パチンコ遊技機
【課題】使用済みパチンコ遊技機の回収後の移送中乃至保管中に塵埃の付着から遊技機本体及び部品類を護り、品質の低下を防止する。
【解決手段】パチンコ遊技機には前枠2若しくは外枠の外周部分、好ましくは外枠の上枠部に格納部14を形成してこの格納部14に折りたゝんだ袋状の防塵カバー13を格納して置き、ホールにおける使用を終了した後、その回収に当っては格納部14を覆う蓋24を開いて格納する前記防塵カバー13を取出し、次に該防塵カバーの開口部25を開いて前記遊技機に覆い被せ、包み込むことによって塵埃の侵入を防止し、付着を回避する。
【解決手段】パチンコ遊技機には前枠2若しくは外枠の外周部分、好ましくは外枠の上枠部に格納部14を形成してこの格納部14に折りたゝんだ袋状の防塵カバー13を格納して置き、ホールにおける使用を終了した後、その回収に当っては格納部14を覆う蓋24を開いて格納する前記防塵カバー13を取出し、次に該防塵カバーの開口部25を開いて前記遊技機に覆い被せ、包み込むことによって塵埃の侵入を防止し、付着を回避する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機に関し、更に詳しくは、使用済のパチンコ遊技機を塵埃等から有効に護るように改善したパチンコ遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコホール(パチンコ遊技場、以下「ホール」と言う。)において使用済となったパチンコ遊技機(以下、「遊技機」と言う。)は、ホールの島(取付台)から外された後、一般には回収業者を通して回収され、そのまゝ廃棄処分されるものと、再使用乃至再利用されるものとに選別される。
近時、資源の有効利用の一環として廃棄処分になるパチンコ遊技機についても使用済み部品の中から再利用乃至再使用に回す部品の回収が盛んに行われるようになっており、そのため使用済み遊技機の回収後における保管に高い関心が寄せられるようになって来ている。
【0003】
通常、遊技機はホールにおいて使用済みになると、島から外した後、ホールの倉庫に一旦保管したり、回収業者に引取られて倉庫に保管され、その後メーカーに戻したり、或は次の処理業者に渡るまでそのまゝ保管されることになる。
この間、つまりホールにおける取外しの最中や倉庫への移送中、更には倉庫での保管中は、塵埃が舞う中にそのまゝ放置されることが多く、温度管理が全くされない環境下に置かれることが普通であることから、仮にこの期間が短いものであっても遊技機には多くの塵埃が付着することになる。
ことに、遊技機の場合、帯電しやすいプラスチック製部品が多用されていることから簡単に塵埃が付着し、これがこれら部品類、特に配線基板等の再利用,再使用の対象となる電気部品類を汚損し、良質の状態での回収を妨げるものとなっている。
【0004】
上記の様な事情は、製造後、ホールに設置されるまでの遊技機においても全く同じである。そのため従来から遊技機においては、ことにプラスチック製の部品が多用されていることから、中で各種制御のため使用される電気部品類については静電気の帯電による塵埃の付着があることから、これを防止するため、メーカーからの出荷の際にはその製造に併せて遊技機全品に袋状のカバーを被せ、塵埃の侵入,付着を防止する方策が講じられている。
この塵埃防止のためのカバーの被覆は、一般には作業員の手作業によって行われているが、その効率を計って自動機によるカバー掛けも行われている。例えば特許文献1に記載の例がそれである。
【特許文献1】特開平10−1104号公報。
【0005】
この特許文献1に記載の遊技機製造用梱包装置は、製造されてベルトコンベア2上を次々と送られて来る遊技機5に対して筒状の封袋材料12aを上方から供給し、遊技機5に被せる直前でこの封袋材料を横断方向にヒートシールすると同時に、シール部分の上方を切断して下向きに開口した袋を作り、この袋を次々と遊技機に被せることによって梱包するものになっている。
【0006】
この様なカバー掛けは、製品の出荷時だけでなく、使用済の遊技機においても、前述したように良好な状態を維持する上で必要な処置である。
しかし、使用済み後に回収される遊技機は、ホールや回収業者によって個別に少量づつ取扱われることから自動機によるカバー掛けは勿論のこと、元々回収後の遊技機について状態を維持するためにカバーを掛けると言った考えがなかったことから、カバーそのものを準備すると言ったことがなく、従って必要とする場合はカバーそのものを取寄せることから始まり、その上で個々に作業員が掛ける必要があったのである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、この様な事情に鑑み、使用済みの遊技機を回収するに当って、移送中乃至保管中に塵埃が付着することによって部品等の品質の低下、これによる製品価値の低下や喪失を防止する目的で開発されたものである。ことに本発明は遊技機回収に当って、直ちにこの遊技機に防塵カバーを被覆装着し、ホールからの取り外し作業後、その移送中において、また保管中に塵埃が付着するのを有効に防止し、品質保持が図れるように改善された遊技機を提供しようとするものである。
【0008】
防塵用カバーは、前述したように元々遊技機製造後工場からの出荷に当って、汚れや損傷から保護するため被せるものとして用意されたが、この場合においてもカバーそのものは遊技機とは別体に準備され、一づつのカバーをそれぞれの遊技機に被せるものとなっていた。従って、カバー掛けに当ってはそれぞれの遊技機、つまり機種の異なる遊技機毎にカバーを用意して被せるものとなっていたのである。
この様な中で、予めカバー掛けすることが前提にある製造後の遊技機の場合には、事前に工場に防塵カバーを準備することから直ちに被覆することが可能であったが、回収時の遊技機の場合は通常カバーの準備がないことから、このカバーを取り寄せることから行われることになり、直ちにカバー掛けすると言うことはできなかった。
【0009】
従って、本発明はこの様な事情に鑑み、これを改善すべく開発されたものであり、その目的とするところは、個々の遊技機に対して、自らを被覆するための防塵カバーを準備し、必要とするとき、つまり回収時に直ちに被覆作業が行えるようにしたパチンコ遊技機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上述の問題を解決すべく、パチンコ遊技機本体に、つまり遊技機を構成する前枠乃至外枠に遊技機を被覆し、塵埃から護る防塵カバーを備え、使用済みとなってホールから回収する際、この防塵カバーを取出して直ちに被覆するようにして塵埃から遊技機を保護するようにしたことにある。
【0011】
更に本発明を詳述すれば、パチンコ遊技機にあって、該パチンコ遊技機を構成する外枠若しくは前枠のいずれかの外周部、乃至は外周部の近傍に格納部を形成し、該格納部にパチンコ遊技機を被覆する防塵カバーを取出し自由に収納し装備してなることを特徴としたパチンコ遊技機を提供することにある。
【0012】
また本発明は、前記格納部は前記外枠の上枠部若しくは左右の側枠部のいずれかに形成することを特徴としたパチンコ遊技機を提供することにあり、更には、前記格納部は前記外枠の上枠部の中央部に形成することを特徴としたパチンコ遊技機を提供することにある。
【0013】
また本発明は、前記格納部は前記外枠の上枠部中央部に前面側又は背面側から切欠き部を形成し、該切欠き部に箱体を嵌合して格納部を形成することを特徴としたパチンコ遊技機を提供することにあり、また更には、前記格納部は開口部を開放自由な蓋体で被覆し、格納する防塵カバーの任意の脱出を防止するようにしたパチンコ遊技機を提供することにある。
【0014】
また本発明は、前記防塵カバーは有底の筒形に形成する袋であることを特徴としたパチンコ遊技機であり、更には前記防塵カバーはパチンコ遊技機を包み込む容積を有した袋であることを特徴としたパチンコ遊技機を提供することにある。
【0015】
また本発明は、前記防塵カバーは展開可能に折りたゝみ、且つ結束用バンドで結束して格納部に格納することを特徴としたパチンコ遊技機であり、そしてまた、該防塵カバーは格納部に連結部材を介して連結することを特徴としたパチンコ遊技機であり、更には該防塵カバーは帯電防止処理を施してなることを特徴としたパチンコ遊技機を提供することにある。
【0016】
さて、上記本発明に係るパチンコ遊技機は、製造後工場からの出荷時には従来同様に、工場において準備する防塵カバーを掛け、これを段ボール箱等に収納して出荷することになる。そして、ホールに搬入した後、島に据え付ける際には従来同様に先ず外枠を取付枠に固定することによって行うことになる。その後、このパチンコ遊技機を使用済みとする場合には、上記取付枠に固定した外枠を外し、島から降ろしたのち、前記格納部に収める防塵カバーを引き出し、これを開いて遊技機全体を包み込むようにして被せることになる。
【0017】
前記格納部は、防塵カバーをパチンコ遊技機に対して一体的に保管しておくための設備であり、前枠乃至外枠のいずれに設置する場合も、防塵カバーを格納できる空間、つまり当該格納部が用意されることになる。
この格納部は内部に収容した防塵カバーが露出しないように、更に言えば自由に脱出しないように蓋で被うことになる。そして、必要とするとき、つまり被覆のため取り出すときには、この蓋を開放して自由に取出せるようにすることになる。
【0018】
尚、前述するように上記格納部は、遊技機のいずれの部所に設置してもよいが、防塵カバーを取出した後、掛け付けるときの利便性から遊技機の上部、更に言えば前述したように外枠の上枠部に形成することが望まれる。
この上枠部の位置は、遊技機を床に降ろして起立姿勢に維持したとき、作業員が格納部から防塵カバーを取出し易い位置であり、また取出した防塵カバーを遊技機の上で開き、そのまゝ遊技機を包み込むように被せられるので、カバー掛け作業を容易にすることになる。
【0019】
前記防塵カバーは、遊技機全体を被うことができる大きさであることが望まれる。しかし、必ずしも袋状であることを条件とするものではない。たゞ、袋状であることは遊技機に掛けるとき、被い包むことが簡単にできること、そして被せただけでも塵埃の侵入を防止できるのでカバーの形態として好ましい形態となる。
【0020】
この防塵カバーは、格納時に小さく折りたゝめることが重要であり、そのため素材には柔軟性に富むもの、そして遊技機に掛けたとき、容易に破損することのない強度を持つものであることが求められる。この様なことから素材としてプラスチック製フィルムが好適な素材として選択されることになる。ただ、この場合、使用時の静電気の発生によって集塵作用が働き、防塵の目的を損なうことがあるので、この素材を使用するに当っては前述の通り防塵処理を施すことが求められることになる。
【0021】
ところで、この防塵カバーについては、前述した通り袋状にすることが使用上便利であるが、更にこの場合、カバーと格納部とを連結紐等の連結部材で連結すると、防塵カバーを格納部から引き出した状態で直ちに遊技機に掛け付けることができるので作業を一層容易にすることができる。
この連結部材による連結は、防塵カバーの底部、更に言えば底部の中央部と格納部とを連結するとよく、このように連結すると、格納部から引き出した防塵カバーの先端となる部分が自動的にカバーの開口部となることから、この開口部を開きながら次にこれを折り返すようにすると、開口部が裏返った状態になりながら遊技機に被ることから、これを簡単に包み込むことができることになる。
【0022】
次に、前記結束用バンドは、格納部に折りたゝんで格納する防塵カバーが任意に広がるのを防止するものとなるが、このバンドは防塵カバーを遊技機に被せたとき、その裾の部分、つまり開口部を遊技機の周囲に縛り付け、封じ込むためにも使用される。そのため、このバンドにはリング状のゴム製バンドが適している。
【発明の効果】
【0023】
上記の如く構成される本発明パチンコ遊技機は、使用済みになって回収のためパチンコホールの島から外した後は、格納部を開いてこれに格納する防塵カバーを取り出し、そのまゝこの防塵カバーを開いて遊技機に被せることができる。そのため、回収後移送に当って、また保管する間に塵埃に晒されることがないのでホールにおける使用時の状態のまゝ保管することができ、従って塵埃の付着による品質の低下から有効に護ることができることになる。
【0024】
そして、本発明パチンコ遊技機は、自らを護る防塵カバーを常備することから、必要とする場合、直ちに利用することができ、しかもこの防塵カバーは被せる対象が定まっていることからサイズ,形状を最適なものとしておくことができるので、不慣れな作業員によっても迅速に、且つ的確にカバー掛け作業を行うことができることになる。
次に、本発明を実施の形態に従って更に詳述し、特徴とするところを明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図面は、本発明に係るパチンコ遊技機の一例である。図1は斜視図であり、図2は要部の拡大分解斜視図、図3は組立状態の要部の拡大斜視図である。図面において、1はパチンコ遊技機(ここでは単に「遊技機」と記す。)であって、2はこの遊技機1を構成する前枠であり、3は前枠2を収容する外枠である。
【0026】
前枠2は、縦長で窓を開設する矩形の基板2aを主体にして形成してあり、前面には上記窓を囲むように額縁形の飾り枠4を添わせ、その下に上皿枠5と下皿枠6を上から順に装着し、また背面には遊技盤(図示せず)を収める機構枠7を一体に取付けてある。そして、上記飾り枠4にはここには図示しないが、ガラス枠を装着して前方から前記機構枠7に嵌め込む遊技盤を覗けるようにしてあり、上記飾り枠4とその下の上皿枠5とはそれぞれ左辺を前記基板2aに蝶着してそれぞれ右辺を前方に向けて開閉自由となるようにしてある。
【0027】
図中、8は飾り枠4の開口部に沿って配置したランプ枠であり、9は上皿、10は下皿で、11は打球発射用の操作グリップである。そして、12は前記機構枠7の背面上部に備えた賞球用貯留タンクで、このタンクの下方に図示しない賞球装置などの諸装置が設備される。
【0028】
一方、外枠3は全体を図示していないが、上下左右の4本の枠板を矩形に枠組して形成してあり、ここでは上枠部3aの中央部に防塵カバー13を格納する格納部14を形成する。
格納部14は、ここでは浅い横長の箱体14aを主体に形成してあり、上枠部3aの中央部の前縁に切欠き形成する切欠き部15に箱体14aを嵌め付けて固定することによって形成するようにしてある。
【0029】
この格納部14を更に詳しく説明すると、箱体14aはその開口部の左右の縁に外に張り出す鍔16を備え、上枠部3aに設ける切欠き部15に前面側から差し入れ、この切欠き部の左右の縁部に形成する受部17に上記鍔16を受け止めさせて装着するようにしてあり、ここでは箱体14aの前面側から固定の板18を添わせ、その両端を上枠部3aの前面にネジ19,19で止付け一体化して上枠部3aの一部となるようにしてある。尚、板18は切欠き部15の形成によって強度を落すことになる上枠部3aを補強するものでもあり、そのためここでは金属製の板が使用されている。
【0030】
図3は、この様にして上枠部3aに格納部14を組込んだ姿を示しており、この格納部14に防塵カバー13を収納することになる。
図4乃至図7は防塵カバー13と、その格納時における折りたゝみを説明したものである。また、図8及び図9は防塵カバー13の格納状態と、格納部14からの取り出しを説明したものである。
【0031】
ここに示す防塵カバー13は、プラスチック製のフィルムによって筒状に形成し、その一方の開口部を潰して偏平にしたところをヒートシールして袋状にしたものである。実際には図4に示したように、縦長の2枚のプラスチック製フィルム13a,13aを重ね合せにして左右の縁20,20と下縁21をそれぞれヒートシールして袋にしてあり、更にその底部となる下縁21の中央部に連結部材となる連結紐22を一体に融着して取付ている。尚、プラスチックのフィルムを材料に防塵カバー13を形成した場合、静電気を持つことになるので帯電防止処理することになる。
【0032】
図5は、この様にして形成した防塵カバー13を格納のため折りたゝんだ状態を示したものである。ここでは防塵カバー13を縦方向の線に沿って蛇腹状に折りたゝみ、全体を図6に示すように棒状に纏め、次にこれを更に図7に示すように3つに折り曲げ、更に折り曲げた上からリング状のゴム製バンド23を巻付けるようにしてある。
図8は、この様に折りたゝんだ防塵カバー13を格納部14に収めた状態を示す。
【0033】
尚、図面では折りたゝみの状態を判り易くするため、蛇腹状に折りたゝむ状態から格納部14に格納した防塵カバー13を厚みを付けて表現しているが、実際には肉薄のフィルムを材料にすることによって折りたゝんだ状態、更には3つ折りにした状態にしても薄く偏平なものになるようにして狭い格納空間にも容易に収納できるようにすることになる。
また、ここでは蛇腹状に折りたゝんだ後3つ折りにたゝんで格納しているが、折りたゝみ方については格納部14の容積乃至形状に合せて自由に選択することになる。
【0034】
上記折りたゝんだ防塵カバー13は、格納に当って先に底部21から延設する連結紐22を格納部14(ここでは箱体14aの底)に固定し、その上に折りたゝんで収納することになる。そうしたのち、格納部14に蓋24を被せ、格納シールすることになる。
蓋24は、防塵カバー13の飛び出しを防止するものであり、使用時の取出しに当って簡単に取り出せるように、この蓋24には簡易な構造のものが適当である。そのため、ここではテープ状のフィルムにして貼り付け、被うようにしてあり、防塵カバー13の取出しに当ってはフィルムを破って取り出せるようにしている。
【0035】
本発明パチンコ遊技機1は、上述の様に構成されるもので、次に使用の実際を説明すると、使用済みとなってホールの島から外されたパチンコ遊技機は、先ず床上に起立した状態に自立させ、次に格納部14の蓋24を破って折りたゝんだ防塵カバー13を取り出し、バンド23を外して防塵カバー13の開口部25を開くことになる。
図9は格納部14から防塵カバー13を引き出した状態を示し、図10はこのカバー13の開口部25を開いた状態を示す。
【0036】
防塵カバー13は、その開口部25を漏斗形に開いたのち、この開口部を図10に示したように周縁の全体を矢符方向に引き下し、この作業を通して遊技機1の全体を包み込むようにする。
図11は、この防塵カバー13の引き下しの途中の状態を示したもので、カバー13はこの引き下しによって裏返し状態となって遊技機1の全体を被うことになる。
図12は、裏返された上記防塵カバー13によって遊技機1の全体を包み込んだ姿を示している。このとき、防塵カバー13を格納するとき巻付けに使った前記バンド23を裾の部分、つまり裏返った開口部24の周囲に巻付けてこれを縛り、遊技機1を封入した状態にする。
尚、バンド23は、防塵カバー13を格納のため折りたゝむとき、そして上記裾の部分を縛るときに作業を容易にするため、リング状のゴム製バンドが適することは前述した通りである。
【0037】
ところで、防塵カバー13を袋状にすることは、上述の作業手順から判るように遊技機1に被せるとき有利になる。つまり、袋にすることによって開口部25を広げて、この広げた開口部25を裏返すようにして引き下ろすと、カバー13は自動的に遊技機の全体を包み込むことになるからである。
また、上記説明したように、防塵カバー13の格納部14を外枠3の上枠部3aに設けた場合、更に言えば、この上枠部3aの中央部に設けると、作業性が更に改善されることになる。
【0038】
つまり、格納部14が上枠部3aの中央部に設けられると、折りたゝんだ防塵カバー13を引出し、その開口部25を開くと、底部21が中心となって開口部の周縁が遊技機1の上方全体を被うことになるからであり、そのまゝこの周縁部を引き下すようにすると、自動的に遊技機1の全体を包むことになり、簡単にカバー掛け作業が行えることになる。
【0039】
また、防塵カバー13を格納部14に繋ぐ連結紐22は、格納部14から防塵カバー13を引出したとき、遊技機1との位置関係を一定に保持することから、開口部25を開くことによって空気抵抗を受け易くなる防塵カバー13を安定させることができ、従って常時真上から遊技機1に被せることが可能になる。更に、この連結紐22を袋の底部21の中央部に取付けると、この底部21が遊技機1の上部の中央部に向い合せとなるため防塵カバー13が偏って開くのを防止し、常に全体を被うように開かせて被せることができることになる。
【0040】
尚、図面に示す実施例では、格納部14を外枠3の上枠部3aに設ける場合を説明したが、側枠部3bに設けても、また前枠2の基板2aの背面部等に設けてもよいことは前述の通りである。更に言えば、前枠2に設ける場合は、その背面部に固定される機構枠7に形成することもある。
この場合、格納部14は設置する部所によって形状等変更することもあるが、要するにいずれの場合もこの格納部14は折りたゝんだ防塵カバー13を格納して置くことができる空間の確保と、使用に当って防塵カバー13を自由に取出せるものであればよいので、その設置部所、形状等は1つに特定されるものではない。
【0041】
更に具体的に言うならば、前記説明において、上枠部3aに形成する切欠き部15に前面側から箱体14aを嵌め込み、板18で固定する構造を説明したが、この切欠き部15に代えて上枠部3aの中央部に矩形の穴を穿ち、これに箱体14aを嵌め入れて上枠部3aの上面に当接することになる鍔16をネジ19で止め付けることによって格納部14を形成するようにしてもよいのである。
【0042】
以上説明のように、本発明遊技機によれば遊技機自体に防塵カバー13を備えることから、別に準備しておく必要がなく、島からの取り外しに合せて直ちに被覆し、塵埃から保護することができる。そして、格納される防塵カバー13は遊技機1のサイズ,形状に合せたものを格納し準備することができることから的確に防塵することができ、従って、部品の品質低下等を有効に防止することができる。
【0043】
また、本発明によれば、上記防塵カバー13を袋状にすることに併せて、遊技機1の上部に格納部14を形成する場合には、カバー13を上から下に向けて裏返す作業を通して簡単に被せられる構造になることから、作業員一人によってもカバー掛け作業が行え、しかも確実に、且つ迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係るパチンコ遊技機の斜視図。
【図2】格納部の拡大分解斜視図。
【図3】組立完成状態の格納部の拡大斜視図。
【図4】偏平に展開した状態における防塵カバーの斜視図。
【図5】折りたゝむ過程を示した防塵カバーの斜視図。
【図6】蛇腹状に折りたゝんだ状態の防塵カバーの斜視図。
【図7】蛇腹状に折りたゝみ、更に3つに折り曲げた状態の防塵カバーの斜視図。
【図8】防塵カバーを格納部に格納した状態を説明する断面図。
【図9】防塵カバーを格納部から取り出す状態を説明する断面図。
【図10】格納部から取り出した防塵カバーの開口部を開いた状態を説明する斜視図。
【図11】遊技機に防塵カバーを掛ける状態を説明する斜視図。
【図12】防塵カバーによって遊技機を包み込んだ使用状態を説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
1 パチンコ遊技機
2 前枠
2a 前枠の基板
3 外枠
3a 外枠の上枠部
13 防塵カバー
13a 防塵カバーを構成するフィルム
14 格納部
21 防塵カバーの底部を構成する下縁
22 連結部材たる連結紐
23 結束用バンド
24 格納部を被う蓋
25 防塵カバーの開口部
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機に関し、更に詳しくは、使用済のパチンコ遊技機を塵埃等から有効に護るように改善したパチンコ遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコホール(パチンコ遊技場、以下「ホール」と言う。)において使用済となったパチンコ遊技機(以下、「遊技機」と言う。)は、ホールの島(取付台)から外された後、一般には回収業者を通して回収され、そのまゝ廃棄処分されるものと、再使用乃至再利用されるものとに選別される。
近時、資源の有効利用の一環として廃棄処分になるパチンコ遊技機についても使用済み部品の中から再利用乃至再使用に回す部品の回収が盛んに行われるようになっており、そのため使用済み遊技機の回収後における保管に高い関心が寄せられるようになって来ている。
【0003】
通常、遊技機はホールにおいて使用済みになると、島から外した後、ホールの倉庫に一旦保管したり、回収業者に引取られて倉庫に保管され、その後メーカーに戻したり、或は次の処理業者に渡るまでそのまゝ保管されることになる。
この間、つまりホールにおける取外しの最中や倉庫への移送中、更には倉庫での保管中は、塵埃が舞う中にそのまゝ放置されることが多く、温度管理が全くされない環境下に置かれることが普通であることから、仮にこの期間が短いものであっても遊技機には多くの塵埃が付着することになる。
ことに、遊技機の場合、帯電しやすいプラスチック製部品が多用されていることから簡単に塵埃が付着し、これがこれら部品類、特に配線基板等の再利用,再使用の対象となる電気部品類を汚損し、良質の状態での回収を妨げるものとなっている。
【0004】
上記の様な事情は、製造後、ホールに設置されるまでの遊技機においても全く同じである。そのため従来から遊技機においては、ことにプラスチック製の部品が多用されていることから、中で各種制御のため使用される電気部品類については静電気の帯電による塵埃の付着があることから、これを防止するため、メーカーからの出荷の際にはその製造に併せて遊技機全品に袋状のカバーを被せ、塵埃の侵入,付着を防止する方策が講じられている。
この塵埃防止のためのカバーの被覆は、一般には作業員の手作業によって行われているが、その効率を計って自動機によるカバー掛けも行われている。例えば特許文献1に記載の例がそれである。
【特許文献1】特開平10−1104号公報。
【0005】
この特許文献1に記載の遊技機製造用梱包装置は、製造されてベルトコンベア2上を次々と送られて来る遊技機5に対して筒状の封袋材料12aを上方から供給し、遊技機5に被せる直前でこの封袋材料を横断方向にヒートシールすると同時に、シール部分の上方を切断して下向きに開口した袋を作り、この袋を次々と遊技機に被せることによって梱包するものになっている。
【0006】
この様なカバー掛けは、製品の出荷時だけでなく、使用済の遊技機においても、前述したように良好な状態を維持する上で必要な処置である。
しかし、使用済み後に回収される遊技機は、ホールや回収業者によって個別に少量づつ取扱われることから自動機によるカバー掛けは勿論のこと、元々回収後の遊技機について状態を維持するためにカバーを掛けると言った考えがなかったことから、カバーそのものを準備すると言ったことがなく、従って必要とする場合はカバーそのものを取寄せることから始まり、その上で個々に作業員が掛ける必要があったのである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、この様な事情に鑑み、使用済みの遊技機を回収するに当って、移送中乃至保管中に塵埃が付着することによって部品等の品質の低下、これによる製品価値の低下や喪失を防止する目的で開発されたものである。ことに本発明は遊技機回収に当って、直ちにこの遊技機に防塵カバーを被覆装着し、ホールからの取り外し作業後、その移送中において、また保管中に塵埃が付着するのを有効に防止し、品質保持が図れるように改善された遊技機を提供しようとするものである。
【0008】
防塵用カバーは、前述したように元々遊技機製造後工場からの出荷に当って、汚れや損傷から保護するため被せるものとして用意されたが、この場合においてもカバーそのものは遊技機とは別体に準備され、一づつのカバーをそれぞれの遊技機に被せるものとなっていた。従って、カバー掛けに当ってはそれぞれの遊技機、つまり機種の異なる遊技機毎にカバーを用意して被せるものとなっていたのである。
この様な中で、予めカバー掛けすることが前提にある製造後の遊技機の場合には、事前に工場に防塵カバーを準備することから直ちに被覆することが可能であったが、回収時の遊技機の場合は通常カバーの準備がないことから、このカバーを取り寄せることから行われることになり、直ちにカバー掛けすると言うことはできなかった。
【0009】
従って、本発明はこの様な事情に鑑み、これを改善すべく開発されたものであり、その目的とするところは、個々の遊技機に対して、自らを被覆するための防塵カバーを準備し、必要とするとき、つまり回収時に直ちに被覆作業が行えるようにしたパチンコ遊技機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上述の問題を解決すべく、パチンコ遊技機本体に、つまり遊技機を構成する前枠乃至外枠に遊技機を被覆し、塵埃から護る防塵カバーを備え、使用済みとなってホールから回収する際、この防塵カバーを取出して直ちに被覆するようにして塵埃から遊技機を保護するようにしたことにある。
【0011】
更に本発明を詳述すれば、パチンコ遊技機にあって、該パチンコ遊技機を構成する外枠若しくは前枠のいずれかの外周部、乃至は外周部の近傍に格納部を形成し、該格納部にパチンコ遊技機を被覆する防塵カバーを取出し自由に収納し装備してなることを特徴としたパチンコ遊技機を提供することにある。
【0012】
また本発明は、前記格納部は前記外枠の上枠部若しくは左右の側枠部のいずれかに形成することを特徴としたパチンコ遊技機を提供することにあり、更には、前記格納部は前記外枠の上枠部の中央部に形成することを特徴としたパチンコ遊技機を提供することにある。
【0013】
また本発明は、前記格納部は前記外枠の上枠部中央部に前面側又は背面側から切欠き部を形成し、該切欠き部に箱体を嵌合して格納部を形成することを特徴としたパチンコ遊技機を提供することにあり、また更には、前記格納部は開口部を開放自由な蓋体で被覆し、格納する防塵カバーの任意の脱出を防止するようにしたパチンコ遊技機を提供することにある。
【0014】
また本発明は、前記防塵カバーは有底の筒形に形成する袋であることを特徴としたパチンコ遊技機であり、更には前記防塵カバーはパチンコ遊技機を包み込む容積を有した袋であることを特徴としたパチンコ遊技機を提供することにある。
【0015】
また本発明は、前記防塵カバーは展開可能に折りたゝみ、且つ結束用バンドで結束して格納部に格納することを特徴としたパチンコ遊技機であり、そしてまた、該防塵カバーは格納部に連結部材を介して連結することを特徴としたパチンコ遊技機であり、更には該防塵カバーは帯電防止処理を施してなることを特徴としたパチンコ遊技機を提供することにある。
【0016】
さて、上記本発明に係るパチンコ遊技機は、製造後工場からの出荷時には従来同様に、工場において準備する防塵カバーを掛け、これを段ボール箱等に収納して出荷することになる。そして、ホールに搬入した後、島に据え付ける際には従来同様に先ず外枠を取付枠に固定することによって行うことになる。その後、このパチンコ遊技機を使用済みとする場合には、上記取付枠に固定した外枠を外し、島から降ろしたのち、前記格納部に収める防塵カバーを引き出し、これを開いて遊技機全体を包み込むようにして被せることになる。
【0017】
前記格納部は、防塵カバーをパチンコ遊技機に対して一体的に保管しておくための設備であり、前枠乃至外枠のいずれに設置する場合も、防塵カバーを格納できる空間、つまり当該格納部が用意されることになる。
この格納部は内部に収容した防塵カバーが露出しないように、更に言えば自由に脱出しないように蓋で被うことになる。そして、必要とするとき、つまり被覆のため取り出すときには、この蓋を開放して自由に取出せるようにすることになる。
【0018】
尚、前述するように上記格納部は、遊技機のいずれの部所に設置してもよいが、防塵カバーを取出した後、掛け付けるときの利便性から遊技機の上部、更に言えば前述したように外枠の上枠部に形成することが望まれる。
この上枠部の位置は、遊技機を床に降ろして起立姿勢に維持したとき、作業員が格納部から防塵カバーを取出し易い位置であり、また取出した防塵カバーを遊技機の上で開き、そのまゝ遊技機を包み込むように被せられるので、カバー掛け作業を容易にすることになる。
【0019】
前記防塵カバーは、遊技機全体を被うことができる大きさであることが望まれる。しかし、必ずしも袋状であることを条件とするものではない。たゞ、袋状であることは遊技機に掛けるとき、被い包むことが簡単にできること、そして被せただけでも塵埃の侵入を防止できるのでカバーの形態として好ましい形態となる。
【0020】
この防塵カバーは、格納時に小さく折りたゝめることが重要であり、そのため素材には柔軟性に富むもの、そして遊技機に掛けたとき、容易に破損することのない強度を持つものであることが求められる。この様なことから素材としてプラスチック製フィルムが好適な素材として選択されることになる。ただ、この場合、使用時の静電気の発生によって集塵作用が働き、防塵の目的を損なうことがあるので、この素材を使用するに当っては前述の通り防塵処理を施すことが求められることになる。
【0021】
ところで、この防塵カバーについては、前述した通り袋状にすることが使用上便利であるが、更にこの場合、カバーと格納部とを連結紐等の連結部材で連結すると、防塵カバーを格納部から引き出した状態で直ちに遊技機に掛け付けることができるので作業を一層容易にすることができる。
この連結部材による連結は、防塵カバーの底部、更に言えば底部の中央部と格納部とを連結するとよく、このように連結すると、格納部から引き出した防塵カバーの先端となる部分が自動的にカバーの開口部となることから、この開口部を開きながら次にこれを折り返すようにすると、開口部が裏返った状態になりながら遊技機に被ることから、これを簡単に包み込むことができることになる。
【0022】
次に、前記結束用バンドは、格納部に折りたゝんで格納する防塵カバーが任意に広がるのを防止するものとなるが、このバンドは防塵カバーを遊技機に被せたとき、その裾の部分、つまり開口部を遊技機の周囲に縛り付け、封じ込むためにも使用される。そのため、このバンドにはリング状のゴム製バンドが適している。
【発明の効果】
【0023】
上記の如く構成される本発明パチンコ遊技機は、使用済みになって回収のためパチンコホールの島から外した後は、格納部を開いてこれに格納する防塵カバーを取り出し、そのまゝこの防塵カバーを開いて遊技機に被せることができる。そのため、回収後移送に当って、また保管する間に塵埃に晒されることがないのでホールにおける使用時の状態のまゝ保管することができ、従って塵埃の付着による品質の低下から有効に護ることができることになる。
【0024】
そして、本発明パチンコ遊技機は、自らを護る防塵カバーを常備することから、必要とする場合、直ちに利用することができ、しかもこの防塵カバーは被せる対象が定まっていることからサイズ,形状を最適なものとしておくことができるので、不慣れな作業員によっても迅速に、且つ的確にカバー掛け作業を行うことができることになる。
次に、本発明を実施の形態に従って更に詳述し、特徴とするところを明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図面は、本発明に係るパチンコ遊技機の一例である。図1は斜視図であり、図2は要部の拡大分解斜視図、図3は組立状態の要部の拡大斜視図である。図面において、1はパチンコ遊技機(ここでは単に「遊技機」と記す。)であって、2はこの遊技機1を構成する前枠であり、3は前枠2を収容する外枠である。
【0026】
前枠2は、縦長で窓を開設する矩形の基板2aを主体にして形成してあり、前面には上記窓を囲むように額縁形の飾り枠4を添わせ、その下に上皿枠5と下皿枠6を上から順に装着し、また背面には遊技盤(図示せず)を収める機構枠7を一体に取付けてある。そして、上記飾り枠4にはここには図示しないが、ガラス枠を装着して前方から前記機構枠7に嵌め込む遊技盤を覗けるようにしてあり、上記飾り枠4とその下の上皿枠5とはそれぞれ左辺を前記基板2aに蝶着してそれぞれ右辺を前方に向けて開閉自由となるようにしてある。
【0027】
図中、8は飾り枠4の開口部に沿って配置したランプ枠であり、9は上皿、10は下皿で、11は打球発射用の操作グリップである。そして、12は前記機構枠7の背面上部に備えた賞球用貯留タンクで、このタンクの下方に図示しない賞球装置などの諸装置が設備される。
【0028】
一方、外枠3は全体を図示していないが、上下左右の4本の枠板を矩形に枠組して形成してあり、ここでは上枠部3aの中央部に防塵カバー13を格納する格納部14を形成する。
格納部14は、ここでは浅い横長の箱体14aを主体に形成してあり、上枠部3aの中央部の前縁に切欠き形成する切欠き部15に箱体14aを嵌め付けて固定することによって形成するようにしてある。
【0029】
この格納部14を更に詳しく説明すると、箱体14aはその開口部の左右の縁に外に張り出す鍔16を備え、上枠部3aに設ける切欠き部15に前面側から差し入れ、この切欠き部の左右の縁部に形成する受部17に上記鍔16を受け止めさせて装着するようにしてあり、ここでは箱体14aの前面側から固定の板18を添わせ、その両端を上枠部3aの前面にネジ19,19で止付け一体化して上枠部3aの一部となるようにしてある。尚、板18は切欠き部15の形成によって強度を落すことになる上枠部3aを補強するものでもあり、そのためここでは金属製の板が使用されている。
【0030】
図3は、この様にして上枠部3aに格納部14を組込んだ姿を示しており、この格納部14に防塵カバー13を収納することになる。
図4乃至図7は防塵カバー13と、その格納時における折りたゝみを説明したものである。また、図8及び図9は防塵カバー13の格納状態と、格納部14からの取り出しを説明したものである。
【0031】
ここに示す防塵カバー13は、プラスチック製のフィルムによって筒状に形成し、その一方の開口部を潰して偏平にしたところをヒートシールして袋状にしたものである。実際には図4に示したように、縦長の2枚のプラスチック製フィルム13a,13aを重ね合せにして左右の縁20,20と下縁21をそれぞれヒートシールして袋にしてあり、更にその底部となる下縁21の中央部に連結部材となる連結紐22を一体に融着して取付ている。尚、プラスチックのフィルムを材料に防塵カバー13を形成した場合、静電気を持つことになるので帯電防止処理することになる。
【0032】
図5は、この様にして形成した防塵カバー13を格納のため折りたゝんだ状態を示したものである。ここでは防塵カバー13を縦方向の線に沿って蛇腹状に折りたゝみ、全体を図6に示すように棒状に纏め、次にこれを更に図7に示すように3つに折り曲げ、更に折り曲げた上からリング状のゴム製バンド23を巻付けるようにしてある。
図8は、この様に折りたゝんだ防塵カバー13を格納部14に収めた状態を示す。
【0033】
尚、図面では折りたゝみの状態を判り易くするため、蛇腹状に折りたゝむ状態から格納部14に格納した防塵カバー13を厚みを付けて表現しているが、実際には肉薄のフィルムを材料にすることによって折りたゝんだ状態、更には3つ折りにした状態にしても薄く偏平なものになるようにして狭い格納空間にも容易に収納できるようにすることになる。
また、ここでは蛇腹状に折りたゝんだ後3つ折りにたゝんで格納しているが、折りたゝみ方については格納部14の容積乃至形状に合せて自由に選択することになる。
【0034】
上記折りたゝんだ防塵カバー13は、格納に当って先に底部21から延設する連結紐22を格納部14(ここでは箱体14aの底)に固定し、その上に折りたゝんで収納することになる。そうしたのち、格納部14に蓋24を被せ、格納シールすることになる。
蓋24は、防塵カバー13の飛び出しを防止するものであり、使用時の取出しに当って簡単に取り出せるように、この蓋24には簡易な構造のものが適当である。そのため、ここではテープ状のフィルムにして貼り付け、被うようにしてあり、防塵カバー13の取出しに当ってはフィルムを破って取り出せるようにしている。
【0035】
本発明パチンコ遊技機1は、上述の様に構成されるもので、次に使用の実際を説明すると、使用済みとなってホールの島から外されたパチンコ遊技機は、先ず床上に起立した状態に自立させ、次に格納部14の蓋24を破って折りたゝんだ防塵カバー13を取り出し、バンド23を外して防塵カバー13の開口部25を開くことになる。
図9は格納部14から防塵カバー13を引き出した状態を示し、図10はこのカバー13の開口部25を開いた状態を示す。
【0036】
防塵カバー13は、その開口部25を漏斗形に開いたのち、この開口部を図10に示したように周縁の全体を矢符方向に引き下し、この作業を通して遊技機1の全体を包み込むようにする。
図11は、この防塵カバー13の引き下しの途中の状態を示したもので、カバー13はこの引き下しによって裏返し状態となって遊技機1の全体を被うことになる。
図12は、裏返された上記防塵カバー13によって遊技機1の全体を包み込んだ姿を示している。このとき、防塵カバー13を格納するとき巻付けに使った前記バンド23を裾の部分、つまり裏返った開口部24の周囲に巻付けてこれを縛り、遊技機1を封入した状態にする。
尚、バンド23は、防塵カバー13を格納のため折りたゝむとき、そして上記裾の部分を縛るときに作業を容易にするため、リング状のゴム製バンドが適することは前述した通りである。
【0037】
ところで、防塵カバー13を袋状にすることは、上述の作業手順から判るように遊技機1に被せるとき有利になる。つまり、袋にすることによって開口部25を広げて、この広げた開口部25を裏返すようにして引き下ろすと、カバー13は自動的に遊技機の全体を包み込むことになるからである。
また、上記説明したように、防塵カバー13の格納部14を外枠3の上枠部3aに設けた場合、更に言えば、この上枠部3aの中央部に設けると、作業性が更に改善されることになる。
【0038】
つまり、格納部14が上枠部3aの中央部に設けられると、折りたゝんだ防塵カバー13を引出し、その開口部25を開くと、底部21が中心となって開口部の周縁が遊技機1の上方全体を被うことになるからであり、そのまゝこの周縁部を引き下すようにすると、自動的に遊技機1の全体を包むことになり、簡単にカバー掛け作業が行えることになる。
【0039】
また、防塵カバー13を格納部14に繋ぐ連結紐22は、格納部14から防塵カバー13を引出したとき、遊技機1との位置関係を一定に保持することから、開口部25を開くことによって空気抵抗を受け易くなる防塵カバー13を安定させることができ、従って常時真上から遊技機1に被せることが可能になる。更に、この連結紐22を袋の底部21の中央部に取付けると、この底部21が遊技機1の上部の中央部に向い合せとなるため防塵カバー13が偏って開くのを防止し、常に全体を被うように開かせて被せることができることになる。
【0040】
尚、図面に示す実施例では、格納部14を外枠3の上枠部3aに設ける場合を説明したが、側枠部3bに設けても、また前枠2の基板2aの背面部等に設けてもよいことは前述の通りである。更に言えば、前枠2に設ける場合は、その背面部に固定される機構枠7に形成することもある。
この場合、格納部14は設置する部所によって形状等変更することもあるが、要するにいずれの場合もこの格納部14は折りたゝんだ防塵カバー13を格納して置くことができる空間の確保と、使用に当って防塵カバー13を自由に取出せるものであればよいので、その設置部所、形状等は1つに特定されるものではない。
【0041】
更に具体的に言うならば、前記説明において、上枠部3aに形成する切欠き部15に前面側から箱体14aを嵌め込み、板18で固定する構造を説明したが、この切欠き部15に代えて上枠部3aの中央部に矩形の穴を穿ち、これに箱体14aを嵌め入れて上枠部3aの上面に当接することになる鍔16をネジ19で止め付けることによって格納部14を形成するようにしてもよいのである。
【0042】
以上説明のように、本発明遊技機によれば遊技機自体に防塵カバー13を備えることから、別に準備しておく必要がなく、島からの取り外しに合せて直ちに被覆し、塵埃から保護することができる。そして、格納される防塵カバー13は遊技機1のサイズ,形状に合せたものを格納し準備することができることから的確に防塵することができ、従って、部品の品質低下等を有効に防止することができる。
【0043】
また、本発明によれば、上記防塵カバー13を袋状にすることに併せて、遊技機1の上部に格納部14を形成する場合には、カバー13を上から下に向けて裏返す作業を通して簡単に被せられる構造になることから、作業員一人によってもカバー掛け作業が行え、しかも確実に、且つ迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係るパチンコ遊技機の斜視図。
【図2】格納部の拡大分解斜視図。
【図3】組立完成状態の格納部の拡大斜視図。
【図4】偏平に展開した状態における防塵カバーの斜視図。
【図5】折りたゝむ過程を示した防塵カバーの斜視図。
【図6】蛇腹状に折りたゝんだ状態の防塵カバーの斜視図。
【図7】蛇腹状に折りたゝみ、更に3つに折り曲げた状態の防塵カバーの斜視図。
【図8】防塵カバーを格納部に格納した状態を説明する断面図。
【図9】防塵カバーを格納部から取り出す状態を説明する断面図。
【図10】格納部から取り出した防塵カバーの開口部を開いた状態を説明する斜視図。
【図11】遊技機に防塵カバーを掛ける状態を説明する斜視図。
【図12】防塵カバーによって遊技機を包み込んだ使用状態を説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
1 パチンコ遊技機
2 前枠
2a 前枠の基板
3 外枠
3a 外枠の上枠部
13 防塵カバー
13a 防塵カバーを構成するフィルム
14 格納部
21 防塵カバーの底部を構成する下縁
22 連結部材たる連結紐
23 結束用バンド
24 格納部を被う蓋
25 防塵カバーの開口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パチンコ遊技機を構成する外枠又は前枠のいずれかの外周部若しくは外周部の近傍に格納部を形成し、該格納部にパチンコ遊技機を被覆する防塵カバーを取出し自由に収納し、装着してなることを特徴としたパチンコ遊技機。
【請求項2】
前記格納部は前記外枠の上枠部若しくは左右の側枠部のいずれかに形成することを特徴とした請求項1に記載のパチンコ遊技機。
【請求項3】
前記格納部は前記外枠の上枠部の中央部に形成することを特徴とした請求項1又は2に記載のパチンコ遊技機。
【請求項4】
前記格納部は前記外枠の上枠部の中央部には前面側若しくは背面側から切欠き部を形成し、該切欠き部に箱体を嵌合して格納部を形成することを特徴とした請求項3に記載のパチンコ遊技機。
【請求項5】
前記格納部は開口部を開放自由な蓋体で被覆し、格納する防塵カバーの任意の脱出を防止することを特徴とした請求項1乃至4に記載のパチンコ遊技機。
【請求項6】
前記防塵カバーは筒形に形成する有底の袋であることを特徴とした請求項1乃至5に記載のパチンコ遊技機。
【請求項7】
前記防塵カバーはパチンコ遊技機を包み込む容積を有した袋であることを特徴とした請求項6に記載のパチンコ遊技機。
【請求項8】
前記防塵カバーは展開可能に折りたゝみ、且つ結束用バンドで結束して格納部に格納することを特徴とした請求項1乃至7に記載のパチンコ遊技機。
【請求項9】
前記防塵カバーは前記格納部に連結部材を介して連結することを特徴とした請求項1乃至8に記載のパチンコ遊技機。
【請求項10】
前記防塵カバーは帯電防止処理を施してなることを特徴とした請求項1乃至9に記載のパチンコ遊技機。
【請求項1】
パチンコ遊技機を構成する外枠又は前枠のいずれかの外周部若しくは外周部の近傍に格納部を形成し、該格納部にパチンコ遊技機を被覆する防塵カバーを取出し自由に収納し、装着してなることを特徴としたパチンコ遊技機。
【請求項2】
前記格納部は前記外枠の上枠部若しくは左右の側枠部のいずれかに形成することを特徴とした請求項1に記載のパチンコ遊技機。
【請求項3】
前記格納部は前記外枠の上枠部の中央部に形成することを特徴とした請求項1又は2に記載のパチンコ遊技機。
【請求項4】
前記格納部は前記外枠の上枠部の中央部には前面側若しくは背面側から切欠き部を形成し、該切欠き部に箱体を嵌合して格納部を形成することを特徴とした請求項3に記載のパチンコ遊技機。
【請求項5】
前記格納部は開口部を開放自由な蓋体で被覆し、格納する防塵カバーの任意の脱出を防止することを特徴とした請求項1乃至4に記載のパチンコ遊技機。
【請求項6】
前記防塵カバーは筒形に形成する有底の袋であることを特徴とした請求項1乃至5に記載のパチンコ遊技機。
【請求項7】
前記防塵カバーはパチンコ遊技機を包み込む容積を有した袋であることを特徴とした請求項6に記載のパチンコ遊技機。
【請求項8】
前記防塵カバーは展開可能に折りたゝみ、且つ結束用バンドで結束して格納部に格納することを特徴とした請求項1乃至7に記載のパチンコ遊技機。
【請求項9】
前記防塵カバーは前記格納部に連結部材を介して連結することを特徴とした請求項1乃至8に記載のパチンコ遊技機。
【請求項10】
前記防塵カバーは帯電防止処理を施してなることを特徴とした請求項1乃至9に記載のパチンコ遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−228968(P2008−228968A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−72457(P2007−72457)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】
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