説明

パネル密封型フィルタ装置

【課題】 有害物質をあつかう実験または実験中に有害物が発生する実験を行なうために用いられる排気装置に設置して空気中に含まれる有害物質を除去して正常な空気として排出するためのフィルタ装置であって、フィルタ装置を交換する際にフィルタ装置に付着する有害物質が外部にもれることがないようにする。
【解決手段】 フィルタ2にプレフィルタ6を配置したフィルタ装置1であって、排気装置の背面パネル52に取り付け使用するもので、フィルタ装置交換時に、プレフィルタ6を外してフィルタ2のフィルタ面に付着する有害物質10をプレートにて覆いその周囲を密封してから取り出すもので、排気装置の排気を行っている状態にて、有害物質がもれることなくフィルタ装置の交換を可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気装置において用いるパネル密封型フィルタ装置で、特にフィルタ装置の交換の際に危険物が作業者に悪影響を及ぼすことなく、又交換が容易なフィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に危険物(有害物質)を取り扱う実験や実験中に危険物が発生する実験を行なう場合、危険物が実験室内に飛散し又充満し、実験者等に悪影響を及ぼすことがある。これを防止するために、例えば図21、図22に示すような構成の排気装置を実験室内に設置して実験が行なわれる。
【0003】
この図21の排気装置は、次のような構成である。即ち、図21において50は実験室内部、51は排気装置本体、52は背面パネル、53は排気装置の実験を行なう区域であって危険物質による汚染区域、56は危険物を除去するフィルタ装置、57はフィルタ装置を交換する際に使用する窓で、フィルタ装置56はこの窓57の内側(実験を行なう区域とは反対側)に設置されている。
【0004】
ここで用いられるフィルタ装置56はヘパフィルタ(HEPAフィルタ)やウルパフィルタ(ULPAフィルタ)等であるが、以後は単に従来のフィルタ装置56という。又この従来のフィルタ装置56は、図21に示すような縦向きに配置されるフィルタと図22に示すような横向きに配置されるものとがあり、夫々縦型フィルタ、横型フィルタと呼ぶこととする。
【0005】
この図21に示す排気装置は、従来のフィルタとして縦型フィルタ装置を設置したもので、実験室50内にいる実験者が作業を行なう区域53にて実験作業を行なう際、矢印のように実験室内より作業装置内へ空気を送り込み汚染された空気は作業区域53を通り、フィルタ装置56を通り、フィルタ装置56にて汚染物質を除去され汚れのない正常の空気にした後に排気口55より外部に排出される。これにより排気口55より排出される空気は汚染物質を含まない。
【0006】
このように排気装置を用いての実験は、排気装置の可動によって前記のような空気の流れの中での作業区域53内にて行なわれ、汚染物質が実験室50内に流れ出ることがなく、実験者、作業者にとって安全な実験、作業を行ない得る。
【0007】
このような排気装置において、フィルタ56を交換する場合、排気装置の裏側パネル58に設けられた窓57を開いて行なわれる。この場合、フィルタ装置の汚染されたフィルタ面等に付着した危険物質が外部にもれ出ないようにして交換する必要がある
又、図22に示す従来のフィルタ装置として横型フィルタ装置を設けた排気装置も、図21の排気装置と同様に50が実験室、51が排気装置本体、52が背面パネル、53、54が実験を行なう区域(汚染区域)、55が排気口である。ただし、この図22の横型フィルタ装置を設けた排気装置はフィルタを配置する部分が若干異なり、図示するような構成である。
【0008】
したがって、空気流は図22に矢印にて示すようになり、汚染された空気は、実験を行なう区域53、54を通り、フィルタ装置の下方よりフィルタ装置を通って上方に流れ、正常な空気となって排出口55より排出される。
【0009】
このような従来のフィルタ装置が設けられた排気装置における、フィルタ装置の交換作業について縦型と横型について、順次説明する。
【0010】
この排気装置のうち、縦型フィルタ装置を配置した排気装置が図21に示す排気装置で、一方横型フィルタ装置を配置した排気装置が図22に示す排気装置である。
【0011】
これら排気装置のうち、図21に示す縦型フィルタ装置を備えた排気装置は、次のような構成である。
【0012】
この図21において、50は実験室、51は排気装置で、実験室50内に置かれる。この排気装置51は、背面パネル52を有し、その前側53が実験を行なう区域で、実験で使用する危険物質や実験により発生する危険物質による汚染区域、55は排気口である。この縦型フィルタ装置を備えた排気装置は、図21に示すように、背面パネル52にフィルタ装置56が取り付けられている。
【0013】
この縦型フィルタ装置を備えた排気装置は、図21に示すように、空気が実験室50より排気装置の汚染区域53内に流れフィルタ装置56を通り排出口55より排出される。したがって、汚染された空気は、フィルタ装置56により汚染物質が除去され、排出口より排出される。図21に示すように、空気が実験室50より排気装置の汚染区域53内に流れフィルタ装置56を通り排出口55より排出される。したがって、汚染された空気は、フィルタ装置56により汚染物質が除去され、排出口55より排出される。
【0014】
又、図21に示す縦型フィルタ装置を備えた排気装置は、図24、図25に示すようなバッグポートが設けられ、バッグ62が折りたたまれた状態にて取り付けられている。つまり図25においてバッグ62が折りたたまれた状態にてOリング61にて密封された状態にて取り付けられている。
【0015】
ここで、フィルタ装置56を交換する場合、窓に設けられた蓋を外し図25に示すバッグ62を図26のように開き、図26、図27に示すように開いたバッグ62によりフィルタ装置56を覆った後に紐等にて縛って密封し、密封部中央を切断し、交換する。
【0016】
同様に、図22に示す横型フィルタ装置は、符号53、54が実験区域(汚染区域)で、フィルタ装置56は、図23に示すように取り付けられている。つまり、フィルタ装置56は、ノブ58によりフィルタ押え57にてパッキンを介して床59に圧着され固定されている。
【0017】
ここで、ノブ58を緩めてフィルタ装置56を外し、一方、図28に示すバッグポートのバッグ62を開いて図29、図30に示すように、フィルタ装置56をバッグ62にて覆った上で密封して危険物質が外部へ出ないようにしてフィルタの交換を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2000−271418号公報 又、本発明の排気装置にて用いるフィルタ装置の一例としてのHEPAフィルタとして上記特許文献1にて記載されている交換可能なHEPAフィルタが記載されている。
【0019】
この文献のHEPAフィルタは排気ダクト中に接続して用いるものである。したがって、本発明における排気装置とは、配置手段や配置のための構造(接続手段や接続のための構造)が全く異なり、又HEPAフィルタ交換のための手段等も全く異なる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
以上述べた従来のフィルタ装置は、その交換作業が面倒であり、又交換に時間を要し、又バッグが破れ危険を伴う等の欠点を有する。
【0021】
本発明は、この欠点を解消するためになされたもので、交換操作が極めて簡単であり、危険物質による汚染の心配がなく、短時間での交換が可能であるフィルタ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、前記従来のフィルタ装置の欠点を解消するためになされたもので、フィルタ装置のフィルタ面の外側周辺部(フィルタ面を支持する枠)にねじ孔を有するフランジを設けて排気装置に固定するようにした構成で、更にフィルタ面を覆うためのプレートを別途備え、フィルタ装置を交換する際に前記プレートにてフィルタ面を覆いその周辺を適宜手段にて密封した上で固定を解除して取り外し交換することを特徴とするものである。
【0023】
これにより、フィルタ装置の危険物質が付着したフィルタ面をプレートにて覆って密封し、危険物質が外に出ないようにしてフィルタ装置から危険物質が外部に出ないようにして交換し得るもので、しかもフランジのねじ孔を通して固定した装置を単にねじを閉めるのみで簡単に交換できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のフィルタ装置は、単に危険物質にて汚染されたフィルタ面をプレートにて覆い密封した上で、簡単に交換し得る上に危険物質による危険性が全くないという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のフィルタ装置の実施例1の断面図
【図2】図1に示すフィルタ装置の正面図
【図3】図1に示すフィルタ装置の矢印Aにて示す箇所の拡大図
【図4】図1に示すフィルタ装置のフィルタの正面図
【図5】本発明のフィルタ装置の交換時に使用する第1のプレートの平面図
【図6】図1に示すフィルタ装置の第1のプレートを取り付けた状態を示す断面図
【図7】本発明の実施例1のフィルタ装置のフィルタ装置交換時に使用する第2のプレート
【図8】図4に示すフィルタに第1のプレートと第2のプレートを取り付けた状態を示す断面図
【図9】本発明の実施例2のフィルタ装置の断面図
【図10】本発明の実施例2の図9に示すフィルタ装置のフィルタの正面図
【図11】図9に示すフィルタ装置の矢印Cにて示す箇所の拡大図
【図12】図9に示すフィルタ装置のプレフィルタの正面図
【図13】図9に示すフィルタ装置のフィルタ装置交換時に使用する第3のプレートの正面図
【図14】図9に示すフィルタ装置の第3のプレートを取り付けた状態での断面図
【図15】本発明の実施例3のフィルタ装置の構成を示す図
【図16】図15に示すフィルタ装置に第4のプレートを取り付けた時の構成を示す図
【図17】本発明の実施例4のフィルタ装置のシートを用いた時の図
【図18】図17のフィルタ装置においてシートを折りたたんだ状態を示す図
【図19】図17のフィルタ装置のシートにて密封した状態を示す図
【図20】図17のフィルタ装置においてシートの折りたたみ手段の他の例を示す図
【図21】一般に用いられている排気装置の一例で、フィルタ装置を縦向きに取り付けた排気装置の構成を示す図
【図22】一般に用いられている排気装置の他の例で、フィルタを横向きに取り付けた排気装置の構成を示す図
【図23】従来の横向きフィルタ装置の構成を示す図
【図24】図21に示す排気装置の窓の部分を示す拡大図
【図25】図21の排気装置のバッグポートの拡大図
【図26】図21の排気装置のバッグを開いた状態の拡大図
【図27】図21に示す排気装置でのフィルタ交換作業を示す図
【図28】図22の排気装置のバッグポートの拡大図
【図29】図22の排気装置のバッグを開いた状態の拡大図
【図30】図22に示す排気装置でのフィルタ交換作業を示す図
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の形態を図示する実施例をもとに詳細に説明する。
【実施例1】
【0027】
本発明の実施例1は、図1乃至図8に示す通りで、図1は実施例1のフィルタ装置の断面図、図2は実施例1のフィルタ装置の正面図、図3は図1における矢印Aにて示す部分の構成を拡大して示した図、図4は実施例1で用いるフィルタの正面図、図5は実施例1のフィルタ装置にて用いるプレート(第1のプレート)の平面図、図6は実施例1のフィルタに第1のプレートを取り付けた時の断面図、図7はフィルタ装置に用いる他のプレート(第2のプレート)の平面図、図8は図1に示すフィルタ装置のフィルタに第1、第2のプレートを取り付けた状態の断面図である。
【0028】
この実施例1のフィルタ装置は、図1又は図8に示す通りの構成であって、フィルタ装置に図2、図4、図5、図7等に示す各部品(部材)を用いて組立てたものである。したがって、これら各部品の形状、構造及びそれを用いてのフィルタ装置の組立てについて次に詳細に説明する。
【0029】
図1に示すフィルタ装置1は、フィルタ2の周囲にフランジ3を設けた構成で、フランジ3には孔3aが設けられている。又図1は図3に示すようにフィルタ2を排気装置の背面パネル52にフランジ3を介してねじ4により背面パネル52にねじ止めされている。又プレフィルタ6はパッキン7を介してねじ8により排気装置の背面パネル52にねじ止めされて取り付けられている。又この図1において符号6はプレフィルタで、このプレフィルタ6の正面より見た形状は、図2に示すような構成である。このプレフィルタ6の周囲には孔6aが形成されており、図3に示す拡大図のように気密性を保つようにパッキン7が配置されている。
【0030】
これらフィルタ2及びプレフィルタ6は一部分を拡大して示す図3のように、フィルタ2をフランジ3を介し又プレフィルタ6はパッキン7を介して排気装置の背面パネル52にボルト等を用いてねじ止めされ取り付けられる。尚図3における符号10はフィルタ2の前面に付着する汚染物質であるが、この汚染物質は、プレフィルタ6にパッキン7を設け、この部分が密封されるため、フランジ3には付着することはない。ここで、フィルタ2やプレフィルタ6を背面パネル52に固定するためのねじ4、8は、いずれもねじ孔が貫通されておらず、密封状態を保持するようにしている。又、この時取り付けるねじは、その先端がフランジ面と同じ面になるようにしてある。
【0031】
以上のような構成の本発明の実施例1のフィルタ装置は、図21に示すような排気装置の例えば背面パネル52に取り付けて使用される。つまり、図21に示す従来のフィルタ装置56の代わりに本発明のフィルタ装置1が取り付けられる。これにより、空気流は、排気装置の汚染区域(作業区域)53を通り本発明のフィルタ装置1を通って、排出口55より排出される。
【0032】
そのためフィルタ装置1は、その空気が流入する面(作業区域側の面)が汚染される。
【0033】
以上の構成のフィルタ装置で図3に示すように背面パネル52に固定されたフィルタ装置を交換する作業について次に述べる。
【0034】
図3に示すような構成で、図21に示すような背面パネルに取り付けられた縦型のフィルタ装置を交換する場合、まず図3に示すねじ8を緩めて、プレフィルタ6を外した上で密封用プレート(第1のプレート)5をフィルタ装置1のフィルタ面つまり危険物10が付着した面を覆い、その周辺を適切な手段にて密封する。その上で、フランジ部分3のねじ4を緩めて取り外す。更に、図7に示す第2のプレート9をフィルタ2の前に配置し、フランジ3の孔3aと第2のプレート9の孔9aとを利用して他のねじ(ボルト、ナット)を用いて固定する。これによりフィルタ2は第1のプレートにより、汚染物質10が多く付着している面を密封し、更にその周辺の汚染物質の付着する面を第2のプレート9にて密封する。これによりフィルタ装置1の汚染部分を第1のプレート5、第2のプレート9にて密封した状態にて取り出すことができ、汚染物質が飛散することなしに取り出し得る。
【0035】
その上で新たなフィルタ装置を背面パネル52に取り付けることにより、フィルタの交換が終了する。更にプレフィルタをねじ止めして取り付ける。
【0036】
このように、この実施例1のフィルタ装置は、単にフィルタ面に第1のプレートを配置した上でその周辺を密封し、ねじを外すことにより、汚染物質の付着部分を完全に密封した状態にて交換し得るもので、汚染物質が飛散することなく、極めて安全に交換し得る。更に第2のプレートを配置することにより確実に密封しうる。
【0037】
以上述べた実施例1における一連のフィルタ装置の交換作業は、排気装置の排気をした状態にて行なうことができる。
【0038】
しかも、第1のプレート5、第2のプレート9の配置は、密封やねじを外す等の極めて単純で簡単な操作での交換が可能である。
【実施例2】
【0039】
本発明のフィルタ装置の実施例2は、図9乃至図14に示す通りで、これら図のうち、図9はフィルタ装置の断面図、図10はフィルタの正面図、図11は図9の矢印Cの部分を拡大して示した図、図12はプレフィルタの正面図、図13はフィルタの汚染面を密封するための第3のプレートの平面図、図14はフィルタ装置を密封した状態を示す側面図である。
【0040】
この実施例2を示す図も、実施例1を示す図と同様に、本発明の実施例2のフィルタ装置の図示する各部材を組み合わせたものである。
【0041】
この実施例2のフィルタ装置は、図10に示すようにフィルタ11の周辺部にねじ孔11aと孔11bの2種類のねじ孔を設けてある。又図12に示すプレフィルタ16には孔16aが設けられている。又第3のプレート15には取り付け孔15aと貫通孔15bが形成されている点等で実施例1のフィルタ装置と部材の形状が若干異なるが各部材の基本形状は実施例1と同じである。
【0042】
この実施例2も実施例1と同様に、前記の図示する各部材を組み合わせたもので、次に各部材を組み合わせてのフィルタ装置の形成について詳細に説明する。
【0043】
この実施例2のフィルタ装置は、フィルタ11の取り付け孔11bを利用して図11に示すように背面パネル52にフィルタ11を取り付け、更にプレフィルタ16を取り付け孔16aを利用して背面パネル52にパッキン17を介してねじ14にてねじ止めすることにより、フィルタ装置を組立て又排気装置の窓に固定して使用する。ここでねじ14のねじ孔は、汚染されないように貫通されていない。この実施例2もプレフィルタ16の周辺には、パッキン17が設けられ汚染物質が付着しないようになっている。
【0044】
ここで、フィルタ装置を交換する際は、まずプレフィルタ16をねじ14を緩め背面パネル52より外した後に第3のプレート15をその取り付け孔15aを利用してフランジ面に設けられたねじ孔11aに固定することによりフィルタに取り付け、これにより汚染物質10を封鎖して密封し、汚染物質10が外部に出ないようにする。つまり、図14に示すような構成になる。この状態にて、第3のプレート15の貫通孔15bを利用してフィルタ11を背面パネル52にて固定しているねじ12を緩めてフィルタ11を第3のプレート15を固定したまま、背面パネル52より外してフィルタ交換を行う。
【0045】
このように、フィルタ11の汚染物質10にて汚染された面をプレート15にて密封したまま、フィルタ11を背面パネル52より外して、フィルタ装置の交換を行う。
【0046】
この実施例2のフィルタ装置は、フィルタ前面にねじ止めされた第3のプレート15にて汚染物質を密封した状態にてフィルタの交換が行なわれるため、汚染物質による外部への汚染を防止し得る。又この実施例2のフィルタ装置は、プレートをねじ止めにてフィルタに固定すると共にフィルタを背面パネルに固定したねじ12を緩め外すことにより、フィルタ装置の取り外し及び交換を行うもので、交換の作業も簡単で、短時間での安全な交換が排気装置の排気を行なった状態にて可能である。
【実施例3】
【0047】
本発明の実施例3のフィルタ装置は、図22に示すような排気装置内に横向きに置いたタイプの横型フィルタ装置に適用するもので、図15、図16に示すような構成である。
【0048】
このフィルタ装置は、図15に示すようにフィルタ21の下面より若干上側にフランジ面を有し、このフランジ面にはパッキン23が貼られ、上側のフランジ22にはフィルタをフィルタ取付面に圧着するための金具24がねじ25によりねじ止めされている。又26はフィルタを押さえるためのノブで、このノブ26を締め付けることによりパッキン23による汚染区域と正常区域間を密封するようにしている。又、27はフィルタ下部に設けられたプレフィルタである。
【0049】
上記のような構成のプレフィルタを外し、汚染面密封用の第4のプレート30を、フィルタ面の汚染面にフィルタ下部のねじ孔28を利用して取り付けフィルタ汚染面を密封する。その上でフィルタ21を本体のフィルタ取付面58の間にフィルタ取り出し用のバーを挿入してフィルタを取り出して、フィルタのフランジと金具24を固定しているねじ25を外して、フィルタ交換口57より取り出して交換する。
【0050】
この実施例3も、実施例1、実施例2と同様に、フィルタの危険物質が付着している汚染面を第4のプレート30をねじ止めすることにより密封し、汚染物質がもれ出ないようにした後にフィルタ装置を交換する。
【0051】
したがって、危険物質により汚染されることなしにフィルタ装置の交換を安全に行なうことができる。
【0052】
又、フィルタ装置の交換の際の第4のプレートの取り付けその他の作業のほとんどがねじ止め等の簡単な作業であって、交換が簡単で短時間で交換し得る。
【実施例4】
【0053】
本発明のフィルタ装置の実施例4を図17、図18、図19、図20にもとづき説明する。
【0054】
この実施例4のフィルタ装置も実施例3と同様に横向きタイプの横型フィルタ装置である。
【0055】
この実施例4のフィルタ装置は、図17に示すようにフィルタ本体の下面に汚染された空気が流れ込む側の面に筒状のシート41を設け、このシート41を折りたたんで、バンド42にて固定し図18に示すようにした構成の装置である。これを図22に示すような配置にして使用する。
【0056】
使用により汚染された図18に示す実施例4のフィルタ装置の交換は、次のようにして行なわれる。
【0057】
まず、図17に示すようにバンド42を外して折りたたまれたシート84をひろげ伸ばし、更に、シートの汚染された部分が完全にシート内に折り込まれるようにして図19に示すように密封する。これにより汚染部分がすべてシート41内に密封される。この状態にて、実施例4のフィルタ装置を取り外し交換を行う。
【0058】
このように実施例4のフィルタ装置は、危険物質が付着した汚染箇所は、すべてシート内に密封され、外部には汚染部分が存在せず、汚染物質がもれ出るおそれもない。
【0059】
このように、本発明の実施例4のフィルタ装置も、交換の際に危険な物質が外部にもれ出ることなく安全に交換し得る。
【0060】
又、その操作も単にシートを外し、そのシートの汚染部分がシート内に折り込まれるように折りたたみ密封するだけの簡単な作業である。
【0061】
この実施例4において、図20に示すようにシートを枠材45内に収納し密封するように保持しもよい。これによりシートの汚染防止がより確実なものとなる。
【0062】
この図17乃至図20に示すフィルタ装置は、横型フィルタ装置にシートを設け、シートによりフィルタ装置を覆って密封して交換を行うものであるが、縦型フィルタ装置にシートを設け、交換時にこのシートにて汚染したフィルタ装置を密封するようにしてもよい。
【0063】
前述のように排気装置での実験の際、危険物質を含む空気流がフィルタ装置を通過することによって危険物質が除去され正常な空気流となって排出口より排出される。そのためフィルタ装置での危険物質の付着は主として空気の流入口やその周辺部である。しかし、フィルタ装置の流出側に危険物質が付着することがある。そのためフィルタ装置を交換する際、流入口と反対側も危険物質を閉じ込めた上で交換することがより好ましい。
【0064】
そのような理由から、流入口側と反対側の流出側も同様の密封装置をほどこすことが望ましい。つまりフィルタ装置の流出側も流入口と同様の構成にしてプレート等による密封が可能な構成にすることが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明のフィルタ装置は、有害物質をあつかう実験や有害物質が発生する実験等を行なう際に使用する排気装置に設置し、有害物質を除去するためのもので、交換時にフィルタ装置に付着する有害物質が外部にもれないように有害物質が付着する面等を密封するようにし交換を行うようにした。これにより、排気装置での排気を行なったまま、安全に交換できる。
【符号の説明】
【0066】
1 本発明の実施例1のフィルタ装置
2 フィルタ
3 フランジ
4 実施例1におけるフィルタ装置を背面パネルへ取り付けるねじ
5 第1のプレート
6 プレフィルタ
9 第2のプレート
11 本発明の実施例2のフィルタ装置
12 実施例2におけるフィルタ装置を背面パネルへ取り付けるねじ
15 第3のプレート
21 本発明の実施例3の本体装置
30 第4のプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有害物質をあつかう実験や有害物質が発生する実験等の際に使用する排気装置に設置されるフィルタ装置であって、前記フィルタ装置が有害物質を除去するフィルタと前記フィルタやその周辺部に付着して残る有害物質を覆うための少なくとも一枚のプレートあるいは前記排気装置のフィルタ装置付近やフィルタ装置自体に設けられたシートを備え、前記排気装置での排気を行なった状態にて、有害物質の付着部分や有害物質による汚染部分をプレートまたはシートで密封した上で有害物質が外部に漏れることなしに交換し得るフィルタ装置。
【請求項2】
前記プレートが前記フィルタ装置のフィルタの炉材面と形状、大きさがほぼ等しい第1のプレートであり、前記第1のプレートを前記炉材面に付着する危険物質を覆いその周辺を密封した上で交換作業を行なうようにした請求項1のフィルタ。
【請求項3】
前記プレートが前記フィルタの炉材面およびその周辺の危険物質付着部分のすべてを覆う形状、大きさで、その周辺部分に多数のねじ孔を有する第2のプレートで、第2のプレートを前記フィルタ装置のフランジまたはフィルタ枠に設けたねじ孔にねじ止めして密封するようにした請求項1または請求項2のフィルタ装置。
【請求項4】
前記プレートがフィルタ装置の危険物質が付着した汚染部分を覆う形状、大きさで、その周辺に多数の取り付け孔と多数の貫通孔とを有する第3のプレートであって、前記第3のプレートをフィルタ装置に取り付け孔を使用してねじ止めして危険物質を覆った上で前記貫通孔を利用して前記排気装置にねじ止めにより固定されているフィルタ装置のねじを緩め、第3のプレートにて密封した状態のまま前記フィルタ装置を前記排気装置のフィルタ取付面より外してフィルタ交換を行うようにした請求項1または請求項2のフィルタ装置。
【請求項5】
前記シートが排気装置のフィルタ装置の取り付け部分周辺に折りたたまれ配置され、フィルタ装置交換時に前記シートを開いて汚染部分を覆った上でフィルタ装置を交換するようにした請求項1のフィルタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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