)が大きい程、各ノズルNに向かう反射散乱光Lrを広範囲にわたり遮光する。
【0047】
詳述すると、遮光部材40は、反射散乱角θrがArctan((Ws+R)/Hs)<θrを満たす反射散乱光Lrを、各ノズルNに対して遮光して吸収する。反射散乱光Lrの殆どは、その反射散乱角θrを入射角θと同じにするため、遮光部材40は、入射角θがArctan((Ws+R)/Hs)<θを満たすレーザ光Lの反射散乱光Lrを、各ノズルNに対して遮光する。
【0048】
本実施形態の遮光部材40は、遮光幅Wsが100μmで形成されて、遮光厚さHsが、前記遮光幅Wsと、前記ノズル径Rと、の和と同じ130μmで形成されている。よって、遮光部材40は、Arctan((Ws+R)/Hs)=45°<θを満たすレーザ光Lの反射散乱光Lrを各ノズルNに対して遮光する。コリメータ37と集光レンズ38からなる光学系は、上記するように入射角θを45°よりも大きくする。この結果、遮光部材40は、照射位置PTから各ノズルに向かう反射散乱光Lrの殆どを遮光して吸収する。
【0049】
遮光部材40は、反射散乱光Lrを遮光する分だけ、ノズルN内の液状体Fの増粘や固化、さらには撥液膜39の損傷等を回避させて、液状体Fの流動性とメニスカスMの安定性を維持させる。しかも、遮光部材40は、ノズルNの周囲を囲う筒状に形成されているため、反射散乱光Lrが表面2aとノズル形成面31aとの間で多重反射あるいは乱反射する場合であっても、反射散乱光Lrの方向に関わらず、ノズルNを囲う分だけ、液状体Fの流動性とメニスカスMの安定性を維持させる。
【0050】
尚、遮光部材40は、吸収した反射散乱光Lrを熱量に変換し、その熱量をステンレス製のノズルプレート31やSi製のキャビティ34を介して放熱する構成にしてもよい。また、ノズルNの近傍では、ノズルプレート31の熱量を液状体Fによって放熱させる構成にしてもよい。これによれば、高粘度の液状体Fを吐出する場合、ノズルプレート31
の熱量によって液状体Fの粘度を低粘度化し、液状体Fの吐出動作の安定化を図ることができる。
【0051】
次に、上記のように構成した液滴吐出装置20の電気的構成を図5に従って説明する。
【0052】
図5において、制御部41は、CPU、RAM、ROM等を備え、ROM等に格納された各種データと各種制御プログラムに従って、基板ステージ23を移動させて、液滴吐出ヘッド30及びレーザヘッド36を駆動させる。
【0053】
制御部41には、起動スイッチ、停止スイッチ等の操作スイッチを有した入力装置42が接続されて、入力装置42からの各種操作信号や識別コード10の画像が既定形式の描画データIaとして入力される。制御部41は、入力装置42から描画データIaを受けると、二次元描画平面(コード形成領域S)上における各データセルCに、液滴Fbを吐出するか否かを示すビットマップデータBMDと、各圧電素子PZを駆動するための圧電素子駆動電圧VDPと、半導体レーザLDを駆動するためのレーザ駆動電圧VDLを生成する。
【0054】
制御部41には、X軸モータ駆動回路43及びY軸モータ駆動回路44が接続されて、X軸モータ駆動回路43及びY軸モータ駆動回路44に、それぞれ対応する駆動制御信号を出力する。X軸モータ駆動回路43及びY軸モータ駆動回路44は、制御部41からの駆動制御信号に応答して、それぞれ基板ステージ23を往復移動させるX軸モータMX及びキャリッジ27を往復移動させるY軸モータMYを正転又は逆転させる。
【0055】
制御部41には、基板2の端縁を検出可能な基板検出装置45が接続されて、基板検出装置45からの検出信号に基づいて、ノズルNの直下を通過する基板2の位置を算出する。
【0056】
制御部41には、X軸モータ回転検出器46及びY軸モータ回転検出器47が接続されて、X軸モータ回転検出器46及びY軸モータ回転検出器47からの検出信号が入力される。制御部41は、X軸モータ回転検出器46からの検出信号に基づいて、基板2の移動方向及び移動量を演算する。制御部41は、各データセルCの中心位置が着弾位置PFに位置するとき、吐出タイミング信号SGを吐出ヘッド駆動回路48及びレーザ駆動回路49に出力する。制御部41は、Y軸モータ回転検出器47からの検出信号に基づいて、液滴吐出ヘッド30のY矢印方向の移動方向及び移動量を演算する。制御部41は、液滴吐出ヘッド30の移動方向と移動量に基づいて、各ノズルNに対応する着弾位置PFをそれぞれ目標吐出位置Pの移動経路上に配置する。
【0057】
制御部41には、吐出ヘッド駆動回路48が接続されて、所定のクロック信号に同期させた吐出タイミング信号SGと、所定のクロック信号に同期させた圧電素子駆動電圧VDPを、それぞれ出力する。また、制御部41は、ビットマップデータBMDに基づいて所定の基準クロックに同期させたヘッド制御信号SCHを生成し、吐出ヘッド駆動回路48に順次シリアル転送する。吐出ヘッド駆動回路48は、制御部41からのヘッド制御信号SCHを各圧電素子PZに対応させてシリアル/パラレル変換する。吐出ヘッド駆動回路48は、制御部41からの吐出タイミング信号SGを受けるとき、シリアル/パラレル変換したヘッド制御信号SCHに基づいて選択される圧電素子PZに圧電素子駆動電圧VDPを供給する。
【0058】
制御部41には、レーザ駆動回路49が接続されて、吐出タイミング信号SGと、所定のクロック信号に同期させたレーザ駆動電圧VDLと、前記ヘッド制御信号SCHをそれぞれ出力する。レーザ駆動回路49は、制御部41からのヘッド制御信号SCHを各半導
体レーザLDに対応させてシリアル/パラレル変換する。レーザ駆動回路49は、制御部41からの吐出タイミング信号SGを受けるとき、所定の時間だけ待機して、シリアル/パラレル変換したヘッド制御信号SCHに基づいて選択される半導体レーザLDにレーザ駆動電圧VDLを供給する。すなわち、制御部41は、レーザ駆動回路49を介して、液滴Fbを吐出したノズルNに対応する半導体レーザLDからレーザ光Lを出射させる。
【0059】
本実施形態では、吐出タイミング信号SGを受けたレーザ駆動回路49がレーザ駆動電圧VDLを供給するまでの時間を「待機時間」とし、その「待機時間」は、着弾位置PFの液滴Fbが照射位置PTに到達するまでの時間に設定されている。すなわち、レーザ駆動回路49は、着弾した液滴Fbの外径がセル幅Wになるまで待機し、液滴Fbの外径がセル幅Wになるタイミングで、対応する半導体レーザLDから照射位置PTの液滴Fbに向けてレーザ光Lを出射する。
【0060】
次に、液滴吐出装置20を使って識別コード10を形成する方法について説明する。
【0061】
まず、図2に示すように、基板ステージ23上に、表面2aを上側にした状態で基板2を配置固定する。このとき、基板2のX矢印方向側の辺は、案内部材24より反X矢印方向側に配置されている。
【0062】
この状態から、入力装置42を操作して描画データIaを制御部41に入力する。すると、制御部41は、描画データIaに基づくビットマップデータBMD、圧電素子駆動電圧VDP及びレーザ駆動電圧VDLを生成する。
【0063】
圧電素子駆動電圧VDP及びレーザ駆動電圧VDLを生成すると、制御部41は、Y軸モータMYを駆動制御して、基板2をX矢印方向に搬送するときに、各目標吐出位置Pがそれぞれ対応する着弾位置PFを通過するように、キャリッジ27(各ノズルN)をセットする。
【0064】
キャリッジ27をセットすると、制御部41は、X軸モータMXを駆動制御して、基板2をX矢印方向に搬送する。基板2の搬送を開始すると、制御部41は、基板検出装置45及びX軸モータ回転検出器46からの検出信号に基づいて、最もX矢印方向側のセルC(目標吐出位置P)が着弾位置PFまで搬送されたか否か判断する。この間、制御部41は、吐出ヘッド駆動回路48に、圧電素子駆動電圧VDP及びヘッド制御信号SCHを出力し、レーザ駆動回路49に、レーザ駆動電圧VDL及びヘッド制御信号SCHを出力し、これら吐出ヘッド駆動回路48及びレーザ駆動回路49の双方に、それぞれ吐出タイミング信号SGを出力するタイミングを待つ。
【0065】
そして、最もX矢印方向に位置するセルCが着弾位置PFに搬送されると、制御部41は、吐出ヘッド駆動回路48とレーザ駆動回路49の双方に吐出タイミング信号SGを出力する。
【0066】
吐出タイミング信号SGを出力すると、制御部41は、吐出ヘッド駆動回路48を介して、ヘッド制御信号SCHに応じた圧電素子PZに、それぞれ圧電素子駆動電圧VDPを供給し、ヘッド制御信号SCHによって選択されたノズルNから、一斉に液滴Fbを吐出させる。吐出された液滴Fbは、対応する着弾位置PF(目標吐出位置P)に着弾し、着弾位置PFから照射位置PTまで搬送される間に、その外径をセル幅Wにする。
【0067】
また、吐出タイミング信号SGを出力すると、制御部41は、レーザ駆動回路49を介して、半導体レーザLDを待機時間だけ待機させる。制御部41は、半導体レーザLDを待機時間だけ待機させると、ヘッド制御信号SCHに対応する半導体レーザLDに、それ
ぞれレーザ駆動電圧VDLを供給し、ヘッド制御信号SCHによって選択された半導体レーザLDから、一斉にレーザ光Lを出射させる。
【0068】
一斉に出射されたレーザ光Lは、照射位置PTの液滴Fb、すなわちセル幅Wの外径を有した液滴Fbの領域に照射される。レーザ光Lの照射された液滴Fbは、分散媒の蒸発と金属微粒子の焼成によって、その外径がセル幅WのドットDとして基板2の表面2aに固着される。これによって、最もX矢印方向に位置する黒セルC1に、セル幅Wに整合したドットDが形成される。
【0069】
この間、吐出ヘッド30には、照射位置PTの領域から各ノズルNに向かう反射散乱光Lrが反射散乱されるが、その殆どは、反射散乱角θrを45°よりも大きくする。そのため、ノズルNに向かう反射散乱光Lrの殆どは、ノズルNに到達する前に、照射位置PTと各ノズルNとの間を結ぶ直線上に位置する遮光部材40によって遮光されて吸収される。従って、各ノズルNの内部では、液状体Fの流動性やメニスカスMの安定性が維持される。この結果、液滴吐出ヘッド30は、目詰まりや液滴Fbの飛行曲がりを来たすことなく、後続の液滴Fbを安定して吐出し続ける。
【0070】
以後同様に、制御部41は、基板2をX矢印方向に搬送して、各目標吐出位置Pが着弾位置PFに到達する毎に、選択されたノズルNから液滴Fbを一斉に吐出する。そして、黒セルC1に着弾した液滴Fbがセル幅Wになるタイミングで一斉にレーザ光Lを照射し、コード形成領域S内に全てのドットDを形成する。
【0071】
次に、上記のように構成した本実施形態の効果を以下に記載する。
【0072】
(1)上記実施形態によれば、ノズルプレート31の基板2側であって、照射位置PTとノズルNとの間を結ぶ直線上に、ノズル形成面31aから突出する遮光部材40を形成した。
【0073】
従って、遮光部材40がノズル形成面31aから突出する分だけ、また遮光部材40がノズルNの近傍に形成される分だけ、すなわち遮光部材40の遮光厚さHが大きい分だけ、また遮光幅Wsが小さい分だけ、ノズルNに向かう基板2側からの反射散乱光Lrを遮光させることができる。その結果、ノズルN内の液状体Fや撥液膜39を反射散乱光Lrの照射から保護させることができ、ノズルN内の液状体Fの増粘や乾燥、撥液膜39の損傷を回避することができる。そのため、ノズルN内の液状体Fの流動性やメニスカスMの安定性を維持させることができ、液滴Fbの飛行曲がりやノズルNの目詰まりを回避してドットDの形状制御性を向上させることができる。
【0074】
(2)しかも、遮光部材40を四角筒状に形成して、ノズルNの周囲を囲うように構成した。従って、レーザ光L(反射散乱光Lr)が、表面2aとノズル形成面31aとの間で多重反射あるいは乱反射する場合であっても、ノズルNの周囲を囲う分だけ、ノズルN内の液状体Fの増粘や固化等を回避させることができる。
【0075】
(3)上記実施形態では、遮光部材40を光吸収性の材料で構成するようにした。従って、ノズルN側に反射散乱した反射散乱光Lrを、遮光部材40によって吸収して、2次反射させることなく終端させることができる。その結果、遮光部材40がレーザ光Lを吸収する分だけ、表面2aとノズル形成面31aとの間の反射散乱光Lrの多重反射や乱反射を回避させることができる。そのため、ノズルN内の液状体Fの増粘や固化等を、より確実に抑制させることができる。
【0076】
(4)上記実施形態では、遮光部材40をY矢印方向(ノズルNの配列方向)に沿う形
状に形成して、各ノズルNに共通する形状にした。従って、ノズルN毎に遮光部材40を設ける場合に比べて、その部材点数を削減させることができ、より簡便な構成によって、液滴Fbの飛行曲がりやノズルNの目詰まりを回避させることができる。
【0077】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0078】
・上記実施形態では、遮光部材40の形状を、ノズルNの周囲を囲う四角筒状に形成した。これに限らず、例えば、図6に示すように、遮光部材を、ノズルNのレーザヘッド36側のみを囲う凸部51として構成してもよい。これによれば、より簡便な構成によって、照射位置PT側からの反射散乱光Lrを遮光させることができる。
【0079】
あるいは、図7に示すように、遮光部材を、ノズル形成面31aの全体にわたって広がる板状の遮光板52で構成し、同遮光板52を、ノズル形成面31aに対して、機械的あるいは磁気的に着脱可能に取付ける構成にしてもよい。これによれば、遮光板52をノズル形成面31aから取り外すことができるため、ノズルNやノズル形成面31aの洗浄を行うことができる。そのため、ノズルNやノズル形成面31aの洗浄を適宜行うことができる分だけ、液滴Fbの吐出動作の安定化を、さらに向上させることができる。
【0080】
・上記実施形態では、遮光部材40の内壁面を平滑面で構成した。これに限らず、例えば図8に示すように、遮光部材40の内壁面に、減衰溝(閉じ込め凹部53)を形成する構成にしてもよい。そして、閉じ込め凹部53が、基板2側からの反射散乱光Lrを受けて溝内部で多重反射し、ノズルNに向かう反射散乱光Lrを減衰させる構成にしてもよい。これによれば、遮光部材の機械的設計によって遮光部材の光吸収性を向上させることができ、遮光部材の材料選択範囲を拡張させることができる。
【0081】
・上記実施形態では、遮光部材40をノズル形成面31aに配設する構成にした。これに限らず、例えば、図9に示すように、遮光部材をノズルプレート31と略同じ板状の遮光板55に具体化し、その遮光板55にノズルNと相対向して液滴Fbを通過させるための貫通孔54を設け、該遮光板55をレーザヘッド36に取付ける構成にしてもよい。すなわち、遮光部材の配置位置は、照射位置PTとノズルNとの間を結ぶ直線上であればよい。
【0082】
・上記実施形態では、遮光部材40を光吸収性材料で形成したが、光反射性材料で形成してもよく、ノズルNに向かう反射散乱光Lrを遮光可能な材料であればよい。
【0083】
・上記実施形態では、反射散乱光Lrが基板2の表面2aや液滴Fbによって反射散乱される例について説明した。これに限らず、例えば、反射散乱光Lrが、基板2の裏面や基板ステージ23によって反射散乱されるものであってもよい。
【0084】
・上記実施形態では、液滴Fbの領域に照射するレーザ光Lによって、液滴Fbを乾燥・焼成する構成にした。これに限らず、例えば、照射するレーザ光Lのエネルギーによって、液滴Fbを所望の方向に流動させる構成にしてもよく、あるいは、液滴Fbの外縁のみを照射して液滴Fbをピニングさせる構成にしてもよい。すなわち、液滴Fbの領域に照射するレーザ光Lによってパターンを形成する構成であればよい。
【0085】
・上記実施形態では、レーザ光源を半導体レーザLDに具体化したが、これに限らず、例えば、レーザ光源を炭酸ガスレーザやYAGレーザに具体化してもよく、出力するレーザ光Lによって着弾した液滴Fbを乾燥させるものであればよい。
【0086】
・上記実施形態では、液滴Fbによって半円球状のドットDを形成する構成にしたが、
これに限らず、例えば、楕円形状のドットや線状のパターンを形成する構成であってもよい。
【0087】
・上記実施形態では、パターンを識別コード10のドットDに具体化した。これに限らず、例えばパターンを、液晶表示装置1や、平面状の電子放出素子を備えて同素子から放出された電子による蛍光物質の発光を利用した電界効果型装置(FEDやSED等)の絶縁膜や金属配線等、各種パターンに具体化してもよく、着弾した液滴Fbの領域にレーザ光を照射して形成するパターンであればよい。
【0088】
・上記実施形態では、基板を液晶表示装置1に利用する基板2に具体化したが、これに限らず、例えばフレキシブル基板や金属基板、シリコン基板等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本実施形態における液晶表示装置を示す平面図。
【図2】同じく、液滴吐出装置を示す概略斜視図。
【図3】同じく、液滴吐出ヘッド及びレーザヘッドを示す概略斜視図。
【図4】同じく、液滴吐出ヘッド及びレーザヘッドを示す概略断面図。
【図5】同じく、液滴吐出装置の電気的構成を示す電気ブロック回路図。
【図6】変更例の液滴吐出ヘッドを示す概略断面図。
【図7】変更例の液滴吐出ヘッドを示す概略断面図。
【図8】変更例の液滴吐出ヘッドを示す概略断面図。
【図9】変更例の液滴吐出ヘッドを示す概略断面図。
【図10】従来例の液滴吐出ヘッド及びレーザヘッドを示す概略断面図。
【符号の説明】
【0090】
2…基板、20…液滴吐出装置、30…液滴吐出ヘッド、31a…吐出口形成面としてのノズル形成面、36…レーザ照射手段としてのレーザヘッド、39…撥液膜、40…遮光部材、51…遮光部材としての凸部、52,55…遮光部材としての遮光板、θ…入射角、L…レーザ光、D…パターンとしてのドット、Fb…液滴、N…吐出口としてのノズル、PT…照射位置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン形成材料の液滴を吐出口から基板に向けて吐出し、前記基板とレーザ光の照射位置とを相対移動させ、前記基板に着弾した前記液滴をレーザ光の照射位置に移動させ、前記照射位置に到達した前記液滴に前記レーザ光を照射してパターンを形成するようにしたパターン形成方法であって、
前記吐出口に向けて反射した前記レーザ光を、前記照射位置と前記吐出口との間を結ぶ直線上に設けられた遮光部材によって遮光するようにしたことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
基板と相対向する吐出口から前記基板に向けて液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、
照射位置にレーザ光を照射するレーザ照射手段と、
前記基板と前記レーザ照射手段とが相対移動し、前記基板に着弾した前記液滴を前記照射位置に移動する移動手段と、
を備えた液滴吐出装置であって、
前記照射位置と前記吐出口との間を結ぶ直線上に設けられて、前記吐出口に向けて反射した前記レーザ光を遮光する遮光部材を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液滴吐出装置であって、
前記吐出口は、前記基板と相対向する吐出口形成面に形成されて、
前記遮光部材は、前記吐出口形成面に設けられて、前記吐出口形成面から前記基板側に突出する凸部を前記照射位置と前記吐出口との間を結ぶ直線上に備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液滴吐出装置であって、
前記凸部は、前記吐出口の周囲を囲うことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1つに記載の液滴吐出装置であって、
前記吐出口は、前記基板と相対向する吐出口形成面に形成されて、
前記遮光部材は、前記吐出口形成面の法線方向に突出する凸部を有し、
前記凸部は、
前記法線方向から見て少なくとも前記吐出口の前記照射位置側を囲い、
前記レーザ光の前記基板に対する入射角をθとし、前記吐出口の内径をRとし、前記凸部と前記吐出口との間の距離をWsとし、前記凸部の前記法線方向の厚さをHsとすると、
Arctan((Ws+R)/Hs)<θを満たすことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか1つに記載の液滴吐出装置であって、
前記遮光部材は、前記レーザ光を吸収する光吸収性を有したことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の液滴吐出装置であって、
前記遮光部材は、前記基板側からのレーザ光を溝内部で多重反射させて減衰させる減衰溝を有したことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項8】
請求項2〜7のいずれか1つに記載の液滴吐出装置であって、
前記吐出口は、前記基板と相対向する吐出口形成面に列状に配列形成されて、
前記遮光部材は、前記吐出口の配列方向に沿って形成されて、前記各吐出口に共通することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項9】
請求項2〜8のいずれか1つに記載の液滴吐出装置であって、
前記吐出口は、前記基板と相対向する吐出口形成面に形成されて、
前記遮光部材は、前記吐出口形成面に着脱可能に取着されたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項10】
請求項9に記載の液滴吐出装置であって、
前記遮光部材は、前記吐出口形成面に磁気的に取着されたことを特徴とする液滴吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−125876(P2007−125876A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−243068(P2006−243068)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】