説明

パチンコ遊技機

【課題】パチンコ遊技の遊技性を損なうことなく、ハズレ確定した図柄生成行程が連続して実行されることによって遊技者のイライラ感が増大してしまうことを抑制し得るパチンコ遊技機を提案する。
【解決手段】ハズレ確定した図柄生成行程の連続実行回数が当選確率の逆数を越えることにより、当該当選確率に比して当り確定する確率の高い当選確率を有効とするように、複数の当選確率状態を順次設定するようにしたものであるから、図柄生成行程の連続実行回数が前記逆数を越えることによって、当選確率に基づく当り確定への遊技者の期待が満足されなくとも、当選確率が向上することによって、当り確定への期待感を高め得る。また、当選確率によるパチンコ遊技本来の遊技性も安定的に保たれ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、始動口への遊技球流入に伴って始動記憶を発生し、該始動記憶の消化により当り確定した場合に、大入賞口を開閉する特別遊技作動を実行するパチンコ遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機としては、始動口への遊技球流入に伴って発生した始動記憶を消化することによって、特別図柄を変動開始し、その停止図柄態様により当りが確定した場合に、大入賞口を開閉する開閉ラウンドを繰り返す特別遊技作動を実行するようにしたものが広く知られている。特別遊技作動が実行されている状態は、大入賞口への入賞に従って多くの賞球が発生し易いことから、遊技者にとって多大な利益を獲得できる機会である。
【0003】
ここで、一般的には、特別図柄を当り確定する停止図柄態様で停止する確率(以下、当選確率という)が予め設定されており、この当選確率に基づいて当り又はハズレを決定するように処理している。この当選確率は、特別図柄が当り確定する確率でしかなく、例えば1/100や1/300等のように予め設定されている場合に、特別図柄の変動回数(図柄生成行程の実行回数)100回や300回に一回の割合で必ず当りが発生することを保証するものでは無い。そのため、特別図柄の図柄生成行程の実行回数が前記100回や300回を超えても当り確定しない場合もあり得る。しかしながら、遊技者は、当選確率に基づく図柄生成行程の実行回数100回や300回等に対して一回の割合で当り確定するであろうと期待して遊技を行っていることがほとんどであることから、図柄生成行程の実行回数が増大しても当り発生しない場合には、焦りやイライラ感が誘発され易い。このような問題に対して、所定の天井条件が成立すると、当選確率と関係なく強制的に当り確定するようにした構成が提案されている(例えば、特許文献1)。ここで、図柄生成行程の実行回数が所定回数に達することにより成立する天井条件を設定した構成とすれば、ハズレ確定する図柄生成行程の実行回数が増大しても、当り確定が保証されていることから、前記した焦りやイライラ感を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−16703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1の従来構成にあっては、天井条件の成立により当選確率と無関係に当り確定することから、ハズレ確定する図柄生成行程を実行した回数が増大することによって必ず当り確定するものである。これは、遊技者に安心感を与えることができ、上記した焦りやイライラ感を抑制できるという効果を奏するものの、当選確率によって当り又はハズレのいずれかを確定するというパチンコ遊技本来の遊技性を損なうものであると言える。また仮に、天井条件を適宜変化することによって、当り確定する時点を遊技者に分かり難くしたとしても、天井条件の成立によって当り確定が決まることから、前記した遊技性を損なうという問題は解決されずに残る。
【0006】
本発明は、パチンコ遊技の遊技性を損なうことなく、ハズレ確定した図柄生成行程が連続して実行されることによって遊技者のイライラ感が増大してしまうことを抑制し得るパチンコ遊技機を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、特別図柄を変動表示する図柄表示装置と、遊技球の入賞を検知する球検知手段を具備する始動口と、始動口の球検知手段が遊技球を検知することにより、所定数を上限として始動記憶を発生して記憶する始動記憶生成手段と、未消化の始動記憶を順次消化することにより、特別図柄を図柄表示装置で変動して当り又はハズレを確定する停止図柄態様で停止する一連の図柄生成行程を実行し、当り停止図柄態様が確定すると、大入賞口を所定態様で開閉する特別遊技作動を実行する遊技制御手段とを備えたパチンコ遊技機において、遊技制御手段は、相互に当選確率が異なる複数の当選確率状態を順次設定する処理であって、現状の当選確率状態でのハズレ確定した図柄生成行程の連続実行回数が当該当選確率状態で有効とする当選確率の逆数を越えることにより、当該当選確率に比して高い当選確率が定められた当選確率状態を設定する当選確率設定処理を備えたものであることを特徴とするパチンコ遊技機である。
【0008】
ここで、当選確率設定処理としては、当選確率状態を順次設定するタイミングを、図柄生成行程の連続実行回数が当選確率の逆数以上の所定回数に達したタイミングとする処理が好適である。当選確率の逆数以上の所定回数としては、該逆数の次の整数である回数や、逆数に基づいて定める回数等を適宜設定可能である。但し、逆数以上の所定回数が、逆数に比して大きくなり過ぎないように、その上限を定めることが好ましく、例えば、逆数の1.1〜1.5倍を上限とすることが好適である。
【0009】
また、上記した当選確率の逆数としては、整数だけでなく、小数点以下を有する数となる場合もあり得る。例えば、当選確率3/100とすれば、逆数は小数点以下を有する数となる。尚、当選確率1/mは、抽選回数(試行回数)m回に対して、当り(事象)が一回起こり得る期待値として表される。すなわち、本発明の当選確率設定処理は、当選確率1/mとした場合に、その逆数mを連続実行回数が越えることにより、次の当選確率状態を設定する処理を実行するものである。この場合の各当選確率としては、1/m、1/m、1/m・・・(m>m>m>・・・)として設定できる。
【0010】
かかる本発明の構成にあっては、ハズレ確定した図柄生成行程の連続実行回数が当選確率の逆数を越えることによって次の当選確率状態を設定することにより、該連続実行回数の増加に伴って当選確率が高くなるため、特別図柄が段々と当り確定し易くなっていく。上述したように、遊技者は、当選確率1/mに対して図柄生成行程のm回実行に一回の割合で当り確定するという期待を持っているが、実際にはm回以上の図柄生成行程が実行されても当り確定せずに、前記遊技者の期待を満足できない場合もあり得る。これに対して、本発明の構成によれば、当選確率の逆数を図柄生成行程の連続実行回数が越えることにより当選確率が上昇することから、前記当選確率に対する遊技者の期待が満足されなくとも、当り確定への期待感を刺激できるため、遊技への意欲を高めることができる。これにより、ハズレ確定した図柄生成行程の連続実行回数の増大によって、当り確定しないことに対する焦りやイライラ感を抑制できる。
【0011】
さらに、当選確率設定処理は、当選確率を表す上記試行回数に相当する連続実行回数の図柄生成行程を実行した後に、次の当選確率状態を設定するように処理するものであるから、当選確率により当り確定を期待させる遊技性が安定かつ公平に保たれ、パチンコ遊技本来の遊技性が維持され得る。
【0012】
このような本構成にあって、当選確率設定処理は、相互に当選確率の異なる複数の当選確率状態をその当選確率に従って序列化した場合に、これら複数の当選確率状態のうち、現状の当選確率に比して一つ高い当選確率の当選確率状態を選定するように、各当選確率状態を順次設定する処理が好適に用いられる。これにより、図柄生成行程の連続実行回数の増加に伴って当選確率が段階的に高くなるため、上記した本発明の作用効果をより適正に発揮できる。
【0013】
尚、本構成にあっては、ハズレ確定した図柄生成行程が連続して実行された場合に、その連続した回数を連続実行回数として定めていることから、図柄生成行程で当り確定すれば、前記連続実行回数は途切れる。そのため、図柄生成行程で当り確定した場合には、これに伴って実行する特別遊技作動の満了後に、所定の当選確率の当選確率状態を設定して、順次当選確率が高くなるように当選確率設定処理を実行するようにした構成が好適である。
【0014】
上述した本発明のパチンコ遊技機にあって、遊技制御手段の当選確率設定処理は、当り確定する確率が1よりも小さい予め定めた上限当選確率の上限当選確率状態となっている場合に、図柄生成行程で当り確定するまで当該上限当選確率状態を維持する処理を備えた構成が提案される。
【0015】
かかる構成にあっては、上限当選確率が1よりも小さい確率として定められて、該上限当選確率よりも高い当選確率を設定しないようにしたものであるから、図柄生成行程が実行されれば必ず当り確定するという状態を生じない。そのため、上述したパチンコ遊技本体の遊技性を保つという、本発明の作用効果がより適正に発揮され得る。ここで、上限当選確率としては、適宜設定可能であるが、例えば、当選確率を高確率とする確変遊技状態へ変換する遊技を備えた構成にあって、該確変遊技状態の当選確率と同等またはこれに近似する所定確率に設定することが好適である。
【0016】
上述した本発明のパチンコ遊技機にあって、連続実行回数が当選確率の逆数に達することによって次の当選確率状態を設定する設定タイミングを報知する報知手段を備えている構成が提案される。
【0017】
ここで、報知手段により報知する報知態様としては、LED等の点灯または点滅表示による報知態様、画像表示器の画面で所定の図柄を表示する報知態様、音声による報知態様を適用可能である。
【0018】
尚、報知手段が、設定タイミングの他に、図柄生成行程の連続実行回数を報知するようにした構成も好適に用いられ得る。この連続実行回数の報知態様としては、連続実行回数が一回増加する毎に報知するようにしても良いし、所定の複数回数増加する毎に報知するようにしても良い。さらには、連続実行回数を複数に区分し、各区分毎に報知態様を変更するようにしても良い。また、連続実行回数の報知態様は、設定タイミングに近い所定の連続実行回数に達することにより報知するようにしても良い。
【0019】
かかる構成にあっては、次の当選確率状態を設定する設定タイミングを報知することによって高い当選確率に切り替わる時点を遊技者がはっきりと知り得ることから、設定タイミングに達することにより利益が得られるという遊技を、遊技者が認識し、該利益獲得への意欲と期待感を効果的に刺激できる。特に、上記した連続実行回数を報知するようにした場合には、連続実行回数が該設定タイミングに近づいていく様子を遊技者がはっきりと知得できるため、前記した利益獲得への意欲と期待感を一層効果的に刺激できる。これにより、ハズレ確定する図柄生成行程の連続実行回数が増大した場合に生じ得る当り確定への焦りやイライラ感を抑制する効果が一層向上する。
【0020】
上述した本発明のパチンコ遊技機にあって、遊技制御手段の当選確率設定処理は、当選確率状態でハズレ確定した図柄生成行程の連続実行回数が当該当選確率状態で有効とする当選確率の逆数を越えると、所定の遅延回数の図柄生成行程を実行するまで、次の当選確率状態を設定する設定タイミングを遅らせる処理を備えたものである構成が提案される。
【0021】
かかる構成によれば、当選確率状態の設定タイミングを遅延回数によって定めていることから、該設定タイミングが安定して定まり、当選確率を連続実行回数の増加に伴って段階的に向上するという本発明の遊技に対する安心感を遊技者に付与できる。これにより、当選確率が順に高くなるように各当選確率状態を順次設定するという遊技に対して、遊技者の信頼性を確保できる。
【0022】
この遅延回数としては、予め定めた一定値を設定しても良いし、当選確率に基づいて決まる値を設定しても良い。前者の場合には、例えば、10回や20回等と設定でき、後者の場合には、当選確率の逆数の10%や20%等と設定できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、上述したように、ハズレ確定した図柄生成行程の連続実行回数が当選確率の逆数を越えることにより、当該当選確率に比して当り確定する確率の高い当選確率を有効とするように、複数の当選確率状態を順次設定するようにしたものであるから、図柄生成行程の連続実行回数が前記逆数を越えることによって、当選確率に基づく当り確定への遊技者の期待が満足されなくとも、当選確率の向上により当り確定への期待感を刺激することができるため、遊技への意欲を高め得る。また、本発明の構成では、連続実行回数が前記逆数を越えることにより当選確率を向上することから、当選確率により当り確定を期待させるパチンコ遊技本来の遊技性が安定的に保たれ得る。したがって、当選確率に基づいて当り又はハズレを確定するという遊技性を適正に維持しつつ、ハズレ確定した図柄生成行程の連続実行回数が増大した場合に生ずる焦りやイライラ感を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】パチンコ遊技機1の斜視図である。
【図2】遊技盤10の正面図である。
【図3】遊技を制御する制御回路を示すブロック図である。
【図4】入賞検知処理を示すフロー図である。
【図5】特別図柄処理を示すフロー図である。
【図6】始動記憶消化処理を示すフロー図である。
【図7】画像表示器14で、図柄生成行程の連続実行回数を示すレベルゲージ図柄xと当選確率の上昇タイミング図柄yとの表示態様の一例を表す説明図である。
【図8】他の実施例の始動記憶消化処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明にかかる実施例のパチンコ遊技機1を添付図面に従って説明する。
パチンコ遊技機1は、図1に示すように、遊技島設備(図示省略)に固定される外枠2と、この外枠2の前面開口部を覆う遊技機本体3とからなる。遊技機本体3は、中央上部の略円形の開口部に遊技盤10(図2参照)が取り付けられた前枠5を備え、この前枠5の一側縁がヒンジ部材4を介して外枠2に開閉可能に枢着されている。さらに前枠5には、遊技盤10を覆うガラス板6が設けられている。また、前枠5の下部には、上受皿7と下受皿8とが上下に列設されており、下受皿8の右側方に発射ハンドル9が突設される。
【0026】
図2は、遊技盤10の正面図である。遊技盤10の前面には、ガイドレール11によって略円形の遊技領域12が区画形成されている。遊技領域12の中央には、画像表示器14等の各種遊技部材を組み込んだセンターケース13が配設される。画像表示器14は、液晶表示器又はCRT表示器等からなり、その表示画面には演出図柄や各種演出画像等が表示される。
【0027】
画像表示器14の周囲に複数のLED(発光ダイオード)が配設されており、この複数のLEDのうち、右上部の六個は特別図柄表示装置15であり、下部右側の二個は普通図柄表示装置16である。また、下部中央の四個のLEDは、特別図柄の始動記憶(以下、特別始動記憶)を記憶保持している記憶個数(未消化数)を報知するための特別始動記憶数表示装置17であり、下部左側の四個は、普通図柄の始動記憶の記憶個数(未消化数)を報知するための普通始動記憶数表示装置18である。
【0028】
特別図柄表示装置15は、その六個のLEDの点灯態様によって特別図柄を表示するものである。後述するように、特別図柄表示装置15は、所定契機によって、各LEDを点滅させることにより夫々の特別図柄を変動させ、その後にいずれかのLEDが点灯した特別図柄の態様(停止図柄態様)で停止する。本実施例では、右端下側のLEDのみが点灯した停止図柄態様がハズレ停止図柄態様、それ以外の点灯による停止図柄態様が当り停止図柄態様として設定されており、特別図柄の当り停止図柄態様で停止表示された場合に、いわゆる「大当り」となって後述の特別遊技作動を実行する。
【0029】
一方、普通図柄表示装置16は、二個のLEDの点灯態様によって普通図柄を表示するものである。後述する普通始動ゲート19を遊技球が通過すると、このLEDが順次点滅することで普通図柄を変動させ、その後に点灯したLEDによって普通図柄の当り又はハズレを確定し、当りの場合に後述の普通電動役物20を拡開作動する。
【0030】
センターケース13の左側には普通始動ゲート19が設けられている。この普通始動ゲート19を遊技球が通過すると、普通始動ゲート19に具備された普通始動スイッチS2(図3参照)が遊技球を検知し、これに伴って上記の普通図柄表示装置16のLEDが点滅開始する。
【0031】
また、センターケース13の下方には、遊技球を流入可能とする始動口21を備えた普通電動役物20が配設されている。この始動口21の内部には、遊技球を検知する特別始動スイッチS1(図3参照)が配設されており、該始動口21への遊技球流入に伴って特別始動スイッチS1が遊技球を検知することによって特別図柄表示装置15のLEDが点滅開始する。この普通電動役物20は左右一対の開閉翼片を備えており、該開閉翼片が、上下方向に起立して一個の遊技球が上方から入賞可能な間隔となる起立位置と、該起立位置から左右両側に逆ハ字形に拡開して遊技球の入賞を容易とする傾動位置とに変換駆動されるようになっている。そして、前記普通図柄(図示せず)が所定の当り図柄態様で確定した場合に、普通電動役物ソレノイド(図示せず)を駆動源として開閉翼片が所定時間(約 0.2秒間)傾動位置に拡開されて、始動口21に遊技球が入り易い状態となる。
【0032】
さらに普通電動役物20の直下かつアウト口30の直上方位置には、大入賞口25を有する特別電動役物26が配設されている。この特別電動役物26は横長矩形状の開閉片27を具備している。開閉片27は内蔵する特別電動役物ソレノイドにより開閉制御され、これによって大入賞口25が開放状態と閉鎖状態に変換される。また、特別電動役物26の内部には入賞した遊技球を検知するカウントスイッチS3(図3参照)が設けられている。
【0033】
また、普通電動役物20の両側には一般入賞装置29が配設されており、遊技球が一般入賞装置29に入賞すると、一般入賞装置29に内蔵された一般入賞スイッチS4(図3参照)が球検知信号を出力し、かかる球検知信号に基づいて所定数の賞球が払い出される。
【0034】
尚、本実施例にあって、上記した普通電動役物20の始動口21が、本発明の始動口であり、普通電動役物20内に設けられた特別始動スイッチS1が、本発明にかかる球検知手段である。また、特別図柄表示装置15が、本発明の図柄表示装置である。
【0035】
次に、本実施例のパチンコ遊技機1の遊技作動を制御する制御回路を、図3を参照して説明する。
マイクロコンピュータを構成する主制御基板60には、パチンコ遊技機1の遊技作動等を制御するための基板回路が設けられている。この主制御基板60は、遊技の統括的な制御を実行するものである。この基板回路上には主制御用中央制御装置CPUが配設される。この主制御用中央制御装置CPUには、演算処理に用いる動作プログラムを格納する記憶装置ROMと、必要なデータを随時読み書きできる記憶装置RAMとが、データを読み書きするアドレスを指定する情報を一方的に伝えるアドレスバス(図示省略)と、データのやり取りを行うデータバス(図示省略)を介して接続され、主制御基板60の基板回路を構成している。記憶装置ROMには、制御プログラムや、抽選データを参照して特別図柄の当落判定や該特別図柄の変動・停止態様、演出態様等を決定するための各種テーブルが格納されている。一方、記憶装置RAMには、各種球検知スイッチからの球検知信号等が一時的に記憶される記憶エリア、各種のタイマや乱数値、計数値等を構成するレジスタ領域、及びワークエリア等が設けられている。
【0036】
ここで、上記した各乱数テーブルとしては、大当り乱数テーブル、変動態様乱数テーブル等が設定されている。ここで、大当り乱数テーブルは0〜299の範囲の値により構成されており、特別始動スイッチS1がON作動した時点で前記範囲から乱数値が抽出される(後述する図4の入賞検知処理)。そして抽出された大当り乱数値は、所定の当選値と比較され、抽出された大当り乱数値が当選値と一致していた場合には「当り(特別図柄の当選)」判定し、不一致であった場合には「ハズレ」判定する(後述する図6の始動記憶消化処理)。本実施例にあっては、当り判定する確率(以下、当選確率という)を1/100に設定している。尚、この当選確率を、上記した特別遊技作動の満了から次に当り確定するまでの間で、例えば1/10の高確率とするようにしても良い。これは、確変遊技として公知であり、その詳細については省略する。
【0037】
大当り乱数値の他にも様々な乱数テーブル等が設定されており、特別始動スイッチS1をON作動した時点で、各乱数テーブルから夫々に乱数値が抽出される。そして、上記のように大当り乱数値によって当り又はハズレ判定すると、他の乱数値に従って、特別図柄表示装置15で表示する図柄態様や画像表示器14等で演出するための変動演出態様を選択して決定する。
【0038】
また、上記した主制御基板60の基板回路には、所定のクロックパルスを出力するクロック装置(図示省略)が設けられ、主制御用中央制御装置CPUに接続されている。そして主制御用中央制御装置CPUは、一定間隔のクロックパルスによって時系列的に演算処理を行い、一連の処理作動を順次実行する。また、このクロック装置により出力されたクロックパルスをカウントして、時間を計測するタイマTMも接続されている。
【0039】
ここで主制御用中央制御装置CPU、及び後述する各制御基板62〜68に設置される各中央制御装置CPUは、所定のデータの処理を行う演算ユニット(ALU)を連成した演算装置と、この演算装置に入出力するデータや読み込んだ命令を保管しておくレジスタと、命令を解読するデコーダ等によって構成されている。そして、この主制御用中央制御装置CPUは、所定の形式で生成したデータ又はコマンドを四つの制御基板62,63,64,68へ出力し、これらの制御基板62,63,64,68の中央制御装置CPUがこのデータ等に従って所定の制御を処理実行することとなる。
【0040】
また、この主制御基板60の基板回路には、主制御用中央制御装置CPUが周辺機器とデータ通信を行う入力ポート(図示省略)及び出力ポート(図示省略)が設けられており、この出力ポートを介して主制御基板60からの制御指令信号が、演出制御基板62、図柄制御基板63、払出制御基板64、及び発射制御基板68の各入力ポートに向け、一方向に出力されるように接続されている。また、主制御基板60の入力ポートには、盤面中継基板61を介して、特別始動スイッチS1や普通始動スイッチS2等の各種スイッチやセンサ等が接続されている。そして、主制御基板60が2msごとに、これらに内蔵された各スイッチの遊技球検出状態を調べ、遊技球検出があると、その球検出信号が波形整形回路により波形整形されて主制御用中央制御装置CPUに入力され、その情報を記憶装置RAMに記憶する。また、主制御基板60の出力ポートには、盤面中継基板61を介して普通電動役物ソレノイドや特別電動役物ソレノイド等が接続されており、主制御用中央制御装置CPUが所定の条件を選出した場合に、これらに内蔵されたソレノイドやモータを作動させる。
【0041】
上記の演出制御基板62には、パチンコ遊技機1で実行される演出全般を制御するための基板回路が設けられる。この基板回路は、演出を制御処理する演出制御用中央制御装置CPUに、多岐にわたる演出態様に関する固定データが格納された記憶装置ROMと、必要なデータを読み書きできる記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。演出制御基板62の出力ポートには、画像表示器14を制御する画像制御基板65、音声演出を制御する音源制御基板66、及びLEDランプによる演出を制御する光源制御基板67が接続されている。そして、演出制御基板62は、主制御基板60からの演出コマンドが入力ポートに入力されると、演出制御用中央制御装置CPUにおいて演算処理し、該演出コマンドで指示された演出態様を実行するために、画像制御基板65、音源制御基板66、及び光源制御基板67へ向けて制御コマンドを送信する。
【0042】
上記の画像制御基板65には、画像表示器14の表示態様を制御するための基板回路が設けられる。画像制御基板65は、演出制御基板62から入力されたデータ又はコマンドを演算処理し、所定の表示態様を表示するデータにしたがって表示用ドライバにより画像表示器14で所定態様を表出させる。
【0043】
上記の音源制御基板66には、図示しないスピーカから発生する効果音等を制御するための基板回路が設けられる。この音源制御基板66は、演出制御基板62から入力されたデータ又はコマンドを演算処理し、所定の音データにしたがってサウンドジェネレータによりスピーカで効果音を出力させる。
【0044】
上記の光源制御基板67には、遊技機本体3に配設された演出用ランプを制御するための基板回路が設けられている。この光源制御基板67は、演出制御基板62から入力されたデータ又はコマンドを演算処理し、所定の光データにしたがって光源作動基板により各種の演出用ランプを点灯、点滅させる。
【0045】
上記の図柄制御基板63には、特別図柄表示装置15、普通図柄表示装置16、特別始動記憶数表示装置17、普通始動記憶数表示装置18を制御するための基板回路が設けられている。この基板回路は、図柄制御用中央制御装置CPUに、各装置の動作プログラムや発光パターン等の固定データが格納された記憶装置ROMと、必要なデータを読み書きする記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。この図柄制御基板63は、図柄制御用中央制御装置CPUで、上記の主制御基板60から入力ポートを介して入力されたデータ又はコマンドを演算処理し、所定の光データを、出力ポートを介して、各装置のLEDを発光作動するドライバを配した図柄作動基板に出力し、この図柄作動基板が、各装置のLEDを点灯、点滅させる。
【0046】
上記の払出制御基板64には、遊技球の貸球や賞球等の払出しを制御するための基板回路が設けられている。この払出制御基板64は、主制御基板60から入力されたデータ又はコマンドを演算処理し、所定のデータにしたがって貸球ユニットや賞球ユニット等の各種ソレノイドを作動し、所定の貸球や賞球の払出しを実行する。また、払出制御基板64は、プリペイドカードの読込みや書込みを行うプリペイドカードユニットがCR接続基板を介して接続され、遊技球の残球データ等をやり取りする。
【0047】
上記の発射制御基板68には、球発射装置41を制御するための基板回路が設けられている。この発射制御基板68は、発射ハンドル9からの入力信号に応じた電圧強度で球発射装置41を駆動することにより、発射ハンドル9の回動角度に応じた強さで遊技球を打圧発射する。
【0048】
次に、本実施例のパチンコ遊技機1の基本的な作動について説明する。なお、本実施例のパチンコ遊技機1の基本的な作動は、既存のパチンコ遊技機と同様であるため詳細な説明は省略する。
【0049】
遊技者による発射ハンドル9の回動操作に従って球発射装置41により遊技球が発射されると、該遊技球が遊技盤10の遊技領域12を転動流下する。そして、遊技球が上記の普通電動役物20の始動口21へ流入すると、各種テーブルから乱数抽選が行われて特別図柄用の特別始動記憶が発生する(図4の入賞検知処理参照)。そして、特別始動記憶の消化に伴って特別図柄表示装置15でLEDが点滅して特別図柄が変動開始する(図5の特別図柄処理参照)。変動開始から所定時間経過すると、特別図柄が変動停止して停止図柄態様を確定する。このように、特別始動記憶の消化によって特別図柄の変動開始から確定停止までの一連の図柄生成行程を実行する。ここで、特別図柄の停止図柄態様が当り停止図柄態様であると大当りとなり、後述の特別遊技作動を実行する。
【0050】
上記の特別始動記憶としては、記憶装置ROMに格納された特別図柄用の各種テーブルから夫々抽出した複数の乱数値によるデータ集合体で構成されており、該複数の乱数値は始動口21に流入した遊技球を普通電動役物20に内蔵された特別始動スイッチS1が検知することによって夫々抽出される(図4の入賞検知処理参照)。特別始動記憶を構成する各乱数値としては、特別図柄の当落判定や図柄の変動・停止態様、演出態様等を決定するためのものである。このような特別始動記憶を消化することにより(図6の始動記憶消化処理参照)、当該始動記憶の大当り乱数値を当落判定し、その判定結果が当りであると、その他の乱数値に従って当り停止図柄態様や図柄生成行程で実行する演出(変動演出態様)の変動演出パターンを選定する処理(図6中の変動演出態様選定処理)を行う。そして、図柄生成行程では、特別図柄表示装置15で特別図柄を変動して停止すると共に、画像表示器14等で変動演出パターンに従って変動演出態様を実行する(図5の特別図柄処理参照)。
【0051】
特別図柄表示装置15で変動した特別図柄が当り停止図柄態様で確定停止すると、図示しない大入賞口処理に従って特別遊技作動を実行する。特別遊技作動は、大入賞口25が開閉する開閉ラウンドを所定回数実行する作動であり、上述したように、特別図柄が当り停止図柄態様で停止して大当りとなることにより開始する。その後、所定回数の開閉ラウンドを満了することにより当該特別遊技作動を満了する。ここで、一回の開閉ラウンドは、大入賞口25の30秒間開放または9個の入賞のいずれか一方を満足することにより満了する。特別遊技作動では、この開閉ラウンドを16回繰り返し実行する。このような特別遊技作動の実行中には、大入賞口25へ100個以上の入賞が期待でき、遊技者は多量の賞球を獲得できる。
【0052】
一方、始動口21への入賞によって生成された特別始動記憶は、当該特別始動記憶の消化により図柄生成行程が開始されるまで、記憶装置RAMに設定された特別始動記憶領域に記憶保持される。具体的には、特別図柄の変動中および特別遊技作動の実行状態で生成された特別始動記憶は直ぐに消化されず、前記特別始動記憶領域に記憶保持される。ここで、特別始動記憶領域には所定個数(4個)の特別始動記憶を保持可能となっている。そして、特別始動記憶領域に記憶保持されている未消化の特別始動記憶の記憶個数を、上記した特別始動記憶数表示装置17の点灯数によって報知している。尚、特別始動記憶領域に保持されている未消化の特別始動記憶を消化する場合には、該特別始動記憶を読み込み且つ特別始動記憶領域から消去し、特別始動記憶数表示装置17のLEDを一個消灯する。
【0053】
尚、上記した主制御基板60、音源制御基板66、光源制御基板67により、本発明にかかる始動記憶発生手段が構成されており、上記した図4の入賞検知処理を実行する。また、主制御基板60、演出制御基板62(画像制御基板65、音源制御基板66、光源制御基板67)により、本発明にかかる図柄制御手段が構成されており、図5の特別図柄処理を実行する。さらに、上記した主制御基板60により、本発明にかかる遊技制御手段が構成されている。
【0054】
次に本発明の要部について説明する。
上述したように、図5の特別図柄処理(および図6の始動記憶消化処理)により未消化の特別始動記憶を消化することによって、特別図柄を変動して停止する一連の図柄生成行程が実行される。ここで、特別始動記憶の消化に伴って、該特別始動記憶を構成する大当り乱数値を当落判定し、この判定結果に従って図柄生成行程で当り又はハズレを確定する。この大当り乱数値は、上述したように、始動口21への遊技球入賞に伴って大当り乱数テーブルから抽出されるものである。
【0055】
大当り乱数テーブルは、上述したように、0〜299の300個の値から構成されており、当該テーブルから抽出した大当り乱数値を予め定められた当選値と一致するか否かによって当落判定する。すなわち、大当り乱数テーブルの300個の値と当選値の個数とに従って、当選確率が定まっている。
【0056】
ここで、本実施例にあっては、複数の当選値が設定されている当選値群として5種類を設定している。具体的には、予め設定された三個の当選値(例えば「7,77,177」)から構成される第一当選値群と、予め設定された六個の当選値(例えば「7,77,107,177,207,277」)から構成される第二当選値群と、予め設定された九個の当選値から構成される第三当選値群と、予め設定された十二個の当選値から構成される第四当選値群と、予め設定された十五個の当選値から構成される第五当選値群とが夫々設定されている。前記の第一当選値群を有効とする場合には当選確率が1/100(=3/300)であり、第二当選値群を有効とする場合には当選確率が2/100(=6/300)であり、第三当選値群を有効とする場合には当選確率が3/100(=9/300)であり、第四当選値群を有効とする場合には当選確率が4/100(=12/300)であり、第五当選値群を有効とする場合には当選確率が5/100(=15/300)である。すなわち、第一当選値群から順に当選確率が高くなるように、各当選値群がその当選確率に従って序列化されて定められている。
【0057】
上記した第一〜第五当選値群のいずれかを有効として大当り乱数値を当落判定する処理は、図6の始動記憶消化処理により行う。この始動記憶消化処理では、特別始動記憶を記憶している場合に(図5の特別図柄処理)、最先に記憶した特別始動記憶を消化し、その大当り乱数値を当落判定する。この当落判定によりハズレ判定した場合(大当りフラグ=0)には、図柄生成行程でハズレ確定する。このようにハズレ確定する図柄生成行程が連続して発生した回数を、連続実行回数Kとして示す。この連続実行回数Kは、本実施例の場合、特別始動記憶の消化毎に1加算して累積し、前記当落判定により当り判定するとリセットするようにしている。そして、この連続実行回数Kの増加に伴って、第一〜第五当選値群を順次有効とする処理を行っている。この処理では、各当選値群によって定められている上記した当選確率の逆数を、前記連続実行回数Kが越えると、次に当選確率の高い当選値群を有効とするようにしている。
【0058】
本実施例にあっては、当選確率の逆数を連続実行回数Kが越える毎に1加算する当選有効値Fを設定し、この当選有効値Fに従って各当選値群を順次有効とするようにしている。この当選有効値Fは、上記の当落判定により当り判定した場合にリセットすることから、上記の特別遊技作動の満了後に特別始動記憶を消化する場合には当選有効値F=1によって第一当選値群を有効として当落判定を行う。当選有効値F=1により第一当選値群を有効としている場合には、当選確率は1/100であり、その逆数である100回(=100/F)を前記連続実行回数Kが越えるまで当選有効値F=1を維持する。これにより、特別始動記憶の消化によりハズレ確定する図柄生成行程が連続して100回実行されるまでは、大当り乱数値の当選確率は1/100である。その後、連続実行回数Kが100回を越えて101回目となると、当選有効値F=2とし且つ連続実行回数Kをリセットし、第二当選値群を有効として大当り乱数値を当落判定する。これにより、当選確率2/100(=1/50)となり、これ以降で連続実行回数Kが当選確率2/100の逆数である50回を越えるまでは、大当り乱数値の当選確率は2/100である。その後、連続実行回数Kが50回を越えて51回目となると、当選有効値F=3とし且つ連続実行回数Kをリセットし、第三当選値群を有効として、当選確率3/100となる。同様に、これ以降に連続実行回数Kが33.3・・・(=100/3)回を越えて34回目となると、当選有効値F=4とし且つ連続実行回数Kをリセットし、第四当選値群を有効として当選確率4/100とする。さらに同様に、これ以降に連続実行回数Kが25(=100/4)回を越えると、当選有効値F=5として第五当選値群を有効とする。
【0059】
尚、本実施例にあっては、第五当選値群による当選確率5/100(=1/20)を上限の当選確率として設定している。そして、第五当選値群を有効としている場合には連続実行回数Kが当選確率の逆数である20回を越えても該第五当選値群を維持する。一方、第一〜第五当選値群のいずれを有効としている状態であっても、大当り乱数値を当り判定すると、当選有効値Fと連続実行回数Kをリセットする。そのため、特別遊技作動の満了後は、当選有効値F=1によって第一当選値群を有効とする。
【0060】
また、本実施例では、未消化の特別始動記憶を記憶せず且つ遊技球を発射しない状況となると、その経過時間を計測し、該経過時間が所定時間に達すると、連続実行回数Kと当選有効値Fとをリセットするようにしている。これにより、遊技者が交代する等した場合に、前の遊技者によって累積した連続実行回数Kによって、後の遊技者が利益を受けてしまうことを防止している。ここで、リセットするために設定する経過時間の所定時間としては、5分間や10分間のように適宜設定可能である。
【0061】
さらにまた、本実施例にあっては、図7のように、画像表示器14の画面上に上記した図柄生成行程の連続実行回数Kをレベルゲージ図柄xにより表示する。このレベルゲージ図柄xは、図柄生成行程がハズレ確定して満了すると、これに伴って一増加した連続実行回数Kを表示する。さらに、このレベルゲージ図柄xに付随するように、次の当選値群を有効とする当選確率の逆数により示される上昇タイミング図柄yが表示されている。この上昇タイミング図柄yは、レベルゲージ図柄xの、当選有効値Fにより当選確率の逆数に相当する位置を指し示すように表示され、当選有効値Fの変化に従って表示位置が変わる。このようなレベルゲージ図柄xと上昇タイミング図柄yとの表示処理は、図5の特別図柄処理の実行回数表示処理により行う。
【0062】
本実施例の構成では、図柄生成行程の連続実行回数Kの増加により、当選確率が夫々に異なる第一〜第五当選値群のいずれかを有効とするように処理していることから、各当選値群を有効としている状態が本発明にかかる当選確率状態である。すなわち、当選有効値F=1により第一当選値群を有効とする状態、当選有効値F=2により第二当選値群を有効とする状態、当選有効値F=3により第三当選値群を有効とする状態、当選有効値F=4により第四当選値群を有効とする状態、当選有効値F=5により第五当選値群を有効とする状態の五つの当選確率状態が設定可能となっている。このような各当選値群を有効として、大当り乱数値を当落判定する始動記憶消化処理(特別図柄処理)により、本発明にかかる当選確率設定処理が構成されている。そして、第五当選値群による当選確率が、本発明にかかる上限当選確率であり、第五当選値群を有効とする状態が、本発明にかかる上限当選確率状態である。一方、上記したレベルゲージ図柄xと上昇タイミング図柄yとを表示する実行回数表示処理が主制御基板60および演出制御基板62により処理実行されるようにしており、主制御基板60、演出制御基板62、および画像表示器14により、本発明にかかる報知手段が構成されている。尚ここで、上昇タイミング図柄yにより、前記した当選確率状態を設定する設定タイミングを報知している。
【0063】
こうした大当り乱数値の当選確率を連続実行回数Kの増加に応じて変換する処理を、遊技の進行に従って説明する。連続実行回数Kと当選有効値Fとをリセットした後にパチンコ遊技が開始された場合に、特別始動記憶を消化すると、連続実行回数Kに1加算して当選有効値F=1により第一当選値群を有効として大当り乱数値を当落判定する。この当落判定の結果がハズレであると、前記連続実行回数Kを維持し、ハズレ確定する図柄生成行程を実行する。ここで、第一当選値群の当選確率が1/100に設定されていることから、該当選確率の逆数である100回(=100/1)を連続実行回数Kが越えるまで、特別始動記憶の消化によって第一当選値群を有効として当落判定する。ここで、画像表示器14には、連続実行回数Kを表示するレベルゲージ図柄xと当選有効値F=1に基づいて100回の位置を表示する上昇タイミング図柄yとが表示される。ハズレ確定する図柄生成行程を連続して実行することにより、前記レベルゲージ図柄xが徐々に増加するように表示される。そして、連続実行回数Kが100回を越えると、当選有効値F=2として、第二当選値群により大当り乱数値を当落判定する。この当落判定は当選確率1/50により行われ、当選確率が1/100から1/50に上昇したことは前記レベルゲージ図柄xと上昇タイミング図柄yとによって遊技者が知得できる。そして、当選確率1/50である当選有効値F=2の状態は、ハズレ確定する図柄生成行程が50回実行されるまで維持され、第二当選値群により当落判定する。尚、当選有効値F=2となると、上昇タイミング図柄yの表示位置を変える。当選有効値F=2でハズレ確定する図柄生成行程が50回を越えると、当選有効値F=3として、第三当選値群の当選確率1/33.33・・・により大当り乱数値を当落判定する。このように当選確率が上昇したことは、レベルゲージ図柄xと上昇タイミング図柄yとによって遊技者が知得できる。当選有効値F=3の状態は、ハズレ確定する図柄生成行程が33回実行されるまで維持され、第三当選値群により当落判定する。これ以降も同様に、ハズレ確定する図柄生成行程の連続実行回数Kが当選確率の逆数を越える毎に、第四当選値群、第五当選値群を順次有効とし、レベルゲージ図柄xと上昇タイミング図柄yとによって当選確率が上昇するタイミングを遊技者に報知する。
【0064】
このように、本実施例の構成では、ハズレ確定した図柄生成行程の連続実行回数Kが当選確率の逆数を越えることによって、該当選確率により遊技者が有する当りへの期待が満足されない場合に、当選確率が上昇することから、当り確定への遊技者の期待感を刺激できる。これは、当選確率1/mをm回の図柄生成行程で一回の割合で当り確定するという遊技者の期待が満足されない場合に、当選確率の上昇によって当り確定への期待感を刺激して遊技への意欲を高め得る。特に、画像表示器14でレベルゲージ図柄xと上昇タイミング図柄yとを表示することにより、図柄生成行程の連続実行回数Kと当選確率の上昇とを報知することから、前記した当り確定への期待感を刺激する効果が一層高まる。このような期待感を刺激して意欲を高め得ることによって、ハズレ確定した図柄生成行程の連続実行回数の増大によって生ずる焦りやイライラ感を抑制することができる。また、上記した第一〜第五当選値群は、夫々に当選確率を1以下に設定したものであり、第五当選値群の当選確率(=1/20)を上限としている。すなわち、特別始動記憶の消化によって当り確定が約束されているものではない。したがって、本実施例によれば、当選確率に従って当り又はハズレの判定を行うというパチンコ遊技本来の遊技性が保たれ得る。
【0065】
一方、上述した本実施例にあっては、夫々に異なる当選確率である第一〜第五当選値群を順次有効として当落判定を行うようにしたものであり、五種類の当選確率を設定しているが、これと異なる複数の当選確率を設定する構成としても良い。例えば、第一、第二当選値群の二種類の当選確率を設定した構成や、第一〜第三当選値群の三種類の当選確率を設定した構成等とすることができる。さらには、六種類や七種類の当選確率を設定した構成としても良い。また、当選確率についても、適宜設定することができる。
【0066】
また、上述した実施例では、図柄生成行程の連続実行回数が当選確率の逆数を越えると、次の当選確率を有効とするように処理したものであるが、別例として、連続実行回数が前記逆数を越えると、所定の遅延回数の図柄生成行程を実行するまで、前の当選確率を維持し、遅延回数に達すると、次の当選確率を有効とするようにしても良い。具体的には、図8の始動記憶消化処理のように、連続実行回数Kが当選確率の逆数を越えると、図柄生成行程の実行毎に遅延回数値Jに1加算し、該遅延回数値J=10となると、当選有効値Fに1加算して次の当選値群を有効とする。すなわち、この別例では、連続実行回数Kが当選確率の逆数を越えても、直ぐに次の当選値群を有効とせずに、現状の当選確率を維持して10回(遅延回数)の図柄生成行程を実行し、10回実行後に次の当選値群を有効としている。このように、次の当選値群(当選確率)を有効とするタイミングを、連続実行回数Kが当選確率の逆数を越えた時点から遅らせる。これにより、当選確率の逆数が小数点以下を含むものとなった場合にも、次の当選値群を有効とするタイミングが安定して決まる。
【0067】
本発明にあっては、上述した実施例に限定されるものではなく、上述の実施例以外の構成についても本発明の趣旨の範囲内で適宜変更して実施可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 パチンコ遊技機
15 特別図柄表示装置(図柄表示装置)
21 始動口
25 大入賞口
S1 特別始動スイッチ(球検知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特別図柄を変動表示する図柄表示装置と、
遊技球の入賞を検知する球検知手段を具備する始動口と、
始動口の球検知手段が遊技球を検知することにより、所定数を上限として始動記憶を発生して記憶する始動記憶生成手段と、
未消化の始動記憶を順次消化することにより、特別図柄を図柄表示装置で変動して当り又はハズレを確定する停止図柄態様で停止する一連の図柄生成行程を実行し、当り停止図柄態様が確定すると、大入賞口を所定態様で開閉する特別遊技作動を実行する遊技制御手段と
を備えたパチンコ遊技機において、
遊技制御手段は、
相互に当選確率が異なる複数の当選確率状態を順次設定する処理であって、
現状の当選確率状態でのハズレ確定した図柄生成行程の連続実行回数が当該当選確率状態で有効とする当選確率の逆数を越えることにより、当該当選確率に比して高い当選確率が定められた当選確率状態を設定する当選確率設定処理を備えたものであることを特徴とするパチンコ遊技機。
【請求項2】
遊技制御手段の当選確率設定処理は、当り確定する確率が1よりも小さい予め定めた上限当選確率の上限当選確率状態となっている場合に、図柄生成行程で当り確定するまで当該上限当選確率状態を維持する処理を備えたものであることを特徴とする請求項1に記載のパチンコ遊技機。
【請求項3】
連続実行回数が当選確率の逆数に達することによって次の当選確率状態を設定する設定タイミングを報知する報知手段を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパチンコ遊技機。
【請求項4】
遊技制御手段の当選確率設定処理は、当選確率状態でハズレ確定した図柄生成行程の連続実行回数が当該当選確率状態で有効とする当選確率の逆数を越えると、所定の遅延回数の図柄生成行程を実行するまで、次の当選確率状態を設定する設定タイミングを遅らせる処理を備えたものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のパチンコ遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−81566(P2013−81566A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222443(P2011−222443)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(591142909)マルホン工業株式会社 (524)
【Fターム(参考)】