説明

パターン形成方法

【課題】 パターンの形状を検査する工程を含んだパターン形成方法を提供すること。
【解決手段】 パターン形成方法は、物体の表面にパターンを形成するために吐出部から前記表面へ液状材料の液滴を吐出する工程Aと、撮像装置を用いて前記パターンを撮像して撮像データを得る工程Bと、前記撮像データに基づいて前記パターンの形状を検査する工程Cと、を包含している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェット法によるパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット法でパターンを形成することが知られている。例えば、特許文献1は、インクジェット法を利用して導電膜パターンを形成することを開示している。
【0003】
【特許文献1】特開2004−6578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インクジェット法で液状材料の液滴を吐出して物体表面上に液状材料のパターンを形成する場合には、液滴の吐出に伴うミスト、または液滴の飛翔経路の曲がりなどに起因して、意図しなかった形状にパターンが形成されることがある。例えば、パターンにおいて互いに孤立すべき2つの部位が接続されることがあり得るし、連続して形成されるべき部位の一部が途切れることなどがあり得る。これらのような事態は、パターンが導電パターンの場合には、隣合う2つの配線間での電気的短絡、配線の断線、またはバルジを引き起こす。
【0005】
また、インクジェット法で物体表面上にパターンを形成した場合に、インクジェット装置上に物体を位置させたままパターンの形状を精密に検査することは知られていない。
【0006】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、パターンの形状を検査する工程を含んだパターン形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のパターン形成方法は、物体の表面にパターンを形成するために、吐出部から前記表面へ液状材料の液滴を吐出する工程Aと、撮像装置を用いて前記パターンを撮像して撮像データを得る工程Bと、前記撮像データに基づいて前記パターンの形状を検査する工程Cと、を包含している。
【0008】
上記特徴によって得られる効果の一つは、液滴を吐出して形成されたパターンの形状が、意図した形状(所定形状)であるかどうかを判定できることである。
【0009】
好ましくは、前記工程Bは、前記吐出部に対する相対位置が固定された前記撮像装置を用いて前記パターンを撮像して前記撮像データを得る工程b1を含んでいる。
【0010】
上記特徴によれば、パターンを形成する工程に並行して、パターンを撮像する工程を実行できる。このため、上記特徴によって得られる効果の一つは、パターンを形成する工程に並行して、パターンの形状を検査できることである。
【0011】
本発明のある態様によれば、前記工程Cは、前記撮像データと基準データとに基づいて、前記撮像データが表す形状と、前記基準データが表す基準形状と、を比較する工程を含んでいる。
【0012】
上記特徴によれば、撮像データが表す形状と基準形状とが比較されるので、パターンの形状が正確に検査される。
【0013】
本発明の他の態様によれば、前記工程Aは前記表面に前記吐出部を対面させながら前記液滴を吐出する工程を含む。そして、前記工程Bは、前記物体に対して前記吐出部と同じ側に位置する前記撮像装置を用いて前記パターンを撮像する工程を含んでいる。
【0014】
上記特徴によれば、物体が光透過性を有していなくてもパターンの形状を検査できる。
【0015】
本発明の他の態様によれば、前記物体は光透過性を有するとともに前記表面に対向する裏面を有している。そして、前記工程Aは前記表面に前記吐出部を対面させながら前記液滴を吐出する工程を含んでいる。そして、前記工程Bは、前記撮像装置を用いて前記裏面から前記パターンを撮像する工程を含んでいる。
【0016】
上記特徴によれば、パターンを撮像する際に、吐出部と撮像装置との間に物体が位置している。このため、液滴の吐出に伴うミストが生じた場合に、ミストが撮像装置に付着することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(実施形態1)
(A.液滴吐出装置)
図1に示す液滴吐出装置100は、基体5(図3)上にパターン10Pを形成する装置であり、基本的にはインクジェット装置である。より具体的には、液滴吐出装置100は、液状材料10を保持するタンク101と、チューブ110と、グランドステージGSと、吐出ヘッド部103と、ステージ106と、第1位置制御装置104と、第2位置制御装置108と、制御部112と、支持部104aと、を備えている。
【0018】
ここで、基体5はガラス基板である。ただし、基体5は、ガラス基板に代えて、ポリイミド基板、ガラスエポキシ基板、またはセラミック基板でもよい。また、基体5は、ガラス基板のような単純な構造体に代えて、カラーフィルタ基板、TFT基板、または有機エレクトロルミネッセンス表示装置用の基板など、積層された薄膜パターンが設けられた機能基板でもよい。
【0019】
図1に戻って、ステージ106は、基体5のような物体を載置するための平面を有している。一方、吐出ヘッド部103は、ヘッド114(図2)と、撮像装置22(図2)と、を有している。後述するように、吐出ヘッド部103におけるヘッド114は、制御部112からの駆動波形に応じて、液状材料10の液滴Dを、ステージ106側へ吐出する。なお、ヘッド114は、チューブ110によってタンク101に連結されており、このため、タンク101からヘッド114に液状材料10が供給されることになる。
【0020】
第1位置制御装置104は、支持部104aによって、グランドステージGSから所定の高さの位置に固定されている。この第1位置制御装置104は、吐出ヘッド103を移動可能に保持している。そして、第1位置制御装置104は、制御部112からの信号に応じて、吐出ヘッド部103をX軸方向と、X軸方向に直交するZ軸方向と、に沿って移動させる機能を有する。さらに、第1位置制御装置104は、Z軸に平行な軸の回りで吐出ヘッド部103を回転させる機能も有する。ここで、本実施形態では、Z軸方向は、鉛直方向(つまり重力加速度の方向)に平行な方向である。
【0021】
第2位置制御装置108は、制御部112からの信号に応じて、ステージ106をグランドステージGS上でY軸方向に移動させる。ここで、Y軸方向は、X軸方向およびZ軸方向の双方に直交する方向である。
【0022】
上記のような機能を有する第1位置制御装置104の構成と第2位置制御装置108の構成とは、リニアモータまたはサーボモータを利用した公知のXYロボットを用いて実現できる。このため、ここでは、それらの詳細な構成の説明を省略する。なお、本明細書では、第1位置制御装置104および第2位置制御装置108を、「ロボット」または「走査部」とも表記する。
【0023】
さて上述のように、第1位置制御装置104によって、吐出ヘッド部103はX軸方向に移動する。そして、第2位置制御装置108によって、基体5はステージ106と共にY軸方向に移動する。これらの結果、基体5に対する吐出ヘッド部103の相対位置が変わる。より具体的には、これらの動作によって、吐出ヘッド部103、ヘッド114(図3)、またはノズル118(図3)は、基体5との間に所定の距離を維持しながら、基体5に対してX軸方向およびY軸方向に相対的に移動する。
【0024】
制御部112は、液状材料10の液滴Dを吐出すべき相対位置を表す吐出データBD(図5)を外部情報処理装置から受け取るように構成されている。制御部112は、受け取った吐出データBDを内部の記憶装置(後述のRAM35)に格納するとともに、格納された吐出データBDに応じて、第1位置制御装置104と、第2位置制御装置108と、ヘッド114と、を制御する。
【0025】
上記構成を有する液滴吐出装置100は、吐出データBDに応じて、ヘッド114のノズル118を基体5のような物体に対して相対移動させるとともに、基体5上の被吐出部に向けてノズル118から液状材料10を吐出する。なお、液滴吐出装置100によるヘッド114の相対移動と、ヘッド114からの液状材料10の吐出と、をまとめて「塗布走査」または「吐出走査」と表記することもある。
【0026】
なお、インクジェット法で層、膜、またはパターンを形成することは、液滴吐出装置100のような装置を用いて、所定の物体上に、層、膜、またはパターンを形成することである。
【0027】
(B.吐出ヘッド部)
図2を参照しながら、吐出ヘッド部103の構成をより詳細に説明する。吐出ヘッド部103において、ヘッド114と撮像装置22とは、共通のキャリッジ103aによって保持されている。そして、このため撮像装置22のヘッド114に対する相対位置は固定されている。
【0028】
ヘッド114は、複数のノズル118を備えている。ここで、複数のノズル118のそれぞれの開口は、ヘッド114の下部を構成するノズルプレートによって規定されている。そして、このような複数のノズル118は、X軸方向に延びるノズル列116を構成している。なお、本実施形態では、複数のノズル118のそれぞれから液状材料10の液滴DがZ軸方向に吐出されるように、それぞれのノズル118の形状が調整されている。
【0029】
なお、ノズル118が液滴Dを吐出する方向は、Z軸方向(重力加速度の方向)以外であってもよい。これは、液滴Dの体積が微小であるので、ノズル118の開口部と、基体5の表面との間の距離が適切であれば、重力加速度の方向に関係なく、ノズル118から吐出された液滴Dは基体5上に着弾し得るからである。なお、1つのノズル118から吐出される液滴Dの体積は、0pl〜40plの範囲で可変である。
【0030】
ヘッド114の内部には、複数のノズル118のそれぞれに対応して、液状材料10が充填されるキャビティーと、キャビティー内に正負の圧力を加える振動子(不図示)と、が設けられている。このため、ノズル118の数と、キャビティーの数または振動子の数とは、等しい。そして、振動子に上述の駆動波形が与えられると、対応するキャビティー内の液状材料10が、ノズル118から液滴Dとして吐出されることになる。なお、1つのノズル118と、この1つのノズル118に対応した1つのキャビティーと、このキャビティーに対応した1つの振動子とを、「吐出部127」とも表記する。この表記によれば、1つのヘッド114は、ノズル118の数と同じ数の吐出部127を備えることになる。
【0031】
なお、吐出部127は、振動子の代わりに電気熱変換素子を有してもよい。つまり、吐出部127は、電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用して材料を吐出する構成を有していてもよい。要するに、液状材料10を吐出する機能を有する部分が「吐出部127」である。
【0032】
撮像装置22は、ヘッド114に対してY軸方向にずれて位置している。そして、複数のノズル118のそれぞれから吐出された液滴Dを撮像できるように、撮像装置22は配置されている。このため、複数のノズル118のうちの何れから液滴Dが吐出されても、その液滴Dが基体5上に着弾した場合には、着弾した液滴Dは撮像装置22の撮像範囲内、つまり撮像装置22の視野内、に位置する。なお、本実施形態の撮像装置22はCCDである。
【0033】
吐出ヘッド部103が上記のような構成を有するので、図3に示すように、液滴吐出装置100は、基体5の表面上に液状材料10のパターン10Pを形成する工程と、前記パターン10Pの形状を検査する工程とを、ステージ106上に基体5を載置したままで実行できる。
【0034】
(C.制御部)
次に、図4を参照しながら、制御部112の構成を説明する。図4に示す制御部112は、CPU(中央演算処理装置)33と、ROM34と、RAM35と、外部インターフェース部36と、検査装置205と、走査駆動部206と、ヘッド駆動部208と、これらを相互に通信可能に接続するバス37と、を備えている。走査駆動部206は第1位置制御装置104および第2位置制御装置108と相互に通信可能に接続されており、また、ヘッド駆動部208はヘッド114と相互に通信可能に接続されている。
【0035】
RAM35は、液滴Dを吐出するための吐出データBDを格納している。なお、吐出データは、液滴吐出装置100の外部に位置する情報処理装置(不図示)から、外部インターフェース部36を介して供給されている。
【0036】
CPU33は、RAM35内の吐出データBDに基づいて、ステージ106に対するノズル118の相対位置を示すデータを走査駆動部206に与える。走査駆動部206はこのデータと、所定の吐出周期と、に応じた走査駆動信号を第1位置制御装置104および第2位置制御装置108に与える。この結果、基体5に対する吐出ヘッド部103の相対位置が変わる。一方、CPU33は、吐出データBDをヘッド駆動部208に与える。そうすると、ヘッド駆動部208は、吐出データBDに応じて、複数の吐出部127への駆動波形を伝播または遮断する。この結果、対応するノズル118から液状材料10の液滴Dが吐出される。
【0037】
制御部112は、基本的にはコンピュータである。そして、制御部112の機能は、このようなコンピュータ上で実行されるソフトウエアプログラムによって実現され得る。ここでソフトウエアプログラムは、ROM34またはRAM35に格納されている。ただし、制御部112は専用のハードウエア(専用の制御回路)によって実現されてもよい。
【0038】
(D.検査装置)
検査装置205は、画像処理部として機能する画像処理装置25と、バッファメモリ26A,26Bと、比較器27と、を備えている。画像処理装置25には撮像装置22が接続されており、撮像装置22から所定のフレームレートで画像信号が供給される。そして、画像処理装置25は画像信号に応じて撮像データCDを生成して、バッファメモリ26Aに供給する。ここで、本実施形態の撮像データCDはビットマップデータの形態をしている。
【0039】
バッファメモリ26Aは、供給された撮像データCDを格納する。ここで、バッファメモリ26A内の撮像データCDは、上記のフレームレートで決まる周期で更新される。このため、基体5に対して撮像装置22が相対移動しても、最新の撮像データCDがバッファメモリ26Aに格納される。一方、バッファメモリ26Bには吐出データBDが格納される。本実施形態の吐出データBDは、RAM35からバッファメモリ26Bに転送される。なお、本実施形態のバッファメモリ26A,26Bは、それぞれシングルポートDRAMまたはデュアルポートDRAMによって構成され得る。ただし、バッファメモリ26A,26Bは、1つの記憶装置における2つのメモリ空間によって実現されてもよい。
【0040】
比較器27は、バッファメモリ26Aに格納されている撮像データCDと、バッファメモリ26Bに格納されている吐出データBDと、に基づいて、基体5上に設けられたパターン10Pの実際の形状と、吐出データBDが示すパターン10Pの形状と、を比較する。そして、CPU33は、比較器27による比較結果に基づいて、基体5上に設けられたパターン10Pの実際の形状と、吐出データBDが示すパターン10Pの形状とが一致するか否かを判定する。
【0041】
(E.撮像データおよび吐出データ)
図5(a)および(b)を参照しながら、撮像データCDおよび吐出データBDをより具体的に説明する。図5(a)の撮像データCDは、撮像装置22が基体5を撮像して得た画像を表すビットマップデータである。この撮像データCDは複数の画素ブロックCDPからなる。そして、それぞれの画素ブロックCDPは、基体5上のそれぞれの座標(位置)に関連付けられている。さらに、複数の画素ブロックCDPのそれぞれは、撮像装置22が出力する画像信号における画素群にそれぞれ対応する。例えば、1つの画素ブロックCDPが画像信号の5×10個の画素に対応している。もちろん、画素ブロックCDPは、画像信号における画素に1対1で対応してもよい。
【0042】
図5(a)の撮像データCDにおいて、ハッチングが付された画素ブロックCDP(CD1)は、基体5上に液状材料10が配置されていることを示し、値「1」を有している。一方、図5(a)において、白抜きの画素ブロックCDPは、基体5上に液状材料10が配置されていないことを示し、値「0」を有している。このように、撮像データCDにおける値(1または0)の分布の仕方が、基体5上でのパターン10Pの形状を表している。なお、1つの画素ブロックCDPが画像信号における複数の画素に対応する場合には、1つの画素ブロックCDPに対応する複数の画素のうち、値「1」を有する画素の数が所定の閾値以上であれば、その画素ブロックCDPの値は「1」にセットされる。同様に、1つの画素ブロックCDPに対応する複数の画素のうち、値「1」を有する画素の数が所定の閾値未満であれば、その画素ブロックCDPの値は「0」にセットされる。
【0043】
さて、撮像データCDは、基体5上において、X軸方向の範囲DXとY軸方向の範囲DYとで決まる領域に対応する。範囲DX,DYで決まる領域は、撮像装置22の視野にほぼ一致するので、「撮像領域」とも呼ばれる。ただし、この撮像領域の大きさは、本実施形態の場合、基体5の表面全体を一度に覆う大きさではない。しかしながら、前述のように撮像装置22は基体5に対して2次元的に相対移動するので、撮像領域も基体5に対して相対移動でき、そしてこのため、撮像装置22は基体5の全範囲を撮像できる。
【0044】
ここで、撮像データCDのうち、比較領域M1に含まれる画素ブロックCDPは、比較器27に転送されることになる。そして、比較器27によって、比較領域M1における画素ブロックCDPが、後述する比較領域M2におけるデータブロックBDPと比較される。なお、比較領域M1は、撮像データCD上の一部領域となるように設定されている。本実施形態では、比較領域M1は、撮像装置22の視野の中心を含む領域である。
【0045】
一方、図5(b)に示すように、吐出データBDは、複数のデータブロックBDPからなるビットマップデータである。この吐出データBDに応じて、ヘッド114から液滴Dが吐出されることになる。ここで、それぞれのデータブロックBDPは、基体5上のそれぞれの座標(位置)に関連付けられている。そして、それぞれのデータブロックBDPは、対応する位置に液状材料10を配置するか否を示す情報を有している。
【0046】
本実施形態では、図5(b)の横方向に一列に並んだ複数のデータブロックBDPが、ノズル列116にほぼ同時に割り当てられる。図5(b)の場合には、上から3番目の列PRに含まれるデータブロックBDPが、ノズル列116に割り当てられている。つまり、ノズル列116は、列PRに含まれるデータブロックBDPに基づいて液滴Dを吐出している。ここで、ハッチングが付されたデータブロックBDP(BD1)は、ノズル118から液滴Dが吐出されることを示しており、一方、白抜きのデータブロックBDPは、ノズル118から液滴Dが吐出されないことを示している。具体的には、ハッチングが付いたデータブロックBDPには値「1」が格納されており、白抜きのデータブロックBDPには値「0」が格納されている。なお、本実施形態では、吐出データBDが本発明の「基準データ」に対応している。
【0047】
さて、複数のデータブロックBDPのそれぞれと複数の画素ブロックCDPのそれぞれとが1対1で互いに対応付けられるように、撮像データCDは吐出データBDに対してキャリブレーションされている。さらに、吐出データBDにおいて、ノズル列116に割り当てられているデータブロックBDPの列PRから距離DR(所定の列数)だけ離れた位置に、「比較領域M2」が定義されている。そして、比較領域M2が示す基体5上の領域と同じ領域を示す「比較領域M1」が撮像データCDにおいて定義されている。なお、距離DRは、液滴Dが基体5上に着弾してから濡れ広がり終わるまでに必要となる時間長さ以上になるようにセットすることが好ましい。
【0048】
以上のことから、比較領域M1における画素ブロックCDPと比較領域M2におけるデータブロックBDPとを1対1で比較すれば、基体5上に液状材料10が適切に付与されたか否かを判定できる。例えば、「1」が割り当てられているデータブロックBDPに対して、対応する画素ブロックCDPが「0」である場合には、液状材料10が配置されるべき部分に液状材料10が配置されていない。一方、「0」が割り当てられているデータブロックBDPに対して、対応する画素ブロックCDPが「1」である場合には、液状材料10が配置されるべきでない部分に液状材料10が配置されている。
【0049】
このため、図5(a)における部分1a,1bのように、たとえ液状材料10が誤って配置されても、撮像データCDが、基準データとして機能する吐出データBDに比較されるので、部分1a、部分1bに液状材料10が誤って配置されていることを検出できる。
【0050】
(F.パターン形成方法)
図3に戻って、本実施形態のパターン形成方法を説明する。まず、基体5をステージ106上に位置させる。そして、基体5上にパターン10Pを形成する。また、パターン10Pの形成と並行して、パターン10Pの形状の撮像または検査を行う。
【0051】
具体的には、基体5に対して吐出ヘッド部103をY軸方向に相対移動させる。そうすると、図3に示すように、ヘッド114と撮像装置22とが共に、基体5に対面しながら、基体5に対してY軸方向に相対移動する。そして、吐出データBDに応じて、ヘッド114の吐出部127は液状材料10の液滴Dを吐出する。さらにその間、撮像装置22を用いて、基体5の表面を撮像し続ける。そして、撮像によって得られる撮像データCDに基づいて、形成されたパターン10Pの形状を検査する。より具体的には、撮像データCDが表すパターン10Pの形状と、基準データ(ここでは吐出データBD)が表す基準形状と、を比較することで、パターン10Pの形状が適切か否かを検査する。
【0052】
このようなパターン形成方法によれば、基体5上にパターン10Pを形成しながら、基体5上のパターン10Pが意図した形状に形成されたか否かを、検査できる。つまり、基体5をステージ106に載置したままで、パターンの形成と、パターンの形状の検査とを、実行できる。さらに、このようなパターン形成方法によれば、特に、パターン10Pとして導電パターンを形成する場合には、配線間の電気的短絡、配線の断線、またはバルジの早期検出ができるので、効果が著しい。
【0053】
(実施形態1の変形例)
上記実施形態では、パターンの形成と並行して、パターンの形状の撮像または検査を行う。ただし、このような手順に代えて、パターンを形成し終えてから、基体5に対して吐出ヘッド部103を再度相対的に移動させて、パターンの形状の撮像または検査を行ってもよい。このような手順であっても、基体5をステージ106に載置したままで、パターンの形成と、パターンの形状の検査とを、実行できる。
【0054】
(実施形態2)
図6および図7を参照しながら、実施形態2の液滴吐出装置200を説明する。液滴吐出装置200は、ヘッド114と撮像装置42との間に基体5aを位置させる。そして、液滴吐出装置200における撮像装置42は、基体5aの裏面からパターン10Pを撮像する。ただしこれらの点を除くと、本実施形態は実施形態1と基本的に同じである。
【0055】
より具体的には、液滴吐出装置200は、可視光に対して光透過性を有するステージ106aと、グランドステージGSに設けられた開口部GSAと、開口部GSAの下部に位置する撮像装置42(図7)と、スライダ43(図7)と、レール44(図7)と、を備えている。
【0056】
開口部GSAはヘッド114に対向するように位置している。開口部GSAの大きさは、ヘッド114がX軸方向へ相対移動する範囲の大きさとほぼ同じである。そして、開口部GSAの下部に位置するレール44は、X軸方向に沿って設けられている。また、スライダ43は、レール44に移動可能に連結されており、図示しないモータの機能によってレール44上をX軸方向に移動できる。撮像装置42はスライダ43に連結されていて、そしてこのため、撮像装置42は、スライダ43とともにX軸方向に移動できる。
【0057】
このような機能によって、撮像装置42はヘッド114のX軸方向の移動に併せてX軸方向に移動できる。より具体的には、このような機能によって、ヘッド114と撮像装置42との間の相対的な位置関係が一定に保たれる。なお、図7の基体5a上には、液滴吐出装置200によって、複数のストライプ10aからなるパターン10Pが形成されつつある。
【0058】
また、撮像装置42は、グランドステージGS上の開口部GSAを介して、ヘッド114を撮像するように配向されている。しかも上述のように、ステージ106aが光透過性を有するので、たとえステージ106aが開口部GSA上を覆っても、撮像装置42は、開口部GSAを介してヘッド114を撮像できる。
【0059】
以上のような構成を有しているので、基体5aがガラス基板または水晶基板であるなど、基体5aが光透過性を有している場合には、撮像装置42は、基体5aの裏面からパターン10Pを撮像できる。ここで裏面とは、ヘッド114が対面している面(表面)に対向する面のことである。このような構成によれば、ヘッド114と撮像装置42との間に、基体5aが位置するので、液滴Dの吐出に伴って液状材料10のミストが生じている場合でも、撮像装置42がミストで汚染されることがない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】実施形態1の液滴吐出装置を示す模式図。
【図2】実施形態1のヘッドと撮像装置とを示す模式図。
【図3】実施形態1のパターン形成方法を示す模式図。
【図4】実施形態1および2の液滴吐出装置内の制御部を示す機能ブロック図。
【図5】実施形態1および2の撮像データおよび基準データを示す概念図。
【図6】実施形態2の液滴吐出装置を示す模式図。
【図7】実施形態2のヘッドと撮像装置との関係を示す模式図。
【符号の説明】
【0061】
5…基体、5a…基体、10…液状材料、22…撮像装置、25…画像処理部、26A…バッファメモリ、26B…バッファメモリ、27…比較器、33…CPU、34…ROM、35…RAM、36…外部インターフェース部、37…バス、42…撮像装置、43…スライダ、44…レール、100・200…液滴吐出装置、205…検査装置、206…走査駆動部、208…ヘッド駆動部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の表面にパターンを形成するために、吐出部から前記表面へ液状材料の液滴を吐出する工程Aと、
撮像装置を用いて前記パターンを撮像して撮像データを得る工程Bと、
前記撮像データに基づいて前記パターンの形状を検査する工程Cと、
を包含したパターン形成方法。
【請求項2】
請求項1記載のパターン形成方法であって、
前記工程Bは前記吐出部に対する相対位置が固定された前記撮像装置を用いて前記パターンを撮像して前記撮像データを得る工程b1を含んでいる、
パターン形成方法。
【請求項3】
請求項1または2記載のパターン形成方法であって、
前記工程Cは、前記撮像データと基準データとに基づいて、前記撮像データが表す形状と、前記基準データが表す基準形状と、を比較する工程を含んでいる、
パターン形成方法。
【請求項4】
請求項1または2記載のパターン形成方法であって、
前記工程Aは前記表面に前記吐出部を対面させながら前記液滴を吐出する工程を含み、
前記工程Bは、前記物体に対して前記吐出部と同じ側に位置する前記撮像装置を用いて前記パターンを撮像する工程を含む、
パターン形成方法。
【請求項5】
請求項1または2記載のパターン形成方法であって、
前記物体は光透過性を有するとともに前記表面に対向する裏面を有し、
前記工程Aは前記表面に前記吐出部を対面させながら前記液滴を吐出する工程を含み、
前記工程Bは、前記撮像装置を用いて前記裏面から前記パターンを撮像する工程を含んでいる、
パターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−231187(P2006−231187A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−48627(P2005−48627)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】