説明

パターン配向層用組成物、並びにパターン配向膜及びパターン位相差フィルムの製造方法

【課題】光配向性とTAC基材に対する密着性との両方に優れたパターン配向層用組成物を提供する。
【解決手段】パターン配向層用組成物は、偏光照射により光配向性を発揮する光配向材料と、この光配向材料を溶解する溶媒と、多官能アクリレートとを含有する。多官能アクリレートの例として、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等が挙げられ、その含有量は、光配向材料100質量部に対して10質量部以上30質量部未満であることが好適である。パターン配向膜1は、上記パターン配向層用組成物を基材11上に塗布後に加熱乾燥し、更に、偏光パターン照射により異なる光配向性を有するパターン配向層12を形成することによって形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン配向層用組成物、並びにパターン配向膜及びパターン位相差フィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、三次元表示可能なフラットパネルディスプレイが注目を集め始めており、市販も始まっている。そして、今後のフラットパネルディスプレイにおいては三次元表示可能であることが、その性能として当然に求められることが予想され、三次元表示可能なフラットパネルディスプレイの検討が幅広い分野において進められている。
【0003】
フラットパネルディスプレイにおいて三次元表示をするには、通常、視聴者に対して何らかの方式で右目用の映像と、左目用の映像とを別個に表示することが必要とされる。右目用の映像と左目用の映像とを別個に表示する方法としては、例えば、パッシブ方式というものが知られている。このようなパッシブ方式の三次元表示方式について図を参照しながら説明する。図4はパッシブ方式の三次元表示の一例を示す概略図である。図4に示すようにこの方式では、まず、フラットパネルディスプレイを構成する画素を、右目用映像表示画素と左目用映像表示画素の2種類の複数の画素にパターン状に分割し、一方のグループの画素では右目用の映像を表示させ、他方のグループの画素では左目用の映像を表示させる。また、直線偏光板と当該画素の分割パターンに対応したパターン状の位相差層が形成されたパターン位相差フィルムとを用い、右目用の映像と、左目用の映像とを互いに直交関係にある円偏光に変換する。さらに、視聴者には右目用レンズと左目用レンズとに互いに直交する円偏光レンズを採用した円偏光メガネを装着させ、右目用の映像が右目用レンズのみを通過し、かつ左目用の映像が左目用のレンズのみを通過するようにする。このようにして右目用の映像が右目のみに届き、左目用の映像が左目のみに届くようにすることによって三次元表示を可能とするものがパッシブ方式である。
【0004】
このようなパッシブ方式では、上記パターン位相差フィルムと、対応する円偏光メガネとを用いることにより容易に三次元表示が可能なものにできるという利点がある。
【0005】
ところで、上述したようにパッシブ方式においてはパターン位相差フィルムを用いることが必須になるところ、このようなパターン位相差フィルムについてはまだ広く研究・開発が行われておらず、標準的な技術としても確立されているものがないのが現状である。その一例として、ガラス基材上に配向規制力がパターン状に制御された光配向膜と、当該光配向膜上に形成され、液晶化合物の配列が上記光配向膜のパターンに対応するようにパターニングされた位相差層とを有することが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−49865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載のパターン位相差板は、ガラス基材を用いることが必須となっていることから、高価であり、また大面積のものを大量に製造できるというものではなく、実用性に課題が残る。
【0008】
この課題を解決するため、ガラス基材ではなく、トリアセチルセルロース(以下「TAC」という。)等のプラスチック基材を用いることも検討され、二次元表示用のフラットパネルディスプレイでは広く用いられている。しかし、TAC基材上に光配向膜を形成しようとすると、光配向性とTAC基材に対する密着性とを両立することが難しい。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、光配向性とTAC基材に対する密着性との両方に優れたパターン配向層用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねたところ、パターン配向層用組成物に多官能アクリレートを加えることで、光配向性とTAC基材に対する密着性との両方に優れたパターン配向層用組成物を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明では、以下のようなものを提供する。
【0011】
(1)本発明は、基材上に、偏光照射により光配向性を発揮する光配向材料を含むパターン配向層を形成するためのパターン配向層用組成物であって、前記光配向材料と、この光配向材料を溶解する溶媒と、多官能アクリレートとを含有するパターン配向層用組成物である。
【0012】
(2)また、本発明は、前記多官能アクリレートの含有量が前記光配向材料100質量部に対して10質量部以上30質量部未満である、(1)に記載のパターン配向層用組成物である。
【0013】
(3)また、本発明は、(1)又は(2)に記載のパターン配向層用組成物を基材上に塗布後に加熱乾燥し、更に、偏光パターン照射により異なる光配向性を有するパターン配向層を形成するパターン配向膜の製造方法である。
【0014】
(4)また、本発明は、前記基材がトリアセチルセルロースである(3)に記載のパターン配向膜の製造方法である。
【0015】
(5)また、本発明は、前記パターン配向層の厚さが100nm以上1000nm以下である(3)又は(4)に記載のパターン配向膜の製造方法である。
【0016】
(6)また、本発明は、(3)から(5)のいずれかに記載の製造方法によって得られるパターン配向膜のパターン配向層上に、液晶性を示し分子内に重合性官能基を有する棒状化合物を含む位相差層を形成する工程を有するパターン位相差フィルムの製造方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、光配向性とTAC基材に対する密着性との両方に優れたパターン配向層用組成物を提供できる。また、この組成物を用いてパターン配向膜及びパターン位相差フィルムを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るパターン配向膜の概略図である。
【図2】配向パターンの形成手法を模式的に示した図である。
【図3】本発明に係るパターン位相差フィルムの概略図である。
【図4】パッシブ方式による三次元画像表示の説明に供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0020】
<パターン配向層用組成物>
本発明のパターン配向層用組成物は、偏光照射により光配向性を発揮する光配向材料と、この光配向材料を溶かす溶媒とを含有する。溶媒は、酢酸ブチルを100とした場合の蒸発速度が100未満の主溶媒と、上記蒸発速度が100以上の副溶媒とを含有し、溶媒中の副溶媒の割合は、10質量%以上50質量%未満である。以下、これらの構成要素について説明する。
【0021】
[光配向材料]
光配向材料とは、偏光紫外線の照射により配向規制力を発現できる材料をいう。配向規制力とは、光配向材料を含む配向層を形成し、この配向層上に棒状化合物からなる層を形成したとき、棒状化合物を所定の方向に配列させる機能をいう。
【0022】
光配向材料は、偏光を照射することにより上記配向規制力を発現するものであれば特に限定されるものではない。このような光配向材料はシス−トランス変化によって分子形状のみを変化させて配向規制力を可逆的に変化させる光異性化材料と、偏光を照射することにより分子そのものを変化させる光反応材料とに大別することができる。本発明においては上記光異性化材料及び上記光反応材料のいずれであっても好適に用いることができるが、光反応材料を用いることがより好ましい。光反応材料は、偏光が照射されることによって分子が反応して配向規制力を発現するものであるため、不可逆的に配向規制力を発現することが可能になる。したがって、光反応材料の方が配向規制力の経時安定性において優れるからである。
【0023】
上記光反応材料は、偏光照射によって生じる反応の種類によってさらに分別することができる。具体的には、光二量化反応を生じることによって配向規制力を発現する光二量化型材料、光分解反応を生じることによって配向規制力を発現する光分解型材料、光結合反応を生じることによって配向規制力を発現する光結合型材料、及び光分解反応と光結合反応とを生じることによって配向規制力を発現する光分解−結合型材料等に分けることができる。本発明においては上記光反応材料のいずれであっても好適に用いることができるが、安定性及び反応性(感度)等の観点から光二量化型材料を用いることがより好ましい。
【0024】
光二量化型材料は、光二量化反応を生じることにより配向規制力を発現できる材料であれば特に限定されないが、配向規制力が良好である点から、光二量化反応を生じる光の波長が280nm以上であることが好ましく、280nm〜400nmの範囲内であることがより好ましく、300nm〜380nmの範囲内であることがさらに好ましい。
【0025】
このような光二量化型材料として、シンナメート、クマリン、ベンジリデンフタルイミジン、ベンジリデンアセトフェノン、ジフェニルアセチレン、スチルバゾール、ウラシル、キノリノン、マレインイミド、又はシンナミリデン酢酸誘導体を有するポリマーが挙げられる。中でも、配向規制力が良好である点で、シンナメート、クマリンの一方又は両方を有するポリマーが好ましく用いられる。このような光二量化型材料の具体例としては、例えば特開平9−118717号公報、特表平10−506420号公報、特表2003−505561号公報及びWO2010/150748号公報に記載された化合物を挙げることができる。
【0026】
上記シンナメート及びクマリンは、下記式Ia、Ibで表されるものが好適に用いられる。
【化1】

【0027】
上記式中、Aは、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、2,5−チオフェニレン、2,5−フラニレン、1,4−もしくは2,6−ナフチレンを表すか、非置換であるか、フッ素、塩素又は炭素原子1〜18個の環式、直鎖状もしくは分岐鎖状アルキル残基(非置換であるか、フッ素、塩素によって一又は多置換されており、1個以上の隣接しない−CH−基が独立して基Cによって置換されていてもよい)によって一又は多置換されているフェニレンを表す。
【0028】
上記式中、Bは、水素原子を表すか、第二の物質、例えばポリマー、オリゴマー、モノマー、光活性ポリマー、光活性オリゴマー及び/又は光活性モノマーもしくは表面と反応又は相互作用することができる基を表す。
【0029】
上記式中、Cは、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR−、−NR−CO−、−CO−NR−、−NR−CO−O−、−O−CO−NR−、−NR−CO−NR−、−CH=CH−、−C≡C−、−O−CO−O−及びSi(CH3)2−O−Si(CH3)2−(Rは水素原子又は低級アルキルを表す)から選択される基を表す。
【0030】
上記式中、Dは、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR−、−NR−CO−、−CO−NR−、−NR−CO−O−、−O−CO−NR−、−NR−CO−NR−、−CH=CH−、−C≡C−、−O−CO−O−及びSi(CH3)2−O−Si(CH3)2−(Rは水素原子又は低級アルキルを表す)から選択される基、芳香族基又は脂環式基を表す。
【0031】
上記式中、S及びSは、互いに独立して、単結合又はスペーサー単位、例えば炭素原子1〜40個の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキレン基(非置換であるか、フッ素、塩素によって一又は多置換されており、1個以上の隣接しない−CH−基が独立して基Dによって置換されていてもよいが、酸素原子が互いに直接的には結合していない)を表す。
【0032】
上記式中、Qは、酸素原子又はNR−(Rは水素原子又は低級アルキルを表す)を表す。
【0033】
上記式中、X及びYは、互いに独立して、水素、フッ素、塩素、シアノ、炭素原子1〜12個のアルキル(場合によってはフッ素によって置換されており、場合によっては1個以上の隣接しないアルキル−CH−基が−O−、−CO−O−、−O−CO−及び/又はCH=CH−によって置換されている)を表す。
【0034】
なお、本発明に用いられる光配向材料は、1種類のみであってもよく、2種類以上を用いてもよい。
【0035】
[密着向上剤]
本発明のパターン配向層用組成物は、密着向上剤を含有する。密着向上剤は、基材上にパターン配向層用組成物を塗工したとき、基材と化学反応を起こして基材の表面を荒らし、基材と、パターン配向層用組成物の硬化物からなるパターン配向層との密着性を高める機能を有する。
【0036】
密着向上剤として、多官能アクリレートを用いることが好適である。多官能アクリレートは、従来公知のものであればどのようなものであってもよく、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(以下「PETA」という。)のほか、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等が挙げられる。
【0037】
密着向上剤として用いる場合、その量は、光配向材料100質量部に対して10質量部以上30質量部未満であることが好ましい。10質量部未満であると、適切な密着性が得られない可能性があるため、好ましくない。30質量部を超えると、基材上にパターン配向層用組成物を塗工したときに密着向上剤の一部が基材に含浸し、その結果、光配向性が下がり得る点で好ましくない。
【0038】
[溶媒]
パターン配向層用組成物に用いる溶媒は、光配向材料等を所望の濃度に溶解できるものであれば特に限定されるものでなく、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン(以下「CHN」という。)等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、シクロヘキサン等のアノン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(以下「IPA」という。)等のアルコール系溶媒を例示することができるが、これらに限られるものではない。また、溶媒は、1種類であってもよいし、2種類以上の溶媒の混合溶媒であってもよい。
【0039】
溶媒の量は、光配向材料100質量部に対して600質量部以上3900質量部以下であることが好ましい。600質量部未満であると、光配向材料を均一に溶かすことができない可能性がある点で好ましくない。3900質量部を超えると、溶媒の一部が残存し、その残存した溶媒が基材上にパターン配向層用組成物を塗工したときに基材に含浸し、その結果、光配向性とTAC基材に対する密着性との両方が下がり得る点で好ましくない。
【0040】
[その他]
その他、必要に応じて各種の添加剤を含有するものであってもよい。
【0041】
<パターン配向膜1>
図1は、本実施形態に係るパターン配向膜1の概略図である。パターン配向膜1は、基材11上に上記パターン配向層用組成物の硬化物からなるパターン配向層12が形成される。
【0042】
[基材11]
基材11は、透明フィルム材であり、パターン配向層12を支持する機能を有し、長尺に形成されている。
【0043】
基材11は、位相差が小さいことが好ましく、面内位相差(面内レターデーション値、以下「Re値」ともいう。)が、0nm〜10nmの範囲内であることが好ましく、0nm〜5nmの範囲内であることがより好ましく、0nm〜3nmの範囲内であることがさらに好ましい。Re値が10nmを超えると、パターン配向膜を用いたフラットパネルディスプレイの表示品質が悪くなる可能性がある点で好ましくない。
【0044】
ここで、Re値とは、屈折率異方体の面内方向における複屈折性の程度を示す指標をいい、面内方向において屈折率が最も大きい遅相軸方向の屈折率をNx、遅相軸方向に直交する進相軸方向の屈折率をNy、屈折率異方体の面内方向に垂直な方向の厚さをdとした場合に、
Re[nm]=(Nx−Ny)×d[nm]
で表わされる値である。Re値は、例えば、位相差測定装置KOBRA−WR(王子計測機器社製)を用い、平行ニコル回転法により測定することができる。また、本明細書においては、特に別段の記載をしない限り、Re値は波長589nmにおける値を意味するものとする。
【0045】
基材11の可視光領域における透過率は、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。ここで、透明フィルム基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
【0046】
基材11は、ロール状に巻き取ることができる可撓性を有するフレキシブル材であることが好ましい。このようなフレキシブル材としては、セルロース誘導体、ノルボルネン系ポリマー、シクロオレフィン系ポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン、変性アクリル系ポリマー、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル類等を例示することができる。中でも、光学的等方性に優れ、光学的特性に優れたパターン配向膜を製造できる点でセルロース誘導体を用いることが好ましい。
【0047】
上記セルロース誘導体の中でも、工業的に広く用いられ、入手が容易である点で、セルロースエステルを用いることが好ましく、セルロースアシレート類を用いることがより好ましい。
【0048】
上記セルロースアシレート類としては、炭素数2〜4の低級脂肪酸エステルが好ましい。低級脂肪酸エステルとしては、例えばセルロースアセテートのように、単一の低級脂肪酸エステルのみを含むものでもよく、また、例えばセルロースアセテートブチレートやセルロースアセテートプロピオネートのような複数の脂肪酸エステルを含むものであってもよい。
【0049】
低級脂肪酸エステルの中でも、セルロースアセテートを特に好適に用いることができる。セルロースアセテートとしては、平均酢化度が57.5%〜62.5%(置換度:2.6〜3.0)のTACを用いることが最も好ましい。ここで、酢化度とは、セルロース単位質量当りの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験方法)におけるアセチル化度の測定及び計算により求めることができる。なお、TACの酢化度は、フィルム中に含まれる可塑剤等の不純物を除去した後、上記の方法により求めることができる。
【0050】
基材11の厚さは、パターン配向膜を用いて製造される位相差フィルムの用途等に応じて、当該位相差フィルムに必要な自己支持性を付与できる範囲内であれば特に限定されないが、通常、25μm〜125μmの範囲内であることが好ましく、40μm〜100μmの範囲内であることがより好ましく、60μm〜80μmの範囲内であることがさらに好ましい。25μm未満であると、位相差フィルムに必要な自己支持性を付与できない場合があり、好ましくない。125μmを超えると、位相差フィルムが長尺状である場合、長尺状の位相差フィルムを裁断加工し、枚葉の位相差フィルムとする際に、加工屑が増加したり、裁断刃の磨耗が早くなってしまう場合があり、好ましくない。
【0051】
基材11は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。
【0052】
[パターン配向層12]
パターン配向層12は、上記パターン配向層用組成物の硬化物からなり、2種類の配向パターンを交互に有する。図2は、配向パターンの形成手法を模式的に示した図である。配向パターンの詳細は、後の「パターン配向膜の製造方法」の項において詳しく説明するが、基材11上に上記パターン配向層用組成物を塗工し、このパターン配向層用組成物を加熱乾燥させて薄膜状のパターン配向層形成用層12’を形成した後、図2の(A)に示すように、右目用の領域に対応する第1配向準備領域12’Aを遮光せず、左目用の領域に対応する第2配向準備領域12’Bだけを遮光したマスク11を介して、直線偏光による紫外線(偏光紫外線)をパターン配向層形成用層12’に向けて照射することにより、遮光されていない第1配向準備領域12’Aを所望の方向に配向させた後、図2の(B)に示すように、1回目の照射とは偏光方向が90度異なる直線偏光により紫外線をパターン配向層形成用層12’の全面に照射し、1回目の照射では未露光の第2配向準備領域12’Bを所望の方向に配向させる。これら2回の紫外線照射により、2種類の配向パターンを有するパターン配向層12が形成される。
【0053】
図2の例では、まず第1配向準備領域12’Aに偏光紫外線を照射し、その後、第2配向準備領域12’Bに偏光紫外線を照射しているが、この順番に限るものではなく、まず第2配向準備領域12’Bに偏光紫外線を照射し、その後、第1配向準備領域12’Aに偏光紫外線を照射してもよい。
【0054】
パターン配向層12の厚さは、棒状化合物に対して所望の配向規制力を発現できる範囲内であれば特に限定されるものではないが、100nm〜1000nmの範囲内であることが好ましい。100nm未満であると、棒状化合物に対して所望の配向規制力を発現できない可能性があるため、好ましくない。1000nmを超えると、密着力が低減する可能性があるため、好ましくない。
【0055】
<パターン位相差フィルム2>
図3は、本実施形態に係るパターン位相差フィルム2を示す図である。なお、以下では「パターン位相差」を「位相差」と略記するが、特に断りがない限り、「位相差」は、「パターン位相差」と同義である。位相差フィルム2は、パターン配向膜1のパターン配向層12上に、液晶性を示し分子内に重合性官能基を有する棒状化合物を含む位相差層13がさらに形成される。
【0056】
[位相差層13]
位相差層13は、液晶性を示し分子内に重合性官能基を有する棒状化合物を含む。位相差層13は、上記配向パターンに沿って形成されるため、右目用の領域に対応する第1位相差領域4Aと、左目用の領域に対応する第2位相差領域4Bとを有する。
【0057】
(棒状化合物)
棒状化合物の一例として、液晶材料が挙げられる。液晶材料は、屈折率異方性を有し、上記配向パターンに沿って規則的に配列することにより、位相差層13に所望の位相差性を付与する機能を有する。液晶材料として、例えば、ネマチック相、スメクチック相等の液晶相を示す材料が挙げられるが、他の液晶相を示す液晶材料と比較して規則的に配列させることが容易である点で、ネマチック相を示す液晶材料を用いることがより好ましい。
【0058】
上記ネマチック相を示す液晶材料として、メソゲン両端にスペーサを有する材料を用いることが好ましい。メソゲン両端にスペーサを有する液晶材料は柔軟性に優れるため、このような液晶材料を用いることにより、位相差フィルム2を透明性に優れたものにできるからである。
【0059】
さらに、液晶材料は、分子内に重合性官能基を有するものが好ましく、三次元架橋可能な重合性官能基を有するものがより好ましい。液晶材料が重合性官能基を有することにより、液晶材料を重合して固定することが可能になるため、配列安定性に優れ、位相差性の経時変化が生じにくい位相差層13を得ることができるからである。
【0060】
ここで、「三次元架橋」とは、液晶性分子を互いに三次元に重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることをいう。
【0061】
上記重合性官能基としては、例えば、紫外線、電子線等の電離放射線、あるいは熱の作用によって重合する重合性官能基を挙げることができる。これら重合性官能基の代表例としては、ラジカル重合性官能基、あるいはカチオン重合性官能基等が挙げられる。さらにラジカル重合性官能基の代表例としては、少なくとも1つの付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が挙げられ、具体例としては、置換基を有するもしくは有さないビニル基、アクリレート基(アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基を包含する総称)等が挙げられる。また、上記カチオン重合性官能基の具体例としては、エポキシ基等が挙げられる。その他、重合性官能基としては、例えば、イソシアネート基、不飽和3重結合等が挙げられる。中でも、プロセス上の点から、エチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が好適に用いられる。
【0062】
さらにまた、液晶材料は、末端に上記重合性官能基を有するものが特に好ましい。このような液晶材料を用いることにより、例えば、互いに三次元に重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることができるため、列安定性を備え、かつ、光学特性の発現性に優れた上記を形成できるからである。なお、本発明においては片末端に重合性官能基を有する液晶材料を用いた場合であっても、他の分子と架橋して配列安定化することができる。
【0063】
本発明に用いられる液晶材料の具体例としては、下記式(1)〜(17)で表される化合物を例示することができる。
【0064】
【化2】

【0065】
なお、液晶材料は、1種類のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。例えば、液晶材料として、両末端に重合性官能基を1つ以上有する液晶材料と、片末端に重合性官能基を1つ以上有する液晶材料とを混合して用いると、両者の配合比の調整により重合密度(架橋密度)及び光学特性を任意に調整できる点から好ましい。また、信頼性確保の観点からは、両末端に重合性官能基を1つ以上有する液晶材料が好ましいが、液晶配向の観点からは両末端の重合性官能基が1つであることが好ましい。
【0066】
液晶材料の量は、パターン配向層12上に塗布する塗布方法に応じて、位相差層形成用塗工液の粘度を所望の値にできるものであれば特に限定されないが、上記塗工液中、5質量部〜40質量部の範囲内であることが好ましく、10質量部〜30質量部の範囲内であることがより好ましい。5質量未満であると、液晶材料が少なすぎるために、位相差層13への入射光を適切に配向できない可能性があるため、好ましくない。30質量部を超えると、位相差層形成用塗工液の粘度が高くなりすぎるため、作業性が劣るため、好ましくない。
【0067】
位相差層13の厚さは、所定の位相差性を達成できる範囲内とするものであれば特に限定されるものではないが、位相差層13の面内位相差がλ/4分に相当することが好ましい。ここで、λは波長500nmである。これにより、位相差層13を通過する直線偏光を互いに直交関係にある円偏光にすることができるため、より精度良く3次元映像を表示できる。
【0068】
(重合開始剤)
本発明の必須の構成要素ではないが、重合性液晶材料を棒状化合物とする場合、適宜、重合開始剤を加えることが好ましい。
【0069】
重合開始剤として、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、アデカ社製N1717、四臭化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー等の光還元性色素とアスコルビン酸やトリエタノールアミンのような還元剤との組み合わせ等が挙げられる。本発明では、これらの重合開始剤を1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0070】
上記重合開始剤を用いる場合、さらに重合開始助剤を併用することができる。このような重合開始助剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等の3級アミン類や、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミド安息香酸エチル等の安息香酸誘導体を例示することができるが、これらに限られるものではない。
【0071】
(溶媒)
また、上記液晶材料を溶かすため、通常、溶媒が用いられる。溶媒は、液晶材料を均一に溶解又は分散できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、及びジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、シクロヘキサン等のアノン系溶媒、メタノール、エタノール、及びプロパノール等のアルコール系溶媒を用いることができる。また、溶媒は、1種類でもよく、2種類以上の溶媒の混合溶媒でもよい。
【0072】
(他の化合物)
また、液晶材料の配列秩序を害さない範囲であれば、他の化合物を加えることもできる。他の化合物として、例えば、重合開始剤、重合禁止剤、可塑剤、界面活性剤、シランカップリング剤等が挙げられる。
【0073】
<フラットパネルディスプレイ>
上記位相差フィルム2は、三次元表示用のフラットパネルディスプレイに用いることが好適であり、三次元表示用のフラットパネルディスプレイに用いることで、光配向性と基材11に対する密着性との両方に優れるという格別の効果を奏する。
【0074】
<パターン配向膜1の製造方法>
パターン配向膜1は、次の工程を経て製造される。まず、ロールに巻き取った長尺フィルムにから基材11を提供し、この基材11上に上記パターン配向層用組成物を塗工する組成物塗工処理を行う。続いて、この組成物を熱硬化させて薄膜状のパターン配向層形成用層12’を形成するパターン配向層形成用層形成処理を行う。続いて、パターン配向層形成用層12’に対して紫外線を照射する紫外線照射処理を行う。これらの処理によってパターン配向層12が形成され、結果としてパターン配向膜1が形成される。
【0075】
[組成物塗工処理]
まず、基材11の提供にあたっては、長尺フィルムを連続的に搬送できるものであれば、特に限定されるものではなく、一般的な搬送手段を用いる方法を用いることができる。具体的には、ロール状の長尺フィルムを供給する巻き出し機及び長尺フィルムを巻き取る巻き取り機等を用いる方法、ベルトコンベア、搬送用ロール等を用いる方法を挙げることができる。また、エアの吐出と吸引とを行うことにより、長尺配向膜形成用フィルムを浮上させた状態で搬送する浮上式搬送台を用いる方法であっても良い。
【0076】
また、搬送時の長尺フィルムへのテンション付与の有無については、長尺フィルムを安定的に連続搬送できる方法であれば特に限定されるものではないが、所定のテンションを加えた状態で搬送されることが好ましい。より安定的に連続搬送することができるからである。
【0077】
搬送手段の色としては、長尺フィルムに偏光紫外線が照射される部位に配置される場合には、長尺フィルムを透過した偏光紫外線を反射しない色であることが好ましい。具体的には、黒色であることが好ましい。このような黒色とする方法としては、例えば、表面をクロム処理する方法を挙げることができる。
【0078】
搬送用ロールの形状としては、安定的に長尺フィルムを搬送することができるものであれば特に限定されるものではないが、長尺フィルムに偏光紫外線が照射される部位に配置される場合には、長尺フィルムの表面と、紫外線照射装置との距離を一定に保つことができるものであることが好ましく、通常、真円形状であることが好ましい。
【0079】
パターン配向層用組成物の塗工は、基材11上にパターン配向層形成用層12’を所望の厚さで形成できるものであれば特に限定されるものではなく、グラビアコート法、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法、E型塗布方法等を例示することができる。
【0080】
パターン配向層形成用層12’の厚さは、所望の平面性を達成できる範囲内であれば特に限定されるものではないが、0.1μm〜50μmの範囲内であることが好ましく、0.5μm〜30μmの範囲内であることがより好ましく、0.5μm〜10μmの範囲内であることがさらに好ましい。
【0081】
[パターン配向層形成用層形成処理]
パターン配向層用組成物の硬化温度は、100℃以上130℃以下であることが好ましい。100℃未満であると組成物を均一に熱硬化できず、薄膜が不均一になる可能性がある点で好ましくない。130℃を超えると、基材11や薄膜が収縮する可能性があるため、好ましくない。
【0082】
[紫外線照射処理]
パターン配向層形成用層12’に対して紫外線を照射する紫外線照射処理について、図2を参照しながら詳しく説明する。
まず、図2の(A)に示すように、右目用の領域に対応する第1配向準備領域12’Aを遮光せず、左目用の領域に対応する第2配向準備領域12’Bだけを遮光したマスク11を介して、直線偏光による紫外線(偏光紫外線)をパターン配向層形成用層12’に向けて照射することにより、遮光されていない第1配向準備領域12’Aを所望の方向に配向させる。続いて、図2の(B)に示すように、1回目の照射とは偏光方向が90度異なる直線偏光により紫外線をパターン配向層形成用層12’の全面に照射し、1回目の照射では未露光の第2配向準備領域12’Bを所望の方向に配向させる。これら2回の紫外線照射により、2種類の配向パターンが形成される。
【0083】
図2の例では、まず第1配向準備領域12’Aに偏光紫外線を照射し、その後、第2配向準備領域12’Bに偏光紫外線を照射しているが、この順番に限るものではなく、まず第2配向準備領域12’Bに偏光紫外線を照射し、その後、第1配向準備領域12’Aに偏光紫外線を照射してもよい。
【0084】
マスクのパターン、すなわち、パターン照射のパターンは、右目用の領域に対応する第1配向領域12A(図1参照)と、左目用の領域に対応する第2配向領域12B(同)とを安定的に形成できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば帯状パターン、モザイク状パターン、千鳥配置状パターン等を挙げることができる。中でも、帯状のパターンであることが好ましく、特に、長尺フィルムの長手方向に互いに平行な帯状のパターンであること、すなわち、パターン照射が、長尺フィルムの長手方向に互いに平行な帯状のパターンに偏光紫外線を照射するものであることが好ましい。偏光紫外線の照射位置を固定し、長尺フィルムを長手方向に搬送することで容易に形成できるからである。また、精度良くパターン状に照射できるからである。また、位相差層13における、右目用の領域に対応する第1位相差領域4A及び左目用の領域に対応する第2位相差領域4Bが形成されているパターンと、表示装置に用いられるカラーフィルタ等において画素が形成されているパターンとを対応関係にすることが容易になるからである。
【0085】
マスクのパターン幅、すなわち、偏光紫外線の照射幅及び照射間隔(非照射幅)としては、同一であってもよく、あるいは異なっていてもよいが、右目用の領域に対応する領域の幅と左目用の領域に対応する領域との幅は同一であることが好ましい。位相差層13における第1位相差領域4A及び第2位相差領域4Bが形成されているパターンと、画素部が形成されているパターンとを対応関係にすることが容易になり、その結果、フラットパネルディスプレイを容易に製造できるからである。カラーフィルタのストライプラインと位置を合わせる場合は、右目用の領域に対応する領域及び左目用の領域に対応する領域が形成されたパターンと、上記カラーフィルタのストライプパターンとを対応関係となるような幅で照射されることが好ましい。
【0086】
三次元表示用途の場合、パターン幅は、50μm〜1000μmの範囲内であることが好ましく、100μm〜600μmの範囲内であることがより好ましい。なお、ここでいうパターン幅は、位相差フィルム2に含まれる基材11が安定収縮状態での、パターン配向層12のパターン幅を指す。
【0087】
マスクを構成する材料としては、所望の開口部を形成できるものであれば特に限定されるものではないが、紫外線による劣化がほとんどない金属や石英等を挙げることができる。具体的には、SUS等の金属基板をエッチング加工、レーザー加工、又は電鋳加工によりパターンニングし、さらに必要に応じてニッケルメッキ等の表面処理を施したものを用いることができる。また、ソーダライムガラスや石英からなる基板上に、エマルジョン(銀塩)や、クロムからなる遮光膜を有するものとすることができる。
【0088】
中でも、合成石英にCrをパターニングしたものであることが好ましい。温度・湿度変化等に対する寸法安定性と紫外線透過率とに優れ、パターン配向層用組成物の硬化物からなるパターン配向層形成用層12’に精度良く紫外線を照射でき、結果として精度の高いパターン配向層12を形成できるからである。
【0089】
合成石英マスクの厚さとしては、寸法精度良くパターンを形成できるものであれば特に限定されるものではないが、1mm〜20mmの範囲内であることが好ましく、5mm〜18mmの範囲内であることがより好ましく、9mm〜16mmの範囲内であることがさらに好ましい。厚さが上述の範囲内であることにより、たわまないものとすることができ、寸法精度の高いものとすることができるとともに、フォトマスクとしてハンドリングする際に重過ぎることがないからである。
【0090】
偏光紫外線の偏光方向は、右目用の領域に対応する領域に対する偏光方向と、左目用の領域に対応する領域に対する偏光方向とが異なるものであれば特に限定されるものではないが、両者の間で90°異なるものであることが好ましい。第1位相差領域4Aと第2位相差領域4Bとの間で屈折率が最も大きくなる方向(遅相軸方向)を互いに直交する関係とすることができることから、三次元表示が可能な表示装置をより好適に製造できるためである。
【0091】
90°異なる方向とは、パターン配向膜1を用いて三次元表示が可能な表示装置を形成した際に、精度良く三次元表示を行うことができるものであれば特に限定されるものではないが、通常、90°±3°の範囲内であることが好ましく、90°±2°程度の範囲内であることがより好ましく、90°±1°程度の範囲内であることがさらに好ましい。高性能な三次元表示が可能な表示装置とすることができるからである。
【0092】
偏光紫外線は、集光されていても良いし、集光されていないものであっても良いが、パターン照射が搬送用ロール上の長尺フィルムに対して行われるような場合、すなわち、偏光紫外線が照射される領域内で、偏光紫外線の光源からの距離の差が生じる場合には、搬送方向に対して集光されていることが好ましい。光源からの距離による影響を低減し、パターン精度良く配向領域を形成することができるからである。
【0093】
集光方法としては、一般的に用いられる方法、例えば、所望の形状を有する集光リフレクターや集光レンズを用いる方法を挙げることができる。本発明においては、偏光紫外線が搬送方向と直交する方向(幅方向)に対して平行光となるものであることが好ましく、平行化方法としては一般的に用いられる方法、例えば、所望の形状を有する集光リフレクターや集光レンズを用いる方法を挙げることができる。
【0094】
偏光紫外線の波長は、光配向材料等に応じて適宜設定されるものであり、一般的な光配向材料に配向規制力を発現させる際に用いられる波長とすることができ、具体的には、波長が210nm〜380nm、好ましくは230nm〜380nm、さらに好ましくは250nm〜380nmの照射光を用いることが好ましい。
【0095】
紫外線の光源としては、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)、ショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)等が例示できる。中でも、メタルハライドランプ、キセノンランプ、高圧水銀ランプ灯等を好ましく用いることができる。
【0096】
偏光紫外線の生成方法としては、偏光紫外線を安定的に照射できる方法であれば特に限定されるものではないが、一定方向の偏光のみが通過できる偏光子を介して紫外線照射する方法を用いることができる。
【0097】
このような偏光子としては、偏光光の生成に一般的に用いられるものを使用することができ、例えば、スリット状の開口部を有するワイヤーグリッド型偏光子や、石英板を複数枚積層してブリュースター角を利用して偏光分離する方法や、屈折率の異なる蒸着多層膜のブリュースター角を利用して偏光分離する方法を用いるもの等を挙げることができる。
【0098】
偏光紫外線の照射量は、所望の配向規制力を有する配向領域を形成できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、波長310nmである場合には、5mJ/cm〜500mJ/cmの範囲内であることが好ましく、7mJ/cm〜300mJ/cmの範囲内であることがより好ましく、10mJ/cm〜100mJ/cmの範囲内であることがさらに好ましい。十分な配向規制力を有する配向領域を形成することができるからである。
【0099】
偏光紫外線の照射距離、すなわち、偏光紫外線の照射を受ける長尺フィルムの搬送方向の距離としては、各露光処理で上述の照射量とすることができるものであれば特に限定されるものではなく、ライン速度等に応じて適宜設定することができる。照射距離が短い場合には、パターン精度の高いものとすることが容易となり、照射距離が長い場合には、ライン速度の速い場合でも十分な配向規制力を有する配向領域とすることができるといった利点がある。なお、照射距離を長くする方法としては、各露光処理での偏光紫外線の照射回数を複数回としたり、搬送方向に照射面積を広くする方法を挙げることができる。
【0100】
薄膜に対して偏光紫外線を照射する際、薄膜の温度が一定となるように温度調節することが好ましい。配向領域を精度良く形成することができるからである。薄膜の温度は、15℃〜90℃であることが好ましく、15℃〜60℃であることがより好ましい。温度調節の方法としては、一般的な加熱・冷却装置等の温度調節装置を用いる方法を挙げることができる。具体的には所定の温度の空気を送風することができる送風装置を用いる方法や、上記搬送手段として、温度調節可能なものを用いる方法、より具体的には、温度調節可能な搬送用ロールやベルトコンベア等を用いる方法を挙げることができる。
【0101】
<位相差フィルム2の製造方法>
位相差フィルム2は、次の工程を経て製造される。まず、パターン配向膜1のパターン配向層12に上記棒状化合物を含む位相差層形成用塗工液を塗工し、位相差層形成用層を形成する位相差層形成用塗工液塗工処理を行う。その後、位相差層形成用塗工液の塗膜に含まれる棒状化合物を、上記パターン配向層12が有する、右目用の領域に対応する第1配向領域12Aと、左目用の領域に対応する第2配向領域12Bとの異なる配向方向に沿って、棒状化合物を配列させる配向処理を行う。これらの処理によって位相差層13が形成される。
【0102】
最後にフィルムを所望の大きさに切り出す切断処理を行う。上記の工程を経て位相差フィルム2が作製される。
【0103】
[位相差層形成用塗工液塗工処理]
位相差層形成用塗工液の塗布方法としては、パターン配向層12上に位相差層形成用塗工液からなる塗膜を安定的に形成できる方法であれば特に限定されるものではなく、組成物塗工処理で説明したものと同じものを例示できる。
【0104】
位相差層13は棒状化合物が含有されることにより、位相差性を発現するものになっているところ、当該位相差性の程度は棒状化合物の種類及び位相差層13の厚さに依存して決定されるものである。したがって、位相差層13の厚さは、所定の位相差性を達成できる範囲内とするものであれば特に限定されるものではなく、位相差フィルム2の用途等に応じて適宜決定されるものである。
【0105】
位相差層形成用塗工液からなる位相差層形成用層の厚さは、その後に形成される位相差層13の面内位相差がλ/4分に相当するような範囲内となるように塗布することが好ましい。これにより、第1位相差領域4A及び第2位相差領域4Bを通過する直線偏光を、互いに直交関係にある円偏光にすることができ、結果として、より精度良く三次元映像を表示できるためである。
【0106】
位相差層13の厚さを位相差層13の面内位相差がλ/4分に相当するような範囲内の距離にする場合、具体的にどの程度の距離にするかは、棒状化合物の種類により適宜決定されることになる。一般的な棒状化合物を用いる場合、当該距離は0.5μm〜2μmの範囲内となるが、これに限られるものではない。
【0107】
[配向処理]
配向処理では、位相差層形成用塗工液の塗膜に含まれる棒状化合物を、上記パターン配向層12に含まれる第1配向領域12A及び第2配向領域12Bの異なる配向方向に沿って、棒状化合物を配列させる。棒状化合物を配列させる方法としては、所望の方向に配列させることができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、棒状化合物を液晶相形成温度以上に加温することが挙げられる。
【0108】
本処理によって形成される位相差層13のパターンは、パターン配向層12のパターンと同一となり、右目用の領域に対応する第1配向領域12A上には、右目用の領域に対応する第1位相差領域4Aが形成され、左目用の領域に対応する第2配向領域12B上には、左目用の領域に対応する第2位相差領域4Bが形成される。
【0109】
位相差層13に第1位相差領域4A及び第2位相差領域4Bが形成されているか否かは、例えば、偏光板クロスニコルの中にサンプルを入れて、サンプルを回転させた場合に明線と暗線が反転することを確認することにより評価することができる。このとき、右目用の領域A及び左目用の領域Bからなるパターンが細かい場合は偏光顕微鏡で観察するとよい。また、AXOMETRICS社(米国)製のAxoScanを用いて各パターン内の遅相軸の方向(角度)を測定しても良い。
【0110】
位相差層13の面内位相差は、100nm〜160nmの範囲内であることが好ましく、110nm〜150nmの範囲内であることがより好ましく、120nm〜130nmの範囲内であることがさらに好ましい。なお、位相差層13において第1位相差領域4A及び第2位相差領域4Bが示す面内位相差は、遅相軸の方向が異なる以外はほぼ同一となる。
【0111】
[乾燥処理]
続いて、位相差層形成用塗工液の塗膜を乾燥させる。
【0112】
塗膜の乾燥方法としては、加熱乾燥方法、減圧乾燥方法、ギャップ乾燥方法等、一般的に用いられる乾燥方法を用いることができる。また、乾燥方法は、単一の方法に限られず、例えば残留する溶媒量に応じて順次乾燥方式を変化させる等の態様により、複数の乾燥方式を採用してもよい。
【0113】
さらに、上記塗膜の乾燥方法としては、一定の温度に調整された乾燥風を、上記塗膜に当てる方法を用いることもできるが、このようは乾燥方法を用いる場合は、上記塗膜に当てる乾燥風の風速が3m/秒以下であることが好ましく、特に0.5m/秒以下であることが好ましい。
【0114】
また、温度条件としては、40℃〜150℃の範囲内であることが好ましく、50℃〜120℃の範囲内であることがより好ましく、特に、55℃〜110℃の範囲内であることがさらに好ましい。また、乾燥時間としては、0.2〜30分の範囲内であることが好ましく、0.5分〜20分の範囲内であることがより好ましく、特に、1分〜10分の範囲内であることがさらに好ましい。この条件であることにより、安定的に溶媒を除去することができるからである。
【0115】
乾燥処理を行うタイミングとしては、上記配向処理の後に行われるものであっても良いし、上記配向処理と並行して行われるものであっても良い。
【0116】
[棒状化合物硬化処理]
棒状化合物が重合性である場合、重合性棒状化合物を重合し硬化させる硬化処理を含むものであっても良い。なお、重合性棒状化合物を重合させる方法としては、重合性棒状化合物が有する重合性官能基の種類に応じて任意に決定すればよいが、活性放射線の照射により硬化させる方法が好ましい。活性放射線としては、重合性棒状化合物を重合することが可能な放射線であれば特に限定されるものではないが、通常は装置の容易性等の観点から紫外光又は可視光を使用することが好ましく、具体的には、パターン配向層12を形成する際に用いた紫外線と同様とすることができる。このような硬化処理を経ることにより、互いに重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることができるため、列安定性を備え、かつ、光学特性の発現性に優れた位相差層13を形成できる。
【実施例】
【0117】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0118】
【表1】

【0119】
<実施例1>
光二量化部位と熱架橋部位との両方を有する光配向材料(商品名:ROP−103,ロリック社製)100質量部と、PETA25質量部とを、PGME、IPA及びCHNの混合溶媒900質量部に溶解させて、実施例1に係るパターン配向層用組成物を得た。混合溶媒中のPGME、IPA、CHNの割合は、体積比で75:20:5であった。
【0120】
その後、表面に防眩処理が施されたTAC基材(商品名:TD60UL−P,厚さ:60μm,フジフィルム社製)の裏面に、上記パターン配向層用組成物を、硬化後の膜厚が200nmとなるようにダイコート法にて塗布した。そして、ホットプレート上において100℃、2分間の条件で加熱し、溶媒を蒸発させるとともにアクリル系樹脂組成物を熱硬化させた。これによって、厚さ200nmの硬化膜が形成された。
【0121】
この硬化膜に対して、ワイヤーグリッドを通した偏光紫外線(偏光軸がフィルムの搬送方向に対して45°の方向)を原反の搬送方向と平行な方向に幅500μmのストライプパターンをクロムで合成石英上に形成したマスクを介して照射した。続いて、マスクを通さないでワイヤーグリッドを通した偏光紫外線(偏光軸がフィルムの搬送方向に対して−45°の方向)を照射した。このとき、紫外線照射装置は、「Hバルブ」(フュージョン社製)を用いた。また、偏光紫外線の波長は313nmとし、積算光量は40mJ/cmとした。積算光量の測定は、紫外線光量計「UV−351」(オーク製作所社製)を用いて測定した。上記の工程を経て、実施例1に係るパターン配向膜を得た。
【0122】
続いて、パターン配向膜のパターン配向層上に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PEGMEA)に溶かした液晶材料(商品名:licrivue(登録商標) RMS03−013C,メルク社製)を、最終的な層厚が1μmとなるようにダイコート法にて塗布した。そして、ホットプレート上において60℃、2分間の条件で加熱し、室温近傍まで冷却した後、上記紫外線照射装置を用いて波長260nmの紫外線を積算光量が300mJ/cmとなるまで照射した。上記の工程を経て、実施例1に係る位相差フィルムを得た。
【0123】
<実施例2>
上記アクリル系樹脂組成物と上記PETAとの質量比が100:20であること以外は、実施例1と同様の方法にて実施例2に係るパターン配向層用組成物、パターン配向膜及び位相差フィルムを得た。
【0124】
<実施例3>
上記アクリル系樹脂組成物と上記PETAとの質量比が100:15であること以外は、実施例1と同様の方法にて実施例3に係るパターン配向層用組成物、パターン配向膜及び位相差フィルムを得た。
【0125】
<比較例1>
上記アクリル系樹脂組成物と上記PETAとの質量比が100:30であること以外は、実施例1と同様の方法にて比較例1に係るパターン配向層用組成物、パターン配向膜及び位相差フィルムを得た。
【0126】
<比較例2>
上記アクリル系樹脂組成物と上記PETAとの質量比が100:0であること以外は、実施例1と同様の方法にて比較例2に係るパターン配向層用組成物、パターン配向膜及び位相差フィルムを得た。
【0127】
<比較例3>
上記アクリル系樹脂組成物と上記PETAとの質量比が0:100であること以外は、実施例1と同様の方法にて比較例3に係るパターン配向層用組成物、パターン配向膜及び位相差フィルムを得た。
【0128】
<外観の評価>
まず、実施例及び比較例に係る位相差フィルムの外観を評価した。外観の評価は、位相差フィルムの両面に偏光板(商品名:HCL2−5618HCS,サンリッツ社製)をクロスニコル配置となるように貼り合わせ、貼り合わせた部材を液晶用バックライトに設置し、部材正面の白濁の程度を暗室下にて目視で観察した。白濁の程度が少なく、配向不良が認められない場合を“○”とし、白濁の程度が高く、配向不良が認められる場合を“×”とした。結果を表2に示す。
【0129】
<面内位相差の評価>
面内位相差の評価は、位相差測定装置KOBRA−WR(王子計測機器社製)を用い、平行ニコル回転法にしたがってRe値を測定することにより行った。Re値が100nm〜160nmの範囲内にある場合を“○”とし、そうでない場合を“×”とした。結果を表2に示す。
【0130】
<密着性の評価>
密着性の評価は、メンディングテープ(住友スリーエム社製)を用いて、JIS K5400−8.5法にしたがってクロスカットを実施することにより行った。80%以上残っているものを“◎”とし、40%以上残っているものを“○”とし、40%未満の場合を“×”とした。
【0131】
【表2】

【0132】
光配向性を有する光配向材料と、この光配向材料を溶解する溶媒と、多官能アクリレートとを含有するパターン配向層用組成物を用いた位相差フィルムは、光配向性とTAC基材に対する密着性との両方に優れることが確認された(実施例1〜3)。その際、多官能アクリレートの含有量は、光配向材料100質量部に対して10質量部以上30質量部未満であることが好適であることが確認された。
【0133】
一方、多官能アクリレートの含有量が30質量部以上であると、十分な光配向性を得られず、好ましくないことが確認された(比較例1、3)。また、多官能アクリレートの含有量が10質量部未満であると、TAC基材との十分な密着性を得られず、好ましくないことが確認された(比較例2)。
【符号の説明】
【0134】
1 パターン配向膜
2 パターン位相差フィルム
11 基材
12 パターン配向層
13 位相差層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に、偏光照射により光配向性を発揮する光配向材料を含むパターン配向層を形成するためのパターン配向層用組成物であって、
前記光配向材料と、この光配向材料を溶解する溶媒と、多官能アクリレートとを含有するパターン配向層用組成物。
【請求項2】
前記多官能アクリレートの含有量は、前記光配向材料100質量部に対して10質量部以上30質量部未満である、請求項1に記載のパターン配向層用組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のパターン配向層用組成物を基材上に塗布後に加熱乾燥し、更に、偏光パターン照射により異なる光配向性を有するパターン配向層を形成するパターン配向膜の製造方法。
【請求項4】
前記基材がトリアセチルセルロースである請求項3記載のパターン配向膜の製造方法。
【請求項5】
前記パターン配向層の厚さが100nm以上1000nm以下である請求項3又は4に記載のパターン配向膜の製造方法。
【請求項6】
請求項3から5のいずれかに記載の製造方法によって得られるパターン配向膜のパターン配向層上に、液晶性を示し分子内に重合性官能基を有する棒状化合物を含む位相差層を形成する工程を有するパターン位相差フィルムの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−76762(P2013−76762A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215403(P2011−215403)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】