説明

パネル取付装置

【課題】建物の壁面を構成する壁体ガラス等のパネルを構造体に取り付ける装置について、取付け信頼性を向上させること。
【解決手段】本発明のパネル取付装置によると、一端に球面を有し他端に雄ネジを設けたシャフト6Aと、一端の内周面に前記シャフトの球面62と揺動可能に嵌合する球面状の凹部81を有し、他端の内周面に前記他端側に向けて漸次拡径する孔加工が施された遊び部84を有し、前記他端の外周面に球面82を有する第一シャフト受け部材8Aと、一端の内周面に前記第一シャフト受け部材の他端側の球面82を受ける球面状の凹部71を有する第二シャフト受け部材7と、を有するユニバーサルユニット9Aを備え、前記シャフトの球面62と前記第一シャフト受け部材8Aの凹部81とが摺接し、且つ前記第一シャフト受け部材の他端側の球面82と前記第二シャフト受け部材の凹部71とが摺接することを特徴している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル取付け装置に関し、特に、建物の壁面を構成するガラス等の壁体パネルを建物の構造体に連結して支持するための建物構造物用のパネル取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ガラス等の壁体パネルを建物の構造体に直接連結する外壁工法が注目を浴びてきている。この外壁工法によると、建物の壁面におけるガラス面積の占有率が大きくなり、採光率が高くなる上、意匠的にも美観を与えるので、高層ビルにおいても次々と採用されている。
【0003】
図13に下記特許文献1に開示されている従来の壁体ガラス取付け金具の一例を示す。図13に示すように、当該壁体ガラス取付け金具においては、壁体ガラスに皿孔加工した取付け用貫通孔を施し、前記皿孔部に壁体ガラス取付け金具を装着して建造物の壁面を形成する壁体ガラスと建物の構造体とを連結して支持する取付け構造であり、壁体ガラス面と壁体ガラス取付け金具の室外側面とを面一とすることにより、意匠性に優れた壁面が形成されている。
【0004】
また、当該壁体ガラス取付け金具は、頭部が球面を有するボルトと、このボルト頭部の球面を包みこむように嵌合する球面状の凹部を有するソケット部とから構成され、前記ボルト頭部の球面が回転可能にソケット部の凹部に嵌合されることによって、壁体ガラスは揺動自在に壁体ガラス取付け金具によって支持されている。
【0005】
さらに、当該壁体ガラス取付け金具は、ソケット部にボルト頭部が貫通する開口部を有し、開口部には皿型の加工が施された蓋体が螺着されることによって、前記ボルトが抜け出すことを防止すると共に、水密性を確保するように構成されている。
【特許文献1】特開平8−27931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示された従来の壁体ガラス取付け金具では、揺動可能に摺接する球面部が、ボルト頭部とソケット部の凹部との摺接部のみであるため、壁体ガラスの揺動による応力がボルト頭部とソケット部の凹部との摺接部の一箇所に集中すること、特に壁体ガラス取付け金具に対して圧縮する方向にかかる外部応力をボルトが直接受けることとなり、ボルトに荷重がかかることから、壁体ガラスの支持、取付け上の信頼性に問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、パネルの取り付けの信頼性が高いパネル取付け装置を提供するものである。
【0008】
本発明によると、
一端に球面を有し他端に雄ネジを設けたシャフトと、
一端の内周面に前記シャフトの球面と揺動可能に嵌合する球面状の凹部を有し、他端の内周面に前記他端側に向けて漸次拡径する孔加工が施された遊び部を有し、前記他端の外周面に球面を有する第一シャフト受け部材と、
一端の内周面に前記第一シャフト受け部材の他端側の球面を受ける球面状の凹部を有する第二シャフト受け部材と、
を有するユニバーサルユニットを備え、
前記シャフトの球面と前記第一シャフト受け部材の凹部とが摺接し、且つ前記第一シャフト受け部材の他端側の球面と前記第二シャフト受け部材の凹部とが摺接することを特徴とするパネル取付装置が提供される。
【0009】
また、本発明によると、
一端に球面を有し他端に雌ネジを設けたシャフトと、
一端の内周面に前記シャフトの球面と揺動可能に嵌合する球面状の凹部を有し、他端の内周面に前記他端側に向けて漸次拡径する孔加工が施された遊び部を有し、前記他端の外周面に球面を有する第一シャフト受け部材と、
一端の内周面に前記第一シャフト受け部材の他端側の球面を受ける球面状の凹部を有する第二シャフト受け部材と、
を有するユニバーサルユニットを備え、
前記シャフトの球面と前記第一シャフト受け部材の凹部とが摺接し、且つ前記第一シャフト受け部材の他端側の球面と第二シャフト受け部材の凹部とが摺接することを特徴とするパネル取付装置が提供される。
【0010】
また、前記第二シャフト受け部材は、他端に雌ネジを有し、前記シャフトと螺着するようにしてもよい。
【0011】
また、本発明によると、
一端に平面形状を有し、他端の内周面に雌ネジを設け、前記他端の外周面には雄ネジを設けたハウジングと、
前記ハウジングとの間でパネルを挟持する前記ハウジングの外周面の雄ネジと螺合する雌ネジを有する化粧ナットと、
パネルの貫通孔と前記ハウジングとの間に介装されるパネルライナーと、
前記化粧ナットとパネルとの間に介装されるワッシャーとを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のパネル取付装置が提供される。
【0012】
また、本発明によると、
一端に球面を有し他端に雄ネジを設けたシャフトと、
一端の内周面の中間部に前記シャフトの球面と揺動可能に嵌合する球面状の凹部を有し、他端の内周面に前記他端側に向けて漸次拡径する孔加工が施された遊び部を有し、前記他端の外周面に前記化粧ナットとの間でパネルを挟持する前記化粧ナットの雌ネジと螺合する雄ネジを有するとともに、前記他端の外周面に球面を有する第一シャフト受け部材と、
一端の内周面に前記第一シャフト受け部材の他端側の球面を受ける球面状の凹部を有する第二シャフト受け部材と、
を有するユニバーサルユニットを備え、
前記シャフトの球面と前記第一シャフト受け部材の凹部とが摺接し、且つ前記第一シャフト受け部材の他端側の球面と第二シャフト受け部材の凹部とが摺接することを特徴とするパネル取付装置が提供される。
【0013】
また、本発明によると、
一端に球面を有し他端に雌ネジを設けたシャフトと、
一端の内周面の中間部に前記シャフトの球面と揺動可能に嵌合する球面状の凹部を有し、他端の内周面に前記他端側に向けて漸次拡径する孔加工が施された遊び部を有し、前記他端の外周面に前記化粧ナットとの間でパネルを挟持する前記化粧ナットの雌ネジと螺合する雄ネジを有するとともに前記他端の外周面に球面を有する第一シャフト受け部材と、
一端の内周面に前記第一シャフト受け部材の他端側の球面を受ける球面状の凹部を有する第二シャフト受け部材と、
を有するユニバーサルユニットを備え、
前記シャフト球面と前記第一シャフト受け部材の凹部とが摺接し、且つ前記第一シャフト受け部材の他端側の球面と第二シャフト受け部材凹部とが摺接することを特徴とするパネル取付装置が提供される。
【0014】
また、前記第二シャフト受け部材は、前記他端の内周面に雌ネジを有し、前記シャフトと螺着するようにしてもよい。
【0015】
また、本発明によると、
一端に平面形状を有し他端に前記第一シャフト受け部の内周面と嵌合するツメ状部を有すると共に該第一シャフト受け部と螺着する構造を有するカバーと、
前記シャフト受け部材との間でパネルを挟持する前記シャフト受け部材の外周面の雄ネジと螺合する雌ネジを有する化粧ナットと、
パネルの貫通孔と前記シャフト受け部材との間に介装されるパネルライナーと、
前記化粧ナットと前記パネルとの間に介装されるワッシャーとを備えることを特徴とするパネル取付装置が提供される。
【0016】
また、本発明によると、
一端の外周面に球面を有し内周面にボルトを受け容れ可能な孔加工が施されたシャフトと、
一端の内周面の中間部に前記シャフトの球面と揺動可能に嵌合する球面状の凹部を有し、他端の内周面に前記他端側に向けて漸次拡径する孔加工が施された遊び部を有し、前記他端の外周面に前記化粧ナットとの間でパネルを挟持する前記化粧ナットの雌ネジと螺合する雄ネジを有するとともに前記他端の外周面に球面を有する第一シャフト受け部材と、
一端の内周面に前記第一シャフト受け部材の他端側の球面を受ける球面状の凹部を有する球面ナット7と、
を有するユニバーサルユニットを備え、
前記シャフト球面と前記第一シャフト受け部材の凹部とが摺接し、且つ前記第一シャフト受け部材の他端側の球面と球面ナット凹部とが摺接することを特徴とするパネル取付装置が提供される。
【0017】
また、前記第二シャフト受け部材は、前記他端の内周面に雌ネジを有し、前記シャフトと螺着するようにしてもよい。
【0018】
また、本発明によると、
一端に平面形状を有し他端にユニバーサルユニットを構成する第一シャフト受け部の内周面と嵌合するツメ状部を有すると共に該第一シャフト受け部と螺着する構造を有するカバーと、
前記シャフト受け部材との間でパネルを挟持する前記シャフト受け部材の外周面の雄ネジと螺合する雌ネジを有する化粧ナットと、
パネルの貫通孔と前記シャフト受け部材との間に介装されるパネルライナーと、
前記化粧ナットとパネルとの間に介装されるワッシャーとを備え、
前記ユニバーサルユニットとは別にボルトを室外側から挿通しユニバーサルユニットを構造体に直接又は間接に取り付けることを特徴とするパネル取付装置が提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、2箇所の揺動可能に摺接する球面62と81及び82と71により、風圧や地震によってパネルに加えられる外部応力を吸収することができ、特に本パネル取付装置に対して圧縮する方向にかかる外部応力をシャフトが直接受けることなく、第二シャフト受け部材が受けることとなるため、シャフトにかかる荷重を軽減することができ、取付け上の信頼性が向上するという効果を有する。
【0020】
また、本発明によれば、ハウジング3が螺着されることによって、水密性を確保するができると共にパネル面とハウジング3の室外側面とを面一とすることにより、意匠性に優れた壁面が形成されるという効果を有する。
【0021】
また、本発明によれば、シャフトにネジ加工をして建物の構造体に直接ないし間接に取付ける構成とすることなく、シャフト内周面を外付けのボルトを受け容れ可能な形状とすることにより、外付けのボルトによって、パネル取付け装置を建物の構造体に螺合する構成とするため、さらに取付け上の信頼性が向上するという効果を有する。
【0022】
また、本発明によれば、第一シャフト受け部材8Bがシャフト球面62に対して揺動可能に嵌合し、かつ、シャフトが構造体(躯体)側に抜けるのを防止するシャフト受けの役割を果たすと共に、ワッシャー4を介して化粧ナット5と螺合することによってパネル1を挟持するハウジングの役割をも果たすため、シャフト受けとハウジングを別々の部材で構成した場合と比較して、取付作業工数を削減することが可能となるだけでなく水密性が向上するという効果を有する。また、本発明によれば、シャフト受けの役割とハウジングの役割を果たす第一シャフト受け部材8Bの略中心部に開口部を設け、カバー30を後からネジ37により第一シャフト受け部材8Bに螺着する構成であることから、先にユニバーサルユニット9C又はユニバーサル9Dと化粧ナットとの間にパネルを挟持した後に、シャフト6A又はシャフト6Bの羅着用六角穴61を利用し、パネル取付装置を建物の構造体(躯体)側に直接または間接に取り付けることが可能となり、作業性が向上するという効果を有する。また、同様に、シャフト受けの役割とハウジングの役割を果たす第一シャフト受け部材8Bの略中心部に開口部を設け、カバー30を後からネジ37により第一シャフト受け部材8Bに螺着する構成であることから、先にユニバーサルユニット9Eと化粧ナットとの間にパネルを挟持した後に、外付けボルト100を利用し、パネル取付装置を建物の構造体(躯体)側に直接または間接に取り付けることが可能となり、作業性が向上するという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施例について図を用いながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施例で参照する図面において、同一要素、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【実施例1】
【0024】
実施例1に係る本発明のパネル取付装置を図1〜図3を用いて説明する。図1は、実施例1に係る本発明のパネル取付装置を板ガラス等の壁体を構成するパネル1に装着した状態を示す縦断面図である。なお、本実施例においては、パネル1として板ガラスを用いた例について説明するが、板ガラスとしては、透明、不透明なガラス、又は貼り合わせガラス等が用いられ得る。また、板ガラスの代わりに結晶化ガラスを用いても良いことは言うまでもない。さらには、板ガラスの代わりに石材、石膏ボード等の板状部材を用いることもできる。
【0025】
図1において、1はパネル、2はパネルライナー、3Aはハウジング、4はワッシャー、5は化粧ナット、6Aはシャフト、7は第二シャフト受け部材、8Aは第一シャフト受け部材である。
【0026】
図2は、実施例1のパネル取付装置の分解図である。本実施例においては、図2に示すとおり、パネル1は、室外側開口部11に皿穴加工された傾斜部13を有する。
【0027】
ユニバーサルユニット9Aは、一端に球面62が他端に雄ネジ64が一体成形されて建築物の構造体に取り付けられるシャフト6Aと、一端の内周面中間部に該球面62と揺動可能に嵌合しかつ該シャフト6Cの他端側から抜き差し可能な球面状に形成された凹部81を有し他端の内周面に他端側に向けて漸次拡径する孔加工が施された遊び部84を有し且つ他端の外周面にも球面82を有する第一シャフト受け部材8Aと、一端の内周面に該第一シャフト受け部材他端側の球面82と揺動可能に摺接する凹部71を有し且つ他端側の内周面に設けられた雌ネジ72が該シャフト6Aの球面ナット螺合用雄ネジ63と螺合する球面ナット7とから構成される。
【0028】
ユニバーサルユニット9Aは、パネル1の室外側開口部11からパネルライナー2を介して挿通されるハウジング3と結合されるようになっている。具体的には、ユニバーサルユニット9Aを構成する第一シャフト受け部材8Aの一端側外周面に設けられた雄ネジ83とハウジング3の他端側内周面に設けられた雌ネジ33とを螺着させることによって結合される。
【0029】
さらに、ハウジング3と結合されたユニバーサルユニット9Aは、ワッシャー4を介して、化粧ナット5と結合されることによって、パネル1を挟持する。具体的には、化粧ナット5の内周面に設けられた雌ネジ51とハウジング3他端側の外周面に設けられた雄ネジ34とを螺着させることによって結合される。
【0030】
また、シャフト6Aの他端側に設けられた雄ネジは、建築物の構造体に直接的または間接的に螺着し、パネル1を構造体に取り付ける役割を果たす。
【0031】
なお、図2における符合32と符合52とは、化粧ナット5とハウジング3とを緊締螺着する際に用いられる掛止孔(ホール)を示す。この緊締螺着する際に用いられる掛止孔は実施例1から後述する実施例5までに共通する構成である。
【0032】
次に、本実施例に係る本発明のパネル取付装置において、パネル1に加えられる外部応力を吸収する構造を図3を用いて説明する。図3(イ)〜(ロ)は、実施例1のパネル取付装置を構成するユニバーサルユニット9Aの動きを示す説明図である。図3(イ)及び(ロ)は、それぞれ、平常時のユニバーサルユニット9Aと第一シャフト受け部材8Aとの状態を示す断面図及び外観図である。また、図3(ハ)及び(ニ)は、パネル1に対して矢印で示す方向に応力が生じた場合のユニバーサルユニット9Aと第一シャフト受け部材8Aとの状態を示す断面図及び外観図である。
【0033】
図3(ハ)及び(ニ)に示すとおり、ユニバーサルユニット9Aは、シャフト球面62に対して揺動可能に第一シャフト受け部材凹部81が嵌合され、さらに、第一シャフト受け部材他端側の球面82が揺動可能に球面ナット凹部71と摺接することによって、それぞれ2箇所の球面でパネル1の揺動による応力を受けることができるように構成されている。この2箇所の球面によってパネル1の揺動による応力を吸収する構成は、実施例1から実施例5までに共通する構成である。
【0034】
本実施例に係る本発明のパネル取付装置によれば、2箇所の揺動可能に摺接する球面により、風圧や地震によってパネルに加えられる外部応力を吸収することができ、特に本パネル取付装置に対して圧縮する方向にかかる外部応力をシャフトが直接受けることなく、第二シャフト受け部材が受けることをなるため、シャフトにかかる荷重を軽減することができ、取付け上の信頼性が向上するという効果を有する。
【実施例2】
【0035】
次に、実施例2に係る本発明のパネル取付装置を図4(ロ)、図5(ロ)及び図6に基づいて説明する。図6は、実施例2のパネル取付装置を板ガラス等のパネルに装着した状態を示す縦断面図である。
【0036】
実施例2のパネル取付装置と実施例1のパネル取付装置とは、同様の構成を有している。実施例2のパネル取付装置と実施例1のパネル取付装置との相違点は、実施例1のパネル取付装置は、図4(イ)及び図5(イ)に示すように、本発明のパネル取付装置を構成するユニバーサルユニット9Aのシャフト6A他端側に雄ネジが設けられているのに対して、実施例2のパネル取付装置は、図4(ロ)及び図5(ロ)に示すように、本発明のパネル取付装置を構成するユニバーサルユニット9Bのシャフト6B他端側内周面に雌ネジが設けられているという点である。実施例2のパネル取付装置は上述の実施例1のパネル取付装置と同様の作用・効果を有している。
【0037】
この実施例2のパネル取付装置によれば、本発明のパネル取付装置を取り付ける建築物の構造体側が雄ネジであっても取り付け可能となる。
【実施例3】
【0038】
実施例3に係る本発明のパネル取付装置を図5、図7〜図10を用いて説明する。
図7は実施例3に係る本発明のパネル取付装置を板ガラス等の壁体を構成するパネル1に装着した状態を示す縦断面図である。図7において、1はパネル、2はパネルライナー、30はカバー、4はワッシャー、5は化粧ナット、6Aはシャフト、7は球面ナット、8Bは一体型第一シャフト受け部材である。
【0039】
図8は実施例3に係る本発明のパネル取付装置の分解図である。ユニバーサルユニット9Cは、一端に球面62が他端に雄ネジ64が一体成形されて建築物の構造体に取り付けられるシャフト6Aと、一端の内周面中間部に該球面62と揺動可能に嵌合しかつ該シャフト6Aの他端側から抜き差し可能な球面状に形成された凹部81を有し他端の内周面に他端側に向けて漸次拡径する孔加工が施された遊び部84を有し且つ他端の外周面にも球面82を有するだけでなく外周面に前記化粧ナット5との間でパネル1を挟持する前記化粧ナット5の雌ネジと螺合する雄ネジを有する第一シャフト受け部材8Bと、一端の内周面に該一体型第一シャフト受け部材他端側の球面82と揺動可能に摺接する凹部71を有し且つ他端側の内周面に設けられた雌ネジ72が該シャフト6Aの球面ナット螺合用雄ネジ63と螺合する球面ナット7とから構成される。
【0040】
ユニバーサルユニット9Cは、ワッシャー4を介して、化粧ナット5と結合されることによって、パネル1を挟持する。具体的には、化粧ナット5の内周面に設けられた雌ネジ51と一体型第一シャフト受け部材80B外周面に設けられた雄ネジ34とを螺着させることによって結合される。
【0041】
また、シャフト6Aの他端側に設けられた雄ネジは、建築物の構造体に直接的または間接的に螺着し、パネル1を構造体に取り付ける役割を果たす。
【0042】
また、OリングA35、OリングB36、及びOリングC22は、緩衝材であり、OリングA35によって一体型第一シャフト受け部材8Bとパネルライナー2との水密性が確保され、OリングB36によってカバー30と一体型第一シャフト受け部材8Bとの水密性が確保され、OリングC22によってパネルライナー2とパネル1との水密性が確保される。
【0043】
図9は実施例3に係る本発明の特徴である一体型第一シャフト受け部材8Bの断面図である。実施例3は前記実施例1及び実施例2と異なり、ハウジングとシャフト受けを別々の部材で構成することなく一体として製作された一体型第一シャフト受け部材8Bが、ハウジングの役割とシャフト受けの役割双方を果たしている。図9において、内周面中間部に設けられた凹部81はシャフト6Aの球面62と揺動可能に嵌合しかつ該シャフト6Aの他端側から抜き差し可能に球面状に形成されている。球面82は球面ナット7の凹部71と摺接可能となるように球面加工が施されている。雄ネジ34は該一体型第一シャフト受け部材8Bと化粧ナット5との間にパネル1を挟持するために化粧ナット5の雌ネジ51と螺合締結することに用いられる。他端の内周面に他端側に向けて漸次拡径する孔加工が施された遊び部84はシャフト6Aの球面62と前記凹部81、及び球面82と球面ナット7の凹部71の2箇所の球面が摺接することによりユニバーサルユニット9Cが揺動するように設けられた斜面である。ネジ穴85は該一体型第一シャフト受け部材8Bの室外側開口部を閉塞するカバー30と該一体型第一シャフト受け部材8Bとを螺合するネジ37用のネジ穴である。
【0044】
図10は図3と同様に本実施例に係る本発明のパネル取付装置において、パネル1に加えられる外部応力を吸収する動きを示す説明図である。図10(イ)及び(ロ)は、それぞれ、平常時のユニバーサルユニット9Cと一体型第一シャフト受け部材8Bとの状態を示す断面図及び外観図である。また、図10(ハ)及び(ニ)は、パネル1に対して矢印で示す方向に応力が生じた場合のユニバーサルユニット9Cと一体型第一シャフト受け部材8Bとの状態を示す断面図及び外観図である。
【実施例4】
【0045】
本発明のパネル取付装置の実施例4を図4(ロ)、図5(ニ)、図11に基づいて説明する。図11は、実施例4のパネル取付装置を板ガラス等のパネルに装着した状態を示す縦断面図である。
【0046】
実施例3のパネル取付装置と実施例4のパネル取付装置との相違点は、前記実施例3のシャフト他端側が雄ネジであるのに対し、実施例4はシャフト他端側に雌ネジが設けられているという点である。この実施例4によれば、パネル取付装置を取り付ける建築物の構造体側が雄ネジであっても取り付け可能となる。
【実施例5】
【0047】
本発明のパネル取付装置の実施例5を図4(ハ)、図5(ホ)、図12に基づいて説明する。図12は、実施例5のパネル取付装置を板ガラス等のパネルに装着した状態を示す縦断面図である。
【0048】
実施例5のパネル取付装置は図4(ハ)、図5(ホ)及び図12に示すように、外部取付けボルト10を受け容れ可能なシャフト6Cを用いたユニバーサルユニット9Eを形成することにより、外部取付けボルト100を使用して、パネル取付装置を建物の構造体側に直接または間接に取り付ける作業効率と取付け信頼性を確保することが可能となる。
【実施例6】
【0049】
上述した実施例1乃至5に係る本発明のパネル取付装置は、壁、床、天井等に用いるガラス、石材、石膏ボード等の板状部材のパネル材の施工体に用いることができ、本発明のパネル取付装置を用いた施工体を有するビル等の建物は、意匠性に優れ、非常に信頼性の高い壁体構造を有する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施例1のパネル取付装置を板ガラスに装着した状態を示す縦断面図。
【図2】実施例1のパネル取付装置の分解図。
【図3】実施例1のパネル取付装置を構成するユニバーサルユニット9Aの動きを示す説明図。
【図4】(イ)はシャフト6A、(ロ)はシャフト6B、(ハ)はシャフト6Cの断面図。
【図5】(イ)はユニバーサルユニット9A、(ロ)はユニバーサルユニット9B、(ハ)はユニバーサルユニット9Cの断面図、(ニ)はユニバーサルユニット9Dの断面図、(ホ)はユニバーサルユニット9Eの断面図。
【図6】実施例2のパネル取付装置を板ガラスに装着した状態を示す縦断面図。
【図7】実施例3のパネル取付装置を板ガラスに装着した状態を示す縦断面図。
【図8】実施例3のパネル取付装置の分解図。
【図9】第一シャフト受け部材8Bの断面図。
【図10】実施例3のパネル取付装置を構成するユニバーサルユニット9Dの動きを示す説明図。
【図11】実施例4のパネル取付装置を板ガラスに装着した状態を示す縦断面図。
【図12】実施例5のパネル取付装置を板ガラスに装着した状態を示す縦断面図。
【図13】従来の取付け金具の断面図。
【符号の説明】
【0051】
1 パネル
11 室外側開口部
12 室内側開口部
13、21、31 斜面
2 パネルライナー
22、35、36 Oリング
3 ハウジング
32、52 掛止孔(ホール)
33、51、72 雌ネジ
34、64、83 雄ネジ
37 ネジ
38 ツメ状部
4 ワッシャー
5 化粧ナット
6A シャフトA
6B シャフトB
6C シャフトC
61 羅着用六角穴
62、82 球面
63 球面ナット螺合用雄ネジ
7 第二シャフト受け部材(球面ナット)
71、81 凹部
8A、8B 第一シャフト受け部材(球面ソケット)
84 遊び部
85 ネジ穴
9A ユニバーサルユニットA
9B ユニバーサルユニットB
9C ユニバーサルユニットC
9D ユニバーサルユニットD
9E ユニバーサルユニットE
100 外部取付けボルト
30 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に球面を有し他端に雄ネジを設けたシャフトと、
一端の内周面に前記シャフトの球面と揺動可能に嵌合する球面状の凹部を有し、他端の内周面に前記他端側に向けて漸次拡径する孔加工が施された遊び部を有し、前記他端の外周面に球面を有する第一シャフト受け部材と、
一端の内周面に前記第一シャフト受け部材の他端側の球面を受ける球面状の凹部を有する第二シャフト受け部材と、
を有するユニバーサルユニットを備え、
前記シャフトの球面と前記第一シャフト受け部材の凹部とが摺接し、且つ前記第一シャフト受け部材の他端側の球面と前記第二シャフト受け部材の凹部とが摺接することを特徴とするパネル取付装置。
【請求項2】
一端に球面を有し他端に雌ネジを設けたシャフトと、
一端の内周面に前記シャフトの球面と揺動可能に嵌合する球面状の凹部を有し、他端の内周面に前記他端側に向けて漸次拡径する孔加工が施された遊び部を有し、前記他端の外周面に球面を有する第一シャフト受け部材と、
一端の内周面に前記第一シャフト受け部材の他端側の球面を受ける球面状の凹部を有する第二シャフト受け部材と、
を有するユニバーサルユニットを備え、
前記シャフトの球面と前記第一シャフト受け部材の凹部とが摺接し、且つ前記第一シャフト受け部材の他端側の球面と第二シャフト受け部材の凹部とが摺接することを特徴とするパネル取付装置。
【請求項3】
前記第二シャフト受け部材は、他端に雌ネジを有し、前記シャフトと螺着することを特徴とする請求項1又は2に記載のパネル取付装置。
【請求項4】
一端に平面形状を有し、他端の内周面に雌ネジを設け、前記他端の外周面には雄ネジを設けたハウジングと、
前記ハウジングとの間でパネルを挟持する前記ハウジングの外周面の雄ネジと螺合する雌ネジを有する化粧ナットと、
パネルの貫通孔と前記ハウジングとの間に介装されるパネルライナーと、
前記化粧ナットとパネルとの間に介装されるワッシャーとを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のパネル取付装置。
【請求項5】
一端に球面を有し他端に雄ネジを設けたシャフトと、
一端の内周面の中間部に前記シャフトの球面と揺動可能に嵌合する球面状の凹部を有し、他端の内周面に前記他端側に向けて漸次拡径する孔加工が施された遊び部を有し、前記他端の外周面に前記化粧ナットとの間でパネルを挟持する前記化粧ナットの雌ネジと螺合する雄ネジを有するとともに、前記他端の外周面に球面を有する第一シャフト受け部材と、
一端の内周面に前記第一シャフト受け部材の他端側の球面を受ける球面状の凹部を有する第二シャフト受け部材と、
を有するユニバーサルユニットを備え、
前記シャフトの球面と前記第一シャフト受け部材の凹部とが摺接し、且つ前記第一シャフト受け部材の他端側の球面と第二シャフト受け部材の凹部とが摺接することを特徴とするパネル取付装置。
【請求項6】
一端に球面を有し他端に雌ネジを設けたシャフトと、
一端の内周面の中間部に前記シャフトの球面と揺動可能に嵌合する球面状の凹部を有し、他端の内周面に前記他端側に向けて漸次拡径する孔加工が施された遊び部を有し、前記他端の外周面に前記化粧ナットとの間でパネルを挟持する前記化粧ナットの雌ネジと螺合する雄ネジを有するとともに前記他端の外周面に球面を有する第一シャフト受け部材と、
一端の内周面に前記第一シャフト受け部材の他端側の球面を受ける球面状の凹部を有する第二シャフト受け部材と、
を有するユニバーサルユニットを備え、
前記シャフト球面と前記第一シャフト受け部材の凹部とが摺接し、且つ前記第一シャフト受け部材の他端側の球面と第二シャフト受け部材凹部とが摺接することを特徴とするパネル取付装置。
【請求項7】
前記第二シャフト受け部材は、前記他端の内周面に雌ネジを有し、前記シャフトと螺着することを特徴とする請求項5又は6に記載のパネル取付装置。
【請求項8】
一端に平面形状を有し他端に前記第一シャフト受け部の内周面と嵌合するツメ状部を有すると共に該第一シャフト受け部と螺着する構造を有するカバーと、
前記シャフト受け部材との間でパネルを挟持する前記シャフト受け部材の外周面の雄ネジと螺合する雌ネジを有する化粧ナットと、
パネルの貫通孔と前記シャフト受け部材との間に介装されるパネルライナーと、
前記化粧ナットと前記パネルとの間に介装されるワッシャーとを備えることを特徴とする請求項5又は6記載のパネル取付装置。
【請求項9】
一端の外周面に球面を有し内周面にボルトを受け容れ可能な孔加工が施されたシャフトと、
一端の内周面の中間部に前記シャフトの球面と揺動可能に嵌合する球面状の凹部を有し、他端の内周面に前記他端側に向けて漸次拡径する孔加工が施された遊び部を有し、前記他端の外周面に前記化粧ナットとの間でパネルを挟持する前記化粧ナットの雌ネジと螺合する雄ネジを有するとともに前記他端の外周面に球面を有する第一シャフト受け部材と、
一端の内周面に前記第一シャフト受け部材の他端側の球面を受ける球面状の凹部を有する球面ナットと、
を有するユニバーサルユニットを備え、
前記シャフト球面と前記第一シャフト受け部材の凹部とが摺接し、且つ前記第一シャフト受け部材の他端側の球面と球面ナット凹部とが摺接することを特徴とするパネル取付装置。
【請求項10】
前記第二シャフト受け部材は、前記他端の内周面に雌ネジを有し、前記シャフトと螺着することを特徴とする請求項9記載のパネル取付装置。
【請求項11】
一端に平面形状を有し他端にユニバーサルユニットを構成する第一シャフト受け部の内周面と嵌合するツメ状部を有すると共に該第一シャフト受け部と螺着する構造を有するカバーと、
前記シャフト受け部材との間でパネルを挟持する前記シャフト受け部材の外周面の雄ネジと螺合する雌ネジを有する化粧ナットと、
パネルの貫通孔と前記シャフト受け部材との間に介装されるパネルライナーと、
前記化粧ナットとパネルとの間に介装されるワッシャーとを備え、
前記ユニバーサルユニットとは別にボルトを室外側から挿通しユニバーサルユニットを構造体に直接又は間接に取り付けることを特徴とするパネル取付装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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