説明

パチンコ機の風車

【課題】一部部品の交換が容易で、組み立て状態の連結がしっかりとしてスムーズに回転することができ、特に、分解・組立の作業性を向上することができる遊技機用風車の提供。
【解決手段】パチンコ機の風車は、風車部材10と化粧板とを係合させて組み立てられ、風車部材10の軸筒部11は段付き孔とされ、化粧板に軸筒部11の細径部13と略同一の細孔を形成する。細孔の周囲の係止孔に軸筒部11の返し付き係止爪15を係合させ、各羽根12の上端面から突設させた突起17を化粧板の嵌合孔に嵌り込ませると共に羽根12の上端を突条列に嵌り込ませて組み立てる。返し付き係止爪15は、軸筒部11の上端から外へ伸びる根本部15aの先端から軸方向に伸びる本体部15bの先端から外に向かって突出する返し16を備え、根本部15aとの連接部分にはスリット18が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ球の流下経路に変化を持たせるために遊技盤に取り付けられる合成樹脂製の風車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ機の風車において、装飾性を考慮した提案が種々なされている(例えば、特許文献1〜3)。
【0003】
特許文献1は、円盤部の背面の中心部に釘を挿通するための軸筒を透光性材料により一体に形成すると共に、その軸筒の外周囲に複数の羽根部材が軸心を中心として等角度間隔で放射状に配設され、その円盤部には、模様などが表された非透光性の装飾板であるブリキ製装飾板を被着し、この装飾板の前面の3カ所に穿設された環状穴から円盤部の一部が見えるように設けられた風車を、その背後に埋設した発光ダイオードで照明する様にして装飾性を高めることを提案している(図10(A)参照)。
【0004】
特許文献2は、前面周円に周壁を形成した風車本体と、該周壁に囲まれた凹部とほぼ同じ大きさとし、任意の図案を施した装飾用シートと、前記凹部と同じ大きさとし、係止手段で係止可能とした透明又は半透明の前面飾り板とを設け、風車本体の凹部に装飾用シートを介在して係止手段で前面飾り板を係脱しうるものとすることで、風車の図案の変更に適切に対応する様にした風車を提案している(図10(B)参照)。
【0005】
特許文献3は、遊技者から見て遊技盤とが重なる部分において少なくとも一部が透光性を有する部材によって形成された風車を用いることにより、遊技者が風車の裏側を視認可能な構造とすることを提案している(図10(C)参照)。
【特許文献1】特開2002−153614号公報(図1,図2)
【特許文献2】特開平10−234944号公報(図3,図4)
【特許文献3】特開2005−287785号公報(図3,図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された風車は、合成樹脂一体成形であることから、釘を挿通する軸孔が同一径となる。このため、回転し易くするために軸孔の径を大きくするとガタツキが大きくなり、スムーズに回転できなくなる可能性がある。
【0007】
特許文献2〜3に記載された風車は、別体の前面飾り板を係止する構造とすることで、軸孔の両端を細く、中間部分を太くすることができるので、ガタツキなくスムーズに回転する風車を構成することが可能である。
【0008】
しかし、特許文献2に記載された風車は、前面飾り板は風車本体の周壁に囲まれた凹部に係止されるものであるため、一旦組み立てられたものから一部部品を交換して用いるといったことが難しい。
【0009】
また、特許文献3に記載された風車は、図10(C)の<特開2005−287785の図5>に示す様に、円盤部材311と、羽根部材313と、連結部材312の3部品を位置合わせして組み立てるものであるため、組立時の位置合わせが面倒である。また、羽根部材313に配備された係止片313cが連結部材312に配備された穴312cに後方から嵌め込まれることにより、連結部材312と羽根部材313とが結合されると同時に、連結部材312に配備された係止片312bが開口部311cを介して開口部311cの内周縁で係止されることにより、連結部材312と円盤部材311とが結合される方式であるため、やはり、部品交換のために分解することが容易ではない。
【0010】
そこで、本願は、組立体として構成した風車の一部部品の交換が容易であり、かつ、組み立てられた状態ではその連結がしっかりとしたものとなって、スムーズに回転することができ、特に、分解・組立の作業性を向上することができるパチンコ機の風車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するためになされた本発明のパチンコ機の風車は、軸筒部の周囲に複数枚の羽根が放射状に一体形成された風車部材と、該風車部材の前面に取り付けられる化粧板とを係合させて組み立てる様に構成すると共に、さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする。
(1)前記風車部材の軸筒部は、下端の所定範囲を同一径の細径部とし、該細径部よりも上端側を同一又はテーパを有する太径部として、上端を最大径とする段付き孔とされ、前記羽根は、外側が自由端となる様に当該軸筒部の外周に一体形成されていること。
(2)前記風車部材の軸筒部の上端から、複数の返し付き係止爪を該軸筒部の軸心を中心として放射状に突設させたこと。
(3)前記化粧板に、前記風車部材の軸筒部の細径部と略同一の細孔を形成すると共に、該細孔の周囲に、前記複数の返し付き係止爪を係合させる複数の係止孔を、前記細孔の軸心を中心として放射状に開口させたこと。
(4)前記各羽根の上端面から長円形断面の突起を突設させると共に、組立時に該突起が嵌まり込む長円形の嵌合孔を前記化粧板の対応位置に穿設したこと。
(5)前記返し付き係止爪は、前記軸筒部の上端から外へ伸びる根本部と、該根本部の先端から軸方向に伸びる本体部と、該本体部の先端から外に向かって突出する返し部とから構成されていること。
(6)前記軸筒部において前記返し付き係止爪の根本部との連接部分には、該根本部の外側を軸方向に切り込んだ態様のスリットが形成されていること。
【0012】
本発明のパチンコ機の風車によれば、返し付き係止爪が化粧板の表面から返しを突出させた状態に係止されることから、返しが係止孔による係止を回避する方向に窄まる様に係止爪を変形させることによって容易に分解することができる。よって、化粧板を取り替えることによる装飾性の変更が容易であり、かつ、その場合に、風車部材は共通利用することができる。特に、(5),(6)の構成を備えることにより、返し付き係止爪を化粧板の係止孔に係止させる際、及び、返し付き係止爪を化粧板の係止孔から離脱させる際に、係止爪が内外へと変形し易くなり、分解・組立の作業性が向上する。
【0013】
また、組立時には、羽根は、その突起を化粧板の嵌合孔に嵌り込ませた状態となっている。そして、遊技盤に釘で取り付けたときに上端と下端で取付釘の外面に接触しつつ支持され、中程の部分は取付釘には接しないことから、スムーズに回転する。この作用・効果は、「(7)前記化粧板の細孔、前記軸筒部の太径部、及び前記軸筒部の細径部は、風車を遊技盤に取付釘で取り付けたとき、当該取付釘の外面が前記軸筒部の太径部の内面と接することなく、前記化粧板の細孔及び前記軸筒部の細径部の内面が共に当該取付釘の外面に接触する様に、組み立て状態において軸心を一致させる構成とされていること。」により、確実となる。なお、羽根の突起と化粧板の嵌合孔は、嵌まり合ったときに若干の遊びがあって構わない。それは、複数(望ましくは3個以上)の返し付き係止爪によって係止されることと相俟って、回転に影響を与える様なガタツキは生じ難いからである。また、若干の遊びがある方が、分解・組立を実行し易いからである。
【0014】
ここで、本発明のパチンコ機の風車は、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(8)前記化粧板の裏面に、組立時に前記羽根の側面上部に当接する突条列を前記嵌合孔を挟む位置に突設させたこと。
【0015】
上記(1)〜(6)に加えて、(8)の構成をも備えることにより、各羽根は、突起を嵌合孔に嵌まり込ませると共に、突条列の間にも嵌り込んだ状態となり、一層、しっかりと支えられた状態に組み立てることができるからである。なお、ここでも、突条列に対する羽根の嵌り込み状態には、若干の遊びがあって構わない。むしろ、若干の遊びがある方が、分解・組立を実行し易い。
【0016】
また、本発明のパチンコ機の風車は、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(9)前記化粧板は、表面側が前記細孔と同心円の凹部とされると共に裏面側が前記細孔と同心円の突部とされた凹凸付きの円盤で構成され、前記係止孔が当該化粧板の前記凹部に前記細孔を中心とする放射状に開口された矩形状の貫通孔で構成されると共に、前記突条列が当該化粧板の突部の外側に放射状に形成されていること。
(10)前記風車部材の各羽根の上端面は、組み立て時に各羽根の外周側部分が共に前記化粧板の裏面に当接する様に、前記化粧板の裏面の形状と対応する段付き面として構成されていること。
(11)前記表面側の凹部は、前記返し付き係止爪の返しから先端までの長さ以上の深さを有すること。
【0017】
(1)〜(5)に加えて、(7)〜(9)の構成をも備えることにより、化粧板と風車が接触した状態に組み立てることができ、しかも、この組み立て時に化粧板表面から係止爪が突出しないので、遊技盤に組み付ける場合の高さ基準が明確となる。
【0018】
また、本発明のパチンコ機の風車は、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(13)前記風車部材は、前記係止爪と前記羽根を同数とし、羽根と羽根の間に係止爪が位置する様に、羽根−係止爪間の角度が同一角度となる様に構成されていること。
(14)前記化粧板は、前記係止孔と前記突条列を同数とし、突条列と突条列の中心線上に前記嵌合孔が位置し、該嵌合孔同士の中心線上に前記係止孔が位置する様に、突条列−係止孔及び係止孔−嵌合孔の角度が同一角度となる様に構成されていること。
【0019】
(13),(14)の構成をも備えることにより、風車部材と化粧板の組立において係止爪を係止孔に係止させれば正しい位置関係で組み立てることができ、組立が容易になる。特に、「(15)前記風車部材及び化粧板は、光透過性の合成樹脂で射出成形によって形成されていること。」という構成をも加えて、風車の裏面側の遊技盤や、パチンコ球が風車によって流下経路を変更される様子を視認できる様にする場合に、透けて見える羽根の端面等が美しい放射状に見え、光透過性の合成樹脂を採用したことによる装飾効果を妨げない。なお、遊技盤も光透過性として、大型液晶表示装置を配置するならば、風車と重なる部分の映像も視認することができ、その場合に、風車が装飾性を損なうことがない。
【発明の効果】
【0020】
本発明のパチンコ機の風車は、組立体として構成した風車の一部部品の交換が容易であり、かつ、組み立てられた状態ではその連結がしっかりとしたものとなって、スムーズに回転することができ、特に、分解・組立の作業性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づき詳細に説明する。実施形態としてのパチンコ機の風車1は、図1〜図3に示す様に、軸筒部11の周囲に3枚の羽根12が120度間隔で放射状に一体形成された風車部材10と、風車部材10の前面に取り付けられる化粧板30とを係合させて組み立てる様に構成されている。
【0022】
風車部材10の軸筒部11は、図1,図2に示す様に、下端の所定範囲を同一径の細径部13とし、細径部13よりも上端側をテーパを有する太径部14として、上端を最大径とする段付き孔とされている。また、風車部材10の軸筒部11の上端から、3個の返し付き係止爪15を軸筒部11の軸心を中心として120度間隔で放射状に突設してある。なお、各返し付き係止爪15は、それぞれ、羽根12−12の真ん中に位置する様に、羽根−係止爪間の角度が60度となる位置に配置されている。これら3個の返し付き係止爪15は、返し16が外向きとなる片矢印形状をしている。また、各返し付き係止爪15,15,15は、軸筒部11の上端から外へ伸びる根本部15aと、根本部15aの先端から軸方向に伸びる本体部15bと、本体部15bの先端から外に向かって突出する返し16とから構成されている。そして、軸筒部11において、返し付き係止爪15の根本部15aとの連接部分には、根本部15aの外側を軸方向に切り込んだ態様のスリット18が形成されている。さらに、各羽根12,12,12の上端面からは小判形断面の突起17が突設されている。
【0023】
化粧板30には、図1,図3に示す様に、風車部材10の軸筒部11の細径部13と略同一径の細孔31を形成すると共に、細孔31の周囲に、返し付き係止爪15を係合させる3個の係止孔32を、細孔31の軸心を中心として120度間隔で放射状に開口させてある。また、組立時に各羽根12の突起17が嵌まり込む嵌合孔33も化粧板30の対応位置に穿設してある。さらに、化粧板30の裏面には、組立時に羽根15の側面上部に当接する突条列34を嵌合孔33を挟む位置に突設させてある。そして、化粧板30は、係止孔32と突条列34を同数とし、突条列34と突条列34の中心線上に嵌合孔33が位置し、嵌合孔33同士の中心線上に係止孔32が位置する様に、突条列34−係止孔32及び係止孔32−嵌合孔34の角度が同一角度となる様に構成されている。
【0024】
ここで、化粧板30は、細孔31と同心円で表面側が凹部35aとなり、裏面側が突部35bとなる円形段部35が一体形成された円盤で構成されている。そして、各係止孔32は、円形段部35の中心側の範囲に形成され、各突条列34は、円形段部35の外側の範囲に形成されている。また、円形段部35を構成する表面側の凹部35aは、返し付き係止爪15の返し16から先端までの長さより若干大きい深さを有する。さらに、風車部材10の各羽根12の上端面は、その中心側部分19aが軸筒部11の上端と面一で外周側部分19bが組み立て時に化粧板30の裏面に当接する高さとなる様に、化粧板30の裏面の形状と対応する段付き面19で構成されている。
【0025】
また、風車部材10及び化粧板30は、透明な合成樹脂で射出成形によって形成されている。
【0026】
この風車によれば、返し付き係止爪15が化粧板30の表面から返し16を突出させた状態に係止されることから、返し16が係止孔32による係止を回避する方向に窄まる様に係止爪15を変形させることによって容易に分解することができる。よって、化粧板30を取り替えることによる装飾性の変更が容易であり、かつ、その場合に、風車部材10は共通利用することができる。
【0027】
また、組立時には、羽根12は、その突起17を化粧板30の嵌合孔33に嵌り込ませた状態となっている。さらに、各羽根12は、突起17を嵌合孔33に嵌まり込ませると共に、突条列34の間にも嵌り込んだ状態にもなっている。そして、図9に示す様に、遊技盤110に釘51で取り付けたときに上端と下端で取付釘の外面に接触しつつ支持され、中程の部分は取付釘には接しないことから、スムーズに回転する。なお、羽根12の突起17と化粧板30の嵌合孔33は、嵌まり合ったときに若干の遊びがあって構わない。それは、3個の返し付き係止爪15によって係止されることと相俟って、回転に影響を与える様なガタツキは生じ難いからである。また、突条列34に対する羽根12の嵌り込み状態には、若干の遊びがあって構わない。むしろ、若干の遊びがある方が、分解・組立を実行し易い。
【0028】
また、化粧板30と風車部材10が接触した状態に組み立てることができ、しかも、この組み立て時に化粧板30の表面から係止爪15が突出しないので、遊技盤に組み付ける場合の高さ基準が明確となる。
【0029】
さらに、本実施形態の風車1によれば、返し付き係止爪15を、軸筒部11の上端から外へ伸びる根本部15aと、根本部15aの先端から軸方向に伸びる本体部15bと、本体部15bの先端から外に向かって突出する返し16とから構成すると共に、軸筒部11において返し付き係止爪15の根本部15aとの連接部分には、根本部15aの外側を軸方向に切り込んだ態様のスリット18が形成されているから、返し付き係止爪15を化粧板30の係止孔32に係止させる際、及び、返し付き係止爪15を化粧板30の係止孔32から離脱させる際に、係止爪15が内外へと変形し易くなり、分解・組立の作業性が良い。
【0030】
さらに、各返し付き係止爪15が羽根12−12の真ん中に位置する様に、羽根−係止爪間の角度が60度となる位置に配置され、突条列34−係止孔32及び係止孔32−嵌合孔33の角度も60度となる様に構成されているので、風車部材10と化粧板20の組立において係止爪15を係止孔32に係止させれば正しい位置関係で組み立てることができ、組立が容易である。
【0031】
加えて、風車部材10及び化粧板30を透明な合成樹脂の射出成形品としたので、風車1の裏面側の遊技盤や、パチンコ球が風車1によって流下経路を変更される様子を視認できる様にする場合に、透けて見える羽根12の端面等が美しい放射状に見え、光透過性の合成樹脂を採用したことによる装飾効果を妨げない。従って、遊技盤も光透過性として、大型液晶表示装置を配置するならば、風車1と重なる部分の映像も視認することができ、その場合に、風車1が装飾性を損なうことがない。
【0032】
次に、この風車1を取り付けたパチンコ機について説明する。なお、このパチンコ機の説明において、「左」又は「右」とは、パチンコ機の表側(前面側)から見たときの「左」又は「右」を示すものとする。
【0033】
実施形態のパチンコ機は、図4〜図9に示す様に、遊技盤110と、遊技盤110の裏側に配置される裏ベース120と、裏ベース120の背後に取り付けられる液晶表示装置130とを備えている。
【0034】
遊技盤110は、透光性の素材(例えば、アクリル樹脂)で形成され、図4に示す様に、表面側に障害釘が固定される。また、図5に示す様に、中央部にセンター窓111が開口されると共に、スルーチャッカー取付窓112、入賞装置取付窓113,114、アウト口取付窓115も開口されている。
【0035】
裏ベース120は、図5に示す様に、合成樹脂で射出成形によって製造される箱枠状の本体121と、この本体121の裏面に固定される種々の裏面部品等とから構成される。本体121は、中央に液晶表示視認用窓122が開口され、入賞装置取付窓123やアウト口取付窓124も開口され、遊技盤110とほぼ同じ形状の枠体として構成されている。しかし、遊技盤110と全く同じ形状という訳ではなく、液晶表示視認用窓122は、左側の部分において遊技盤110の障害釘の固定された部分の少なくとも一部まで及ぶ大きさとされている。換言すれば、遊技盤110のセンター窓111は、左側の部分において、裏ベース120の液晶表示視認用窓122の内側に位置する大きさとされている。
【0036】
液晶表示装置130は、図5,図6に示す様に、裏ベース120に開口された液晶表示視認用窓122の幅方向に全体を塞ぐ面積を有している。従って、液晶表示装置130は、左側において、遊技盤110の障害釘の固定された部分の背後にも、遊技盤110を透過して見える画像表示が可能なものとなっている。この液晶表示装置130は、裏面に制御基板ユニット170を取り付けることのできる液晶ケース131に収納されている。
【0037】
遊技盤110のセンター窓111は、図4,図5に示す様に、左側の部分において、レンズ体161の近傍まで開口し下部にはステージ部品201が装着される。ステージ部品201は、通常のパチンコ機と同様に、遊技盤110の裏面側まで入り込み、ワープルートを経由して来た遊技球を左右方向に転動させ、最終的に前方へ誘導するための部品である。ワープルートは、遊技盤110の裏面側に固定されるワープルート構成部材180によって形成されている。遊技盤110のセンター窓111は、左側の部分において、裏ベース120の液晶表示視認用窓122よりも内側に入り込んでいるから、ワープルート構成部材180は、液晶表示視認用窓122の開口の内側に臨む様に設置される。
【0038】
ワープルート構成部材180は、図7,図8に示す様に、前面が開放されたU字状断面の部品として透光性の合成樹脂で射出成形された部品である。従って、上述の様に、液晶表示視認用窓122の開口の内側に臨む様に設置されるものの、当該ワープルート構成部材180を透かして背後の液晶表示装置130による画像が正面から視認可能となっている。また、ワープルート通過中の遊技球は、遊技盤110を通して視認可能となっている。
【0039】
このパチンコ機では、図4,図9に示す様に、ワープルート構成部材180と一部重なる様に風車1が取り付けられる。実施形態の風車1は透明合成樹脂成形品で構成されているから、風車1、遊技盤110、ワープルート構成部材180を透かす様にして、背後の大型液晶表示装置130の映像を視認することができる。そして、その場合に、本実施形態では、突条列34等を等間隔で配置し、羽根12の端面が美しく表れる様に構成したので、風車1が液晶表示装置130による映像表示の装飾性を損なうことがない。
【0040】
また、化粧板30に形成した嵌合孔33に羽根12の突起17を嵌まり込ませると共に、化粧板30の裏面に設けた突条列34で羽根12の上端を挟む様にしてしっかりと保持することで、羽根12がしっかりと補強された状態となる。そして、突条列34は、化粧板30に対する補強リブにもなっている。従って、突条列34は、パチンコ球が頻繁に衝突する風車1の全体を補強する役割も果たしている。
【0041】
以上、発明を実施するための最良の形態としての実施形態を説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内における種々の変更が可能である。
【0042】
例えば、透明な風車1を取り付ける遊技盤は、従来のベニヤ製のものとしておいてもよい。ベニヤ製の遊技盤であっても、その盤面に装着された装飾シートの絵柄が透明な風車1を透かして視認できる。また、風車1を透明合成樹脂ではなく、不透明な合成樹脂で製造しても構わない。この場合も、組立・分解が容易で、機種等に応じた装飾性の変更が容易という効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施形態のパチンコ機の風車を示し、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は背面図、(D)は右側面図、(E)はa−a断面図である。
【図2】実施形態の風車の風車部材を示し、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は背面図、(D)は右側面図、(F)は右側面の一部拡大図、(E)はb−b断面図である。
【図3】実施形態の風車の化粧板を示し、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は背面図、(D)は右側面図、(E)はc−c断面図である。
【図4】実施形態のパチンコ機の遊技盤の正面図である。
【図5】実施形態のパチンコ機の要部を正面方向から見た分解斜視図である。
【図6】実施形態のパチンコ機の要部を背面方向から見た分解斜視図である。
【図7】実施形態のパチンコ機の要部を正面方向から見た拡大分解斜視図である。
【図8】実施形態のパチンコ機の要部を背面方向から見た拡大斜視図である。
【図9】実施形態のパチンコ機の要部を示し、(A)は拡大正面図、(B)は拡大断面図である。
【図10】従来技術の説明図である。
【符号の説明】
【0044】
1・・・パチンコ機の風車
10・・・風車部材
11・・・軸筒部
12・・・羽根
13・・・細径部
14・・・太径部
15・・・返し付き係止爪
15a・・・根本部
15b・・・本体部
16・・・返し
17・・・突起
18・・・スリット
19・・・段付き面
19a・・・中心側部分
19b・・・外周側部分
30・・・化粧板
31・・・細孔
32・・・係止孔
33・・・嵌合孔
34・・・突条列
35・・・円形段部
35a・・・凹部
35b・・・突部
51・・・釘
110・・・遊技盤
111・・・センター窓
112・・・スルーチャッカー取付窓
113,114・・・入賞装置取付窓
115・・・アウト口取付窓
120・・・裏ベース
121・・・箱枠状の本体
122・・・液晶表示視認用窓
123・・・入賞装置取付窓
124・・・アウト口取付窓
130・・・液晶表示装置
131・・・液晶ケース
161・・・レンズ体
170・・・制御基板ユニット
180・・・ワープルート構成部材
201・・・ステージ部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸筒部の周囲に複数枚の羽根が放射状に一体形成された風車部材と、該風車部材の前面に取り付けられる化粧板とを係合させて組み立てる様に構成すると共に、さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とするパチンコ機の風車。
(1)前記風車部材の軸筒部は、下端の所定範囲を同一径の細径部とし、該細径部よりも上端側を同一又はテーパを有する太径部として、上端を最大径とする段付き孔とされ、前記羽根は、外側が自由端となる様に当該軸筒部の外周に一体形成されていること。
(2)前記風車部材の軸筒部の上端から、複数の返し付き係止爪を該軸筒部の軸心を中心として放射状に突設させたこと。
(3)前記化粧板に、前記風車部材の軸筒部の細径部と略同一の細孔を形成すると共に、該細孔の周囲に、前記複数の返し付き係止爪を係合させる複数の係止孔を、前記細孔の軸心を中心として放射状に開口させたこと。
(4)前記各羽根の上端面から長円形断面の突起を突設させると共に、組立時に該突起が嵌まり込む長円形の嵌合孔を前記化粧板の対応位置に穿設したこと。
(5)前記返し付き係止爪は、前記軸筒部の上端から外へ伸びる根本部と、該根本部の先端から軸方向に伸びる本体部と、該本体部の先端から外に向かって突出する返し部とから構成されていること。
(6)前記軸筒部において前記返し付き係止爪の根本部との連接部分には、該根本部の外側を軸方向に切り込んだ態様のスリットが形成されていること。
【請求項2】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1記載のパチンコ機の風車。
(7)前記化粧板の細孔、前記軸筒部の太径部、及び前記軸筒部の細径部は、風車を遊技盤に取付釘で取り付けたとき、当該取付釘の外面が前記軸筒部の太径部の内面と接することなく、前記化粧板の細孔及び前記軸筒部の細径部の内面が共に当該取付釘の外面に接触する様に、組み立て状態において軸心を一致させる構成とされていること。
【請求項3】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1又は2記載のパチンコ機の風車。
(8)前記化粧板の裏面に、組立時に前記羽根の側面上部に当接する突条列を前記嵌合孔を挟む位置に突設させたこと。
【請求項4】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のパチンコ機の風車。
(9)前記化粧板は、表面側が前記細孔と同心円の凹部とされると共に裏面側が前記細孔と同心円の突部とされた凹凸付きの円盤で構成され、前記係止孔が当該化粧板の前記凹部に前記細孔を中心とする放射状に開口された矩形状の貫通孔で構成されると共に、前記突条列が当該化粧板の突部の外側に放射状に形成されていること。
(10)前記風車部材の各羽根の上端面は、組み立て時に各羽根の外周側部分が共に前記化粧板の裏面に当接する様に、前記化粧板の裏面の形状と対応する段付き面として構成されていること。
(11)前記表面側の凹部は、前記返し付き係止爪の返しから先端までの長さ以上の深さを有すること。
【請求項5】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のパチンコ機の風車。
(13)前記風車部材は、前記係止爪と前記羽根を同数とし、羽根と羽根の間に係止爪が位置する様に、羽根−係止爪間の角度が同一角度となる様に構成されていること。
(14)前記化粧板は、前記係止孔と前記突条列を同数とし、突条列と突条列の中心線上に前記嵌合孔が位置し、該嵌合孔同士の中心線上に前記係止孔が位置する様に、突条列−係止孔及び係止孔−嵌合孔の角度が同一角度となる様に構成されていること。
【請求項6】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1〜5のいすれか記載のパチンコ機の風車。
(15)前記風車部材及び化粧板は、光透過性の合成樹脂で射出成形によって形成されていること。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−39409(P2013−39409A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−234349(P2012−234349)
【出願日】平成24年10月24日(2012.10.24)
【分割の表示】特願2008−120324(P2008−120324)の分割
【原出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(000135210)株式会社ニューギン (1,935)
【Fターム(参考)】