パネルラジエータ及びその立設構造
【課題】上部及び下部のヘッダーと、上下方向に延設された合成樹脂製放熱管とを有し、フレームの縦材の剛性が高いパネルラジエータとその立設構造を提供する。
【解決手段】パネルラジエータ3は、上下方向に設置される枠状のフレーム4と、該フレーム4の上部に設置された上部ヘッダー5と、該フレーム4の下部を構成している下部ヘッダー6と、該上部ヘッダー5と下部ヘッダー6との間に架設された合成樹脂製の複数の放熱管7と、該放熱管7が挿通されたスルーパネル20を備えている。フレーム4の縦材4Aは、複数のリブ4g〜4iと、複数の溝部4a〜4dとを有し、スルーパネル20の側縁が溝部4b又は4dに係合している。
【解決手段】パネルラジエータ3は、上下方向に設置される枠状のフレーム4と、該フレーム4の上部に設置された上部ヘッダー5と、該フレーム4の下部を構成している下部ヘッダー6と、該上部ヘッダー5と下部ヘッダー6との間に架設された合成樹脂製の複数の放熱管7と、該放熱管7が挿通されたスルーパネル20を備えている。フレーム4の縦材4Aは、複数のリブ4g〜4iと、複数の溝部4a〜4dとを有し、スルーパネル20の側縁が溝部4b又は4dに係合している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルラジエータに係り、特に壁暖房用のパネルラジエータとその立設構造に関する。
【背景技術】
【0002】
壁暖房用のパネルラジエータとして、上部横パイプと下部横パイプとの間に多数の合成樹脂製縦パイプを架設したものが、特開2009−222297号公報に記載されている。同号公報のパネルラジエータでは、横パイプの両端がパネルラジエータ(同号公報では放熱器)の側枠に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−222297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特開2009−222297号公報のパネルラジエータでは、上部及び下部横パイプが固定設置され、縦パイプの上下両端が該上部及び下部横パイプに連結されているため、縦パイプが温水通水時に熱膨張によって伸長したときの応力が側枠に加えられる。
【0005】
本発明は、上部及び下部のヘッダーと、上下方向に延設された合成樹脂製放熱管とを有し、フレームの縦材の剛性が高いパネルラジエータとその立設構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明(請求項1)のパネルラジエータは、上下方向に設置される枠状のフレームと、該フレームの上部に設置されるか又は該フレームの上部を構成している上部ヘッダーと、該フレームの下部に設置されるか又は該フレームの下部を構成している下部ヘッダーと、該上部ヘッダーと下部ヘッダーとの間に架設された合成樹脂製の複数の放熱管とを有するパネルラジエータにおいて、該放熱管が挿通された挿通孔を有し、該上部ヘッダーと下部ヘッダーとの間に配置され、該フレームに取り付けられたスルーパネルを備えており、前記フレームの縦材は、筒状体と、該筒状体の内周から突設され、筒状体の長手方向に延在した複数のリブと、該筒状体の外周面から凹陥し、筒状体の長手方向に延在した複数の溝部とを有し、前記スルーパネルの側縁が一部の該溝部に係合していることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2のパネルラジエータは、請求項1において、前記溝部として筒状体のパネル面方向に対峙する1対の第1の溝部と、パネル厚み方向に対峙する1対の第2の溝部とを有し、第1の溝部に前記スルーパネルの側縁が係合していることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3のパネルラジエータは、請求項2において、該第2の溝部の筒状体外周面側の両縁部に、溝部の幅を狭くする方向の張出片が設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4のパネルラジエータは、請求項3において、前記リブは、第1の溝部及び第2の溝部の内周側から筒状体の求心方向に突設されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項5のパネルラジエータは、請求項4において、各リブの求心方向の先端側で囲まれるスペースが、パネルラジエータを立設するためのアジャスターボルトの差し込み用スペースとなっていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項6のパネルラジエータは、請求項3ないし5のいずれか1項において、前記上部ヘッダー、下部ヘッダー又はフレームの横材をビスによって前記縦材の上端又は下端に取り付けたパネルラジエータであって、該ビスが前記第1の溝部と第2の溝部と筒状体とで囲まれたスペースにねじ込まれていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明(請求項7)のパネルラジエータの立設構造は、請求項1ないし6のいずれか1項のパネルラジエータを天井と床との間に立設したパネルラジエータの立設構造であって、アジャスターボルトを前記縦材から突出させることにより、パネルラジエータを突っ張らせた状態で天井及び床に固定し、上部ヘッダー及び下部ヘッダーをそれぞれカバーで隠蔽したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のパネルラジエータでは、フレームの縦材は、筒状体と、筒状体の長手方向に延在した複数のリブと、筒状体の外周面から凹陥し、筒状体の長手方向に延在した複数の溝部とを有しているので、単なる円筒状や、四角筒状の縦材に比べて剛性が高い。また、一部の溝部にスルーパネルの側縁を係合させてスルーパネルを設置することができる。溝部として、筒状体のパネル面方向に対峙する1対の第1の溝部と、パネル厚み方向に対峙する1対の第2の溝部とを設けることにより縦材の剛性が十分に高くなる。この場合、第1の溝部にスルーパネルの側縁を係合させる。
【0014】
この第2の溝部の筒状体外周面側の両縁部に、溝部の幅を狭くする方向に張出片を設けることにより、第2の溝部をタオルハンガーやカバー等の取り付けに利用することができる。リブを第1の溝部及び第2の溝部の内周側から求心方向に突設させることにより、縦材の剛性が高くなる。
【0015】
この場合、各リブの求心方向の先端側で囲まれるスペースをアジャスターボルトの差し込み用スペースとして利用することができる。
【0016】
また、第1の溝部と第2の溝部と筒状体とで囲まれたスペースにビスをねじ込むようにして、上部ヘッダー、下部ヘッダー又は横材を縦材の上端又は下端に取り付けることができる。
【0017】
本発明のパネルラジエータの立設構造によると、縦材の上端又は下端からアジャスターボルトを突出させてパネルラジエータを天井と床との間に突っ張り状に固定設置することができる。
【0018】
このパネルラジエータは、壁に沿った位置だけでなく、壁から離隔した位置に間仕切り状に設置することもできる。パネルラジエータを間仕切り状に設置した場合には、パネルラジエータユニットの両側の部屋を暖房することができる。
【0019】
フレームに上部カバー、下部カバー及びスルーパネルを設けることにより美観が向上する。
【0020】
なお、このスルーパネルを半透明とすることにより、放熱管から輻射される遠赤外線の透過率が高くなり、暖房効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】カバーを装着した状態のパネルラジエータ及びその設置構造を示す斜視図である。
【図2】カバーを取り外した状態におけるパネルラジエータ及びその設置構造を示す斜視図である。
【図3】温水通水停止時における、カバーを取り外した状態のパネルラジエータの構成を示す、下方から見上げた状態の斜視図である。
【図4】温水通水時における、カバーを取り外した状態のパネルラジエータの構成を示す、下方から見上げた状態の斜視図である。
【図5】(a)図は縦材の水平断面図、(b)図は縦材の斜視図である。
【図6】(a)図は図1のVI−VI線に沿う断面図、(b)図はスルーパネルの断面図である。
【図7】図3のVII−VII線断面図である。
【図8】下部ヘッダーと縦材との取り付け方法を示す分解斜視図である。
【図9】(a)図は、縦材とアジャスターボルトとの係合関係を示す斜視図、(b)図は同縦断面図である。
【図10】縦材へのタオルハンガーの取付状態を示す水平断面図である。
【図11】上部ヘッダーと放熱管との接続方法を示す説明図である。
【図12】(a)図は放熱管とスルーパネルとを示す斜視図、(b)図は放熱管下端のジョイントを示す斜視図、(c)図は放熱管とジョイントとの接続方法を示す斜視図である。
【図13】放熱管と下部ヘッダーとの接続方法を示す説明図である。
【図14】放熱管と下部ヘッダーとの接続方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0023】
第1図の通り、床1と天井2との間にパネルラジエータ3が立設されている。このパネルラジエータ3は、第2図〜第4図に示される通り、長方形枠状のフレーム4と、該フレーム4の上部に設置された上部ヘッダー5と、フレーム4の下部に設置された下部ヘッダー6と、該上部ヘッダー5と下部ヘッダー6との間に架設された放熱管7と、フレーム4の上部及び下部から突設されたアジャスターボルト8と、上部ヘッダー5をフレーム4の上部アングル4Bに吊支しているバネ(この実施の形態ではコイルバネ)10と、放熱管7が挿通されたスルーパネル20等を備えている。
【0024】
フレーム4は、好ましくはアルミ等の軽金属よりなるものであり、1対の縦材4A,4Aと、該縦材4A,4Aの上端同士の間に架設された上部アングル4Bと、縦材4A,4Aの下端同士の間に架設された下部ヘッダー6とにより、長方形の縦長枠状とされている。
【0025】
この縦材4Aの水平断面形状について、第5図を参照して説明する。この縦材4Aはアルミ押出材よりなる略々円筒状であるが、外周面の4等分位置(第5図(a)の上、右、下、左)に溝部4a,4b,4c,4dが設けられている。溝部4a〜4d間の筒状体外周部は、円弧状部4eとなっている。溝部4b,4dは、第6図(a)のようにパネルラジエータ3のパネル面方向に対峙しており、該溝部4b,4dの一方にスルーパネル20の側縁が係合する。溝部4a,4cは、パネル厚み方向に対峙している。該溝部4a,4cの入口側、すなわち、縦材4Aの外周面側の両縁部には、この外周面を延長した形状の張出片4f,4fが設けられている。
【0026】
この張出片4f,4fを利用して第10図の如く、タオルハンガー30などの付属品を取付けることができる。なお、第10図においては、水平棒状のタオルバー31の両端にL形のブラケット32が固定されており、このブラケット32が溝部4cに対し、パッキン33を介して重なっている。溝部4c内にピース34が配置され、張出部4f,4fに裏側から重なっている。なおピース34は、略長方形であり、その短手幅は張出片4f,4f間の間隔よりも小さく、張出片4f,4f間を通って、溝部4c内に出し入れ可能である。ピース34の長手方向は、張出片4f,4f間の間隔よりも大きく、張出片4f,4f間に跨ることが可能である。ピース34からボルト35が突設されており、該ボルト35がパッキン33、ブラケット32を貫通している。該ボルト35にワッシャを介してナット36を締め込むことにより、タオルハンガー30が縦材4Aの所望高さに固定される。ボルト35の先端に化粧キャップ37が冠着されている。
【0027】
第5図において、各溝部4a〜4dの内周面側から、縦材4Aの求心方向に(すなわち、軸心位置に向かって)リブ4g,4h,4i,4jが突設されている。各リブ4g〜4jの突出方向の先端は、縦材4Aの軸心かつ等半径に位置している。リブ4g〜4jの先端で囲まれるスペースが第9図(b)のアジャスターボルト8の挿入スペース4sである。第9図の通り、アジャスターボルト8の先端を該スペース4sに挿入し、アジャスターボルト8の途中のナット8Nと縦材4Aの端面との間に圧縮コイルバネ8Sが介在される。
【0028】
溝4a,4bと円弧状部4eとの間、溝4b,4cと円弧状部4eとの間、溝4c,4dと円弧状部4eとの間、溝4d,4aと円弧状部4eとの間が、それぞれビスの挿入スペース4tとなっている。このスペース4tにビスをねじ込むことにより、上部アングル4Bと下部ヘッダー6がそれぞれ縦材4A,4Aの上端及び下端に連結固定される。
【0029】
下部ヘッダー6の取付構造を第8図に示す。なお第8図は、この取付状況を示す下方から見上げた斜視図である。下部ヘッダー6の長手方向の両端から突片6tが突設され、この突片6tのビス挿通孔6hにテクスビス6gが挿通され、スペース4tにねじ込まれる。これにより、下部ヘッダー6が縦材4A,4Aの下端に固定されている。図示は省略するが、縦材4A,4Aの上端に対して上部アングル4Bの両端が同様にビス留めされる。
【0030】
第2図〜第4図の通り、下部ヘッダー6には、床1の開口11を通過した温水循環配管12,13の一端が接続されている。この配管12,13はポリブテン、架橋ポリエチレン等の合成樹脂よりなり、その他端はボイラや分岐ヘッダー(図示略)に接続されている。
【0031】
放熱管7は、この実施の形態ではポリブテン、架橋ポリエチレン等の合成樹脂チューブよりなり、スルーパネル20に挿通され、上部ヘッダー5及び下部ヘッダー6に接続されている。この接続方法については後述する。
【0032】
第3図及び第4図に明示される通り、上部ヘッダー5は、上部アングル4Bよりも所定距離下方に位置しており、上部ヘッダー5と上部アングル4Bとの間には、所定の間隙があいている。この上部アングル4Bに対し上部ヘッダー5がコイルバネ10によって吊り支えられており、温水を放熱管7に通水して放熱管7が熱膨張により伸長したときの伸びを吸収するように構成されている。第7図の通り、フレーム4の縦材4Aの上端部の溝部4b又は4dに対し、バネ10の半分が配置され、溝部4b又は4dに沿って上下方向に伸縮可能とされている。
【0033】
放熱管7が挿通されたスルーパネル20は、ポリカーボネート等の透明又は半透明な合成樹脂よりなる。このスルーパネル20は、第6図(b)及び第12図(a)の通り、平行な1対の主板面21,21と、該主板面21,21同士を接続するリブ部22とを有したハーモニカ形断面形状となっており、隣接するリブ部22同士の間が放熱管7の挿通孔23となっている。リブ部22は主板面21と垂直である。挿通孔23は、縦材4Aと平行方向に延在する。挿通孔23は、方形断面形状である。
【0034】
パネルラジエータ3を組み立てるには、縦材4A,4Aを平行に並べ、それらの下端同士を下部ヘッダー6によって連結し、縦材4A,4A間にスルーパネル20を配置する。このスルーパネル20は、その左右の両側縁が縦材4A,4Aの溝部4b,4dに係合することにより、フレーム4に保持されている。
【0035】
前記上部ヘッダー5には、第11図の通り、下面側にタケノコ形(すなわち、先細状のテーパ部が多段に連設された形状)のノズル状の接続部5aが突設されている。放熱管7の上端をこの接続部5aに差し込み、バンド30を外嵌させて締め付け、抜け止めする。
【0036】
この放熱管7の下端に、第12図の通り、Eリング及びバンド装着前のジョイント40を差し込む。このジョイント40は、基端側がタケノコ部41となっており、放熱管7に差し込まれる。ジョイント40の先端側は円筒部42となっており、2本のOリング43が嵌装されている。ジョイント40の長手方向の中間部は円筒形の鍔部44となっている。この鍔部44の外径は、放熱管7の外径と同一か、それよりも若干大きいものとなっている。円筒部42と鍔部44との間に、Eリング装着溝45が周設されている。
【0037】
このように上部ヘッダー5に放熱管7の上端を接続し、各放熱管7の下端にジョイント40を装着した後、各放熱管7を第12図(a)及び第13図に示されるようにスルーパネル20の挿通孔23に挿通させ、第13図の通りスルーパネル20の下端から下方に突出させる。そして、各放熱管7の下端にバンド50を外嵌させて締め付け、ジョイント40の抜け止めを行う。次いで、ジョイント40の溝45にEリング51を装着する。
【0038】
その後、上部ヘッダー5を押して各放熱管7をさらに下部ヘッダー6に向って移動させ、ジョイント40の円筒部42を下部ヘッダー6のユニオン継手部6aに差し込み、第14図の通り、Eリング51をユニオン継手部6aの先端(上端)のフランジ部6fに重ね合わせる。そして、クリップ53をEリング51とフランジ部6fとに係合させてジョイント40とユニオン継手部6aとを結合する。クリップ53は、市販のCHクリップであり、一対の脚部53aと、脚部53a同士を連結するブリッジ部53bとを有した略Ω字形状のものであり、脚部53aに設けられたスリット状開口53cにEリング51とフランジ部6fとが係合する。
【0039】
なお、放熱管7をスルーパネル20の挿通孔23に挿通する前に、又は挿通させた後、適宜の段階で上部アングル4Bを縦材4A,4Aの上端間に取り付け、上部ヘッダー5と上部アングル4Bとをバネ10で連結する。
【0040】
この実施の形態によると、スルーパネル20の細い挿通孔23に対しても、Eリング51及びクリップ50を有しないジョイント40及び放熱管7をスムーズに挿通させることができる。放熱管7をスルーパネル20の挿通孔23内に配置することにより、放熱管7を平行に保つことができる。また、放熱管7の両端を各ヘッダー5,6に容易に接続することができる。
【0041】
パネルラジエータ3を床1と天井2との間に間仕切り状に立設するには、ヘッダー5,6、スルーパネル20、放熱管7、アジャスターボルト8及びコイルバネ10を備えたフレーム4を部屋のパネルラジエータ設置予定位置にて起立させる。なお、下側のアジャスターボルト8と床1との間、及び上側のアジャスターボルト8と天井2との間には、ゴム、合成樹脂等よりなる固定座9又はパッキンを介在させるのが好ましい。次いで、パネルラジエータ3が鉛直となるように支えた状態で、アジャスターボルト8のナット8Nを回して縦材4Aからの突出長さを増大させ、パネルラジエータ3を床1と天井2との間で突っ張らせて固定する。
【0042】
次いで、温水循環配管12,13を下部ヘッダー6に接続する。その後、フレーム4の上部にカバー16を取り付け、フレーム4の下部にカバー17を取り付け、各ヘッダー5,6を隠蔽する。これらのカバー16,17は例えば半割体の嵌め合いやビス留めによりフレーム4に固定される。
【0043】
このように構成されたパネルラジエータ3にあっては、縦材4Aが溝部4a〜4d及びリブ4g〜4jを有しており、剛性が高い。この実施の形態では、ヘッダー5,6がカバー16,17で隠蔽され、また、放熱管7が透明又は半透明のスルーパネル20で覆われるので、美観に優れる。
【0044】
このパネルラジエータ3の放熱管7に温水を循環通水することにより、熱がパネルラジエータ3の両面から輻射される。スルーパネル20が半透明であるので、放熱管7からの遠赤外線が効率よく部屋内に放射される。
【0045】
温水を通水することにより、第4図のように放熱管7が熱膨張して伸長し、また温水通水を停止すると、第3図のように放熱管7が縮んで短くなるが、この放熱管7の伸縮はバネ10によって吸収される。この実施の形態では、上部ヘッダー5の両端を吊支するバネ10がそれぞれ溝4b,dに収容されているので、上部ヘッダー5の揺れ動きが防止される。
【0046】
この実施の形態では、下部ヘッダー6が固定状態となっているので、下部ヘッダー6と温水循環配管12,13との接続部に放熱管7の熱膨張による応力が負荷されず、この接続部の耐久性が良好である。
【0047】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は図示以外の態様とされてもよい。例えば、ジョイント40を放熱管7の上端に装着し、ユニオン継手部6aを上部ヘッダー5に設け、ノズル状接続部5aを下部ヘッダー6に設けてもよい。
【0048】
また、放熱管7の本数は図示以外でもよい。上部ヘッダー5を縦材4A,4A間に架設し、下部ヘッダー6を上下動可能にバネによって支えてもよい。
【0049】
なお、特に本発明を限定するものではないが、前記バネ10としては、線径1mmのピアノ線を直径(外径)8.6mmに巻回したものであって、40mm変形(伸長)時の引張荷重が5kgfであるものを用いることができる。
【0050】
本発明のパネルラジエータは壁に沿って立設されてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 床
2 天井
3 パネルラジエータ
4 フレーム
4A 縦材
4a〜4d 溝部
4e 円弧状部
4f 張出片
4g〜4j リブ
4s アジャスターボルトの挿入用スペース
4t ビスの挿入用スペース
4B 上部アングル
5 上部ヘッダー
5a ノズル状接続部
6 下部ヘッダー
6a ユニオン継手部
6f フランジ部
6h ビス挿通孔
6t 突片
7 放熱管
8 アジャスターボルト
10 バネ
12,13 温水循環配管
20 スルーパネル
23 放熱管の挿通孔
30,50 バンド
40 ジョイント
41 タケノコ部
42 円筒部
43 Oリング
45 溝
51 Eリング
53 クリップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルラジエータに係り、特に壁暖房用のパネルラジエータとその立設構造に関する。
【背景技術】
【0002】
壁暖房用のパネルラジエータとして、上部横パイプと下部横パイプとの間に多数の合成樹脂製縦パイプを架設したものが、特開2009−222297号公報に記載されている。同号公報のパネルラジエータでは、横パイプの両端がパネルラジエータ(同号公報では放熱器)の側枠に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−222297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特開2009−222297号公報のパネルラジエータでは、上部及び下部横パイプが固定設置され、縦パイプの上下両端が該上部及び下部横パイプに連結されているため、縦パイプが温水通水時に熱膨張によって伸長したときの応力が側枠に加えられる。
【0005】
本発明は、上部及び下部のヘッダーと、上下方向に延設された合成樹脂製放熱管とを有し、フレームの縦材の剛性が高いパネルラジエータとその立設構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明(請求項1)のパネルラジエータは、上下方向に設置される枠状のフレームと、該フレームの上部に設置されるか又は該フレームの上部を構成している上部ヘッダーと、該フレームの下部に設置されるか又は該フレームの下部を構成している下部ヘッダーと、該上部ヘッダーと下部ヘッダーとの間に架設された合成樹脂製の複数の放熱管とを有するパネルラジエータにおいて、該放熱管が挿通された挿通孔を有し、該上部ヘッダーと下部ヘッダーとの間に配置され、該フレームに取り付けられたスルーパネルを備えており、前記フレームの縦材は、筒状体と、該筒状体の内周から突設され、筒状体の長手方向に延在した複数のリブと、該筒状体の外周面から凹陥し、筒状体の長手方向に延在した複数の溝部とを有し、前記スルーパネルの側縁が一部の該溝部に係合していることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2のパネルラジエータは、請求項1において、前記溝部として筒状体のパネル面方向に対峙する1対の第1の溝部と、パネル厚み方向に対峙する1対の第2の溝部とを有し、第1の溝部に前記スルーパネルの側縁が係合していることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3のパネルラジエータは、請求項2において、該第2の溝部の筒状体外周面側の両縁部に、溝部の幅を狭くする方向の張出片が設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4のパネルラジエータは、請求項3において、前記リブは、第1の溝部及び第2の溝部の内周側から筒状体の求心方向に突設されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項5のパネルラジエータは、請求項4において、各リブの求心方向の先端側で囲まれるスペースが、パネルラジエータを立設するためのアジャスターボルトの差し込み用スペースとなっていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項6のパネルラジエータは、請求項3ないし5のいずれか1項において、前記上部ヘッダー、下部ヘッダー又はフレームの横材をビスによって前記縦材の上端又は下端に取り付けたパネルラジエータであって、該ビスが前記第1の溝部と第2の溝部と筒状体とで囲まれたスペースにねじ込まれていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明(請求項7)のパネルラジエータの立設構造は、請求項1ないし6のいずれか1項のパネルラジエータを天井と床との間に立設したパネルラジエータの立設構造であって、アジャスターボルトを前記縦材から突出させることにより、パネルラジエータを突っ張らせた状態で天井及び床に固定し、上部ヘッダー及び下部ヘッダーをそれぞれカバーで隠蔽したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のパネルラジエータでは、フレームの縦材は、筒状体と、筒状体の長手方向に延在した複数のリブと、筒状体の外周面から凹陥し、筒状体の長手方向に延在した複数の溝部とを有しているので、単なる円筒状や、四角筒状の縦材に比べて剛性が高い。また、一部の溝部にスルーパネルの側縁を係合させてスルーパネルを設置することができる。溝部として、筒状体のパネル面方向に対峙する1対の第1の溝部と、パネル厚み方向に対峙する1対の第2の溝部とを設けることにより縦材の剛性が十分に高くなる。この場合、第1の溝部にスルーパネルの側縁を係合させる。
【0014】
この第2の溝部の筒状体外周面側の両縁部に、溝部の幅を狭くする方向に張出片を設けることにより、第2の溝部をタオルハンガーやカバー等の取り付けに利用することができる。リブを第1の溝部及び第2の溝部の内周側から求心方向に突設させることにより、縦材の剛性が高くなる。
【0015】
この場合、各リブの求心方向の先端側で囲まれるスペースをアジャスターボルトの差し込み用スペースとして利用することができる。
【0016】
また、第1の溝部と第2の溝部と筒状体とで囲まれたスペースにビスをねじ込むようにして、上部ヘッダー、下部ヘッダー又は横材を縦材の上端又は下端に取り付けることができる。
【0017】
本発明のパネルラジエータの立設構造によると、縦材の上端又は下端からアジャスターボルトを突出させてパネルラジエータを天井と床との間に突っ張り状に固定設置することができる。
【0018】
このパネルラジエータは、壁に沿った位置だけでなく、壁から離隔した位置に間仕切り状に設置することもできる。パネルラジエータを間仕切り状に設置した場合には、パネルラジエータユニットの両側の部屋を暖房することができる。
【0019】
フレームに上部カバー、下部カバー及びスルーパネルを設けることにより美観が向上する。
【0020】
なお、このスルーパネルを半透明とすることにより、放熱管から輻射される遠赤外線の透過率が高くなり、暖房効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】カバーを装着した状態のパネルラジエータ及びその設置構造を示す斜視図である。
【図2】カバーを取り外した状態におけるパネルラジエータ及びその設置構造を示す斜視図である。
【図3】温水通水停止時における、カバーを取り外した状態のパネルラジエータの構成を示す、下方から見上げた状態の斜視図である。
【図4】温水通水時における、カバーを取り外した状態のパネルラジエータの構成を示す、下方から見上げた状態の斜視図である。
【図5】(a)図は縦材の水平断面図、(b)図は縦材の斜視図である。
【図6】(a)図は図1のVI−VI線に沿う断面図、(b)図はスルーパネルの断面図である。
【図7】図3のVII−VII線断面図である。
【図8】下部ヘッダーと縦材との取り付け方法を示す分解斜視図である。
【図9】(a)図は、縦材とアジャスターボルトとの係合関係を示す斜視図、(b)図は同縦断面図である。
【図10】縦材へのタオルハンガーの取付状態を示す水平断面図である。
【図11】上部ヘッダーと放熱管との接続方法を示す説明図である。
【図12】(a)図は放熱管とスルーパネルとを示す斜視図、(b)図は放熱管下端のジョイントを示す斜視図、(c)図は放熱管とジョイントとの接続方法を示す斜視図である。
【図13】放熱管と下部ヘッダーとの接続方法を示す説明図である。
【図14】放熱管と下部ヘッダーとの接続方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0023】
第1図の通り、床1と天井2との間にパネルラジエータ3が立設されている。このパネルラジエータ3は、第2図〜第4図に示される通り、長方形枠状のフレーム4と、該フレーム4の上部に設置された上部ヘッダー5と、フレーム4の下部に設置された下部ヘッダー6と、該上部ヘッダー5と下部ヘッダー6との間に架設された放熱管7と、フレーム4の上部及び下部から突設されたアジャスターボルト8と、上部ヘッダー5をフレーム4の上部アングル4Bに吊支しているバネ(この実施の形態ではコイルバネ)10と、放熱管7が挿通されたスルーパネル20等を備えている。
【0024】
フレーム4は、好ましくはアルミ等の軽金属よりなるものであり、1対の縦材4A,4Aと、該縦材4A,4Aの上端同士の間に架設された上部アングル4Bと、縦材4A,4Aの下端同士の間に架設された下部ヘッダー6とにより、長方形の縦長枠状とされている。
【0025】
この縦材4Aの水平断面形状について、第5図を参照して説明する。この縦材4Aはアルミ押出材よりなる略々円筒状であるが、外周面の4等分位置(第5図(a)の上、右、下、左)に溝部4a,4b,4c,4dが設けられている。溝部4a〜4d間の筒状体外周部は、円弧状部4eとなっている。溝部4b,4dは、第6図(a)のようにパネルラジエータ3のパネル面方向に対峙しており、該溝部4b,4dの一方にスルーパネル20の側縁が係合する。溝部4a,4cは、パネル厚み方向に対峙している。該溝部4a,4cの入口側、すなわち、縦材4Aの外周面側の両縁部には、この外周面を延長した形状の張出片4f,4fが設けられている。
【0026】
この張出片4f,4fを利用して第10図の如く、タオルハンガー30などの付属品を取付けることができる。なお、第10図においては、水平棒状のタオルバー31の両端にL形のブラケット32が固定されており、このブラケット32が溝部4cに対し、パッキン33を介して重なっている。溝部4c内にピース34が配置され、張出部4f,4fに裏側から重なっている。なおピース34は、略長方形であり、その短手幅は張出片4f,4f間の間隔よりも小さく、張出片4f,4f間を通って、溝部4c内に出し入れ可能である。ピース34の長手方向は、張出片4f,4f間の間隔よりも大きく、張出片4f,4f間に跨ることが可能である。ピース34からボルト35が突設されており、該ボルト35がパッキン33、ブラケット32を貫通している。該ボルト35にワッシャを介してナット36を締め込むことにより、タオルハンガー30が縦材4Aの所望高さに固定される。ボルト35の先端に化粧キャップ37が冠着されている。
【0027】
第5図において、各溝部4a〜4dの内周面側から、縦材4Aの求心方向に(すなわち、軸心位置に向かって)リブ4g,4h,4i,4jが突設されている。各リブ4g〜4jの突出方向の先端は、縦材4Aの軸心かつ等半径に位置している。リブ4g〜4jの先端で囲まれるスペースが第9図(b)のアジャスターボルト8の挿入スペース4sである。第9図の通り、アジャスターボルト8の先端を該スペース4sに挿入し、アジャスターボルト8の途中のナット8Nと縦材4Aの端面との間に圧縮コイルバネ8Sが介在される。
【0028】
溝4a,4bと円弧状部4eとの間、溝4b,4cと円弧状部4eとの間、溝4c,4dと円弧状部4eとの間、溝4d,4aと円弧状部4eとの間が、それぞれビスの挿入スペース4tとなっている。このスペース4tにビスをねじ込むことにより、上部アングル4Bと下部ヘッダー6がそれぞれ縦材4A,4Aの上端及び下端に連結固定される。
【0029】
下部ヘッダー6の取付構造を第8図に示す。なお第8図は、この取付状況を示す下方から見上げた斜視図である。下部ヘッダー6の長手方向の両端から突片6tが突設され、この突片6tのビス挿通孔6hにテクスビス6gが挿通され、スペース4tにねじ込まれる。これにより、下部ヘッダー6が縦材4A,4Aの下端に固定されている。図示は省略するが、縦材4A,4Aの上端に対して上部アングル4Bの両端が同様にビス留めされる。
【0030】
第2図〜第4図の通り、下部ヘッダー6には、床1の開口11を通過した温水循環配管12,13の一端が接続されている。この配管12,13はポリブテン、架橋ポリエチレン等の合成樹脂よりなり、その他端はボイラや分岐ヘッダー(図示略)に接続されている。
【0031】
放熱管7は、この実施の形態ではポリブテン、架橋ポリエチレン等の合成樹脂チューブよりなり、スルーパネル20に挿通され、上部ヘッダー5及び下部ヘッダー6に接続されている。この接続方法については後述する。
【0032】
第3図及び第4図に明示される通り、上部ヘッダー5は、上部アングル4Bよりも所定距離下方に位置しており、上部ヘッダー5と上部アングル4Bとの間には、所定の間隙があいている。この上部アングル4Bに対し上部ヘッダー5がコイルバネ10によって吊り支えられており、温水を放熱管7に通水して放熱管7が熱膨張により伸長したときの伸びを吸収するように構成されている。第7図の通り、フレーム4の縦材4Aの上端部の溝部4b又は4dに対し、バネ10の半分が配置され、溝部4b又は4dに沿って上下方向に伸縮可能とされている。
【0033】
放熱管7が挿通されたスルーパネル20は、ポリカーボネート等の透明又は半透明な合成樹脂よりなる。このスルーパネル20は、第6図(b)及び第12図(a)の通り、平行な1対の主板面21,21と、該主板面21,21同士を接続するリブ部22とを有したハーモニカ形断面形状となっており、隣接するリブ部22同士の間が放熱管7の挿通孔23となっている。リブ部22は主板面21と垂直である。挿通孔23は、縦材4Aと平行方向に延在する。挿通孔23は、方形断面形状である。
【0034】
パネルラジエータ3を組み立てるには、縦材4A,4Aを平行に並べ、それらの下端同士を下部ヘッダー6によって連結し、縦材4A,4A間にスルーパネル20を配置する。このスルーパネル20は、その左右の両側縁が縦材4A,4Aの溝部4b,4dに係合することにより、フレーム4に保持されている。
【0035】
前記上部ヘッダー5には、第11図の通り、下面側にタケノコ形(すなわち、先細状のテーパ部が多段に連設された形状)のノズル状の接続部5aが突設されている。放熱管7の上端をこの接続部5aに差し込み、バンド30を外嵌させて締め付け、抜け止めする。
【0036】
この放熱管7の下端に、第12図の通り、Eリング及びバンド装着前のジョイント40を差し込む。このジョイント40は、基端側がタケノコ部41となっており、放熱管7に差し込まれる。ジョイント40の先端側は円筒部42となっており、2本のOリング43が嵌装されている。ジョイント40の長手方向の中間部は円筒形の鍔部44となっている。この鍔部44の外径は、放熱管7の外径と同一か、それよりも若干大きいものとなっている。円筒部42と鍔部44との間に、Eリング装着溝45が周設されている。
【0037】
このように上部ヘッダー5に放熱管7の上端を接続し、各放熱管7の下端にジョイント40を装着した後、各放熱管7を第12図(a)及び第13図に示されるようにスルーパネル20の挿通孔23に挿通させ、第13図の通りスルーパネル20の下端から下方に突出させる。そして、各放熱管7の下端にバンド50を外嵌させて締め付け、ジョイント40の抜け止めを行う。次いで、ジョイント40の溝45にEリング51を装着する。
【0038】
その後、上部ヘッダー5を押して各放熱管7をさらに下部ヘッダー6に向って移動させ、ジョイント40の円筒部42を下部ヘッダー6のユニオン継手部6aに差し込み、第14図の通り、Eリング51をユニオン継手部6aの先端(上端)のフランジ部6fに重ね合わせる。そして、クリップ53をEリング51とフランジ部6fとに係合させてジョイント40とユニオン継手部6aとを結合する。クリップ53は、市販のCHクリップであり、一対の脚部53aと、脚部53a同士を連結するブリッジ部53bとを有した略Ω字形状のものであり、脚部53aに設けられたスリット状開口53cにEリング51とフランジ部6fとが係合する。
【0039】
なお、放熱管7をスルーパネル20の挿通孔23に挿通する前に、又は挿通させた後、適宜の段階で上部アングル4Bを縦材4A,4Aの上端間に取り付け、上部ヘッダー5と上部アングル4Bとをバネ10で連結する。
【0040】
この実施の形態によると、スルーパネル20の細い挿通孔23に対しても、Eリング51及びクリップ50を有しないジョイント40及び放熱管7をスムーズに挿通させることができる。放熱管7をスルーパネル20の挿通孔23内に配置することにより、放熱管7を平行に保つことができる。また、放熱管7の両端を各ヘッダー5,6に容易に接続することができる。
【0041】
パネルラジエータ3を床1と天井2との間に間仕切り状に立設するには、ヘッダー5,6、スルーパネル20、放熱管7、アジャスターボルト8及びコイルバネ10を備えたフレーム4を部屋のパネルラジエータ設置予定位置にて起立させる。なお、下側のアジャスターボルト8と床1との間、及び上側のアジャスターボルト8と天井2との間には、ゴム、合成樹脂等よりなる固定座9又はパッキンを介在させるのが好ましい。次いで、パネルラジエータ3が鉛直となるように支えた状態で、アジャスターボルト8のナット8Nを回して縦材4Aからの突出長さを増大させ、パネルラジエータ3を床1と天井2との間で突っ張らせて固定する。
【0042】
次いで、温水循環配管12,13を下部ヘッダー6に接続する。その後、フレーム4の上部にカバー16を取り付け、フレーム4の下部にカバー17を取り付け、各ヘッダー5,6を隠蔽する。これらのカバー16,17は例えば半割体の嵌め合いやビス留めによりフレーム4に固定される。
【0043】
このように構成されたパネルラジエータ3にあっては、縦材4Aが溝部4a〜4d及びリブ4g〜4jを有しており、剛性が高い。この実施の形態では、ヘッダー5,6がカバー16,17で隠蔽され、また、放熱管7が透明又は半透明のスルーパネル20で覆われるので、美観に優れる。
【0044】
このパネルラジエータ3の放熱管7に温水を循環通水することにより、熱がパネルラジエータ3の両面から輻射される。スルーパネル20が半透明であるので、放熱管7からの遠赤外線が効率よく部屋内に放射される。
【0045】
温水を通水することにより、第4図のように放熱管7が熱膨張して伸長し、また温水通水を停止すると、第3図のように放熱管7が縮んで短くなるが、この放熱管7の伸縮はバネ10によって吸収される。この実施の形態では、上部ヘッダー5の両端を吊支するバネ10がそれぞれ溝4b,dに収容されているので、上部ヘッダー5の揺れ動きが防止される。
【0046】
この実施の形態では、下部ヘッダー6が固定状態となっているので、下部ヘッダー6と温水循環配管12,13との接続部に放熱管7の熱膨張による応力が負荷されず、この接続部の耐久性が良好である。
【0047】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は図示以外の態様とされてもよい。例えば、ジョイント40を放熱管7の上端に装着し、ユニオン継手部6aを上部ヘッダー5に設け、ノズル状接続部5aを下部ヘッダー6に設けてもよい。
【0048】
また、放熱管7の本数は図示以外でもよい。上部ヘッダー5を縦材4A,4A間に架設し、下部ヘッダー6を上下動可能にバネによって支えてもよい。
【0049】
なお、特に本発明を限定するものではないが、前記バネ10としては、線径1mmのピアノ線を直径(外径)8.6mmに巻回したものであって、40mm変形(伸長)時の引張荷重が5kgfであるものを用いることができる。
【0050】
本発明のパネルラジエータは壁に沿って立設されてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 床
2 天井
3 パネルラジエータ
4 フレーム
4A 縦材
4a〜4d 溝部
4e 円弧状部
4f 張出片
4g〜4j リブ
4s アジャスターボルトの挿入用スペース
4t ビスの挿入用スペース
4B 上部アングル
5 上部ヘッダー
5a ノズル状接続部
6 下部ヘッダー
6a ユニオン継手部
6f フランジ部
6h ビス挿通孔
6t 突片
7 放熱管
8 アジャスターボルト
10 バネ
12,13 温水循環配管
20 スルーパネル
23 放熱管の挿通孔
30,50 バンド
40 ジョイント
41 タケノコ部
42 円筒部
43 Oリング
45 溝
51 Eリング
53 クリップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に設置される枠状のフレームと、
該フレームの上部に設置されるか又は該フレームの上部を構成している上部ヘッダーと、
該フレームの下部に設置されるか又は該フレームの下部を構成している下部ヘッダーと、
該上部ヘッダーと下部ヘッダーとの間に架設された合成樹脂製の複数の放熱管とを有するパネルラジエータにおいて、
該放熱管が挿通された挿通孔を有し、該上部ヘッダーと下部ヘッダーとの間に配置され、該フレームに取り付けられたスルーパネルを備えており、
前記フレームの縦材は、筒状体と、該筒状体の内周から突設され、筒状体の長手方向に延在した複数のリブと、該筒状体の外周面から凹陥し、筒状体の長手方向に延在した複数の溝部とを有し、
前記スルーパネルの側縁が一部の該溝部に係合していることを特徴とするパネルラジエータ。
【請求項2】
請求項1において、前記溝部として筒状体のパネル面方向に対峙する1対の第1の溝部と、パネル厚み方向に対峙する1対の第2の溝部とを有し、
第1の溝部に前記スルーパネルの側縁が係合していることを特徴とするパネルラジエータ。
【請求項3】
請求項2において、該第2の溝部の筒状体外周面側の両縁部に、溝部の幅を狭くする方向の張出片が設けられていることを特徴とするパネルラジエータ。
【請求項4】
請求項3において、前記リブは、第1の溝部及び第2の溝部の内周側から筒状体の求心方向に突設されていることを特徴とするパネルラジエータ。
【請求項5】
請求項4において、各リブの求心方向の先端側で囲まれるスペースが、パネルラジエータを立設するためのアジャスターボルトの差し込み用スペースとなっていることを特徴とするパネルラジエータ。
【請求項6】
請求項3ないし5のいずれか1項において、前記上部ヘッダー、下部ヘッダー又はフレームの横材をビスによって前記縦材の上端又は下端に取り付けたパネルラジエータであって、
該ビスが前記第1の溝部と第2の溝部と筒状体とで囲まれたスペースにねじ込まれていることを特徴とするパネルラジエータ。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項のパネルラジエータを天井と床との間に立設したパネルラジエータの立設構造であって、
アジャスターボルトを前記縦材から突出させることにより、パネルラジエータを突っ張らせた状態で天井及び床に固定し、上部ヘッダー及び下部ヘッダーをそれぞれカバーで隠蔽したことを特徴とするパネルラジエータの立設構造。
【請求項1】
上下方向に設置される枠状のフレームと、
該フレームの上部に設置されるか又は該フレームの上部を構成している上部ヘッダーと、
該フレームの下部に設置されるか又は該フレームの下部を構成している下部ヘッダーと、
該上部ヘッダーと下部ヘッダーとの間に架設された合成樹脂製の複数の放熱管とを有するパネルラジエータにおいて、
該放熱管が挿通された挿通孔を有し、該上部ヘッダーと下部ヘッダーとの間に配置され、該フレームに取り付けられたスルーパネルを備えており、
前記フレームの縦材は、筒状体と、該筒状体の内周から突設され、筒状体の長手方向に延在した複数のリブと、該筒状体の外周面から凹陥し、筒状体の長手方向に延在した複数の溝部とを有し、
前記スルーパネルの側縁が一部の該溝部に係合していることを特徴とするパネルラジエータ。
【請求項2】
請求項1において、前記溝部として筒状体のパネル面方向に対峙する1対の第1の溝部と、パネル厚み方向に対峙する1対の第2の溝部とを有し、
第1の溝部に前記スルーパネルの側縁が係合していることを特徴とするパネルラジエータ。
【請求項3】
請求項2において、該第2の溝部の筒状体外周面側の両縁部に、溝部の幅を狭くする方向の張出片が設けられていることを特徴とするパネルラジエータ。
【請求項4】
請求項3において、前記リブは、第1の溝部及び第2の溝部の内周側から筒状体の求心方向に突設されていることを特徴とするパネルラジエータ。
【請求項5】
請求項4において、各リブの求心方向の先端側で囲まれるスペースが、パネルラジエータを立設するためのアジャスターボルトの差し込み用スペースとなっていることを特徴とするパネルラジエータ。
【請求項6】
請求項3ないし5のいずれか1項において、前記上部ヘッダー、下部ヘッダー又はフレームの横材をビスによって前記縦材の上端又は下端に取り付けたパネルラジエータであって、
該ビスが前記第1の溝部と第2の溝部と筒状体とで囲まれたスペースにねじ込まれていることを特徴とするパネルラジエータ。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項のパネルラジエータを天井と床との間に立設したパネルラジエータの立設構造であって、
アジャスターボルトを前記縦材から突出させることにより、パネルラジエータを突っ張らせた状態で天井及び床に固定し、上部ヘッダー及び下部ヘッダーをそれぞれカバーで隠蔽したことを特徴とするパネルラジエータの立設構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−257041(P2011−257041A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130946(P2010−130946)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】
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